JPH0696831B2 - 防錆処理を施した吊橋用ケーブルワイヤ - Google Patents

防錆処理を施した吊橋用ケーブルワイヤ

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JPH0696831B2
JPH0696831B2 JP1289093A JP28909389A JPH0696831B2 JP H0696831 B2 JPH0696831 B2 JP H0696831B2 JP 1289093 A JP1289093 A JP 1289093A JP 28909389 A JP28909389 A JP 28909389A JP H0696831 B2 JPH0696831 B2 JP H0696831B2
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祐行 宮川
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は特に長大橋等の吊橋用ケーブルワイヤに関し、
詳しくは防錆処理、即ち亜鉛めっきによる白錆防止処理
層を有する吊橋用ケーブルワイヤに関するものである。
[従来の技術] 例えば本州四国連絡橋等の如き長大橋においては、これ
らの長大吊橋の殆んどが海上橋であることの為、ケーブ
ル架設時にはストランドを順次引き出して行くことが必
要となり、メインケーブルの完成までには1〜2年程度
の時日を要している。また架設工事期間、さらにはメイ
ンケーブルの防食塗装工事完了までを含めると実に3〜
5年間もの長期間に亘ってケーブル素線が海上に曝され
た状態に置かれることになる。
こうしたことから、ケーブル素線の防錆処理は不可欠要
件となっている。また吊橋は完成後少なくとも100年は
使用に供されるため、ケーブルの防食はその橋の寿命を
決める要因として非常に重要である。従来、ケーブル素
線の亜鉛めっき層を更に防食する手段としては、クロム
酸系薬剤による化成処理が行なわれていたが、環境破壊
を引き起こすという欠点があった。このような公害を生
じない手段として、タンニン酸系被覆(特公昭55−1878
6号)、水ガラス系被覆(特公昭55−30593号)或は有機
・無機複合型被覆組成物(特公昭62−40473号または特
開昭63−297613号)等の技術も提案されている。
[発明が解決しようとする課題] しかしながらこれまでの技術は、夫々下記の様な欠点を
有しており、いずれも現在の要求を満足し得るものでは
ない。
タンニン酸系被覆は倉庫内等の如く雨水に濡れないよう
な保存状態の下では比較的良好な防錆効果を示すが、ケ
ーブル架設工事中の屋外では雨水は曝されたり、太光線
を浴びる為、比較的短時間で白錆が発生するという問題
がある。
またガラス系被覆では被覆剤中のカリウムが水に溶解し
易く、このカリウムが乾燥時に再結晶して白化生成物を
作り、これを白錆と見誤るという問題がある。
一方有機・無機複合型被覆組成物は有機ポリマーの持つ
造膜性や柔軟性等の特性と無機成分の持つ耐擦傷性や耐
候性等の特性を併せ有するものであるため、特に長大吊
橋めっき鋼線の白錆防止処理として優れているが、ケー
ブル素線を平行に束ねるストランド加工時やケーブル架
設工事中におけるケーブル引き出し工程に際してローラ
ーやガイド等に接触し、塗膜の一部が剥離するという問
題が指摘されている。
以上のように、従来の手段では実験室あるいはワイヤ製
造直後においては目標通りの高い耐食性を示していたも
のが、ストランドの製造工程中にローラ等に擦られた
り、ストランド加工時の曲げが加わることによって処理
被覆にクラックが入ったり、最悪の場合には塗膜が剥離
するという問題がある。このため実際のケーブル素線と
して使用されるときには当初の防錆能力に比べて低いも
のになっているというのが実態である。また橋は最終的
に防食と美観を重ねてメインケーブル全体に多重塗装
(150〜200μm)を施して万全を期しているが、これら
の多重塗膜でも、長年月を経るうちに酸素や水が塗膜中
を透過していくことは防ぎ得ないため、厳しい腐食環境
に十分耐え得るものとは言えない。
従って、吊橋のケーブル素線に形成される亜鉛めっきに
は、搬送途中やケーブルの架設工事中に脱落しない様な
強い密着力と、数年間の海上における潮風を含んだ屋外
条件下でも亜鉛の腐食を防止できる様な防錆力とを兼備
した防錆保護被覆を形成することが要求されている。
本発明はこうした状況のもとになされたものであって、
その目的は、防錆被覆の耐食性が高いことは勿論、処理
線が最終的に吊橋として完成に至るまでに受ける摩擦や
曲げ加工に対しても被膜が容易に剥離しない様な吊橋用
ケーブルワイヤを提供することにある。
[課題を解決する為の手段] 上記目的を達成し得た本発明とは、抗張力160kg/mm2
上の硬鋼線に、付着量300g/m2以上の溶融亜鉛めっき層
を設け、さらにその上に分子量10,000〜30,000のエポキ
シ系樹脂被膜層を被膜量5〜15g/m2で形成した点に要旨
を有する吊橋用ケーブルワイヤである。また上記構成に
おいて、用いる高分子エポキシ系樹脂に気化性防錆剤を
0.1〜1.0重量%添加することも有効であり、これによっ
てケーブルワイヤの防錆効果を更に向上することができ
る。
[作 用] 本発明者らは上記のような種々の問題点に鑑み、鋭意研
究を行ない検討を重ねた結果、鋼線表面に溶融亜鉛めっ
きを設けた上に、高分子エポキシ系樹脂被膜層または高
分子エポキシ系樹脂(以下、「高分子」という文字を省
略する)に気化性防錆剤を添加した被覆層を設けること
によって上記の諸課題を総て解決できることを見出し、
ここに本発明を完成した。
本発明に係る吊橋用ケーブルワイヤの構造は第1図に示
すように、硬鋼線1の上に溶融亜鉛めっき層2を有し、
更にその上に、エポキシ系樹脂からなるまたはエポキシ
系樹脂に気化性防錆剤を添加してなる被膜層を有する二
重構造である。
本発明で用いる硬鋼線1としては、例えばJIS G3502に
規定されているピアノ線やSWRS77B相当の線材等を、熱
間圧延、熱処理、冷間伸線で所定の線径にした後、最終
的に160kg/mm2以上の抗張力、伸び4.0%以上の特性を持
たせたものを使用できる。
溶融亜鉛めっき層2は通常の手段で設ることができる
が、めっきの付着量は300g/m2以上とする必要がある。
即ち吊橋の耐用年を考慮すると300g/m2未満の付着量で
は不十分である。また上限は特に制限しないが、めっき
プロセス技術を考慮すれば、350g/m2程度が好ましい。
亜鉛めっき層2上に形成する被膜層3は、亜鉛めっき層
2との十分な密着力を有し、水分等の通過を抑制すると
共に、亜鉛めっき層2表面への外部からの直接的影響を
防ぐ為の遮蔽膜としての作用を発揮するものである。
本発明で用いるエポキシ系樹脂は、できるだけ高分子量
のものを用いる必要がある。即ちケーブルワイヤの製造
は亜鉛めっき処理直後にインラインで防錆処理の工程を
経るため、塗膜の乾燥に長時間を要する訳にはいかず、
一般的な乾燥時間は30〜60秒程度となっており、エポキ
シ系樹脂層を上記防錆処理ライン内で確実に形成するた
めには、当該樹脂はできるだけ高分子量のものを用いる
ことが必要である。こうした作業性の観点からして、本
発明ではエポキシ系樹脂の分子量は10,000〜30,000と規
定した。またエポキシ系樹脂は単独でも乾燥性,密着
力,耐衝撃性および曲げ加工性に優れるが、こらの特性
を更に向上させるためのメラミン樹脂やブロックイソシ
アネート樹脂を架橋用として併用することも有効であ
る。
エポキシ系樹脂層を亜鉛めっき鋼線表面に形成するに
は、当該樹脂を水または有機溶剤に分散させた溶液とし
て用いる。このような溶液を硬鋼線の亜鉛めっき層の上
に塗布し、加熱乾燥すると透明に近い光沢のある被膜を
形成することができる。この溶液のエポキシ系樹脂濃度
は10〜30重量%になる様に調合するのが良く、濃度が10
重量%未満であると一回の塗布で本発明の被膜量を得る
ことが難しく、30重量%を超えると溶液の安定性に劣り
作業性が悪くなる。尚この被膜量は5〜15g/m2とする必
要がある。これは被膜量が5g/m2未満ではケーブル素線
間の摩擦疵やケーブル架設工事中の当たり疵等で被膜が
損傷し、十分な防錆性能を発揮することができず、一方
付着量と防錆性能は比例して増加するが、この防錆被膜
が最終のケーブル防食工事までの亜鉛めっき層の防食作
用を行なわせるためには、15g/m2で十分でありこれを超
えると密着力の低下を招来し、素線径が大きくなりケー
ブル全体の径にも影響を与える。
本発明に係る吊橋用ケーブルは亜鉛めっき層の防食を目
的としたものであり、一部にでも無処理部があってなら
ないので、処理被膜の存在を目視判定できるのが良く、
従って高分子のエポキシ系樹脂溶液に適当な顔料を少量
添加して被膜を着色するのも有効である。このような顔
料としては一般に使用されている各種の顔料であればよ
いが、その添加量は被膜が着色される程度で且つできる
だけ少量に抑えるのがよく、多量に添加すると被膜の耐
食性に悪影響をおよぼす。
尚気化性防錆剤を用いる場合は、エポキシ系樹脂に気化
性防錆剤を添加した溶液を、硬鋼線の亜鉛めっき層の上
に塗布した後、加熱乾燥して5〜15g/m2の被膜量とすれ
ばよい。
次に、本発明に係る吊橋用ケーブルワイヤの製造手順の
一例を説明すると、まず硬鋼線に亜鉛めっきを施し、脱
脂、中和、水洗、ブラッシング等により表面を清浄にし
た後、エポキシ系樹脂溶液または気化性防錆剤を含んだ
エポキシ系樹脂溶液をスプレー、浸漬、またはフローコ
ーターで塗布し、200〜400℃の雰囲気で速やかに乾燥す
る。このときの被膜の温度は170〜220℃まで上昇させる
のが良い。
尚本発明で用いることのできる気化性防錆剤としては、
例えばDICHAN[Dicylohexyl ammonium nitrite;(C
6H112NH2NO2]またはDIPAN[Diisopropyl ammonium n
itrite;[(CH32CH]2NH2NO2]等が挙げられる。気化
性防錆剤はそれ自身がナフタリンの様に蒸気化(昇華)
し、金属面に付着してこれを覆うとともに金属を囲んで
いる空気中にも充満飽和し、空気中の水が金属面に凝縮
する際にこの水の中に溶解し、水と金属が反応して錆と
なるのを防ぐ能力をもっている。こらの気化性防錆剤が
塗膜中の微細なピンホールやクラック等から徐々に抜け
出し、特にストランド加工後の線材相互間の空隙に充満
し、防錆効果を維持し続けていく。気化性防錆剤が0.1
重量%未満では加熱乾燥時の揮散のために被膜中の残存
率が悪くなり、結果としてケーブル架設後の防錆力を発
揮できない。また1.0重量%を超えると形成される被膜
自体が脆くなり被膜の密着性を低下させるとともに高価
なものとなる。
以下本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、下
記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・
後記の趣旨に微して設計変更することはいずれも本発明
の技術的範囲に含まれるものである。
[実施例] 実施例1 5mmφのピアノ線(JIS G3502)に溶融亜鉛めっきを350g
/m2の付着量にめっきを行ない、第1表に示す夫々の組
成物を浸漬塗布し、350℃に設定した熱風循環炉を用い
て60秒間乾燥して防錆被膜を設けた際の、被膜の各種性
能を示す。このとき用いたエポキシ樹脂は、すべて分子
量が20,000のものである。尚第1表において、No.1,2,
3,4,5,8は比較例であり、No.6,7,9,10は本発明に係る吊
橋用ケーブルワイヤである。また第1表の防錆被膜の各
種性能は、次の方法により評価した。
(1)防錆被膜の密着性試験 R=5mmのコーナーに沿って試験線を曲げ、その曲げ部
分に粘着セロファンテープを貼り密着させた後剥離し、
防錆被膜の剥離面積を調査した。
〇:被膜の剥離がない △:1〜5%の被膜剥離がある ×:5%以上の被膜剥離がある (2)防錆被膜の耐食性試験 塩水噴霧48時間試験(JIS Z 2371)と湿潤72時間試験
(JIS K 2246)による。
〇:白錆発生なし △:1〜10%の白錆発生 ×:10%以上の白錆発生 (3)しごき試験=PWS加工のシミュレーションテスト 第2図に示すように、非回転ローラー(1,200φ)に接
触して曲げ加工を加えながら引張った試験線を、第2図
に示す様に回転するローラー間で5往復のしごきをおこ
なった。そして、しごき試験後に塩水噴霧48時間試験と
湿潤72時間試験を実施し白錆の発生を調査した。
〇:白錆発生なし △:1〜10%の白錆発生 ×:10%以上の白錆発生 第1表からも明らかな様に、本発明に係る吊橋用ケーブ
ルワイヤは、いずれも比較例に比べて優れた被膜密着性
および耐食性を示していることがよく分かる。
実施例2 5mmφのピアノ線(JIS G3502)に溶融亜鉛めっきを350g
/m2の付着量にめっきを行ない、第2表に示すそれぞれ
の組成物を浸漬塗布し、350℃に設定した熱風循環炉を
用いて60秒間乾燥して防錆被膜を設けた際の、被膜の各
種性能を示す。このとき用いたエポキシ樹脂は、すべて
分子量が20,000のものである。尚、第2表において、N
o.11,12,13,16,19,20,21,22は比較例であり、No.14,15,
17,18は本発明に係る吊橋用ケーブルワイヤである。ま
た第2表の防錆被膜の各種性能は、大気曝露試験につい
ては下記の方法により、他は前記(1)〜(3)の方法
により評価した。
(4)大気曝露試験 第4図に示すような19本の試験線を平行に束ね両端をシ
ール加工したものを曝露サンプルとして、海岸地帯で2
年間の大気曝露を実施した後にストランドを開いて白錆
の発生を調査した。
〇:白錆発生なし △:1〜10%の白錆発生 ×:10%以上の白錆発生 第2表からも明らかな様に、本発明に係る吊橋用ケーブ
ルワイヤは、いずれも比較例に比べて優れた被膜密着性
および耐食性を示していることがよく分かる。
[発明の効果] 以上述べた如く本発明によれば、耐食性および被膜密着
性に優れ、吊橋用として最適なケーブルワイヤが得られ
た。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明に係る吊橋用ケーブルワイヤの概略断面
図、第2図および第3図はしごき試験方法の概要を示す
説明図、第4図は大気曝露試験のサンプルの断面図であ
る。 1……硬鋼線、2……溶融亜鉛めっき層 3……被膜層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮川 祐行 奈良県北葛城郡王寺町本町5―13―4 (72)発明者 林 伊三男 大阪府枚方市楠葉美咲3―12―35 (56)参考文献 特開 平1−260083(JP,A) 実公 昭60−14793(JP,Y1)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】抗張力160kgf/mm2以上の硬鋼線に、付着量
    300g/m2以上の溶融亜鉛めっき層を設け、さらにその上
    に分子量10,000〜30,000のエポキシ系樹脂被膜層を被膜
    量5〜15g/m2で形成したことを特徴とする吊橋用ケーブ
    ルワイヤ。
  2. 【請求項2】抗張力160kgf/mm2以上の硬鋼線に、付着量
    300g/m2以上の溶融亜鉛めっき層を設け、さらにその上
    に分子量10,000〜30,000のエポキシ系樹脂99.0〜99.9重
    量%および気化性防錆剤0.1〜1.0重量%からなる被膜層
    を被膜量5〜15g/m2で形成したことを特徴とする吊橋用
    ケーブルワイヤ。
JP1289093A 1989-11-06 1989-11-06 防錆処理を施した吊橋用ケーブルワイヤ Expired - Lifetime JPH0696831B2 (ja)

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