JPH0698021B2 - マウス−ヒトキメラ抗体、それをコ−ドする発現型キメラdna配列、プラスミド及び細胞 - Google Patents
マウス−ヒトキメラ抗体、それをコ−ドする発現型キメラdna配列、プラスミド及び細胞Info
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Description
a.産業上の利用分野 本発明は、マウス−ヒトキメラ抗体、それをコードする
キメラDNA配列、そのDNA配列が組み込まれたプラスミド
及びそのプラスミドが導入された細胞に関するものであ
る。更に詳しくは、ヒト急性白血病リンパ腫共通抗原と
特異的に反応するマウス−ヒトキメラ抗体及びそれに関
連する一連の発明に関するものである。 b.従来技術 一般に免疫グロブリン遺伝子は、H鎖(Heavy Chain)
とL鎖(Light Chain)とから構成され、それぞれは抗
原と特異的に結合する機能を有するV領域(可変領域)
とイフエクター機能を有するC領域(定常領域)とを有
している。 一方マウスの抗体におけるH鎖及びL鎖の遺伝子に関し
てそれらのV領域とC領域の両領域に含まれる種々の遺
伝子単位をはじめ、プロモーター,エンハンサーなどの
種々の機能を有する単位の存在が明らかにされ、その一
部はDNA配列が明らかにされている。 一方、最近になつてモノクローナル抗体の技術が進歩
し、病態の診断,制御,予防等の免疫学的診断及び治療
への応用が期待されている。かかるモノクローナル抗体
の利用においてはヒト抗体を用いるのが最適である。し
かしヒトの場合にはマウスのハイブリドーマ生産技術ほ
どモノクローナル抗体製造技術は進んでおらず、各種の
特異性をもつた抗体を得るには制限が多く、この免疫学
的診断,治療には多くの制約がある。この困難さを克服
する一つの手段としてヒト抗体に酷似していてヒト体内
で異物として認識される事の少い抗体を人為的に創製
し、この抗体を免疫学的診断,治療に利用する事が考え
られる。このような抗体として最近マウスの或る種の抗
体のV領域とヒト抗体のC領域とからなるキメラ抗体が
提案されている(特開昭60−155132号公報参照)。 そこで本発明者の一部は、上記のような観点からヒトの
免疫学的診断及び治療に応用可能な新規キメラ抗体を創
製することを目的として研究を行つたところ、 (a) マウス抗体H鎖V領域のアミノ酸配列と (b) ヒト抗体H鎖C領域のアミノ酸配列 とからなりヒト急性白血病リンパ腫共通抗原に特異的に
反応するマウス−ヒトキメラ抗体H鎖を見出し先に提案
した(特願昭61−41983号明細書参照;昭和61年2月28
日付出願)。 本発明者は、前記マウス−ヒトキメラ抗体H鎖の創製に
続いて、マウス−ヒトキメラ抗体L鎖を取得すべく、更
に研究を進めたところ、 (i) マウス抗体L鎖V領域のアミノ酸配列と (ii) ヒト抗体L鎖C領域のアミノ酸配列 とからなり、ヒト急性白血病リンパ腫共通抗原と特異的
に反応し得るマウス−ヒトキメラ抗体L鎖を得ることが
でき既に提案した。 そこで本発明者は、前述の研究を更に進展させて、抗体
のH鎖及びL鎖の双方を含む完全キメラ抗体を得るべく
研究を重ねた。 c.発明の目的 本発明の目的は、ヒト急性白血病リンパ腫共通抗原と特
異的に反応するマウス−ヒト完全キメラ抗体を提供する
ことにある。 本発明の他の目的は、前記キメラ抗体をコードする発現
型のキメラDNA配列を提供することにある。 本発明の更に他の目的は、かゝる発現型のキメラDNA配
列を組み込んだプラスミド及びそのプラスミドを導入し
た細胞を提供することにある。 本発明の更に他の目的は以下の説明から一層明らかとな
るであろう。 d.発明の構成 本発明によれば、前記本発明の目的は、 (a) H鎖及びL鎖におけるV領域がマウス由来のア
ミノ酸配列であり、 (b) H鎖及びL鎖におけるC領域がヒト由来のアミ
ノ酸配列であつて、かつ (c) ヒト急性白血病リンパ腫共通抗原と特異的に反
応する。 ことによつて特徴付けられるマウス−ヒトキメラ抗体を
提供することによつて達成される。 ヒト急性白血病リンパ腫共通抗原は、各種の白血病リン
パ腫患者の血中にみられる抗原であり、前記本発明によ
つて提供されるマウス−ヒトキメラ抗体は、この共通抗
原に特異的に反応し且つヒトに対し異物として認識され
ることの少ないかされ難い抗体であるから、ヒト急性白
血病リンパ腫患者の免疫学的診断及び治療に極めて寄与
するものである。 以下本発明について更に詳細に説明する。 本明細書において、アミノ酸,ポリペプチドはIUPAC−I
UB生化学委員会(CBN)で採用された方法により略記す
るものとし、たとえば下記の略号を用いる。 Ala L−アラニン Arg L−アルギニン Asn L−アスパラギン Asp L−アスパラギン酸 Cys L−システイン Gln L−グルタミン Glu L−グルタミン酸 Gly グリシン His L−ヒスチジン Ile L−イソロイシン Leu L−ロイシン Lys L−リジン Met L−メチオニン Phe L−フエニルアラニン Pro L−プロリン Ser L−セリン Thr L−スレオニン Trp L−トリプトフアン Tyr L−チロシン Val L−バリン また、DNAの配列はそれを構成する各デオキシリボヌク
レオチドに含まれる塩基の種類で略記するものとし、た
とえば下記の略号を用いる。 A アデニン(デオキシアデニル酸を示す。) C シトシン(デオキシシチジル酸を示す。) G グアニン(デオキシグアニル酸を示す。) T チミン(デオキシチミジル酸を示す。) 本発明のマウス−ヒトキメラ抗体は、V領域がH鎖及び
L鎖共にマウス由来のものであり、そのアミノ酸配列が
ヒト急性白血病リンパ腫共通抗原に対して特異的に反応
するマウス抗体に由来するものである。具体的にはH鎖
のV領域におけるアミノ酸配列は添付第1図に示された
アミノ酸配列であることができる。さらにL鎖のV領域
におけるアミノ酸配列は添付第3図に示されたアミノ酸
配列中1番目(Glu)から97番目(Leu)までの配列を少
くとも含んでいればよく、また1番目(Glu)から109番
目(Arg)までの配列であつてもよい。 また本発明のマウス−ヒトキメラ抗体において、C領域
のヒト由来のアミノ酸配列が、L鎖はヒト抗体のK鎖に
由来するものであり、且つH鎖はヒト抗体のCr1鎖に由
来するものであることができる。C領域のH鎖は具体的
には添付第2図のアミノ酸配列であることができ、また
L鎖は具体的には添付第4図のアミノ酸配列であること
ができる。 本発明によれば、更に前記マウス−ヒトキメラ抗体のア
ミノ酸配列をコードしたキメラDNA配列が提供される。
このキメラDNA配列の具体的な配列としては以下に示示
すものであることができる。このDNA配列は、理解を容
易にするためにH鎖におけるマウス−ヒトキメラDNA配
列とL鎖におけるマウス−ヒトキメラDNA配列とのそれ
ぞれについて分けて説明する。 I 抗体H鎖におけるマウス−ヒトキメラDNA配列 このキメラDNA配列は、本発明者らの一部が先に提案し
た特願昭61−41983号明細書に記載されたキメラDNA配列
と同じものであることができる。 すなわち、H鎖のV領域におけるマウス由来のアミノ酸
配列をコードするDNA配列は第6図に示すDNA配列及びそ
の相補鎖を具体的配列として示すことができる。この第
6図に示されたH鎖V領域のアミノ酸配列をコードする
DNA配列は、同第6図に示されているようにV遺伝子,D
遺伝子及びJ1遺伝子のそれぞれをコードしているV−セ
グメント,D−セグメント及びJ1−セグメントより構成さ
れている。 H鎖のC領域におけるヒト由来のアミノ酸配列をコード
するDNA配列の具体例は、第7図−(1)及び第7図−
(2)に示すような配列及びその相補鎖である。このC
領域におけるDNA配列は、第7図に示されるように、C
H1−セグメント,ヒンジ(h)−セグメント,CH2−
セグメント及びCH3−セグメントより構成される。 上記したH鎖におけるV領域のDNA配列(マウス由来)
とC領域のDNA配列(ヒト由来)とから抗体H鎖マウス
−ヒトキメラDNA配列が形成されるが、このDNA配列にお
いて、ヒトエンハンサーDNA配列、殊にヒト抗体H鎖の
エンハンサーDNA配列を結合させることにより高効率の
発現型のマウス−ヒトキメラDNA配列となる。このヒト
エンハンサーDNA配列は、如何なる位置に結合させても
よいが、望ましくはV領域のDNA配列とC領域のDNA配列
の間に位置することである。 前記ヒトエンハンサーDNA配列は、添付第5図に示され
る配列及びそれに相補的なDNA配列を具体的に示すこと
ができる。このヒトエンハンサーDNA配列には更にマウ
スエンハンサーやマウス由来もしくはヒト由来のイント
ロンが含まれていても差支えない。 II 抗体L鎖におけるマウス−ヒトキメラDNA配列 このL鎖におけるキメラDNA配列は、本発明者が最近提
案した抗体L鎖発現型DNA配列と同じものであることが
できる。 すなわち、このL鎖発現型キメラDNA配列は、 (a) マウス抗体L鎖におけるV領域のDNA断片 (b) ヒト抗体L鎖におけるC領域のDNA断片及び (c) ヒト抗体H鎖由来のエンハンサーDNA断片 よりなる配列である。 この発現型キメラDNA配列は、ヒト抗体H鎖由来のエン
ハンサーDNA配列を含んでいる。このヒトエンハンサーD
NA配列は、ヒト抗体のH鎖中に存在するエンハンサー機
能を有する配列であればよく、例えばヨーロッパ特許第
146743号明細書に開示されたエンハンサーDNA配列を使
用することができる。殊に添付第5図に示されたDNA配
列及びそれに相補的なDNA配列を使用することができ
る。ヒトエンハンサーDNA配列は、前記抗体L鎖発現型D
NA配列中に含まれていればよく、その位置は問わない。
すなわち、抗体L鎖遺伝子において、V領域のDNA配
列、C領域のDNA配列と並ぶDNA配列上でV領域のDNA断
片とC領域のDNA断片の間に位置していてもよくまた該
V領域のDNA断片の5′−側或いは、C領域のDNA断片の
3′−側のいずれに位置していてもよい。 さらに前記L鎖発現型キメラDNA配列には、プロモータ
ーや他の機能を有するDNA配列やイントロンが含まれて
いても差支えない。 本発明の前記マウス−ヒト型のキメラ抗体L鎖発現型DN
A配列は、そのV領域のDNA配列には、本発明者が見出し
先に提案した抗ヒト急性白血病リンパ腫共通抗原抗体を
産生するマウスハイブリドーマにおけるL鎖のV領域の
アミノ酸配列を少くともコードするDNA配列を含んでい
る。このL鎖のV領域のアミノ酸配列を少くともコード
しているDNA配列としては、添付第3図に示したアミノ
酸配列において、1番目(Glu)から97番目(Leu)まで
のアミノ酸配列を少くともコードしているものでもよ
く、また1番目(Glu)から109番目(Arg)までのアミ
ノ酸配列を少くともコードしているものであつてもよ
い。添付第3図のアミノ酸配列において1番目(Glu)
から97番目(Leu)までの配列は前記ハイブリドーマに
おける抗体のL鎖のV領域のアミノ酸配列であり、また
1番目(Glu)から109番目(Arg)までの配列は同L鎖
のV領域とJ領域のアミノ酸配列である。 前記V領域のアミノ酸配列(1番目〜97番目)を少くと
もコードしているDNA配列としては、添付第8図の579番
目(G)から869番目(C)までのDNA配列であることが
でき、またV領域とJ領域を少くともコードしているDN
A配列としては、添付第8図の579番目(G)から第905
番目(T)までのDNA配列であることができる。 さらに前記V領域のアミノ酸配列を少くともコードして
いるDNA配列としては、同第8図において562番目(T)
から905番目(T)までのDNA配列であつてもよく、また
340番目(A)から905番目(T)までのDNA配列である
ことができ、また230番目(T)から905番目(T)まで
のDNA配列であつてもよい。 本発明の抗体L鎖発現型キメラDNA配列を構成する抗体
L鎖におけるC領域のDNA断片としては、ヒト抗体K鎖
由来のものであるのが好ましい。またかゝるC領域のDN
A断片として、添付第4図のアミノ酸配列を少くともコ
ードしているDNA配列であることができ、特にそのDNA配
列としては、添付第9図のDNA配列を一つの具体的例と
して挙げることができる。 以上説明した本発明の抗体H鎖のマウス−ヒトキメラDN
A配列及び抗体L鎖のマウス−ヒトキメラDNA配列は、そ
れぞれを別々にベクタープラスミドに組み込み、組み換
えプラスミドを得、次いで得られたプラスミドを別個の
宿主動物細胞に導入して形質転換細胞としこれ培養する
ことによつて、マウス−ヒト抗体H鎖及びマウス−ヒト
抗体L鎖を別個に得て、それらを再構築して本発明のマ
ウス−ヒトのキメラ完全抗体とすることができる。また
前記抗体H鎖マウス−ヒトキメラDNA配列と抗体L鎖の
マウス−ヒトキメラDNA配列をそれぞれ別のプラスミド
に組み込み組み換えプラスミドを得、次いで得られたプ
ラスミドを用いて順次同一の宿主動物細胞に導入して形
質転換を行ない、両者で形質転換された細胞を得、これ
を培養することによつて目的とするマウス−ヒトのキメ
ラ完全抗体を発現させることもできる。 しかし前記した抗体H鎖のマウス−ヒトキメラDNA配列
と抗体L鎖のマウス−ヒトキメラDNA配列とをそれ自体
公知の方法で同じベクタープラスミド中へ組み込み、組
み換えプラスミドとし、これを宿主動物細胞へ導入して
目的とするマウス−ヒトのキメラ完全抗体を発現させる
こともできる。 いずれの場合であつても、キメラDNA配列の発現に使用
し得るベクタープラスミドとしては、種々のものが挙げ
られるが、例えばPSV2gpt,PSV2neo,PKSV−10などのプラ
スミドが適当である。 かくして調製された組み換えプラスミドは、それ自体公
知の例えばプロトプラスト法〔免疫実験操作法XIII4533
頁,日本免疫学会編,(1984)参照〕或いはDEAE−デキ
ストラン法〔セル(Cell)第33巻729頁(1983)参照〕
などの方法による宿主動物細胞、例えばマウスミエロー
マ(例えばJ558L,NS−1,X63Ag8,653など)に導入し形質
転換細胞を得る。得られた形質転換細胞を培養すること
により培養物中に目的とする抗体を蓄積させることがで
き、この培養物から抗体を分離,回収することができ
る。 かくして本発明によつて得られたマウス−ヒトキメラ抗
体は、ヒト急性白血病リンパ腫患者の診断,発見に使用
し得るのみならず、そのまま或いは抗癌剤と結合させて
ヒト急性白血病リンパ腫患者に投与することにより、急
性白血病リンパ腫の免疫学的治療に使用することが期待
される。 以下実施例を掲げ本発明のDNA配列、その作成及び抗体
の発現などについて更に詳細にに説明する。尚ここでマ
ウスハイブリドーマNL−1は、ヒト急性白血病リンパ腫
共通抗原と特異的に反応するモノクローナル抗体を産生
するものである(P.N.A.S.Vol.79,pp4386−4390,July19
82)。またARH77株はヒトプラズマ細胞性白血病細胞由
来の株であり、ATCC CRL1621の受託番号でATCCに寄託さ
れている。E.coli JM103株はATCC39403の受託番号でATC
Cに寄託されている大腸菌株である。また大腸菌MC1000
はコーエン他[J.Mol.Biol.(1980)138,179−207]に
より確立された株であり、容易に入手可能である。 実施例1(マウス染色体DNAの単離) マウスハイブリドーマNL−1 1×108個を1%SDS(So
diun lauryl sulfate)存在下プロテアーゼK(シグマ
社製)で処理した後、水飽和フエノールを加えDNAを抽
出した、遠心により水相を分離し、10mM Tris−HCl pH
7.4,0.1mM NaCl,0.1mM EDTA(TNE)バツフアーで透析し
た。リボヌクレアーゼA(シグマ)で処理し、再度フエ
ノール抽出を行なつた後、TNEバツフアーで透析しマウ
ス染色体DNA1.2mgを得た〔N.ブライン,D.W.スタフオー
ド:ヌクレイツクアシツドリサーチ3巻2,303ページ(1
976)(N.Blin,D.W.Stafford;Nucleic Acids Res.,3 2
303(1976)参照〕。 実施例2(マウス遺伝子ライブラリーの作成) 実施例1で得られたマウス染色体DNA150μgを後述する
実施例4に示した方法に準じて制限酵素Hind III(宝酒
造)で消化した後、庶糖密度勾配遠心〔庶糖10〜40%
(wt/vol),28000rpm×15時間,20℃〕を行ない、4Kb〜9
Kbに相当するDNA断片を得た。 次にこのDNA断片0.45μgとCharon28ベクターDNA(ベセ
スダ・リサーチ・ラボラトリーズ)のHind IIIアームと
の連絡を行ない、次いでアマーシヤム社のキツトを用い
て、in.vitroパツケージングを行ない、マウスNL−1遺
伝子ライブラリー4×106PFU/μgを得た。 連結はT4DNAリガーゼ(宝酒造)を用い、反応混液66mM
Tris HCl(pH7.6)−6.5mM MgCl2−10mMジチオスレイト
ールー1mM ATP水溶液中で4℃,16時間行つた。 実施例3(マウス免疫グロブリンK鎖遺伝子のスクリー
ニング) 前記実施例2で得られたマウスNL−1由来のDNAを含むC
haron28フアージを大腸菌LE392株に感染させ、プラーク
ハイブリダイゼーシヨン法〔W.D.ベントン,R.W.デービ
ス:サイエンス196巻180ページ(1977)(W.D.Benton,
R.W.Davis:Science 196180(1977))参照〕を使用して
32P標識マウス抗体K鎖J遺伝子で選別した。マウス免
疫グロブリンK鎖遺伝子を含むCharon28フアージからの
DNAの調製はトーマスとデービスの方法により行つた。
〔M.トーマス,R.W.デービス:ジヤーナルオブモレキユ
ラーバイオロジー91巻315ページ(1974)(M.Thomas,R.
W.Davis:J.Mol.Biol.,91 315(1974))参照〕 実施例4(マウスK鎖V領域遺伝子の制限酵素切断地図
の作成) 実施例3で得られたマウスK鎖遺伝子を含むフアージDN
A、及び後述する実施例5に準じてプラスミドにリクロ
ーニングしたDNA1μgを制限酵素切断用緩衝液〔Xba I,
Bga II切断では50mM Tris HCl(pH7.4)−100mM NaCl−
10mM MgSO4水溶液を、Bam HI,Hind III,Pst I,Ssa I,Hi
nc II,Dra I切断では10mM Tris HCl(pH7.5)−60mM Na
Cl−7mM MgCl2水溶液をそれぞれ用いた。〕20μに溶
解させ、制限酵素(Rsa Iはニツポンジーン製、その他
は宝酒造製を用いた)2ユニツトを添加して37℃,1時間
以上消化を行なつた。 制限酵素による切断後、4μの0.25%ブロモフエノー
ルブルー・50%グリセロール水溶液を加え、0.8%〜2.5
%アガロースゲル電気泳動を行なつた。アガロースはシ
グマ社のタイブII電気泳動用を使用した。電気泳動バツ
フアーとして、50mM Tris−酢酸80mM酢酸ナトリウム−7
2mM塩化ナトリウム1mM EDTAを用い、5mm厚水平ゲルにて
2V/cmの電圧で9〜16時間電気泳動を行なつた。この電
気泳動の際、DNA断片の分子量マーカーとして、λフア
ージのDNAをHind IIIで消化したもの(日本ジーン製)
を用いた。電気泳動終了後、アガロースゲル中のDNAを
2μg/mlエチジウムブロマイド水溶液で染色し、このケ
ルに対して長波長紫外線を照射して、切断パターンの観
察を行なつた。各種制限酵素単独による切断、及び二種
の制限酵素の組合せによる切断、これらの切断パターン
を解析することにより、各制限酵素切断点の相対位置関
係を決定した。 マウス免疫グロブリンK鎖遺伝子断片の制限酵素切断地
図を第10図に示した。Dra I,Hinc II,Rsa I切断点は図
示した以外にも存在する。 実施例5(マウス免疫グロブリンK鎖V−J領域遺伝子
のサブクローニング) マウス免疫グロブリンK鎖V−J領域遺伝子を含むChar
on28フアージDNAを、実施例4の方法に準じてHind III
で切断し、アガロースゲル電気泳動を行なつた。Vκ−
Jκ遺伝子を含む6.5kbのDNA断片を、エレクトロ・エリ
ユーシヨン法を用いてアガロースゲルより回収した。一
方、大腸菌用プラスミドpBR3221μgを実施例4に準じ
てHind IIIで切断したものに対して、アルカリ性ホスフ
アターゼ(E.coliC75)(宝酒造製)を0.5ユニツト加え
て、68℃で1時間反応させた。反応終了後、反応液中の
アルカリ性ホスフアターゼを失活・除去するために、フ
エノール抽出を3回繰返した。このようにして得られた
pBR322のHind III/アルカリ性ホスフアターゼ処理液
を、ゲルより回収した6.5Kb Hind III断片水溶液と混
ぜ、エタノール沈澱の後、連結反応用バツフアー(実施
例2を参照)10μに溶解させる。2ユニツトのT4−DN
Aリガーゼを加え、11℃、12時間反応させて、ハイブリ
ツドDNAを得る。 大腸菌DH1株の形質転換は、通常のCaCl2法〔M.V.ノーガ
ード,K.キーン,J.モナハム:ジーン3巻279ページ(197
8)(M.V.Norgard,K.Keen,J.Monaham:Geme,3,279(197
8))参照〕の改良法で行なつた。すなわち、5mlのL培
地(1%トリプトン,0.5酵母エキス,0.5%NaCl,pH7.5)
に大腸菌DH−1株の18時間培養基を接種し、600nmにお
ける光学密度0.3まで生育させる。菌体を冷たいマグネ
シウム・バツフアー〔0.1M NaCl−5mM MgCl2−2mM Tris
−HCl(pH7.6,0℃)〕中で2回洗い、2mlの冷したカル
シウム・バツフアー〔100mM CaCl2−250mM KCl−5mM Mg
Cl2−5mMTris−HCl(pH7.6,0℃)〕中に再懸濁させ、0
℃で25分間放置する。次に菌体をこの容量の1/10量のカ
ルシウム・バツフアーの中に再懸濁し、ハイブリツドDN
A水溶液と2:1(vol.:vol.)混合する。この混合物を60
分間,0℃で保つた後、1mlのLBG培地(1%トリプトン,
0.5%酵母エキス,1%NaCl,0.08%グルコース,pH7.5)円
を添加し、37℃で1時間培養する。培養液を、選択培地
(アリピシリン30μg/mlを含むL培地プレート)に100
μ/プレートで接種する。プレートを37℃で1晩培養
して、形質転換株を生育させる。得られたコロニーよ
り、公知の方法を用いてDNAを調製し、アガロースゲル
電気泳動により、目的のハイブリツドDNAを確認した。
かくしてpBR322のHind IIIサイトにVκ−Jκ遺伝子を
含む6.5KbのDNA断片をクローニングしpYN−MLV1及びpYN
−MLV2を作成した。 第10図のVκ−Jκ遺伝子を含むBamHI(A−1)−Hin
d III(A−2)断片のHind III(A−2)がpBR322のE
coRサイト寄りに連結されたものがpYN−MLV1、その逆オ
リエンテーシヨンのものがpYN−MLV2である。 またpYN−MLV1を実施例4に準じてBamHI,及びPst Iで消
化し、0.7%アガロース電気泳動の後エレクトロエリユ
ーシヨンを行う事により第10図のBsmHl(A−1)−Pst
I(A−3)のDNA断片を得た。一方PUC18ベクター(ピ
ーエルバイオケミカルズ製)を同様にBamH I及びPst I
で切断し、約2.7Kbの線状ベクター断片を取得した。こ
の二つのDNA断片を実施例2に準じて連結し、大腸菌E.c
oli JM103株を前記DH1株と同様に処理する事により形質
転換株を生育せしめた。その後公知の方法により形質転
換株よりプラスミドDNAを調製し、アガロース電気泳動
により目的の組み換えプラスミドを確認した。かくし
て、実施例3でクローニングされた遺伝子の一部、すな
わち第10図に示すBamHI(A−1)Pst I(A−3)を含
むpUC18組換えプラスミドpYN−MLVBPを得た。 実施例6(塩基配列の決定) 実施例5記載のpYN−MLV1を実施例4に準じてBamHIとPs
t Iで切断し、第10図のBamHI(A−1)とPst I(A−
3)切断部位で挟まれたDNA断片を得た。また同様にBg/
IIとPst Iで切断し、第6図のPst I(A−3)とBgl II
で挟まれた約1.5KbのDNA断片を得た。これらのDNA断片
をBamHI及びPst Iで切断したM13mp18(ピーエルバイオ
ケミカルズ製)にクローニングした。塩基配列決定はM1
3シークエンシングキツト(宝酒造)と〔α−32P〕dCTP
(アマーシヤム社製)を用いジデオキシチエーンターミ
ネーシヨン法で行つた〔高浪満,大井龍夫編「DNAシー
ケンス解析マニユアル」(1983)講談社参照〕。 BamHI(A−1)−Pst I(A−3)断片についてはPst
I側から5′方向に、Pst I(A−3)−Bgl II断片につ
いてはPst I側から3′方向に塩基配列決定を行つた。
更にプラスミドpYN−MLVBPを実施例4に準じてRsa IとP
st Iで切断して約0.65KbのDNA断片を得、M13mp19(ピー
エルバイオケミカルズ製)フアージをSma I及びPst Iで
切断したものにクローニングしRsa Iから3′方向に塩
基配列を決定した。Sma I消化は10mM Tris−HCl(pH8.
0),7mM MgCl2,20mM KCl,7mM2−メルカプトエタノール
水溶液中で37℃,2時間行い、その後NaCl濃度を50mMにし
た上Pst Iで消化を行つた。 またプラスミドpYN−MLVBPを実施例4に準じてRst IとD
ra I、及びDra IとPst Iで切断し、生成したDNA断片を
分画した。分画には2mm厚,590アクリルアミド垂直ゲル
を用いた〔高木康孝編「遺伝子操作実験マニユアル」
(1982)講談社参照〕。Rst IとDra I切断では約0.3Kb,
Dra IとPst I切断では約0.4KbのDNA断片を得、前者は13
mp18をSma I消化し実施例5に準じて脱燐酸処理を行つ
たもの、後者はM13mp19をSma IとPst Iで消化したもの
に連結反応を行い、第10図のRsa I−Dra I及びDra I−P
st I(A−3)切断部位で囲まれるDNA断片の挿入され
た組換えフアージを得、前述の如く塩基配列の決定を行
つた。Rsa I−Dra I断片についてはDra Iから5′方
向、Dra I−Pst I断片についてはDra Iから3′方向に
それぞれ行つた。 各々の結果を連結してまとめたものを第8図に示す。 実施例7(ヒト染色体DNAの単離) ヒト培養細胞ARH77株3×108個をガラス棒でつぶし、2
%SDS存在下、プロテアーゼK(シグマ社製)で処理し
た後、10mM Tris−HCl(pH8.0)−1mM EDTA水溶液で飽
和したフエノールを加えた。遠心分離により水相とフエ
ノール層を分離(フエノール抽出)、水相を20mM Tris
HCl(pH7.5)−100mM NaCl−5mM EDTA水溶液に対して透
析した。リボヌクレアーゼA(シグマ社製)処理をし、
フエノール抽出を行なつた後、水相を10mM Tris−HCl
(pH8.0)−1mM EDTA水溶液に対して透析し、ヒト染色
体DNA約1.2mgを取得した〔実施例1記載のブラインとス
タフオードの報告参照〕。 実施例8(ヒト遺伝子ライブラリーの作成) 実施例7で得られたヒト染色体DNAを後述の実施例10に
示した方法に準じて制限酵素EcoR I(宝酒造)で切断し
た後、アガロースゲル電気泳動を行ない、2Kb〜3Kbに相
当するDNA断片をエレクトロ・エリユーシヨン法を用い
て回収した。次にこのDNA断片のλgtWESλBベクター
(アマーシヤム社製)との連結を、実施例2に準じて行
ない、λgtWESλBベクターの右のアームと左アームと
の間にヒト由来のDNAが挿入されたハイブリツドDNAを得
た。得られたハイブリツドDNAについて、in vitroパツ
ケージングを行ない、ヒト遺伝子ライブラリー(アマー
シヤム社キツトを使用)とした。 実施例9(ヒト免疫グロブリンK鎖遺伝子のスクリーニ
ング) 前記実施例2で得られたヒト由来のDNAを含むλgtWESλ
Bフアージの集合(遺伝子ライブラリー)を大腸菌LE39
2株に感染させ、プラークを形成させた。ヒト免疫グロ
ブリンΚ鎖遺伝子を含むクローンは実施例3に準じて32
P標識マウスCκ遺伝子をクロスハイブリダイゼーシヨ
ンプローブとして用い選択した。ヒト免疫グロブリンΚ
鎖遺伝子を含むλGTweλBフアージからのDNAの調製
は、実施例3に準じて行つた。 実施例10(ヒトK鎖C領域遺伝子の制限酵素地図の作
成) 実施例9で得られたヒトK鎖遺伝子を含むフアージDNA
及び後述する実施例11に準じてプラスミドにリクローニ
ングしたDNA1μgを制限酵素切断用バツフアー〔EcoR I
切断ではTris−HCl(pH7.5)50mM,MgCl27mM,NaCl100mM,
2−メルカプトエタノール7mM,AccI切断ではTris−HCl
(pH7.5)10mM,MgCl27mM,NaCl60mM,2−メルカプトエタ
ノール2mM,Sac I切断ではTris−HCl(pH8.0)10mM,MgCl
27mM,2−メルカプトエタノール7mM水溶液をそれぞれ用
いた〕20μに溶解させ、制限酵素(宝酒造製)2ユニ
ツトを添加して37℃,1時間以上消化を行つた。その後実
施例4に準じて電気泳動を行い制限酵素切断地図を作成
した〔P.A.ヒーター,E.E.マツクス,J.G.シードマン,J.
V.マイゼルJr,P.レーダー:セル22巻+197ページ(198
0)(P.A.Hieter,E.E.MaX,J.G.Seidman,J.V.Maizel,J
r.,P.Leder:Cell22 197(1980))参照〕。 ヒト免疫グロブリンΚ鎖のC領域を含む遺伝子の制限酵
素切断地図を第11図に示した。 実施例11(ヒト免疫グロブリンΚ鎖C領域遺伝子のサブ
クローニング) ヒト免疫グロブリンΚ鎖C領域を含むλgtWESλBフア
ージDNA3μgを実施例10の方法に準じてEcoRIで切断
し、アガロース電気泳動を行つた。Cκ遺伝子を含む2.
6KbのDNA断片をエレクトロエリユーシヨン法を用いてア
ガロースゲルより回収した。一方大腸菌用プラスミドpB
R3221μgを実施例10に準じてEcoR Iで切断したものに
対し、実施例5に準じてアルカリ性フオスフアクターゼ
処理を行つた。このようにして得られたpBR322のEcoR I
切断/アルカリ性フオスフアクターゼ処理DNAをゲルよ
り回収した2.6Kb EcoR IDNA断片を混合し、エタノール
沈澱の後連結反応用バツフアー(実施例2参照)10μ
に溶解させ、実施例5に準じてT4DNAリガーゼで連結し
た。 実施例5に準じて大腸菌E.coli DHIを形質変換し、プラ
スミドDNAを調製して目的のハイブリツドDNAを確認し
た。 実施例12(マウス・ヒト・キメラ抗体遺伝子の作製) 施施例5で得られた、マウス免疫グロブリンΚ鎖V−J
領域遺伝子を含むpYN−MLV1を、実施例4及び10の方法
に準じてBamH I及びEcoR Iで切断し、アガロースゲル電
気泳動を行なつた。得られたVκ−Jκ遺伝子を含む4.
2KbのEcoR I−BamH I断片を、実施例5と同様な手法に
より、pSV2neoベクター〔P.J.サザン,P.バーグ:ジヤー
ナルオブモレキユラーアンドアブライドジエネテイツク
ス1巻,327ページ(1982)(P.J.Southern,P.Berg:J.Mo
l.Appl.Genet.1 327(1982))参照〕のEcoR I−BamH
I間に挿入し、プラスミドpSV2neo−MLVを作成した。こ
れを第8図に示す。 次に、実施例11で得られた、ヒト免疫グロブリンΚ鎖C
領域遺伝子を含むpYN−HCLを、実施例10の方法に準じて
EcoR Iで切断し、アガロースゲル電気泳動を行なつた。
得られたCκ遺伝子を含む2.6KbのDNA断片を、実施例11
と同様な手法を用いて、上記プラスミドpSV2neo−MLVの
EcoR Iサイトに挿入した。得られたクローンのうち、ヒ
トCκ遺伝子を含むEcoR I(B−1)−EcoR I(B−
2)の断片のEcoR I(B−1)がマウスVκ−Jκ遺伝
子側に連結されたもの(マウスVκ−Jκ遺伝子とヒト
Cκ遺伝子の読み取り方向が一致しているもの)を選択
し、このプラスミドをpSV2neo−MHLと名付けた。これを
第13図に示す。 一方、特開昭60−120991号公報に記載のヒト免疫グロブ
リンγ1鎖遺伝子を含むプラスミドpTJ3を、実施例10記
載の方法に準じてMluI及びHpa Iで切断した。但し切断
用バツフアーとしてはTris HCl(pH7.5)10mM,MgCl27m
M,NaCl150mM,2−メルカプトエタノール7mM水溶液を用い
た。Mlu Iで切断後エタノール沈澱によりDNAを回収した
後、切断用バツフアーTris−HCl(pH7.5)10mM,KCl100m
M,MgCl27mM,2−メルカプトエタノール7mM水溶液を用い
てHpa I切断を行つた。アガロースゲル電気泳動によ
り、約0.9Kbのヒトγ1鎖遺伝子エンハンサー領域を含
むMlu I−Hpa I断片を得た。このDNA断片をポリメラー
ゼ用バツフアー(37mMリン酸カリウム,6.7mM MgCl2,1mM
2−メルカプトエタノール,pH7.4)に溶解し、dNTP存在
下でDNAポリメラーゼ・クレノウ(klenow)・フラグメ
ント(ニユー・イングランド バイオラブズ)を加える
ことにより、末端の平滑化を行なつた。さらに、T4−DN
Aリガーゼを用いてこの両端にBamH Iリンカー(宝酒
造)を連結した後、BamH Iで切断し、アガロースゲル電
気泳動により約0.9Kbのヒトγ1鎖遺伝子エンハンサー
領域を含む両端がBamH I断片を得た。このDNA断片を上
記プラスミドpSV2neo−MHLのBamH Iサイトに挿入し、挿
入オリエンテーシヨンのそれぞれ異なるプラスミドpSV2
neo−MHLEI及びpSV2neo−MHLE−2を作製した。これを
第13図に示す。 実施例13(マウス遺伝子ライブラリーの作成) 実施例1で得られたマウス染色体DNA150μgを実施例10
に示した方法に準じて制限エンドヌクレアーゼEcoR I
(宝酒造製)で完全消化しアガロース電気泳動を行な
い、7K〜9Kbに相当するDNA断片5μgをアガロースゲル
中から電気的に抽出した。 次にこのDNA0.4μgとシヤロン4AベクターEcoR I arm
(アマーシヤム社製)との連結を実施例2に準じて行い
アマーシヤム社のキツト用いて、in vitroパッケージン
グを行ない、マウスNL−1遺伝子のライブラリー8×10
6PFU/μgを得た。 実施例14(マウス抗体H鎖遺伝子のスクリーニング) 前記実施例13で得られたマウスNL−1由来のDNAを含む
シヤロン4Aフアージを大腸LE392株に感染させ、プラー
クを形成させた。マウス抗体H鎖遺伝子含むクローンは
実施例3に準じて32P標識マウス抗体H鎖J遺伝子で選
別した。 この方法によつて、7.9KbのマウスNL−1の全V領域
(5′flanking領域、VDJ及びエンハンサー領域)を含
む遺伝子を単離した。 実施例15(マウス抗体H鎖遺伝子の制限酵素切断地図の
作成) 実施例14のマウスNL−1H鎖DNA遺伝子(7.9Kb,EcoR I断
片)を実施例5に準じてプラスミドpBR322にサブクロー
ニングし、該H鎖遺伝子がEcoR Iサイトに挿入された組
換えプラスミドDNAを公知の方法によつて調製した(pBR
−NL−1−H)。このpBR−NL−1−Hを制限酵素で切
断し、実施例4に準じて電気泳動を行ない制限酵素切断
地図を作成した。BamH I及びHind III切断は実施例4
に、EcoR I切断は実施例10に準じて行なつた。PvuII切
断にはTris−HCl(pH7.5)10mM MgCl27mM,NaCl60mM,2−
メルカプトエタノール7mM水溶液を、EcoRV,SphI切断に
はTris−HCl(pH7.5),NaCl150mM,MgCl27mM,2−メルカ
プトエタノール7mM水溶液をそれぞれ切断用緩衝液とし
て用い、プラスミドDNA1μgに2ユニツトの制限酵素を
加え、37℃で2時間以上反応を行つた。第12図に制限酵
素地図を示した。 実施例16(マウス抗体H鎖VDJ領域のDNA塩基配列決定) 前記PBR−NL−1−Hを制限エンドヌクレアーゼSphI及
びPvu IIで切断し、挿入遺伝子の与えるSphI・Pvu II切
断部位ではさまれる2種類の断片を得た。これらをSph
I及びHinc IIで切断したM13フアージベクターmp18及びm
p19(ピーエルバイオケミカルズ製)にクローニングし
た。シーケンシングはM13シークエンスキツト(宝酒造
社製)を用いて、ジデオキシチエーンターミネーシヨン
法で行つた〔実施例6記載の高浪満・大井龍夫編の文献
参照〕。Sph I/Pvu II断片の5′側断片についてはSphI
サイトから3′方向、Pvu IIサイトから5′方向に、
3′側隣接断片についてはPvuIIサイトから3′方向に
塩基配列を決定した。可変領域のDNA塩基配列を添付第
5図に示した。 実施例17(ヒト抗体H鎖遺伝子定常領域のDNA塩基配列
決定) ヒト抗体H鎖遺伝子定常領域のDNA塩基配列決定はマキ
サム−ギルバート法(Maxam−Gilbert法)〔A.マキサ
ム,W.ギルバート:メソツド イン エンザイモロジー6
5巻,499ページ(1980)(A.Maxam,W.Gilbert,Methods E
nzymol 65 499(1980)〕参照〕により行つた。 特開昭60−145089号公報記載のプラスミドpTJ5をPst I
で消化し、3′端標識キツト(アマーシヤム社製)によ
つて〕α−32p〕ddATPを用いて標識した。32pで標識し
たDNAはSma Iで消化した後ポリアクリルアミドゲル電気
泳動(ゲル濃度5%)により目的のDNA断片を分離し、
ゲルからの抽出を行なつた。得られた32p−標識Pst I/S
ma I断片について、各塩基特異的な部分分解反応を行
い、7M尿素を含むポリアクリルアミドゲル電気泳動(ゲ
ル濃度8%〜23%)で分離した。2〜7日間−80℃でオ
ートラジオグラフイーを行つた後、分解パターンの解析
を行つた。同様に他のDNA断片についても〔α−32P〕dd
ATPを用いた3′端標識あるいは〔γ−32P〕ATPを用い
た5′端標識を行い、化学分解法により同様に塩基配列
を決定した。各結果を連結して得た結果を第2図に示し
た。 実施例18(キメラ抗体遺伝子発現プラスミドpMH1の作
成) 実施例15で得られたpBRNL−1−Hを実施例4及び15に
準じてEcoRV及びBamH Iで切断し、H鎖V領域全域を含
むEcoRV−BamH I断片(約2.7Kb)を実施例4に準じて分
画しエレクトロエリユーシヨンで回収した。 一方、プラスミドベクターpSU2gpt〔R.C.ムリガン,P.バ
ーグ;プロシーデイング オブナシヨナルアカデミー
オブサイエンス オブザ ユナイテツド ステーツ オ
ブ アメリカ78巻2072ページ(1981)(R.C.Mulligan,
P.Berg:Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78 2072(1981))
参照〕を実施例4及び15に準じてBaMH I及びHpa Iで切
断し、Eco gpt遺伝子を含む約5.3Kbの線状ベクター遺伝
子を分離した(この遺伝子を“フラグメント1"と略称す
る)。 先に得たpBR−NL−1−H EcoRV−BamH Iのフラグメント
(約2.7Kb)と前記pSV2−gptのBamH I−HpaIのフラグメ
ント−1(約5.3Kb)とを実施例5に準じてT4−DNAリガ
ーゼで連結し、次いでBamH Iで切断し、NL−1−HのV
領域約2.7Kbを含む線状ベクター遺伝子(約8.0Kb)得、
分離し精製した(このベクター遺伝子を、“フラグメン
ト−2"と略称する)。 一方、特開昭60−1450889号公報記載のヒト免疫グロブ
リンγ1鎖遺伝子全域(約21Kb)を含むプラスミドpSV2
−H IG1を実施例12に準じてMluIで切断し、ヒトエンハ
ンサー及びCγ1を含む約17Kbの断片を得た。この断片
に実施例12に準じてBamH Iリンカー(宝酒造製)を連結
し、両端にBamH Iサイトを付与した(これを“フラグメ
ント−4″と略称する)。 このフラグメント−4と先に得たフラグメント−2とを
T4−DNAリガーゼを用いて連結し、更に大腸菌MC1000を
形質転換してヒトエンバンサー(Eh)を介してV領域が
マウス由来のものでC領域がヒト由来のものであるキメ
ラ抗体遺伝子を得た(この遺伝子を“pMH−1と略称す
る)。上記遺伝子pMH−1を得る系統図を添付第14図に
示した。 実施例19(キメラ抗体遺伝子発現プラスミドpMH−2の
作成) 特開昭60−145089号記載のヒト抗体H鎖遺伝子約21Kbを
含むプラスミドpSV2−H IGIを制限酵素BamH Iで切断
し、ヒトエンハンサー(Eh)及びCγ1を含む約1.4Kb
のフラグメントを常法により得た。このフラグメントを
先のフラグメント−2とT4−DNAリガーゼを用いて連結
した後、大腸菌MC1000に形質転換して、V領域がマウス
由来であり、C領域及びエンハンサーがヒト由来のキメ
ラ抗体遺伝子を得た(この遺伝子を“pMH−2"と略称す
る)。この遺伝子pMH−2を得る系統図を第14図に示し
た。 実施例20(キメラ抗体遺伝子発現プラスミドpMH−3作
成) 実施例15のpBR−NL−1−Hを制限酵素EcoRV,EcoR Iで
切断し、マウスH鎖V領域の全域とマウスエンハンサー
(Em)を含む約4.7Kbのフラグメントを実施例5に準じ
て得た。 次に前記ベクターpSV2−gptをEcoR I,Hpa・Iで切断
し、Ecogpt遺伝子を含む約4.5Kbのフラグメントを得、
分離し精製した。かくして得られたフラグメントと先の
マウスV遺伝子のフラグメント(約4.7Kb)とをT4−DNA
リガーゼを用いて絡結し、次いでEcoR Iで切断し、NL−
1−HのV領域約4.7Kbを含む線状ベクター遺伝子約9.2
Kbを得、これを分離し精製した(これを“フラグメント
−3"と略称する)。 また実施例18記載のようにして得たヒトエンハンサー
(Eh)及びCγ1を含む約17Kbの断片に実施例12に準じ
て、EcoR Iリンカー(宝酒造社製)を連結し両端にEcoR
Iサイトを付与した(かくして得たフラグメントをフラ
グメント−5と略称する)。 このフラグメント−5と前記フラグメント−3とをT4−
DNAリガーゼを用いて連結し、ヒト及びマウスのエンハ
ンサー,マウス由来のV領域,ヒト由来のC領域を有す
るキメラ抗体遺伝子を得た(この遺伝子を“pMH−3"と
略称する)。この遺伝子pMH−3を得る系統図を第14図
に示した。 実施例21(キメラ抗体遺伝子発現プラスミドpMH−4の
作成) 実施例15のpBRNL−1−HをEcoRVで切断した後実施例12
に準じてEcoR Iリンカー(宝酒造製)を連結し、更にEc
oR I及びBamH Iで切断する事によりEcoR V端にEcoR Iリ
ンカーの付着したV領域全域を含む約2.7Kbのフラグメ
ントを得た。 一方、前記ベクターpSV2−gptをEcoR I及びBamH Iで切
断し、Ecogpt遺伝子を含む線状ベクター4.6Kbを得、分
離して精製した。 のベクターと前記EcoR I−BamH I約2.7Kbのフラグメン
トとをT4−DNAリガーゼを用いて連結し、次いでBamH I
で切断し、NL−1−HのV領域遺伝子を含むベクター遺
伝子約7.3Kbを得た(これを“フラグメント−6"と略称
する)。 このフラグメント−6と前記実施例18で得たヒトエンハ
ンサー(Eh)及びCγ1を含むフラグメント−4とをT4
−DNAリガーゼを用いて連結し、次いで大腸菌MC1000に
形質転換し、ヒトエンハンサー(Eh)を介して、マウス
由来のV領域,ヒト由来のC領域を有するキメラ抗体遺
伝子を得た(この遺伝子を“pMH−4"と略称する)。こ
の遺伝子pMH−4を得る系統図を第14図に示した。 実施例22(キメラ抗体遺伝子発現プラスミドpMH−5の
作成) 実施例15のpBR−NL−1−HをBamH I及びEcoR Iで切断
し、マウスエンハンサー(Em)を含む約2Kbのフラグメ
ントを得、分離して精製した。この約2Kbのフラグメン
トを前記実施例20で得たフラグメント−5とをT4リガー
ゼを用いて連結し、次いでBamH Iで切断して、マウスと
ヒトとエンハンサー及びヒトCγ1を有する約13KbのBa
mH Iフラグメントを得た。このBamH Iフラグメントを前
記実施例21で得たフラグメント−6とT4−DNAリガーゼ
を用いて連結し、次いでこれを大腸菌MC1000に形質転換
し、マウスとヒトのエンハンサーを介して、マウス由来
V領域,ヒト由来のC領域を有するキメラ抗体遺伝子を
得た(この遺伝子を“pMH−5"と略称する)。この遺伝
子pMH−5を得る系統図を第14図に示した。 実施例23(キメラ抗体H鎖遺伝子の発現) 前記実施例18〜22で得られたキメラ抗体遺伝子発現プラ
スミドpMH−1〜pMH−5を、実施例5の方法に準じて大
腸菌MC1000に形質転換し得られた形質転換体をアンピシ
リンを含む培地で培養したのち、クロラムフエニコール
によつてプラスミドを増巾した。次にリゾチーム(シグ
マ)処理によつてプロトプラスト化を行なつた。得られ
たプロトプラストを、2×106個のマウスミエローマJ55
8L(λ生産株)及びX63Ag8.653(抗体非生産株)と0.5m
l50%PEG4000中2〜7分細胞融合し、MEM培地(Gibco.G
rand Island,NY)で希釈後、遠心によりPEG4000を除去
した。それぞれの細胞をRPMI1640完全培地(Gibco,Gran
d Island,NY)中で48〜72時間成育させた。J558Lを形質
転換したものについてFITC標識ヤギ抗ヒトIgG(Cappel
Laboratories Inc.)を用いて細胞表面を蛍光染色し、
キメラ抗体遺伝子の発現を調べた結果、発現プラスミド
pMH−1,pMH−2及びpMH−4を組込んだ細胞には強い発
現が認められ、一方、発現プラスミドpMH−3及びpMH−
5を組込んだ細胞には比較的弱い発現が観察された。 また前記発現プラスミドpMH−4をマウスミエローマJ55
8L及びX63Ag8.653にプロトプラスト融合により導入し、
選択培地に移した。選択培地には250γ/mlキサンチン,1
5γ/mlのハイポキサンチン,6γ/mlのmycophenolid acid
を含む。2日間連続してメデイウム交換の後、10〜25日
後mycophenolic acid抵抗性の形質転換体が得られた
(各々J558L−H,X63Ag8.653−Hと称する)。 得られた形質転換体からRNAを抽出し、得られたRNAそれ
ぞれ20μgを用い、マウスVDJ遺伝子を含むプラスミドp
BR−NL−1−HのBamH I−Pvu II断片、及びヒトCγ1
遺伝子の一部を含むプラスミドpSV2−H IGIのPst I−
(2)−Pst I−(3)の断片を32Pで標識し、ノーザン
ハイブリダイゼーシヨン〔T.マニアテイス他着,「モレ
キユラークローニング」コールドスプリングハーバーラ
ボラトリー(1982)(T.Maniatiset a l.“Molecular C
loning"Cold Spring Harbor Lab.(1982))参照〕を行
なつたところ1.7Kbの位置に完全な分泌型H鎖のmRNAに
対応するバンドが観察された。オートラジオグラムを第
15図に示す。 実施例24(キメラ抗体H鎖遺伝子翻訳産物の分析) 実施例23のキメラ抗体H鎖遺伝子で形質変換したJ558L
−H細胞(J558L細胞はλ生産株)107個を燐残緩衝液で
洗滌後メチオニン不含RPMI1640培地(牛胎児血清10%含
有)に懸濁し、300μCiの〔35S〕−メチオニンを加え8
時間培養した。かくして生成した蛋白質を35Sで内部標
識し、培養上清を回収した。上清より生成抗体を抗ヒト
IgG抗体による免疫沈降法で回収し、担体より遊離させ
た後、2−メルカプトエタノールで還元し、H鎖とL鎖
の分離をはかつた。その後試料をSDS−ポリアクリルア
ミドゲル電気泳動で分離し、ゲルを乾燥後オートラジオ
グラフイーをとつた〔電気泳動学会編「電気泳動実験
法」文光堂(1976)参照〕。 導入したキメラH鎖遺伝子の翻訳産物はJ558L内在性λ
鎖遺伝子産物と結合し細胞外に分泌される事が示され
た。オートラジオグラムを第16図に示す。 実施例25(キメラ抗体L鎖の発現) 実施例23のJ558L−H及びX63Ag8.653−Hに実施例12記
載のキメラ抗体L鎖遺伝子を含むプラスミドpSV2neo−M
HLE1及びpSV2neo−MHLE2をDEAE−デキストラン法で導入
した〔J.ベナルジ,L.オルソン,W.シヤフナー:セル33巻
279ページ(1983)(J.Benarji,L.Olson,W.Schaffner:C
ell 33 729(1983))参照〕。即ち107個の細胞に80
μgのプラスミドDNAとDEAE−デキストラン(フアルマ
シア社製)混合物を加え、孵置の後、RPMI1640完全培地
((フローラボラトリー社製)(10%牛胎児血清含有)
に移した。薬剤耐性株はジエネシチン(Geneticin,641
8,ギブコ社製)1〜1.5mg/mlを含むRPMI1640完全培地の
半量交換によつて行つた。10〜20日後、生育してくる細
胞を安定形質変換株とした(J558L−HL,X63Ag8.653−HL
と称する)。 実施例26(キメラ抗体L鎖遺伝子形質転換細胞のmRNA分
析) 実施例25のJ558L−HL及びX63Ag8.653−HLについて各々
の細胞よりRNAを抽出し、実施例23に準じて導入したキ
メラL鎖遺伝子の転写産物についてノーザンハイブリダ
イゼーシヨンにより分析した。キメラL鎖のハイブリダ
イゼーシヨンプローブとしてはV領域プローブとしてpY
N−MLV−1のプラスミド上の図10Pst I(A−3))−H
inc IIに相当するDNA断片、C領域プローブとしてpYN−
HLCのSca I(B−1)−Sca I(B−2)断片を、それ
ぞれ32Pにて標識して用いた。第17図に示す如くいずれ
のプローブを用いた場合にも同じ位置にバンドが出現し
た。 実施例27(キメラ抗体L鎖翻訳生成物のSDS−ポリアク
リルアミドゲル電気泳動による分析) 実施例25のX63Ag8.653−HL107個を燐酸緩衝液で洗滌後
メチオニン不含RPMI−1640培地(牛胎児血清10%含有)
に懸濁し、300μCiの〔35S〕−メチオニンを加え8時間
培養した。かくして生成した蛋白質を35Sで内部標識
し、培養上清を回収した。上清より生成抗体を抗ヒトIg
G抗体による免疫沈降法で回収し、担体より遊離させた
後2−メルカプトエタノールで還元し、H鎖とL鎖の分
離をはかつた。その後試料をSDS−ポリアクリルアミド
ゲル電気泳動で分離し、ゲルを乾燥後オートラジオフイ
ーをとつた〔電気泳動学会編「電気泳動実験法」文光堂
(1976)参照〕。H鎖とともにΚ鎖の蛋白の生成が認め
られた(第18図)。この結果は導入したキメラ抗体Κ鎖
が予め導入したキメラ抗体H鎖(γ1)と結合して分泌
されている事を示している。 実施例28(キメラ抗体分子の抗原結合特異性検定) キメラ抗体遺伝子H鎖及びL鎖で形質変換を行つた実施
例24に記載したX63Ag8.653−HL(親細胞X63Ag8.653は抗
体非生産株)をRPMI1640完全培地にて培養し、培養上清
を用いて生成したキメラ抗体の抗原結合特異性を検定し
た。標的細胞としてはヒト急性リンパ球性白血病共通抗
原を発現しているモンカ細胞を用いた。モンカ細胞をRP
MI1640完全培地で培養し、その1×106個を集め、燐酸
緩衝液で洗滌後、前述の如く培養したX63Ag8.653−HLの
培養上清1mlを加え、氷上で30分間反応させた。未吸着
の抗体を洗滌除去後、キメラ抗体の結合したモンカ細胞
をFITC標識ヤキ抗ヒトIgG1抗体で蛍光染色した。しかる
後蛍光顕微鏡にて検鏡したところ、X63Ag8.653−HL培養
上清で処理したモンカ細胞は蛍光を発し、X63Ag8.653−
HL培養上清中に含まれるキメラ抗体がモンカ細胞に結合
する事、即ち所期のヒト急性リンパ球性白血病共通抗原
に対し、特異性をもつことが明らかとなつた。J558L−H
L培養上清でも同様の結果が得られた。X63Ag8.653,J558
L,もしくはキメラ抗体H鎖のみで形質転換した実施例22
記載のJ558L−H及び63Ag8.653−Hでは反応は陰性であ
つた。 また蛍光顕微鏡観察を同様に処理したモンカ細胞をFITC
の蛍光を指標としてフローサイトメトリー(コールター
社製EPICS−Vによる)で分析したところ、J558L−HLや
X63Ag8.653−HLの培養上清をつかつた時には陽性の反応
が、J558L,X63Ag8.653,J558−H,X63Ag8.653−Hの培養
上清を使つた時反応は陰性であつた。X63Ag8.653−HLの
結果を第19図に示す。 実施例29(補体依存細胞障害試験) 抗体のIgGは補体活性化を通じて標的細胞の障害をひき
おこすことが知られている〔E.J.ブラウン,K.A.ジヨイ
ナー,M.M.フランク「補体」:W.E.ポール編「フアンダメ
ンタルイムノロジー」ラバンプレス(1984),645ページ
(E.J.Brown,K.A.Joiner,M.M.Frank,“Complement":in
W.E.Paul Ed,“Fundamenta l Immunology,Raven Press
(1984)p645)参照〕。該キメラ抗体についても51Cγ
で標識したモンカ細胞を用い本活性を検討した。 キメラ抗体は実施例25記載の形質転換細胞X63Ag8.653−
HLをRPMI1640完全培地で培養し、その培養上清約70mlよ
りプロテインAセフアロースを用いて回収し実験に供し
た。 一方、107個のモンカ細胞を51Cγ−クロム酸(日本原子
力研究所製)100μCiを含むRPMI160完全培地と37℃に1
時間保ち51Cγで標識した〔日沼州司,多田正人,熊谷
勝男「51Cγ標識細胞を用いた抗体依存性細胞中介性細
胞障害の測定」免疫実験操作法VIII巻2433ページ(197
9)日本免疫学会刊参照〕。 残余の51Cγ−クロム酸を洗滌流去の後、キメラ抗体と
補体(ウサギより調製)と混合し、30〜60分間おくこと
により上清中に遊離してくる51Cγの量で細胞障害活性
とした。該キメラ抗体と補体を加える事により51Cγ遊
離率(細胞障害率)は84%であつた。一方該キメラ抗体
のみでは9.0%,補体のみでは22%であり、キメラ抗体
の補体依存細胞障害活性が認められた。 実施例30(抗体依存細胞媒介細胞障害(ADCC,Antibody
−dependent cell−mediated Cytotoxicity)活性試
験) 抗体依存細胞媒介細胞障害活性試験(以下ADCC試験と略
称する)はヒトエフエクター細胞及び抗体の存在下に於
けるManca細胞に対する障害活性によつて測定した〔I.
ヘルストロム,V.ブラン〕バン,K.E.ヘルスロム,プロシ
ーデイングオブザナシヨナルアカデミーオズサイエンス
オブザユナイテイツドステーツオブアメリカ82巻1499ペ
ージ(1985)(I.Hellstrm,V.Brankovan,K.E.Hellstr
m,Proc.Natl.Acad,Sci.USA 82 1499(1985))参
照〕。 2×106個のモンカ細胞を実施例29に準じて100μCi〔51
Cγ〕−クロム酸で標識し、1回のADCC試験にその2×1
04個を用いた。 エフエクター細胞は健康人末稍血よりリンパ球分離液
(ビオネテイツクスラボラトリープロダクツ(Bionetic
s Laboratory Produccs)製)用いて分離した。 実施例25記載のX63Ag8.653−HL形質転換細胞及び陽性対
称試験用とてはマウスハイブリードーマNL−1をRPMI16
40完全培地で培養し、1回の実験には上清約500μに
含有される抗体を用いて行つた。 2×104個の標識Manca細胞と106個のヒトエフエクター
細胞及び抗体溶液50μを混合し、5%CO2雰囲気で37
℃6時間孵置し、上清中への51Cγの遊離をもつて活性
とした。別にManca細胞のみを並行して孵置し、51Cγ遊
離値を空試験値として実験結果より控除した。この空試
験値は9〜12%であつた。3回の測定値の平均をもつて
結果とした。 X63Ag8.653−HLの生産する該ヒトマウスキメラ抗体を使
つた場合の活性は24.5%,陽性対称試験用のNL−1マウ
ス抗体を使つた場合には13.8%であつた。一方、抗体を
加えない場合の値は2.3%,ヒトエフエクター細胞を加
えない(該ハイブリツド抗体のみ)場合は0.9%であつ
た。 実施例31(実験動物を用いた治療実験) 107個のモンカ細胞を、Ba lb/cヌード・マウス(九動→
kyudo)の背皮下に接種すると、約2〜3週間で適当な
大きさの腫瘤の形成が観察される。このようにして得ら
れた担癌マウスを用いて、以下の治療実験を行なつた。 実施例29の方法で調製したキメラ抗体を、上記担癌マウ
ス一匹あたり約20μgの割合で、腫瘤局所に直接注射し
たところ、投与後約2週間で、癌組織中に大きく壊死巣
が広がっているのが明確に観察された。また、腫瘤全体
の大きさを比較した場合にも、非特異的マウス抗体を投
与した対称実験の結果に比して、キメラ抗体を投与した
マウスの腫瘤の大きさの方が小さくなつており、キメラ
抗体を癌の局所に投与した場合の有効性が示された。 また、実施例29の方法で調製したキメラ抗体の、上記担
癌マウス腹腔内への連続投与を行ない、全身投与法の有
効性の検討を行なつた。約400μg/匹の割合で、初日,3
日目,8日目,及び21日目の4回連続投与により、癌の増
殖の抑制が観察され、キメラ抗体の全身投与の有効性が
明らかとなつた。第20図に、非特異的マウス抗体を用い
た対称実験の結果と合わせて、キメラ抗体の全身投与に
よる治療実験の結果を示す。
キメラDNA配列、そのDNA配列が組み込まれたプラスミド
及びそのプラスミドが導入された細胞に関するものであ
る。更に詳しくは、ヒト急性白血病リンパ腫共通抗原と
特異的に反応するマウス−ヒトキメラ抗体及びそれに関
連する一連の発明に関するものである。 b.従来技術 一般に免疫グロブリン遺伝子は、H鎖(Heavy Chain)
とL鎖(Light Chain)とから構成され、それぞれは抗
原と特異的に結合する機能を有するV領域(可変領域)
とイフエクター機能を有するC領域(定常領域)とを有
している。 一方マウスの抗体におけるH鎖及びL鎖の遺伝子に関し
てそれらのV領域とC領域の両領域に含まれる種々の遺
伝子単位をはじめ、プロモーター,エンハンサーなどの
種々の機能を有する単位の存在が明らかにされ、その一
部はDNA配列が明らかにされている。 一方、最近になつてモノクローナル抗体の技術が進歩
し、病態の診断,制御,予防等の免疫学的診断及び治療
への応用が期待されている。かかるモノクローナル抗体
の利用においてはヒト抗体を用いるのが最適である。し
かしヒトの場合にはマウスのハイブリドーマ生産技術ほ
どモノクローナル抗体製造技術は進んでおらず、各種の
特異性をもつた抗体を得るには制限が多く、この免疫学
的診断,治療には多くの制約がある。この困難さを克服
する一つの手段としてヒト抗体に酷似していてヒト体内
で異物として認識される事の少い抗体を人為的に創製
し、この抗体を免疫学的診断,治療に利用する事が考え
られる。このような抗体として最近マウスの或る種の抗
体のV領域とヒト抗体のC領域とからなるキメラ抗体が
提案されている(特開昭60−155132号公報参照)。 そこで本発明者の一部は、上記のような観点からヒトの
免疫学的診断及び治療に応用可能な新規キメラ抗体を創
製することを目的として研究を行つたところ、 (a) マウス抗体H鎖V領域のアミノ酸配列と (b) ヒト抗体H鎖C領域のアミノ酸配列 とからなりヒト急性白血病リンパ腫共通抗原に特異的に
反応するマウス−ヒトキメラ抗体H鎖を見出し先に提案
した(特願昭61−41983号明細書参照;昭和61年2月28
日付出願)。 本発明者は、前記マウス−ヒトキメラ抗体H鎖の創製に
続いて、マウス−ヒトキメラ抗体L鎖を取得すべく、更
に研究を進めたところ、 (i) マウス抗体L鎖V領域のアミノ酸配列と (ii) ヒト抗体L鎖C領域のアミノ酸配列 とからなり、ヒト急性白血病リンパ腫共通抗原と特異的
に反応し得るマウス−ヒトキメラ抗体L鎖を得ることが
でき既に提案した。 そこで本発明者は、前述の研究を更に進展させて、抗体
のH鎖及びL鎖の双方を含む完全キメラ抗体を得るべく
研究を重ねた。 c.発明の目的 本発明の目的は、ヒト急性白血病リンパ腫共通抗原と特
異的に反応するマウス−ヒト完全キメラ抗体を提供する
ことにある。 本発明の他の目的は、前記キメラ抗体をコードする発現
型のキメラDNA配列を提供することにある。 本発明の更に他の目的は、かゝる発現型のキメラDNA配
列を組み込んだプラスミド及びそのプラスミドを導入し
た細胞を提供することにある。 本発明の更に他の目的は以下の説明から一層明らかとな
るであろう。 d.発明の構成 本発明によれば、前記本発明の目的は、 (a) H鎖及びL鎖におけるV領域がマウス由来のア
ミノ酸配列であり、 (b) H鎖及びL鎖におけるC領域がヒト由来のアミ
ノ酸配列であつて、かつ (c) ヒト急性白血病リンパ腫共通抗原と特異的に反
応する。 ことによつて特徴付けられるマウス−ヒトキメラ抗体を
提供することによつて達成される。 ヒト急性白血病リンパ腫共通抗原は、各種の白血病リン
パ腫患者の血中にみられる抗原であり、前記本発明によ
つて提供されるマウス−ヒトキメラ抗体は、この共通抗
原に特異的に反応し且つヒトに対し異物として認識され
ることの少ないかされ難い抗体であるから、ヒト急性白
血病リンパ腫患者の免疫学的診断及び治療に極めて寄与
するものである。 以下本発明について更に詳細に説明する。 本明細書において、アミノ酸,ポリペプチドはIUPAC−I
UB生化学委員会(CBN)で採用された方法により略記す
るものとし、たとえば下記の略号を用いる。 Ala L−アラニン Arg L−アルギニン Asn L−アスパラギン Asp L−アスパラギン酸 Cys L−システイン Gln L−グルタミン Glu L−グルタミン酸 Gly グリシン His L−ヒスチジン Ile L−イソロイシン Leu L−ロイシン Lys L−リジン Met L−メチオニン Phe L−フエニルアラニン Pro L−プロリン Ser L−セリン Thr L−スレオニン Trp L−トリプトフアン Tyr L−チロシン Val L−バリン また、DNAの配列はそれを構成する各デオキシリボヌク
レオチドに含まれる塩基の種類で略記するものとし、た
とえば下記の略号を用いる。 A アデニン(デオキシアデニル酸を示す。) C シトシン(デオキシシチジル酸を示す。) G グアニン(デオキシグアニル酸を示す。) T チミン(デオキシチミジル酸を示す。) 本発明のマウス−ヒトキメラ抗体は、V領域がH鎖及び
L鎖共にマウス由来のものであり、そのアミノ酸配列が
ヒト急性白血病リンパ腫共通抗原に対して特異的に反応
するマウス抗体に由来するものである。具体的にはH鎖
のV領域におけるアミノ酸配列は添付第1図に示された
アミノ酸配列であることができる。さらにL鎖のV領域
におけるアミノ酸配列は添付第3図に示されたアミノ酸
配列中1番目(Glu)から97番目(Leu)までの配列を少
くとも含んでいればよく、また1番目(Glu)から109番
目(Arg)までの配列であつてもよい。 また本発明のマウス−ヒトキメラ抗体において、C領域
のヒト由来のアミノ酸配列が、L鎖はヒト抗体のK鎖に
由来するものであり、且つH鎖はヒト抗体のCr1鎖に由
来するものであることができる。C領域のH鎖は具体的
には添付第2図のアミノ酸配列であることができ、また
L鎖は具体的には添付第4図のアミノ酸配列であること
ができる。 本発明によれば、更に前記マウス−ヒトキメラ抗体のア
ミノ酸配列をコードしたキメラDNA配列が提供される。
このキメラDNA配列の具体的な配列としては以下に示示
すものであることができる。このDNA配列は、理解を容
易にするためにH鎖におけるマウス−ヒトキメラDNA配
列とL鎖におけるマウス−ヒトキメラDNA配列とのそれ
ぞれについて分けて説明する。 I 抗体H鎖におけるマウス−ヒトキメラDNA配列 このキメラDNA配列は、本発明者らの一部が先に提案し
た特願昭61−41983号明細書に記載されたキメラDNA配列
と同じものであることができる。 すなわち、H鎖のV領域におけるマウス由来のアミノ酸
配列をコードするDNA配列は第6図に示すDNA配列及びそ
の相補鎖を具体的配列として示すことができる。この第
6図に示されたH鎖V領域のアミノ酸配列をコードする
DNA配列は、同第6図に示されているようにV遺伝子,D
遺伝子及びJ1遺伝子のそれぞれをコードしているV−セ
グメント,D−セグメント及びJ1−セグメントより構成さ
れている。 H鎖のC領域におけるヒト由来のアミノ酸配列をコード
するDNA配列の具体例は、第7図−(1)及び第7図−
(2)に示すような配列及びその相補鎖である。このC
領域におけるDNA配列は、第7図に示されるように、C
H1−セグメント,ヒンジ(h)−セグメント,CH2−
セグメント及びCH3−セグメントより構成される。 上記したH鎖におけるV領域のDNA配列(マウス由来)
とC領域のDNA配列(ヒト由来)とから抗体H鎖マウス
−ヒトキメラDNA配列が形成されるが、このDNA配列にお
いて、ヒトエンハンサーDNA配列、殊にヒト抗体H鎖の
エンハンサーDNA配列を結合させることにより高効率の
発現型のマウス−ヒトキメラDNA配列となる。このヒト
エンハンサーDNA配列は、如何なる位置に結合させても
よいが、望ましくはV領域のDNA配列とC領域のDNA配列
の間に位置することである。 前記ヒトエンハンサーDNA配列は、添付第5図に示され
る配列及びそれに相補的なDNA配列を具体的に示すこと
ができる。このヒトエンハンサーDNA配列には更にマウ
スエンハンサーやマウス由来もしくはヒト由来のイント
ロンが含まれていても差支えない。 II 抗体L鎖におけるマウス−ヒトキメラDNA配列 このL鎖におけるキメラDNA配列は、本発明者が最近提
案した抗体L鎖発現型DNA配列と同じものであることが
できる。 すなわち、このL鎖発現型キメラDNA配列は、 (a) マウス抗体L鎖におけるV領域のDNA断片 (b) ヒト抗体L鎖におけるC領域のDNA断片及び (c) ヒト抗体H鎖由来のエンハンサーDNA断片 よりなる配列である。 この発現型キメラDNA配列は、ヒト抗体H鎖由来のエン
ハンサーDNA配列を含んでいる。このヒトエンハンサーD
NA配列は、ヒト抗体のH鎖中に存在するエンハンサー機
能を有する配列であればよく、例えばヨーロッパ特許第
146743号明細書に開示されたエンハンサーDNA配列を使
用することができる。殊に添付第5図に示されたDNA配
列及びそれに相補的なDNA配列を使用することができ
る。ヒトエンハンサーDNA配列は、前記抗体L鎖発現型D
NA配列中に含まれていればよく、その位置は問わない。
すなわち、抗体L鎖遺伝子において、V領域のDNA配
列、C領域のDNA配列と並ぶDNA配列上でV領域のDNA断
片とC領域のDNA断片の間に位置していてもよくまた該
V領域のDNA断片の5′−側或いは、C領域のDNA断片の
3′−側のいずれに位置していてもよい。 さらに前記L鎖発現型キメラDNA配列には、プロモータ
ーや他の機能を有するDNA配列やイントロンが含まれて
いても差支えない。 本発明の前記マウス−ヒト型のキメラ抗体L鎖発現型DN
A配列は、そのV領域のDNA配列には、本発明者が見出し
先に提案した抗ヒト急性白血病リンパ腫共通抗原抗体を
産生するマウスハイブリドーマにおけるL鎖のV領域の
アミノ酸配列を少くともコードするDNA配列を含んでい
る。このL鎖のV領域のアミノ酸配列を少くともコード
しているDNA配列としては、添付第3図に示したアミノ
酸配列において、1番目(Glu)から97番目(Leu)まで
のアミノ酸配列を少くともコードしているものでもよ
く、また1番目(Glu)から109番目(Arg)までのアミ
ノ酸配列を少くともコードしているものであつてもよ
い。添付第3図のアミノ酸配列において1番目(Glu)
から97番目(Leu)までの配列は前記ハイブリドーマに
おける抗体のL鎖のV領域のアミノ酸配列であり、また
1番目(Glu)から109番目(Arg)までの配列は同L鎖
のV領域とJ領域のアミノ酸配列である。 前記V領域のアミノ酸配列(1番目〜97番目)を少くと
もコードしているDNA配列としては、添付第8図の579番
目(G)から869番目(C)までのDNA配列であることが
でき、またV領域とJ領域を少くともコードしているDN
A配列としては、添付第8図の579番目(G)から第905
番目(T)までのDNA配列であることができる。 さらに前記V領域のアミノ酸配列を少くともコードして
いるDNA配列としては、同第8図において562番目(T)
から905番目(T)までのDNA配列であつてもよく、また
340番目(A)から905番目(T)までのDNA配列である
ことができ、また230番目(T)から905番目(T)まで
のDNA配列であつてもよい。 本発明の抗体L鎖発現型キメラDNA配列を構成する抗体
L鎖におけるC領域のDNA断片としては、ヒト抗体K鎖
由来のものであるのが好ましい。またかゝるC領域のDN
A断片として、添付第4図のアミノ酸配列を少くともコ
ードしているDNA配列であることができ、特にそのDNA配
列としては、添付第9図のDNA配列を一つの具体的例と
して挙げることができる。 以上説明した本発明の抗体H鎖のマウス−ヒトキメラDN
A配列及び抗体L鎖のマウス−ヒトキメラDNA配列は、そ
れぞれを別々にベクタープラスミドに組み込み、組み換
えプラスミドを得、次いで得られたプラスミドを別個の
宿主動物細胞に導入して形質転換細胞としこれ培養する
ことによつて、マウス−ヒト抗体H鎖及びマウス−ヒト
抗体L鎖を別個に得て、それらを再構築して本発明のマ
ウス−ヒトのキメラ完全抗体とすることができる。また
前記抗体H鎖マウス−ヒトキメラDNA配列と抗体L鎖の
マウス−ヒトキメラDNA配列をそれぞれ別のプラスミド
に組み込み組み換えプラスミドを得、次いで得られたプ
ラスミドを用いて順次同一の宿主動物細胞に導入して形
質転換を行ない、両者で形質転換された細胞を得、これ
を培養することによつて目的とするマウス−ヒトのキメ
ラ完全抗体を発現させることもできる。 しかし前記した抗体H鎖のマウス−ヒトキメラDNA配列
と抗体L鎖のマウス−ヒトキメラDNA配列とをそれ自体
公知の方法で同じベクタープラスミド中へ組み込み、組
み換えプラスミドとし、これを宿主動物細胞へ導入して
目的とするマウス−ヒトのキメラ完全抗体を発現させる
こともできる。 いずれの場合であつても、キメラDNA配列の発現に使用
し得るベクタープラスミドとしては、種々のものが挙げ
られるが、例えばPSV2gpt,PSV2neo,PKSV−10などのプラ
スミドが適当である。 かくして調製された組み換えプラスミドは、それ自体公
知の例えばプロトプラスト法〔免疫実験操作法XIII4533
頁,日本免疫学会編,(1984)参照〕或いはDEAE−デキ
ストラン法〔セル(Cell)第33巻729頁(1983)参照〕
などの方法による宿主動物細胞、例えばマウスミエロー
マ(例えばJ558L,NS−1,X63Ag8,653など)に導入し形質
転換細胞を得る。得られた形質転換細胞を培養すること
により培養物中に目的とする抗体を蓄積させることがで
き、この培養物から抗体を分離,回収することができ
る。 かくして本発明によつて得られたマウス−ヒトキメラ抗
体は、ヒト急性白血病リンパ腫患者の診断,発見に使用
し得るのみならず、そのまま或いは抗癌剤と結合させて
ヒト急性白血病リンパ腫患者に投与することにより、急
性白血病リンパ腫の免疫学的治療に使用することが期待
される。 以下実施例を掲げ本発明のDNA配列、その作成及び抗体
の発現などについて更に詳細にに説明する。尚ここでマ
ウスハイブリドーマNL−1は、ヒト急性白血病リンパ腫
共通抗原と特異的に反応するモノクローナル抗体を産生
するものである(P.N.A.S.Vol.79,pp4386−4390,July19
82)。またARH77株はヒトプラズマ細胞性白血病細胞由
来の株であり、ATCC CRL1621の受託番号でATCCに寄託さ
れている。E.coli JM103株はATCC39403の受託番号でATC
Cに寄託されている大腸菌株である。また大腸菌MC1000
はコーエン他[J.Mol.Biol.(1980)138,179−207]に
より確立された株であり、容易に入手可能である。 実施例1(マウス染色体DNAの単離) マウスハイブリドーマNL−1 1×108個を1%SDS(So
diun lauryl sulfate)存在下プロテアーゼK(シグマ
社製)で処理した後、水飽和フエノールを加えDNAを抽
出した、遠心により水相を分離し、10mM Tris−HCl pH
7.4,0.1mM NaCl,0.1mM EDTA(TNE)バツフアーで透析し
た。リボヌクレアーゼA(シグマ)で処理し、再度フエ
ノール抽出を行なつた後、TNEバツフアーで透析しマウ
ス染色体DNA1.2mgを得た〔N.ブライン,D.W.スタフオー
ド:ヌクレイツクアシツドリサーチ3巻2,303ページ(1
976)(N.Blin,D.W.Stafford;Nucleic Acids Res.,3 2
303(1976)参照〕。 実施例2(マウス遺伝子ライブラリーの作成) 実施例1で得られたマウス染色体DNA150μgを後述する
実施例4に示した方法に準じて制限酵素Hind III(宝酒
造)で消化した後、庶糖密度勾配遠心〔庶糖10〜40%
(wt/vol),28000rpm×15時間,20℃〕を行ない、4Kb〜9
Kbに相当するDNA断片を得た。 次にこのDNA断片0.45μgとCharon28ベクターDNA(ベセ
スダ・リサーチ・ラボラトリーズ)のHind IIIアームと
の連絡を行ない、次いでアマーシヤム社のキツトを用い
て、in.vitroパツケージングを行ない、マウスNL−1遺
伝子ライブラリー4×106PFU/μgを得た。 連結はT4DNAリガーゼ(宝酒造)を用い、反応混液66mM
Tris HCl(pH7.6)−6.5mM MgCl2−10mMジチオスレイト
ールー1mM ATP水溶液中で4℃,16時間行つた。 実施例3(マウス免疫グロブリンK鎖遺伝子のスクリー
ニング) 前記実施例2で得られたマウスNL−1由来のDNAを含むC
haron28フアージを大腸菌LE392株に感染させ、プラーク
ハイブリダイゼーシヨン法〔W.D.ベントン,R.W.デービ
ス:サイエンス196巻180ページ(1977)(W.D.Benton,
R.W.Davis:Science 196180(1977))参照〕を使用して
32P標識マウス抗体K鎖J遺伝子で選別した。マウス免
疫グロブリンK鎖遺伝子を含むCharon28フアージからの
DNAの調製はトーマスとデービスの方法により行つた。
〔M.トーマス,R.W.デービス:ジヤーナルオブモレキユ
ラーバイオロジー91巻315ページ(1974)(M.Thomas,R.
W.Davis:J.Mol.Biol.,91 315(1974))参照〕 実施例4(マウスK鎖V領域遺伝子の制限酵素切断地図
の作成) 実施例3で得られたマウスK鎖遺伝子を含むフアージDN
A、及び後述する実施例5に準じてプラスミドにリクロ
ーニングしたDNA1μgを制限酵素切断用緩衝液〔Xba I,
Bga II切断では50mM Tris HCl(pH7.4)−100mM NaCl−
10mM MgSO4水溶液を、Bam HI,Hind III,Pst I,Ssa I,Hi
nc II,Dra I切断では10mM Tris HCl(pH7.5)−60mM Na
Cl−7mM MgCl2水溶液をそれぞれ用いた。〕20μに溶
解させ、制限酵素(Rsa Iはニツポンジーン製、その他
は宝酒造製を用いた)2ユニツトを添加して37℃,1時間
以上消化を行なつた。 制限酵素による切断後、4μの0.25%ブロモフエノー
ルブルー・50%グリセロール水溶液を加え、0.8%〜2.5
%アガロースゲル電気泳動を行なつた。アガロースはシ
グマ社のタイブII電気泳動用を使用した。電気泳動バツ
フアーとして、50mM Tris−酢酸80mM酢酸ナトリウム−7
2mM塩化ナトリウム1mM EDTAを用い、5mm厚水平ゲルにて
2V/cmの電圧で9〜16時間電気泳動を行なつた。この電
気泳動の際、DNA断片の分子量マーカーとして、λフア
ージのDNAをHind IIIで消化したもの(日本ジーン製)
を用いた。電気泳動終了後、アガロースゲル中のDNAを
2μg/mlエチジウムブロマイド水溶液で染色し、このケ
ルに対して長波長紫外線を照射して、切断パターンの観
察を行なつた。各種制限酵素単独による切断、及び二種
の制限酵素の組合せによる切断、これらの切断パターン
を解析することにより、各制限酵素切断点の相対位置関
係を決定した。 マウス免疫グロブリンK鎖遺伝子断片の制限酵素切断地
図を第10図に示した。Dra I,Hinc II,Rsa I切断点は図
示した以外にも存在する。 実施例5(マウス免疫グロブリンK鎖V−J領域遺伝子
のサブクローニング) マウス免疫グロブリンK鎖V−J領域遺伝子を含むChar
on28フアージDNAを、実施例4の方法に準じてHind III
で切断し、アガロースゲル電気泳動を行なつた。Vκ−
Jκ遺伝子を含む6.5kbのDNA断片を、エレクトロ・エリ
ユーシヨン法を用いてアガロースゲルより回収した。一
方、大腸菌用プラスミドpBR3221μgを実施例4に準じ
てHind IIIで切断したものに対して、アルカリ性ホスフ
アターゼ(E.coliC75)(宝酒造製)を0.5ユニツト加え
て、68℃で1時間反応させた。反応終了後、反応液中の
アルカリ性ホスフアターゼを失活・除去するために、フ
エノール抽出を3回繰返した。このようにして得られた
pBR322のHind III/アルカリ性ホスフアターゼ処理液
を、ゲルより回収した6.5Kb Hind III断片水溶液と混
ぜ、エタノール沈澱の後、連結反応用バツフアー(実施
例2を参照)10μに溶解させる。2ユニツトのT4−DN
Aリガーゼを加え、11℃、12時間反応させて、ハイブリ
ツドDNAを得る。 大腸菌DH1株の形質転換は、通常のCaCl2法〔M.V.ノーガ
ード,K.キーン,J.モナハム:ジーン3巻279ページ(197
8)(M.V.Norgard,K.Keen,J.Monaham:Geme,3,279(197
8))参照〕の改良法で行なつた。すなわち、5mlのL培
地(1%トリプトン,0.5酵母エキス,0.5%NaCl,pH7.5)
に大腸菌DH−1株の18時間培養基を接種し、600nmにお
ける光学密度0.3まで生育させる。菌体を冷たいマグネ
シウム・バツフアー〔0.1M NaCl−5mM MgCl2−2mM Tris
−HCl(pH7.6,0℃)〕中で2回洗い、2mlの冷したカル
シウム・バツフアー〔100mM CaCl2−250mM KCl−5mM Mg
Cl2−5mMTris−HCl(pH7.6,0℃)〕中に再懸濁させ、0
℃で25分間放置する。次に菌体をこの容量の1/10量のカ
ルシウム・バツフアーの中に再懸濁し、ハイブリツドDN
A水溶液と2:1(vol.:vol.)混合する。この混合物を60
分間,0℃で保つた後、1mlのLBG培地(1%トリプトン,
0.5%酵母エキス,1%NaCl,0.08%グルコース,pH7.5)円
を添加し、37℃で1時間培養する。培養液を、選択培地
(アリピシリン30μg/mlを含むL培地プレート)に100
μ/プレートで接種する。プレートを37℃で1晩培養
して、形質転換株を生育させる。得られたコロニーよ
り、公知の方法を用いてDNAを調製し、アガロースゲル
電気泳動により、目的のハイブリツドDNAを確認した。
かくしてpBR322のHind IIIサイトにVκ−Jκ遺伝子を
含む6.5KbのDNA断片をクローニングしpYN−MLV1及びpYN
−MLV2を作成した。 第10図のVκ−Jκ遺伝子を含むBamHI(A−1)−Hin
d III(A−2)断片のHind III(A−2)がpBR322のE
coRサイト寄りに連結されたものがpYN−MLV1、その逆オ
リエンテーシヨンのものがpYN−MLV2である。 またpYN−MLV1を実施例4に準じてBamHI,及びPst Iで消
化し、0.7%アガロース電気泳動の後エレクトロエリユ
ーシヨンを行う事により第10図のBsmHl(A−1)−Pst
I(A−3)のDNA断片を得た。一方PUC18ベクター(ピ
ーエルバイオケミカルズ製)を同様にBamH I及びPst I
で切断し、約2.7Kbの線状ベクター断片を取得した。こ
の二つのDNA断片を実施例2に準じて連結し、大腸菌E.c
oli JM103株を前記DH1株と同様に処理する事により形質
転換株を生育せしめた。その後公知の方法により形質転
換株よりプラスミドDNAを調製し、アガロース電気泳動
により目的の組み換えプラスミドを確認した。かくし
て、実施例3でクローニングされた遺伝子の一部、すな
わち第10図に示すBamHI(A−1)Pst I(A−3)を含
むpUC18組換えプラスミドpYN−MLVBPを得た。 実施例6(塩基配列の決定) 実施例5記載のpYN−MLV1を実施例4に準じてBamHIとPs
t Iで切断し、第10図のBamHI(A−1)とPst I(A−
3)切断部位で挟まれたDNA断片を得た。また同様にBg/
IIとPst Iで切断し、第6図のPst I(A−3)とBgl II
で挟まれた約1.5KbのDNA断片を得た。これらのDNA断片
をBamHI及びPst Iで切断したM13mp18(ピーエルバイオ
ケミカルズ製)にクローニングした。塩基配列決定はM1
3シークエンシングキツト(宝酒造)と〔α−32P〕dCTP
(アマーシヤム社製)を用いジデオキシチエーンターミ
ネーシヨン法で行つた〔高浪満,大井龍夫編「DNAシー
ケンス解析マニユアル」(1983)講談社参照〕。 BamHI(A−1)−Pst I(A−3)断片についてはPst
I側から5′方向に、Pst I(A−3)−Bgl II断片につ
いてはPst I側から3′方向に塩基配列決定を行つた。
更にプラスミドpYN−MLVBPを実施例4に準じてRsa IとP
st Iで切断して約0.65KbのDNA断片を得、M13mp19(ピー
エルバイオケミカルズ製)フアージをSma I及びPst Iで
切断したものにクローニングしRsa Iから3′方向に塩
基配列を決定した。Sma I消化は10mM Tris−HCl(pH8.
0),7mM MgCl2,20mM KCl,7mM2−メルカプトエタノール
水溶液中で37℃,2時間行い、その後NaCl濃度を50mMにし
た上Pst Iで消化を行つた。 またプラスミドpYN−MLVBPを実施例4に準じてRst IとD
ra I、及びDra IとPst Iで切断し、生成したDNA断片を
分画した。分画には2mm厚,590アクリルアミド垂直ゲル
を用いた〔高木康孝編「遺伝子操作実験マニユアル」
(1982)講談社参照〕。Rst IとDra I切断では約0.3Kb,
Dra IとPst I切断では約0.4KbのDNA断片を得、前者は13
mp18をSma I消化し実施例5に準じて脱燐酸処理を行つ
たもの、後者はM13mp19をSma IとPst Iで消化したもの
に連結反応を行い、第10図のRsa I−Dra I及びDra I−P
st I(A−3)切断部位で囲まれるDNA断片の挿入され
た組換えフアージを得、前述の如く塩基配列の決定を行
つた。Rsa I−Dra I断片についてはDra Iから5′方
向、Dra I−Pst I断片についてはDra Iから3′方向に
それぞれ行つた。 各々の結果を連結してまとめたものを第8図に示す。 実施例7(ヒト染色体DNAの単離) ヒト培養細胞ARH77株3×108個をガラス棒でつぶし、2
%SDS存在下、プロテアーゼK(シグマ社製)で処理し
た後、10mM Tris−HCl(pH8.0)−1mM EDTA水溶液で飽
和したフエノールを加えた。遠心分離により水相とフエ
ノール層を分離(フエノール抽出)、水相を20mM Tris
HCl(pH7.5)−100mM NaCl−5mM EDTA水溶液に対して透
析した。リボヌクレアーゼA(シグマ社製)処理をし、
フエノール抽出を行なつた後、水相を10mM Tris−HCl
(pH8.0)−1mM EDTA水溶液に対して透析し、ヒト染色
体DNA約1.2mgを取得した〔実施例1記載のブラインとス
タフオードの報告参照〕。 実施例8(ヒト遺伝子ライブラリーの作成) 実施例7で得られたヒト染色体DNAを後述の実施例10に
示した方法に準じて制限酵素EcoR I(宝酒造)で切断し
た後、アガロースゲル電気泳動を行ない、2Kb〜3Kbに相
当するDNA断片をエレクトロ・エリユーシヨン法を用い
て回収した。次にこのDNA断片のλgtWESλBベクター
(アマーシヤム社製)との連結を、実施例2に準じて行
ない、λgtWESλBベクターの右のアームと左アームと
の間にヒト由来のDNAが挿入されたハイブリツドDNAを得
た。得られたハイブリツドDNAについて、in vitroパツ
ケージングを行ない、ヒト遺伝子ライブラリー(アマー
シヤム社キツトを使用)とした。 実施例9(ヒト免疫グロブリンK鎖遺伝子のスクリーニ
ング) 前記実施例2で得られたヒト由来のDNAを含むλgtWESλ
Bフアージの集合(遺伝子ライブラリー)を大腸菌LE39
2株に感染させ、プラークを形成させた。ヒト免疫グロ
ブリンΚ鎖遺伝子を含むクローンは実施例3に準じて32
P標識マウスCκ遺伝子をクロスハイブリダイゼーシヨ
ンプローブとして用い選択した。ヒト免疫グロブリンΚ
鎖遺伝子を含むλGTweλBフアージからのDNAの調製
は、実施例3に準じて行つた。 実施例10(ヒトK鎖C領域遺伝子の制限酵素地図の作
成) 実施例9で得られたヒトK鎖遺伝子を含むフアージDNA
及び後述する実施例11に準じてプラスミドにリクローニ
ングしたDNA1μgを制限酵素切断用バツフアー〔EcoR I
切断ではTris−HCl(pH7.5)50mM,MgCl27mM,NaCl100mM,
2−メルカプトエタノール7mM,AccI切断ではTris−HCl
(pH7.5)10mM,MgCl27mM,NaCl60mM,2−メルカプトエタ
ノール2mM,Sac I切断ではTris−HCl(pH8.0)10mM,MgCl
27mM,2−メルカプトエタノール7mM水溶液をそれぞれ用
いた〕20μに溶解させ、制限酵素(宝酒造製)2ユニ
ツトを添加して37℃,1時間以上消化を行つた。その後実
施例4に準じて電気泳動を行い制限酵素切断地図を作成
した〔P.A.ヒーター,E.E.マツクス,J.G.シードマン,J.
V.マイゼルJr,P.レーダー:セル22巻+197ページ(198
0)(P.A.Hieter,E.E.MaX,J.G.Seidman,J.V.Maizel,J
r.,P.Leder:Cell22 197(1980))参照〕。 ヒト免疫グロブリンΚ鎖のC領域を含む遺伝子の制限酵
素切断地図を第11図に示した。 実施例11(ヒト免疫グロブリンΚ鎖C領域遺伝子のサブ
クローニング) ヒト免疫グロブリンΚ鎖C領域を含むλgtWESλBフア
ージDNA3μgを実施例10の方法に準じてEcoRIで切断
し、アガロース電気泳動を行つた。Cκ遺伝子を含む2.
6KbのDNA断片をエレクトロエリユーシヨン法を用いてア
ガロースゲルより回収した。一方大腸菌用プラスミドpB
R3221μgを実施例10に準じてEcoR Iで切断したものに
対し、実施例5に準じてアルカリ性フオスフアクターゼ
処理を行つた。このようにして得られたpBR322のEcoR I
切断/アルカリ性フオスフアクターゼ処理DNAをゲルよ
り回収した2.6Kb EcoR IDNA断片を混合し、エタノール
沈澱の後連結反応用バツフアー(実施例2参照)10μ
に溶解させ、実施例5に準じてT4DNAリガーゼで連結し
た。 実施例5に準じて大腸菌E.coli DHIを形質変換し、プラ
スミドDNAを調製して目的のハイブリツドDNAを確認し
た。 実施例12(マウス・ヒト・キメラ抗体遺伝子の作製) 施施例5で得られた、マウス免疫グロブリンΚ鎖V−J
領域遺伝子を含むpYN−MLV1を、実施例4及び10の方法
に準じてBamH I及びEcoR Iで切断し、アガロースゲル電
気泳動を行なつた。得られたVκ−Jκ遺伝子を含む4.
2KbのEcoR I−BamH I断片を、実施例5と同様な手法に
より、pSV2neoベクター〔P.J.サザン,P.バーグ:ジヤー
ナルオブモレキユラーアンドアブライドジエネテイツク
ス1巻,327ページ(1982)(P.J.Southern,P.Berg:J.Mo
l.Appl.Genet.1 327(1982))参照〕のEcoR I−BamH
I間に挿入し、プラスミドpSV2neo−MLVを作成した。こ
れを第8図に示す。 次に、実施例11で得られた、ヒト免疫グロブリンΚ鎖C
領域遺伝子を含むpYN−HCLを、実施例10の方法に準じて
EcoR Iで切断し、アガロースゲル電気泳動を行なつた。
得られたCκ遺伝子を含む2.6KbのDNA断片を、実施例11
と同様な手法を用いて、上記プラスミドpSV2neo−MLVの
EcoR Iサイトに挿入した。得られたクローンのうち、ヒ
トCκ遺伝子を含むEcoR I(B−1)−EcoR I(B−
2)の断片のEcoR I(B−1)がマウスVκ−Jκ遺伝
子側に連結されたもの(マウスVκ−Jκ遺伝子とヒト
Cκ遺伝子の読み取り方向が一致しているもの)を選択
し、このプラスミドをpSV2neo−MHLと名付けた。これを
第13図に示す。 一方、特開昭60−120991号公報に記載のヒト免疫グロブ
リンγ1鎖遺伝子を含むプラスミドpTJ3を、実施例10記
載の方法に準じてMluI及びHpa Iで切断した。但し切断
用バツフアーとしてはTris HCl(pH7.5)10mM,MgCl27m
M,NaCl150mM,2−メルカプトエタノール7mM水溶液を用い
た。Mlu Iで切断後エタノール沈澱によりDNAを回収した
後、切断用バツフアーTris−HCl(pH7.5)10mM,KCl100m
M,MgCl27mM,2−メルカプトエタノール7mM水溶液を用い
てHpa I切断を行つた。アガロースゲル電気泳動によ
り、約0.9Kbのヒトγ1鎖遺伝子エンハンサー領域を含
むMlu I−Hpa I断片を得た。このDNA断片をポリメラー
ゼ用バツフアー(37mMリン酸カリウム,6.7mM MgCl2,1mM
2−メルカプトエタノール,pH7.4)に溶解し、dNTP存在
下でDNAポリメラーゼ・クレノウ(klenow)・フラグメ
ント(ニユー・イングランド バイオラブズ)を加える
ことにより、末端の平滑化を行なつた。さらに、T4−DN
Aリガーゼを用いてこの両端にBamH Iリンカー(宝酒
造)を連結した後、BamH Iで切断し、アガロースゲル電
気泳動により約0.9Kbのヒトγ1鎖遺伝子エンハンサー
領域を含む両端がBamH I断片を得た。このDNA断片を上
記プラスミドpSV2neo−MHLのBamH Iサイトに挿入し、挿
入オリエンテーシヨンのそれぞれ異なるプラスミドpSV2
neo−MHLEI及びpSV2neo−MHLE−2を作製した。これを
第13図に示す。 実施例13(マウス遺伝子ライブラリーの作成) 実施例1で得られたマウス染色体DNA150μgを実施例10
に示した方法に準じて制限エンドヌクレアーゼEcoR I
(宝酒造製)で完全消化しアガロース電気泳動を行な
い、7K〜9Kbに相当するDNA断片5μgをアガロースゲル
中から電気的に抽出した。 次にこのDNA0.4μgとシヤロン4AベクターEcoR I arm
(アマーシヤム社製)との連結を実施例2に準じて行い
アマーシヤム社のキツト用いて、in vitroパッケージン
グを行ない、マウスNL−1遺伝子のライブラリー8×10
6PFU/μgを得た。 実施例14(マウス抗体H鎖遺伝子のスクリーニング) 前記実施例13で得られたマウスNL−1由来のDNAを含む
シヤロン4Aフアージを大腸LE392株に感染させ、プラー
クを形成させた。マウス抗体H鎖遺伝子含むクローンは
実施例3に準じて32P標識マウス抗体H鎖J遺伝子で選
別した。 この方法によつて、7.9KbのマウスNL−1の全V領域
(5′flanking領域、VDJ及びエンハンサー領域)を含
む遺伝子を単離した。 実施例15(マウス抗体H鎖遺伝子の制限酵素切断地図の
作成) 実施例14のマウスNL−1H鎖DNA遺伝子(7.9Kb,EcoR I断
片)を実施例5に準じてプラスミドpBR322にサブクロー
ニングし、該H鎖遺伝子がEcoR Iサイトに挿入された組
換えプラスミドDNAを公知の方法によつて調製した(pBR
−NL−1−H)。このpBR−NL−1−Hを制限酵素で切
断し、実施例4に準じて電気泳動を行ない制限酵素切断
地図を作成した。BamH I及びHind III切断は実施例4
に、EcoR I切断は実施例10に準じて行なつた。PvuII切
断にはTris−HCl(pH7.5)10mM MgCl27mM,NaCl60mM,2−
メルカプトエタノール7mM水溶液を、EcoRV,SphI切断に
はTris−HCl(pH7.5),NaCl150mM,MgCl27mM,2−メルカ
プトエタノール7mM水溶液をそれぞれ切断用緩衝液とし
て用い、プラスミドDNA1μgに2ユニツトの制限酵素を
加え、37℃で2時間以上反応を行つた。第12図に制限酵
素地図を示した。 実施例16(マウス抗体H鎖VDJ領域のDNA塩基配列決定) 前記PBR−NL−1−Hを制限エンドヌクレアーゼSphI及
びPvu IIで切断し、挿入遺伝子の与えるSphI・Pvu II切
断部位ではさまれる2種類の断片を得た。これらをSph
I及びHinc IIで切断したM13フアージベクターmp18及びm
p19(ピーエルバイオケミカルズ製)にクローニングし
た。シーケンシングはM13シークエンスキツト(宝酒造
社製)を用いて、ジデオキシチエーンターミネーシヨン
法で行つた〔実施例6記載の高浪満・大井龍夫編の文献
参照〕。Sph I/Pvu II断片の5′側断片についてはSphI
サイトから3′方向、Pvu IIサイトから5′方向に、
3′側隣接断片についてはPvuIIサイトから3′方向に
塩基配列を決定した。可変領域のDNA塩基配列を添付第
5図に示した。 実施例17(ヒト抗体H鎖遺伝子定常領域のDNA塩基配列
決定) ヒト抗体H鎖遺伝子定常領域のDNA塩基配列決定はマキ
サム−ギルバート法(Maxam−Gilbert法)〔A.マキサ
ム,W.ギルバート:メソツド イン エンザイモロジー6
5巻,499ページ(1980)(A.Maxam,W.Gilbert,Methods E
nzymol 65 499(1980)〕参照〕により行つた。 特開昭60−145089号公報記載のプラスミドpTJ5をPst I
で消化し、3′端標識キツト(アマーシヤム社製)によ
つて〕α−32p〕ddATPを用いて標識した。32pで標識し
たDNAはSma Iで消化した後ポリアクリルアミドゲル電気
泳動(ゲル濃度5%)により目的のDNA断片を分離し、
ゲルからの抽出を行なつた。得られた32p−標識Pst I/S
ma I断片について、各塩基特異的な部分分解反応を行
い、7M尿素を含むポリアクリルアミドゲル電気泳動(ゲ
ル濃度8%〜23%)で分離した。2〜7日間−80℃でオ
ートラジオグラフイーを行つた後、分解パターンの解析
を行つた。同様に他のDNA断片についても〔α−32P〕dd
ATPを用いた3′端標識あるいは〔γ−32P〕ATPを用い
た5′端標識を行い、化学分解法により同様に塩基配列
を決定した。各結果を連結して得た結果を第2図に示し
た。 実施例18(キメラ抗体遺伝子発現プラスミドpMH1の作
成) 実施例15で得られたpBRNL−1−Hを実施例4及び15に
準じてEcoRV及びBamH Iで切断し、H鎖V領域全域を含
むEcoRV−BamH I断片(約2.7Kb)を実施例4に準じて分
画しエレクトロエリユーシヨンで回収した。 一方、プラスミドベクターpSU2gpt〔R.C.ムリガン,P.バ
ーグ;プロシーデイング オブナシヨナルアカデミー
オブサイエンス オブザ ユナイテツド ステーツ オ
ブ アメリカ78巻2072ページ(1981)(R.C.Mulligan,
P.Berg:Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78 2072(1981))
参照〕を実施例4及び15に準じてBaMH I及びHpa Iで切
断し、Eco gpt遺伝子を含む約5.3Kbの線状ベクター遺伝
子を分離した(この遺伝子を“フラグメント1"と略称す
る)。 先に得たpBR−NL−1−H EcoRV−BamH Iのフラグメント
(約2.7Kb)と前記pSV2−gptのBamH I−HpaIのフラグメ
ント−1(約5.3Kb)とを実施例5に準じてT4−DNAリガ
ーゼで連結し、次いでBamH Iで切断し、NL−1−HのV
領域約2.7Kbを含む線状ベクター遺伝子(約8.0Kb)得、
分離し精製した(このベクター遺伝子を、“フラグメン
ト−2"と略称する)。 一方、特開昭60−1450889号公報記載のヒト免疫グロブ
リンγ1鎖遺伝子全域(約21Kb)を含むプラスミドpSV2
−H IG1を実施例12に準じてMluIで切断し、ヒトエンハ
ンサー及びCγ1を含む約17Kbの断片を得た。この断片
に実施例12に準じてBamH Iリンカー(宝酒造製)を連結
し、両端にBamH Iサイトを付与した(これを“フラグメ
ント−4″と略称する)。 このフラグメント−4と先に得たフラグメント−2とを
T4−DNAリガーゼを用いて連結し、更に大腸菌MC1000を
形質転換してヒトエンバンサー(Eh)を介してV領域が
マウス由来のものでC領域がヒト由来のものであるキメ
ラ抗体遺伝子を得た(この遺伝子を“pMH−1と略称す
る)。上記遺伝子pMH−1を得る系統図を添付第14図に
示した。 実施例19(キメラ抗体遺伝子発現プラスミドpMH−2の
作成) 特開昭60−145089号記載のヒト抗体H鎖遺伝子約21Kbを
含むプラスミドpSV2−H IGIを制限酵素BamH Iで切断
し、ヒトエンハンサー(Eh)及びCγ1を含む約1.4Kb
のフラグメントを常法により得た。このフラグメントを
先のフラグメント−2とT4−DNAリガーゼを用いて連結
した後、大腸菌MC1000に形質転換して、V領域がマウス
由来であり、C領域及びエンハンサーがヒト由来のキメ
ラ抗体遺伝子を得た(この遺伝子を“pMH−2"と略称す
る)。この遺伝子pMH−2を得る系統図を第14図に示し
た。 実施例20(キメラ抗体遺伝子発現プラスミドpMH−3作
成) 実施例15のpBR−NL−1−Hを制限酵素EcoRV,EcoR Iで
切断し、マウスH鎖V領域の全域とマウスエンハンサー
(Em)を含む約4.7Kbのフラグメントを実施例5に準じ
て得た。 次に前記ベクターpSV2−gptをEcoR I,Hpa・Iで切断
し、Ecogpt遺伝子を含む約4.5Kbのフラグメントを得、
分離し精製した。かくして得られたフラグメントと先の
マウスV遺伝子のフラグメント(約4.7Kb)とをT4−DNA
リガーゼを用いて絡結し、次いでEcoR Iで切断し、NL−
1−HのV領域約4.7Kbを含む線状ベクター遺伝子約9.2
Kbを得、これを分離し精製した(これを“フラグメント
−3"と略称する)。 また実施例18記載のようにして得たヒトエンハンサー
(Eh)及びCγ1を含む約17Kbの断片に実施例12に準じ
て、EcoR Iリンカー(宝酒造社製)を連結し両端にEcoR
Iサイトを付与した(かくして得たフラグメントをフラ
グメント−5と略称する)。 このフラグメント−5と前記フラグメント−3とをT4−
DNAリガーゼを用いて連結し、ヒト及びマウスのエンハ
ンサー,マウス由来のV領域,ヒト由来のC領域を有す
るキメラ抗体遺伝子を得た(この遺伝子を“pMH−3"と
略称する)。この遺伝子pMH−3を得る系統図を第14図
に示した。 実施例21(キメラ抗体遺伝子発現プラスミドpMH−4の
作成) 実施例15のpBRNL−1−HをEcoRVで切断した後実施例12
に準じてEcoR Iリンカー(宝酒造製)を連結し、更にEc
oR I及びBamH Iで切断する事によりEcoR V端にEcoR Iリ
ンカーの付着したV領域全域を含む約2.7Kbのフラグメ
ントを得た。 一方、前記ベクターpSV2−gptをEcoR I及びBamH Iで切
断し、Ecogpt遺伝子を含む線状ベクター4.6Kbを得、分
離して精製した。 のベクターと前記EcoR I−BamH I約2.7Kbのフラグメン
トとをT4−DNAリガーゼを用いて連結し、次いでBamH I
で切断し、NL−1−HのV領域遺伝子を含むベクター遺
伝子約7.3Kbを得た(これを“フラグメント−6"と略称
する)。 このフラグメント−6と前記実施例18で得たヒトエンハ
ンサー(Eh)及びCγ1を含むフラグメント−4とをT4
−DNAリガーゼを用いて連結し、次いで大腸菌MC1000に
形質転換し、ヒトエンハンサー(Eh)を介して、マウス
由来のV領域,ヒト由来のC領域を有するキメラ抗体遺
伝子を得た(この遺伝子を“pMH−4"と略称する)。こ
の遺伝子pMH−4を得る系統図を第14図に示した。 実施例22(キメラ抗体遺伝子発現プラスミドpMH−5の
作成) 実施例15のpBR−NL−1−HをBamH I及びEcoR Iで切断
し、マウスエンハンサー(Em)を含む約2Kbのフラグメ
ントを得、分離して精製した。この約2Kbのフラグメン
トを前記実施例20で得たフラグメント−5とをT4リガー
ゼを用いて連結し、次いでBamH Iで切断して、マウスと
ヒトとエンハンサー及びヒトCγ1を有する約13KbのBa
mH Iフラグメントを得た。このBamH Iフラグメントを前
記実施例21で得たフラグメント−6とT4−DNAリガーゼ
を用いて連結し、次いでこれを大腸菌MC1000に形質転換
し、マウスとヒトのエンハンサーを介して、マウス由来
V領域,ヒト由来のC領域を有するキメラ抗体遺伝子を
得た(この遺伝子を“pMH−5"と略称する)。この遺伝
子pMH−5を得る系統図を第14図に示した。 実施例23(キメラ抗体H鎖遺伝子の発現) 前記実施例18〜22で得られたキメラ抗体遺伝子発現プラ
スミドpMH−1〜pMH−5を、実施例5の方法に準じて大
腸菌MC1000に形質転換し得られた形質転換体をアンピシ
リンを含む培地で培養したのち、クロラムフエニコール
によつてプラスミドを増巾した。次にリゾチーム(シグ
マ)処理によつてプロトプラスト化を行なつた。得られ
たプロトプラストを、2×106個のマウスミエローマJ55
8L(λ生産株)及びX63Ag8.653(抗体非生産株)と0.5m
l50%PEG4000中2〜7分細胞融合し、MEM培地(Gibco.G
rand Island,NY)で希釈後、遠心によりPEG4000を除去
した。それぞれの細胞をRPMI1640完全培地(Gibco,Gran
d Island,NY)中で48〜72時間成育させた。J558Lを形質
転換したものについてFITC標識ヤギ抗ヒトIgG(Cappel
Laboratories Inc.)を用いて細胞表面を蛍光染色し、
キメラ抗体遺伝子の発現を調べた結果、発現プラスミド
pMH−1,pMH−2及びpMH−4を組込んだ細胞には強い発
現が認められ、一方、発現プラスミドpMH−3及びpMH−
5を組込んだ細胞には比較的弱い発現が観察された。 また前記発現プラスミドpMH−4をマウスミエローマJ55
8L及びX63Ag8.653にプロトプラスト融合により導入し、
選択培地に移した。選択培地には250γ/mlキサンチン,1
5γ/mlのハイポキサンチン,6γ/mlのmycophenolid acid
を含む。2日間連続してメデイウム交換の後、10〜25日
後mycophenolic acid抵抗性の形質転換体が得られた
(各々J558L−H,X63Ag8.653−Hと称する)。 得られた形質転換体からRNAを抽出し、得られたRNAそれ
ぞれ20μgを用い、マウスVDJ遺伝子を含むプラスミドp
BR−NL−1−HのBamH I−Pvu II断片、及びヒトCγ1
遺伝子の一部を含むプラスミドpSV2−H IGIのPst I−
(2)−Pst I−(3)の断片を32Pで標識し、ノーザン
ハイブリダイゼーシヨン〔T.マニアテイス他着,「モレ
キユラークローニング」コールドスプリングハーバーラ
ボラトリー(1982)(T.Maniatiset a l.“Molecular C
loning"Cold Spring Harbor Lab.(1982))参照〕を行
なつたところ1.7Kbの位置に完全な分泌型H鎖のmRNAに
対応するバンドが観察された。オートラジオグラムを第
15図に示す。 実施例24(キメラ抗体H鎖遺伝子翻訳産物の分析) 実施例23のキメラ抗体H鎖遺伝子で形質変換したJ558L
−H細胞(J558L細胞はλ生産株)107個を燐残緩衝液で
洗滌後メチオニン不含RPMI1640培地(牛胎児血清10%含
有)に懸濁し、300μCiの〔35S〕−メチオニンを加え8
時間培養した。かくして生成した蛋白質を35Sで内部標
識し、培養上清を回収した。上清より生成抗体を抗ヒト
IgG抗体による免疫沈降法で回収し、担体より遊離させ
た後、2−メルカプトエタノールで還元し、H鎖とL鎖
の分離をはかつた。その後試料をSDS−ポリアクリルア
ミドゲル電気泳動で分離し、ゲルを乾燥後オートラジオ
グラフイーをとつた〔電気泳動学会編「電気泳動実験
法」文光堂(1976)参照〕。 導入したキメラH鎖遺伝子の翻訳産物はJ558L内在性λ
鎖遺伝子産物と結合し細胞外に分泌される事が示され
た。オートラジオグラムを第16図に示す。 実施例25(キメラ抗体L鎖の発現) 実施例23のJ558L−H及びX63Ag8.653−Hに実施例12記
載のキメラ抗体L鎖遺伝子を含むプラスミドpSV2neo−M
HLE1及びpSV2neo−MHLE2をDEAE−デキストラン法で導入
した〔J.ベナルジ,L.オルソン,W.シヤフナー:セル33巻
279ページ(1983)(J.Benarji,L.Olson,W.Schaffner:C
ell 33 729(1983))参照〕。即ち107個の細胞に80
μgのプラスミドDNAとDEAE−デキストラン(フアルマ
シア社製)混合物を加え、孵置の後、RPMI1640完全培地
((フローラボラトリー社製)(10%牛胎児血清含有)
に移した。薬剤耐性株はジエネシチン(Geneticin,641
8,ギブコ社製)1〜1.5mg/mlを含むRPMI1640完全培地の
半量交換によつて行つた。10〜20日後、生育してくる細
胞を安定形質変換株とした(J558L−HL,X63Ag8.653−HL
と称する)。 実施例26(キメラ抗体L鎖遺伝子形質転換細胞のmRNA分
析) 実施例25のJ558L−HL及びX63Ag8.653−HLについて各々
の細胞よりRNAを抽出し、実施例23に準じて導入したキ
メラL鎖遺伝子の転写産物についてノーザンハイブリダ
イゼーシヨンにより分析した。キメラL鎖のハイブリダ
イゼーシヨンプローブとしてはV領域プローブとしてpY
N−MLV−1のプラスミド上の図10Pst I(A−3))−H
inc IIに相当するDNA断片、C領域プローブとしてpYN−
HLCのSca I(B−1)−Sca I(B−2)断片を、それ
ぞれ32Pにて標識して用いた。第17図に示す如くいずれ
のプローブを用いた場合にも同じ位置にバンドが出現し
た。 実施例27(キメラ抗体L鎖翻訳生成物のSDS−ポリアク
リルアミドゲル電気泳動による分析) 実施例25のX63Ag8.653−HL107個を燐酸緩衝液で洗滌後
メチオニン不含RPMI−1640培地(牛胎児血清10%含有)
に懸濁し、300μCiの〔35S〕−メチオニンを加え8時間
培養した。かくして生成した蛋白質を35Sで内部標識
し、培養上清を回収した。上清より生成抗体を抗ヒトIg
G抗体による免疫沈降法で回収し、担体より遊離させた
後2−メルカプトエタノールで還元し、H鎖とL鎖の分
離をはかつた。その後試料をSDS−ポリアクリルアミド
ゲル電気泳動で分離し、ゲルを乾燥後オートラジオフイ
ーをとつた〔電気泳動学会編「電気泳動実験法」文光堂
(1976)参照〕。H鎖とともにΚ鎖の蛋白の生成が認め
られた(第18図)。この結果は導入したキメラ抗体Κ鎖
が予め導入したキメラ抗体H鎖(γ1)と結合して分泌
されている事を示している。 実施例28(キメラ抗体分子の抗原結合特異性検定) キメラ抗体遺伝子H鎖及びL鎖で形質変換を行つた実施
例24に記載したX63Ag8.653−HL(親細胞X63Ag8.653は抗
体非生産株)をRPMI1640完全培地にて培養し、培養上清
を用いて生成したキメラ抗体の抗原結合特異性を検定し
た。標的細胞としてはヒト急性リンパ球性白血病共通抗
原を発現しているモンカ細胞を用いた。モンカ細胞をRP
MI1640完全培地で培養し、その1×106個を集め、燐酸
緩衝液で洗滌後、前述の如く培養したX63Ag8.653−HLの
培養上清1mlを加え、氷上で30分間反応させた。未吸着
の抗体を洗滌除去後、キメラ抗体の結合したモンカ細胞
をFITC標識ヤキ抗ヒトIgG1抗体で蛍光染色した。しかる
後蛍光顕微鏡にて検鏡したところ、X63Ag8.653−HL培養
上清で処理したモンカ細胞は蛍光を発し、X63Ag8.653−
HL培養上清中に含まれるキメラ抗体がモンカ細胞に結合
する事、即ち所期のヒト急性リンパ球性白血病共通抗原
に対し、特異性をもつことが明らかとなつた。J558L−H
L培養上清でも同様の結果が得られた。X63Ag8.653,J558
L,もしくはキメラ抗体H鎖のみで形質転換した実施例22
記載のJ558L−H及び63Ag8.653−Hでは反応は陰性であ
つた。 また蛍光顕微鏡観察を同様に処理したモンカ細胞をFITC
の蛍光を指標としてフローサイトメトリー(コールター
社製EPICS−Vによる)で分析したところ、J558L−HLや
X63Ag8.653−HLの培養上清をつかつた時には陽性の反応
が、J558L,X63Ag8.653,J558−H,X63Ag8.653−Hの培養
上清を使つた時反応は陰性であつた。X63Ag8.653−HLの
結果を第19図に示す。 実施例29(補体依存細胞障害試験) 抗体のIgGは補体活性化を通じて標的細胞の障害をひき
おこすことが知られている〔E.J.ブラウン,K.A.ジヨイ
ナー,M.M.フランク「補体」:W.E.ポール編「フアンダメ
ンタルイムノロジー」ラバンプレス(1984),645ページ
(E.J.Brown,K.A.Joiner,M.M.Frank,“Complement":in
W.E.Paul Ed,“Fundamenta l Immunology,Raven Press
(1984)p645)参照〕。該キメラ抗体についても51Cγ
で標識したモンカ細胞を用い本活性を検討した。 キメラ抗体は実施例25記載の形質転換細胞X63Ag8.653−
HLをRPMI1640完全培地で培養し、その培養上清約70mlよ
りプロテインAセフアロースを用いて回収し実験に供し
た。 一方、107個のモンカ細胞を51Cγ−クロム酸(日本原子
力研究所製)100μCiを含むRPMI160完全培地と37℃に1
時間保ち51Cγで標識した〔日沼州司,多田正人,熊谷
勝男「51Cγ標識細胞を用いた抗体依存性細胞中介性細
胞障害の測定」免疫実験操作法VIII巻2433ページ(197
9)日本免疫学会刊参照〕。 残余の51Cγ−クロム酸を洗滌流去の後、キメラ抗体と
補体(ウサギより調製)と混合し、30〜60分間おくこと
により上清中に遊離してくる51Cγの量で細胞障害活性
とした。該キメラ抗体と補体を加える事により51Cγ遊
離率(細胞障害率)は84%であつた。一方該キメラ抗体
のみでは9.0%,補体のみでは22%であり、キメラ抗体
の補体依存細胞障害活性が認められた。 実施例30(抗体依存細胞媒介細胞障害(ADCC,Antibody
−dependent cell−mediated Cytotoxicity)活性試
験) 抗体依存細胞媒介細胞障害活性試験(以下ADCC試験と略
称する)はヒトエフエクター細胞及び抗体の存在下に於
けるManca細胞に対する障害活性によつて測定した〔I.
ヘルストロム,V.ブラン〕バン,K.E.ヘルスロム,プロシ
ーデイングオブザナシヨナルアカデミーオズサイエンス
オブザユナイテイツドステーツオブアメリカ82巻1499ペ
ージ(1985)(I.Hellstrm,V.Brankovan,K.E.Hellstr
m,Proc.Natl.Acad,Sci.USA 82 1499(1985))参
照〕。 2×106個のモンカ細胞を実施例29に準じて100μCi〔51
Cγ〕−クロム酸で標識し、1回のADCC試験にその2×1
04個を用いた。 エフエクター細胞は健康人末稍血よりリンパ球分離液
(ビオネテイツクスラボラトリープロダクツ(Bionetic
s Laboratory Produccs)製)用いて分離した。 実施例25記載のX63Ag8.653−HL形質転換細胞及び陽性対
称試験用とてはマウスハイブリードーマNL−1をRPMI16
40完全培地で培養し、1回の実験には上清約500μに
含有される抗体を用いて行つた。 2×104個の標識Manca細胞と106個のヒトエフエクター
細胞及び抗体溶液50μを混合し、5%CO2雰囲気で37
℃6時間孵置し、上清中への51Cγの遊離をもつて活性
とした。別にManca細胞のみを並行して孵置し、51Cγ遊
離値を空試験値として実験結果より控除した。この空試
験値は9〜12%であつた。3回の測定値の平均をもつて
結果とした。 X63Ag8.653−HLの生産する該ヒトマウスキメラ抗体を使
つた場合の活性は24.5%,陽性対称試験用のNL−1マウ
ス抗体を使つた場合には13.8%であつた。一方、抗体を
加えない場合の値は2.3%,ヒトエフエクター細胞を加
えない(該ハイブリツド抗体のみ)場合は0.9%であつ
た。 実施例31(実験動物を用いた治療実験) 107個のモンカ細胞を、Ba lb/cヌード・マウス(九動→
kyudo)の背皮下に接種すると、約2〜3週間で適当な
大きさの腫瘤の形成が観察される。このようにして得ら
れた担癌マウスを用いて、以下の治療実験を行なつた。 実施例29の方法で調製したキメラ抗体を、上記担癌マウ
ス一匹あたり約20μgの割合で、腫瘤局所に直接注射し
たところ、投与後約2週間で、癌組織中に大きく壊死巣
が広がっているのが明確に観察された。また、腫瘤全体
の大きさを比較した場合にも、非特異的マウス抗体を投
与した対称実験の結果に比して、キメラ抗体を投与した
マウスの腫瘤の大きさの方が小さくなつており、キメラ
抗体を癌の局所に投与した場合の有効性が示された。 また、実施例29の方法で調製したキメラ抗体の、上記担
癌マウス腹腔内への連続投与を行ない、全身投与法の有
効性の検討を行なつた。約400μg/匹の割合で、初日,3
日目,8日目,及び21日目の4回連続投与により、癌の増
殖の抑制が観察され、キメラ抗体の全身投与の有効性が
明らかとなつた。第20図に、非特異的マウス抗体を用い
た対称実験の結果と合わせて、キメラ抗体の全身投与に
よる治療実験の結果を示す。
第1図は、抗体H鎖のV領域のアミノ酸配列を示したも
のであり、第2図は抗体H鎖のC領域のアミノ酸配列を
示したものであり、第3図は抗体L鎖(Κ鎖)のV領域
のアミノ酸配列を示したものであり、第4図は抗体L鎖
(Κ鎖)のC領域のアミノ酸配列を示したものであり、
第5図はヒト抗体H鎖のエンハンサー塩基配列を示した
ものであり、第6図は抗体H鎖のV領域遺伝子の塩基配
列を示したものであり、第7図は抗体H鎖のC領域遺伝
子の塩基配列を示したものであり、第8図は抗体L鎖の
V領域遺伝子の塩基配列を示したものであり、第9図は
抗体L鎖のC領域遺伝子の塩基配列を示したものであ
り、第10図は抗体L鎖V領域の制限酵素切断地図を示し
たものであり、第11図は抗体L鎖C領域遺伝子の制限酵
素切断地図を示したものであり、第12図はマウス抗体H
鎖V領域を含む遺伝子の制限酵素切断地図を示したもの
であり、第13図はキメラ抗体L鎖遺伝子の作成図を示し
たものであり、第14図はキメラ抗体H鎖の作成図を示し
たものであり、第15図はキメラ抗体H鎖転写産物のノー
ザンブロツト分析の結果を示したものであり、第16図は
キメラ抗体H鎖遺伝子翻訳生成物のSDS−ポリアクリル
アミドゲル電気泳動の結果を示したものであり、第17図
はキメラ抗体L鎖転写産物のノーザンプロツト分析の結
果を示したものであり、第18図はX63Ag8.653−HL細胞の
生産するキメラ抗体(H+L鎖)のSDS−ポリアクリル
アミドゲル電気泳動の結果を示したものであり、第19図
はキメラ抗体の標的細胞結合能をフローサイトメトリー
による分析によつて調べた結果を示したものである。第
20図は実験動物を用いた治療実験の結果を示したもので
ある。
のであり、第2図は抗体H鎖のC領域のアミノ酸配列を
示したものであり、第3図は抗体L鎖(Κ鎖)のV領域
のアミノ酸配列を示したものであり、第4図は抗体L鎖
(Κ鎖)のC領域のアミノ酸配列を示したものであり、
第5図はヒト抗体H鎖のエンハンサー塩基配列を示した
ものであり、第6図は抗体H鎖のV領域遺伝子の塩基配
列を示したものであり、第7図は抗体H鎖のC領域遺伝
子の塩基配列を示したものであり、第8図は抗体L鎖の
V領域遺伝子の塩基配列を示したものであり、第9図は
抗体L鎖のC領域遺伝子の塩基配列を示したものであ
り、第10図は抗体L鎖V領域の制限酵素切断地図を示し
たものであり、第11図は抗体L鎖C領域遺伝子の制限酵
素切断地図を示したものであり、第12図はマウス抗体H
鎖V領域を含む遺伝子の制限酵素切断地図を示したもの
であり、第13図はキメラ抗体L鎖遺伝子の作成図を示し
たものであり、第14図はキメラ抗体H鎖の作成図を示し
たものであり、第15図はキメラ抗体H鎖転写産物のノー
ザンブロツト分析の結果を示したものであり、第16図は
キメラ抗体H鎖遺伝子翻訳生成物のSDS−ポリアクリル
アミドゲル電気泳動の結果を示したものであり、第17図
はキメラ抗体L鎖転写産物のノーザンプロツト分析の結
果を示したものであり、第18図はX63Ag8.653−HL細胞の
生産するキメラ抗体(H+L鎖)のSDS−ポリアクリル
アミドゲル電気泳動の結果を示したものであり、第19図
はキメラ抗体の標的細胞結合能をフローサイトメトリー
による分析によつて調べた結果を示したものである。第
20図は実験動物を用いた治療実験の結果を示したもので
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01N 33/574 A 8310−2J 33/577 B 8310−2J (C12P 21/08 C12R 1:91) (56)参考文献 特開 昭61−134325(JP,A) 特開 昭60−155132(JP,A) 特開 昭61−47500(JP,A) 特開 昭60−120991(JP,A) Proc.Natl.Acad.Sc i.USA,79,4386−4390(1982) Nature,306,806−809 (1983);307,334−340(1984)
Claims (1)
- 【請求項1】H鎖のV領域のアミノ酸配列が下記 で表わされる配列であり、H鎖のC領域のアミノ酸配列
が、下記 で表わされる配列であり、L鎖のV領域のアミノ酸配列
が下記 で表わされる配列であり、L鎖のC領域のアミノ酸配列
が下記 で表わされる配列である、動物細胞由来の抗cALLAキメ
ラ抗体。
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| JP61180194A JPH0698021B2 (ja) | 1986-08-01 | 1986-08-01 | マウス−ヒトキメラ抗体、それをコ−ドする発現型キメラdna配列、プラスミド及び細胞 |
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| EP87110994A EP0255694A1 (en) | 1986-07-30 | 1987-07-29 | Mouse-human chimera antibody and its components and gene therefor |
| DK398887A DK398887A (da) | 1986-07-30 | 1987-07-30 | Antistoffer |
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| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP61180194A JPH0698021B2 (ja) | 1986-08-01 | 1986-08-01 | マウス−ヒトキメラ抗体、それをコ−ドする発現型キメラdna配列、プラスミド及び細胞 |
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|---|---|
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| JPH0698021B2 true JPH0698021B2 (ja) | 1994-12-07 |
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|---|---|---|---|
| JP61180194A Expired - Lifetime JPH0698021B2 (ja) | 1986-07-30 | 1986-08-01 | マウス−ヒトキメラ抗体、それをコ−ドする発現型キメラdna配列、プラスミド及び細胞 |
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| Title |
|---|
| Nature,306,806−809(1983);307,334−340(1984) |
| Proc.Natl.Acad.Sci.USA,79,4386−4390(1982) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2008026603A1 (en) | 2006-08-28 | 2008-03-06 | Kyowa Hakko Kirin Co., Ltd. | Anti-tumor agent |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS6336796A (ja) | 1988-02-17 |
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