JPH0699746B2 - 極細用高張力鋼線の製造方法 - Google Patents

極細用高張力鋼線の製造方法

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JPH0699746B2
JPH0699746B2 JP1512989A JP1512989A JPH0699746B2 JP H0699746 B2 JPH0699746 B2 JP H0699746B2 JP 1512989 A JP1512989 A JP 1512989A JP 1512989 A JP1512989 A JP 1512989A JP H0699746 B2 JPH0699746 B2 JP H0699746B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、伸線加工性が良好でかつ、伸線後の靭性に
すぐれた0.5mmφ以下の極細用高張力鋼線の製造方法に
関するものである。
[従来の技術] 自動車タイヤ、産業用各種ベルト類、ゴムホースなどの
補強用に使用されている極細用鋼線は熱間圧延された鋼
線材から伸線加工によって製造されている。伸線加工す
るために前処理としてパテンティングが行われる。パテ
ンティングにより引張強さが高く、かつ伸線加工に適し
た微細パーライト組織とする。鋼線のハイテン化のため
にはパテンティング後の引張強さが高く、かつ伸線加工
性の良好なことが必要である。伸線加工による冷間加工
硬化作用をできるだけ多く利用するためには伸線加工歪
を大きくする必要がある。20μm以上のような大きな硬
質介在物がない場合には、鋼線径が小さくなればなるほ
ど均一加工が可能となり、伸線加工歪が大きくとれ、到
達強度が高くなる。
これはJIS G3522のピアノ線の線径毎の引張強さを見て
もわかる。従来極細用鋼線材の成分系として種々提案さ
れているが、最も高強度なものとして特公昭46−6702が
あげられる。特公昭46−6702では0.076mmφで492kg/mm2
が可能としている。
しかし特公昭46−6702は伸線前のパテンティング処理を
500℃以下でやっている。これはパテンティング材の引
張強さを高くするためと微細パーライトにし伸線加工歪
を大きくとるためである。しかしこの成分系ではパーラ
イト変態の鼻の温度は550℃付近のため非常にベーナイ
ト組織が出やすくなっている。そのため、高強度鋼線の
安定製造はむずかしく、靭性が不良となる危険性が大き
い。特公昭46−6702には高い引張強さと強靭性をもつと
いう表現があるが、実施例には具体的な靭性に関する記
述は見当らない。
当時はハイテン化といえば強度のみが優先されていたこ
とと、用途が今日ほど多種多様ではなかったためであ
る。最近の自動車タイヤ、産業用各種ベルト類、ゴムホ
ースなどの補強用途などではとても実用に耐えるもので
はない。
そのため工業的な利用には至っていないのが現状であ
る。
最近、2相鋼を利用した高強度鋼線の製造法も提案され
ている。日本金属学会講演概要(1988年3月号、P55)
には25〜100μmφで400〜475kg/mm2の超高強度鋼線が
紹介されている。しかし、これは熱処理後の強度が低い
ために伸線加工歪を7〜9もとる必要があり、伸線加工
に多大な労力を要する。
また利用線径が25〜100μmφと極めて細いところに限
定される。これは太径になると出発線径が大きくなり、
均一変形がむずかしくなるためである。以上述べたよう
に工業的に利用できる極細用高張力鋼線はないといえ
る。
[発明が解決しようとする課題] 鋼線のハイテン化ニーズは年を追う毎に強くなってい
る。特に極細線分野で顕著である。鋼線径は細くなれば
なるほど均一変形が可能となり伸線性は良くなる。しか
しAl2O3,SiO2などの硬質介在物が存在すると伸線あるい
は撚線加工時断線が発生する。また疲労特性も劣化す
る。そのため硬質介在物が発生しにくい鋼組成にしてお
く必要がある。また伸線加工性をよくするためにはパー
ライト組織を微細にし、かつ整合性のよいものにする必
要がある。
パテンティング時、ベーナイトが発生すると伸線加工が
できなくなるのでパーライト変態しやすい鋼組成が必要
である。鋼線の高強度化に冷間加工硬化の寄与は大であ
るが、伸線加工度が大きくなればなるほど伸線時のダイ
ス数が多くなり、生産性を低下させる。そのためパテン
ティング後の引張強さが高いことが必要である。
高強度鋼線の場合、引張強さが高いことは必須条件であ
るが、同時に靭性が必要である。靭性としては従来絞
り、捻回特性が使用されていたが、最近用途が多様化し
ているためにこれだけでは評価として不十分であり、疲
労、撚り加工特性などが重要となっている。疲労特性に
ついては設計強度をきめる因予なので特に重要となって
いる。従来極細線の疲労特性のデータはあまり多くとら
れていなかった。
極細線は単線で使われることよりも撚って使われること
が多いので撚り加工ができるかどうかということが工業
利用上重要である。それ故、ここではこれらの要求特性
を総称して靭性と称する。
本発明はこれらの問題点を解決するためになされたもの
であり、靭性のすぐれた高強度鋼線を安定供給する製造
方法に関するものである。
[課題を解決するための手段および作用] すなわち、本発明は C:0.80〜1.20%,Si:0.70〜1.50%, Mn:0.20〜0.70%,Cr:0.30〜1.00%, Co:1.0〜5.0%,Ni:0.10〜2.00%, O:0.0015〜0.0045%,Al:0.0005〜0.0050%, 残部鉄および不可避的不純物からなる鋼線材を570〜630
℃の温度でパーライト変態させた後、伸線加工歪3.5〜
5.5{伸線加工歪=ln(do/dn)2,do:パテンティング線
径,dn:最終伸線径}の伸線を行うことを特徴とする極細
用高張力鋼線の製造方法である。
本発明者らはパーライト組織に及ぼす合金元素の研究に
より、鋼線材の組成を特定することにより整列した微細
パーライトを生成させ、かつ硬質介在物を出さないこと
ができることを見出した。本発明者らは更に熱処理組織
を安定させ、伸線加工後の靭性が確保できる条件を見出
し、発明を完成させるに至った。
即ちこの発明の要旨は下記工程を結合したものである。
C:0.80〜1.20%,Si:0.70〜1.50%,Mn:0.20〜0.70%,
Cr:0.30〜1.00%,Co:1.0〜5.0%,Ni:0.10〜2.00%,O:0.
0015〜0.0045%,Al:0.0005〜0.0050%,で残部鉄および
不可避的不純物からなる鋼線材を使用すること。
上記線材を570〜630℃の温度でパーライト変態させ
整列した微細パーライト組織とすること。
上記熱処理材を伸線加工歪3.5〜5.5の範囲で伸線を
行い強度ばかりでなく靭性も良好に保つことである。
以上についての限定理由を説明する。
まずCであるがCは鋼の強度を上げる最も重要な元素で
ある。それ故可能な限り利用する。Cが0.80%以上ない
と他の合金元素をいくら添加してもパテンティング後の
引張強さが150kg/mm2以上とならないので下限とした。
他方、1.20%以上とするとCoを添加しても粗大初析セメ
ンタイトの発生が抑えられず、伸線加工特のカッピー断
線を抑制できない。
Siは従来固溶硬化元素として知られている。パテンティ
ング後の引張強さを150kg/mm2以上とするにはSiは0.70
%以上必要である。またSiが1.50%以上になると硬質の
20μm以上の介在物の出現が防止できず、0.5mmφ以下
に伸線できない。
そのため1.50%以下に限定した。
Mnはパーライト変態を遅らせ、ベーナイトを発生しやす
くなる。本発明ではSi,Cr,Niも利用しているので、これ
らの添加量内でパテンティング時のベイナイト発生を防
止するために0.70%以下とした。鋼は熱間圧延されて線
材にされるが、Mnが0.20%以下になると表面割れを防止
できなくなる。線材に表面割れがあると伸線時潤滑不良
がおこり、断線が発生し、0.5mmφ以下まで加工できな
くなる。そのため0.20%以上とした。
Crはパーライトラメラー組織を微細化させる最も有効な
元素である。パテンティング後の引張強さを150kg/mm2
以上とするには0.30%以上の添加が必要である。他方Cr
が1.00%以上になるとパーライト組織のセメンタイトが
層状より粒状に分断されるようになり、伸線加工性を阻
害するとともにパーライト変態終了時間が1分以上とな
り工業的に利用できるパテンティング許容時間を超えて
しまう。そのため1.00%以下とした。
Coはパーライト変態を促進する元素として知られてい
る。合金鋼の場合でもパーライト変態を促進し、パーラ
イト変態終了時間を1分以内とするには、1.0%以上の
添加が必要である。Si,Crを同時添加した場合、パーラ
イトラメラー形状を整ったものとするためにも1.0%以
上必要である。
これは同時にNiを添加することにより効果が顕著にな
る。Coを5.0%以上添加するのはコスト上から工業的利
用を制約することになるので上限として規制した。
NiはCoと同時添加することによりパーライトラメラー整
列化効果を発揮する。パーライトラメラー整列化効果を
発現させるにはNiは0.10%以上必要である。2.00%以上
添加するとパーライト変態終了時間を長くするとともに
パーライトコロニーサイズを大きくする。パーライト変
態終了時間を1分以内に抑えかつパーライトコロニーサ
イズを小さくし、パテンティング後の絞りを30%以下と
するため2.00%以下とした。
Oは鋼中に固溶しないので酸化物系介在物の源である。
現在の製鋼技術ではOを0.0001%未満に抑えることはで
きないので、酸化物系介在物は発生する。そのため軟質
化を図る必要がある。0を0.0015%以上とすることによ
り硬質介在物の発生はなくなる。Oが高くなればなるほ
ど酸化物系介在物総量は多くなる。延伸した軟質介在物
が捻回、疲労、撚り加工特性に影響を及ぼさないように
するためにはOを00045%以下にしておく必要がある。
鋼中の介在物中で最も硬いものは単体のAl2O3である。
しかし複合介在物の場合Al2O3は酸化物系介在物中にと
け込み融点を下げ軟質化させる作用がある。この場合、
合金元素添加によって最適値が異なる。本発明の場合に
はAlが0.0005%以下だと酸化物系介在物軟質化作用がな
いので0.0005%以上とした。また0.0050%以上になると
Al2O3単体介在物が発生するので0.0050%以下に規制し
た。これにより硬質介在物の出現が抑えられ0.5mmφ以
下の極細伸線が可能となる。
次にパーライト変態条件であるが、570℃以下であると
局部的にベーナイトが発生することを完全には防止でき
ないため、570℃以上とした。630℃以上になると、セメ
ンタイト形状が粒状化してくるので630℃以下とした。
セメンタイト形状が粒状化した場合、伸線加工歪が3以
上の伸線は不可能となり高強度化が図れない。
伸線加工歪であるが0.5mmφ以下の極細線の場合、本発
明の鋼組成ではパーライト組織中のセメンタイトの伸線
方向への配向が伸線加工歪3.5で完成する。そのため下
限を3.5とした。伸線加工歪が3.5以上になると靭性も安
定した状態で強度が高められる。しかし、伸線加工歪が
5.5以上になるとフェライト−セメンタイト界面の剥離
が起り、靭性が急激に劣化する。それ故伸線加工歪は5.
5以下とした。
本発明により安定して0.5mmφ以下の350kg/mm2以上の高
張力鋼線の製造が可能になった。
以下実施例によって本発明を説明する。
[実施例] 50kg真空溶解炉を用いて第1表に示す成分の鋼を溶製し
た。Oについては真空溶解後の脱ガス時間で調整した。
他の合金元素は純金属を添加した。これらの鋼を5.5mm
φ線材に圧延後、伸線加工した。5.5mmφ線材を単釜伸
線機、連続伸線機で伸線し2.0〜0.30mmφ鋼線とした。
これを鉛パテンティング後、最終伸線加工を行った。
第2表に伸線条件と得られた鋼線の特性値を示す。
第1表において鋼種A,X,Zが本発明鋼である。鋼種Bは
Cの下限外れ、DはCの上限外れである。EはSiの下限
外れ、FはSiの上限外れ、GはMnの下限外れ、HはMnの
上限外れ、IはCrの下限外れ、JはCrの上限外れ、Kは
Coの下限外れ、LはNiの下限外れ、MはNiの上限外れ、
NはOの下限外れ、 QはOの上限外れである。RはAlの下限外れ、TはAlの
上限外れの鋼種である。
第2表において試験No.1,17,18,23,24,25が本発明であ
る。
極細用高張力鋼線として工業的に利用されている現行の
ピアノ線材のSWRS82Aを用いた場合、0.30mmφの引張強
さは340kg/mm2、応力100kg/mm2での破断までの疲労寿命
は20,000回程度であり、これが最高の強度、靭性のレベ
ルである。
試験No.1がいかに引張強さが高く、靭性に優れているか
がわかる。No.2はCが低いので引張強さ、疲労特性とも
に低い、疲労は従来SWRS82A並みである。No.3はCが高
いので網目状セメンタイトの存在により伸線途中で断線
したものである。No.4はSiが低いためNo.2と同様引張強
さ、疲労特性ともに低い。No.5はSiが高いため、20μm
以上の硬質のSiO2が発生し断線した。No.6はMnが低いた
め鉛パテンティング後でも表面割れが存在し、潤滑不良
が発生し断線した。No.7はMnが高いためベーナイトが発
生し断線した。No.8はCrが低いためNo.2やNo.4と同様に
引張強さ、疲労特性ともに低い。No.9はCrが高いため1
部粒状セメンタイトが発生し断線したものである。No.1
0はCoが低いため、No.11はNiが低いため、パーライトラ
メラーの整列が良くないので伸線後の捻回、撚り、疲労
特性が悪い。No.12はNiが高いため、パーライトコロニ
ーサイズが大きくなりすぎたため、捻回、撚り、疲労特
性が悪い。No.13,15,16はいずれも硬質介在物により伸
線途中で断線したものである。
No.14は引張強さは400kg/mm2以上となったが、酸化物系
介在物総量がふえたため撚り、疲労特性がSWRS82Aより
劣ったレベルとなっている。
No.17,18は本発明であり引張強さも400kg/mm2以上、捻
回等の靭性も良好である。No.19はパーライト変態温度
が低く、ベーナイトが発生し伸線途中で断線が発生し
た。No.20はパーライト変態温度が高いため、セメンタ
イトの1部が粒状化したため撚り、疲労特性が悪い。N
o.21は伸線加工歪が小さいため疲労寿命が従来のSWRS82
Aレベルにまで達していない。No.22は伸線加工歪が大き
すぎるため捻回値が小さく、疲労寿命も極めて低い。N
o.23,24,25は本発明であり、引張強さも高く、靭性も良
好である。
以上の実施例からも本発明がいかに靭性の優れた高張力
鋼線の製造法であるかがわかる。
[発明の効果] 以上述べたように本発明により現在の製鋼技術、熱処理
技術、伸線技術でも工業的に安定した極細用高張力鋼線
の製造が可能である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C:0.80〜1.20%,Si:0.70〜1.50%, Mn:0.20〜0.70%,Cr:0.30〜1.00%, Co:1.0〜5.0%,Ni:0.10〜2.00%, O:0.0015〜0.0045%,Al:0.0005〜0.0050%, 残部鉄および不可避的不純物からなる鋼線材を570〜630
    ℃の温度でパーライト変態させた後、伸線加工歪3.5〜
    5.5{伸線加工歪=ln(do/dn)2,do:パテンティング線
    径,dn:最終伸線径}の伸線を行うことを特徴とする極細
    用高張力鋼線の製造方法。
JP1512989A 1989-01-26 1989-01-26 極細用高張力鋼線の製造方法 Expired - Lifetime JPH0699746B2 (ja)

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