JPH0699765B2 - 冷間塑性加工性に優れたチタン合金 - Google Patents

冷間塑性加工性に優れたチタン合金

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JPH0699765B2 JP60089847A JP8984785A JPH0699765B2 JP H0699765 B2 JPH0699765 B2 JP H0699765B2 JP 60089847 A JP60089847 A JP 60089847A JP 8984785 A JP8984785 A JP 8984785A JP H0699765 B2 JPH0699765 B2 JP H0699765B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) この発明は、宇宙航空機用材料,自動車用材料,機械構
造部品用材料,生体材料,一般民需用材料などとして使
用される冷間塑性加工性に優れたチタン合金に関するも
のである。
(従来の技術) チタン合金は、鋼と同等の強度をもち、しかも軽量であ
るため、従来から宇宙航空機用材料としてよく使用され
ている。また、最近では、自動車用材料,機械構造部品
用材料,生体材料,一般民需用材料などとしても使用さ
れ始めている。
チタン合金としては従来より種々の化学組織からなるも
のが開発されているが、これらのうち、Ti−6Al−4V合
金は、機械的性質が安定しており、使いやすい合金であ
るため、最も多く使用されているチタン合金である。し
かしながら、このチタン合金は、変形能の小さい六方晶
の結晶構造をもつα相を80%程度含有するため、25%以
上の冷間加工は困難である。このため、冷間塑性加工性
のよい体心立方晶の結晶構造をもつβ相単相型のチタン
合金が注目されている。このβ相単相型のチタン合金と
しては、例えばTi−11.5%Mo−6%Zr−4.5%Sn,Ti−13
%V−11%Cr−3%Al,Ti−10%V−2%Fe−3%Alな
どがある。
(発明が解決しようとする問題点) しかしながら、上記例示した従来のβ相単相型のチタン
合金は、70%程度までの冷間塑性加工は可能であるが、
硬さが約HRC30以上とかなり高いため、冷間鍛造を行う
場合には金型寿命が短く、冷間伸線や冷間圧延を行う場
合にはダイスやロールとの焼付きが起きやすいという問
題点があった。
この発明は、このような従来の問題点に着目してなされ
たもので、溶体化処理後の硬さが約HRC25以下とかなり
低く、冷間鍛造を行う場合に金型寿命が長く、また冷間
伸線や冷間圧延を行う場合にダイスやロールとの焼付き
が生じがたく、冷間塑性加工性に優れたβ相単相型のチ
タン合金を提供することを目的としている。
[発明の構成] (問題点を解決するための手段) この発明によるβ相単相型のチタン合金は、重量%で、
V:8〜25%、Al:0.5〜5%、Cr:1.0%未満、Fe:1.0%以
下、Mn:1.0%以下を含み、さらに必要に応じて、0.01〜
3.0%のREMおよび0.01〜1.0%のCa,S,Se,Te,Pb,Biのう
ちの1種または2種以上を合計で5%以下を含み、残部
実質的にTiよりなり、溶体化処理後の硬さがHRC25以下
であることを特徴とし、冷間塑性加工性に優れたβ相単
相型のチタン合金であることを特徴としている。
以下に、この発明による冷間塑性加工性に優れたβ相単
相型チタン合金の成分範囲(重量%)の限定理由につい
て説明する。
V:8〜25% Vは本発明において最も重要な元素である。チタン合金
においては、その冷間塑性加工性を良くするためには、
本質的にβ相単相組織とする必要があるが、このような
β相単相組織はβ安定化元素を添加することによって達
成される。このβ安定化元素としては、Mo,V,Ta,Nb,Fe,
Cr,Mnなどの金属元素があるが、これらの中で強度の低
いβ相単相合金となるのはMoとVを添加した場合だけで
あり、他の元素でβ相単相組織とした場合には硬さがHR
C25よりも大きくなって冷間塑性加工性が低下する。ま
た、Moは融点が高いため製造性が良くないことおよび高
価であることから実用性にとぼしい。
そこで、本発明者は、これら多くのβ安定化元素につい
て数多くの実験を行った結果、Vのみが硬さを高くする
ことなく冷間塑性加工性を改善できる元素であることを
見い出した。これらの実験においては、例えば、Ti合金
中へのV添加量と溶体化処理後の硬さとの関係を調べ
た。すなわち、ボタンアーク溶解によってTi−4.5%Al
−0.3%CrをベースとしかつV含有量を変化させた各種
のチタン合金を溶製し、100gのインゴットを作成したの
ち圧延加工によって直径10mmの直棒とし、これらの直棒
に対して、900℃×0.5時間加熱後水冷の条件で溶体化処
理を施し、この溶体化処理後の硬さおよび冷間塑性加工
性を調べた。
第1図に、Ti−4.5%Al−0.3%Cr合金中へのVの添加量
と溶体化処理後の硬さとの関係を示した。
第1図に示すように、Vの添加量が多くなるに従って硬
さが低下し、添加量が8%以上となると目標である硬さ
HRC25以下となる。そして、硬さの低下はV添加量が約2
0%まで継続し、これ以上では飽和する。
また、第2図に、直径6mm×長さ11.5mmの試験片を用い
て行った圧縮試験の結果を示す。第2図において、縦軸
の限界圧縮率は、試験片表面に割れが発生した時の歪
(ln[初期高さ(ho)/圧縮後高さ(h)])であり、
この値が大きいほど冷間塑性加工で割れが生じにくいこ
とを示している。
第2図に示すように、Ti−4.5%Al中へのV添加量を増
大するにしたがって冷間塑性加工性が向上していること
がわかる。
第1図および第2図に示すように、チタン合金における
V添加量は、溶体化処理後の硬さを低くし、冷間塑性加
工性を向上させることができるようにする観点から定め
られるが、このVのより望ましい添加量はβ安定化元素
であるCrの含有量によって定められ、この発明によるチ
タン合金では8〜25%の範囲とした。すなわち、上述か
らも明らかなように、Vが8%よりも少ないと、合金中
にα相が残って冷間塑性加工性が悪くなり、25重量%を
超えると、時効硬化しないために使用時に高強度が得ら
れない。
Al:0.5〜5% β相単相型のチタン合金は、通常の場合、溶体化処理後
に冷間塑性加工し、次いで時効硬化処理を行って使用す
るが、Alの添加は前記時効処理後の延性を高くする。そ
して、この効果は0.5〜3.5%でとくに良好に認められ
る。
一方、チタン合金の硬さに及ぼすAl添加の影響を調べ
た。すなわち、ボタンアーク溶解によってTi−18%V−
0.3%CrをベースとしかつAl添加量を変化させた各種の
チタン合金を溶製し、100gのインゴットを作成したのち
圧延加工によって直径10mmの直棒とし、これらの直棒に
対して700℃×0.5時間加熱後水冷の条件で溶体化処理を
施し、この溶体化処理後の硬さを調べた。この結果を第
3図に示す。
第3図に示すようにAl含有量が多くなると硬さが増大す
ることが明らかである。したがって、Al添加量が多すぎ
ると硬さのみが高くなって延性の向上が見られなくな
る。
ところで、β相単相型チタン合金を安価に提供するため
には、Ti−6%Al−4%Vのスクラップを原料として使
用することが有効である。
そこで、上記したAl添加による延性の向上、硬さの増大
ならびに製造コスト等の関係から、Al添加量は0.5〜5
%の範囲とした。
Cr:1.0%未満 Crはβ安定化元素であり、基地の結晶構造を体心立方晶
にするのに効果があるが、溶体化処理後の硬さを低くす
るためにはできるだけ少ない方が望ましい。しかし、上
記のようにβ相を安定にする効果を有しているので、1.
0%未満までは許容できる。
Fe:1.0%以下、 Mn:1.0%以下、 FeおよびMnはいずれもβ安定化元素であり、基地の結晶
構造を体心立方晶にするのに効果があるが、溶体化処理
後の硬さを低くするためにはできるだけ少ない方が好ま
しい。しかし、上記のようにβ相を安定にする効果は、
Vを1とした場合に、Mnは2.4,Feは4.3であっていずれ
もVより大きく、しかも安価であるので複合添加するこ
とにより経済的な効果が大きいため、各々1.0%までは
許容できる。
REM(希土類元素の1種または2種以上:0.01〜3.0% Ca,S,Se,Te,Pb,Biの1種または2種以上:0.01〜1.0% REM,Ca,S,Se,Te,Pb,Biの合計:5%以下 REM,Ca,S,Se,Te,Pb,Biはいずれもチタン合金の被削性を
改善するのに有効な元素である。
これらのうち希土類元素REM(とくにSc,Yおよびランタ
ニド系(原子番号57〜71)のもの)は、S,Se,Teなどと
安定な化合物をつくり、介在物を粒状にし、靱延性を改
善し、被削性を向上させる効果がある。そしてこのよう
な効果を得るためには必要に応じて0.01%以上含有させ
る。しかしながら、多量に含有するとチタン合金の耐食
性および強度を低下させるので、3.0%以下とする必要
がある。また、CaはS,Se,Teなどと安定な化合物をつく
り、介在物の形態を制御し、チタン合金の靱延性ならび
に被削性を改善するのに有効であるので、このような効
果を得るためには必要に応じて0.01%以上含有させる。
しかしながら、多量に含有するとチタン合金の耐食性や
疲労強度を低下させるので、1.0%以下とする必要があ
る。さらに、S,Se,Te,Pb,Biは前述のようにチタン合金
の被削性を向上させる元素であり、このような効果を得
るためには必要に応じて0.01%以上含有させる。しか
し、多すぎるとチタン合金の熱間加工性を著しく低下さ
せるので、各々1.0%以下とした。そして、これらの被
削性改善元素であるREM,Ca,S,Se,Te,Pb,Biの合計量が多
すぎると、チタン合金の耐食性,強度,熱間加工性等を
低下させるので、これらの合計量を5%以下とする必要
がある。
(実施例) 第1表に示す化学成分のチタン合金をPPC(Plasma Prog
ressive casting)炉で溶製し、造塊後直径50mmの丸棒
に鍛造したのち溶体化処理(800℃×0.5時間加熱保持後
水冷)を施して供試材を作成した。
次いで、各々の供試材の溶体化処理後の硬さを測定する
と共に、被削性を評価するための被削性試験および冷間
塑性加工性を評価するための圧縮試験を行った。これら
のうち、硬さの測定はロックウエルCスケールにより行
った。また、被削性試験は第2表に示す条件で行ない、
この条件下での1000mm寿命速度を求め、従来材である6
%Al−4%V−Ti合金の値を100としたときの比、すな
わちドリル寿命速度比で評価した。さらに、圧縮試験
は、第4図に示すように、直径6mm,高さ(ho)11.5mmの
試験片を高さ(h)まで圧縮するときの変形抵抗を求め
て冷間塑性加工性を評価した。
硬さ測定および被削性試験の結果を第1表に示し、圧縮
試験の結果を第5図に示す。
第1表に示すように、この発明によるチタン合金(No.1
〜11)はいずれも溶体化処理後の硬さがHRC25以下であ
り、第5図の圧縮試験結果によれば、この発明によるチ
タン合金(No.1〜3)は従来材であるTi−6Al−4V(No.
12)およびTi−13V−11Cr−3Al(No.13)に比較して変
形抵抗がかなり小さく、かつ表面に割れが著しく発生し
にくいことを示している。すなわち、この発明によるチ
タン合金(No.1〜3)は冷間塑性加工性がすこぶる良好
であると共に、第1表に示すようにドリル寿命速度比が
低く、被削性にも優れたものである。また、この発明に
よるチタン合金において、REM,Ca,S,Se,Te,Pb,Biのうち
の1種以上を添加した合金(No.4〜11)の場合には、第
5図に示したように表面の割れがやゝ発生しやすくなる
ものの、それでも従来材であるTi−6Al−4V(No.12)よ
りも割れが発生しにくく、しかも従来材(No.12,13)に
比べてドリル寿命速度比がかなり高くなり、冷間塑性加
工性のみならず被削性にも著しく優れたものである。
次に、第1表のNo.7に示したチタン合金の時効硬化特性
を調べた。この結果を第6図に示す。第6図に示すよう
に、このチタン合金は700℃以上で、溶体化処理した後
時効処理を施すことによって硬さが高くなり、時効温度
が400℃の時に硬さの増加は最も大きく、例えば溶体化
処理温度が900℃の場合はHRC16のものがHRC34になり、
溶体化処理後の冷間塑性加工性に優れていると共に、時
効処理後に高強度が得られるものであることが確かめら
れた。そして、溶体化処理後冷間塑性加工した場合は、
冷間塑性加工で硬くなった分だけさらに時効処理後の硬
さは高くなることが確認された。
[発明の効果] 以上説明してきたように、この発明によるβ相単相型の
チタン合金は、重量%で、V:8〜25%、Al:0.5〜5%、C
r:1.0%未満、Fe:1.0%以下、Mn:1.0%以下を含み、さ
らに必要に応じて、0.01〜3.0%のREMおよび0.01〜1.0
%のCa,S,Se,Te,Pb,Biのうちの1種または2種以上を合
計で5%以下を含み、残部実質的にTiよりなるものであ
るから、現用のTi−6Al−4Vに比べて冷間塑性加工性に
著しく優れているものであり、冷間塑性加工を行う場合
に金型寿命が長く、また、冷間伸線や冷間圧延を行う場
合にダイスやロールとの焼付きが生じがたく、部品や製
品の製造性に著しく優れたものである。それゆえ、チタ
ン合金の軽量,耐食性,高強度などの特長を生かすこと
によって、宇宙航空機用材料,自動車用材料,機械構造
用材料,生体材料,一般民需用材料等々の幅広い分野に
おいて使用できるようになり、例えば、より具体的に
は、自動車エンジンのバルブ,バルブリテーナー,バル
ブスプリングや、めがねフレームなどに適用することに
よって、軽量でかつ強靱であることによる使用上のメリ
ットと、製造性が良好なことによるコストメリットとを
得ることができるという非常に優れた効果がもたらされ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図はTi−4.5%Al−0.3%Crをベースと
したチタン合金のV含有量と硬さおよび限界圧縮率との
関係を調べた結果の一例を示すグラフ、第3図はTi−18
%V−0.3%Crをベースとしたチタン合金のAl含有量と
硬さとの関係を調べた結果の一例を示すグラフ、第4図
(a)(b)は圧縮試験において用いた試験片の各々圧
縮試験前後の形状を示す説明図、第5図は圧縮試験によ
り求めた各試験片の変形抵抗および変形限界を示すグラ
フ、第6図は時効処理温度による硬さへの影響を調べた
結果の一例を示すグラフである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、V:8〜25%、Al:0.5〜5%、Cr:
    1.0%未満、Fe:1.0%以下、Mn:1.0%以下を含み、残部
    実質的にTiよりなり、溶体化処理後の硬さがHRC25以下
    であることを特徴とする冷間塑性加工性に優れたチタン
    合金。
  2. 【請求項2】重量%で、V:8〜25%、Al:0.5〜5%、Cr:
    1.0%未満、Fe:1.0%以下、Mn:1.0%以下を含み、さら
    に0.01〜3.0%のREMおよび0.01〜1.0%のCa,S,Se,Te,P
    b,Biのうちの1種または2種以上を合計で5%以下を含
    み、残部実質的にTiよりなり、溶体化処理後の硬さがHR
    C25以下であることを特徴とする被削性および冷間塑性
    加工性に優れたチタン合金。
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