JPH0699772B2 - 機械構造部材用高強度アルミニウム合金 - Google Patents

機械構造部材用高強度アルミニウム合金

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JPH0699772B2
JPH0699772B2 JP63225266A JP22526688A JPH0699772B2 JP H0699772 B2 JPH0699772 B2 JP H0699772B2 JP 63225266 A JP63225266 A JP 63225266A JP 22526688 A JP22526688 A JP 22526688A JP H0699772 B2 JPH0699772 B2 JP H0699772B2
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【発明の詳細な説明】 A.発明の目的 (1)産業上の利用分野 本発明は機械構造部材用高強度アルミニウム合金に関す
る。
(2)従来の技術 従来、この種アルミニウム合金として、高圧粉密度を有
する圧粉体に鍛造加工等を直接施す、いわゆる粉末直接
成形法を適用して製造されたものが知られている。
(3)発明が解決しようとする課題 アルミニウム合金に水素ガスが包含されている場合に
は、その疲労強度が損なわれるので、従来は圧粉体に高
温下で脱ガス処理を施しているが、この処理を行うこと
はアルミニウム合金の製造能率を低下させるだけでな
く、その強度を損うおそれがある。
本発明は前記に鑑み、水素化物形成成分を含ませること
によって、脱ガス処理を施さなくても高い疲労強度を発
揮し得る前記アルミニウム合金を提供することを目的と
する。
B.発明の構成 (1)課題を解決するための手段 本発明に係る機械構造部材用高強度アルミニウム合金
は、Si 12.0重量%以上、28.0重量%以下;Cu 0.8重量
%以上、5.0重量%以下;Mg 0.3重量%以上、3.5重量%
以下;Fe 2.0重量%以上、10.0重量%以下;Mn 0.5重量
%以上、2.9重量%以下;ならびにCoおよびPdから選択
される少なくとも一種の水素化物形成成分 0.2重量%
以上、4重量%以下;を含むことを第1の特徴とする。
また、本発明に係る機械構造部材用高強度アルミニウム
合金は、Si 12.0重量%以上、28.0重量%以下;Cu 0.8
重量%以上、5.0重量%以下;Mg 0.3重量%以上、3.5重
量%以下;Fe 2.0重量%以上、10.0重量%以下;Mn 0.5
重量%以上、2.9重量%以下;ならびにCoおよびPdから
選択される少なくとも一種と、Ti、ZrおよびNiから選択
される少なくとも一種とよりなる水素化物形成成分 0.
2重量%以上、4重量%以下;を含むことを第2の特徴
とする。
(2)作用 第1および第2の特徴において、水素化物形成成分の含
有量を前記のように特定すると、アルミニウム合金中の
水素ガスが水素化物となって固定されるので、その合金
の疲労強度が向上する。
たゞし、水素化物形成成分の含有量が0.2重量%を下回
ると、水素化物形成作用が減退し、また4重量%を上回
ると、アルミニウム合金の伸びおよび靱性の低下といっ
た問題を生じる。
また各種合金成分の含有量を前記のように特定すると、
アルミニウム合金において、高温強度、体摩耗性、熱間
鍛造加工性およびヤング率がそれぞれ向上し、また熱膨
脹係数が低下し、さらに高温下における耐応力腐食割れ
特性が改善される。
各合金成分の含有理由および含有量の限定理由は次の通
りである。
(a)Siについて Siは、耐摩耗性、ヤング率および熱伝導率を向上し、ま
た熱膨脹係数を低下する効果を有する、たゞし、12.0重
量%を下回ると前記効果を得ることができず、一方、2
8.0重量%を上回ると、押出し加工および鍛造加工にお
いて成形性が悪化し、割れを生じ易くなる。
(b)Cuについて Cuは、熱処理においてアルミニウム合金を強化する効果
を有する。たゞし、0.8重量%を下回ると、前記効果を
得ることができず、一方、5.0重量%を上回ると、耐応
力腐食割れ特性が悪化し、熱間鍛造加工性が低下する。
(c)Mgについて Mgは、Cuと同様に熱処理においてアルミニウム合金を強
化する効果を有する。たゞし、0.3重量%を下回ると前
記効果を得ることができず、一方、3.5重量%を上回る
と、耐応力腐食割れ特性が悪化し、熱間鍛造加工性が低
下する。
(d)Feについて Feは、高温強度およびヤング率を向上させる効果を有す
る。たゞし、2.0重量%を下回ると、高温強度の向上を
期待することができず、一方、10.0重量%を上回ると高
速熱間鍛造加工が事実上不可能となる。
(e)Mnについて Mnは、特にFe≧4重量%の範囲において、高温強度およ
び耐応力腐食割れ特性を改善し、また熱間鍛造加工性を
向上させる効果を有する。たゞし、0.5重量%を下回る
と、前記効果を得ることができず、一方、2.9重量%を
上回ると、却って熱間鍛造加工性が悪化する等、悪影響
が現れる。
(3)実施例 高強度アルミニウム合金の製造は、粉末の調製、圧粉体
の成形および熱間鍛造加工の順に行われる。
粉末の調製にはアトマイズ法が適用される。調製後の粉
末は篩別処理を施され、100メッシュよりも小さな直径
を有するものが用いられる。
CoおよびPdから選択される少なくとも一種の水素化物形
成成分、またはCoおよびPdから選択される少なくとも一
種と、Ti、ZrおよびNiから選択される少なくとも一種と
よりなる水素化物形成成分は、粉末調製用溶湯に添加さ
れるか、また調製後の粉末に添加される。水素化物の形
成を容易にするためには、後者の方が良い。
前記粉末には、必要に応じてAl2O3粒子、SiC粒子、Si3N
4粒子、ZrO2粒子、TiO2粒子および金属Si粒子から選択
される少なくとも一種の硬質粒子が添加される。硬質粒
子の添加量は、前記粉末、したがってアルミニウム合金
マトリックスに対して0.5重量%以上、15.0重量%以下
に設定される。
硬質粒子をアルミニウム合金マトリックスに分散させる
ことによりマトリックスの結晶転位を固着して、アルミ
ニウム合金のクリープ特性を改善し、また熱膨脹係数を
低下し、さらにヤング率および耐摩耗性を向上させるこ
とができる。ただし、アルミニウム合金マトリックスに
対する硬質粒子の含有量が0.5重量%を下回ると、アル
ミニウム合金の摩耗量が増加し、またヤング率の向上お
よび熱膨脹係数の減少の程度も低くなり、一方、15.0重
量%を上回ると、疲労強度、熱間鍛造加工性および機械
加工性がそれぞれ著しく低下し、また相手材の摩耗量が
増加する等実用に供し得ない。
圧粉体の成形は、1次成形工程および2次成形工程を含
む。
1次成形工程は、成形圧力1〜10t/cm2、粉末温度300℃
以下、好ましくは100〜200℃である。この場合、粉末温
度が100℃を下回ると、圧粉密度が高くならず、一方、2
00℃を上回ると、粉末の凝集(ブリッジング)が発生し
て作業効率が低下するおそれがある。
また圧粉密度は75%以上に設定される。この値を下回る
と、圧粉体の取扱い性が悪化する。
2次成形工程は、成形圧力3〜10t/cm2、圧粉体温度420
〜480℃、成形型温度300℃以下、好ましくは150〜250℃
である。この場合、成形型温度が150℃を下回ると、圧
粉密度が高くならず、一方、250℃を上回ると、成形型
および圧粉体間の潤滑が困難となって圧粉体の焼付きを
発生するおそれがある。
圧粉密度は95〜100%に設定される。この値を下回る
と、熱間鍛造加工においてアルミニウム合金に割れが発
生する。
なお、圧粉体の成形に当っては、1次成形工程のみを用
いる場合もある。
熱間鍛造加工は、圧粉体の加熱温度350〜500℃で行われ
る。この場合、加熱温度が350℃を下回ると、アルミニ
ウム合金に割れが発生し、一方、500℃を上回るとアル
ミニウム合金にブリスタが発生する。
本発明合金は、内燃機関用摺動部材の構成材料として最
適であり、例えばコンロッド用キャップ、クランクジャ
ーナルの軸受キャップ等の軸受部材、吸、排気弁用スプ
リングリテーナ等に適用される。
以下、具体例について説明する。
表Iに示す化学成分を含むアルミニウム合金溶湯を用
い、アトマイズ法を適用して粉末を調製し、その粉末に
篩別処理を施して100メッシュよりも小さな直径を有す
る粉末を得た。
前記粉末を用いて直径60mm、高さ40mmの短円柱状圧粉体
を得た。この場合、1次成形工程は、成形圧力7t/cm2
粉末温度120℃にて行なわれ、圧粉密度は80%であっ
た。また2次成形工程は、成形圧力9t/cm2、圧粉体温度
460℃、成形型温度240℃にて行われ、圧粉密度は99%で
あった。
実施例合金I,IIおよび比較例合金Iに対応する圧粉体に
熱間鍛造加工を施してそれら合金を得た。熱間鍛造は、
圧粉体の加熱温度480℃、型温度150℃、高さ20mmになる
まで自由鍛造、の条件で行われた。
また比較例合金IIに対応する圧粉体に脱ガス処理および
熱間押出し加工を施してその合金を得た。
実施例合金I,IIおよび比較例合金I,IIから平行部の直径
5mm、長さ20mmのテストピースを切出し、それらテスト
ピースを用い、試験温度200℃にて繰返し回数107回の圧
縮−引張り疲労試験を行った。また各テストピースにつ
いて、溶融ガスキャリヤ法を適用して水素ガス量を測定
した。
表IIは疲労試験結果および水素ガス量測定結果を示す。
表IIから明らかなように、実施例合金I,IIは、水素ガス
含有量が多いのにも拘らず比較的大きな疲労強度を有す
る。これは合金中の水素ガスが、CoまたはPdと反応し、
水素化物となって固定されることに起因する。
比較例合金Iは、水素化物形成成分を含有していないの
で、水素ガスの存在に伴い疲労強度が低下する。
比較例合金IIは、脱ガス処理を施されているので、当然
のことながら水素ガス量が減少し、それに伴い疲労強度
が向上する。
以下に述べる各種試験を行うため、表IIIに示すアルミ
ニウム合金組成を有する比較例合金III,IVを製造する。
製造法は、実施例合金I,IIと同一である。比較例合金II
Iの組成は鋳造材であるJIS AC8Cに相当する。
表IVは、実施例合金I,IIおよび比較例合金IIIの熱膨脹
係数およびヤング率を示す。
表IVから明らかなように、実施例合金I,IIは比較例合金
IIIに比べて熱膨脹係数が低下し、またヤング率が向上
している。これは主としてFe含有量に起因する。
表Vは、実施例合金I,IIおよび比較例合金Irに対して応
力腐食割れ試験(JIS H8711)を行った場合の結果を示
す。
応力腐食割れ試験は、縦10mm、横20mm、厚さ3mmのテス
トピースを、それに対する負荷応力をσ0.2×0.9(たゞ
し、σ0.2は、各合金の0.2%耐力)として、液温30℃、
濃度3.5%のNaCl水溶液中に28日間浸漬することにより
行われ、耐応力腐食割れ特性の優劣はテストピースにお
けるクラックの発生の有無により判断された。
表VIから明らかなように、実施例合金I,IIは比較例合金
IVに比べて耐応力腐食割れ特性が優れており、これは主
としてMnの添加に起因する。
表VIは、実施例合金Iおよび比較例合金IIIについて摺
動摩耗試験を行った場合の結果を示す。
摺動摩耗試験は、縦10mm、横10mm、厚さ5mmのテストピ
ースを、速度2.5m/secで回転する直径135mmのJIS S50C
製円盤に圧力200kg/cm2を以て押圧し、また潤滑油を5cc
/minの条件で滴下し、摺動距離18kmに亘って行われたも
ので、摩耗量はテストピースにおける試験前後の重量差
(g)を求めることにより測定された。
表VIから明らかなように、実施例合金Iは比較例合金II
Iに比べて、優れた耐摩耗性を有しており、これはSiの
含有量に起因する。
次に、硬質粒子を含有する合金A1,A2について説明す
る。
合金A1,A2におけるアルミニウム合金マトリックスの化
学成分は、表Iに示す実施例合金I,IIとそれぞれ同一で
あり、これらマトリックスに表VIIに示すように各種硬
質粒子を分散させた。また合金A1,A2は実施例合金I,II
と同一の方法で製造された。
表VIIIは、合金A1,A2における疲労試験結果および水素
ガス量測定結果を示す。試験法および測定法は前記と同
一である。
表VIIIより明らかなように、合金A1,A2は硬質粒子の添
加に伴い、表IIの実施例合金I,IIに比べて疲労強度が向
上する。
表IXは、合金A1,A2の熱膨脹係数およびヤング率を示
す。
表IXから明らかなように、合金A1,A2は表IVの実施例合
金I,IIに比べて、熱膨脹係数が低下し、またヤング率が
向上しており、これはアルミニウム合金マトリックスに
硬質粒子が分散していることに起因する。
また、合金A1,A2に対して前記と同一の応力腐食割れ試
験(JIS H8711)を行ったところ、クラックの発生は認
められなかった。
表Xは、合金A1に対して前記と同一の摺動摩耗試験を行
った場合を示す。
表Xから明らかなように、合金A1は表VIの実施例合金I
に比べて、優れた耐摩耗性を有しており、これはアルミ
ニウム合金マトリックスに硬質粒子が分散していること
に起因する。
表XIは、合金A1および比較例合金1に対してクリープ試
験を行った場合の結果を示す。
クリープ試験は、平行部の直径6mm、長さ40mmのテスト
ピースに、170℃にて12kg/mm2の圧縮力を100時間に亘っ
て付与することにより行われ、クリープ縮み量はテスト
ピースの試験前後の長さの比(%)を求めることによっ
て測定された。
表XIから明らかなように、合金A1は、比較例合金Iに比
べてクリープ縮み量が減少しており、これはアルミニウ
ム合金マトリックスに硬質粒子が分散していることによ
りアルミニウム合金マトリックスの結晶の転位が固着さ
れることに起因する。
なお、鋳造材に相当する比較例合金IIのクリープ縮み量
は0.04%であり、合金A1のそれは鋳造材に略匹敵する。
表XIIは実施例合金III〜XIIの化学成分を示し、また表X
IIIはこれら合金III〜XIIの疲労試験結果および水素ガ
ス量測定結果を示す。各合金の製造法、それら合金に対
する疲労試験および水素ガス量測定法は実施例合金I,II
の場合と同じである。
C.発明の効果 第(1),第(2)項記載の発明によれば、脱ガス処理
を施さなくても水素ガスによる悪影響を回避して高い疲
労強度を発揮し得る機械構造部材用高強度アルミニウム
合金を提供することができる。またこの合金は水素ガス
量に制限されることがないので、脱ガス処理を考慮する
必要性がなく、したがって、合金製造に当り、従来の圧
粉、押出し、鍛造の各工程を順次経ることなく、圧粉工
程から直接鍛造加工に移行する粉末直接成形法の適用が
可能となり、これにより合金製造の簡素化を図って、そ
の量産性を向上させることができる。
さらにこの合金は優れた高温強度、耐摩耗性、熱間鍛造
加工性およびヤング率を有し、また熱膨脹係数が低く、
その上高温下における耐応力腐食割れ特性を改善された
ものである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Si 12.0重量%以上、28.0重量%以下;Cu
    0.8重量%以上、5.0重量%以下;Mg 0.3重量%以上、
    3.5重量%以下;Fe 2.0重量%以上、10.0重量%以下;Mn
    0.5重量%以上、2.9重量%以下;ならびにCoおよびPd
    から選択される少なくとも一種の水素化物形成成分 0.
    2重量%以上、4重量%以下;を含むことを特徴とする
    機械構造部材用高強度アルミニウム合金。
  2. 【請求項2】Si 12.0重量%以上、28.0重量%以下;Cu
    0.8重量%以上、5.0重量%以下;Mg 0.3重量%以上、
    3.5重量%以下;Fe 2.0重量%以上、10.0重量%以下;Mn
    0.5重量%以上、2.9重量%以下;ならびにCoおよびPd
    から選択される少なくとも一種と、Ti、ZrおよびNiから
    選択される少なくとも一種とよりなる水素化物形成成分
    0.2重量%以上、4重量%以下;を含むことを特徴と
    する機械構造部材用高強度アルミニウム合金。
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