JPH07109021B2 - 熱間加工用工具鋼 - Google Patents

熱間加工用工具鋼

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JPH07109021B2
JPH07109021B2 JP60290176A JP29017685A JPH07109021B2 JP H07109021 B2 JPH07109021 B2 JP H07109021B2 JP 60290176 A JP60290176 A JP 60290176A JP 29017685 A JP29017685 A JP 29017685A JP H07109021 B2 JPH07109021 B2 JP H07109021B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は高い高温強度、耐摩耗性を有するとともに、き
わめて大きい焼入性とすぐれた靭性を有し、使用時の昇
温温度が高く、併せて過酷な摩耗作用、熱衝撃を受け、
かつ大きい衝撃応力を受ける各種寸法の熱間鍛造型など
熱間工具用途に適用し、長寿命を与える型材料に関する
ものである。
〔従来の技術〕
使用中の型面温度の上昇が激しく、高度の熱間強度なら
びに熱間耐摩耗性を要求される用途に対しては、従来最
も高温強度の高い材料として高W−V−Co系のAISI H19
系鋼が使用されていた。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしこれは、高温強度が高い反面靭性が低く、用途に
より使用中早期割れ発生をまねく場合があり、また焼入
性が小さいため、焼入冷却速度の僅かな低下により、上
部ベイナイト組織の多量の生成をまねき、この結果靭性
が大幅に低下するため、中〜大寸法の型への適用が困難
であった。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明鋼の化学組成は、中C−中Cr−Ni−中(W・Mo)
−中〜V−Nを基本成分とし、靭性低下の要因の一つで
ある粗大なVC炭化物の生成を抑制し、また基地の焼入組
織を半冷30min程度の徐冷焼入の場合にもマルテンサイ
ト組織主体の組織となるよう十分な焼入性を付与するた
め、C、Cr、Ni、Mnを主体とした合金組成を適切に組合
せ、併せて凝固組織の微細化、オーステナイト結晶粒径
の微細化による靭性向上効果を与え、大寸法の型でもす
ぐれた靭性が得られる特性を付与したものである。
また、C、W、Mo、V量の適切な組合せにより、すぐれ
た高温強度と高温耐摩耗性を付与するとともに、Cr、C
o、Niの添加、Si量の調整により、使用時の昇温により
型面に緻密で固着性が大きく適度の厚みを有する酸化被
膜を形成させ、この面からも高度の高温耐摩耗性、焼付
性を付与したものである。
すなわち本願発明は、 重量%でC0.36〜0.50%、Si1.00%以下、Mn1.50%以
下、Ni0.50〜2.30%、Cr4.05〜6.50%、(1/2W+Mo)1.
90〜3.50%、V0.50%以上1.00%未満、N0.025〜0.15
%、残部Feおよび通常の不純物からなることを特徴とす
る熱間加工用工具鋼、 重量%でC0.36〜0.50%、Si1.00%以下、Mn1.50%以
下、Ni0.50〜2.30%、Cr4.05〜6.50%、(1/2W+Mo)1.
90〜3.50%、V0.50%以上1.00%未満、N0.025〜0.15
%、Co0.50〜4.00%、残部Feおよび通常の不純物からな
ることを特徴とする熱間加工用工具鋼、 重量%でC0.36〜0.50%、Si1.00%以下、Mn1.50%以
下、Ni0.50〜2.30%、Cr4.05〜6.50%、(1/2W+Mo)1.
90〜3.50%、V0.50%以上1.00%未満、N0.025〜0.15
%、Nb0.02〜0.15%、残部Feおよび通常の不純物からな
ることを特徴とする熱間加工用工具鋼、および、 重量%でC0.36〜0.50%、Si1.00%以下、Mn1.50%以
下、Ni0.50〜2.30%、Cr4.05〜6.50%、(1/2W+Mo)1.
90〜3.50%、V0.50%以上1.00%未満、N0.025〜0.15
%、Co0.50〜4.00%、Nb0.02〜0.15%、残部Feおよび通
常の不純物からなることを特徴とする熱間加工用工具鋼
である。
〔作用〕
次に本発明鋼の成分限定の理由について述べる。
Cは、本発明鋼のすぐれた焼入性、焼もどし硬さ、およ
び高温硬さを維持し、またW、Mo、V、NbおよびCrなど
の炭化物生成元素と結合して炭化物を形成し、結晶粒の
微細化、耐摩耗性、焼もどし軟化抵抗、高温硬さを与え
るために添加するものである。
多すぎると靭性が低下するので、含有量を0.50%以下と
し、低すぎると上記添加の効果が得られないので、含有
量を0.36%以上とする。
SiはA1変態点を高めるため、および用途に応じた耐酸化
特性を付与するために添加される。
多量の添加は靭性の点で不利であり、また使用時の保護
性酸化被膜が形成されにくくなり、また熱伝導性の低下
をまねくので1.00%以下とする。
Mnは、本発明鋼の特徴である特にすぐれた焼入性を付与
するために添加される。
多量の添加は焼なまし硬さを上げ、被切削性を低下さ
せ、またA1変態点の低下をまねくので、1.50%以下とす
る。
NiはC、Cr、Mn、Mo、Wなどとともに本発明鋼にすぐれ
た焼入性を付与し、緩やかな焼入冷却速度の場合にも、
マルテンサイト主体の組織を形成し、靭性の低下を防ぐ
ための重要な添加元素である。また基地の本質的な靭性
改善を与える。
Niは上記効果を得るために添加されるが、多すぎるとA1
変態点を過度に低下させ、耐摩耗寿命の低下をまねき、
また焼きなまし硬さを過度に高くして機械加工性を低下
させるので2.30%以下とし、低すぎると上記添加の効果
が得られないので0.50%以上とする。
Crは本発明鋼の特徴である焼入性の向上を目的として添
加されるもので、Niとともに本発明鋼における最も重要
な元素の一つであり、Cr量の設定はきわめて重要であ
る。またCrは焼もどし軟化抵抗および高温強度の向上、
また適度の酸化被膜特性の付与、Cと結合して炭化物を
形成することによる耐摩耗性向上効果、A1変態点向上効
果を得るために添加される。
低すぎると本発明鋼の特徴である特にすぐれた焼入性を
保持することが困難となり、また耐酸化性が不足し、使
用時肌あれを生じ易く、A1変態点の低下、昇温時の軟化
抵抗の劣化、残留炭化物の減少等により、良好な靭性を
耐摩耗性を兼備させるのが困難となるので4.05%以上と
し、高すぎると昇温時凝集しやすい炭化物を形成し、高
温強度、軟化抵抗を低下させるので6.50%以下とする。
徐冷焼入によっても十分な焼入性を得るためには、4.50
〜6.50%添加させるのがより望ましい。
Wは焼入加熱時に固溶しにくい炭化物を多量に形成し
て、耐摩耗性向上に独得の効果をもたらすものであり、
また焼もどし時、凝集しにくい微細な炭化物を析出して
高温耐力を高め、また昇温時の軟化抵抗を特に高くし、
さらに使用中の昇温時に形成される表面酸化被膜の緻密
性を向上させるために添加するものである。Wは、多す
ぎると従来鋼と同様粗大な炭化物を形成する傾向が大と
なり、靭性の低下をまねく。
Moは炭化物を形成し、耐摩耗性を高め、基地に固溶して
焼入性を向上させ、また焼もどし時、微細な炭化物を形
成して高温強度および昇温時の軟化に対する抵抗性を高
め、また使用中の保護性酸化被膜の生成容易性を向上さ
せる効果をもたらすものである。
W、Moは上記効果を得るために添加するが、多すぎると
粗大炭化物の形成や、炭化物量の増大などにより靭性を
低下させ、本発明鋼の特徴であるすぐれた靭性を保持さ
せることが困難となるので、(1/2W+Mo)で3.50%以下
とし、低すぎると上記添加の効果が得られないので1.90
%以上とする。
なお、WとMoの添加効果は類似しているが、高温強度、
耐摩耗性に関してはWの方が有利であり、靭性に関して
はMoの方が有利で、目的、用途により単独または複合添
加を行なうものである。
Vは固溶しにくい炭化物を多量に形成して耐摩耗性およ
び耐焼付性向上効果をもたらすものであり、かつ焼入加
熱時基地に固溶して、焼もどし時微細な凝集しにくい炭
化物を析出し、高い温度領域における軟化抵抗を向上さ
せる。
また焼入時の結晶粒微細化効果をもたらし靭性を向上さ
せ、またA1変態点をあげ高温強度向上効果とあいまっ
て、耐ヒートクラック性を向上させる。多すぎると粗大
な炭化物に生成し、本発明鋼の特徴であるすぐれた靭性
を保持させることが困難となるので1.00%未満とし、低
すぎると上記添加の効果が得られないので0.50%以上と
する。
NはNbとともに凝固組織を微細化し、また焼入時に結晶
粒を微細化させ、徐冷焼入においても粗大な上部ベイナ
イトの生成を防止して、高い靭性を保持させ、本発明鋼
の効果を達成させるための不可欠の重要な添加元素であ
る。
Nは上記効果を得るために添加されるが多量の添加は必
要なく、固溶限からの制約もあり0.15%以下とし、低す
ぎると上記添加の効果が得られないので0.025%以上と
する。
Coは本発明鋼において、きわめて大きい高温耐摩耗性を
付与するための添加元素である。これはCoの添加によ
り、使用中の昇温時きわめて緻密で密着性のよい保護性
酸化被膜を形成し、これにより、相手材との間の金属接
触を防ぎ、本発明鋼の温度上昇を防ぐとともにすぐれた
耐摩耗性をもたらすものである。
Coのこの効果は、Cr、Niをはじめ、W、Moその他の添加
元素量との関係において異なってくるもので、本発明鋼
の場合、多量の添加を必要としない。多すぎると靭性を
低下させるので4.00%以下とし、低すぎると上記添加の
効果が得られないので0.50%以上とする。
Nbは焼もどし時、微細で特に凝集しにくい炭化物を形成
し、昇温時の軟化抵抗を特に高め、また焼入時の結晶粒
の微細化のために添加される。
またN、Cと結び付いて凝固時の初晶生成時の核作用に
より、凝固組織を微細化し、靭性向上の効果をもたら
す。
Nbは上記効果を得るために添加されるが、多すぎると粗
大な炭化物を形成し、靭性を低下させるので0.15%以下
とし、低すぎると上記添加の効果が得られないので0.02
%以下とする。
〔実施例〕
以下本発明を実施例に基づき詳細に説明する。
第1表に本発明鋼および従来の熱間加工用工具鋼の化学
組成を示す。
第2表は第1表に示す本発明鋼および従来鋼の熱処理条
件(目標硬さHRC45)および高温強度を示したもので、
本発明鋼は従来鋼と同等ないしこれに準ずる高温強度を
備えていることがわかる。
第3表は、第1表に示す本発明鋼および従来鋼試料を半
冷30min(焼入温度と室温との中間温度または降温する
までの所要時間が30minとなるような冷却速度)で焼入
冷却後、HRC45に焼もどした場合の破壊靭性値(KIC)
を示す。
従来鋼Kの場合は、半冷30minの焼入で上部ベイナイト
主体の組織となるため、焼もどし後十分な靭性が得られ
ない。
一方本発明鋼の場合、焼入性が大きく、半冷30minの焼
入冷却の場合にもマルテンサイト主体の組織を生成し、
焼もどし後高い靭性値を示している。
このように本発明鋼は、徐冷焼入の場合にも十分な靭性
値が得られるため、大寸法の金型でも空冷焼入で十分な
靭性を維持することができる点に大きな特徴がある。
第4表に本発明鋼の耐ヒートチェック性を示す。試験片
は、第2表に示した各オーステナイト化温度より、半冷
30minで焼入後、HRC45に焼もどしを行なった。
試験片を15mmφ×25mmで660℃に急熱し、水中で20℃に
急冷する操作を3,000回繰返した結果である。
本発明鋼は従来鋼よりクラック個数はやや多いが、平均
および最大深さが小さく格段にすぐれた耐ヒートチェッ
ク性を備えていることがわかる。
これは、本発明鋼が従来鋼と同等ないしこれに準ずるす
ぐれた高温強度を有しており、かつ焼入性が大きく、半
冷30minの焼入においても、上部ベイナイトの生成が抑
制され、高い靭性を維持すること、また合金組成および
凝固時の初晶の核生成効果により、凝固時に粗大な炭化
物を生成する傾向が小さいことによる靭性改善の効果、
などによるものである。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明鋼は半冷時間30min程度、
あるいはこれより冷却速度の遅い徐冷焼入の場合にも靭
性の低下を生ぜず、また合金組織の適切な組合せ、凝固
組織の微細化とあいまって大寸法工具の場合でもすぐれ
た高温強度と高いレベルの靭性を保持することを特徴と
する新しい熱間加工用工具鋼である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%でC0.36〜0.50%、Si1.00%以下、M
    n1.50%以下、Ni0.50〜2.30%、Cr4.05〜6.50%、(1/2
    W+Mo)1.90〜3.50%、V0.50%以上1.00%未満、N0.025
    〜0.15%、残部Feおよび通常の不純物からなることを特
    徴とする熱間加工用工具鋼。
  2. 【請求項2】重量%でC0.36〜0.50%、Si1.00%以下、M
    n1.50%以下、Ni0.50〜2.30%、Cr4.05〜6.50%、(1/2
    W+Mo)1.90〜3.50%、V0.50%以上1.00%未満、N0.025
    〜0.15%、Co0.50〜4.00%、残部Feおよび通常の不純物
    からなることを特徴とする熱間加工用工具鋼。
  3. 【請求項3】重量%でC0.36〜0.50%、Si1.00%以下、M
    n1.50%以下、Ni0.50〜2.30%、Cr4.05〜6.50%、(1/2
    W+Mo)1.90〜3.50%、V0.50%以上1.00%未満、N0.025
    〜0.15%、Nb0.02〜0.15%、残部Feおよび通常の不純物
    からなることを特徴とする熱間加工用工具鋼。
  4. 【請求項4】重量%でC0.36〜0.50%、Si1.00%以下、M
    n1.50%以下、Ni0.50〜2.30%、Cr4.05〜6.50%、(1/2
    W+Mo)1.90〜3.50%、V0.50%以上1.00%未満、N0.025
    〜0.15%、Co0.50〜4.00%、Nb0.02〜0.15%、残部Feお
    よび通常の不純物からなることを特徴とする熱間加工用
    工具鋼。
JP60290176A 1985-12-23 1985-12-23 熱間加工用工具鋼 Expired - Lifetime JPH07109021B2 (ja)

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