JPH07115964A - 新規微生物,酵素および蛋白加水分解物 - Google Patents

新規微生物,酵素および蛋白加水分解物

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JPH07115964A
JPH07115964A JP5300804A JP30080493A JPH07115964A JP H07115964 A JPH07115964 A JP H07115964A JP 5300804 A JP5300804 A JP 5300804A JP 30080493 A JP30080493 A JP 30080493A JP H07115964 A JPH07115964 A JP H07115964A
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enzyme
protein
ferm
bacillus
aminopeptidase
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JP5300804A
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Hidehisa Kawahara
秀久 河原
Hitoshi Obata
斉 小幡
Hiroshi Takagi
博史 高木
Hideki Okamura
英喜 岡村
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Ajinomoto Co Inc
Original Assignee
Ajinomoto Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 工業的にあまり利用されていない食品加工物
中の副産物であるオカラやコラーゲンなどの不溶性蛋白
を分解する新規微生物、その培養物に含まれる複数の蛋
白分解酵素を用いて得られる蛋白加水分解物並びに新規
アミノペプチダーゼと該酵素の製造方法の提供。 【構成】 バチルス・アルベイ(Bacillus alvei)を変異
処理して得た新規変異株(FERM P-13458)、該微生物を培
養して得られる複数の蛋白分解酵素を蛋白質に作用させ
て得られる蛋白加水分解物、該微生物を培養して得られ
る複数の蛋白分解酵素とエキソ型ペプチダーゼを組み合
わせて蛋白質に作用させて得られる蛋白加水分解物並び
に上記バチルスに由来する新規アミノペプチダーゼと上
記バチルスを培養する該アミノペプチターゼの製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規微生物、その培養物
に含まれる複数の蛋白分解酵素を用いて得られる蛋白加
水分解物並びに新規アミノペプチダーゼと該酵素の製造
方法に関する。さらに詳細には、本発明は蛋白の分解能
力に優れている酵素を生産する微生物、バチルス属細菌
バチルス・アルベイ(Bacillus alvei)を分離し、さらに
変異処理して得た菌株(FERM P-13458)並びに該菌株を用
い、食品加工後の副産物であるオカラやコラーゲン等の
十分に利用されていない蛋白質を、本菌の培養物に含ま
れているアミノペプチダーゼ等の複数の蛋白分解酵素を
用いて分解し、遊離アミノ酸含量の高い蛋白加水分解物
を提供すると共に、該菌株に由来する新規アミノペプチ
ダーゼとその製造方法を提供するものである。さらに
は、大豆蛋白やゼラチン等を本菌の培養物に含まれてい
る複数の蛋白分解酵素を用いて分解し、さらに必要に応
じてエキソ型ペプチダーゼを組み合わせて作用させるこ
とにより、分解率が高く、旨味を呈するグルタミン酸ま
たは甘味を呈するアラニン,グリシン,セリンの含有率
が高い蛋白加水分解物を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、食品加工物中の副産物であるオカ
ラやコラーゲンなどの不溶性蛋白は工業的にあまり利用
されていない。しかし、この不溶性蛋白にはグルタミン
酸などの有用なアミノ酸が豊富に含まれている。また、
これらは食品加工後の廃棄物であり、環境汚染物質とし
て問題化していることから、新たな微生物酵素を用いて
分解することが検討されている(食品工業と酵素(一島
英治編)p.107,朝倉書店)。例えばコラーゲンを分解す
る酵素コラゲナーゼに関しては、これまでシュードモナ
ス(Pseudomonas),クロストリジウム(Clostridium),スト
レプトミセス(Streptomyces)属などの微生物で発見され
ている(Sefter,S.et al.,The Enzymes,3,649-697(197
1),Hanada,K.et al.,Agric.Biol.Chem.,37,1771-1781(1
973),Endo,A.et al.,J.Biochem.,102,163-170(1987))
が、不溶性のコラーゲンを分解する酵素はほとんど知ら
れていない。そこで、本発明者の小幡らは不溶性コラー
ゲン分解酵素を生産する微生物を土壌からスクリーニン
グし、最も比活性の高い菌を選び、本菌を Bacillus al
vei と同定した(平成3年度日本発酵工学会大会講演要
旨集、p.209 )。
【0003】さらに、本菌の培養物に含まれる複数の蛋
白分解酵素を用いて、大豆蛋白やゼラチンの他、食品加
工後の副産物であるオカラやコラーゲン等の蛋白質を分
解し、旨味を呈するグルタミン酸や甘味を呈するアラニ
ン,グリシン,セリンなどの遊離アミノ酸含量の高い蛋
白加水分解物を提供する研究も行っている。さて一般
に、バチルス属細菌は菌体外にエンド型ペプチダーゼや
アミラーゼなどの各種分解酵素を分泌生産し、これらは
洗剤,食品,医薬等の用途に広く用いられている(酵素
応用の知識、小巻利章著、幸書房)が、エキソ型ペプチ
ダーゼ、特にアミノペプチダーゼの活性は低く、また該
酵素の生産菌としてはBacillusstearothermophilus(生
化学データブックI,p397,東京化学同人)以外は
ほとんど知られていない。また、代表的なアミノペプチ
ダーゼでプロリンを除くアミノ酸に作用するロイシンア
ミノペプチダーゼは、哺乳類の各組織から分離精製さ
れ、酵素学的諸性質も調べられているが、比活性が低
く、不安定で、しかも微量しか製造できないことから、
製造コストが高く、アミノ酸の決定などの試薬として市
販されているに過ぎない(酵素ハンドブック,p531, 朝
倉書店;Agric. Biol. Chem.,vol.54, 2769(1990))。
【0004】一方、これまでに知られている天然調味料
の製造は、蛋白の分解を経て行なわれるものが主流であ
った。天然調味料と称されるもののうち、分解型天然調
味料は酸分解型と酵素分解型がある。酸分解型調味料に
は、大豆,小麦などの植物性蛋白を原料として得られる
Hydrolyzed Vegetable Protein(以下、HVP と略記する
ことがある。)と、ゼラチン,乳カゼインなどの動物性
蛋白を原料として得られるHydrolyzed Animal Protein
(以下、HAP と略記することがある。)があり、その主
成分であるアミノ酸組成が原料により大きく異なり、呈
味,甘味などに影響を及ぼす。しかしながら、一般に酸
加水分解により HVP,HAP を得る場合、反応条件は10
0℃で1〜2日間を要するが、高温で長時間の反応はエ
ネルギー消費量が大きい。さらに、酸による蛋白の加水
分解は簡便である一方、異臭の発生やアミノ酸の過剰分
解、中和のために高塩分となるなどの欠点がある。
【0005】そこで、近年では原料の風味を有効に生か
すために蛋白分解酵素を利用した製造法も提案されてい
る。酵素分解型調味料としてはこれまでに、卵白分解物
の製造法(特開昭48ー68773号)、脱脂大豆より得る調味
液の製造法(特開昭51ー70852号)、チーズホエーを原料
とする調味料の製造法(特開昭62ー151155 号)、コーン
グルテンミール加水分解物の製造法(特公平2ー295437
号)などが報告されている。
【0006】ところで、同一の基質蛋白質を用いても、
蛋白分解酵素の種類によって切断部位が異なるため、分
解生成物の呈味に差が生じる。すなわち、遊離アミノ酸
の生成度、生成したペプチドの分子量、アミノ酸組成、
その配列順序等によって呈味性が異なる。例えば、大豆
蛋白の場合、エンド型ペプチダーゼ活性の強い酵素を作
用させると、一般に苦味が生成し易いことが知られてい
る(石田賢吾ら、食品工誌、28,524(1976)) 。苦味の生
成は、エンド型ペプチダーゼの食品加工への応用におけ
る最大の難点であり、苦味を生成しない酵素分解法が望
まれる。
【0007】この問題に対して、ミルクカゼインや大豆
蛋白での研究において、エンド型ペプチダーゼ処理によ
って生成した苦味ペプチドを微生物由来のエキソ型ペプ
チダーゼでさらに処理することにより、各種アミノ酸が
遊離し、特にアミノ末端のロイシン,フェニルアラニ
ン、カルボキシル末端のロイシン,フェニルアラニン,
バリンなどが遊離し、苦味が著しく低下し、旨味が増大
するという報告がある(食品工業と酵素、一島英治編、
p.102 、朝倉書店) 。
【0008】以上のように、調味料製造に用いる酵素と
してはアミノ酸、特に疎水性アミノ酸を遊離するエキソ
型のペプチダーゼ活性の強いものが有効であるので、か
かるエキソ型ペプチダーゼの提供が望まれている。一
方、これまでのところ、食品加工物中の副産物であるオ
カラやコラーゲンなどの不溶性蛋白は工業的にあまり利
用されていない。しかし、この不溶性蛋白にはグルタミ
ン酸等の有用なアミノ酸が豊富に含まれている。また、
これらは食品加工後の廃棄物であり、環境汚染物質とし
て問題化していることから、新たな微生物酵素を用いて
分解することが検討されている(食品工業と酵素、一島
英治編、p.107 、朝倉書店) 。しかしながら、これらの
不溶性蛋白を効率よく分解する方法は見つかっていな
い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記の
オカラやコラーゲンなどの不溶性蛋白を酵素を用いて温
和な条件で分解できれば、廃棄物の減少や環境汚染など
の問題も解決され、同時に旨味,甘味を呈するアミノ酸
を多く含有する分解物を得ることができると考えた。
【0010】したがって、温和な条件下で旨味,甘味を
呈するアミノ酸を多く含有するオカラ,コラーゲン等の
各種不溶性蛋白質を分解する酵素分解法が待望されてい
るのが現状である。また、酵素の大量調製が比較的容易
なバチルス属細菌から比活性と安定性の高いアミノペプ
チダーゼを得ることも強く待ち望まれている。しかしな
がら、バチルス・アルベイ野生株の生産する複数の蛋白
分解酵素はその比活性や生産量が十分ではなく、工業的
規模では比活性や生産性の向上など改善の余地があっ
た。また、該バチルス・アルベイに由来する複数の蛋白
分解酵素の中から比活性と安定性に優れたアミノペプチ
ダーゼを分離し、その酵素的性質を明らかにし、その製
造方法を確立することも望まれている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題で
あるバチルス・アルベイ野生株の酵素の比活性、または
生産性を高めるべく鋭意研究を行なったところ、該野生
株から各種蛋白分解能の高い変異株を分離することに成
功し、これにより上記課題を解決し、本発明を完成する
に至らしめた。さらに、この変異株より生産される複数
の酵素系がコラーゲン,ゼラチン,オカラ,大豆蛋白な
どの各種蛋白質を高分解する機構について研究を重ねた
結果、本菌を培養して得られる複数の蛋白分解酵素を蛋
白質に作用させて呈味,風味とも良好な蛋白加水分解物
が得られることを見出し、本発明を完成させた。さら
に、本菌が他のバチルス属細菌と比較して極めて高いア
ミノペプチダーゼ活性を有していることを見出し、その
酵素的諸性質を明らかにすると共に、製造方法を確立し
て、本発明を完全に完成したのである。
【0012】すなわち、本発明はバチルス・アルベイ(B
acillus alvei)を変異処理して得た新規変異株(FERM P
-13458)を提供すると共に該微生物を培養して得られる
複数の蛋白分解酵素(本菌は該アミノペプチダーゼ以外
に複数のエンド型およびエキソ型ペプチダーゼを産生す
る。)を蛋白質に作用させて得られる蛋白加水分解物並
びにこの蛋白分解酵素とエキソ型ペプチダーゼを組み合
わせて蛋白質に作用させて得られる蛋白加水分解物に関
する。さらに、本発明はバチルス・アルベイ(FERM P-13
458)に由来し、下記の性質を有するアミノペプチダー
ゼ、 (1) 作用 本酵素はpH5〜9の間においてペプチドの遊離アミノ
末端より順次ペプチド結合を加水分解してアミノ酸を遊
離せしめる。 (2) 基質特異性 本酵素はロイシン,システイン,アルギニン,グルタミ
ン酸等の多くのアミノ酸を基質とするが、特にロイシン
に良く作用する。 (3) 至適pH及び安定pH範囲 本酵素の基質としてDL−ロイシン−p−ニトロアニリ
ドを用い、かつバッファーとしてリン酸バッファーを用
いたときの至適pHは6〜7である。また、本酵素はp
H4〜10の範囲で安定である。 (4) 作用至適温度 本酵素の基質としてDL−ロイシン−p−ニトロアニリ
ドを用いたときの至適温度は30〜40℃である。 (5) 阻害剤 本酵素はEDTAで完全に活性が阻害される。 (6) 分子量 本酵素はテトラマーであり、SDS−ポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動によると、各サブユニットの分子量は約
50,000〜約60,000である。並びにバチルス・ア
ルベイ(FERM P-13458) を培地に培養し、上記アミノペ
プチターゼを生成、蓄積せしめ、これを採取することを
特徴とするアミノペプチターゼの製造方法を提供するも
のである。
【0013】本発明の新規微生物、すなわちバチルス・
アルベイ変異株(FERM P-13458)は、具体的には従来から
よく用いられている変異剤であるエチルメタンスルホン
酸(以下、EMS と略記することがある。) で変異処理し
た後、細胞壁ペプチドグリカンの生合成を阻害する抗生
物質として知られているバンコマイシンに耐性な株とし
て取得した。変異の誘発に関しては以下の実施例で記載
されているような EMS処理だけでなく、ニトロソグアニ
ジン,メチルメタンスルホン酸などの他の化学物質処
理、紫外線の照射あるいは変異剤処理なしで得られる、
いわゆる自然突然変異によって取得することも可能であ
る。
【0014】また、バンコマイシン耐性変異株はこれま
でにアミラーゼ,エンド型ペプチダーゼ,セルラーゼな
ど菌体外酵素を高生産する変異株として多くの例が知ら
れている(Agric. Biol. Chem.,55 巻, 2387-2391(199
1) )。
【0015】また、本発明者らは、新規エキソ型ペプチ
ダーゼを探すべく、大豆蛋白の加水分解物である醤油中
に残存する難分解性ペプチド分解活性を持った菌が、大
豆蛋白分解に関与する高活性ペプチダーゼ群を有すると
いう仮定の下に、スクリーニングを行なった。すなわ
ち、醤油中の難分解性ペプチドとして既に報告されてい
るグリシルプロリン,グリシルアスパラギン酸,グリシ
ルグルタミン酸(Agr.Biol.Chem.,38(6), 1185-1194, 1
195-1202, 1974) を主な窒素源とする培地で各々培養
し、生育良好菌を得た。その後、得られた生育良好菌の
培養洗浄菌体をペプチダーゼ源として、難分解性ペプチ
ド溶液に添加し、反応液の遊離アミノ酸を薄層クロマト
グラフィー及びニンヒドリン発色させることにより、難
分解性ペプチド分解活性の強い菌株を選抜した。さら
に、このようにして選抜された菌の培養洗浄菌体を、大
豆蛋白のバチルス・アルベイ分解液に作用させ、特にグ
ルタミン酸量を顕著に向上させた菌株を選抜し、これま
でペプチダーゼ活性の強いことが知られていなかった微
生物から新規ペプチダーゼを発見した。
【0016】次に、本発明の微生物の培養に用いられる
栄養培地は、炭素源,窒素源,無機塩類,補助因子など
からなる通常の培地であり、炭素源としてはグルコー
ス,マルトース,フルクトース,シュークロース,乳
糖,澱粉などが単独もしくは組み合わせて用いられる。
窒素源としては酵母エキス,硫酸アンモニウム,不溶性
コラーゲン,大豆蛋白などが、無機塩類としては塩化カ
リウム,硫酸マグネシウム,リン酸水素二ナトリウム,
リン酸二水素カリウムなどが、また補助因子としてはコ
ーンスティープリカーなどが使用される。これらの成分
のうち、マルトース0.2%,コラーゲンまたは大豆蛋白
0.1%,酵母エキス0.1%,硫酸アンモニウム0.2%,
コーンスティープリカー0.1%を含む培地が好適であ
る。
【0017】本発明のアミノペプチダーゼを生産するた
めの微生物の培養条件は、通常の好気的培養条件でよ
く、pH6.0〜8.0、好ましくはpH6.5〜7.5、温度
20〜40℃、好ましくは27〜33℃、時間4〜24
時間、好ましくは13〜18時間が適当である。また、
本発明のアミノペプチダーゼは、培養物をそのままペプ
チダーゼ源として用いることができるが、本発明の方法
により分離採取することにより、酵素の比活性は著しく
増大し、安定性も高くなる。なお、本発明のアミノペプ
チダーゼ等の酵素は、上記した方法により製造されるも
のに限定されず、発現ベクターに接続された該酵素の遺
伝子が導入された大腸菌,枯草菌,酵母などによる組換
えDNA法によって生産することも可能である。また、
変異した遺伝子の染色体に相同組換えを利用して導入し
た細胞より生産することも可能である。いずれの方法で
生産された酵素も同程度の効果を期待することができ
る。また、酵素の精製法も限定されない。
【0018】本発明のバチルス・アルベイ変異株(FERM
P-13458)はアミノペプチダーゼ以外にも種々の蛋白分解
酵素を生産するので、本菌の培養物を蛋白質に作用させ
ると、呈味,風味とも良好な蛋白加水分解物が得られる
わけであるが、本菌が生産するアミノペプチダーゼ以外
に他のエキソ型ペプチダーゼを補助的に添加しても構わ
ない。さて、本発明において用いられるペプチダーゼと
して、上記したものの他、植物,動物,微生物界に広く
分布するロイシンアミノペプチダーゼ,アミノペプチダ
ーゼM,カルボキシペプチダーゼAおよびYなどペプチ
ド鎖のいずれかの末端から順次アミノ酸を1個ずつ遊離
するエキソ型ペプチダーゼを任意に用いることができ
る。一般的に乳カゼインや大豆蛋白などの食品蛋白をエ
ンド型ペプチダーゼ処理すると、ロイシンが末端に存在
するような苦味ペプチドが生成し、風味が著しく低下す
ることが知られている。そこで、この苦味ペプチドを各
種のエキソ型ペプチダーゼで分解することにより、アミ
ノ末端やカルボキシル末端からアミノ酸を遊離させて呈
味性を向上させる試みがなされている(石田ら、食品工
誌、23巻、524-530(1976))。
【0019】本発明においてはバチルス・アルベイ変異
株の培養液中に含まれる複数の蛋白分解酵素で各種蛋白
質をペプチド、さらにはアミノ酸にまで分解する。その
際、必要に応じて本菌が生産するアミノペプチダーゼ以
外の他のエキソ型ペプチダーゼを組み合わせて作用させ
ることにより、遊離するアミノ酸量を向上させる。した
がって、本来大豆蛋白やコラーゲンに多く含まれる旨味
を呈するグルタミン酸や甘味を呈するグリシン,アラニ
ンなどのアミノ酸を遊離させることによって、著しい呈
味向上が期待できる。
【0020】また、本発明において使用する蛋白質原料
としては、酵素処理前の調製を特に限定しないが、好ま
しくは界面活性剤や有機溶媒などで脱脂されたものが望
ましい。原料は食品加工の際に副生し、有効に利用され
ていない豆乳あるいは豆腐製造工程より得られた生オカ
ラや不溶性コラーゲン(タイプI、シグマ社製)などの
他、植物性蛋白原料として脱脂大豆,分離大豆蛋白、動
物性蛋白原料として水溶性ゼラチンなどが用いられ、こ
れらは単独または2種以上を適宜組み合わせて用いられ
る。勿論、上記以外の蛋白質原料を用いても構わない。
【0021】次に、本発明の新規微生物による蛋白質の
分解反応の条件について述べると、例えば原料のオカ
ラ,コラーゲン,脱脂大豆、分離大豆蛋白,ゼラチンな
どの蛋白質に、本発明の新規微生物の培養液を10〜6
0℃、好ましくは30〜50℃にて6時間〜8日間、好
ましくは12時間〜4日間反応させればよい。このと
き、蛋白分解酵素を含む培養液は緩衝液でpH5〜9に調
整するのが望ましい。酵素は、精製されたものを用いて
もよく、粗製品を用いてもよい。
【0022】続いて、本発明者らがさらに分解率を高め
るべく、鋭意研究を行い、前述の通りスクリーニングし
たエキソ型ペプチダーゼとしては、例えば本発明のバチ
ルス・アルベイ変異株由来のアミノペプチダーゼの他、
カンジタ・リポリチカ(ATCC8661),ゲオトリ
チャム・カンジダム(FERM P−13734),カ
ンジダ・トロピカリス(FERM P−13732),
フィロバシディウム・カプスリゲナム(ATCC221
79),カンジダ・グイリモンディ(ATCC905
8),デバリオマイセス・ハンセニ(FERM P−1
3735),トルロプシス・ベルサティリス(FERM
P−13733),セラチア・マルセサンス(ATC
C14226),ラクトバチルス・プランタラム(FE
RM P−13737),ペディオコッカス・ペントサ
セウス(FERM P−13736),ラクトバチルス
・カゼイ・サブスピーシーズ・カゼイ(FERM P−
13738)を培養して得られるペプチダーゼ活性を含
む画分またはプロテアーゼM(商品名、天野製薬(株)
製)を、反応溶液に0.1〜10%添加し、12時間〜8
日間、好ましくは1〜6日間、10〜60℃、好ましく
は30〜50℃、pH3〜8にて反応させて加水分解物
を得る。反応中、防腐の目的で食塩やエタノールを添加
しても差し支えない。
【0023】反応終了後、未反応の原料蛋白質などの不
溶物は遠心分離や濾過など従来の分離法を用いて除去す
ればよい。生成した各蛋白分解液はアミノ酸分析,ニン
ヒドリン定量,総窒素量,フォルモール態窒素定量によ
る遊離ペプチド量,遊離アミノ酸量,分解率の測定並び
に酵素処理の前後における重量比較による重量分解率の
測定などの分析を行なう。
【0024】
【実施例】以下、実施例により本発明のバチルス・アル
ベイの高分解能変異株の分離、該微生物由来の酵素につ
いての酵素化学的性質、その製造方法、さらには各種蛋
白の加水分解物の製造法等について示す。 実施例1(バチルス・アルベイ変異株の分離と該微生物
由来の酵素の性質) まず、バチルス・アルベイ(Bacillus alvei)DC-1野生株
のコラゲナーゼなど各種蛋白分解酵素の生産培地として
培地中の炭素源,窒素源,補助因子等の影響について検
討した結果、硫酸アンモニウム0.2%,マルトース0.2
%,酵母エキス0.1%,コーンスチープリカー0.1%の
添加が有効であることが判った。以後、マルトース0.2
%,コラーゲン(タイプI、シグマ社製)0.1%,コー
ンスチープリカー0.1%,酵母エキス0.1%,塩化カリ
ウム0.05%,硫酸アンモニウム0.2%,硫酸マグネシ
ウム0.05%,リン酸水素二ナトリウム0.1%,リン酸
二水素カリウム0.1%を含有する培地(pH7.0)を生産
培地として使用することにした。
【0025】肉汁培地(肉エキス10g,ペプトン10
g,塩化ナトリウム5g、pH7.2)10mlに上記微生
物を接種し、30℃で24時間前培養を行なったものを
種菌として生産培地に植菌し(1%)、30℃で12時
間培養した。その後、EMS を0, 1.0,2.0, 3.0%と
なるように上記培養液に添加し、30℃で30分間振盪
処理を行なった。また、予め本菌株のバンコマイシンに
対する耐性能は、20μg/ml以下であることを確認し
た。したがって、バンコマイシンが25μg/mlになるよ
うに平板培地上に塗布しておいた培地にEMS 処理した培
養液を全て同じ希釈率(10-5)で希釈した溶液100
μl を塗布した。その結果、表1に示したようなコロニ
ー数となり、そのコロニーをバンコマイシン耐性変異株
とした。
【0026】
【表1】 表1バチルス・アルベイ野生株をEMS 変異処理したときのコロニー数と生存率 ──────────────────────────── EMS濃度 3% 2% 1% 0% コロニー数 287 1,706 2,536 2,648 生存率(%) 10.8 64.4 95.8 100 ────────────────────────────
【0027】EMS 処理後のスクリーニングにより得られ
たバンコマイシン耐性株数種をコラーゲン(タイプI)
を炭素源として培養した後、培養上澄み液の硫安沈澱画
分(0〜80%)を粗酵素として調製した。この粗酵素
画分のコラーゲンや乾燥大豆不溶性蛋白に対する比活性
を Mandle法(Enzyme Data Sheet Library(生化学工業)
Code No.100370)により測定した。具体的には、14
0mlの1M塩化カルシウムに10.5mlの1Mトリス
ヒドロキシメチルアミノメタンを添加し、塩酸で pH 7.
4に調整し、その混合液10mlを90mlの0.85%
塩化ナトリウムに加えた。次に、25mgのコラーゲン
または乾燥大豆不溶性蛋白を試験管に取り、4.9mlの
緩衝液を加え、37℃で5分間プレインキュベートし
た。
【0028】この溶液に0.1mlの酵素溶液を加え、3
7℃で18時間インキュベートした。さらに、5%ピリ
ジン溶液1mlと1%ニンヒドリン溶液1mlの混合溶
液に0.5mlの反応液を添加し、25分間煮沸した。冷
却後、3mlの蒸留水を加え、570nmの吸光度を測
定した。酵素活性は570nmでの吸光度を1,000倍
し、0.5mlのニンヒドリン−ピリジン混合液中の酵素
量(mg)で割った値を Mandle ユニットとして算出し
た。
【0029】耐性株数種の中で、基質である乾燥大豆不
溶性蛋白に対して中性および酸性域における活性が増大
している耐性株バチルス・アルベイ(Bacillus alvei)VR
300を高分解能変異株として分離した。本菌は工業技術
院生命工学工業技術研究所にFERM P-13458として寄託さ
れている。本菌の菌学的性質を以下に示す。
【0030】(a)形態的性質 細胞の大きさおよび形:0.6〜0.65×1.1〜1.2μ
mの桿菌 細胞の多形性の有無:なし 運動性の有無:なし 胞子の有無:胞子形成あり グラム染色性:グラム陽性
【0031】(b)生理学的性質 (1) 硝酸塩の還元:陰性 (2) MRテスト:陽性 (3) VPテスト:陽性 (4) インドールの生成:陽性 (5) 硫化水素の生成:陰性 (6) デンプン,カゼイン,ゼラチンの加水分解:陽性 (7) 色素の生成:コロニーは黄色であるが、菌体外への
色素生成は認められない。 (8) ウレアーゼ:陽性
【0032】(9) オキシダーゼ:陽性 (10)カタラーゼ:陽性 (11)生育の範囲 pH: pH6〜9で生育する。 pH7〜8で良好な生育を示す。 温度:30℃で良好な生育を示す。 40℃では生育しない。 (12)酸素に対する態度: 好気性 (13)O−Fテスト:Hugh and Leifsonの方法でグルコー
スより好気的にも嫌気的にも酸を生成する。 (14)糖類からの酸およびガスの生成:D−グルコースよ
り酸およびガスを生成する。L−アラビノース,D−キ
シロース,D−マンノースより生成せず。 (15)ジヒドロキシアセトンの生成:陽性 (c)DNA塩基組成:GC含量は45% (d)分離源:土壌
【0033】以上の菌学的性質をBergey's Manual of D
eterminative Bacteriology のバチルス属の分類基準に
より検索すると、本菌はバチルス・アルベイと同定され
た。次に、この変異株をコラーゲン(タイプI)あるい
は不溶性大豆蛋白を炭素源として培養した後、培養上澄
み液の硫安沈澱画分(0〜80%)を粗酵素として調製
した。この粗酵素の乾燥不溶性大豆蛋白分解に対するpH
の影響を調べたところ、pH5.5とpH7.5に2つの活性ピ
ークが得られた。また、両活性ピークともエンドペプチ
ダーゼ活性であった。この両酵素活性に対する各種プロ
テアーゼ阻害剤の影響を調べた。その結果、表2に示し
たように、硫化ナトリウムに感受性が高かったことか
ら、両酵素は金属プロテアーゼの一種であることが示さ
れた。
【0034】
【表2】 表2 乾燥不溶性大豆分解活性に対するプロテアーゼ阻害剤の影響 ────────────────────────────── 阻害剤 pH 比活性(Mandle U/mg ) 相対活性(%) ────────────────────────────── 無処理 7.5 321 ×105 100 5.5 295 ×105 100 N-エチルマレ 7.5 290 ×105 90 イミド 5.5 234 ×105 79 硫化ナトリウム 7.5 112 ×105 35 5.5 134 ×105 45 6−アミノ−n 7.5 353 ×105 110 −カプロン酸 5.5 245 ×105 83 ──────────────────────────────
【0035】また、両酵素活性に対する各種金属イオン
の影響を調べた。その結果、表3に示したように、カル
シウムイオンやマグネシウムイオンが存在すると、活性
が発現するが、亜鉛イオン,鉄イオン,銅イオンなどで
は著しく活性が阻害された。なお、マンガンイオンはp
H7.5に活性を有する画分の活性を阻害したが、pH5.
5に活性を有する画分には影響を与えなかった。
【0036】
【表3】 表3 乾燥不溶性大豆分解活性に対する各種金属イオンの影響 ────────────────────────────── 金属イオン pH 比活性(Mandle U/mg ) 相対活性(%) ────────────────────────────── 無処理 7.5 1337 ×105 100 Ca 1111 83 Mg 1327 99 Mn 521 39 Zn 65 5 Fe 404 30 Cu 0 0 ────────────────────────────── 無処理 5.5 368 100 Ca 368 100 Mg 416 113 Mn 400 109 Zn 182 49 Fe 211 57 Cu 45 12 ──────────────────────────────
【0037】実施例2(バチルス・アルベイ変異株によ
る各種蛋白質の分解) 上記実施例1で述べたバチルス・アルベイ変異株(FERM
P-13458)の培養上澄み液を用いて各種蛋白質の分解活
性を測定した。まず初めに、培養時の炭素源の変化によ
り得られた培養上澄み液中のコラゲナーゼ活性をMandle
法で測定し、その結果を表4に示した。表から明らかな
ように、乾燥不溶性大豆粉末やコラーゲンによって高い
コラゲナーゼ活性が誘導された。
【0038】
【表4】 表4バチルス・アルベイ変異株の培養時におけるコラゲナーゼ誘導基質の影響 ──────────────────────── 誘導基質 比活性(Mandle U/mg ) ──────────────────────── コラーゲン 42.8 ×105 乾燥不溶性大豆粉末 58.1 ×105 オカラ 23.1 ×105 ────────────────────────
【0039】次に、各種誘導基質で培養した後の培養上
澄み液中の酵素による各基質分解活性をニンヒドリン法
で測定した。酵素反応は、pH7.4、18時間、37℃の
条件で行なった。酵素反応の基質は、コラーゲン,乾燥
不溶性大豆粉末,オカラを用いた。その結果を表5に示
した。表から明らかなように、それぞれの誘導基質を用
いることにより、高い活性が誘導され各種の不溶性蛋白
を分解した。
【0040】
【表5】 表5 各種誘導基質で培養した後の培養上澄み液による各種基質分解活性 (コラーゲン/コラーゲンを100とする相対活性) ────────────────────────────── 誘導基質 酵素基質(%) コラーゲン 乾燥不溶性大豆蛋白 オカラ ────────────────────────────── コラーゲン 100 133 72 乾燥不溶性大豆蛋白 136 86 57 オカラ 72 N.T. 156 ──────────────────────────────
【0041】さらに、コラーゲンで誘導培養した後の培
養上澄み液の硫安沈澱画分を用いて各種基質を分解し、
その後、ニンヒドリン定量から逆算して遊離ペプチドお
よび遊離アミノ酸量を定量した。その結果を表6に示し
た。
【0042】
【表6】 表6 各種基質分解反応後の遊離ペプチド、遊離アミノ酸量 ────────────────────────────────── 酵素基質 コラーゲン 乾燥不溶性大豆蛋白 オカラ 18hr 66hr 18hr 66hr 18hr 66hr ────────────────────────────────── 比活性 25.5 57.6 35.1 112.0 28.4 24.6 (Mandle U/mg ) ペプチド 2,182 5,116 3,205 10,440 3,175 3,722 (nmol/l) アミノ酸 194 336 310 1,468 149 83 (nmol/l) ──────────────────────────────────
【0043】また、アミノ酸分析の結果を表7に示す。
各基質蛋白により数値は異なるが、グルタミン酸,アラ
ニン,グリシン,メチオニン,リジン,チロシン,スレ
オニンなど各種アミノ酸が著量遊離していた。
【0044】
【表7】 表7 各種基質分解反応後のアミノ酸分析による遊離アミノ酸量(nmol) ───────────────────────────────── アミノ酸 コラーゲン 乾燥不溶性大豆蛋白 オカラ 18hr 66hr 18hr 66hr 18hr 66hr ───────────────────────────────── Asp - 4.1 1.9 17.9 1.1 2.9 Thr 1.2 6.2 10.3 94.9 1.1 - Ser 0.7 2.3 4.9 53.9 1.1 - Glu - 3.2 16.9 99.8 0.5 29.4 Gly 2.3 13.1 13.4 54.3 - 4.6 Ala 9.5 5.0 7.6 82.6 - 11.3 Val - 5.4 1.5 46.0 15.5 - Met 2.8 15.6 1.8 178.1 16.3 - Lys 89.5 126.7 - 266.0 86.4 31.4 Arg 79.3 34.1 117.4 39.3 - 0.8 Cys 2.4 1.2 - 91.5 - 2.7 Tyr - 93.5 - 162.1 - - ─────────────────────────────────
【0045】さらに、培養上澄み液あるいは硫安画分を
用いて各基質の重量分解率を測定した。なお、酵素反応
は37℃で18時間、pH7.4と各基質の最適酸性pHで行な
った(コラーゲン:pH4.5,乾燥不溶性大豆蛋白:pH4.5,
オカラ:pH5.5) 。また、反応に使用した蛋白質濃度は上
澄み液で26.1μg/ml、硫安画分で642μg/mlであっ
た。結果を表8に示した。なお、表中の酸性(上澄み)
は最適酸性pHの上澄み液での反応を示す。
【0046】
【表8】 表8 培養上澄み液あるいは硫安画分による各基質の重量分解率 ──────────────────────────────── 基質 重量分解率(%)(w/v) pH 7.4(上澄み) pH 7.4 (硫安) 酸性(上澄み) ──────────────────────────────── コラーゲン 10.0 34.7 2.4 乾燥不溶性大豆粉末 N.T. 34.7 N.T. オカラ 23.6 N.T. 8.2 ────────────────────────────────
【0047】実施例3(バチルス・アルベイ変異株によ
るゼラチンの分解テスト) 水溶性ゼラチンHA-J(商品名、新田ゼラチン(株)製)
4gにマルトース0.2%,分離大豆蛋白アジプロンSU
0.1%,コーンスチープリカー0.1%,酵母エキス0.1
%,塩化カリウム0.05%,硫酸アンモニウム0.2%,
硫酸マグネシウム0.05%,リン酸水素二ナトリウム0.
1%,リン酸二水素カリウム0.1%を含有する培地(pH
7.0)にて30℃で18時間培養したバチルス・アルベ
イ変異株(FERM P-13458)の培養液を7.5ml(プロテア
ーゼ活性として300ユニット),10mMリン酸カル
シウム緩衝液(pH7.0) を12.5mlおよびエタノール
(3%)を加え、40℃にて無菌的に3日間反応させ
た。さらに、pH5に調整後、エキソ型ペプチダーゼとし
てプロテアーゼM(商品名、天野製薬(株)製)を80
mg添加し、40℃にて6日間分解した。分解物を10
0℃で10分間加熱し、酵素を失活させた後、遠心分離
を行ない分解濾液を得た。この分解濾液の分析値を表9
に示す。
【0048】表から明らかなように、酵素無処理に比べ
ると、フォルモール態窒素/総窒素として示される分解
率,旨味を呈するグルタミン酸量,甘味を有するアラニ
ン,グリシン量が大幅に増加していた。したがって、得
られた分解濾液はそのままでもすぐれたアミノ酸調味液
として使用することができる。
【0049】
【表9】 表 9 ───────────────────────────── 分析項目 分析値(括弧内は酵素無添加区) ───────────────────────────── 総窒素(g/dl) 2.81 (2.92) フォルモール態窒素(g/dl) 1.32 (0.11) フォルモール態窒素/総窒素(%) 47 (3.6) グルタミン酸(g/dl) 0.69 (0.012) グルタミン酸/総窒素 0.25 (0.0039) グリシン(g/dl) 1.12 (0.01) グリシン/総窒素 0.40 (0.003) アラニン(g/dl) 1.27 (0.003) アラニン/総窒素 0.45 (0.001) ─────────────────────────────
【0050】実施例4(バチルス・アルベイ変異株によ
る大豆蛋白の分解テスト) 分離大豆蛋白アジプロンSU(商品名、味の素(株)製)
5%懸濁液16ml(0.8g)にマルトース0.2%,分
離大豆蛋白アジプロンSU 0.1%,コーンスチープリカー
0.1%,酵母エキス0.1%,塩化カリウム0.05%,硫
酸アンモニウム0.2%,硫酸マグネシウム0.05%,リ
ン酸水素二ナトリウム0.1%,リン酸二水素カリウム0.
1%を含有する培地(pH7.0)にて30℃で18時間培養し
たバチルス・アルベイ変異株(FERM P-13458) の培養液
を2.5ml(プロテアーゼ活性として100ユニッ
ト),10mMリン酸カルシウム緩衝液(pH7.0) を17.
5mlおよびエタノール(3%)を加え、40℃にて無
菌的に3日間反応させた。さらに、pH5に調整後、エキ
ソ型ペプチダーゼとしてプロテアーゼM(商品名、天野
製薬(株)製)を80mg添加し、40℃にて6日間分
解した。次いで、分解物を100℃で10分間加熱し、
酵素を失活させた後、遠心分離を行なって分解濾液を得
た。この分解濾液の分析値を表10に示す。
【0051】表から明らかなように、酵素無処理に比べ
ると、フォルモール態窒素/総窒素として示される分解
率および旨味を呈するグルタミン酸量から推定して、原
料蛋白質はほぼ完全分解されていた。したがって、得ら
れた分解濾液はそのままでもすぐれたアミノ酸調味液と
して使用することができる。
【0052】
【表10】 表 10 ───────────────────────────── 分析項目 分析値(カッコ 内は酵素無添加区) ───────────────────────────── 総窒素(g/dl) 0.56 (0.53) フォルモール態窒素(g/dl) 0.42 (0.063) フォルモール態窒素/総窒素(%) 75 (11) グルタミン酸(g/dl) 0.58 (0.012) グルタミン酸/総窒素 1.04 (0.023) ─────────────────────────────
【0053】実施例5(ペプチダーゼ生産菌のスクリー
ニング) 一次スクリーニングとして、味の素(株)保有酵母22
0株,細菌366株,乳酸菌22株を表11〜13に示
すグリシルプロリン,グリシルアスパラギン酸,グリシ
ルグルタミン酸のような難分解性ペプチドを主な窒素源
とする培地で各々培養し、生育良好菌を一次選抜菌とし
た。
【0054】
【表11】 表11 酵母の培養に用いた培地組成 ───────────────────────── 培地組成 濃度(%) ───────────────────────── グルコース 1.0 KH2 PO4 0.5 MgSO4 ・7H2 O 0.05 グリシルプロリン 0.3 グリシルアスパラギン酸 0.3 グリシルグルタミン酸 0.3 (pH6.0) ─────────────────────────
【0055】
【表12】 表12 細菌の培養に用いた培地組成 ───────────────────────── 培地組成 濃度(%) ───────────────────────── グルコース 0.5 K2 HPO4 0.2 MgSO4 ・7H2 O 0.1 酵母エキス 0.025 グリシルプロリン 0.3 グリシルアスパラギン酸 0.3 グリシルグルタミン酸 0.3 (pH7.0) ─────────────────────────
【0056】
【表13】 表13 乳酸菌の培養に用いた培地組成 ───────────────────────── 培地組成 濃度(%) ───────────────────────── グルコース 2.0 K2 HPO4 0.2 酢酸ナトリウム 0.5 MgSO4 ・7H2 O 0.02 MnSO4 ・4H2 O 0.005 酵母エキス 0.025 グリシルプロリン 0.3 グリシルアスパラギン酸 0.3 グリシルグルタミン酸 0.3 (pH6.5) ─────────────────────────
【0057】また、二次スクリーニングを以下のように
行なった。各々100mMのリン酸水素カリウム緩衝液
(pH7.0)に溶解させた終濃度0.1%のグリシルプロ
リン,グリシルアスパラギン酸,グリシルグルタミン酸
溶液に、エキソ型ペプチダーゼ源として一次選抜菌の培
養洗浄菌体を添加し、30℃で24時間反応させた。そ
の後、反応液の遠心上清を酢酸エチル:エタノール:酢
酸:水=5:2:1:2の展開溶媒を用いた薄層クロマ
トグラフィーで展開後、ニンヒドリン発色させることに
よりそれらのジペプチド分解活性の強い菌株を二次選抜
菌とした。
【0058】次に、最終スクリーニングを以下のように
行なった。分離大豆蛋白アジプロンSU(商品名、味の
素(株)製)5%懸濁液16ml(0.8g)に、マルト
ース0.2%,分離大豆蛋白アジプロンSU0.1%,コー
ンスチープリカー0.1%,酵母エキス0.1%,塩化カリ
ウム0.05%,硫酸アンモニウム0.2%,硫酸マグネシ
ウム0.05%,リン酸水素二ナトリウム0.1%,リン酸
二水素カリウム0.1%を含有する培地(pH7.0)にて
30℃で16時間培養したバチルス・アルベイ変異株
(FERM P−13458)の培養液を2.5ml(プ
ロテアーゼ活性として100ユニット),10mMリン
酸カリウム緩衝液(pH7.0) を1.5mlおよびエタノ
ール(3%)を加え、40℃にて無菌的に3日間反応さ
せた。さらに、二次選抜菌の培養洗浄菌体を各々10%
添加し、40℃にて6日間分解し、その遠心上清の総窒
素,フォルモール態窒素,グルタミン酸の定量を行な
い、特にグルタミン酸量を顕著に向上させた菌株を三次
選抜菌とした。以上のスクリーニング結果を表14,1
5に示す。なお、表15において、グルタミン酸/総窒
素の値が無添加の時の値と比較して0.1以上の差があれ
ば、有意差があることを示している。
【0059】
【表14】 表14 スクリーニングによって選抜された各菌株数 ──────────────────────────────────── 菌種 全体数 一次選抜菌数 二次選抜菌数 三次選抜菌数 ──────────────────────────────────── 酵母 220 134 34 7 細菌 366 27 15 1 乳酸菌 22 5 5 3 ────────────────────────────────────
【0060】
【表15】 表15 三次選抜菌を使用したとき、グルタミン酸/総窒素の値 ─────────────────────────────────── 菌株名 グルタミン酸/総窒素 ─────────────────────────────────── 無添加 0.67 カンジダ・リポリチカ 0.84 ゲオトリチャム・カンジダム 0.77 カンジダ・トロピカリス 0.83 フィロバシディウム・カプスリゲナム 0.78 カンジダ・グイリモンディ 0.81 デバリオマイセス・ハンセニ 0.79 トルロプシス・ベルサティリス 0.86 セラチア・マルセサンス 0.85 ラクトバチルス・プランタラム 0.78 ペディオコッカス・ペントサセウス 0.79 ラクトバチルス・カゼイ・サブスピーシーズ・カゼイ 0.80 ───────────────────────────────────
【0061】実施例6(バチルス・アルベイ変異株との
酵母由来エキソ型ペプチダーゼの組合せによる大豆蛋白
の分解テスト) 実施例5と同様に分離大豆蛋白アジプロンSU(商品
名、味の素(株)製)のバチルス・アルベイ分解液を調
製し、次に、カンジタ・リポリチカ(ATCC866
1)、ゲオトリチャム・カンジダム(FERM P−1
3734),カンジダ・トロピカリス(FERM P−
13732),フィロバシティウム・カプスリゲナム
(ATCC22179),カンジダ・グイリモンディ
(ATCC9058),デバリオマイセス・ハンセニ
(FERM P−13735),トルロプシス・ベルサ
ティリス(FERM P−13733)の培養洗浄菌体
を各々10%添加し、40℃にて6日間分解後、その遠
心上清の総窒素、フォルモール態窒素の定量及びアミノ
酸分析を行なった。その分析値を表16〜表23に示
す。
【0062】
【表16】 表16 カンジダ・リポリチカ(ATCC8661)使用時 ─────────────────────────────────── 分析項目 分析値(括弧内は酵素無添加区) ─────────────────────────────────── 総窒素(g/dl) 0.50(0.45) フォルモール態窒素(g/dl) 0.33 (0.059) フォルモール態窒素/総窒素(%) 66 (13) グルタミン酸(g/dl) 0.42 (0.009) グルタミン酸/総窒素 0.84 (0.020) ───────────────────────────────────
【0063】
【表17】 表17 ゲオトリチャム・カンジダム(FERM P−13734)使用時 ─────────────────────────────────── 分析項目 分析値(括弧内は酵素無添加区) ──────────────────────────────────── 総窒素(g/dl) 0.49(0.45) フォルモール態窒素(g/dl) 0.33 (0.059) フォルモール態窒素/総窒素(%) 67 (13) グルタミン酸(g/dl) 0.38 (0.009) グルタミン酸/総窒素 0.77 (0.020) ───────────────────────────────────
【0064】
【表18】 表18 カンジダ・トロピカリス(FERM P−13732)使用時 ──────────────────────────────────── 分析項目 分析値(括弧内は酵素無添加区) ──────────────────────────────────── 総窒素(g/dl) 0.51(0.45) フォルモール態窒素(g/dl) 0.33 (0.059) フォルモール態窒素/総窒素(%) 65 (13) グルタミン酸(g/dl) 0.42 (0.009) グルタミン酸/総窒素 0.83 (0.020) ────────────────────────────────────
【0065】
【表19】 表19 フィロバシディウム・カプスリゲナム(ATCC22179)使用時 ──────────────────────────────────── 分析項目 分析値(括弧内は酵素無添加区) ──────────────────────────────────── 総窒素(g/dl) 0.48(0.45) フォルモール態窒素(g/dl) 0.32 (0.059) フォルモール態窒素/総窒素(%) 67 (13) グルタミン酸(g/dl) 0.37 (0.009) グルタミン酸/総窒素 0.78 (0.020) ────────────────────────────────────
【0066】
【表20】 表20 カンジダ・グイリモンディ(ATCC9058)使用時 ──────────────────────────────────── 分析項目 分析値(括弧内は酵素無添加区) ──────────────────────────────────── 総窒素(g/dl) 0.50(0.45) フォルモール態窒素(g/dl) 0.33 (0.059) フォルモール態窒素/総窒素(%) 66 (13) グルタミン酸(g/dl) 0.41 (0.009) グルタミン酸/総窒素 0.81 (0.020) ────────────────────────────────────
【0067】
【表21】 表21 デバリオマイセス・ハンセニ(FERM P−13735)使用時 ──────────────────────────────────── 分析項目 分析値(括弧内は酵素無添加区) ──────────────────────────────────── 総窒素(g/dl) 0.46(0.45) フォルモール態窒素(g/dl) 0.30 (0.059) フォルモール態窒素/総窒素(%) 65 (13) グルタミン酸(g/dl) 0.36 (0.009) グルタミン酸/総窒素 0.79 (0.020) ────────────────────────────────────
【0068】
【表22】 表22 トルロプシス・ペルサティリス(FERM P−13733)使用時 ──────────────────────────────────── 分析項目 分析値(括弧内は酵素無添加区) ──────────────────────────────────── 総窒素(g/dl) 0.48(0.45) フォルモール態窒素(g/dl) 0.32 (0.059) フォルモール態窒素/総窒素(%) 67 (13) グルタミン酸(g/dl) 0.41 (0.009) グルタミン酸/総窒素 0.86 (0.020) ────────────────────────────────────
【0069】
【表23】
【0070】表内の番号は、エキソ型ペプチダーゼ無
添加,カンジタ・リポリチカ(ATCC8661),
ゲオトリチャム・カンジダム(FERM P−137
34),カンジダ・トロピカリス(FERM P−1
3732),フィロバシディウム・カプスリゲナム
(ATCC22179),カンジダ・グィリモンディ
(ATCC9058),デバリオマイセス・ハンセニ
(FERM P−13735),トルロプシス・ベル
サティリス(FERM P−13733)由来エキソ型
ペプチダーゼ添加区に相当する。
【0071】実施例7(バチルス・アルベイ変異株と細
菌由来のエキソ型ペプチダーゼの組合せによる大豆蛋白
の分解テスト) 実施例5と同様に分解大豆蛋白アジプロンSU(商品
名,味の素(株)製)のバチルス・アルベイ分解液を調
製し、次に、セラチア・マルセサンス(ATCC142
26)の培養洗浄菌体を10%添加し、40℃にて6日
間分解後、その遠心上清の総窒素,フォルモール態窒素
の定量及びアミノ酸分析を行なった。その分析値を表2
4,25に示す。
【0072】
【表24】 表 24 ──────────────────────────────────── 分析項目 分析値(括弧内は酵素無添加区) ──────────────────────────────────── 総窒素(g/dl) 0.49(0.45) フォルモール態窒素(g/dl) 0.32 (0.059) フォルモール態窒素/総窒素(%) 65 (13) グルタミン酸(g/dl) 0.42 (0.009) グルタミン酸/総窒素 0.85 (0.020) ────────────────────────────────────
【0073】
【表25】
【0074】表中の番号は、エキソ型ペプチダーゼ無
添加,セラチア・マルセサンス由来エキソ型ペプチダ
ーゼ添加区に相当する。
【0075】実施例8(バチルス・アルベイ変異株と乳
酸菌由来のエキソ型ペプチダーゼの組合せによる大豆蛋
白の分解テスト) 実施例5と同様に分離大豆蛋白アジプロンSU(商品
名、味の素(株)製)のバチルス・アルベイ分解液を調
製し、次に、ラクトバチルス・プランタラム(FERM
P−13737),ペディオコッカス・ペントサセウ
ス(FERM P−13736),ラクトバチルス・カ
ゼイ(FERM P−13738)の培養洗浄菌体を各
々10%添加し、40℃にて6日間分解後、その遠心上
清の総窒素,フォルモール態窒素の定量及びアミノ酸分
析を行なった。その分析値を表26〜29示す。
【0076】
【表26】 表26 ラクトバチルス・プランタラム(FERM P−13737)使用時 ──────────────────────────────────── 分析項目 分析値(括弧内は酵素無添加区) ──────────────────────────────────── 総窒素(g/dl) 0.48(0.45) フォルモール態窒素(g/dl) 0.31 (0.059) フォルモール態窒素/総窒素(%) 65 (13) グルタミン酸(g/dl) 0.38 (0.009) グルタミン酸/総窒素 0.78 (0.020) ────────────────────────────────────
【0077】
【表27】 表27ペディオコッカス・ペントサセウス(FERM P−13736)使用時 ──────────────────────────────────── 分析項目 分析値(カッコ 内は酵素無添加区) ──────────────────────────────────── 総窒素(g/dl) 0.49(0.45) フォルモール態窒素(g/dl) 0.32 (0.059)フォルモール 態窒素/総窒素(%) 65 (13) グルタミン酸(g/dl) 0.39 (0.009) グルタミン酸/総窒素 0.79 (0.020) ────────────────────────────────────
【0078】
【表28】 表28 ラクトバチルス・カゼイ・サブスピーシーズ・カゼイ(FERM P− 13738)使用時 ──────────────────────────────────── 分析項目 分析値(カッコ 内は酵素無添加区) ──────────────────────────────────── 総窒素(g/dl) 0.48(0.45) フォルモール態窒素(g/dl) 0.30 (0.059) フォルモール態窒素/総窒素(%) 63 (13) グルタミン酸(g/dl) 0.39 (0.009) グルタミン酸/総窒素 0.80 (0.020) ───────────────────────────────────
【0079】
【表29】
【0080】表内の番号は、エキソ型ペプチダーゼ無
添加,ラクトバチルス・プランタラム(FERM P
−13737),ペディオコッカス・ペントサセウス
(FERM P−13736),ラクトバチルス・カ
ゼイ・サブスピーシーズ・カゼイ(FERM P−13
738)由来エキソ型ペプチダーゼ添加区に相当する。
【0081】以上の実施例6〜8から明らかなように、
バチルス・アルベイと表中の菌株由来のエキソ型ペプチ
ダーゼとを組み合せることにより、原料蛋白質はほぼ完
全分解されていた。また、いずれの菌株も培養条件,培
地組成の検討によりさらに分解率,アミノ酸遊離率を向
上させることができる。したがって、得られた分解濾液
はそのままでもすぐれたアミノ酸調味液として使用する
ことができる。
【0082】実施例9 マルトース0.2%,コラーゲン(タイプI、シグマ社
製)0.1%,コーンスティープリカー0.1%,酵母エキ
ス0.1%,塩化カリウム0.05%,硫酸アンモニウム0.
2%,硫酸マグネシウム0.05%,リン酸水素二ナトリ
ウム0.1%およびリン酸二水素カリウム0.1%を含有す
る培地(pH7.0)にてバチルス・アルベイ(FERM P-13
458)を30℃で16時間培養した。次いで、この培養液
を遠心分離により集菌後、菌体を50mMトリス塩酸緩
衝液(pH7.5)に懸濁した。菌体懸濁液を超音波破砕
した後、超遠心分離を行い(105,000 ×g)粗抽出画分と
した。この粗抽出画分を出発材料として、まず硫酸アン
モニウム沈澱を行なったところ、50〜70%沈澱画分
に目的の酵素活性が存在した。
【0083】得られた画分を陰イオン交換クロマトグラ
フィー(DEAE-Toyopearl 650M)に供し、吸着した活性ピ
ークを分取した後、さらに2 種類のゲル濾過クロマトグ
ラフィー(FPLC Superose6および FPLC Phenyl-Suporos
e)で分画し、目的の酵素画分を調製した。これらの各分
離段階を経ることにより、本発明のアミノペプチダーゼ
の比活性は、出発の粗抽出画分で0.6ユニット/mgで
あったものが、最終段階のゲル濾過クロマトグラフィー
による処理後には58.5ユニット/mgと飛躍的に増大
した。その結果、本ペプチターゼはこれまでに報告され
ている哺乳類の各組織由来のアミノペプチダーゼよりも
比活性は著しく高く、またこれまでほとんど報告されて
いないバチルス属細菌で見出された新しいアミノペプチ
ダーゼであることが判明した。
【0084】次に、得られた最終段階の酵素画分を用い
て本アミノペプチダーゼの諸性質について検討を行なっ
た。本発明の新規アミノペプチダーゼの性状は次の如く
である。 (1)作用 本酵素はpH5〜9の間においてペプチドの遊離アミノ
末端より順次ペプチド結合を加水分解してアミノ酸を遊
離せしめるアミノペプチダーゼである。 (2)基質特異性 低分子合成基質を用いた場合の基質特異性を表30に示
す。用いた基質は DL-Leucine-p-nitroanilide(Leu-pNA
と略す。) 、DL-Cysteine-p-nitroanilide(Cys-pNAと略
す。) 、DL-Arginine-p-nitroanilide(Arg-pNAと略
す。) およびDL-Glutamic acid-p-nitroanilide(Glu-pN
A と略す。) である。
【0085】
【表30】
【0086】本酵素は遊離のα−アミノ基が保護された
基質に対しては作用しないことからも本質的にアミノペ
プチダーゼであると認められる。また、ロイシンがアミ
ノ末端の場合に最も分解活性が高いことから、ロイシン
アミノペプチダーゼである。 (3)作用至適pH 本酵素の代表的な基質としてLeu−pNAを用い、か
つバッファーとしてリン酸バッファーを用いた時の至適
pHは、6〜7である。
【0087】(4)pH安定性 pH4〜10で安定である。 (5)作用至適温度 本酵素の代表的な基質としてLeu−pNAを用いた時
の至適温度は、30〜40℃である。 (6)温度安定性 pH6.5で各温度に15分間または45分間保温した
後、Leu−pNAを基質に用いて残存活性を測定した
ところ、表31に示す結果が得られた。至適温度付近で
はかなり安定であるが、50℃以上では失活が速く進行
する。
【0088】
【表31】 表31 各温度での熱安定性 ─────────────────────────── 温度(℃) 残存活性(%) 15分後 45分後 ─────────────────────────── 35 100 45 50 55 27 55 55 36 ───────────────────────────
【0089】(7)金属イオンの影響 本酵素を1mMの各金属イオン存在下において、Leu
−pNAを基質に用いて相対活性を測定した。その結果
を表32に示した。本酵素はFe2+により強く活性化さ
れたが、Cu2+やSn2+により活性はほとんど消失し
た。
【0090】
【表32】 表32 金属イオンが酵素活性に及ぼす影響 ─────────────────────── 金属イオン(1mM) 相対活性(%) ─────────────────────── 無添加 100 FeCl2 378 CaCl2 103 MgCl2 100 MnCl2 89 ZnCl2 57 CoCl2 51 CuCl2 27 SnCl2 0 ───────────────────────
【0091】(8)阻害剤 本酵素を各プロテアーゼ阻害剤存在下において、Leu
−pNAを基質に用いて相対活性を測定した。その結果
を表33に示した。本酵素はEDTAのようなキレート
剤で完全に活性が阻害されることから、金属プロテアー
ゼの一種である。
【0092】
【表33】 表33 蛋白分解酵素阻害剤が活性に及ぼす影響 ────────────────────────── 阻害剤(1mM) 相対活性(%) ────────────────────────── 無添加 100 ジチオスレイトール 100 ベンザミジン 38 EDTA 0 ──────────────────────────
【0093】(9)分子量 本酵素はテトラマーであり、SDS−ポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動により測定すると、各サブユニットの分
子量は約50,000〜約60,000である。 (10)力価測定法、及び力価表示 前述のLeu−pNAを基質とし、酵素作用によって遊
離するパラニトロアニリン量を410nmにて比色定量
する。すなわち50mMのリン酸カリウム緩衝液(pH
6.5)に1mMになるようにLeu−pNAを溶解し、
その600μlに酵素溶液20μlと同緩衝液20μl
を混合し、37℃で20分間反応させた後、40%酢酸
200μlを加えて反応を停止させ、この反応液の41
0nmでの吸光度を測定する。この方法により1分間に
1μmolのパラニトロアニリンを生成する酵素量を1
ユニットと定める。この方法によれば、本酵素の力価は
約60ユニット/mgである。
【0094】
【発明の効果】本発明によれば、利用価値が低く、しか
も従来の酵素では分解されにくい各種蛋白質を中性の温
和な条件で、各種蛋白分解能力に優れている複数の酵素
を生産する新規バチルス属細菌バチルス・アルベイ変異
株(FERM P-13458)の培養液を用い、さらに必要に応じて
エキソ型ペプチダーゼを組み合わせて分解することによ
り、分解率が高く、かつグルタミン酸,アラニン,グリ
シンなどの含有率の高い呈味性に優れた蛋白加水分解物
を得ることができる。また、同時に加工副産物の廃棄処
理の問題や酸分解法に伴う従来の課題も解決することが
できる。さらに、本発明により得られる新規アミノペプ
チダーゼは、従来報告されていないバチルス属細菌から
効率よく得られ、既知のものよりも比活性および安定性
が著しく高い。そのため、この酵素の用途は試薬用に限
定されず、食品加工のみならず、医薬、その他の分野に
も広く利用される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C12N 1/20 C12R 1:07) (C12N 9/48 C12R 1:07) (72)発明者 岡村 英喜 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社食品総合研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バチルス・アルベイ(Bacillus alvei)を
    変異処理して得た新規変異株(工業技術院生命工学工業
    技術研究所 FERM P-13458 )。
  2. 【請求項2】 バチルス・アルベイ(FERM P-13458)に由
    来し、下記の性質を有するアミノペプチダーゼ。 (1) 作用 本酵素はpH5〜9の間においてペプチドの遊離アミノ
    末端より順次ペプチド結合を加水分解してアミノ酸を遊
    離せしめる。 (2) 基質特異性 本酵素は特にロイシンに作用する。 (3) 至適pH及び安定pH範囲 本酵素の基質としてDL−ロイシン−p−ニトロアニリ
    ドを用い、かつバッファーとしてリン酸バッファーを用
    いたときの至適pHは6〜7である。また、本酵素はp
    H4〜10の範囲で安定である。 (4) 作用至適温度 本酵素の基質としてDL−ロイシン−p−ニトロアニリ
    ドを用いたときの至適温度は30〜40℃である。 (5) 阻害剤 本酵素はEDTAで完全に活性が阻害される。 (6) 分子量 本酵素はテトラマーであり、SDS−ポリアクリルアミ
    ドゲル電気泳動によると、各サブユニットの分子量は約
    50,000〜約60,000である。
  3. 【請求項3】 バチルス・アルベイ(FERM P-13458) を
    培地に培養し、請求項2記載のアミノペプチターゼを生
    成、蓄積せしめ、これを採取することを特徴とする請求
    項2記載のアミノペプチターゼの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の微生物を培養して得られ
    る蛋白分解酵素を蛋白質に作用させて得られる蛋白加水
    分解物。
  5. 【請求項5】 蛋白質が、コラーゲン,オカラ,脱脂大
    豆,分離大豆蛋白およびゼラチンのうちから選ばれる少
    なくとも1種のものである請求項4記載の蛋白加水分解
    物。
  6. 【請求項6】 請求項4記載の蛋白分解酵素とエキソ型
    ペプチダーゼを組み合わせて蛋白質に作用させて得られ
    る蛋白加水分解物。
  7. 【請求項7】 エキソ型ペプチダーゼが、請求項2記載
    のアミノペプチターゼまたはカンジタ・リポリチカ(A
    TCC8661),ゲオトリチャム・カンジダム(FE
    RM P−13734),カンジダ・トロピカリス(F
    ERM P−13732),フィロバシディウム・カプ
    スリゲナム(ATCC22179),カンジダ・グイリ
    モンディ(ATCC9058),デバリオマイセス・ハ
    ンセニ(FERM P−13735),トルロプシス・
    ベルサティリス(FERM P−13733),セラチ
    ア・マルセサンス(ATCC14226),ラクトバチ
    ルス・プランタラム(FERM P−13737),ペ
    ディオコッカス・ペントサセウス(FERM P−13
    736)およびラクトバチルス・カゼイ・サブスピーシ
    ーズ・カゼイ(FERM P−13738)のいずれか
    に由来するものである請求項6記載の蛋白加水分解物。
  8. 【請求項8】 蛋白質が、コラーゲン,オカラ,脱脂大
    豆,分離大豆蛋白およびゼラチンのうちから選ばれる少
    なくとも1種のものである請求項6記載の蛋白加水分解
    物。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1998051163A3 (en) * 1997-05-16 1999-02-04 Novo Nordisk Biotech Inc Methods of producing protein hydrolysates
EP0794253A3 (en) * 1996-03-08 1999-03-31 Ajinomoto Co., Inc. Aminopeptidase GX, and a method of hydrolyzing a protein with the same
KR20000007270A (ko) * 1998-07-01 2000-02-07 티엔 웨 이첸 수산 폐기물의 분해능을 가진 세균균주 및 이를 사용한 수용성아미노산의 제조방법
JP2017000086A (ja) * 2015-06-11 2017-01-05 天野エンザイム株式会社 新規ペプチダーゼ

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