JPH07118929A - 耐水性かつ熱圧着性のポリビニルアルコール系繊維 - Google Patents

耐水性かつ熱圧着性のポリビニルアルコール系繊維

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JPH07118929A
JPH07118929A JP26502293A JP26502293A JPH07118929A JP H07118929 A JPH07118929 A JP H07118929A JP 26502293 A JP26502293 A JP 26502293A JP 26502293 A JP26502293 A JP 26502293A JP H07118929 A JPH07118929 A JP H07118929A
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政弘 佐藤
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俊平 楢村
Satoru Kobayashi
悟 小林
Yosuke Sekiya
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 ポリビニルアルコール系繊維において、耐水
性と熱圧着性と高強度を兼備した繊維であって、特に通
常時に普通の繊維の取り扱い性を有しながら、熱圧着時
寸法変化少なく熱圧着可能な繊維を得る。 【構成】 高融点ポリビニルアルコール系ポリマーと低
融点耐水性ポリマーを特定範囲内でブレンドし、固化糸
篠が断面方向に均一固化するよう、低温混合紡糸を行な
うことにより、高融点ポリビニルアルコール系ポリマー
が海成分、低融点耐水性ポリマーが島成分である海島構
造繊維であって、好ましくは島成分が繊維の最表面より
1μ以内に多数存在しており、かつ高強度であるポリビ
ニルアルコール繊維を得る。この繊維は、通常時、マト
リックス相の高融点ポリビニルアルコールの繊維性能を
有し、熱圧着して高温で圧力を加えると、島成分の低融
点ポリマーが繊維表面に押し出され繊維同志熱接着する
ことが可能な繊維である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐水性かつ熱圧着性の
ポリビニルアルコール系(以下PVA系と略記)繊維に
関するもので、従来困難とされてきた耐水性PVA系繊
維でありながら熱圧着を可能とするとともに、高強度で
しかも熱圧着時の繊維の寸法変化が小さいPVA系繊
維、その製法及びそれを用いた不織布に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】溶融紡糸可能なポリエチレン、ポリエス
テルなどでは熱接着可能な繊維が市販されている。最近
では芯を高融点ポリマーとし、鞘を低融点ポリマーとす
る芯鞘複合繊維が開発され、熱接着時の収縮を抑えるこ
とが可能となり、この芯鞘複合熱接着性バインダー繊維
は、接着時の簡便性、高速性、無公害性のメリットを生
かして、ますます用途拡大しつつある。
【0003】しかし、これらの熱接着性バインダー繊維
は、PVA系やセルロース系などの親水性繊維に対して
はその接着効果が低く、強力を必要とする用途には使用
できない。そのため強力を出すためにアクリル系、メラ
ミン系、PVA系等のポリマーが化学接着剤として単独
又は複合して使用されている。例えば、耐水性ビニロン
を材料とする乾式不織布に、アクリル系、メラミン系、
PVA系等のポリマー接着剤のエマルジョンまたは有機
溶剤溶液を単独又は複合して塗布するか含浸し、乾燥す
る方法が一般的に実施されているが、エマルジョンの場
合は、ポリマーの乾燥に時間を要するため低速生産しか
できないし、ローラーなどに接着剤やその変質物が固着
する問題もある。有機溶剤溶液の場合には揮発した有機
溶剤が人間の健康を害する問題がある。もし親水性のP
VA系繊維において熱接着性かつ耐水性繊維が開発でき
れば、親水性の不織布の高速生産が可能となる。またウ
ェットワイパー用基布として重要な親水性セルロース不
織布の高速生産が可能になる。
【0004】しかしながら、従来の熱接着性繊維は溶融
紡糸可能な疎水性ポリマーをベースとしており、親水性
繊維に対する熱接着性と耐水性を兼備し、かつ実用に耐
える他の繊維物性を有する繊維は知られていない。親水
性ポリマーの代表例であるPVA系ポリマーやセルロー
ス系ポリマーは、分子内に有する水酸基による分子間相
互作用が強く、融点が熱分解温度に近く、通常は熱分解
させずに溶融することが出来ず、熱接着性繊維を得るこ
とができない。
【0005】この背景下、PVA系ポリマーにおいて
も、共重合変性や後反応変性による内部可塑化及び可塑
剤混合による外部可塑化などにより、融点や軟化点を下
げ溶融成形を可能にしたり、ホットメルト接着剤として
使用する提案がなされている。例えば特開昭51−87
542号、特開昭51−96831号、特開昭53−5
0239号の各公報には、水溶性かつホットメルト性の
あるPVA系接着剤が開示されているが、これらホット
メルト性のPVA系ポリマーのみで繊維化しようとする
と、ホットメルト時の粘度を下げて接着性を大きくする
ため、PVAの重合度を600以下と低くしており、低
強度繊維しか得られないばかりでなく、熱接着性繊維と
して使用しようとすると、繊維化時配向していた分子が
熱接着時溶融して緩和するため、繊維が大きく収縮し、
実用的に使用することは困難である。
【0006】特公昭47−29579号や特公昭47−
42050号の各公報には、PVA溶液にエチレン−酢
ビコポリマーのエマルジョンを添加し、湿式紡糸して得
られる繊維はヒートシール性を有し、紙や不織布のバイ
ンダー繊維または主体繊維として使用できることが記載
されている。しかし、これらの公報の繊維製造法は芒硝
水溶液による脱水凝固法であり、スキンーコアが生成す
る不均一凝固紡糸であるため、高強度繊維とすることは
できない。
【0007】また特公昭41−6605号公報や特公昭
47−31376号公報には、完全ケン化PVAと部分
ケン化PVAを混合紡糸することにより、易フィブリル
化性繊維とすることが記載されている。しかしこれらの
技術は易フィブリル化繊維を目的としており、熱接着性
についての記載はない。また、これらの公報の繊維製造
法は芒硝水溶液による脱水凝固法であり、スキンーコア
が生成する不均一凝固紡糸であるため、高強度繊維とす
ることはできない。
【0008】また特公昭51−28729号公報には、
PVAとポリアクリロニトリルとアクリルニトリルグラ
フト重合PVAを共通溶媒のジメチルスルホキシド(以
下DMSOと略記)に溶解し、湿式紡糸して得られたゲ
ル糸条を延伸し、そして叩解した自己接着性合成パルプ
が記載されているが、PVAもポリアクリロニトリルも
分解なしに熱溶融することは困難なため熱接着性繊維を
得ることができない。
【0009】また特開昭52−5318号公報には、低
重合度かつ低ケン化度PVAと繊維形成能を有するポリ
マーとを混合または複合紡糸し、水洗処理することによ
り低重合度かつ低ケン化度のPVAを除去して極細繊維
を製造することが提案されているが、本発明とは目的が
まったく違い、耐水性の熱接着性繊維は得ることができ
ない。
【0010】また特開平1−260017号公報には、
ケン化度80〜95モル%のPVA系ポリマーを芯成
分、ケン化度96モル%以上のPVA系ポリマーを鞘成
分とした高強度水崩壊型PVA系複合繊維が提案されて
いる。この複合繊維では、本発明繊維とは目的が異な
り、耐水性の熱接着性繊維は得ることができない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記の如く、熱接着性
と耐水性を兼備し、高強度であるPVA系繊維の出現が
強く望まれているが、従来の技術では得られていない。
従って本発明の課題は、耐水性かつ熱接着性を有する高
強度PVA系繊維を得ることにある。またそれを用いた
不織布及び繊維の製造法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題に対し、本発明
者らは鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成した。すな
わち本発明は、融点が220℃以上であるPVA系ポリ
マーが海成分であり、融点または融着温度が210℃未
満である耐水性ポリマーが島成分である海島構造であっ
て、両ポリマーのブレンド比が98/2〜55/45の
範囲であり、かつ強度が7g/dr以上であることを特
徴とする高強度にして耐水性かつ熱圧着性のPVA系繊
維である。
【0013】本発明繊維は、海島構造を有する多成分繊
維であって、融点220℃以上であるPVA系ポリマー
が海成分である。マトリックスとなる海成分PVA系ポ
リマーの融点が220℃未満では本発明繊維の耐熱性、
耐水性が不十分となり実用に耐える繊維を得ることが出
来ない。また高強度繊維を得ることができない。海成分
PVA系ポリマーの融点が225℃以上であるとさらに
好ましい。海成分ポリマーの融点の上限に特別な限定は
ないが、融点が260℃以上であるPVAは一般的では
ない。
【0014】海成分PVA系ポリマーの具体例をあげる
と、重合度500〜24,000で、ケン化度が99〜
100モル%の高ケン化度PVAである。重合度が15
00〜4000、ケン化度が99.5〜100モル%で
あると耐水性及び熱圧着性の点でさらに好ましい。また
エチレン、アリルアルコール、イタコン酸、アクリル
酸、無水マレイン酸とその開環物、アリールスルホン
酸、ピバリン酸ビニルの如く炭素数が4以上の脂肪酸ビ
ニルエステル、ビニルピロリドン及び上記イオン性基の
一部また全量中和物などの変性ユニットにより変性した
PVAも包含される。変性ユニットの量は1モル%未
満、好ましくは0.5モル%以下である。変性ユニット
の導入法は、共重合でも後反応でも特別な限定はない。
変性ユニットの分布はランダムでも、ブロックでも限定
はない。ブロック的に分布させると結晶化阻害効果が小
さく、ランダムより多く変性しても高融点を保ちうる。
高ケン化度の高融点PVA系ポリマーを連続相とするこ
とにより高融点ポリマー単独繊維に近い性能を得ること
ができ、また繊維の最表層を高融点ポリマーとすること
により、繊維製造工程における硬着を防止することが可
能となる。
【0015】本発明海島繊維の島成分は融点または融着
温度が210℃未満の耐水性ポリマーを用いる。融点が
210℃以上であると熱圧着温度が高くなり過ぎ、熱圧
着時海成分のPVA系ポリマーの配向性・結晶性を破壊
し易いので好ましくない。また融点を持たない耐水性の
非晶ポリマーであっても、その非晶性ポリマーチップを
所定温度に加熱し、0.1kg/cm2の圧力を10分
間印加した際チップ同志が融着する最低温度を融着温度
とした時、融着温度が210℃未満の耐水性非晶ポリマ
ーは本発明の耐水性ポリマーに包含され、島成分耐水性
ポリマーとして有効に用いることができる。島成分耐水
性ポリマーの融点、あるいは融着温度(以下この温度も
融点という語に含めて使用する)が200℃以下である
とより好ましく、190℃以下であるとさらに好まし
い。さらに海成分と島成分の融点差が15℃以上である
と、熱圧着時の繊維寸法変化が小さくなるので好まし
い。融点差が30℃以上であるとより好ましく、50℃
以上であるとさらに好ましい。融点が210℃未満の耐
水性ポリマーは低配向、低結晶性であるため、繊維のマ
トリックスである海成分に用いると、低強度、低耐熱性
となるので不都合である。また低融点ポリマーが繊維最
表面に存在すると繊維製造工程おいて硬着し易く、この
点からも低融点ポリマーは島成分とすることが必要であ
る。
【0016】本発明にいう融点210℃未満の耐水性ポ
リマーの具体例としては、エチレン/ビニルアルコール
コポリマー(モル組成比=50/50〜20/80),
エチレン/酢ビコポリマー(モル組成比=92/8〜2
0/80),ポリビニルブチラール,ポリビニルホルマ
ール,炭素数3〜20の脂肪酸のビニルエステルで変性
されたPVA,変性アクリル樹脂,ポリイソプレンなど
の炭化水素系エラストマー,ポリウレタン系エラストマ
ーなどがあげられる。とりわけ、セルロース系繊維やP
VA系繊維等の親水性繊維への優れた熱接着性、性能再
現性(安定性)、コストの点で、エチレン/ビニルアル
コールコポリマー(モル組成比=50/50〜20/8
0),エチレン/酢ビコポリマー(モル組成比=92/
8〜20/80)のPVA系ポリマーは本発明繊維の島
成分として有用である。島成分ポリマーの重合度に特別
な限定はないが、島成分は、繊維強度に寄与せず、接着
性に寄与することが重要であるから、熱圧着時流動性の
よい低重合度、例えば100〜1000が好ましい。
【0017】本発明海島繊維の海成分/島成分のブレン
ド比は重量比で98/2〜55/45の範囲である。海
成分の高融点PVA系ポリマーが55%より少ないと高
強度繊維が得られない。またこの高融点PVA系ポリマ
ーが55%より少なくなり、低融点耐水性ポリマーが4
5%より多くなると、低融点耐水性ポリマーが海成分と
なる傾向になり、硬着の点で好ましくない。一方、低融
点耐水性ポリマーが2%より少ないと、実用に耐える熱
圧着性能を得ることができない。強度と熱圧着性のバラ
ンスより、海/島ブレンド比が95/5〜60/40で
あるとより好ましく、92/8〜70/30であるとさ
らに好ましい。
【0018】また本発明繊維において島成分の低融点ポ
リマーは繊維の最表層に存在することは好ましくない
が、最表層近くに存在することが好ましい。最表層近辺
での海成分の最小厚み(島成分の低融点ポリマーの繊維
最表面までの最近接距離)は、熱圧着時最表層の高融点
PVA系ポリマーが破れ、島成分の低融点耐水性ポリマ
ーが表面に押し出され接着力を得るために重要である。
最表層より0.01〜2μの内側に島成分の少なくとも
一部を存在させることが好ましい。島成分は繊維断面方
向に均一に分布させてもよいが、表面側により集中して
分布させることが好ましい。また島成分は繊維軸方向に
連続であってもよいが、必ずしも連続である必要はな
く、球状或いは断続した細長い棒状あるいはラグビーボ
ール状であってもよい。
【0019】本発明繊維は7g/dr以上の強度を有す
る。7g/dr未満の強度では、例えば、本発明繊維の
用途の1つであるヒートシール性湿式不織布の主体繊維
として用いる場合、単繊維の強度が弱いと低強度の紙し
か得ることができない。また他の用途の一つである熱圧
着性可能な乾式不織布において、高強度繊維であると、
低目付化することが可能となり、不織布が柔軟となり、
取扱い性やドレープ性がよくなるが、繊維強度が低いと
低目付化が困難である。また繊維強度が高くなり、不織
布が強くなると不織布の生産速度も向上する。ウェット
ワイパー用基布として親水性のセルロース基材などに本
発明の繊維をブレンドする場合も、繊維強度が大きいと
ブレンド量を減少させうるなどの大きなメリットがあ
る。本発明繊維は熱圧着することによりその機能を発揮
する。熱圧着により多少強度が低下しても十分な強度を
有することが重要であり、このためには熱圧着前の強度
が大きいことが必要である。本発明の繊維は強度が8g
/d以上であることがより好ましく、さらに好ましくは
10g/dである。
【0020】以上のように、本発明繊維は、従来の疎水
性ポリマーにおける芯鞘複合熱接着性繊維では芯を高融
点ポリマーとして、鞘を低融点ポリマーとしているのと
は逆に、海成分を高融点ポリマーとし、島成分を低融点
ポリマーとし、通常は高配向、高結晶性の高融点PVA
系ポリマーによる優れた繊維性能を発揮し、熱圧着(高
温かつ高圧印加)時繊維最表層の高融点PVA系ポリマ
ー相が破れ、表層近くの島を形成している熱接着性の低
融点耐水性ポリマーが、繊維表面に押し出され、別の繊
維の島成分の耐水性ポリマー同志と接着したり、或いは
海成分の高融点ポリマーと接着することにより、熱圧着
性を確保したものである。高配向、高結晶化した高融点
PVAポリマーがマトリックス相を形成するため、島成
分が低配向、低結晶の低融点耐水性ポリマーであっても
強度や寸法安定性が優れており、しかも熱圧着時におい
てもマトリックス相は大きな影響を受けないため、熱圧
着時寸法変化が小さくかつ熱圧着後でも高い強度を得る
ことができる特徴がある。
【0021】本発明において熱圧着とは、80℃以上の
温度で1kg/cm以上の線圧または2kg/cm2
上の面圧を印加することにより繊維を接着することをい
う。温度が80℃未満、線圧1kg/cm未満、あるい
は面圧2kg/cm2未満では最表層の高融点PVA系
ポリマー相が破れず、島成分の低融点耐水性ポリマーが
繊維表面に押し出されてこないので接着力が低い。最表
層の高融点ポリマーを昇温し柔らかくなった状態で圧力
を加えることにより最表層のポリマー相を破り、表層近
くにある接着成分の低融点ポリマーが押し出され接着す
ることが可能となる。熱圧着温度が高過ぎると、海成分
の分子配向や結晶までこわれる可能性があるので、23
0℃以上とすべきではない。海/島のポリマー仕様、分
布状態及び印加圧力などにより、適正圧着温度は変わる
が、100〜210℃が好ましく、120〜200℃で
あるともっと好ましく、130〜190℃であるとさら
に好ましい。また印加圧力があまり高いと海成分の繊維
構造をこわしてしまい、熱圧着後の繊維強力が低下する
ので好ましくない。熱カレンダーローラーなどによる線
圧は500kg/cm以下が好ましい。線圧が200k
g/cm以下であるともっと好ましく、100kg/c
m以下であるとさらに好ましい。熱プレスなどによる面
圧は1000kg/cm2以下が好ましい。面圧が40
0kg/cm2以下であるともっと好ましく、200k
g/cm2以下であるとさらに好ましい。通常は5〜5
0kg/cmの線圧あるいは10〜100kg/cm2
の面圧が使用される。熱圧着時間は0.01〜10秒程
度の短い時間でも熱圧着可能である。短時間処理で接着
しうることが熱圧着法の極めて重要な特性である。本発
明繊維の場合熱圧着時間を10分以上とすると却って接
着力が低下する傾向にある。この原因は不明であるが、
ポリマーの結晶化に関係すると推測される。このため、
処理時間の長い面圧印加タイプの熱プレス法より処理時
間の短かい線圧印加タイプの熱カレンダーロール法がよ
り好ましく熱圧着に使用しうる。
【0022】次に本発明繊維を製造する方法について記
載する。上記の高融点PVA系ポリマーと低融点耐水性
ポリマーを98/2〜55/45の割合で溶媒に溶解し
て紡糸原液を得る。ここにいう溶媒とは少なくとも高融
点PVA系ポリマーを溶解する溶媒でなければならな
い。低融点耐水性ポリマーをも溶解する共通溶媒である
ことがより好ましいが、必ずしも溶解しなくとも、高融
点PVA系ポリマー溶液中で10μ以下に分散するよう
粉砕分散が可能であれば使用可能である。分散粒径が5
μ以下であると好ましく、1μ以下であるとさらに好ま
しい。両ポリマーの共通溶媒に溶解しても両ポリマーの
相溶性如何によっては均一透明溶液とはならない。むし
ろ紡糸原液状態で、高融点PVA系ポリマーがマトリッ
クス(海)相、低融点耐水性ポリマーの液滴が島相に微
分散したポリマーブレンド溶液となって、濁りのある均
一微分散相分離液となることが好ましい。勿論、両ポリ
マーの相溶性が良好である場合は均一透明溶液となり、
繊維化時、高融点ポリマーが海成分となるよう原液・紡
糸条件をとれば、本発明繊維を製造しうる。
【0023】本発明繊維の製造法に用いる溶媒の具体例
として、ジメチルスルホキシド(以下DMSOと略
記)、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、
ジメチルイミダゾリジノンなどの極性溶媒やグリセリ
ン、エチレングリコールなどの多価アルコール類、硝
酸、硫酸などの強酸、ロダン塩、塩化亜鉛などの濃厚水
溶液、及びこれらの溶媒の混合液などがあげられる。と
りわけDMSOが低温溶解性、低毒性、低腐蝕性などの
点で好ましい。溶媒に両ポリマーを添加し、撹拌溶解す
るか、特に相分離液となる場合溶解時微分散するよう撹
拌を強力に行なうとともに脱泡放置時凝集沈降しないよ
う泡が咬み込まぬ程度に低速撹拌を続けるなどの配慮が
好ましい。
【0024】次に、紡糸原液の粘度については、紡糸法
により異なるが、紡糸時ノズル近辺の温度で5〜500
0ポイズが好ましい。例えば乾式紡糸では500〜50
00ポイズ、乾湿式紡糸では80〜800ポイズ、湿式
紡糸では5〜200ポイズになるようにポリマー濃度及
び原液温度を調整する。両ポリマー以外に両ポリマーの
紡糸原液状態及び繊維状態での海島構造制御のため相溶
化剤や相分離促進剤などを適宜添加してもよい。原液に
はその他特定の目的のために種々の添加剤を添加しても
よい。例えば、ポリマーの劣化防止のための酸化防止
剤、光安定剤、紫外線吸収剤、繊維着色のための顔料や
染料、界面張力制御のための界面活性剤、pH調整のた
めの酸あるいはアルカリなどである。
【0025】次に得られた原液を乾式紡糸、乾湿式紡糸
あるいは湿式紡糸する。乾式紡糸においては、溶媒が蒸
発する間に高融点ポリマーがマトリックス(海成分)、
低融点ポリマーが島となるよう紡糸延伸条件を選定し、
得られた繊維を捲き取る。乾湿式紡糸においては、原液
をノズルより一旦不活性気体層(例えば空気層)に吐出
し、次いで固化液に通し、固化と原液溶媒の抽出を行
い、湿延伸、乾熱延伸を施こし捲き取る。または湿式紡
糸においては、原液をノズルより直接固化液に吐出し、
固化、抽出を行ない、湿延伸、乾熱延伸を施こし捲き取
る。いずれの紡糸法においても高融点ポリマーが海成分
に低融点ポリマーが島成分になるように原液及び紡糸条
件を配慮する必要がある。具体的には海成分となるべき
高融点ポリマーのブレンド比を多くすることが有効であ
る。また原液及び紡糸条件を相分離し易い方向にするこ
とが有効である。
【0026】また本発明においては、強度を7g/d以
上とするため、固化過程において均一な固化糸篠とす
る。均一な固化が行なわれたことの確認は延伸後の繊維
断面を光学顕微鏡で観察し、ほぼ円型の断面の繊維が得
られた場合には、均一な固化が行なわれたと判断でき
る。従来、PVAの紡糸に一般的に用いられている濃厚
芒硝水溶液を固化浴に用いると、不均一固化となるた
め、断面がまゆ型となり、延伸配向が十分行なえず7g
/d以上の強度を得ることができない。また原液に硼酸
を添加し、アルカリ性脱水塩類浴に固化する場合、濃厚
芒硝水溶液を固化浴に用いた場合に比べると、均一固化
に近付くため、断面が偏平となるが、円型とはならず不
十分である。一方メタノールやエタノールなどのアルコ
ール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン
類、酢酸メチルや酢酸エチルなどの脂肪族エステル類、
及びこれらと原液溶媒との混合溶媒などの海成分となる
高融点PVA系ポリマーに対して固化能を有する有機溶
剤を固化浴に用いると、均一な固化となるため、断面が
ほぼ円型となり、その後の湿延伸及び乾熱延伸により十
分な配向結晶化を行なうことができ、強度7g/dr以
上の達成が可能となる。なお本発明で言う繊維の横断面
形状は、通常の光学顕微鏡を用いて観測されるものであ
る。より均一なゲル糸篠を得るためには、固化浴の温度
を0〜10℃の低温とすることが好ましい。なお、これ
ら固化浴は島成分となる低融点耐水性ポリマーに対して
は必ずしも固化能を有する必要はない。極端には低融点
ポリマーは固化浴に対して可溶であっても、紡糸可能で
ある。但しこの場合高融点ポリマー/低融点ポリマーの
ブレンド比が6/4より低融点ポリマーが多いと固化浴
中に溶出したり、繊維が硬着するので好ましくない。7
/3より低融点ポリマーが少ないとより好ましい。低融
点ポリマーが固化浴に可溶の場合、固化時低融点ポリマ
ーが原液溶媒とともに固化糸篠の表面方向に移動する傾
向にあり、繊維中央部より表層部により多く分布する傾
向にあるので、低融点ポリマーのブレンド量が少なくて
も本発明の目的である熱圧着性の低下が少ないという予
想外の好ましい傾向を見出した。低融点ポリマーのブレ
ンド量が少ないと高強度繊維が得られる利点もある。
【0027】次に本発明繊維の用途について説明する。
本発明繊維は、テント、寒冷沙などの産業資材用布地や
縫い糸、及び不織布などに有効に用い得るが、代表例と
して、不織布について説明する。本発明繊維を少なくと
も10%含有する乾式不織布あるいは湿式不織布は、温
度80〜230℃で線圧1kg/cm以上または面圧2
kg/cm2以上の条件で熱圧着することにより、熱接
着可能な不織布である。本発明繊維の含有量が10%未
満である不織布は上記熱圧着条件では実用に耐える熱圧
着性は得られない。本発明不織布を熱圧着させた時の熱
接着力をさらに高めるためには、本発明繊維の含有量を
20%以上にすると好ましく、30%以上にすると一層
好ましい。本発明不織布を本発明繊維単独あるいは本発
明繊維と他の耐水性繊維、例えば耐水性ビニロンで構成
すると、耐水性かつ熱圧着可能な不織布が得られる。こ
の不織布は袋物やポットなどの3次元構造体に成形加工
する際、熱圧着による接着が可能である。従来の化学接
着剤を用いた成形加工に比べて、高速、簡便、無公害、
安全なプロセスで成形加工しうるため、成形加工費を大
巾に節減することが可能である。本発明不織布は熱圧着
による成形加工により耐水性の3次元構造体を製造しう
ることが大きな特徴である。従って、例えばティバッ
グ、水切り袋、ウェットワイパー、ペーパーポットなど
に有効に使用しうる。
【0028】また、親水性のビニロン繊維やレーヨン、
キュプラ、ポリノジック、溶剤系セルロース繊維、綿な
どのセルロース繊維に本発明繊維を10%以上含有させ
た本発明不織布は、熱圧着可能であり、3次元構造体に
成形加工する際、従来の化学接着剤を用いる場合に比
べ、上記メリットを有する熱圧着法を適用することが可
能である。熱圧着された3次元構造体が水或いは熱水に
接触しても十分な強度を有し、特に本発明繊維の島成分
ポリマーがエチレン/ビニルアルコールコポリマーやエ
チレン/酢酸ビニルコポリマーで代表されるPVA系ポ
リマーである場合には、ビニロン繊維やセルロース系繊
維にたいして極めて優れた接着強度を発揮することが特
徴である。したがって従来困難であったセルロース系や
ビニロン系の不織布のヒートシール性確保が可能とな
る。セルロース繊維は自然崩壊性の地球にやさしい繊維
として注目されているが、セルロース繊維を含有した不
織布を3次元構造体に成形加工する際、従来は、化学接
着剤を用いて、接着剤調製→所定量塗布→乾燥・キュア
リングといった複雑な工程を経たり、疎水性の熱接着性
繊維を用いて熱接着法で接着しているが、疎水性の熱接
着性繊維はセルロース繊維と接着力が低いため低強度の
不織布しか得ることができない。本発明不織布を用いる
と、熱圧着法(ヒートシール法)により成形加工するこ
とができ、高速・簡便・無公害で自動化ラインにも容易
に組み込んで製造可能である。しかも、本発明繊維は、
親水性の繊維であるため、ビニロン繊維やセルロース繊
維を湿式法により不織布化する際に、ビニロン繊維やセ
ルロース繊維との均一分散性に優れているため、均一な
性能を有する不織布が得られることとなる。
【0029】本発明不織布の製造法に限定はない。本発
明繊維を捲縮カットして得たステープルを単独、あるい
は上記耐水性ビニロンステープルまたはレーヨン、ポリ
ノジックなどのセルロース繊維ステープルとを混合し
て、カードあるいはランダムウェッバーにかけ、得られ
たウェッブを、ニードルパンチ法、化学接着法、熱接着
法などにより、接着あるいは絡合させて乾式法により不
織布とすることができる。また本発明繊維を1〜10m
mにショートカットし、必要によりパルプ、レーヨン、
ビニロンなどと混抄することにより湿式法不織布(紙も
包含する)とすることも出来る。得られた不織布は熱圧
着性(ヒートシール性)を有することが特徴である。本
発明繊維の水中溶断温度は100℃以上であり主体繊維
として用いることができ、従来のビニロンバインダーや
熱圧着タイプのバインダーを用いて抄紙することにより
ヒートシール性ビニロン紙やヒートシール性セルロース
紙が得られる。乾式法か湿式法かは、その用途に要求さ
れる性能によって適宜選択すべきである。しかしなが
ら、本発明不織布の好ましい製造法は、本発明繊維の熱
圧着性を利用し、本発明繊維を10%以上含有するウェ
ッブを、温度80〜230℃、かつ線圧1kg/cm以
上或いは面圧2kg/cm2以上の条件で熱圧着するこ
とを特徴とする不織布の製造法である。本発明における
熱圧着条件である温度や圧力はウェッブに実際にかかる
温度及び圧力であって、設定温度や設定圧力ではない。
実際の温度及び圧力はサーモラベルや圧力インジケータ
ーなどによって実測することができる。この圧着温度が
80℃未満であったり、線圧が1kg/cm未満あるい
は面圧が2kg/cm2未満では熱圧着による接着力が
低く、実用に耐えない。圧着温度が230℃を越える
と、マトリックスを形成する海成分のPVA系ポリマー
の融点近くになり、配向結晶化した繊維構造がこわれ、
繊維強度が低下したり、収縮したりする。熱圧着による
接着性と圧着後の繊維強度及び寸法安定性の点より、温
度は100〜210℃、線圧が2〜200kg/cm、
または面圧が5〜400kg/cm2であるとより好ま
しく、温度は130〜190℃、線圧が5〜50kg/
cmまたは面圧が10〜100kg/cm2であるとさ
らに好ましい。
【0030】本発明繊維単独、あるいは従来の耐水性ビ
ニロンと本発明繊維を10%以上とを混合したウェッブ
を熱圧着法により製造した不織布は耐水性であり、水に
濡れやすい親水性不織布として極めて有用である。従来
の親水性不織布の製造は、製造工程中に接着剤を付与す
る工程と接着力発現のための乾燥あるいはキュアリング
工程が必須であり、しかも乾燥あるいはキュアリングに
1分以上を要するため高額の設備投資が必要であるとと
もに、品質確保のためラインスピードを抑えざるをえ
ず、高速製造が困難である。また接着剤付与工程〜乾燥
・キュアリング工程の間で接着剤或いはその変質物が設
備に固着し、それが原因で不織布の欠点が発生したり、
設備の運転を停止して固着物を除去、洗浄する必要があ
る。一方、本発明不織布の製造法を用いて親水性の不織
布を製造すると、接着工程が熱圧着法であるため、熱カ
レンダーローラーに通すのみで3秒以内で接着でき、高
速・簡便に製造しうる。また接着剤を使用しないため設
備に接着剤やその変質物が固着しないため、不織布に欠
点が発生することはなく、したがって固着物を洗浄除去
するための設備の運転停止する必要もない。本発明繊維
の使用により、親水性かつ耐水性の不織布を熱圧着法に
製造することが初めて可能となり、高速、簡便、無公害
で製造することが可能となった。
【0031】本発明におけるパラメーターの定義とその
測定法は次の如くである。 1.融点 結晶性ポリマーの場合、メトラー社示差走査熱量測定装
置(DSC−20)を用い、試料ポリマーを窒素下20
℃/minの速度で昇温した際、吸熱ピークを示す温度
を測定する。
【0032】2.融着温度 非晶性ポリマーの場合、ポリマーチップを所定温度の熱
風乾燥機にいれ、0.1kg/cm2の圧力を10分間
印加した際、チップ間の境界が判定できない程度にチッ
プ同志が融着する最低の温度を測定する。
【0033】3.繊維強度 JISL−1015に準じ、単繊維強度を試長20m
m、引張速度50%/分で引張試験を行なう。
【0034】
【実施例】以下実施例により、本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。実施例中、%は特にことわりがない限り重量にもと
ずく値である。 実施例1 重合度1750、ケン化度99.9モル%で融点が23
3℃のPVAと、エチレン/ビニルアルコールコポリマ
ー=32/68(モル比),重合度870で融点が18
6℃のクラレ製EVAL−Fを各々15%と5%となる
ように90℃のDMSOに窒素下混合撹拌し、溶解し
た。高融点PVA系ポリマー/低融点耐水性ポリマーの
ブレンド比は75/25であった。得られたブレンド溶
液は曳糸性の良好な半濁溶液で90℃で8時間放置して
も2相に分離する傾向はなく、安定な分散溶液であっ
た。
【0035】この紡糸原液を孔径0.08mm、孔数5
00のノズルを通し、メタノール70%とDMSO30
%よりなる3℃の固化液中に湿式紡糸した。得られた固
化糸篠は白濁状であり、両PVAが相分離していること
が推定された。またこの時固化液には特別な濁りは発生
しなかった。この固化糸に5.0倍の湿延伸を施こし、
メタノール液に浸漬して固化糸篠中のDMSOを抽出洗
浄し、鉱物油系油剤を付与し、100℃で乾燥し、次い
で225℃で全延伸倍率が15倍となるよう乾熱延伸し
た。得られた1000dr/500fのフィラメントに
硬着はなく、水中溶断温度が125℃で耐水性は良好で
あった。単糸強度は12.3g/drであった。また断
面観察より、円型断面であり、高融点のPVAが海成分
で、低融点のEVAL−Fが島成分となっており、その
島数は少なくとも100ケは存在しており、最表面より
1μ以内に島成分が多数存在していることがわかった。
【0036】この繊維をステープル化し、カードにかけ
目付30g/m2のウエッブを作り、これに温度190
℃、線圧60kg/cm、処理時間1秒以下の熱圧着条
件で熱カレンダーロール処理を施こした。カレンダー処
理による寸法変化はあまりなかった。得られた不織布
は、よく接着しており、手で力を入れて揉んでも単糸が
バラケることはなく、タテ6.8km、ヨコ2.2km
の裂断長を示した。また熱圧着後の不織布を沸騰水中に
投入しても特別な変化は見られず耐水性は良好であっ
た。
【0037】比較例1 実施例1の高融点PVAである重合度1700、ケン化
度99.9モル%のPVAのみをDMSOに16%とな
るよう実施例1と同様に溶解した。得られた溶液は均一
透明液であった。この紡糸原液を実施例1と同様に紡糸
延伸を行なった。固化糸篠はほぼ透明であり、実施例1
のような白濁相分離は見られなかった。得られた繊維の
断面を観察しても均一であり、海島構造はみられなかっ
た。この繊維を、実施例1と同様に、ステープル化し、
カードをかけてウエッブを作り、熱圧着した。得られた
不織布は一見接着しているように見えたが、手で揉むと
単糸は剥がれてきてタテ0.4km、ヨコ0.1kmの
裂断長しかなく、弱い不織布しか得られなかった。
【0038】比較例2 実施例1の低融点成分であるEVAL−FのみをDMS
Oに26%となるよう実施例1と同様に溶解した。得ら
れた溶液は透明であった。この紡糸原液を実施例1と同
様に紡糸しようと試みたが、固化液がメタノール/DM
SO=70/30では固化せず紡糸不能であった。固化
液をメタノール100%にしても固化せず紡糸不能であ
った。固化液をアセトン100%にし、湿延伸浴、抽出
浴もアセトンに変更すると紡糸が可能となり、湿延伸を
4.5倍施こし、80℃で乾燥すると硬着の殆どない繊
維が得られた。固化糸篠はほぼ透明であり、得られた繊
維の断面も均一で、海島構造は観察できなかった。この
繊維を実施例1と同様にステープル化し、カードをか
け、ウエッブを作り、熱圧着した。熱圧着時ウエッブの
寸法が半分以上収縮し、得られたものは、接着はよくし
ていたが、粗硬で不織布といえるものではなかった。
【0039】比較例3 PVAとEVAL−Fのブレンド比を99/1とする以
外は実施例1と同様に紡糸、延伸した。得られた繊維
は、膠着なく、断面円型で、強度も15.4g/dと高
強度であった。これを実施例1と同様にステープル化
し、カードにかけウエッブを作り、熱圧着処理を行なっ
た。得られた不織布は一見接着しているように見えた
が、手で揉むと簡単に剥がれ、不織布強度が小さかっ
た。本比較例の繊維の如く低融点成分が少量では熱圧着
性向上効果は不十分であった。
【0040】比較例4 PVAとEVAL−Fのブレンド比を50/50とする
以外は実施例1と同様に紡糸、延伸しようとした。しか
し、乾燥後糸條は、膠着が激しく、断面も変形してお
り、正常な糸は得られなかった。また固化液に濁りが見
られた。EVAL−Fが、完全な島成分とならず、一部
海成分相を形成したためと推定される。
【0041】実施例2 重合度1750、ケン化度99.3モル%で融点が23
3℃のPVAと、エチレン/ビニルアルコールコポリマ
ー=47/53(モル比),重合度750で融点が16
3℃のクラレ製EVAL−Gとをブレンド比が80/2
0となる混合し、全PVA濃度が25%となるよう窒素
下90℃でDMSOに加熱撹拌溶解した。得られたブレ
ンド溶液はかなり濁っていたが、8時間の静置では凝集
して2相に分離する傾向はみられず安定な分散液であっ
た。この紡糸原液を孔径0.12φ、孔数80のノズル
より12mmのエヤーギャップを通して実施例1と同じ
固化液に乾湿式紡糸した。得られた固化糸篠は白濁状で
あり、両PVAが相分離していることが推定された。ま
たこの時固化液には特別な濁りは発生しなかった。固化
糸篠は、実施例1と同じように、湿延伸、抽出、オイリ
ング、乾燥した。次いで225℃で全延伸倍率が12.
5倍となるよう乾熱延伸を施こし、240d/80fの
フィラメントを得た。この繊維に硬着はなく、水中溶断
温度は124℃と耐水性良好であり、単糸強度は13.
1g/drであった。また断面観察より、円型断面であ
り、高融点のPVAが海成分で、低融点のEVAL−G
が島成分となって100個以上に分散しており、最表面
より1μ以内に島成分が多数存在していることがわかっ
た。
【0042】この繊維をステープル化し、カードにかけ
目付30g/m2のウエッブを作り、これに温度190
℃、線圧60kg/cm、処理時間1秒以下の熱圧着条
件で熱カレンダーロール処理を施こした。カレンダー処
理による寸法変化はあまりなかった。得られた不織布
は、よく接着しており、手で揉んでも単糸がバラケるこ
とはなく、タテ7.1km、ヨコ1.4kmの裂断長を
示した。また熱圧着後の不織布を沸騰水中に投入しても
特別な変化は見られず耐水性は良好であった。
【0043】この繊維を3mmにカットし、クラレ製紙
用ビニロンVPB−105(バインダー繊維)とを水に
混合分散し、タッピー抄紙装置で抄紙し、脱水後ドラム
乾燥し、本実施例繊維/VPB−105が90/10よ
りなる坪量30g/m2の紙を得た。この紙を富士イン
パルス製ポリシーラーで両面ヒートシールをした。シー
ル部の接着力は、VPB−102(市販クラレ製紙用ビ
ニロンの主体繊維)/VPB−105=90/10で同
様に抄紙、乾燥、ヒートシールした紙に比べて、明らか
に優れていた。この際のシール時の温度は210℃、圧
力は2kg/cmと推定された。
【0044】実施例3 DMSOを攪拌しながら、重合度2400、ケン化度9
9.8モル%で融点が235℃のPVAと、重合度が9
40、融着温度が50℃以下のエチレン/酢ビ=32/
68(モル比)コポリマーの35%メタノール溶液とを
添加し、窒素置換し90℃にて加熱溶解した。PVA/
エチレン−酢ビコポリマーのブレンド比を9/1となる
よう混合し、全ポリマー濃度が20%となるよう溶解し
た。得られた溶液は濁っていたが、凝集相分離の傾向は
みられなかった。この紡糸原液を実施例2と同様に湿式
紡糸し、220℃で全延伸倍率が14倍となるよう乾熱
延伸を施こし、2500d/1000fのフィラメント
を得た。この繊維に硬着はなく、水中溶断温度は128
℃であり、単糸強度は15.7g/drであった。また
断面観察よりエチレン/酢ビ=32/68(モル比)コ
ポリマーが島成分となっており、最表面より1μ以内に
島成分が多数存在していることがわかった。
【0045】この繊維をステープル化し、カードにかけ
目付30g/m2のウエッブを作り、これに温度160
℃、線圧20kg/cm、処理時間1秒以下の熱圧着条
件で熱カレンダーロール処理を施こした。カレンダー処
理による寸法変化はあまりなく、得られた不織布はよく
接着しており、手で揉んでも単糸がバラケることはな
く、タテ6.6km、ヨコ1.6kmの裂断長を示し、
十分実用に耐える強度であった。また熱圧着後の不織布
を100℃の熱水に投入しても変化は見られず良好な耐
水性を示した。この不織布を2枚重ねて、3辺を富士イ
ンパルス製ポリシーラーでヒートシールした所、袋状の
ものに成形加工することができ、手で剥離しようとして
も簡単には剥がれない接着力を有する袋が熱圧着法のみ
で得られた。
【0046】実施例4 実施例3で得た本発明ステープル30%と2dのビニロ
ンステープル70%を混合し、カードにかけ目付40g
/m2のウエッブを作り、これに温度180℃、線圧2
0kg/cm、処理時間1秒以下の熱圧着条件で熱カレ
ンダーロール処理を施こした。カレンダー処理による寸
法変化はあまりなく、得られた不織布はよく接着してお
り、手で揉んでも単糸がバラケることはなかった。
【0047】
【発明の効果】本発明は、高融点の高ケン化度PVAと
低融点の耐水性ポリマーとを所定のブレンド比で混合
し、低温均一固化紡糸することにより、高融点PVA系
ポリマーを海成分とし、低融点耐水性ポリマーを島成分
とし、低融点耐水性ポリマーを、繊維の最表面には存在
しないが、表層に極く近接して存在せしめ、かつ高強度
としたものである。このような繊維とすることにより、
従来困難であった熱圧着性の高強度親水性繊維を得た。
特に本発明繊維は、高融点の高ケン化度PVAをマトリ
ックスとして海成分に存在せしめて、高配向高結晶化せ
しめており、湿潤下でも寸法が安定しており、通常状態
においては普通の繊維として取り扱うことが可能である
が、熱圧着すると、最表面のマトリックス相が破れ、島
成分の低融点ポリマーが繊維表面に押し出され、繊維同
志が接着されるものである。熱圧着時マトリックス相の
高融点PVAポリマー相は融解しないため、寸法変化が
殆んどなく、かつ熱圧着後も高強度を維持しうる。以上
の如く、本発明繊維は、耐水性と熱圧着性と高強度を兼
備したPVA繊維であり、不織布分野や産業資材用布地
等に用いると、PVA繊維の特徴である親水性、高強
度、高ヤング率、高耐候性、高耐薬品性を維持したま
ま、熱圧着による接着が可能であるため、簡便なプロセ
スにより、無公害で高速生産が可能となる。また乾式法
及び湿式法で得られた不織布は熱圧着性を有するため、
3次元構造体(例えば袋、ポット、箱)などに成形加工
する際、熱圧着法を用いることができ、ヒートシールし
うるため、成形加工が効率的に高速生産しうる。さらに
ビニロンやレーヨンなど親水性素材と混合して不織布化
すると、熱圧着で接着が可能であり、かつ親水性素材の
みで高強度不織布の生産が可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 楢村 俊平 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 (72)発明者 小林 悟 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 (72)発明者 関谷 洋輔 大阪市北区梅田1丁目12番39号 株式会社 クラレ内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 融点が220℃以上であるポリビニルア
    ルコール系ポリマーが海成分であり、融点または融着温
    度が210℃未満である耐水性ポリマーが島成分である
    海島構造繊維であって、両ポリマーのブレンド比が98
    /2〜55/45の範囲であり、かつ強度が7g/dr
    以上であることを特徴とする高強度にして耐水性かつ熱
    圧着性のポリビニルアルコール系繊維。
  2. 【請求項2】 融点が220℃以上であるポリビニルア
    ルコール系ポリマーが海成分であり、融点または融着温
    度が210℃未満である耐水性ポリマーが島成分である
    海島構造繊維であって、両ポリマーのブレンド比が98
    /2〜55/45の範囲であり、島成分の少なくとも一
    部が繊維の最表面より2μ以内に存在し、かつ強度が7
    g/dr以上であることを特徴とする高強度にして耐水
    性かつ熱圧着性のポリビニルアルコール系繊維。
  3. 【請求項3】 融点が220℃以上であるポリビニルア
    ルコール系ポリマーと融点または融着温度が210℃未
    満である耐水性ポリマーを98/2〜55/45の範囲
    で、融点が220℃以上であるポリビニルアルコール系
    ポリマーの溶媒中で混合撹拌溶解し、得られた混合溶液
    または混合分散液を、融点が220℃以上であるポリビ
    ニルアルコール系ポリマーが海成分、融点または融着温
    度が210℃未満の耐水性ポリマーが島成分となるよう
    に溶液紡糸するとともに、均一固化紡糸をし、湿延伸及
    び乾熱延伸を行なうことを特徴とする高強度にして耐水
    性かつ熱圧着性のポリビニルアルコール系繊維の製法。
  4. 【請求項4】 請求項1の繊維を少なくとも10%含有
    する乾式不織布あるいは湿式不織布であって、温度80
    〜230℃、線圧1kg/cm以上または面圧2kg/
    cm2以上で熱圧着することにより圧着可能であること
    を特徴とする不織布。
  5. 【請求項5】 請求項1の繊維を少なくとも10%含有
    するウェッブを、圧着温度80〜230℃かつ線圧1k
    g/cm以上または面圧2kg/cm2以上の条件で熱
    圧着することを特徴とする不織布の製造法。
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JP5069691B2 (ja) * 2006-10-13 2012-11-07 株式会社クラレ 刺繍用基布およびその製造方法

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