JPH07121855A - 磁気記録媒体及び磁気記録媒体の製造方法及びプラズマcvd成膜方法 - Google Patents

磁気記録媒体及び磁気記録媒体の製造方法及びプラズマcvd成膜方法

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JPH07121855A
JPH07121855A JP5262177A JP26217793A JPH07121855A JP H07121855 A JPH07121855 A JP H07121855A JP 5262177 A JP5262177 A JP 5262177A JP 26217793 A JP26217793 A JP 26217793A JP H07121855 A JPH07121855 A JP H07121855A
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博司 関
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喜代司 高橋
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優 小田桐
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、電磁変換特性と実用信頼性(走行
安定性、耐久性、耐候性)とを高次元で両立することの
できる磁気記録媒体を提供することを目的とする。 【構成】 非磁性基板1の一方の面に強磁性金属薄膜3
を、他方の面にバックコート層5を形成した後、このバ
ックコート層5上にフッ素、ケイ素もしくは窒素を含
み、且つフッ素濃度が最表面から深さ方向に向かって減
少するとともに、ケイ素もしくは窒素濃度が最表面から
深さ方向に向かって増加する炭素膜6を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、オーディオ・ビデオ機
器、コンピュータ等に用いられる磁気記録媒体に関する
ものであり、特に走行安定性、耐久性を改善するために
バックコート層を設けた磁気記録媒体に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録装置には大容量化、高速
化、高画質・高音質化、小型軽量化等が要望されるよう
になってきた。それに伴い磁気記録媒体としては高密度
記録を達成することが必要不可欠であり、従来からの磁
性体を結合剤中に分散させた塗布型磁気記録媒体に対
し、磁性層の残留磁束密度(Br)及び保磁力(Hc)
が共に大きく、磁性層の薄膜化が可能であり、しかも磁
性層表面の超平滑化に最適である強磁性金属薄膜型磁気
記録媒体の開発、実用化が積極的に行われている。
【0003】一方、磁性層の表面性の向上に伴い磁気記
録媒体の摩擦係数が増大し、走行安定性、耐久性が悪化
する傾向にあるため、磁性層形成面とは反対側の非磁性
基板上に特定の表面粗さを有するバックコート層を付与
する構成が提案されている(例えば、特公平5−984
2号公報等に記載)。
【0004】特に強磁性金属薄膜型磁気記録媒体に用い
られるバックコート層の表面粗さは、巻き取り工程時あ
るいは熱処理工程時においてバックコート層の凹凸が磁
性層表面上に形状転写する、いわゆる裏移りを低減し、
電磁変換特性の悪化を防止するために可能な限り小さく
設定する必要がある。そのためバックコート層に含有す
る充填剤の粒子径を小さくし、充填剤の分散性向上を目
的として、過度の分散剤を使用したり、スルホン酸金属
塩等の極性基を分子中に比較的多量に導入した結合剤を
使用する方法が提案されている。しかしながらこれらの
方法では、バックコート層の塗膜強度を低下させること
につながり、テープ走行時に塗膜の削れやテープの折れ
が生じ易くなる。さらにテープの巻き取り時にバックコ
ート層の摩耗粉が磁性層面に移り、ヘッド目づまりやド
ロップアウトを増加させたり、出力低下の原因になる場
合もある。また長期に渡って保存した際には、磁性層と
バックコート層とが互いに張り付くブロッキング現象が
生じる等の問題を有していた。
【0005】さらに強磁性金属薄膜型磁気記録媒体の磁
性層は、硬度が低く摩耗しやすいため、走行安定性、耐
久性を改善するために磁性層上に保護膜(例えば、ダイ
ヤモンド状炭素膜)、滑り性・撥水性効果を合わせ持つ
含フッ素系潤滑剤層を順次形成する構成が数多く提案さ
れている(例えば、特開平1−245417号公報及び
特開平2−158909号公報等に記載)。しかしなが
らダイヤモンド状炭素膜の表面状態が化学的に非常に不
活性であるため、高温高湿環境下に保存した場合に潤滑
剤成分が裏面のバックコート層上に転写し、ダイヤモン
ド状炭素膜上の潤滑剤量が減少することとなり、スチル
ライフが低下する等の問題が起こり、改善が望まれてい
た。
【0006】そこで最近では、バックコート層の耐摩耗
性を改善するとともに、ブロッキング現象やバックコー
ト層への潤滑剤成分の転写を防止することを目的とし
て、磁性層形成面とは反対側の非磁性基板上に形成され
たバックコート層上に含フッ素硬質炭素膜を形成する構
成が開示されている(特開平4−353616号公報に
記載)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記した
構成においても、優れた電磁変換特性及び耐久性を兼ね
備えた磁気記録媒体を提供することは困難であり、未だ
数多くの問題が存在している。
【0008】すなわちバックコート層上に直接含フッ素
硬質炭素膜を形成する構成では、硬質炭素膜中のフッ素
原子と炭素原子との結合エネルギーが非常に強い反面、
バックコート層表面上の原子、例えば炭素原子あるいは
酸素原子とフッ素原子との相互作用が極めて弱いため
に、テープ走行時もしくは巻き取り時に含フッ素硬質炭
素膜がバックコート層との界面にて剥離し、その剥離片
が磁性層面に移り、著しい出力低下を招いたり、長時間
のヘッド目づまりを発生させる等の問題を有していた。
【0009】さらに炭素膜中のフッ素原子の含有量が多
い場合には、炭素膜自体の硬度が低下するために、走行
耐久性が返って悪化する結果を招いてしまう。
【0010】本発明は上記課題を解決するものであり、
電磁変換特性を損なうことなく、走行安定性、耐久性、
耐候保存性に優れた磁気記録媒体を提供することを目的
とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、非磁性基板の一方の面に磁性層を、他方の
面にカーボンブラックを主成分とする充填剤と結合剤と
からなるバックコート層をそれぞれ形成させた後、この
バックコート層上にフッ素、ケイ素もしくは窒素を含
み、且つフッ素濃度が最表面から深さ方向に向かって減
少するとともに、ケイ素もしくは窒素濃度が最表面から
深さ方向に向かって増加する炭素膜を形成する構成とす
る。
【0012】
【作用】本発明によれば、炭素膜表面に適量存在するフ
ッ素原子により、炭素膜の表面エネルギー(臨界表面張
力γC )が低下するため、耐ブロッキング性が改善され
るとともに磁性層形成面側からの潤滑剤成分の転写を低
減することが可能となる。
【0013】また炭素膜の最表面から深さ方向(バック
コ−ト層との界面)に向かってフッ素原子濃度が減少す
るために、炭素膜の硬度を低下させることなく、バック
コート層形成面側の耐摩耗性を向上させることができ
る。
【0014】さらにバックコート層表面上の原子、例え
ば炭素原子あるいは酸素原子と化学的親和力の強いケイ
素もしくは窒素を炭素膜のバックコート層との界面近傍
に多く分布させているために、炭素膜とバックコート層
との良好な密着性を確保することができる。
【0015】したがって、炭素膜とバックコート層との
良好な密着性を保ちつつ、炭素膜の耐摩耗性、低エネル
ギー表面特性(撥水・撥油性)を充分に発揮することが
できるため、電磁変換特性を損なうことなく、走行安定
性、耐久性、耐候保存性に優れた磁気記録媒体を提供す
ることが可能となる。
【0016】
【実施例】以下本発明の実施例について図面を参照しな
がら詳細に説明する。
【0017】図1は本発明の強磁性金属薄膜型磁気テー
プの構成を示す拡大断面図である。図中、1は非磁性基
板であり、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン
ナフタレート、ポリアミド、ポリイミド等の高分子フィ
ルムを用いることができ、磁性層側の基板表面には最大
高さ粗さ(Rmax )が10nm〜20nmの微小突起層
2が形成されている。3は強磁性金属薄膜であり、真空
雰囲気中でCo、Co−Ni等の金属もしくは合金を電
子ビーム等で加熱・蒸発させ、真空槽内にわずかな酸素
ガスを導入しながら、連続的に入射角を変化させた斜方
蒸着法により形成する。その膜厚は150nm〜200
nmである。4はダイヤモンド状炭素膜であり、プラズ
マCVD法、イオンビーム蒸着法、イオンビームスパッ
タ法、レーザー蒸着法等により形成することができ、そ
の膜厚は短波長領域での再生出力を確保するために、8
nm〜12nmが最適である。5はバックコート層であ
り、カーボンブラック、炭酸カルシウム、ポリエステル
樹脂、ニトロセルロース樹脂を主成分とした塗料を塗布
・乾燥させることにより形成する。その膜厚は500n
m程度である。6は炭素膜であり、この炭素膜はフッ
素、ケイ素もしくは窒素を含有し、且つフッ素濃度が最
表面から深さ方向に向かって減少するとともに、ケイ素
もしくは窒素濃度が最表面から深さ方向に向かって増加
する構成を有するものである。その膜厚は3nm〜50
nmの範囲が好ましく、5nm〜30nmの範囲が望ま
しい。また7はカルボキシル基等の極性基を分子中に導
入した含フッ素系潤滑剤層であり、湿式塗布法あるいは
有機蒸着法により形成し、その膜厚は3nm程度であ
る。
【0018】また図2は本発明の強磁性金属薄膜型磁気
テープを構成している炭素膜6をプラズマCVD法を用
いて形成するための成膜装置の概略図を示したものであ
る。図中、8は真空槽であり、真空ポンプ9を用いて真
空槽8内部の圧力が10-4torr〜10-5torrの
高真空状態となるように排気を行っている。10は非磁
性基板1上に強磁性金属薄膜3、バックコート層5及び
ダイヤモンド状炭素膜4を形成させた金属薄膜型磁気テ
ープ用原反であり、巻き出しロール11から送り出さ
れ、2本のパスロール12、13及び円筒状の冷却キャ
ン14の外周面を経由して巻き取りロール15に巻き取
られる。なお冷却キャン14は金属薄膜型磁気テープ用
原反10を一定速度で搬送できるように回転制御する働
きをしている。
【0019】16、17、18は炭素膜6を金属薄膜型
磁気テープ用原反10のバックコート層表面上に成膜す
るための放電管(非平衡プラズマ発生空間)であり、放
電管16、17、18の内部には、パイプ状の放電電極
19、20、21がそれぞれ設置されている。パイプ状
の放電電極19、20、21はプラズマ発生用電源2
2、23、24とそれぞれ接続されており、プラズマ発
生用電源22、23、24としては、直流電圧または交
流電圧のどちらかのみを印加する方式や直流電圧と交流
電圧とを重畳させて印加する方式の三種類の放電方式を
採用することができる。25、26、27は含フッ素有
機系ガス、含ケイ素有機系ガスもしくは含窒素有機系ガ
スもしくは含ケイ素・窒素有機系ガス及びアルゴン等の
無機系ガスを放電管16、17、18内にそれぞれ導入
するための原料ガス導入口である。
【0020】また図3は本発明の強磁性金属薄膜型磁気
テープを構成している炭素膜6をプラズマCVD法を用
いて形成するための成膜装置の概略図を示したものであ
る。図中、8は真空槽であり、真空ポンプ9を用いて真
空槽8内部の圧力が10-4torr〜10-5torrの
高真空状態となるように排気を行っている。10は非磁
性基板1上に強磁性金属薄膜3、バックコート層5及び
ダイヤモンド状炭素膜4を形成させた金属薄膜型磁気テ
ープ用原反であり、巻き出しロール11から送り出さ
れ、2本のパスロール12、13及び円筒状の冷却キャ
ン14の外周面を経由して巻き取りロール15に巻き取
られる。なお冷却キャン14は金属薄膜型磁気テープ用
原反10を一定速度で搬送できるように回転制御する働
きをしている。
【0021】28は炭素膜6を金属薄膜型磁気テープ用
原反10のバックコート層表面上に成膜するための放電
管(非平衡プラズマ発生空間)であり、放電管28の内
部には、しきり板29及びパイプ状の放電電極30、3
1がそれぞれ設置されている。なお放電管28の先端部
分と金属薄膜型磁気テープ用原反10との間隙を0.5
mmとし、しきり板29の先端部分と金属薄膜型磁気テ
ープ用原反10との間隙を5mmとしている。放電電極
30、31はプラズマ発生用電源32、33と接続され
ており、プラズマ発生用電源32、33としては、直流
電圧または交流電圧のどちらかのみを印加する方式や直
流電圧と交流電圧とを重畳させて印加する方式の三種類
の放電方式を採用することができる。34、35は含フ
ッ素有機系ガス、含ケイ素有機系ガスもしくは含窒素有
機系ガスもしくは含ケイ素・窒素有機系ガス及びアルゴ
ン等の無機系ガスを放電管28内にそれぞれ導入するた
めの原料ガス導入口である。
【0022】実施例(1) 走査型トンネル顕微鏡(STM)による表面形状分析で
最大高さ粗さ(Rmax)が15nm程度の微小突起層2
が設けられている10μm厚のポリエチレンテレフタレ
ートフィルム1表面上に連続入射角変化蒸着法を用いて
CoOからなる強磁性金属薄膜3を膜厚180nm形成
する。次に強磁性金属薄膜3表面上にメタン(CH4
炭化水素系ガス)とアルゴン(Ar:無機系ガス)との
混合ガスを用いたプラズマCVD法によりダイヤモンド
状炭素膜4を膜厚10nm形成する。さらに湿式塗布法
によりポリエチレンテレフタレートフィルム1の反対側
の表面上にバックコート層5を膜厚500nm形成す
る。
【0023】次に図2に示した成膜装置の真空槽8内部
に金属薄膜型磁気テープ用原反10を設置し、真空槽8
内部を真空排気した後、放電管16内にテトラメチルジ
シロキサン((CH32HSiOSiH(CH32:含
ケイ素有機系ガス)とアルゴンとをそれぞれ導入し、テ
トラメチルジシロキサンとアルゴンとの圧力比が4:
1、総ガス圧力が0.20torrとなるようにガス流
量の調整を行う。また放電管17内にオクタフルオロシ
クロブタン(c−C48:含フッ素有機系ガス)とテト
ラメチルジシロキサンとアルゴンとをそれぞれ導入し、
テトラメチルジシロキサンとオクタフルオロシクロブタ
ンとアルゴンとの圧力比が2:2:1、総ガス圧力が
0.20torrとなるようにガス流量の調整を行う。
さらに放電管18内にオクタフルオロシクロブタンとア
ルゴンとをそれぞれ導入し、オクタフルオロシクロブタ
ンとアルゴンとの圧力比が4:1、総ガス圧力が0.2
0torrとなるようにガス流量の調整を行う。
【0024】その後、金属薄膜型磁気テープ用原反10
を15m/minの走行スピードで搬送させるととも
に、パイプ状の放電電極19、20、21に直流電圧8
00Vと交流電圧800V(周波数20kHz)とを重
畳させて印加することで、非平衡プラズマを発生させ、
金属薄膜型磁気テープ用原反10のバックコート層5表
面上にフッ素濃度が最表面から深さ方向(バックコ−ト
層との界面)に向かって減少し、且つケイ素濃度が最表
面から深さ方向に向かって増加する炭素膜6を膜厚12
nm形成する。
【0025】次にC511(CH210COOHのイソプ
ロピルアルコール溶液を湿式塗布法によりダイヤモンド
状炭素膜4表面上に膜厚3nm程度形成させた後、8m
m幅にスリットして8mmVTR用金属薄膜型磁気テー
プを作製した。
【0026】なおX線光電子分光法(XPS)を用いて
実施例(1)で作製した含フッ素系潤滑剤層7未形成の
金属薄膜型磁気テープ用原反について炭素膜6表面の組
成分析を行った結果、炭素膜6表面近傍の炭素に対する
フッ素の原子比率は25%であった。また金属薄膜型磁
気テープの炭素膜6表面の臨界表面張力γC 値は、1
7.5×10-5N/cmであった。
【0027】実施例(2) 走査型トンネル顕微鏡(STM)による表面形状分析で
最大高さ粗さ(Rmax)が15nm程度の微小突起層2
が設けられている10μm厚のポリエチレンテレフタレ
ートフィルム1表面上に連続入射角変化蒸着法を用いて
CoOからなる強磁性金属薄膜3を膜厚180nm形成
する。次に強磁性金属薄膜3表面上にメタンとアルゴン
との混合ガスを用いたプラズマCVD法によりダイヤモ
ンド状炭素膜4を膜厚10nm形成する。さらに湿式塗
布法によりポリエチレンテレフタレートフィルム1の反
対側の表面上にバックコート層5を膜厚500nm形成
する。
【0028】次に図3に示した成膜装置の真空槽8内部
に金属薄膜型磁気テープ用原反10を設置し、真空槽8
内部を真空排気した後、原料ガス導入口34よりテトラ
メチルジシロキサン((CH32HSiOSiH(CH
32:含ケイ素有機系ガス)とアルゴンとを放電管28
内にそれぞれ導入し、テトラメチルジシロキサンとアル
ゴンとの圧力比が4:1、総ガス圧力が0.20tor
rとなるようにガス流量の調整を行う。また原料ガス導
入口35よりオクタフルオロシクロブタンとアルゴンと
を放電管28内にそれぞれ導入し、オクタフルオロシク
ロブタンとアルゴンとの圧力比が4:1、総ガス圧力が
0.20torrとなるようにガス流量の調整を行う。
【0029】その後、金属薄膜型磁気テープ用原反10
を15m/minの走行スピードで搬送させるととも
に、パイプ状の放電電極30、31に直流電圧800V
と交流電圧800V(周波数20kHz)とを重畳させ
て印加することで、非平衡プラズマを発生させ、金属薄
膜型磁気テープ用原反10のバックコート層5表面上に
フッ素濃度が最表面から深さ方向(バックコ−ト層との
界面)に向かって連続的に減少し、且つケイ素濃度が最
表面から深さ方向に向かって連続的に増加する炭素膜6
を膜厚10nm形成する。
【0030】次にC511(CH210COOHのイソプ
ロピルアルコール溶液を湿式塗布法によりダイヤモンド
状炭素膜4表面上に膜厚3nm程度形成させた後、8m
m幅にスリットして8mmVTR用金属薄膜型磁気テー
プを作製した。
【0031】なおX線光電子分光法(XPS)を用いて
実施例(2)で作製した含フッ素系潤滑剤層7未形成の
金属薄膜型磁気テープ用原反について炭素膜6表面の組
成分析を行った結果、炭素膜6表面近傍の炭素に対する
フッ素の原子比率は23%であった。また金属薄膜型磁
気テープの炭素膜6表面の臨界表面張力γC 値は、1
8.6×10-5N/cmであった。
【0032】実施例(3) 炭素膜6形成用の原料ガスとして、テトラメチルジシロ
キサンの代わりにテトラメトキシシラン((CH3O)2
Si(OCH32:含ケイ素有機系ガス)を用いるこ
と、またオクタフルオロシクロブタンの代わりに六フッ
化プロピレン(CF3CF=CF2:含フッ素有機系ガ
ス)を用いること以外は実施例(1)と同様な方法によ
り、8mmVTR用金属薄膜型磁気テープを作製した。
【0033】なお実施例(3)でバックコート層5表面
上に形成した炭素膜6の膜厚は10nmであった。また
X線光電子分光法(XPS)を用いて実施例(3)で作
製した含フッ素系潤滑剤層7未形成の金属薄膜型磁気テ
ープ用原反について炭素膜6表面の組成分析を行った結
果、炭素膜6表面近傍の炭素に対するフッ素の原子比率
は18%であった。また金属薄膜型磁気テープの炭素膜
6表面の臨界表面張力γC 値は、19.8×10-5N/
cmであった。
【0034】実施例(4) 炭素膜6形成用の原料ガスとして、テトラメチルジシロ
キサンの代わりにピリジン(C56N:含窒素有機系ガ
ス)を用いること、さらに放電管28内のピリジンとア
ルゴンとの圧力比を4:1、総ガス圧力を0.25to
rrとし、直流電圧1000Vと交流電圧1300V
(周波数20kHz)とを重畳させてパイプ状の放電電
極19に印加すること以外は実施例(1)と同様な方法
により、8mmVTR用金属薄膜型磁気テープを作製し
た。
【0035】なお実施例(4)でバックコート層5表面
上に形成した炭素膜6の膜厚は25nmであった。また
X線光電子分光法(XPS)を用いて実施例(4)で作
製した含フッ素系潤滑剤層7未形成の金属薄膜型磁気テ
ープ用原反について炭素膜6表面の組成分析を行った結
果、炭素膜6表面近傍の炭素に対するフッ素の原子比率
は21%であった。また金属薄膜型磁気テープの炭素膜
6表面の臨界表面張力γC 値は、18.1×10-5N/
cmであった。
【0036】実施例(5) 炭素膜6形成用の原料ガスとして、テトラメチルジシロ
キサンの代わりにピリジン(C56N:含窒素有機系ガ
ス)を用いること、さらに原料ガス導入口34よりピリ
ジンとアルゴンとを放電管28内に導入し、ピリジンと
アルゴンとの圧力比を4:1、総ガス圧力を0.25t
orrとし、直流電圧1000Vと交流電圧1300V
(周波数20kHz)とを重畳させてパイプ状の放電電
極30に印加すること以外は実施例(2)と同様な方法
により、8mmVTR用金属薄膜型磁気テープを作製し
た。
【0037】なお実施例(5)でバックコート層5表面
上に形成した炭素膜6の膜厚は21nmであった。また
X線光電子分光法(XPS)を用いて実施例(5)で作
製した含フッ素系潤滑剤層7未形成の金属薄膜型磁気テ
ープ用原反について炭素膜6表面の組成分析を行った結
果、炭素膜6表面近傍の炭素に対するフッ素の原子比率
は20%であった。また金属薄膜型磁気テープの炭素膜
6表面の臨界表面張力γC 値は、18.9×10-5N/
cmであった。
【0038】実施例(6) 炭素膜6形成用の原料ガスとして、テトラメチルジシロ
キサンの代わりにアリルアミン(CH2=CHCH2NH
2 :含窒素有機系ガス)を用いること、またオクタフル
オロシクロブタンの代わりに四フッ化エチレン(CF2
=CF2:含フッ素有機系ガス)を用いること、また炭
素膜6の最表層を形成するための原料ガスとして、オク
タフルオロシクロブタンの代わりに四フッ化エチレンと
メタンを用いること、さらに放電管17内の四フッ化エ
チレンとアリルアミンとアルゴンとの圧力比を1:4:
1、総ガス圧力を0.18torrとすること、また放
電管18内の四フッ化エチレンとメタンとアルゴンとの
圧力比を1:3:1、総ガス圧力を0.25torrと
すること以外は実施例(1)と同様な方法により、8m
mVTR用金属薄膜型磁気テープを作製した。
【0039】なお実施例(6)でバックコート層5表面
上に形成した炭素膜6の膜厚は18nmであった。また
X線光電子分光法(XPS)を用いて実施例(6)で作
製した含フッ素系潤滑剤層7未形成の金属薄膜型磁気テ
ープ用原反について炭素膜6表面の組成分析を行った結
果、炭素膜6表面近傍の炭素に対するフッ素の原子比率
は13%であった。また金属薄膜型磁気テープの炭素膜
6表面の臨界表面張力γC 値は、22.7×10-5N/
cmであった。
【0040】実施例(7) 炭素膜6形成用の原料ガスとして、テトラメチルジシロ
キサンの代わりにヘキサメチルジシラザン((CH33
SiNHSi(CH33:含ケイ素・窒素有機系ガス)
を用いること、またオクタフルオロシクロブタンの代わ
りにパーフロロトルエン(C65(CF3) :含フッ素
有機系ガス)を用いること、さらに放電管18内のパー
フロロトルエンとアルゴンとの圧力比を4:1、総ガス
圧力を0.15torrとし、直流電圧1000Vと交
流電圧1300V(周波数20kHz)とを重畳させて
パイプ状の放電電極21に印加すること以外は実施例
(1)と同様な方法により、8mmVTR用金属薄膜型
磁気テープを作製した。
【0041】なお実施例(7)でバックコート層5表面
上に形成した炭素膜6の膜厚は15nmであった。また
X線光電子分光法(XPS)を用いて実施例(7)で作
製した含フッ素系潤滑剤層7未形成の金属薄膜型磁気テ
ープ用原反について炭素膜6表面の組成分析を行った結
果、炭素膜6表面近傍の炭素に対するフッ素の原子比率
は10%であった。また金属薄膜型磁気テープの炭素膜
6表面の臨界表面張力γC 値は、23.9×10-5N/
cmであった。
【0042】実施例(8) 炭素膜6形成用の原料ガスとして、テトラメチルジシロ
キサンの代わりにヘキサメトキシジシラザン((CH3
O)3SiNHSi(OCH33:含ケイ素・窒素有機
系ガス)を用いること、またオクタフルオロシクロブタ
ンの代わりにパーフロロトルエンを用いること、また炭
素膜6の最表層を形成するための原料ガスとして、パー
フロロトルエンとトルエン(C65(CH3) :炭化水
素系ガス)を用いること、さらに放電管17内のパーフ
ロロトルエンとヘキサメトキシジシラザンとアルゴンと
の圧力比を1:3:1、総ガス圧力を0.15torr
とし、直流電圧1000Vと交流電圧1300V(周波
数20kHz)とを重畳させてパイプ状の放電電極20
に印加すること、また放電管18内のパーフロロトルエ
ンとトルエンとアルゴンとの圧力比を1:2:1、総ガ
ス圧力を0.16torrとし、直流電圧1000Vと
交流電圧1300V(周波数20kHz)とを重畳させ
てパイプ状の放電電極21に印加すること以外は実施例
(1)と同様な方法により、8mmVTR用金属薄膜型
磁気テープを作製した。
【0043】なお実施例(8)でバックコート層5表面
上に形成した炭素膜6の膜厚は20nmであった。また
X線光電子分光法(XPS)を用いて実施例(8)で作
製した含フッ素系潤滑剤層7未形成の金属薄膜型磁気テ
ープ用原反について炭素膜6表面の組成分析を行った結
果、炭素膜6表面近傍の炭素に対するフッ素の原子比率
は7%であった。また金属薄膜型磁気テープの炭素膜6
表面の臨界表面張力γ C 値は、27.7×10-5N/c
mであった。
【0044】比較例(1) バックコート層5上に炭素膜6を形成しないこと以外は
実施例(1)と同様な方法により、8mmVTR用金属
薄膜型磁気テープを作製した。
【0045】比較例(2) 炭素膜6形成用の原料ガスとして、オクタフルオロシク
ロブタンの代わりにメタンを用いること以外は実施例
(1)と同様な方法により、8mmVTR用金属薄膜型
磁気テープを作製した。
【0046】なお比較例(2)でバックコート層5表面
上に形成した炭素膜6の膜厚は14nmであった。また
X線光電子分光法(XPS)を用いて比較例(2)で作
製した含フッ素系潤滑剤層7未形成の金属薄膜型磁気テ
ープ用原反について炭素膜6表面の組成分析を行った結
果、炭素膜6表面近傍の炭素に対するフッ素の原子比率
は0%であった。また金属薄膜型磁気テープの炭素膜6
表面の臨界表面張力γ C 値は、35.1×10-5N/c
mであった。
【0047】比較例(3) 炭素膜6形成用の原料ガスとして、テトラメチルジシロ
キサンの代わりにアリルアミンを用いること、またオク
タフルオロシクロブタンの代わりに四フッ化エチレンを
用いること、また炭素膜6の最表層を形成するための原
料ガスとして、四フッ化エチレンとプロピレン(CH3
CH=CH2:炭化水素系ガス)を用いること、さらに
放電管17内の四フッ化エチレンとアリルアミンとアル
ゴンとの圧力比を1:15:4、総ガス圧力を0.20
torrとすること、また放電管18内の四フッ化エチ
レンとプロピレンとアルゴンとの圧力比を1:19:
5、総ガス圧力を0.25torrとすること以外は実
施例(1)と同様な方法により、8mmVTR用金属薄
膜型磁気テープを作製した。
【0048】なお比較例(3)でバックコート層5表面
上に形成した炭素膜6の膜厚は20nmであった。また
X線光電子分光法(XPS)を用いて比較例(3)で作
製した含フッ素系潤滑剤層7未形成の金属薄膜型磁気テ
ープ用原反について炭素膜6表面の組成分析を行った結
果、炭素膜6表面近傍の炭素に対するフッ素の原子比率
は2%であった。また金属薄膜型磁気テープの炭素膜6
表面の臨界表面張力γ C 値は、31.4×10-5N/c
mであった。
【0049】比較例(4) 炭素膜6形成用の原料ガスとして、テトラメチルジシロ
キサンを使用せず、放電管16、17、18内にオクタ
フルオロシクロブタンとアルゴンとをそれぞれ導入し、
オクタフルオロシクロブタンとアルゴンとの圧力比を
4:1、総ガス圧力を0.20torrとすること以外
は実施例(1)と同様な方法により、8mmVTR用金
属薄膜型磁気テープを作製した。
【0050】なお比較例(4)でバックコート層5表面
上に形成した炭素膜6の膜厚は10nmであった。また
X線光電子分光法(XPS)を用いて比較例(4)で作
製した含フッ素系潤滑剤層7未形成の金属薄膜型磁気テ
ープ用原反について炭素膜6表面の組成分析を行った結
果、炭素膜6表面近傍の炭素に対するフッ素の原子比率
は26%であった。また金属薄膜型磁気テープの炭素膜
6表面の臨界表面張力γC 値は、17.4×10-5N/
cmであった。
【0051】比較例(5) 炭素膜6形成用の原料ガスとして、オクタフルオロシク
ロブタンを使用せず、放電管16、17、18内にテト
ラメチルジシロキサンとアルゴンとをそれぞれ導入し、
テトラメチルジシロキサンとアルゴンとの圧力比を4:
1、総ガス圧力を0.20torrとすること以外は実
施例(1)と同様な方法により、8mmVTR用金属薄
膜型磁気テープを作製した。
【0052】なお比較例(5)でバックコート層5表面
上に形成した炭素膜6の膜厚は18nmであった。また
X線光電子分光法(XPS)を用いて比較例(5)で作
製した含フッ素系潤滑剤層7未形成の金属薄膜型磁気テ
ープ用原反について炭素膜6表面の組成分析を行った結
果、炭素膜6表面近傍の炭素に対するフッ素の原子比率
は0%であった。また金属薄膜型磁気テープの炭素膜6
表面の臨界表面張力γ C 値は、39.1×10-5N/c
mであった。
【0053】比較例(6) 放電管16内にオクタフルオロシクロブタンとアルゴン
とをそれぞれ導入し、オクタフルオロシクロブタンとア
ルゴンとの圧力比を4:1、総ガス圧力を0.20to
rrとすること、また放電管18内にテトラメチルジシ
ロキサンとアルゴンとをそれぞれ導入し、テトラメチル
ジシロキサンとアルゴンとの圧力比を4:1、総ガス圧
力を0.20torrとすること以外は実施例(1)と
同様な方法により、8mmVTR用金属薄膜型磁気テー
プを作製した。
【0054】なお比較例(6)でバックコート層5表面
上に形成した炭素膜6の膜厚は12nmであった。また
X線光電子分光法(XPS)を用いて比較例(6)で作
製した含フッ素系潤滑剤層7未形成の金属薄膜型磁気テ
ープ用原反について炭素膜6表面の組成分析を行った結
果、炭素膜6表面近傍の炭素に対するフッ素の原子比率
は0%であった。また金属薄膜型磁気テープの炭素膜6
表面の臨界表面張力γ C 値は、37.2×10-5N/c
mであった。
【0055】また実施例及び比較例における炭素膜6表
面の臨界表面張力γC 値は、含フッ素系潤滑剤層7未形
成の金属薄膜型磁気テープ用原反に対し、炭素膜6表面
に表面張力既知のぬれ指数標準液を滴下し、その液滴の
接触角θを測定する。次にぬれ指数標準液の表面張力に
対して接触角θの余弦(cosθ)をプロットする(Z
ismann Plotの実施。)。最小二乗法により
得られた直線とcosθ=1.0との交点に相当する表
面張力の値を求め、その値を炭素膜6表面の臨界表面張
力γC 値とした。なお使用したぬれ指数標準液の表面張
力は、38、45、54、72×10-5 N/cmであ
る。
【0056】以上の実施例及び比較例にて得られた各8
mmVTR用金属薄膜型磁気テープについて以下の測定
を行った。 (1)摩擦係数μk 直径4mm、表面粗さ0.2Sのステンレス円柱(SU
S420J2)に金属薄膜型磁気テープのバックコート
層形成面が90゜に渡って接触するようにし、ステンレ
ス円柱に対して、入側張力を30g、テープ走行速度を
0.5mm/secに設定した時の出側張力Xgを測定
し、次式から摩擦係数を求めた。
【0057】
【数1】
【0058】なお測定環境は25℃−30%RHであ
り、摩擦係数としては、走行30パス目の測定値を採用
することにした。 (2)出力低下 5℃−80%RHの環境下、約60分長の金属薄膜型磁
気テープに映像信号を記録し、再生を200パス行う
(繰り返し走行による耐久試験)。出力低下の定義とし
ては、再生1パス目の出力を基準(0dB)とし、20
0パス再生中に最も出力が低下した値(最低出力値)を
デシベル表示した。 (3)ヘッド目づまり 上記繰り返し走行による耐久試験において、6dB以上
の再生出力の低下が継続した時間をヘッド目づまり時間
とした。 (4)耐ブロッキング性 40℃−90%RHの環境下で約30日間金属薄膜型磁
気テープを放置し、ブロッキングの発生有無を観察し
た。 (5)スチルライフ 40℃−90%RHの環境下で約10日間放置した金属
薄膜型磁気テープを用い、23℃−10%RHの環境
下、荷重20gの条件にて、スチルモードによる再生を
行い、映像信号が6dB落ち込むまでの時間を示した。
なお測定は最長60分間で打ち切った。
【0059】(表1)に各実施例、比較例にて作製した
8mmVTR用金属薄膜型磁気テープの評価結果を示
す。
【0060】
【表1】
【0061】(表1)から明らかなように、実施例
(1)〜(8)は、フッ素、ケイ素もしくは窒素を含
み、且つフッ素濃度が最表面から深さ方向に向かって減
少するとともに、ケイ素もしくは窒素濃度が最表面から
深さ方向に向かって増加する炭素膜がバックコート層上
に設けられているため、炭素膜とバックコート層との良
好な密着性を保ちつつ、炭素膜の耐摩耗性、低エネルギ
ー表面特性(撥水・撥油性)を充分に発揮することがで
きるため、走行安定性の確保、出力低下、ヘッド目づま
りの大幅な改善、耐ブロッキング性、スチルライフの著
しい向上を同時に達成することができた。特に実施例
(2)及び実施例(5)においては、炭素膜中のフッ素
濃度及びケイ素濃度もしくは窒素濃度が連続的に変化し
ているため、炭素膜中の内部応力が緩和され、バックコ
ート層との密着性がさらに向上するため、実用信頼性
(走行安定性、耐久性、耐候性)が飛躍的に向上した。
【0062】比較例(1)では、バックコート層の塗膜
強度が低いために、テープの走行安定性が悪化し、さら
にバックコートの摩耗粉に基づく出力低下、長時間のヘ
ッド目づまり等の発生を招く結果となった。
【0063】比較例(2)では、フッ素原子が炭素膜表
面近傍に存在しないために、比較例(3)では、炭素膜
表面近傍のフッ素原子の含有量が不足しているために、
バックコート層の表面エネルギーが高くなり、高温高湿
環境下に保存した場合に潤滑剤成分の炭素膜上への転写
を抑制することができなくなり、その結果、ダイヤモン
ド状炭素膜上の潤滑剤量が減少することとなり、スチル
ライフが短くなった。
【0064】比較例(4)では、炭素膜中のフッ素原子
の含有量が多く、炭素膜自体の硬度が低下するととも
に、バックコート層との界面近傍にフッ素原子が多く存
在しているためバックコート層との接着性が悪化し、大
幅な出力低下、長時間のヘッド目づまり、ブロッキング
の発生を招く結果となった。
【0065】比較例(5)及び比較例(6)では、潤滑
剤分子中に導入された極性基(カルボキシル基)と化学
的親和力の強いケイ素もしくは窒素が炭素膜表面近傍に
存在するために、潤滑剤成分の炭素膜上への転写が多く
なり、スチルライフが著しく減少した。。さらに比較例
(6)ではバックコート層との界面近傍にフッ素原子が
多く存在しているためバックコート層との接着性が悪化
し、大幅な出力低下、長時間のヘッド目づまり、ブロッ
キングの発生を招く結果となった。
【0066】なお上記実施例では、8mmVTR用金属
薄膜型磁気テープのみについて説明したが、これに限定
されるものではなく、他の規格の強磁性金属薄膜型磁気
テープ、塗布型磁気テープ等の磁気記録媒体についても
同様に適用できる。
【0067】また上記実施例では、炭素膜をプラズマC
VD法により形成する際の放電形式として直流電圧と交
流電圧とを重畳させて印加する方式についてのみ示した
が、この方式に限定されるものではなく、直流電圧また
は交流電圧のどちらかのみを印加する方式を用いること
も同様に実施可能である。
【0068】また上記実施例では、ダイヤモンド状炭素
膜をプラズマCVD法により形成したが、この作製方法
に限定されるものではなく、イオンビーム蒸着法、イオ
ンビームスパッタ法、レーザー蒸着法等を用いることも
同様に実施可能である。
【0069】また上記実施例では、極性基としてカルボ
キシル基を分子中に導入した含フッ素系潤滑剤について
のみ示したが、−OH、−SH、−NH2 、>NH、−
NCO、−CONH2 、−CONHR、−CONR2
−COOR、>PR、>PRO、>PRS、−OPO
(OH)2 、−OPO(OR)2 、−SO3 M(ただ
し、Rは炭素数1〜22の炭化水素基、Mは水素、アル
カリ金属またはアルカリ土類金属)から選ばれた少なく
とも一つの極性基を有する含フッ素系潤滑剤であれば同
様に適用可能である。
【0070】また上記実施例では、含フッ素系潤滑剤層
を湿式塗布法により形成する場合についてのみ示した
が、有機蒸着法を用いることも同様に実施可能である。
【0071】なお本発明のプラズマCVD成膜方法の一
例として、連続的に組成が変化した炭素膜をバックコー
ト層上に形成する場合について示したが、これに限定さ
れるものではなく、強磁性金属薄膜上の保護膜として用
いられるプラズマ重合膜、ダイヤモンド状炭素膜、ある
いは半導体、液晶用の絶縁膜、光電変換素子に用いられ
る非晶質シリコン膜、超伝導薄膜等の形成に利用するこ
とも可能である。
【0072】
【発明の効果】以上のように本発明は、非磁性基板の一
方の面に磁性層を、他方の面にカーボンブラックを主成
分とする充填剤と結合剤とからなるバックコート層をそ
れぞれ形成させた後、このバックコート層上にフッ素、
ケイ素もしくは窒素を含み、且つフッ素濃度が最表面か
ら深さ方向に向かって減少するとともに、ケイ素もしく
は窒素濃度が最表面から深さ方向に向かって増加する炭
素膜を形成する構成により、炭素膜とバックコート層と
の良好な密着性を保ちつつ、炭素膜の耐摩耗性、低エネ
ルギー表面特性(撥水・撥油性)を充分に発揮すること
ができるため、電磁変換特性を損なうことなく、走行安
定性、耐久性、耐候保存性に優れた磁気記録媒体の提供
することができ、その実用上の価値は大なるものがあ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における実施例の強磁性金属薄膜型磁気
テープの構成を示す拡大断面図
【図2】本発明の強磁性金属薄膜型磁気テープを構成し
ている炭素膜をプラズマCVD法を用いて形成するため
の成膜装置の概略図
【図3】本発明の強磁性金属薄膜型磁気テープを構成し
ている炭素膜をプラズマCVD法を用いて形成するため
の成膜装置の概略図
【符号の説明】
1 非磁性基板 2 微小突起層 3 強磁性金属薄膜 4 ダイヤモンド状炭素膜 5 バックコート層 6 炭素膜 7 含フッ素系潤滑剤層 8 真空槽 9 真空ポンプ 10 金属薄膜型磁気テープ用原反 11 巻き出しロール 12 パスロール 13 パスロール 14 冷却キャン 15 巻き取りロール 16 放電管 17 放電管 18 放電管 19 パイプ状の放電電極 20 パイプ状の放電電極 21 パイプ状の放電電極 22 プラズマ発生用電源 23 プラズマ発生用電源 24 プラズマ発生用電源 25 原料ガス導入口 26 原料ガス導入口 27 原料ガス導入口 28 放電管 29 しきり板 30 パイプ状の放電電極 31 パイプ状の放電電極 32 プラズマ発生用電源 33 プラズマ発生用電源 34 原料ガス導入口 35 原料ガス導入口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 喜代司 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 小田桐 優 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 村居 幹夫 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非磁性基板の一方の面に磁性層を、他方の
    面にカーボンブラックを主成分とする充填剤と結合剤と
    からなるバックコート層をそれぞれ有する磁気記録媒体
    であって、上記バックコート層上にフッ素、ケイ素を含
    み、且つフッ素濃度が最表面から深さ方向に向かって減
    少する炭素膜を有することを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】磁性層がCoを主成分とする強磁性金属薄
    膜であることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒
    体。
  3. 【請求項3】磁性層がCoを主成分とする強磁性金属薄
    膜であり、上記強磁性金属薄膜上に炭素を主成分とする
    保護膜を有し、さらに上記保護膜上に含フッ素系潤滑剤
    層を有することを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒
    体。
  4. 【請求項4】炭素膜表面近傍の炭素に対するフッ素の原
    子比率が5%以上であることを特徴とする請求項1記載
    の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】炭素膜中のケイ素濃度が最表面から深さ方
    向に向かって増加することを特徴とする請求項1記載の
    磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】炭素膜表面の臨界表面張力γc が30×1
    -5N/cm以下であることを特徴とする請求項1記載
    の磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】非磁性基板の一方の面に磁性層を、他方の
    面にカーボンブラックを主成分とする充填剤と結合剤と
    からなるバックコート層をそれぞれ有する磁気記録媒体
    であって、上記バックコート層上にフッ素、窒素を含
    み、且つフッ素濃度が最表面から深さ方向に向かって減
    少する炭素膜を有することを特徴とする磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】磁性層がCoを主成分とする強磁性金属薄
    膜であることを特徴とする請求項7記載の磁気記録媒
    体。
  9. 【請求項9】磁性層がCoを主成分とする強磁性金属薄
    膜であり、上記強磁性金属薄膜上に炭素を主成分とする
    保護膜を有し、さらに上記保護膜上に含フッ素系潤滑剤
    層を有することを特徴とする請求項7記載の磁気記録媒
    体。
  10. 【請求項10】炭素膜表面近傍の炭素に対するフッ素の
    原子比率が5%以上であることを特徴とする請求項7記
    載の磁気記録媒体。
  11. 【請求項11】炭素膜中の窒素濃度が最表面から深さ方
    向に向かって増加することを特徴とする請求項7記載の
    磁気記録媒体。
  12. 【請求項12】炭素膜表面の臨界表面張力γc が30×
    10-5N/cm以下であることを特徴とする請求項7記
    載の磁気記録媒体。
  13. 【請求項13】非磁性基板の一方の面に磁性層を、他方
    の面にカーボンブラックを主成分とする充填剤と結合剤
    とからなるバックコート層をそれぞれ有する磁気記録媒
    体であって、上記バックコート層上にフッ素、ケイ素、
    窒素を含み、且つフッ素濃度が最表面から深さ方向に向
    かって減少する炭素膜を有することを特徴とする磁気記
    録媒体。
  14. 【請求項14】磁性層がCoを主成分とする強磁性金属
    薄膜であることを特徴とする請求項13記載の磁気記録
    媒体。
  15. 【請求項15】磁性層がCoを主成分とする強磁性金属
    薄膜であり、上記強磁性金属薄膜上に炭素を主成分とす
    る保護膜を有し、さらに上記保護膜上に含フッ素系潤滑
    剤層を有することを特徴とする請求項13記載の磁気記
    録媒体。
  16. 【請求項16】炭素膜表面近傍の炭素に対するフッ素の
    原子比率が5%以上であることを特徴とする請求項13
    記載の磁気記録媒体。
  17. 【請求項17】炭素膜中のケイ素及び窒素の総濃度が最
    表面から深さ方向に向かって増加することを特徴とする
    請求項13記載の磁気記録媒体。
  18. 【請求項18】炭素膜表面の臨界表面張力γc が30×
    10-5N/cm以下であることを特徴とする請求項13
    記載の磁気記録媒体。
  19. 【請求項19】非磁性基板の一方の面に磁性層を、他方
    の面にカーボンブラックを主成分とする充填剤と結合剤
    とからなるバックコート層をそれぞれ形成させた後、上
    記バックコート層表面を含ケイ素有機系ガスもしくは含
    窒素有機系ガスもしくは含ケイ素・窒素有機系ガスに対
    する含フッ素有機系ガスの比率(ガス分圧)を段階的に
    増加させた混合ガスによるグロー放電プラズマに順次曝
    すことで炭素膜を形成することを特徴とする磁気記録媒
    体の製造方法。
  20. 【請求項20】真空槽内の基板に対向する位置に放電管
    を設け、さらに上記放電管内に少なくとも一つ以上のし
    きり板を設け、且つ上記しきり板の先端部分と上記基板
    との間隙が上記放電管の先端部分と上記基板との間隙よ
    りも大きくし、上記基板表面上にグロー放電プラズマに
    よる連続的に組成が変化した薄膜を形成することを特徴
    とするプラズマCVD成膜方法。
  21. 【請求項21】しきり板の先端部分と基板との間隙が放
    電管の先端部分と上記基板との間隙の2倍以上であるこ
    とを特徴とする請求項20記載のプラズマCVD成膜方
    法。
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DE69419868T DE69419868T2 (de) 1993-10-20 1994-10-18 Magnetisches Aufzeichnungsmedium, Verfahren zur Herstellung desselben
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