JPH07122225B2 - ゴム補強用スチールワイヤ - Google Patents

ゴム補強用スチールワイヤ

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JPH07122225B2
JPH07122225B2 JP2209093A JP20909390A JPH07122225B2 JP H07122225 B2 JPH07122225 B2 JP H07122225B2 JP 2209093 A JP2209093 A JP 2209093A JP 20909390 A JP20909390 A JP 20909390A JP H07122225 B2 JPH07122225 B2 JP H07122225B2
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Sankyo Kasei Co Ltd
Tokyo Rope Manufacturing Co Ltd
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    • D07ROPES; CABLES OTHER THAN ELECTRIC
    • D07BROPES OR CABLES IN GENERAL
    • D07B1/00Constructional features of ropes or cables
    • D07B1/06Ropes or cables built-up from metal wires, e.g. of section wires around a hemp core
    • D07B1/0606Reinforcing cords for rubber or plastic articles
    • D07B1/0666Reinforcing cords for rubber or plastic articles the wires being characterised by an anti-corrosive or adhesion promoting coating

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  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Reinforced Plastic Materials (AREA)
  • Ropes Or Cables (AREA)
  • Wire Processing (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ゴムの補強材として用いられるスチールワイ
ヤに関する。
〔従来の技術〕
スチールラジアルタイヤ、スチールワイヤ補強コンベア
ベルト、スチールワイヤ補強タイミングベルト、スチー
ルワイヤ補強ホース、スチールワイヤ補強ハンドレール
など、スチールワイヤ又はこれをより合せたスチールコ
ードとゴムとの接着複合材においては、スチールワイヤ
の表面状態が、その耐食性及びワイヤ−ゴム間の接着強
度に著しい影響を与える。
そこで、清浄な表面状態を保つために、現状では例えば
スチールワイヤは脱水剤とともにポリエチレン袋に入れ
られ、窒素を封入した状態で出荷され、保存されてい
る。このような過剰包装の結果、スチールワイヤのコス
トは高くなっている。しかし、こうした包装によって
も、スチールワイヤの表面状態を清浄に保つことは困難
であった。このため、スチールワイヤを使用して得られ
るスチールラジアルタイヤなどの接着複合材は、ワイヤ
−ゴム間の接着性、製品の耐熱性、耐油性、耐水性など
に問題があった。
従来、金属の表面をトリアジンチオール誘導体で処理す
ると、金属の耐食性、及びゴムに対する接着性が改善で
きることが知られている(例えば、森 邦夫:実務金属
表面,37,373(1989);特公昭60−41084号公報;特開
昭58−87034号公報)。これらの公知技術では、トリア
ジンチオール誘導体を水又は有機溶剤に溶解した溶液
に、金属を浸漬することにより、金属表面にトリアジン
チオール誘導体を吸着させて表面処理を行っている。
しかし、従来の方法では、浸漬処理工程に比較的高温で
長い処理時間を必要としていた。また、浸漬処理により
金属表面に形成されたトリアジンチオール誘導体の吸着
層は緻密性に欠けているため、これを使用して製造され
たワイヤ−ゴム接着複合材の耐熱性、耐水性、耐スチー
ム性、耐疲労性は充分であるとはいえなかった。更に、
従来の方法はバッチ処理であるため、スチールワイヤを
工業的に大量に処理するには適していなかった。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の目的は、耐食性及びゴムとの接着性が向上した
ゴム補強用スチールワイヤ提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明のゴム補強用スチールワイヤは、スチールワイヤ
の表面に、下記一般式 (前記式中、Rは−OR′,−SR′,−NHR′,−N
(R′)2;R′はH、アルキル基、アルケニル基、フェ
ニル基、フェニルアルキル基、アルキルフェニル基、又
はシクロアルキル基、MはH、Na、Li、K、1/2Mg、1/2
Ba、1/2Ca、脂肪族1級、2級もしくは3級アミン、第
4級アンモニウム塩、又はホスホニウム塩) で示されるトリアジンチオール誘導体のポリマーを含む
被覆層とからなるものである。
本発明において、スチールワイヤとしては、めっきを施
していない裸スチールワイヤ、銅めっきスチールワイ
ヤ、黄銅めっきスチールワイヤ、ニッケルめっきスチー
ルワイヤ、スズめっきスチールワイヤ、亜鉛めっきスチ
ールワイヤ、銅−スズめっきスチールワイヤ、コバルト
めっきスチールワイヤなどが用いられる。
本発明において用いられるトリアジンチオール誘導体を
具体的に示すと、以下のようなものが挙げられる。例え
ば、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール(F)、
1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール・モノナトリ
ウム(FMN)、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオー
ル・モノカリウム、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチ
オール・モノエタノールアミン(FME)、1,3,5−トリア
ジン−2,4,6−トリチオール・ジエタノールアミン(FD
E)、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール・トリ
エチルアミン(F・TEA)、1,3,5−トリアジン−2,4,6
−トリチオール・オクチルアミン、1,3,5−トリアジン
−2,4,6−トリチオール・テトラブチルアンモニウム
塩、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール・ビス
(テトラブチルアンモニウム塩)(F2A)、6−アニリ
ノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール(AF)、6−
アニリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール・モノ
ナトリウム(AMN)、6−アニリノ−1,3,5−トリアジン
−2,4−ジチオール・トリエチルアミン、6−ジブチル
アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール(DB)、
6−ジブチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオ
ール・モノナトリウム(DBMN)、6−ジブチルアミノ−
1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール・モノエタノール
アミン(DBME)、6−ジブチルアミノ−1,3,5−トリア
ジン−2,4−ジチオール・エチルアミン、6−ジブチル
アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール・トリエ
チルアミン、6−ジブチルアミノ−1,3,5−トリアジン
−2,4−ジチオール・ブチルアミン(DBB)、6−ジブチ
ルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール・テト
ラブチルアンモニウム塩(DBA)、6−ジブチルアミノ
−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール・テトラブチル
ホスホニウム塩、6−ジアリルアミノ−1,3,5−トリア
ジン−2,4−ジチオール、6−ジアリルアミノ−1,3,5−
トリアジン−2,4−ジチオール・モノナトリウム(DAM
N)、6−ジアリルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−
ジチオール・モノエタノールアミン(DAME)、6−ジア
リルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール・ブ
チルアミン、6−ジアリルアミノ−1,3,5−トリアジン
−2,4−ジチオール・エチレンジアミン、6−ジアリル
アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール・エチレ
ントリアミン、6−オクチルアミノ−1,3,5−トリアジ
ン−2,4−ジチオール、6−オクチルアミノ−1,3,5−ト
リアジン−2,4−ジチオール・モノナトリウムなどがあ
る。これらのうち1種又は2種以上が使用される。
本発明のスチールワイヤの表面には、前述したトリアジ
ンチオール誘導体のポリマーを含む被覆層が形成されて
いる。前述したトリアジンチオール誘導体のうち、例え
ばFやDANを用いればスチールワイヤのゴムに対する接
着性を改善するのに有効であり、またDBを用いればスチ
ールワイヤの耐食性を改善するのに有効である。したが
って、複数のトリアジンチオール誘導体を適当に混合し
て用いてもよい。
本発明のスチールワイヤを製造するには、トリアジンチ
オール誘導体を含有する潤滑剤中でスチールワイヤを伸
線する方法、又はトリアジンチオール誘導体の溶液にス
チールワイヤと対向電極とを浸漬し両者の間に電圧を印
加する方法が用いられる。
まず、トリアジンチオール誘導体を含有する潤滑剤中
で、スチールワイヤを伸線する方法について説明する。
この方法で処理されるスチールワイヤの種類は特に限定
されない。この方法において、めっきされたスチールワ
イヤを用いる場合、その伸線前のめっき厚は通常100〜1
0000Å、更に1500〜4000Åであることが好ましい。めっ
き量では、通常0.1〜40g/kg、更に0.5〜10g/kgであるこ
とが好ましい。
この方法において用いられる潤滑剤は、いわゆるエマル
ジョンタイプである。この潤滑剤は、溶媒中に、前述し
たトリアジンチオール誘導体、極圧防止剤、油性剤、乳
化剤、発泡抑制剤などを分散させた乳濁液からなってい
る。溶媒としては、中性もしくはアルカリ性の水、又は
グリコール(例えばエチレングリコール誘導体、ポリエ
チレングリコールもしくはジグライム)が用いられる。
なお、前記各成分のほかにも、例えば防錆剤や防腐防黴
剤を含有させてもよい。この潤滑剤は、処理時にそのま
ま使用されるか、又は20倍以内、好ましくは5〜10倍に
希釈して使用される。
潤滑剤(未希釈)中のトリアジンチオール誘導体の含有
率は通常0.001〜20重量%、更に0.01〜5重量%である
ことが好ましい。
極圧防止剤は、伸線中にワイヤの焼き付きを防止する作
用を有するものである。極圧防止剤としては、例えばエ
チレンジアミンリン酸塩、エチレントリアミンリン酸
塩、ペンタエチレンテトラミンリン酸塩、プロピレンジ
アミンリン酸塩、ブチレンジアミンリン酸塩、ブチルア
ミンリン酸塩、オクチルアミンリン酸塩、オレイルアミ
ンリン酸塩、脂肪酸エステル・エチレノキシド付加物、
リン酸メチルエステル・プロピレノキシド付加物、リン
酸ブチルエステル・プロピレノキシド付加物、リン酸オ
クチルエステル・プロピレノキシド付加物、リン酸オレ
イルエステル・プロピレノキシド付加物、などが挙げら
れる。これらのうち1種又は2種以上が使用される。潤
滑剤(未希釈)中の極圧防止剤の含有率は、0.1〜15重
量%、更に1〜10重量%であることが好ましい。
油性剤は、伸線中にワイヤの焼き付きを防止し、潤滑剤
のぬれ性を改善する作用を有するものである。油性剤と
しては、一般に脂肪酸のアミン塩が用いられる。例え
ば、酢酸・オクチルアミン、ステアリン酸・エタノール
アイン、ステアリン酸・ジエタノールアミン、オクチル
酸・ジエタノールアミン、リノレン酸・ジエタノールア
ミン、オレイン酸・ジエタノールアミン、オレイン酸・
ブチルアミンなどが挙げられる。また、油性剤として
は;脂肪酸とエポキシ化合物との反応生成物(例えばオ
レイン酸テトラエチレングリコール、オクチル酸ペンタ
エチレングリコール、ステアリン酸ノナエチレングリコ
ール、エルカ酸デカエチレングリコール、リノール酸デ
カエチレングリコールなど);脂肪酸エステルとエポキ
シ化合物との反応生成物(例えばオクチル酸ブタンジオ
ールエステルテトラエチレングリコール、オレイン酸ブ
タンジオールエステルヘキサエチレングリコール、ステ
アリン酸ブタンジオールエステルペンタエチレングリコ
ール、カプロン酸ブタンジオールエステルペンタエチレ
ングリコール、カプロン酸ヘキサンジオールエステルペ
ンタエチレングリコールなど)が挙げられる。これらは
1種又は2種以上混合して使用される。潤滑剤(未希
釈)中の油性剤の含有率は、0.1〜20重量%、好ましく
は1〜15重量%であることが好ましい。
乳化剤は極圧防止剤、油性剤、発泡抑制剤などを水に乳
化させる作用を有するものである。乳化剤としては、一
般にアルキルアミンとエポキシ化合物との反応生成物が
用いられる。例えば、オクチルアミンテトラエチレング
リコール、ドデシルアミンデカエチレングリコール、オ
レイルアミンデカエチレングリコール、ステアリルアミ
ンオクタエチレングリコールなどが挙げられる。潤滑剤
(未希釈)中の乳化剤の含有率は、0.1〜10重量%、好
ましくは0.5〜5重量%であることが好ましい。
発泡抑制剤はエマルジョンの発泡を抑制する作用を有す
るものである。発泡抑制剤としては、例えばデカン、オ
クタン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、ノナデカンのよ
うなミネラルスピリットが使用される。潤滑剤(未希
釈)中の発泡抑制剤の含有率は、0.1〜10重量%、好ま
しくは0.5〜5重量%であることが好ましい。
防錆剤はスチールワイヤの鉄や黄銅成分の腐食を防止す
る作用を有するものである。防錆剤としては、例えばパ
ラオキシ安息香酸メチル、ビスフェノールA、ベンゾト
リアゾール、メチルベンゾトリアゾールなどが挙げられ
る。ただし、トリアジンチオール誘導体も防錆作用を有
するので、必ずしも前記の防錆剤を配合する必要はな
い。潤滑剤(未希釈)中の防錆剤の含有率は、0.01〜5
重量%、更に0.1〜1重量%であることが好ましい。
防腐防黴剤は微生物による潤滑剤の汚染を防止する作用
を有する。防腐防黴剤としては、例えば1,2−ベンゾイ
ソチアゾリン−3−オン、塩素化フェノール、ホルムア
ルデヒド、ホルムアルデヒド放出剤などが挙げられる。
ただし、トリアジンチオール誘導体も防腐防黴作用を有
するので、必ずしも前記の防腐防黴剤を配合する必要は
ない。潤滑剤(未希釈)中の防腐防黴剤の含有率は、0.
01〜5重量%、好ましくは0.1〜1重量%であることが
好ましい。
本発明において、スチールワイヤの伸線は湿式型の伸線
機を用いて行われる。すなわち、湿式伸線機の潤滑槽に
ダイスを取付け、前述した潤滑剤を収容し、前記ダイス
中を、例えば0.1〜10mm径好ましくは1〜4mm径のスチー
ルワイヤを、1〜2000m/分の速度で通して、0.01〜5mm
径好ましくは0.1〜1mm径まで伸線する。一般に、裸スチ
ールワイヤやニッケルめっきスチールワイヤのように硬
いスチールワイヤの場合には、低速で伸線され、伸線加
工度も低い。一方、銅めっきスチールワイヤや黄銅めっ
きスチールワイヤ(めっき中の銅含有率65%以上)のよ
うに軟らかいスチールワイヤの場合には、高速で伸線で
き、伸線加工度も高くすることができる。したがって、
伸線速度、及び伸線加工度の最適値は、当然、スチール
ワイヤの種類によって異なる。
以上のような伸線操作によって、スチールワイヤ表面に
はトリアジンチオール誘導体のポリマーを含む被覆層が
形成される。この被覆層がポリマーを含んでいること
は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによ
り確認することができる。また、赤外線分光などの分析
により、この被覆層がジスルフィド基、チオール基、不
飽和基などを含んでいることを確認することができる。
この被覆層が形成される機構は、以下のようなものであ
ると推定される。スチールワイヤが潤滑剤と接触する
と、ワイヤ表面にトリアジンチオール誘導体が吸着され
る。この状態は、従来の浸漬法でワイヤ表面にトリアジ
ンチオール誘導体が吸着された状態と同様であると考え
られる。引き続いて行われる伸線過程で、ワイヤ表面の
トリアジンチオール誘導体は、瞬時ではあるが、高温高
圧にさらされる。例えば、黄銅めっきスチールワイヤを
100kgf/mm2の伸線圧力で伸線すると、表面温度は数百℃
に達するといわれている。この結果、トリアジンチオー
ル誘導体のポリマーを含む被覆層が形成される。
スチールワイヤの表面に形成された被覆層は、緻密かつ
強固であるのでスチールワイヤの耐食性を向上させ、し
かもジスルフィド基を含有しているのでゴム中の成分と
反応して両者の接着性を向上させる。
次に、トリアジンチオール誘導体の溶液に、スチールワ
イヤと対向電極を浸漬し、両者の間に電圧を印加する方
法について説明する。
この方法では、導電性の良好なスチールワイヤ、例えば
黄銅めっきされたものが用いられる。黄銅めっきスチー
ルワイヤのうちでも、めっき中の銅含有量が60重量%以
上のものが好ましい。スチールワイヤは伸線前のもので
も伸線後のものでもよく、また単線でもより線でもよ
い。スチールワイヤはトリアジンチオール誘導体の電着
時に一方の電極(陽極)として用いられる。スチールワ
イヤに対する対向電極(陰極)としては、白金やカーボ
ンなど電気化学的に不活性な導電材料からなるものが用
いられる。
この方法では、トリアジンチオール誘導体は水又は有機
溶媒に溶解して使用される。有機溶媒としては、メタノ
ール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコ
ール誘導体、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチル
スルホキシド(DMSO)、アセトン、ベンゼン、トルエ
ン、アセトニトリル、プロピレンカーボネート、エチレ
ンカーボネートなどが挙げられる。一般に、トリアジン
チオール誘導体のうち、金属塩やアミノ塩は水溶液やア
ルコール溶液として、またフリータイプやアンモニウム
塩はこれらを溶解する適当な溶剤に溶解した溶液として
使用される。溶液中のトリアジンチオール誘導体の濃度
は通常0.001〜10重量%、好ましくは0.05〜2重量%の
濃度に設定される。また、トリアジンチオール誘導体の
濃度が低い場合や溶液の導電性が低い場合には,例えば
NaClO3、Na2SO4、Na2HPO3、Na3BO3などの塩を添加して
もよい。トリアジンチオール誘導体溶液は0〜80℃の温
度に保持される。
この方法において、スチールワイヤと対向電極との間に
印加される電圧は、100V以下、更に0.1〜20Vであること
が好ましい。スチールワイヤと対向電極との間に電圧を
印加すると、溶液に導電性によって異なるが、両者の間
には1mA〜10Aの電流が流れる。この電流値は5〜100mA
であることが好ましい。このようにスチールワイヤー対
向電極間に電圧を印加することにより、スチールワイヤ
表面にトリアジンチオール誘導体が電着して化合物層が
形成される。この処理時間は0.1秒〜10分間の短時間で
充分である。
本発明方法に従って、スチールワイヤを工業的に連続処
理するには、トリアジンチオール誘導体溶液が収容され
スチールワイヤ及び対向電極が浸漬される電着槽と、ス
チールワイヤと対向電極との間に電圧を印加する電源回
路と、電着槽へスチールワイヤを連続的に送線するため
の送線機構(スチールワイヤ巻き取り機などのサプライ
スタンド及びロールなど)とを組み合わせた電着装置を
用いることが好ましい。この電着装置には、前記の各部
材のほかにも、電着槽の前段に脱脂装置などの前処理装
置を設けたり、電着槽の後段に洗浄装置、乾燥装置など
の後処理装置を設けてもよい。また、この電着装置で用
いられる対向電極は、円筒状をなすものが好ましい。こ
の場合、スチールワイヤは電着槽の内部で対向電極の中
空部を通過させる。
電着処理を行うと、電気化学的な作用により、スチール
ワイヤ表面でトリアジンチオール誘導体の反応が起こ
り、そのポリマーを含む被覆層が形成される。この被覆
層は、前述した伸線処理により形成される被覆層とほぼ
同様な性質を有している。
以上のように表面にトリアジンチオール誘導体のポリマ
ーを含む被覆層が形成されたスチールワイヤは、単線と
して、又はより合せてコードとして使用される。より合
せ方には種々の方法があるが、現在一般的に使用されて
いる方法(例えば、福原節雄:繊維と工業,40,No.11,6
27(1984))は全て適用できる。伸線後、又は電着処理
後にワイヤをより合わせる場合でも、これらの処理によ
ってより合せに不都合が生じることはない。
これらのスチールワイヤ又はこれをより合せたスチール
コードは、ゴムコンパウンドと接着され、例えばスチー
ルラジアルタイヤ、スチールワイヤ補強コンベアベル
ト、スチールワイヤ補強タイミングベルト、スチールワ
イヤ補強ホース、スチールワイヤ補強ハンドレールなど
の製品が製造される。
ゴムコンパウンドの組成は特に限定されない。ゴムコン
パウンドとしては、ゴム、充填剤、軟化剤、加硫剤、加
硫促進剤、加硫促進助剤の各成分を含有するものが用い
られる。また、ゴムコンパウンドは、前記の成分のほか
にも、滑剤、安定剤、接着助剤(接着促進剤)などの成
分を含有してもよい。
ゴムとしては、各種天然ゴム(NR)、イソプレンゴム、
ブタジエンゴム(BR)、溶液重合ブタジエンゴム、溶液
重合スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、アクリ
ロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、エチレン
−プロピレン共重合ゴム、エチレン−プロピレン三元共
重合ゴム(EPDM)、シリコーンゴム、ブチルゴム、塩素
化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、クロロプレンゴム、
フッ素ゴム、ヒドリンゴム、エピクロルヒドリン−エチ
レンオキサイド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチ
レンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合
ゴム、エピクロルヒドリン−プロピレンオキサイド−ア
リルグリシジルエーテル三元共重合ゴム、塩素化ポリエ
チレンゴム、アクリルゴムとその共重合ゴム(塩素系、
エポキシ系、不飽和系)、エチレン−酢酸ビニル−アク
リル酸エステル三元共重合ゴム、ウレタンゴムなどを挙
げることができる。
充填剤は増量や補強の目的で配合される。充填剤として
は、例えばカーボンブラック、ゴム増強用カーボンブラ
ック、ホワイトカーボン、ハードクレー、炭酸カルシウ
ム、珪酸塩などが挙げられる。充填剤の配合量は、ゴム
100重量部に対して5〜200重量部、好ましくは30〜100
重量部である。
軟化剤はゴムの加工性や成形性を向上させるために配合
される。軟化剤としては、例えばジオクチルフタレート
(DOP)やジブチルフタレートのようなフタル酸エステ
ル系可塑剤;アジピン酸ジオクチルやセバシン酸ジオク
チルのような脂肪酸エステル系可塑剤;トリフェニルリ
ン酸エステルやトリクレジルリン酸エステルのようなリ
ン酸エステル系可塑剤;塩化パラフィン、プロセスオイ
ル、ナフテンオイルなどが挙げられる。軟化剤の配合量
は、ゴム100重量部に対して100重量部以下、好ましくは
5〜50重量部である。
加硫剤はゴムの弾性を発揮させるために配合される。使
用される加硫剤はゴムの種類によって異なるが、主なも
のとして以下のようなものが挙げられる。例えば、硫
黄、ジクミルペルオキシド、1,1−ビス(t−ブチルペ
ルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、α,
α′−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベン
ゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキ
シ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペ
ルオキシ)ヘキシン−3、1,3,5−トリアジン−2,4,6−
トリチオール、6−ブチルアミノ−1,3,5−トリアジン
−2,4−ジチオール、エチレンチオウレア、ヘキサメチ
レンジアミン、安息香酸アンモニウム、ビスフェノール
Aなどがある。加硫剤の配合量は個々のゴムによって異
なるため、一概に限定できないが、一般的にはゴム100
重量部に対して0.1〜10重量部が適当である。例えば、
硫黄の添加量は、ゴム100重量部に対して0.5〜10重量
部、更に2〜6重量部であることが好ましい。硫黄が0.
5重量部未満ではゴムの加硫が不充分となり、スチール
ワイヤとの接着も弱くなる。硫黄が10重量部を超えると
ゴムの耐熱性や複合材の耐水性が著しく損なわれる。
加硫促進剤及び加硫促進助剤は加硫剤の作用を促進する
ために配合される。加硫促進剤としては、例えば2−メ
ルカプトベンドチアゾール(M)、2−(4−モルホリ
ニルジチオ)ベンゾチアゾール、ジベンゾシアジルジス
ルフィド(DM)、などのチアゾール系促進剤;N−シクロ
ヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(CB
S)、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアジルスル
フェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチ
アジルスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾ
チアジルスルフェンアミド、などのスルフェンアミド系
促進剤;テトラメチルチュウラムモノスルフィド、テト
ラメチルチュウラムジスルフィド、テトラブチルチュウ
ラムジスルフィド、などのチュウラム系促進剤;脂肪酸
アミン、4級アンモニウム塩、有機ホスホニウム塩、ト
リアリルイソシアヌレート、トリメチロールプロパント
リアクリレート、フタル酸ジアリルなどの多官能性モノ
マーが挙げられる。加硫促進助剤としては、ZnO、MgO、
BaO、Ca(OH)などが挙げられる。これらは1種又は
2種以上配合される。
加硫促進剤及び加硫促進助剤の配合量はゴム及び加硫剤
の種類によって異なるため、一概に限定できないが、一
般的にはゴム100重量部に対して0.1〜20重量部が適当で
ある。
スチールワイヤ−ゴム接着複合材を製造するためには、
ゴムコンパウンド中に少なくとも前記の各成分が含有さ
れていることが好ましい。また、下記の滑剤、安定剤、
接着助剤などの成分はスチールワイヤ−ゴム接着複合材
を得るためには必ずしも必要ではないが、これらの成分
が含有されていると、スチールワイヤ−ゴム接着複合材
の耐水性、耐熱性、耐スチーム性、耐疲労性を改善する
のに有利となる。
滑剤は接着複合化の際にゴムコンパウンドの流れを良く
するために配合される。滑剤としては、例えばステアリ
ン酸、ステアリン酸のNa塩、Mg塩、Ca塩、Ba塩又はZn
塩、ステアリン酸エチレンビスアミド、エルカ酸エチレ
ンビスアミド、パラフィンワックスなどを挙げることが
できる。滑剤は一般的にはゴム100重量部に対して0.1〜
5重量部配合される。
安定剤は接着複合材の劣化を防止するために配合され
る。安定剤としては、例えばフェニレンジアミン系老化
防止剤、フェノール系老化防止剤、ニッケルジチオカル
バメート、ベンゾフェノンなどが挙げられる。安定剤は
一般的にはゴム100重量部に対して0.1〜5重量部配合さ
れる。
接着助剤としては、例えば1,3,5−トリアジン−2,4,6−
トリチオール、6−ブチルアミノ−1,3,5−トリアジン
−2,4−ジチオール、6−ジアリルアミノ−1,3,5−トリ
アジン−2,4−ジチオール、ナフテン酸コバルト、ステ
アリン酸コバルト、アミノ安息香酸金属塩(Co、Mn、Z
n、Mo、Cr)、レゾルシン、クレゾール、レゾルシン−
ホルマリンラテックス、レゾールタイプフェノール樹脂
(未硬化のものを含む)、ホルマリン−アルキルフェノ
ール樹脂、ホルマリン−クレゾール樹脂(未硬化のもの
を含む)、モノメチロールメラミン、ジメチロールメラ
ミン、トリメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラ
ミン、モノメトキシメチロールメラミン、テトラメトキ
シメチロールメラミン、ペンタメトキシメチロールメラ
ミン、モノメチロール尿素、トリメチロール尿素、トリ
メトキシメチロール尿素、エチレンマレイミド、ブチレ
ンマレイミド、フェニレンマレイミド、アビエチン酸金
属塩(Co、Ni、Fe、Mn)などが挙げられる。接着助剤は
ゴム100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは0.5
〜5重量部配合される。
表面処理が施されたスチールワイヤ(コード)とゴムコ
ンパウンドとを接触させ、ホットプレス又はスチール加
熱することにより、ゴムの加硫と同時に複合化が行わ
れ、スチールワイヤ−ゴム接着複合材が得られる。この
工程の条件は、通常、80〜230℃、好ましくは130〜180
℃で5〜180分、好ましくは10〜60分である。なお、ゴ
ム又は加硫剤の種類によっては、更に後架橋を行う場合
もある。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。
実施例1〜5 実施例1〜5において用いられた湿式伸線装置につい
て、第1図及び第2図を参照して説明する。
第1図において、潤滑槽20内には潤滑液21が収容されて
いる。スチールワイヤ22は供給ボビン1からガイドロー
ル2を介して、潤滑槽20内部のダイス4を通過するよう
にフリーロール3及び駆動ロール5にかけわたされ、再
度前記と同様にダイス7を通過するようにフリーロール
6及び駆動ロール8にかけわたされ、ダイス9を通過し
て、潤滑槽20外部のキャプスタン10及びガイドロール11
を介して巻取ボビン12に巻き取られる。前記ダイス4、
7は複数段のダイスを重ねたものである。第2図に示す
ように、これらダイス4、7を構成する個々のダイス
は、ダイスケース13内部に超硬チップ14を取付けた構造
を有している。
実施例1 エチレンジアミン・リン酸塩4重量部、オレイン酸トリ
エタノールアミン塩8重量部、ラウリルアミンオクタエ
チレングリコール4重量部、オクタデカン3重量部、オ
クチル酸テトラエチレングリコール2重量部、ドデシル
リン酸ブタンジオールエステルペンタプロピレングリコ
ールパラオキシ安息香酸メチル0.5重量部、メチルベン
ゾトリアゾール1重量部、1,2−ベンゾイソチアゾリン
−3−オン0.5重量部、水72.5重量部、及び1,3,5−トリ
アジン−2,4,6−トリチオール(F)0.5重量部(実施例
1−1)又は6−ジブチルアミノ−1,3,5−トリアジン
−2,4−ジチオール(DB)0.5重量部(実施例1−2)か
らなる、2種のエマルジョンタイプの潤滑剤を調製し
た。
これら2種の潤滑剤を7倍に希釈して、それぞれ湿式伸
線装置の潤滑槽に収容し、1.315mm径の黄銅めっきスチ
ールワイヤ(めっき量4.1g/kg、めっき中のCu含有率65
%)を30m/分の伸線速度で引いて、2種の1.20mm径のス
チールワイヤ(実施例1−1,1−2)を得た。
これら2種のスチールワイヤの表面に形成された被覆層
を採取し、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ
ー(GPC)、及び赤外線吸収スペクトル(IR)を測定し
た。
GPCのチャートを、実施例1−1について第3図に、実
施例1−2について第4図に示す。なお、比較のため
に、第3図にはFモノマーのクロマトグラフ、第4図に
はDBモノマーのクロマトグラフを併せて示す(いずれも
破線で表示している)。
IRはKBr法により測定した。IRスペクトルを、実施例1
−1について第5図に、実施例1−2について第6図に
示す。なお、比較のために、第5図にはFモノマー及び
Fポリマーのスペクトル、第6図にはDBモノマー及びDB
ポリマーのスペクトルを併せて示す。なお、Fポリマ
ー、及びDBポリマーはいずれも加熱重合により合成し
た。
第3図及び第4図に示されるように、実施例1−1及び
1−2のいずれの場合でも、保持時間が約5分の位置に
なだらかなピークが現われ、モノマーよりも分子量の大
きい化合物が生成していることが明らかである。
第5図に示されるように、Fモノマーには1360cm-1付近
に強いピークが存在し、1250cm-1付近に弱いピークが存
在するのに対し、Fポリマーには1360cm-1付近にピーク
がなく、1250cm-1付近に強いピークが存在する。実施例
1−1の被覆層のスペクトルは、Fポリマーのスペクト
ルに非常に類似している。
第6図に示されるように、DBモノマーとDBポリマーとで
は、1200〜1600cm-1の範囲のスペクトルが異なってい
る。実施例1−2の被覆層のスペクトルは、DBポリマー
のスペクトルに類似している。
以上の結果から、スチールワイヤの表面には、トリアジ
ンチオール誘導体のポリマーとモノマーとを含む被覆層
が形成されていると考えられる。
実施例2 エチレンジアミン・リン酸塩4重量部、オレイン酸トリ
エタノールアミン塩8重量部、ラウリルアミンオクタエ
チレングリコール4重量部、オクタデカン3重量部、オ
クチル酸テトラエチレングリコール2重量部、ドデシル
リン酸ブタンジオールエステルペンタプロピレングリコ
ール5重量部、パラオキシ安息香酸メチル0.5重量部、
メチルベンゾトリアゾール1重量部、1,2−ベンゾイソ
チアゾリン−3−オン0.5重量部、水72.5重量部、及び
第1表に示すトリアジンチオール誘導体0.5重量部から
なる、5種のエマルジョンタイプの潤滑剤を調製した
(実施例2−1〜2−5)。
比較のために、トリアジンチオール誘導体を含まない以
外は前記と同一組成のエマルジョンタイプの潤滑剤を調
製した(比較例2−1)。
前記6種の潤滑剤を7倍に希釈して、それぞれ湿式伸線
装置の潤滑槽に収容し、1.68mm径の黄銅めっきスチール
ワイヤ(めっき量4.1g/kg、めっき中のCu含有率65%)
を約850m/分の伸線速度で引いて、6種の0.30mm径のス
チールワイヤを得た。これら6種のスチールワイヤを用
い、それぞれ2本より合せて、6種のスチールコード試
料を作製した。
一方、天然ゴム(NR)100重量部、カーボンブラック(H
AF)50重量部、プロセスオイル5重量部、硫黄5重量
部、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェ
ナミド(CBS)0.8重量部、酸化亜鉛10重量部、ナフテン
酸コバルト2重量部、6−エトキシ−2,2,4−トリメチ
ル−1,2−ジヒドロキノリン1重量部、レゾルシン3重
量部、ヘキサメチロールメラミン4重量部からなるNRコ
ンパウンドを調製しておいた。
このNRコンパウンドに前記6種のコード試料をそれぞれ
1.6cm埋込み、140℃で30分間加硫を行い、6種の複合材
試料を複数ずつ作製した。
各複合材試料について、自動引張試験機を用い、20℃に
おいて50mm/分の引張り速度でコードを引抜くという方
法で、引抜き強度を測定した。また、引抜かれたコード
表面におけるゴムの付着率を調べた。測定は、初期(未
処理)のもの、及び水蒸気雰囲気中で所定時間劣化(ス
チーム劣化)した後のものについて行った。スチーム劣
化は、各接着複合材試料を湿度100%、120℃の水蒸気雰
囲気中にそれぞれ10〜25時間(第1表に表示)の範囲で
時間を変化させて放置するという方法で行った。これら
の結果をまとめて第1表に示す。
第1表から明らかなように、実施例2−1〜2−5は、
比較例2−1と比較して、初期の引抜き強度は同程度で
あるものの、スチーム劣化後の引抜き強度が著しく向上
し、スチールコード−ゴム間の接着性が優れている。
実施例3 エチレンジアミン・リン酸塩4重量部、オレイン酸トリ
エタノールアミン塩8重量部、ラウリルアミンオクタエ
チレングリコール4重量部、オクタデカン3重量部、オ
クチル酸テトラエチレングリコール2重量部、ドデシル
リン酸ブタンジオールエステルペンタプロピレングリコ
ール5重量部、パラオキシ安息香酸メチル0.5重量部、
メチルベンゾトリアゾール1重量部、及び水72.5重量部
に対して、6−ジブチルアミノ−1,3,5−トリアジン−
2,4−ジチオール・モノエタノールアミン(DBME)を0.1
5〜3g/100mlの範囲(第2表に表示)で濃度を変化させ
て配合して、5種のエマルジョンタイプの潤滑剤を調製
した(実施例3−1〜3−5)。
また、DBMEを含まない以外は前記と同一組成のエマルジ
ョンタイプの潤滑剤を調製した(比較例3−2)。
前記6種の潤滑剤を7倍に希釈して、それぞれ湿式伸線
装置の潤滑槽に収容し、1.68mm径の裸(めっきなし)ス
チールワイヤ又は黄銅めっきスチールワイヤ(めっき厚
5800Å、めっき中のCu含有率65%)を、第2表に示すよ
うに0.5〜100m/分の伸線速度で引いて、6種の1.50mm径
の裸スチールワイヤ(実施例3−1〜3−5及び比較例
3−1)及び1種の1.50mm径の黄銅めっきスチールワイ
ヤ(比較例3−2)を得た。
一方、NR100重量部、カーボンブラック(HAF)50重量
部、プロセスオイル5重量部、硫黄4重量部、N−シク
ロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェナミド(CB
S)0.8重量部、酸化亜鉛10重量部、6−エトキシ−2,2,
4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン1重量部、レゾ
ルシン3重量部、ヘキサメチロールメラミン4重量部か
らなるNRコンパウンドを調製しておいた。
このNRコンパウンドに前記7種のワイヤ試料をそれぞれ
2.54cm埋込み、153℃で30分間加硫を行い、7種の複合
材試料を複数ずつ作製した。
各複合材試料について、自動引張試験機を用いて20℃に
おいて50mm/分の引張り速度でコードを引抜くという方
法で、引抜き強度を測定した。測定は、初期(未処理)
のもの、及び水蒸気雰囲気中で所定時間劣化(スチーム
劣化)した後のものについて行った。スチーム劣化は、
各複合材試料を湿度100%、120℃の水蒸気雰囲気中にそ
れぞれ10〜25時間(第2表に表示)の範囲で時間を変化
させて放置するという方法で行った。これらの結果をま
とめて第2表に示す。
第2表から明らかなように、比較例3−1の裸スチール
ワイヤ(DBMEを含有する潤滑剤を用いているが、非常に
低速で伸線処理されている)は、ゴムとの複合材から容
易に引抜かれる。この引抜き強度の値は伸線処理を行っ
ていない裸スチールワイヤ−ゴム複合材と同程度であ
る。従来から、めっきしていない裸スチールワイヤはゴ
ムと全く接着しないといわれていることから、比較例3
−1でも裸スチールワイヤとゴムとはほとんど接着して
いないと考えられる。第2表には示していないが、複合
材から引抜かれた比較例3−1のワイヤにはゴムが全く
付着していないことから、裸スチールワイヤとゴムとは
ほとんど接着しないことが明らかである。したがって、
比較例3−1の複合材が示す引抜き強度は、単に加硫ゴ
ム中に埋め込まれているワイヤを引き抜く時の摩擦のみ
によるものである。比較例3−2の黄銅めっきワイヤ
(トリアジンチオール誘導体を含有しない潤滑剤を用い
て伸線処理されている)は、初期の引抜き強度は大きい
値を示すが、スチーム劣化後の引抜き強度は小さい。
これに対して、実施例3−1〜3−5は、初期の引抜き
強度が比較例3−1より著しく向上し、スチーム劣化後
の引抜き強度も比較例3−1及び3−2より著しく向上
している。
実施例4 エチレンジアミン・リン酸塩3重量部、オレイン酸トリ
エタノールアミン塩8重量部、ラウリルアミンオクタエ
チレングリコール4重量部、オクタデカン3重量部、ラ
ウリル酸テトラエチレングリコール2重量部、ドデシル
リン酸ブタンジオールエステルペンタプロピレングリコ
ール5重量部、パラオキシ安息香酸メチル0.5重量部、
ベンゾトリアゾール1重量部、水72.5重量部、及び1,3,
5−トリアジン−2,4,6−トリチオール・ジエタノールア
ミン(FDE)1重量部を配合して1種のエマルジョンタ
イプの潤滑剤を調製した。
また、FDEを含まない以外は前記と同一組成のエマルジ
ョンタイプの潤滑剤を調製した。
前記2種の潤滑剤を7倍に希釈して、それぞれ湿式伸線
装置の潤滑槽に収容し、1.60mm径及び1.00mm径の黄銅め
っきスチールワイヤ(めっき量4.1g/kg、めっき中のCu
含有率65%)をそれぞれ約800m/分の伸線速度で引い
て、0.38mm径及び0.20mm径黄銅めっきスチールワイヤを
得た。各潤滑剤を用いて伸線されたワイヤを用い、それ
ぞれ内側に0.20mm径のワイヤ3本、及び外側に0.38mm径
のワイヤ6本をより合せて、2種の1.26mm径の接着用ス
チールコード試料を作製した。
一方、NR100重量部、カーボンブラック(HAF)50重量
部、プロセスオイル5重量部、硫黄1〜8重量部(第3
表に表示)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジル
スルフェナミド(CBS)0.8重量部、酸化亜鉛10重量部、
N,N′−ジオクチルフェニレンジアミン1重量部からな
り、1.5mm×12mm×10cmの寸法を有する5種のNRコンパ
ウンドシートを調製しておいた。
これら5種のNRコンパウンドシート上に、前記2種のコ
ード試料をそれぞれ10本ずつ並べ、153℃で30分間加硫
を行い、10種の複合材を作製した。これら10種の複合材
について、それぞれ両端のコード1本ずつを切取り、残
り8本を複合材試料とした。
各複合材試料について、自動引張試験機を用い、20℃に
おいて50mm/分の引張り速度で接着複合材から加硫ゴム
を剥離するという方法で、剥離強度を測定した。測定
は、初期(未処理)のもの、熱水処理(水分劣化)後の
もの、及び加熱処理(加熱劣化)後のものについて行っ
た。熱水処理(水分劣化)は、複合材試料を95℃の熱水
中に5日間放置して行った。加熱処理(加熱劣化)は、
接着複合材試料を100℃のテストチューブ中に3日間放
置して行った。これらの結果をまとめて第3表に示す。
第3表から明らかなように、比較例4−1〜4−5のコ
ード(トリアジンチオール誘導体を含有しない潤滑剤を
用いて伸線処理されている)は、初期の剥離強度につい
ては、ゴムコンパウンド中の硫黄含有量が増加するほど
大きくなっている。また、劣化後の剥離強度について
は、ゴムコンパウンド中の硫黄含有量が2重量部(ph
r)程度で最大となり、ゴムコンパウンド中の硫黄含有
量がそれ以上大きくなると小さくなる。このため、初期
及び劣化後の剥離強度がともに良好となるような、最適
な組成のゴムコンパウンドが存在しない。
これに対して、実施例4−1〜4−5のコード(FDEを
含有する潤滑剤を用いて伸線処理されている)は、初期
及び劣化後の剥離強度ともに、変化の傾向は前述したの
とほぼ同様であるが、特にゴムコンパウンド中の硫黄含
有量が低い場合の初期の剥離強度と、ゴムコンパウンド
中の硫黄含有量が高い場合の劣化後の剥離強度が改善さ
れている。この結果、最適な組成のゴムコンパウンドを
用いることにより、複合材の初期及び劣化後の剥離強度
をともに満足することができる。
実施例5 エチレンジアミン・リン酸塩3重量部、オレイン酸トリ
エタノールアミン塩8重量部、ラウリルアミンオクタエ
チレングリコール4重量部、オクタデカン3重量部、リ
ノレン酸ブタンジオールエステルテトラエチレングリコ
ール2重量部、ドデシルリン酸ブタンジオールエステル
ペンタプロピレングリコール5重量部、パラオキシ安息
香酸メチル0.5重量部、ベンザトリアゾール1重量部、
水72.5重量部、及び6−ジブチルアミノ−1,3,5−トリ
アジン−2,4−ジチオール・モノエチレンジアミン1重
量部からなる、1種のエマルジョンタイプの潤滑剤を調
製した。
また、トリアジンチオール誘導体を含まない以外は前記
と同一組成のエマルジョンタイプの潤滑剤を調製した。
前記2種の潤滑剤を7倍に希釈して、それぞれ湿式伸線
装置の潤滑槽に収容し、1.25mm径の黄銅めっきスチール
ワイヤ(めっき量4.1g/kg、めっき中のCu含有率65%)
を約800m/分の伸線速度で引いて、2種の0.25mm径の黄
銅めっきスチールワイヤを得た。これら2種のワイヤを
用い、それぞれ5本より合せて、2種のスチールコード
試料を作製した。
前記処理コード(実施例5−1)及び未処理コード(比
較例5−1)をそれぞれ70℃、湿度90%の雰囲気中に3
日間放置した後、ハンターの疲労試験機を用い、ステア
ケース法により一定圧力下における破断強度(推定疲労
限界)を求めた。
その結果、破断強度(推定疲労限界)は、比較例5−1
では81kgf/mm2であったのに対し、実施例5−1では107
kgf/mm2であった。処理コード(実施例5−1)は、未
処理コード(比較例5−1)と比較して、腐食環境にさ
らされても高い疲労強度を示すことから、耐食性が著し
く改善されている。
一方、NR70重量部、ブタジエンゴム(BR)30重量部、カ
ーボンブラック(HAF)50重量部、プロセスオイル5重
量部、硫黄5重量部、N−シクルヘキシル−2−ベンゾ
チアジルスルフェナミド(CBS)0.8重量部、酸化亜鉛10
重量部、N−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニ
ル−p−フェニレンジアミン1重量部からなるNR−BRコ
ンパウンドを調製しておいた。
このNR−BRコンパウンドにそれぞれ処理コード(実施例
5−2)、未処理コード(比較例5−2)を埋込み、こ
れらをそれぞれ金型に入れ、150℃で30分間加硫を行
い、2種の3mm径×1mの複合材試料を作製した。これら
の複合材試料をそれぞれ70℃、湿度90%の雰囲気中に3
日間放置した後、ハンターの疲労試験機を用い、ステア
ケース法により一定圧力下における破断強度(推定疲労
限界)を求めた。その結果、破断強度(推定疲労限界)
は、比較例5−2では68kgf/mm2であったのに対し、実
施例5−2では103kgf/mm2であった。
一般に、複合材を腐食環境下に放置すると、複合材中に
埋込まれたコードの疲労強度は著しく劣化するといわれ
ている。実際に、比較例5−2の疲労強度の測定結果は
このことを示している。これに対して、実施例5−2の
処理コードを用いた複合材は、腐食環境に強いことが明
らかである。
実施例6〜9 第7図に、実施例6〜9において用いられた電着装置の
概略構成を示す。この電着装置ではスチールワイヤ巻き
取り機31、脱脂装置32、電着槽33、洗浄装置34、乾燥装
置35、スチールワイヤ巻き取り機36が順次設置されてい
る。電着槽33内には白金やカーボンからなる3本の円筒
電極37が設置されている。前述した各構成部材間には送
線用ロール40a、40bが設けられている。これらの送線用
ロールのうち、電着槽33の前後に設けられている送線用
ロール40bは導電性を有している。スチールワイヤ22は
巻き取り機31、36間で前述した各構成部材を通過するよ
うに、送線用ロール40a、40bにかけわたされている。ま
た、電着槽33内には、トリアジンチオール誘導体の溶液
38が収容されており、この溶液38は攪拌装置39によって
攪拌される。更に、前記円筒電極37と導電性の送線用ロ
ール40bとの間には、円筒電極37が正、送線用ロール40b
及びこれに接触するスチールワイヤ22が負となるよう
に、電源41及び電流電圧調整装置42が直列に接続されて
いる。
スチールワイヤ巻き取り機31、36は、外部と絶縁された
ボックスに入れられ、使用時にはこのボックスは接地さ
れる。なお、スチールワイヤの供給部は、巻き取り機に
限らず、通常使用されるサプライスタンドであれば何で
もよい。送線用ロール40aはモータと連結されており、
スチールワイヤ22を1分間に0.01〜50mの速度で送るこ
とができる。送線用ロール40a、40bはスチールワイヤ22
表面を損傷しないように円滑に回転するように設計され
る。送線用ロール40aはゴムなどの材質で形成され、送
線用ロール40bは金属、導電性ゴムなど導電性の材質で
形成される。
電着槽38は耐食性の材料からなるものであれば特に限定
されない。水溶液が用いられる場合には、プラスチック
製、又はライニングされた金属製のものが望ましい。ま
た、有機溶剤溶液が用いられる場合には、ステンレスの
ような耐食性の金属製のものが望ましい。電着槽33の形
状は直方体、舟形などが便利である。その大きさは要求
される処理能力に応じて適宜設計することができる。
円筒電極37の長さや半径は、要求される処理能力に応じ
て適宜設計することができる。一般に、同一長さで内径
が小さくなれば、電流密度が高くなるので、処理速度を
高くすることができる。しかし、内径が小さすぎるとス
チールワイヤ22と円筒電極37とが接触して短絡する危険
性がある。また、内径が小さすぎるとワイヤ表面へのト
リアジンチオール誘導体の拡散が不充分となるため、処
理効率が減少する要因となる。このような問題を解決す
るためには、円筒電極37に貫通孔を設けたり、長手方向
に沿って貫通溝を設けることが有効である。また、短い
円筒電極を所定間隔を隔てて配列してもよい。
以下の実施例において実際に使用された電着槽33及び円
筒電極37の寸法について第8図を参照して説明する。電
着槽33は、その断面が下辺120cm、上辺240cm、高さ80cm
の台形をなす舟形形状である。また、電着槽33の底面に
沿って設けられた円筒電極37は直径5cm、長さ100cmであ
り、電着槽33の側面に沿って設けられた2本の円筒電極
37は直径5cm、長さ50cmである。
電源41としては、0.1mVから20Vまで発生できるバッテリ
ーや交流電源に接続された整流器が用いられる。電流電
圧調整装置42としては、定電流発生装置、定電圧発生装
置、パルス発生装置などが挙げられる。電着処理を一定
電流下で行う場合にはガルバノスタットのような定電流
発生装置が、一定電圧下で行う場合にはポテンシオスタ
ットのような定電圧発生装置がそれぞれ用いられる。ま
た、より均一なトリアジンチオール誘導体の被覆層を形
成するためには、ガルバノスタット又はポテンシオスタ
ットとパルス発生装置とを組み合わせることが望まし
い。
電着槽33の前段に設けられる脱脂装置32は、スチールワ
イヤ22表面に付着している油分を除去するものである。
このように油分を除去することにより、電着槽33におい
てスチールワイヤ22表面にトリアジンチオール誘導体を
均一に形成させることができる。この脱脂装置32では、
例えばトリクレン、アルコールを順次噴射され、高速脱
脂が可能である。また、超音波洗浄を組み合わせること
も有効である。
電着槽33の後段に設けられる洗浄装置34及び乾燥装置35
は、処理したスチールワイヤ22に付着した溶液を洗浄
し、更に乾燥するものである。洗浄装置34では、例えば
まずスチールワイヤ22に高圧の温水を噴射し、更にメタ
ノールやアセトンなど水と置換し得る溶剤を噴射して乾
燥しやすくする。乾燥装置35では、例えば空気、窒素、
アルゴンなどの熱ガスを噴射してスチールワイヤ22を乾
燥する。
実施例6 内側に0.2mm径の黄銅めっきスチールワイヤ3本、及び
外側に0.38mm径の黄銅めっきスチールワイヤ6本をより
あわせたスチールコード(以下、コードAと記す)を用
い、トリアジンチオール誘導体の被覆層の付着量を調べ
るために、以下の実験を行った。なお、黄銅めっきは、
めっき厚さが2300Å、Cu含有量が64.6%、Zn含有量が3
5.4%である(以下の実施例においても同様である)。
1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール・モノナトリ
ウム(FN)、又は1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオ
ール・トリエチルアミン(F・TEA)の1%水溶液をそ
れぞれ第7図図示の電着装置の電着槽33内に収容し、20
℃に保持した。前記コードAを電着装置に組み込み、第
4表に示す一定電圧を印加しながら、コードAを第4表
に示す移動速度(処理時間)で第7図の左側から右側へ
移動させ、表面処理を施した(実施例6−1〜6−
6)。
比較のために、FN又はF・TEAの水溶液を20℃に保持
し、前記ワイヤAを第4表に示す処理時間だけ浸漬した
(比較例6−1〜6−3)。
各場合について処理前後のワイヤAの1mあたりの重量を
天秤(測定限界0.005mg)で測定し、トリアジンチオー
ル誘導体の被覆層の付着量を算出した。これらの結果を
第4表にまとめて示す。
第4表から明らかなように、同一温度条件下では、浸漬
処理(比較例6−1〜6−3)よりも電着処理(実施例
6−1〜6−6)の方が、短時間の処理でもトリアジン
チオール誘導体の被覆層の付着量が多い。また、このよ
うに電着処理では処理時間が短いため、処理中のワイヤ
の腐食を回避し得る効果も期待できる。
実施例7 0.38mm径の黄銅めっきスチールワイヤ(以下、ワイヤB
と記す)を用い、ゴムコンパウンドとの接着性を調べる
ために以下の実験を行った。
1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール・モノナトリ
ウム(FN)、6−アニリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−
ジチオール・モノナトリウム(AN)、6−ジブチルアミ
ノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール・モノナトリ
ウム(DBN)、又は6−ジアリルアミノ−1,3,5−トリア
ジン−2,4−ジチオール・モノナトリウム(DAN)の1%
水溶液をそれぞれ第7図図示の電着装置の電着槽33内に
収容し、20℃に保持した。前記ワイヤBを電着装置に組
み込み、第5表に示す一定電圧を印加しながら、ワイヤ
Bを第5表に示す移動速度(処理時間)で第7図の左側
から右側へ移動させ、表面処理を施した(実施例7−1
〜7−6)。
なお、比較例7−1は未処理のもの、比較例7−2はワ
イヤBをFNの溶液に20℃で30秒間浸漬したもの、比較例
7−3はワイヤBをFNの溶液に70℃で30分間浸漬したも
のである。
得られた各々のスチールワイヤを10cmの長さに切り取
り、両端を常温硬化型のエポキシ樹脂で固めた。これら
を腐食環境として60℃、湿度90%の恒温恒湿器に3日間
放置した。
一方、天然ゴム(NR)100重量部、カーボンブラック(H
AF)50重量部、硫黄5重量部、N−シクロヘキシル−2
−ベンゾチアジルスルフェンアミド(CBS)0.8重量部、
酸化亜鉛10重量部からなるNRコンパウンドを作製してお
いた。そして、前述した腐食環境にさらされた後の各ス
チールワイヤをNRコンパウンドに埋め込み、140℃で30
分間加熱して複合材を得た。
これらの複合材について、自動引張試験機(島津オート
グラフp−100)を用い、20℃において引抜き速度50mm/
minの条件で引抜き強度を測定し、この値に基づいて接
着性を評価した。また、引抜き後のワイヤ表面のゴムに
よる被覆率を調べた。これらの結果を第5表にまとめて
示す。
未処理の黄銅めっきスチールワイヤ(比較例7−1)の
場合、前述した腐食環境に放置すると鉄サビを生じる。
このため、このワイヤとゴムとを接着して複合材を作製
しても、ワイヤの引抜き強度は極めて低い。比較例7−
2では処理時間が充分でないため、ワイヤ表面に充分な
被覆層が形成されず、腐食防止効果が小さく、そのため
引抜き強度も低い。比較例7−3では処理時間が長いの
で、ワイヤ表面に充分な厚さの被覆層が形成されている
が、被膜形成と同時にワイヤの腐食も進行しているた
め、やはりゴムとの接着性はよくない。このように、ト
リアジンチオール誘導体の水溶液を用いて浸漬処理する
場合には、経済的でかつ従業員の健康管理に問題が生じ
ないものの、良好な被覆層を形成する方法としては不適
当である。このため、浸漬処理を行う場合には、トリア
ジンチオール誘導体を有機溶剤溶液を用いるのが一般的
である。
これに対して、電着処理したワイヤ(実施例7−1〜7
−6)の場合、腐食環境にさらされて後でも、ゴムとの
接着性が良好である。これは、実施例7−1〜7−6で
は腐食の起りにくい低温における短時間の処理によっ
て、ワイヤ表面に緻密で耐食性に優れた被覆層が形成さ
れており、腐食環境にさらされた後でもゴムコンパウン
ドとの接着性が良好なためである。
実施例8 前記コードAを用い、硫黄含有量の異なるゴムコンパウ
ンドとの接着性を調べるために以下のような実験を行っ
た。
1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール・モノナトリ
ウム(FN)の1%水溶液を第7図図示の電着装置の電着
槽33内に収容し、20℃に保持した。前記コードAを電着
装置に組み込み、ポテンシオスタットを用いた定電位法
(印加電圧=0.3V、処理速度3m/分)、又はガルバノス
タットを用いた定電流法(電流=10mA、処理速度3m/
分)で表面処理を施した(実施例8−1〜8−5又は実
施例8−6〜8−10)。
比較のために、未処理のコードA(比較例8−1〜8−
5)、及びコードAに前記水溶液による浸漬処理を施し
たもの(比較例8−6〜8−10)を用いた。
一方、NR100重量部、カーボンブラック(HAF)50重量
部、酸化亜鉛10重量部、及びステアリン酸0.5重量部を
バンバリーミキサーで混練した後、実験用ロール上でこ
の混練物に第6表に示す重量部の硫黄及び促進剤として
CBS0.8重量部を添加して、硫黄含有量の異なる5種のNR
ゴムコンパウンドシート(10cm×1.5cm×1.5mm)を作製
しておいた。
これら5種のNRゴムコンパウンドシート上に処理済み又
は未処理の各コード(長さ10cm)をそれぞれ12本ずつ並
べ、更にその上に同一のNRゴムコンパウンドシートを載
せ、両端2cmをアルミ箔で包み、10kg/cm2の荷重をかけ
て、140℃で30分間プレス加硫して複合材を作製した。
得られた各複合材にカッターで幅1cmの切込みを入れ、
自動引張試験機により引張り速度50mm/分の条件で初期
の剥離強度を測定した。また、各複合材を700ml容量の
容器中に収容された95℃の熱水400ml中に3日間浸漬し
た後、取出し、空気中、20℃で1日間放置して水分劣化
させた後、更に前記と同様な方法で剥離強度を測定し
た。これらの結果を第6表にまとめて示す。
第6表から明らかなように、初期の複合材の剥離強度に
関しては、処理済み又は未処理のいずれのコードを用い
た場合でも、ゴムコンパウンド中の硫黄の含有量が多い
ほど、その値が大きくなる傾向がある。また、熱水処理
後の複合材の剥離強度に関しては、ゴムコンパウンド中
の硫黄の含有量が適当な値(比較例では約2重量部、実
施例では約3.5重量部)で最大となり、硫黄の含有量が
それ以上増加すると次第に低下する傾向がある。ただ
し、電着処理を行った場合には、硫黄含有量が少ない場
合の初期剥離強度、及び硫黄含有量にかかわらず水分劣
化後の剥離強度を向上させることができ、特に硫黄含有
量が多い場合の水分劣化後の剥離強度を大幅に向上させ
ることができる。
従来、例えば浸漬処理されたコードを用いた自動車タイ
ヤの製造においては、初期の剥離強度を重視し、高硫黄
含有量のゴムコンパウンドを使用していたため、水分劣
化時の接着性が犠牲にされていた。この結果、雨中高速
走行時におけるタイヤ事故などの原因となるおそれがあ
った。これに対して、本発明に従い、電着処理されたコ
ードを用いた場合には、硫黄含有量の影響をあまり受け
ずに、初期剥離強度及び水分劣化後の剥離強度をともに
満足するスチールコード−ゴム複合材を提供することが
できる。なお、電着処理でも、定電流法の方が定電圧法
よりも優れた効果が得られている。
実施例9 前記コードAを用い、ゴムコンパウンド中に含有される
加硫剤による、コード−ゴム間の接着性に及ぼす影響を
調べるために以下のような実験を行った。
1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール・モノナトリ
ウム(FN)の1%水溶液を第7図図示の電着装置の電着
槽33内に収容し、20℃に保持した。前記コードAを電着
装置に組み込み、ガルバノスタットを用いた定電流法
(電流=10mA、処理速度3m/分)、又はポテンシオスタ
ットを用いた定電位法(印加電圧=0.3V、処理速度3m/
分)で表面処理を施した(実施例9−1及び9−2、又
は実施例9−3及び9−4)。
比較のために、コードAに前記水溶液による浸漬処理を
施したもの(比較例9−1〜9−4)を用いた。
一方、第7表に示すように、ゴム、硫黄(加硫剤)、テ
トラブチルチュウラムジスルフィド(TT、加硫促進
剤)、酸化亜鉛及びイソプロピルフェニレンジアミン
(IPPD)を含有するゴムコンパウンドシート(10cm×1.
5cm×1.5mm)、又はゴム、α,α′−ビス(t−ブチル
ペルオキシ)イソプロピルベンゼン(PKD、加硫剤)及
びIPPDを含有する4種のゴムコンパウンドシート(10cm
×1.5cm×1.5mm)を作製しておいた。
これらのゴムコンパウンドシート上に各コード(長さ10
cm)をそれぞれ12本ずつ並べ、更にその上に同一のNRコ
ンパウンドシートを載せ、ホットプレスして複合材を作
製した。
得られた各複合材にカッターで幅1cmの切込みを入れ、
自動引張試験機により引張り速度50mm/分の条件で初期
の剥離強度を測定した。また、各複合材を700ml容量の
容器中に収容された95℃の熱水400ml中に3日間浸漬し
た後、取出し、空気中、20℃で1日間放置して水分劣化
させた後、更に前記と同様な方法で剥離強度を測定し
た。また、各複合材をキヤーオーブン中、100℃で3日
間放置して加熱劣化させた後、前記と同様な方法で剥離
強度を測定した。これらの結果を第7表にまとめて示
す。
第7表には示していないが、トリアジンチオール誘導体
の溶液による処理を行っていないスチールコードは、加
硫剤としてペルオキシドを含有するゴムコンパウンドに
対しては全く接着性を示さない。しかし、第7表から明
らかなように、比較例9−1〜9−4のスチールコード
(トリアジンチオール誘導体の溶液を用いて浸漬処理さ
れている)は、ゴムコンパウンドと接着する。更に、実
施例9−1〜9−4のスチールコード(トリアジンチオ
ール誘導体の溶液を用いて電着処理されている)は、加
硫剤として硫黄又はペルオキシドを含有するいずれのゴ
ムコンパウンドとの接着性も非常に良好であり、熱水処
理による水分劣化や、加熱処理による加熱劣化を行った
後にも、良好な接着性を示す。
〔発明の効果〕 以上詳述したように本発明のゴム補強用スチールワイヤ
は、耐食性及びゴムとの接着性に優れており、これを用
いることにより耐熱性、耐水性、耐スチーム性、耐疲労
性に優れたスチールワイヤ−ゴム接着複合材を提供する
ことができ、その工業的価値は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例において用いられた湿式伸線装
置の概略構成図、第2図は同湿式伸線装置のダイスを示
す断面図、第3図は1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチ
オールを用いて伸線されたスチールワイヤの表面に形成
された被覆層のGPCを示す図、第4図は6−ジブチルア
ミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオールを用いて伸
線されたスチールワイヤの表面に形成された被覆層のGP
Cを示す図、第5図は1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリ
チオールを用いて伸線されたスチールワイヤの表面に形
成された被覆層の赤外線吸収スペクトルを示す図、第6
図は6−ジブチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジ
チオールを用いて伸線されたスチールワイヤの表面に形
成された被覆層の赤外線吸収スペクトルを示す図、第7
図は本発明の実施例において用いられた電着装置の概略
構成図、第8図は同電着装置の電着槽及び円筒電極の寸
法を示す説明図である。 1……供給ボビン、2……ガイドロール、3、6……フ
リーロール、4、7、9……ダイス、5、8……駆動ロ
ール、10……キャプスタン、11……ガイドロール、12…
…巻取ボビン、13……ダイスケース、14……超硬チップ
14、20……潤滑槽、21……潤滑液、22……スチールワイ
ヤ、31……スチールワイヤ巻き取り機、32……脱脂装
置、33……電着槽、34……洗浄装置、35……乾燥装置、
36……スチールワイヤ巻き取り機、37……円筒電極、38
……トリアジンチオール誘導体の溶液、39……攪拌装
置、40a、40b……送線用ロール、41……電源、42……電
流電圧調整装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 白鳥 信令 茨城県新治郡千代田村大字下稲吉1967―9 (72)発明者 片山 政材 茨城県新治郡千代田村大字下稲吉2296 東 京製鋼アパートA1棟401号

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】スチールワイヤの表面に、下記一般式 (前記式中、Rは−OR′−,−SR′,−NHR′,−N
    (R′)2;R′はH、アルキル基、アルケニル基、フェ
    ニル基、フェニルアルキル基、アルキルフェニル基、又
    はシクロアルキル基、MはH、Na、Li、K、1/2Mg、1/2
    Ba、1/2Ca、脂肪族1級、2級もしくは3級アミン、第
    4級アンモニウム塩、又はホスホニウム塩) で示されるトリアジンチオール誘導体のポリマーを含む
    被覆層を形成したことを特徴とするゴム補強用スチール
    ワイヤ。
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