JPH07132611A - インクジェット記録装置及びインクタンクとその製造方法 - Google Patents

インクジェット記録装置及びインクタンクとその製造方法

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JPH07132611A
JPH07132611A JP27985893A JP27985893A JPH07132611A JP H07132611 A JPH07132611 A JP H07132611A JP 27985893 A JP27985893 A JP 27985893A JP 27985893 A JP27985893 A JP 27985893A JP H07132611 A JPH07132611 A JP H07132611A
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宗秀 金谷
Seiji Mochizuki
聖二 望月
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 外部と連通する連通孔に封止部材を設けてイ
ンクの漏れがないインクタンクを用いて脱気インクを供
給する。 【構成】 外部と連通する連通孔9を1個乃至複数個有
し、インク溜り6を有し、隣接して設けたインク室11
と記録ヘッド3を連通し、前記連通孔9に対応して水蒸
気透過度が2000g/m2・24h・atm以下で、かつ少なくとも1
つがガス透過度100cc/m2・24h・atm以上であって、少なく
とも1つが開閉可能である封止部材21,22を有する
インクタンク7を、前記インクタンク7と密封容器の間
にスペーサを配して減圧状態で前記密封容器内に包装す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクを保持するイン
クタンクに関し、より詳細にはインクジェット記録装置
等に適したインクタンクに関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録装置は、記録情報に
応じた文字などを、微細なノズルよりインク滴を吐出さ
せ、記録紙上に記録書き込みを行う装置である。インク
滴の形成は、記録ヘッド内部に配設された圧力室を電気
歪振動子または電気熱変換素子等により急激に容積変化
させ、吐出圧力を発生することにより行われる。そのた
め、圧力室等のインク供給経路内に空気が混入した場合
には、吐出圧力が良好に発生せず、記録書き込みが不能
となる。
【0003】また、インクタンク内のインクが消費され
尽くして供給が断たれると、記録書き込みが不能にな
る。そして、ノズルに至るインク供給経路内に空気が入
り込み、インクを新たに補給しても記録書き込みが可能
になるまでに、多大の時間がかかってしまうといった問
題が生じる。
【0004】もとより、このような問題に対処するため
に、インクタンク内にレベル検出器を配設し、またはイ
ンク供給経路の一部にレベル検出器を配設しインクの供
給が断たれる前にインクエンドを検出する構成が用いら
れている。それによりインクエンド時にインク供給経路
内に空気が大量に混入することを防止している。しかし
ながらインクタンクの交換時等のインクタンクと記録ヘ
ッドとの抜き差し時にインク供給経路内に空気が混入す
ることを完全に防止することはできない。
【0005】そこで従来よりインク供給経路内に混入し
た空気の影響を、インクタンクと記録ヘッドとの抜き差
し時に初期的に抑えるための提案として、特公平3−6
1592号公報に記載されたものなどが知られている。
ガスバリア性の極めて高い密封容器内に、脱気したイン
クを収容したインクタンクを減圧状態で収容したもので
ある。本従来例では、密封容器を開封直後はインクタン
ク内のインクは脱気インクとなっており、この脱気イン
クによりインク供給経路内に混入した空気の影響を初期
的に除去しようとするものである。
【0006】またインクタンクには、インクを充填する
ための注入孔や、インクの使用による減少に対応して空
気が流入するように、大気と連通するための通気孔を有
する。インクタンク内に充填されたインクは輸送時のイ
ンクタンクの姿勢、環境温度等の要因により、この注入
孔や通気孔から漏れてしまう。特にインクタンクを減圧
包装した場合、高い減圧状態にするほどこの現象は顕著
となる。そのために特開平4−12834号公報に記載
されたもののように、減圧包装時の真空度をインクを充
填する際より低い減圧状態にして減圧包装する方法が提
案されている。
【0007】また従来よりインクの漏れを防止するため
に、特公昭54−31897号公報に記載されたものな
どが知られている。空気の通過は許すが液体の流れるの
を防ぐ、無数の狭い貫通した通路を有するポリテトラフ
ルオルエチレンのようなフィルタを通気孔に有する。そ
の他に、特開昭60−245560号公報や米国特許第
4771295号明細書に示されるように、インクタン
ク中に空間を設けるものが知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし従来例では、減
圧が大きければ大きいほどインクの脱気度は保たれ、信
頼性は確保できるにもかかわらず、減圧が大きくなるに
伴ってインクが注入孔から漏れやすくなる。また、落と
したりといった衝撃を加えた後に減圧包装すると、僅か
な減圧でインクが漏れるので作業性が悪い。さらに温度
変化があるとインク中の気体の膨張で、インクが漏れ
る。インクの漏れを防止するためにインクの充填量を減
らして充填効率を落とすとインクタンクが大きくなると
いった問題がある。
【0009】また漏れを防止するために示した従来例で
は、大気圧下ではインクの漏れはないが、十分な信頼性
が確保できるだけの減圧状態で包装すると、封止部材か
らインクが染み出てくる。なぜならば封止部材のガス透
過度が高すぎる、つまり無数の小さな孔が封止部材に存
在しているフィルタであるからである。
【0010】この封止部材にガス透過のない部材を用い
るとインクの漏れはないが、減圧包装時に再脱気される
ことがないので、脱気インクを供給するためには、全工
程を減圧下で行うもしくは大気圧下での工程を短時間で
行わなければならない上に、インクが分解してガスが発
生した場合再び飽和してしまうといった問題がある。
【0011】また、インクタンク中に空間を設けたり、
蓋の形状を工夫して漏れの対策をしても、高温環境下で
はインク中の気体が膨張して漏れてしまい、これを完全
に防ぐことは難しい上に、インクタンクが大きくなると
いった問題がある。
【0012】そこで本発明はこのような問題点を解決す
るものでその目的とするところは、安価で信頼性が高く
小型のインクジェット記録装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明のインクタンク
は、記録ヘッドにインクを供給するインクタンクにおい
て、前記インクタンクは、インク溜りと、該インク溜り
と前期記録ヘッドを連通する連通部と、大気と連通する
が如く穿たれた連通孔と、該連通孔を封止する水蒸気透
過度が2000g/m2・24h・atm以下であり、かつガス透過度が
100cc/m2・24h・atm以上の封止部材とを有し、前記連通孔
近傍に空間を保持するように気密性容器に減圧状態で密
閉されていることを特徴とする。
【0014】また、本発明のインクタンクの製造方法
は、インク溜りと、該インク溜りと記録ヘッドを連通す
る連通部と、大気と連通するが如く穿たれた複数個の連
通孔と、該連通孔を封止する封止部材とを有するインク
タンクの製造方法であって、 A.前記連通孔を通じて前記インク溜りを減圧する工程 B.インクを前記連通孔から前記インクタンクに供給し
充填する工程 C.水蒸気透過度が2000g/m2・24h・atm以下であり、か
つ、ガス透過度が100cc/m2・24h・atm以上である封止部材
を、前記連通孔に大気圧下で封止する工程 D.前記インクタンクを通気性のない容器内に入れ、前
記連通孔と前記密閉容器の間に空間を設け、前記容器内
を減圧し密封包装する工程 を有することを特徴とする。
【0015】
【作用】本発明の上記の構成によれば、減圧状態でイン
クの漏れがなく、かつガス透過をする封止部材の条件を
見いだし、インクタンクと密封容器間に空間を設けて減
圧包装したので、インクが再脱気され、それによりイン
クタンクの使用初期に大変信頼性の高い状態に脱気され
たインクを記録装置に供給することが出来るので、イン
クタンクの交換時にインク供給路内に混入してしまう空
気による不具合を解消する。また、減圧包装時や輸送時
や保存状態でインクが漏れることがないので、インクの
充填性を損なうことなく減圧包装することができる。さ
らにインク充填後に大気圧下で封をした後減圧包装した
ので、工程が簡略化される。以上より信頼性が高く小型
で安価なインクジェット記録装置を提供することができ
る。
【0016】
【実施例】以下に本発明の一実施例を図面にもとづいて
説明する。
【0017】図1は本発明のインクジェット記録装置の
一実施例を説明するための主要断面図であり、図2は本
発明のインクジェット記録装置に用いるインクタンクの
主要部の分解斜視図である。図3は主要部の斜視図を示
したものである。また図4は、インクエンド検出回路を
説明するためのブロック図である。
【0018】図3に示すように、記録紙を搬送するため
に矢印A方向に回転する記録紙搬送手段であるプラテン
1に沿って、ガイド軸2a上を矢印B方向に往復運動す
るキャリッジ2には、プラテン1に近接して記録ヘッド
3が一体的に設けられている。記録ヘッド3の上方に
は、インク溜り6があり内部にポリウレタンフォーム等
の多孔質部材よりなるフォーム6aを収容したインクタ
ンク7が設けられている。 図2に示すように、本実施
例においてインクタンク7は6Y,6M,6Cの3つの
部屋に分割されて、インク溜り6は3つ設けられてい
る。この部屋各々にはイエロー、シアン、マゼンタのカ
ラーインクが充填されている。ただしインクの種類と数
が設計上変わればインクタンク7内の部屋数は必要数に
分割されることになる。また、インクの消費量に応じて
各部屋の容積を変化させることも可能である。
【0019】図1、2の通り、インクタンク7には、そ
の蓋8に外部と連通する連通孔9が設けられ、またその
底面にはフォーム6との密着をはかる台状の突起10が
形成されている。この突起10の中心部から下方に向け
てフォーム6内のインクを取り出し保持するインク室1
1が形成されている。インク室11の端部はゴム等の弾
性部材よりなる盲栓12により封止されている。そし
て、この盲栓12にフィルタ室4を介して、記録ヘッド
3と連通する連通部材である中空針5を挿通することに
より、インクタンク7内に含浸したインクを記録ヘッド
3に供給するように構成されている。なお、インク室1
1は盲栓12及びフォーム6により密閉室の状態になっ
ている。また、連通孔9の少なくとも1つは開封可能な
封止部材21で使用直前までは封止されていて、使用直
前に開封して通気孔9aとなる。但し、本実施例では連
通孔9は複数個設けてあるが、1つだけでも所望の効果
を得るのに何等問題はない。開封するためには図2のよ
うに充分に長い封止部材21を用い、その端部を引っ張
り剥して開封する方法を用いると容易に開封できる。さ
らに、その端部を図6に示す包装袋25内に接合すれば
包装袋25から取り出すときに必ず開封され、使用者の
開封忘れなどの問題もなく確実に開封できる。また図5
のようにインクタンクを取り付けるためのレバー30に
突起31を設け、インクタンクを取り付けるときにレバ
ー30をC方向に倒し、この突起31で突き破る方法を
用いても容易に開封できる。但し、封止部材21を開封
できる構成であれば、特に専用の器具を用いて開封しな
くてもよい。
【0020】本発明のインクタンクは、開封しない他の
連通孔9にも封止部材22を設けてある。全ての封止部
材21,22は水蒸気透過度が2000g/m2・24h・atm以下
で、かつ少なくとも1個のガス透過度は100cc/m2・24h・a
tm以上のものを用いる。ガス透過度は、JIS(日本工
業規格)K7126のプラスチックフィルム及びシート
の気体透過度試験方法のA法に乗っ取り、23±2℃の
大気の透過度を測定したものである。また水蒸気透過度
は、JIS(日本工業規格)K7129のプラスチック
フィルム及びシートの水蒸気透過度試験方法(機器測定
法)の40±0.5℃相対湿度差(90±2)%RHの
条件でA法に乗っ取って測定したものである。水蒸気透
過度が2000g/m2・24h・atm以下のものを用いる理由は、輸
送時にインクが漏れないようにであり、100cc/m2・24h・a
tm以上のものを用いる理由は、後述する減圧包装後にイ
ンクが再脱気されるようにである。水蒸気透過度が2000
g/m2・24h・atmでガス透過度が20000cc/m2・24h・atmである
厚さ13μmの三酢酸セルロースを封止部材に用いて実
験したところ、インクは漏れることがなくインクは再脱
気され、期待する効果を得ることが出来た。またガス透
過度が100cc/m2・24h・atmで水蒸気透過度が3g/m2・24h・at
mである厚さ25μmのビニリデンクロライドコポリマ
ーを封止部材に用いて実験したところ、これもまたイン
クは漏れることがなくインクは再脱気され、期待する効
果を得ることが出来た。
【0021】ここで封止部材21を開封して通気孔9a
を開ける理由を説明する。全ての封止部材21,22は
水蒸気透過度が2000g/m2・24h・atm以下である。このよう
な材料のガス透過度は大きくても約1,000,000cc/m2・24h
・atmであり、このガス透過度では、通常のプリンタ使用
のインク消費スピードに対して、インクタンク内に補充
される空気量が少ないので、プリンタを使用するにつれ
て徐々にインクタンク内が負圧になる。この負圧が一定
値を越えると、つまりヘッドのノズルに形成されるイン
クのメニスカスの毛細管力を越える負圧がインクタンク
内に発生すると、メニスカスは破壊しインク滴の吐出不
良となってしまう。従って、インクの消費に対応して空
気を補充するための通気孔9aが必要となる。
【0022】また万一、記録ヘッド3に吐出不良が生じ
た場合には、キャップ13、配管14を介して吸引ポン
プ15を動作することで、記録ヘッド3よりインクを吸
引する。それにより、吐出不良の回復動作が行われる。
吸引されたインクは配管16を通って廃インク溜17に
送られる。本発明においては、廃インク溜17とインク
タンク7とは別体であって廃インク溜17は記録装置本
体内に配設され、通常は交換されない構成になってい
る。
【0023】ところで図中符号S1,S2は、インクエ
ンド検出用の電極であって、その一方の電極S1はフォ
ーム6と接触するようにインクタンク7の内壁面に設け
られ、他方の電極S2は、インクと接触する中空針5が
電極を兼ねている。電極S1とインクタンク7の間に
は、インクが漏れないようにゴム製のOリング23がか
ませてある。そして電極S1には、図4に示したように
基準電圧Vccが印可される。また他方の電極S2を兼
ねる中空針5は接地されている。さらに基準電圧Vcc
が印可されている側の電極S1には、微分回路19と比
較回路20とからなる抵抗変化量検出回路が接続してい
る。そして抵抗変化量がある一定レベルを越えたとき
に、出力信号を発生するように構成されている。
【0024】また記録ヘッド3に印可されるインク滴吐
出用の記録指令信号は、可とう性の信号伝達手段である
FPC(Flexible Print Circui
t)18により伝達される。そしてFPC18上にはイ
ンクエンド検出用の信号線が一体的に配線され、電極S
1,S2に接続されている。なお、信号伝達手段として
FPC18の換わりに、FFC(Flexible F
lat Cable)等を用いても良いことはいうまで
もない。さらに1枚のFPCではなく、2枚重ねの構成
であっても良いことはいうまでもない。
【0025】次に本実施例に用いたインクタンクの製造
及び包装方法について図6、図7により説明する。図6
に示す包装袋25はガスバリア性の極めて高いアルミラ
ミネートフィルムで作られた包装袋である。
【0026】まず、インクタンク7にインクを充填する
方法は、インクタンク7を減圧状態にした後にインクを
供給して行う。充填に用いる真空度は0.4気圧以下で
所望のインク充填をすることができるが、充填インク量
及び充填時間を考慮すると0.2気圧以下が望ましい。
この時インクは減圧され、脱気インクとなる。この減圧
状態で多孔質部材にインクを充填する方法については特
開昭60−245560号公報において説明されている
ように、インク充填効果は非常に高い方法である。
【0027】次に、大気圧下で封止部材21,22で連
通孔9を封止する。この作業及びこの作業に至るまでの
過程も減圧状態下で行えればよいのであるが、インクを
充填したインクタンク7を大気圧下に放置してインクが
飽和して、大気圧下で封をしても、封止部材の少なくと
も一つには100cc/m2・24h・atmのガス透過性があるので、
次の工程の減圧包装後にインクは再脱気される。封止方
法には溶着もしくは接着材による方法などを用いること
が出来るが、インクの漏れを防ぐためには溶着の方が望
ましい。接着材を用いる場合、漏れを防ぐための接着力
と剥離性、インクに犯されないといった特性を満足する
必要がある。封止部材21,22は、分子レベルの空気
を透過する膜であるから、樹脂を用いてその厚みや積層
でガス透過度や水蒸気透過度をコントロールすれば材料
の選定が容易である。例えばインクタンク7にポリスチ
レン樹脂を、封止部材22にガス透過度が約2500cc/m2
24h・atmのポリスチレン樹脂40μmのフィルムを、開
閉可能な封止部材21に100cc/m2・24h・atm以下のポリス
チレン樹脂30μmとポリエチレン樹脂20μmとポリ
エチレンテレフタレート樹脂12μmの3層積層フィル
ムを用いて溶着にて封をした場合、ガス透過度、水蒸気
透過度、接合力、剥離性、強度的に充分期待する効果が
得られた。
【0028】次に、図7のようにインクタンク7とスペ
ーサ28を包装袋25に入れ減圧した後、完全に密封シ
ールする。インクタンク7と包装袋25の間には空間2
9がある。この空間はインクタンク7の中より真空度が
高くなっているので、ガス透過度が100cc/m2・24h・atm以
上の封止部材を介してインクは再脱気される。さらにイ
ンクタンク7の輸送中や保存中にインクが分解して窒素
や酸素などのガスが発生しても脱気される。スペーサ2
8に段ボールやウレタンフォームのように空気を透過
し、かつその内部に空間が存在する部材を用いれば、も
し連通孔9にスペーサ28が密着しても部材内の空間が
空間29の役割を果たす。そのためスペーサ28の形状
を簡単にすることができ、スペーサ28の製造や組立が
容易になる。減圧包装時の真空度は0.6気圧以下であ
れば真空に近ければ近いほどよい。次に梱包箱27(不
図示)に収納される。この状態で包装袋25のシール部
26は梱包箱27との間にあって緩衝材を兼ねている。
そのため特別な緩衝部材を用いる必要はない。
【0029】ここで、減圧包装時の真空度と減圧包装状
態における保存期間後の窒素量との関係を説明する。大
気中には窒素以外の気体も存在するが、窒素量が最も大
きいため窒素量がコントロールできればよい。
【0030】実験によれば表1に示すように密封シール
時の真空度を制御することにより、包装を開封した直後
のインクタンク7内のインクの脱気度を制御することが
出来る。
【0031】
【表1】
【0032】表1中の窒素量は、飽和値に対するインク
中に溶けている窒素量のパーセンテージで示してあり、
本実施例に用いたインクの場合には、飽和値は10〜1
1ppm程度であった。次に製造時と開封後にインクタ
ンク7内のインクの脱気度がどの様に変化するかをイン
ク中の窒素量により説明する。実験によれば図8に示す
ように図中bまでの期間は、インクを充填した直後から
大気圧状態に放置して減圧包装するまでの期間である。
インクを充填した直後から期間aまでは約3日である。
減圧包装して期間cまでの間、ガス透過度が大きい封止
部材22もしくは21を通して徐々にインクタンク7内
のインクは脱気される。0.00001m2の連通孔9に封止部
材で封止したとき、減圧包装後一定の窒素量になるまで
にかかる期間とガス透過度の関係は、実験によると表2
のようになっており、ガス透過度が大きいほど短い期間
でインクタンク中のインクは再脱気される。
【0033】
【表2】
【0034】ガス透過率が100cc/m2・24h・atm以下の封止
部材を用いると、再脱気される期間が長くなり輸送期間
や保管期間を考慮にいれた場合、使用時には充分脱気さ
れていない事が考えられるので実用上問題がある。輸送
期間が短くかつガス透過度が小さい封止部材を用いる場
合は、充填した後封止部材21,22で封をするまで大
気圧下に放置しておく時間を短くすれば、再脱気される
期間も短くなり使用時には充分な信頼性を確保すること
が出来る。もしくは封止部材21,22で封をすると
き、に少しだけでも真空度のある環境下で封をすればよ
い。この場合インクタンク7内と空間29の圧力差が小
さくなるので、封止部材21,22の接合強度が小さく
ても剥がれることがないという効果がある。
【0035】図中cからdまでの期間は包装状態での保
存期間である。実験では2年間を想定した。そして開封
後の図中d時点より順次窒素量は上昇する。インク中の
窒素量は、開封後3日程で図中eの略飽和状態に達す
る。しかしながら実験によると、脱気による効果は図中
dの開封後から2〜4週間程度期待できることがわかっ
た(図中f)。その後は完全飽和状態となり、本発明で
所望するインクの脱気の効果はなくなる。
【0036】ここでインクの脱気による効果について説
明する。インクタンク7を中空針5に対して抜き差しす
る際に、中空針5より混入する空気の量は、通常は非常
に微量である。実験による確認では、中空針5のインク
流入口径が直径0.8mm程度の時、混入する空気の量
は、多くてもメニスカス分の0.4立方mm程度以下で
あった。一度混入した空気は記録ヘッド3に向かって流
れ、フィルタ室4内のフィルタ4a(不図示)に到達し
トラップされる。このトラップされた空気はフィルタ4
aの目粗さが非常に微細なため容易にフィルタ4aを通
過することはない。実験によればフィルタ4aの直径が
4mm、フィルタ室4内の空間幅が0.3〜0.5mm
程度の時にインクタンク7の抜き差し回数が10〜数1
0回行なっても記録動作によって該空気がフィルタ4a
を通過することはなかった。この程度の空気の混入であ
れば図8中eまでの期間中は、明らかに脱気インクを記
録ヘッド3に供給することができ、それによりインクタ
ンク7を中空針5に対して抜き差しする際に、中空針5
より混入した空気はインクにとけ込み問題とはならな
い。しかしながら実使用においては中空針5よりインク
タンク7を外したまま放置される場合などは充分に有り
得る。この場合には大量に空気が混入する。大量に空気
が混入すると混入した空気はフィルタ4aをふさぎイン
クの通過を妨げてしまう。その結果として記録ヘッド3
は吐出不良となる。この場合には吸引ポンプ15を動作
して吐出不良の回復動作を行うのであるが、インクの脱
気度によって回復性に大きな差があることも実験により
わかった。図8中fで示す開封後2〜4週間程度までの
インクであれば、フィルタ室4内の空気を吸引ポンプ1
5により吸引除去するのに何ら不具合はない。ところが
この期間を過ぎるとインク中の空気量は完全飽和、さら
には過飽和状態となり、空気と共にフィルタ4aを通過
するとフィルタ4aから記録ヘッド3にかけて微小気泡
が発生することが確認された。この微小気泡が記録ヘッ
ド3の圧力室にある場合には吐出不良となってしまう。
【0037】以上説明したようにインクタンク7の交換
時に混入する空気に対しては、インクの脱気の効果によ
り吐出不良となるような不具合をなくすことが出来る。
またフィルタ室4内に多量に空気が溜った場合に行う回
復動作においてもインクの脱気の効果により、良好に回
復動作を終了することができる。フィルタ室4内の空気
量が一定以下であれば空気がインクと共にフィルタ4a
を通過しないため、図8中e以降の飽和状態となったイ
ンクであっても回復動作時になんら不具合はない。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、インクタンク内のイン
クが漏れることがないので、インクの充填性を損なう事
なくインクをインクタンクに収容したまま減圧包装する
ことができる。インクタンクの連通孔に設けた封止部材
にはガスが透過し、さらにインクタンクと包装容器の間
には真空度の高い空間が存在するのでインクは再脱気さ
れる。それによりインクタンクの使用初期に脱気インク
を記録装置に供給することができ、インクタンクの交換
時にインク供給経路内に混入してしまう空気による不具
合を解消する。またインクタンクを封止する封止部材の
開封が容易である。以上により極めて信頼性が高く小型
で安価なインクジェット記録装置を提供できるという効
果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット記録装置の一実施例を
説明するための主要断面図。
【図2】本発明のインクジェット記録装置に用いるイン
クタンクの主要部の分解斜視図。
【図3】本発明のインクジェット記録装置の主要部の斜
視図。
【図4】インクエンド検出回路を説明するためのブロッ
ク図。
【図5】本発明のインクジェット記録装置の主要部の斜
視図。
【図6】減圧包装されたインクタンクを説明するための
斜視図。
【図7】減圧包装容器内を説明するための断面図。
【図8】窒素透過量と時間の関係を示した図。
【符号の説明】
1 ・・・・プラテン 2 ・・・・キャリッジ 3 ・・・・記録ヘッド 4 ・・・・フィルタ室 5 ・・・・中空針 7 ・・・・インクタンク 9 ・・・・連通孔 9a・・・・通気孔 13・・・・キャップ 15・・・・吸引ポンプ 17・・・・廃インク溜 19・・・・微分回路 20・・・・比較回路 21・・・・開封可能な封止部材 22・・・・封止部材 25・・・・包装袋 26・・・・シール部 28・・・・スペーサ 29・・・・空間 S1・・・・電極 S2・・・・電極

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 記録ヘッドにインクを供給するインクタ
    ンクにおいて、 前記インクタンクは、インク溜りと、該インク溜りと前
    期記録ヘッドを連通する連通部と、大気と連通するが如
    く穿たれた連通孔と、該連通孔を封止する水蒸気透過度
    が2000g/m2・24h・atm以下であり、かつガス透過度が100c
    c/m2・24h・atm以上の封止部材とを有し、前記連通孔近傍
    に空間を保持するように気密性容器に減圧状態で密閉さ
    れていることを特徴とするインクタンク。
  2. 【請求項2】 前記連通孔を複数有し、全ての前記連通
    孔が水蒸気透過度が2000g/m2・24h・atm以下の封止部材に
    より封止され、少なくとも一つの連通孔が水蒸気透過度
    が2000g/m2・24h・atm以下であり、かつガス透過度が100c
    c/m2・24h・atm以上の封止部材により封止されていること
    を特徴とする請求項1記載のインクタンク。
  3. 【請求項3】 前記封止部材の少なくとも1つが開封可
    能であることを特徴とする請求項1乃至2記載のインク
    タンク。
  4. 【請求項4】 前記封止部材が樹脂からなることを特徴
    とする請求項1乃至3記載のインクタンク。
  5. 【請求項5】 前記開封可能な封止部材が剥離により開
    封可能であることを特徴とする請求項3乃至4記載のイ
    ンクタンク。
  6. 【請求項6】 前記開封可能な封止部材の一部が前記気
    密性容器と接合されていることを特徴とする請求項5記
    載のインクタンク。
  7. 【請求項7】 前記開封可能な封止部材が突起により破
    ることが可能な部材よりなることを特徴とする請求項3
    記載のインクタンク。
  8. 【請求項8】 前記空間がスペーサにより形成されてい
    ることを特徴とする請求項1または2記載のインクタン
    ク。
  9. 【請求項9】 前記インクタンクが複数色のインクを収
    納可能に分割して形成され、各色に応じた前記連通孔を
    有し、1枚の前記封止部材により前記各色の連通孔を封
    止していることを特徴とする請求項1乃至3記載のイン
    クタンク。
  10. 【請求項10】 インク溜りと、該インク溜りと記録ヘ
    ッドを連通する連通部と、大気と連通するが如く穿たれ
    た複数個の連通孔と、該連通孔を封止する封止部材とを
    有するインクタンクの製造方法であって、 A.前記連通孔を通じて前記インク溜りを減圧する工程 B.インクを前記連通孔から前記インクタンクに供給し
    充填する工程 C.水蒸気透過度が2000g/m2・24h・atm以下であり、か
    つ、ガス透過度が100cc/m2・24h・atm以上である封止部材
    を、前記連通孔に大気圧下で封止する工程 D.前記インクタンクを通気性のない容器内に入れ、前
    記連通孔と前記密閉容器の間に空間を設け、前記容器内
    を減圧し密封包装する工程を有することを特徴とするイ
    ンクタンクの製造方法。
  11. 【請求項11】 インクジェット記録ヘッドと、該記録
    ヘッドに脱着可能なインクタンクとを有するインクジェ
    ット記録装置において、 前記インクタンクは、インク溜りと、該インク溜りと前
    期記録ヘッドを連通する連通部と、外部と連通するが如
    く穿たれた連通孔と、該連通孔を封止する水蒸気透過度
    が2000g/m2・24h・atm以下であり、かつガス透過度が100c
    c/m2・24h・atm以上の封止部材とを有していることを特徴
    とするインクジェット記録装置。
  12. 【請求項12】 前記連通孔を複数有し、全ての前記連
    通孔が水蒸気透過度が2000g/m2・24h・atm以下の封止部材
    により封止され、少なくとも一つの連通孔が水蒸気透過
    度が2000g/m2・24h・atm以下であり、かつガス透過度が10
    0cc/m2・24h・atm以上の封止部材により封止されているこ
    とを特徴とする請求項12記載のインクタンク。
  13. 【請求項13】 前記封止部材の少なくとも一つを大気
    に開放する突起部材をインクタンク取り付け部材に備え
    たことを特徴とする請求項11乃至12記載のインクジ
    ェット記録装置。
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