JPH0714341B2 - 蛋白質の高生産株の取得方法 - Google Patents

蛋白質の高生産株の取得方法

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JPH0714341B2
JPH0714341B2 JP60260450A JP26045085A JPH0714341B2 JP H0714341 B2 JPH0714341 B2 JP H0714341B2 JP 60260450 A JP60260450 A JP 60260450A JP 26045085 A JP26045085 A JP 26045085A JP H0714341 B2 JPH0714341 B2 JP H0714341B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、高等真核細胞での特定の蛋白質を高産生する
株の取得方法に関する。さらに詳しくは、所望の蛋白質
をコードする遺伝子配列I、野性型細胞由来のジヒドロ
ホレートレダクターゼ(以下、DHFRと記載)をコードす
る遺伝子配列II及び形質転換株を選別するに必要な蛋白
質をコードする遺伝子配列IIIのDNAを、正常に機能し、
かつメソトレキセート感受性のDHFRをコードする遺伝子
配列を有する高等真核細胞にトランスフエクシヨンし、
形質転換株を競合阻害剤存在下で培養して、遺伝子配列
IIの増幅とともに遺伝子配列Iを増幅させることを特徴
とする特定の蛋白質の高産生株の取得方法に関するもの
である。
(従来の技術) 近年、生物工学の分野では異種蛋白質、すなわち宿主細
胞では通常生産されない蛋白質を遺伝子組換え技術によ
つて製造することが大きな注目を集めている。このうち
異種蛋白質をコードする遺伝子配列を大腸菌や枯草菌等
の細菌あるいは酵母に組み込んで、これに発現せしめる
方法は今日まで数多く試みられてきており、その基本的
技術はほぼ確立してきた。
しかし、高等真核細胞、特に哺乳動物を宿主とした異種
蛋白質の生産は、その生産される蛋白質が細菌を宿主と
して生産される蛋白質と異なり、グリコシレーシヨンや
各種の修飾等、生体中に存在する天然の型として生産さ
れるなど多くの利点を有していることから最近特に注目
されてきているにもかかわらず、その実用化に際しては
まだ多くの未解決点を有している。例えば、細菌や酵母
に比べ、生産される異種蛋白質の含量がまだ少ないとい
う点や工業的に利用可能となる宿主哺乳動物細胞がまだ
限られている点も、この例としてあげられよう。現在、
哺乳動物細胞を宿主として、工業レベルで異種蛋白質を
多量生産しようとの試みは色々な方法で行われている
が、主たる方法としては2種の宿主・ベクター系を用い
る方法が比較的多く試みられている。
その1種は、牛パピロマウイルス遺伝子を含むDNAをベ
クターとし、マウス乳癌細胞を宿主としな方法である
〔例えば、G. N. Pavlakisら、プロシーデイング・オブ
・ナシヨナル・アカデミー・サイエンスUSA(Proc. Nat
l. Acad. Sci. USA),80巻397頁1983年、T. V. Kamabha
dvanら、プロシーデイング・オブ・ナシヨナル・アカデ
ミー・オブ・サイエンスUSA、81巻6701頁1984年、R. Fu
kunagaら、プロシーデイング・オブ・ナシヨナル・アカ
デミー・オブ・サイエンスUSA、81巻5086頁1984年〕。
この方法は、ベクターDNAの宿主細胞内コピー数が20〜1
00コピーと多く、目的とする遺伝子産物を比較的多く生
産できる利点を有するが、形質転換株取得後の生産量の
向上を引き続き図ることが難しいこと、又使用できる宿
主が極めて限られていること、等の欠点があつた。
又、他のもう1種の方法としては、チヤイニーズ・ハム
スター卵巣細胞dhfr欠損株(以下、CHO(dhfr-)株と記
載(Urlab, G.とChasin L.プロシーデイング・オブ・ナ
シヨナル・アカデミー・オブ・サイエンスUSA、77巻421
6頁1980年)を宿主とし、マウスDHFRcDNAを含むベクタ
ー〔Chang, A. C. Y.ら、ネイチヤー(Nature)275巻61
7頁1978年、Kaufmanら、モレキユラー・アンド・セルラ
ー・バイオロジー(Mol. and Cell. Biol.)2巻1304頁
1982年〕を用いた方法であり、導入されたDHFRcDNAの発
現により形質転換株を容易に選別できると共に、メソト
レキセート(以下、MTXと記載)を含有する培地中で形
質転換株を増殖させることにより、細胞中のDHFRcDNAを
多コピー数増幅さけ〔G. Ringoldら、ジヤーナル・オブ
・モレキユラー・アンド・アプライド・ジエネテイツク
ス(J. Mol. Appl. Gen.)1巻165頁1981年〕、それに
伴い隣接する目的蛋白質をコードする遺伝子をも増幅さ
せることにより、目的蛋白質の生産性を向上せしめる方
法である〔例えば、J. HayncsとC. Weissman,ヌクレイ
ツク・アシズ・リサーチ(Nuclecic Acids Res.)11巻6
8頁1983年、S. J. Scahillら、プロシーデイング・オブ
・ナシヨナル・アカデミー・オブ・サイエンスUSA、80
巻4656頁1983年、ゲデルら、特開昭59−44321、Y. Cher
najovskyら、デイーエヌエー(DNA)3巻297頁1984
年〕。この方法は、MTX耐性濃度を順次増加させること
により、目的とする蛋白質の生産量を増加できる利点を
有するが、使用できる動物細胞宿主が現在のところCHO
(dhfr-)株に限られており、CHO(dhfr-)株の親株で
あるCHO・K1細胞や他の哺乳動物細胞では利用できない
欠点がある。この欠点は、野生型細胞では核の染色体
中、自身の正常DHFRをコードする遺伝子を有しており、
又さらに、この正常なDHFRをコードする遺伝子から産生
されるDHFR蛋白質は、マウスDHFRcDNAにより生産される
マウスDHFR蛋白質に比べ、MTXに対する親和力が低い為
に、マウスDHFRcDNAを含むベクターをトランスフエクシ
ヨンした場合には、形質転換株がMTXによつて選別でき
ないこと、さらに高濃度MTXに対する耐性が染色体dhfr
遺伝子の増幅により獲得されやすいからと考えられてい
る。
近年、これらの欠点の解決策として宿主のもつDHFR蛋白
質よりMTXに対する親和力の低いDHFR蛋白質をコードす
るdhfr遺伝子の取得が試みられ、CHOの突然変異株A29か
ら変異dhfr遺伝子を得る試み(M. Wiglerら、プロシー
デイング・オブ・ナシヨナル・アカデミー・オブ・サイ
エンスUSA77巻3567頁1980年、J. K. Christmanら、プロ
シーデイング・オブ・ナシヨナル・アカデミー・オブ・
サイエンスUSA79巻1815頁1982年)や、マウス繊維芽細
胞の突然変異株から同様な遺伝子を得る試み(レヴイン
スンら、特開昭59−192089)がなされているが、これら
の方法は形質転換株の選別に高濃度のMTXを必要とし、
かつ遺伝子増幅操作でこの濃度がさらに上昇するため宿
主細胞の増殖への影響が推測され、まだ実用に供し得る
ほどに充分であるとはいえない。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明者らは、誰でもが入手可能な遺伝子材料を用い、
またMTXに感受性を示す細胞ならば、いかなる高等真核
細胞でも形質転換でき、かつその後の遺伝子の増幅操作
により目的とする蛋白質を容易に高生産できる高等真核
細胞での育種方法を開発すべく鋭意研究を行つた結果、
目的とする蛋白質をコードする遺伝子配列と共に、マウ
スDHFRcDNA及び形質転換細胞を選別するに必要な蛋白質
をコードする遺伝子配列を同一ベクター上にもつか、あ
るいは異なつたベクター上に持つDNAを宿主高等真核細
胞にトランスフエクシヨンし、MTXによらないで形質転
換株を選別すれば該形質転換株が正常なdhfr遺伝子を染
色体DNA中にもつていても、MTX含有培地中で該形質転換
株を増殖せしめることにより、目的蛋白質を大量かつ安
定に生産しうる生産株が取得できることを見い出し、本
発明を完成させるに至つた。
(問題点を解決するための手段及び作用効果) 宿主染色体中DHFRをコードする遺伝子及びそれに近傍し
て存在する所望蛋白質をコードする遺伝子の増幅がMTX
含有培地中で増殖させることにより得られるメカニズム
に関しては、いくつかの論文(例えば、J. L. Biedler
ら、キヤンサー・リサーチ(Cancer Res.)32巻153頁19
72年、Alt. F. W.ら、ジヤーナル・オブ・バイオロジカ
ル・ケミストリー(J. Biol. Chem.)253巻1357頁1978
年、J. Christmanら、プロシーデイング・オブ・ナシヨ
ナル・アカデミー・オブ・サイエンスUSA79巻1815頁198
2年、Ringold. G.ら、ジヤーナル・オブ・モレキユラー
・アンド・アプライド・ジエネテイクス1巻165頁1981
年)によつて示されているので、上記論文引用により本
明細書中に包含されるものとする。
使用するDHFR競合阻害剤は通常MTXを用い、その濃度は1
0〜500,000nMの範囲で培地中に含有されるが、DHFRcDNA
の増幅に有効な濃度ならば、この限りでなく、上限値及
び下限値を限定するものではないと共に、ホモ葉酸のよ
うな他の葉酸誘導体や他の化合物を使用することも可能
である。正常なdhfr遺伝子を有する宿主高等真核細胞の
例としてCHO・K1及びMOPCを具体例に記載するが工業的
に有用な可能性をもつ細胞としてBHK、VERO、COS、CE
M、Namalva、その他多数の細胞があり、本発明は、これ
ら例示細胞に限定されるわけではない。また同様に、所
望の蛋白質例として、インターフエロン−γを実施例で
記載するが、これは勿論代表例であつて、例えばエリス
ロポイエチン、テイツシユプラスミノーゲンアクテイベ
ーター、インタロイキン−2、インターフエロン−β、
その他であつても何らさしつかえないことは容易に理解
されよう。さらに又、形質転換株を選別するに必要な蛋
白質をコードする遺伝子として、大腸菌由来のEcogptを
コードする遺伝子(R. C. MulliganとP. Berg、プロシ
ーデイング・オブ・ナシヨナル・アカデミー・オブ・サ
イエンスUSA,78巻2072頁1981年)を例示するが、細菌の
トランスポゾンTn5由来のNeor遺伝子(Southern P.
J.、Berg P.ジヤーナル・オブ・モレキユラー・アンド
・アプライド・ジエネテイクス、1巻327頁1982年)、
チミジンキナーゼ欠損宿主に対するヘルペスウイルス由
来のtk遺伝子(Wigler M.ら、セル(Cell),11巻223頁1
977年)その他、形質転換株を選別可能ならば、どんな
遺伝子であつても使用可能である。同様に野生型細胞由
来のDHFRをコードする遺伝子配列例としてマウスDHFRcD
NAを例示するが、他の動物細胞由来の遺伝子でも、また
染色体由来の遺伝子であつても何らさしつかえないこと
は言うまでもないことである。
尚、本発明において材料として用いたプラスミドおよび
細胞は記載した入手先から入手することが可能である。
(実施例) 以下に、本発明を実施例により具体的に説明する。
実施例1 インターフエロン−γ、DHFR及びEcogptをコ
ードする遺伝子配列を同一ベクター上にもつプラスミド
pSVedhfr−γ2の構築 pSVedhfr−γ2の構築のためインターフエロン−γ遺伝
子とEcogpt遺伝子をもつプラスミドベクターとして本発
明者らによつて作製されたプラスミドpSVeSmaIγ(特願
昭59−119648)を、またマウスDHFRcDNAをもつプラスミ
ドベクターとしてプラスミドpSV2dhfr(ATCC37146)を
用いた。
pSV2dhfr DNA 10μgを10mM Tris−HCl(pH7.5)、7mM
MgCl2、60mM NaCl及び7mM2−メルカプトエタノールを含
む100μの溶液に溶かし、制限酵素PvuII 10単位を用
いて37℃60分間反応させた後、65℃10分間加熱してPvuI
Iを失活させた。2.5倍量のエタノールによる沈澱処理
後、20mM Tris−HCl(pH7.5)、6mM MgCl2、5mMジチオ
スレイトール及び500μM ATPを含む全量25μの溶液に
溶かし、この溶液に5′末端がリン酸化されたBamHIリ
ンカーを1μg加えた。この場合、液にさらにT4DNAリ
ガーゼ10単位を加え、4℃で17時間結合反応を行つた。
反応終了後、エタノール沈澱処理によりDNAを回収し、
次いで20mM Tris−HCl(pH7.5)、10mM MgCl2、10mMジ
チオスレイトール及び50mM NaClを含む全量20μの溶
液に溶かし、制限酵素BamHIを5単位加え、37℃で60分
間消化反応を行つた。反応液を65℃、10分間加熱して酵
素を失活させた後、アガロース電気泳動法にて精製し、
dhfr遺伝子を含む約1.9KbのDNA断片を約1.5μg得た。
又、一方、pSVeSmaIγ2μgを前記BamHI反応液20μ
に溶かし、消化反応後、アルカリホスフアターゼ処理
(Ferretti, L.、Sgaramella, V.、Nucleic Acids Re
s., 9巻85頁1981年)をし、5′未端のリン酸を除いた
後、フエノール処理及びエタノール沈澱処理をしてT4DN
Aリガーゼ反応液に溶かし、前記1.9KbDNA断片を全量混
合溶解後、T4DNAリガーゼ5単位を加え、4℃で17時間
結合反応を行つた。得られた組換え体プラスミドの混合
物を用いて常法通り、大腸菌HB101株(ATCC33694)を形
質転換し、Amprのコロニーを得た。このコロニーの培養
液からプラスミドを分離、第1図に示したpSVedhfr−γ
2を得た。
実施例2 インターフエロン−γとDHFRをコードする遺
伝子配列を同一ベクター上にもつプラスミドpSVedhfr−
γ1の構築 pSV2dhfr DNA5μgを10mM Tris−HCl(pH7.5)、7mM Mg
Cl2、100mM KCl、7mM 2−メルカプトエタノール及び0.0
1%BSAを含む全量50μの溶液に溶かし、制限酸素Pvul
とHpalを各々5単位ずつ加え、37℃で60分間消化反応を
行つた後、65℃で10分間加熱してPvulとHpaIを失活させ
た。この消化反応液をアガロース電気泳動法にて精製
し、dhfr遺伝子を含む約3.6KbのDNA断片約3.2μgを得
た。又、pSVeSmaIγDNA5μgもpSV2dhfrと同様PvulとHp
aIによる消化反応後、アガロース電気泳動法にて精製
し、インターフエロン−γ遺伝子を含む約7.5KbのDNA断
片を約2.8μg得た。両断片を20mM Tris−HCl(pH7.
5)、6mM MgCl2、5mMジチオスレイトール及び500μM AT
Pを含む50μの溶液に溶かし、この混合溶液にT4DNAリ
ガーゼ10単位を加え、4℃で17時間結合反応を行つた。
得られた組換え体プラスミドの混合物を用いて、常法通
り、大腸菌HB101株を形質転換し、第2図に示したpSVed
hfr−γ1を得た。
実施例3 プラスミドpSVedhfr−γ2を用いたCHO形質
転換株の取得 実施例1で得たpSVedhfr−γ2DNA20μgを径6cmのデイ
ツシユ(コーニング社製No.25010)に2×105の細胞数
生育させたCHO・K1(大日本製薬より購入)に対して、
カルシウム・ホスフエート法(Wigler, M.ら、セル、14
巻725頁1978年)を用いてトランスフエクシヨンした。3
7℃、48時間培養後、培地を透析牛胎児血清(GIBCO製)
5%を含む核酸不含アルフアーMEM(GIBCO製)に、50
ないし100nMのMTX(選択条件、MTXと表1で記載)、7
5μMのミコフエノール酸、250μg/mlのキサンチン、0.
1μg/mlのアミノプテリン、5μg/mlのチミジン及び25
μg/mlのアデニン(選択条件、MPAと表1及び2で記
載)、75μMのミコフエノール酸、20nMのMTX及び250
μg/mlのキサンチン(選択条件、MPA、MTXと表1及び2
で記載)の各々を含む形質転換株選択培地で2週間コロ
ニーを形成させた。次いで各コロニーは96穴マルチプレ
ート(コーニング社製、No.25860)に移し、フルシート
に生育後、培地を5%透析牛胎児血清を含む核酸不含ア
ルフアーMEMに変換し、さらに37℃で24時間培養し、培
養液中のインターフエロン−γ活性を調べた。
インターフエロン−γ活性の検定は、FL細胞に対するシ
ンドビスウイルスの細胞変性効果(cytopathic effec
t)の阻害によつて調べ(特願昭59−119648号参照)、
標準インターフエロン−γとして国際標準サンプル(Gg
23−901−530)を用いて行つた。
各々の実験区から20株を選択し、インターフエロン−γ
の産生を調べた結果、MTX単独の形質転換株選択区で
は、インターフエロン産生株が得られなかつたのに対し
て、ミコフエノール酸選択及びミコフエノール酸とMTX
で選択した実験区では種々の量のインターフエロン−γ
を生産する形質転換株が得られた(表1および表2参
照)。
実施例4 プラスミドpSVedhfr−γ1とpSV2gptの同時
トランスフエクシヨンによるCHO形質転換株の取得 実施例2で得たpSVedhfr−γ1とATCCから入手したpSV2
gpt(ATCC 37145)を5対1のモル比で全量20μg混合
し、実施例3と同様な方法で同時トランスフエクシヨン
を行ない、ミコフエノール酸単独又はミコフエノール酸
とMTXの共存の選択培地で形質転換株を選択した。各形
質転換株について24時間当りのインターフエロン生産量
を測定した結果、代表的な株の生産量は表3の通りであ
つた。
参考例1 CHOでの遺伝子増幅及びインターフエロン−
γ産生量の増大 実施例3及び4で得られた形質転換株について、50nMな
いし100nMのMTXを含む核酸不含アルフアーMEM10mlを入
れた10cm径デイツシユ(フアルコン社製No.3003)に103
個の細胞をプレートし、3ないし4日目ごとに培地を変
換、37℃で3週間培養しコロニーを形成させた。形成さ
れたコロニーについて前記のごとくインターフエロン−
γアツセイをすると多くの株に未増幅の株のインターフ
エロン−γ産生量に対して約10から20倍の活性が検出で
きた(表4参照)。
また2種の形質転換株選択条件、すなわち、ミコフエノ
ール酸単独による選択とミコフエノール酸とMTXの共存
による選択との間での比較では、後者において遺伝子増
幅株の取得頻度が高く、形質転換株選別時にMTXを共存
させることがより有効であつた。これらの株について遺
伝子増幅量を調べた。遺伝子増幅量の定量はKafatos F.
C.らによるDNA−DNAドツトハイブリダイゼーシヨン法
(Kafatos F. C.ら、Nucleic Acids Res.,7巻1541頁197
9年)を参考にして行つた。又、染色体DNAの調製は次の
ようにして行つた。すなわち、インターフエロン産生細
胞を150cm2フラスコ(コーニング社製No.25120)に増殖
させ、0.02%EDTA−0.25%トリプシン処理により細胞を
回収後、PBS液〔10mM Na2HPO4−NaH2PO4(pH7.2)、15
0mM NaCl〕にて2回洗條、次いで108細胞当り2mgのPro
teinaseKを含む0.5mM EDTA−0.5%Sarkocyl溶液20mlを
加え、50℃で3時間処理後、フエノール処理をし、さら
にTES液(10mM Tris−HCl(pH7.6)、1mM EDTA、10mM
NaCl)における透析を行つた。透析後、エタノール沈
澱にて回収したDNAはTES液に溶解後、ml当り100μgのR
NaseAでRNAを分解し、フエノール処理、透析処理、エタ
ノール沈澱処理を行つた後、水に溶かした状態で染色体
DNAサンプルとした。
又、プローブとして用いるインターフエロン遺伝子DNA
は、pSVeSmaIγのインターフエロン遺伝子中より第4エ
キソンを含むEcoRI−BamHI断片を制限酵素EcoRI、BamHI
を用いてBamHI反応液中で消化し、アガロース電気泳動
法にて精製することにより約500ng得た。得られたDNA断
片は、Amersham社より入手したニツク・トランスレーシ
ヨンキツト中に入れ〔α−32P〕dCTp液(800Ci/m.mol,1
0mCi/ml)5μを加えた後、15℃で3時間反応させる
ことにより28×107cpmのカウントをもつプローブDNAを
作製した。
ニトロセルロースフイルター(ミリポア社製)に染色体
DNA1μgをスポツトし、フイルターを0.5N NaOH溶液に
5分間、次いで1M Tris−HCl(pH7.6)液に5分間ずつ
3回浸した後、さらに2×SSC(0.15M NaCl、0.015M
Na−Citrate)液に1分間浸し、とり出した後80℃で1
時間の焼きつけ操作をした。DNAを焼きつけたフイルタ
ーはハイブリダイゼーシヨン液〔20×SSPE(120mM NaC
l、15mM Na−citrate、13mM KH2PO4、1mM EDTA)2.5
ml、50×Denhardt溶液(0.02%BSA−画分V、0.02%ポ
リビニルピロリドン、0.02%フイコール)1ml、10%SDS
0.1ml及び水6.4ml〕10mlに熱変性サーモンDNA2mgを加え
た溶液を含むビニル袋中に入れ、空気を完全に除いた
後、シールし、65℃4時間のプレハイブリダイゼーシヨ
ンを予め行つた。32P−dCTpでラベルしたプローブDNAを
3mlのハイブリダイゼーシヨン溶液に混合し、新たなビ
ニル袋に入れた後、プレハイブリダイゼーシヨン後のフ
イルターをビニル袋中で十分浸み込ませ、空気を完全に
除いてシールし、65℃で1夜反応させた。反応後、フイ
ルターを取り出し、2×SSC、各500mlで2〜3分間5回
洗條した。さらに65℃に保つた0.1×SSC、各500mlで30
分間3回洗つた。フイルター上の水分をよくペーパータ
オルで除いた後、X線フイルム(富士写真社製)で4日
間露出させた。この様にして得られた増幅株の1例のネ
ガフイルムのスポツトによれば、MTX処理によるDHFRcDN
Aの増幅操作によつてインターフエロン遺伝子が20倍以
上増幅されていることが認められた。
参考例2 MOPC株でのプラスミドpSVedhfr−γ2による
形質転換と遺伝子増幅操作によるインターフエロン−γ
の出産量の増加 pSVedhfr−γ2により形質転換した大腸菌HB101をSandr
i−Goldinらの方法(Sandri−Goldin, R. M.らモレキ
ユラー・アンド・セルラー・バイオロジー(Mol. Cel
l. Biol.)1巻743頁1981年)に従つてプロトプラスト
化した。すなわち25mlのアンピシリンを含むL培地中で
対数前期まで増殖させた菌にクロラムフエニコールをml
培地当り125μgになるように添加し、プラスミドを増
幅後、遠心にて菌を回収、氷上で冷やした20%庶糖−0.
05M Tris−HCl(pH8.0)液12.5mlを添加した。菌を分
散後、直前に0.25M Tris−HCl(pH8.0)にml当り5mgの
リゾチームを溶解した溶液を0.25ml加え、氷上に5分間
静置し、0.25M EDTA0.5mlを追加して、さらに5分間保
つた。0.05M Tris−HCl(pH8.0)0.5mlを添加後、菌を
37℃のウオーターバス中に移し、10分間インキユベート
した後に10%庶糖と10mM MgCl2を含む10mlのDME培地
(グルベツコ変法イーグルMEM、日水社製)に希釈し、
プロトプラスト菌を得た。この液5mlにMOPC−31C細胞
(大日本製薬社より購入)を6×106個混合し、500×g
で5分間遠心した後、50%ポリエチレンクライコール40
00(和光純薬社製)を含むDME培地2mlに分散させた。50
0×gで3分間の遠心の後、7mlのDME培地を加え、再分
散、さらに500×g、5分間の遠心の後、上澄液を除い
て、細胞を10%の牛胎児血清を含むDME培地中に浮遊さ
せ、24穴マルチプレート(フアルコン社製No.3047)に
移した。48時間培養後、250μg/mlのキサンチン、15μg
/mlのヒポキサンチン、25μg/mlのミコフエノール酸、4
0nMのMTX及び10%の透析牛胎児血清を含むDME培地を等
量添加し、3ないし4日目ごとに培地を変換して2週間
培養して形質転換株を得た。
形質転換株は、96穴マルチプレート当り104個のマウス
腹腔細胞を含む培地中でクローン化を行なつた後、100n
Mないし200nMのMTX及び10%の透析牛胎児血清を含むDME
培地10mlに104個分散させ、24穴マルチプレートにて3
週間培養させた。増殖してきた細胞はクローン化後、細
胞数がml当り105に達した時点で培地を変換し、1日当
りのインターフエロン−γ産生量を測定した。100nM M
TX耐性及200nM MTX耐性で多くのクローン株のインター
フエロン産生量が10倍以上増大しており、その代表的な
例としては、形質転換細胞のインターフエロン産生量が
120u/ml/日に対して、100nM MTX耐性で2200u/ml、200n
M MTX耐性で3150u/mlであつた。以上の結果からMOPC−
31C株においても形質転換細胞をEcogpt遺伝子とミコフ
エノール酸の組合せで選択後、MTXによるDHFRcDNAの増
幅操作によりインターフエロン産生量が増大することが
確かめられた。
【図面の簡単な説明】
第1図は、インターフエロン−γ、DHFR及びEcogptをコ
ードする遺伝子配列を同一ベクター上にもつプラスミド
pSVedhfr−γ2の簡単な制限酵素地図及びpSVeSmaIγと
pSV2dhfrよりpSVedhfr−γ2の構築の方法の概略図、第
2図は、インターフエロン−γとDHFRをコードする遺伝
子配列を同一ベクダー上にもつプラスミドpSVedhfr−γ
1の簡単な制限酵素地図及びpSVeSmaIγとpSV2dhfrより
pSVedhfr−γ1の構築の方法の概略図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川原田 肇 兵庫県加古川市平岡町新在家2183―4 (72)発明者 渡辺 清 兵庫県明石市松が丘5丁目15番41号 (56)参考文献 特開 昭59−192089(JP,A) 特開 昭59−183693(JP,A)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】以下の方法 (1)自己のジヒドロホレートレダクターゼ遺伝子を有
    する真核細胞を宿主として用い、 (2)目的とする特定蛋白質をコードする遺伝子配列
    I、野性型細胞由来のメノトレキセート感受性のジヒド
    ロホレートレダクターゼをコードする遺伝子配列II、お
    よびジヒドロホレートレダクターゼ以外の選択マーカー
    遺伝子配列IIIで当該宿主を形質転換し、 (3)該選択マーカーで形質転換株を選択し、 (4)次いで、メソトレキセートを含有する培地で選択
    する、 ことからなる蛋白質の高生産株の取得方法。
  2. 【請求項2】遺伝子配列I,IIおよびIIIを有するプラス
    ミドで形質転換する特許請求の範囲第1項記載の方法。
  3. 【請求項3】遺伝子配列I及びIIを有するプラスミドと
    遺伝子配列IIIを有するプラスミドとで同時に形質転換
    を行う、特許請求の範囲第1項記載の方法。
  4. 【請求項4】選択マーカー遺伝子配列IIIが、ネオマイ
    シン耐性,アデニンホスホリボシルトランスフェラー
    ゼ,グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼあるい
    はチミジンキナーゼをコードする遺伝子配列のいづれか
    である特許請求の範囲第1項記載の方法。
  5. 【請求項5】野性型細胞由来のメソトレキセート感受性
    のジヒドロホレートレダクターゼをコードする遺伝子配
    列IIが、マウスジヒドロホレートレダクターゼ遺伝子の
    cDNAである特許請求の範囲第1項記載の方法。
  6. 【請求項6】宿主細胞がCHO−K1あるいはMOPCである特
    許請求の範囲第1項記載の方法。
  7. 【請求項7】プラスミドがpSVedhfr−γ2である特許請
    求の範囲第2項記載の方法。
  8. 【請求項8】遺伝子配列I及びIIを有するプラスミドが
    pSVedhfr−γ1であり、遺伝子配列IIIを有するプラス
    ミドがpSV2gptである特許請求の範囲第3項記載の方
    法。
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