JPH0714835B2 - 高靭性ZrO▲下2▼系焼結体およびその製造方法 - Google Patents

高靭性ZrO▲下2▼系焼結体およびその製造方法

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JPH0714835B2
JPH0714835B2 JP63132063A JP13206388A JPH0714835B2 JP H0714835 B2 JPH0714835 B2 JP H0714835B2 JP 63132063 A JP63132063 A JP 63132063A JP 13206388 A JP13206388 A JP 13206388A JP H0714835 B2 JPH0714835 B2 JP H0714835B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、Y2O3およびNd2O3をZrO2の結晶構造の安定化
剤(以下単に安定化剤と記す)として含有するZrO2系焼
結体に関し、詳しくは強靭性を有し、ダイス、刃物等の
工具や構造部品、あるいは装飾部品等にも応用されるZr
O2系焼結体に関するものである。
〔従来の技術〕
近時、高強度、高靭性を示すセラミックスとして、部分
安定化ジルコニア(以下PSZ)が注目されている。
このPSZは、室温で準安定な正方晶ZrO2が外力を受けた
場合に安定な単斜晶へ変態する現象、すなわち応力誘起
変態が生じ、詳しくは外力が変態のエネルギーとして吸
収される一方、体積膨張により、破断の原因となる亀裂
発生の抑制がなされることによって高強度、高靭性を具
現するのである。
現在、Y2O3を安定化剤として少量含有するY2O3−PSZがP
SZの主流となっている。
特公昭61−21184号(特開昭56−134564号)には、Y2O3
−PSZにおいて、Y2O32〜7mol%、結晶粒子が主として正
方晶、および磁器の平均結晶粒径が2μm以下の条件を
満足することにより、高強度および200〜300℃における
強度耐久性が向上される旨の報告がなされている。
また、特公昭61−59265号(特開昭58−32066号)には、
Y2O3等の安定化剤を含み主として正方晶のZrO240〜99.5
wt%、Al2O30.5〜60wt%からなるジルコニア焼結体が開
示されている。
このジルコニア焼結体は、Al2O3をZrO2に固溶・分散さ
せることにより、正方晶のZrO2が単斜晶に変態する温度
を下げ、ZrO2の粒成長を抑制し、この結果正方晶のZrO2
の含有量を高め、かつZrO2粒界での滑り抵抗を増加し、
硬度を増し強度を高めたものである。
一方、製法面からも種々検討がなされている。
例えば、特開昭60−54972号には、Y2O3等の安定化剤を
所定量含有するZrO2粉末を加圧成形して相対密度93%以
上まで焼結し、しかる後熱間静水圧プレス(以下HIP)
を適用することにより、強度を向上せしめる方法が開示
されている。
また、特公昭61−59267号(特開昭58−36976号)には、
原料粉末について検討を加えた結果、ZrO2、安定化剤お
よびAl2O3の各成分をより理想的に分散可能な共沈法に
よる原料粉末を使用、焼結すれば、均一な組織を有し、
マイクロポアのほとんどない焼結体が得られ、高強度に
寄与することが開示されている。
さらに、上記のHIPおよび共沈法による原料粉末使用の
両者を適用する手法が特開昭60−86073号にて提案され
ている。
Y2O3以外の安定化剤についても種々検討がなされてお
り、東北大学金属材料研究所共通施設技術研究報告No.1
2第19〜第21頁(1987.3)には、ZrO2−Ln2O3系(3.5mol
%Ln2O3=Sc2O3,Y2O3,La2O3,Ce2O3,Pr2O3,Nd2O3)によ
る正方晶安定化効果についての報告がなされている。
そして、前記酸化物のうちではY2O3についでNd2O3が最
も正方晶安定化効果が高い旨の開示がなされている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら従来のPSZは、ダイスや刃物等の工具への
実用化に関しては、競合材の超硬合金に比べると強靭
性、硬さの点で劣り、応用がごく一部に限られており、
十分な製品への応用が困難であった。
本発明は以上の事実に鑑み、特に靭性を改善したZrO2
焼結体の提供を目的とするものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者は種々検討した結果、安定化剤としてY2O3とNd
2O3とを所定量複合添加せしめ、結晶構造を主として正
方晶、または主として正方晶および立方晶、平均結晶粒
径を1μm以下のZrO2系焼結体とすることより応力誘起
変態率を向上し、従来のY2O3−PSZよりも優れた靭性を
獲得することができることを知見した。
すなわち本発明は、 安定化剤としてNd2O3を0.1〜3mol%およびY2O30.5〜3.5
mol%を含有するZrO2からなることを特徴とする高靭性Z
rO2系焼結体、 安定化剤としてNd2O3を0.1〜3mol%およびY2O3を0.5〜
3.5mol%含有し、結晶構造が主として正方晶、または正
方晶および立方晶、平均結晶粒径が1μm以下であるこ
とを特徴とする高靭性ZrO2系焼結体、 ならびに安定化剤としてNd2O3を0.1〜3mol%およびY2O3
0.5〜3.5mol%を含有するZrO2からなるZrO2系焼結体の
製造方法であって、前記組成を有する原料粉末を成形、
焼結した後、圧力100kg/cm2以上、温度1300〜1600℃の
条件で熱間静水圧プレス処理することを特徴とする高靭
性ZrO2系焼結体の製造方法である。
ZrO2系焼結体の強靭化は、前述のように正方晶から単斜
晶への応力誘起変態により可能となるが、Nd2O3のZrO2
への添加は、各種の安定化剤を検討したところ、Y2O3
複合添加することによりZrO2の正方晶から単斜晶への応
力誘起変態率が最も高くなる安定化剤であることが判明
し、従来の安定化剤よりも実質的に高靭性を示すことを
知見したのである。
ここで、実質的に高靭性とは、以下のような意義を有す
るものである。
すなわち、単斜晶相を含むZrO2系焼結体、例えばY2O3
2mol%程度含有するZrO2系焼結体は、単斜晶を含みミク
ロクラックが存在するために、見掛け上高靭性を示す
が、ダイスや刃物等の工具へ応用した場合、耐摩耗性、
耐チッピング性においては測定された靭性値から期待さ
れる性能は得られない。このような観点から従来はY2O3
を2.5〜3mol%程度含有する単斜晶を含有しない焼結体
が実用上高靭性材として用いられている。
工具特性として要求される靭性は、ミクロクラック、換
言すれば単斜晶を含まずに高靭性を発現するメカニズム
を有することが重要である。
すなわち、単斜晶によるミクロクラックを含む焼結体が
高靭性を示すのは材質的なものではなく、構造的に靭性
に寄与しているものであるのに対し、本発明における焼
結体には研磨加工等の応力誘起変態で生じる焼結体表面
の単斜晶以外には単斜晶は含まれず、正方晶、または正
方晶および立方晶であり、正方晶の応力誘起変態率が高
いことによって高靭性が実現されるところに特徴があ
る。
なお、前述の如くそれぞれZrO2にY2O3、およびZrO2にNd
2O3を安定化剤として含有せしめる技術は知られてい
る。
しかし、前記東北大学金属材料研究所共通施設技術研究
報告に記載されるようにNd2O3の正方晶安定化効果はY2O
3を越えるものでなく、また正方晶の応力誘起変態率に
ついては、一切開示することがないのであるから、Nd2O
3とY2O3との複合添加にかかる本発明に対しこれら公知
技術は何ら示唆を与えるものではない。
また、特開昭61−26562号と特開昭62−59571号にNd2O3
のZrO2への添加が開示されているが、特開昭61−26562
号は、NdとZrの複酸化物、すなわちNd2Zr2O7がZrO2焼結
体中に析出していることが必須条件となっており、また
特開昭62−59571号では、着色を目的にNd2O3を0.001〜
0.08wt%(約0.03mol%)添加したことが公表されてい
るのみで、本発明を示唆するに足るものでない。
本発明において、Nd2O30.1〜3mol%、Y2O30.5〜3.5mol
%の範囲とするのは、それぞれ限定範囲未満では、単斜
晶、限定範囲を越えると立方晶の割合が多くなる一方、
正方晶の割合が少なくなるためである。
結晶構造は高靭性を得るために実質的に正方晶、または
正方晶および立方晶とする。
本発明において実質的に正方晶、または正方晶および立
方晶とは、前述の如く加工等の応力誘起変態で生じる焼
結体表面の単斜晶以外には単斜晶を含まず、実質的に正
方晶のみの結晶構造からなる場合、および立方晶が存在
する場合であっても後述する実施例で示した方法によっ
て得られるすべての結晶構造に対する立方晶の割合が30
mol%以下である場合を言う。
また焼結体の結晶構造を主として正方晶、または正方晶
および立方晶とするには平均結晶粒径を1μm以下とす
ることが重要である。
本発明によれば応力誘起変態率を、従来のY2O3−PSZの
中で高靭性材が20%程度であるのに対し25%以上とする
ことができる。
なお、本願発明における応力誘起変態率とは後述する実
施例にて説明する方法によって定義されるものとする。
本発明焼結体を得るには、原料粉末を成形、焼結する、
あるいはこれらの焼結体をさらに、圧力100kg/cm2
上、温度1300〜1600℃の条件で熱間静水圧プレス処理を
適用することにより、さらに緻密化し高強度化すること
が可能である。
ところで、原料粉としては、焼成後ZrO2、Y2O3、Nd2O3
となる塩を用いいても良いし、好ましくは共沈法等の湿
式法によって合成された粉末を用いることにより、組成
的な均一性からさらに特性向上が可能となる。
〔実施例〕
以下本発明を実施例に基づき説明する。
市販の共沈法により作成されたZrO2−Y2O3系粉末と硝酸
ネオジウム〔Nd(NO3・6H2O〕を入手し、焼結後第
1表のNo.1〜9に示す組成になるように、硝酸ネオジウ
ムを秤量して、前記ZrO2−Y2O3系粉末に添加し、ボール
ミルで湿式混合した。バインダーを添加して得られたス
ラリーをスプレードライヤーで造粒し、ラバープレスで
3ton/cm2の圧力で成形した。大気中、1500℃の温度で焼
結した後、1450℃、1500atm、Arガス中でHIP処理して、
供試試験片(以下TP)とし以下説明する手法で各種特性
を評価した。
抗折強度は、JIS R1601に従い測定した。
破壊靭性は、ビッカース圧痕法(荷重20kg)による下記
の新原の式を用て計算した。
(KIC/Ha1/2)(H/E)2/5=0.018(l/a)−1/2IC:破壊靭性、H:ビッカース硬さ E:ヤング率、a:圧痕径の1/2 l:(クラック長さ‐圧痕径)の1/2 応力誘起変態率は、#100のダイヤモンド砥石で、TPの
表面を約0.5kg/cm2の面圧で10分間研磨した時の単斜晶
率と研磨前の正方晶率の比、すなわち下記の式で表わし
た。
Ta:研磨前(鏡面仕上後1200℃でアニーリングした状態
の)T相の割合(mol%) Ma:研磨前のM相の割合(mol%) Mb:研磨後のM相の割合(mol%) 硬さ、ビッカース法(荷重500g)による。
または結晶構造は、単斜晶、正方晶および立方晶の割合
(mol%)を、X線回折のピーク値(それぞれIm、It、I
t)を利用し、下記の式によって求めた、TPは、鏡面仕
上後、1200℃、大気中でアニーリングした。
C=1−(M+T) 第1表に焼結体の特性をまとめて示す。
テストNo.3はY2O3を単独で2mol%含み破壊靭性値が10.5
(MN/m1.5を示しているが、単斜晶を含んでおり、実質
的な意味において高靭性を示すものではない。テストN
o.7はY2O3を単独で2.5mol%含有する従来多用されてい
る組成の焼結体であるが、破壊靭性(MN/m1.5は7.1であ
る。
これに対しテストNo.1,2,4,5,6および8,9は、単斜晶を
含むことなく破壊靭性(MN/m1.5)が8.5以上という優れ
た値を示している。
すなわち、通常結晶粒径が小さいと正方晶が安定し、応
力誘起変態が生じにくいとされているが、Nd2O3とY2O3
を複合添加せしめることによりY2O3単独のZrO2焼結体に
比べて結晶粒径が小さい場合ですら、明らかに応力誘起
変態率が高く、これが靭性に寄与しているのである。
〔発明の効果〕
以上説明のように本発明によれば、従来不十分であった
ZrO2系焼結体の靭性が改良され、ダイスや刃物等の工具
分野への応用が一層拡大されるものである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ZrO2の結晶構造の安定化剤としてNd2O3
    0.1〜3mol%およびY2O30.5〜3.5mol%を含有するZrO2
    らなることを特徴とすする高靭性ZrO2系焼結体。
  2. 【請求項2】ZrO2の結晶構造の安定化剤としてNd2O3
    0.1〜3mol%およびY2O3を0.5〜3.5mol%含有し、結晶構
    造が主として正方晶、または正方晶および立方晶からな
    り、平均結晶粒径が1μm以下であることを特徴とする
    高靭性ZrO2系焼結体。
  3. 【請求項3】応力誘起変態率が25%以上である請求項1
    または請求項2記載の高靭性ZrO2系焼結体。
  4. 【請求項4】ZrO2の結晶構造の安定化剤としてのNd2O3
    を0.1〜3mol%およびY2O30.5〜3.5mol%を含有するZrO2
    からなるZrO2系焼結体の製造方法であって、前記組成を
    有する原料粉末を成形、焼結した後、圧力100kg/cm2
    上、温度1300〜1600℃の条件で熱間静水圧プレス処理す
    ることを特徴とする高靭性ZrO2系焼結体の製造方法。
JP63132063A 1987-06-11 1988-05-30 高靭性ZrO▲下2▼系焼結体およびその製造方法 Expired - Lifetime JPH0714835B2 (ja)

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