JPH071633B2 - 磁気記憶素子 - Google Patents

磁気記憶素子

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JPH071633B2
JPH071633B2 JP61135321A JP13532186A JPH071633B2 JP H071633 B2 JPH071633 B2 JP H071633B2 JP 61135321 A JP61135321 A JP 61135321A JP 13532186 A JP13532186 A JP 13532186A JP H071633 B2 JPH071633 B2 JP H071633B2
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vbl
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film
magnetization
bloch
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靖治 檜高
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は不揮発性の超高密度固体磁気記憶素子に関す
る。
(従来の技術) 高密度固体磁気記憶素子を目指すものとして従来から磁
気バブル素子が開発されてきた。しかし、現在使用され
ているガーネット材料では、到達可能な最小バブル径が
0.3μmといわれている。したがって、0.3μm径以下の
バブルを保持するバブル材料はガーネット材料以外に求
めなければならない。これは容易ではなく、ここがバブ
ル高密度化の限界であるとさえ考えられている。
このようなバルブ保持層の特性に基く高密度化限界を大
幅に改善し、かつ、情報読出し時間は従来の素子と同程
度に保つことができる超高密度固体磁気記憶素子として
膜面垂直方向を磁化容易方向とする強磁性体(フェリ磁
性体を含む)膜に形成されるストライプドメインの境界
を形成するブロッホ磁壁の中に静的に安定に存在する垂
直ブロッホライン2個からなるブロッホライン対(以
下、VBL対と称する。)を記憶単位として用いる素子が
発明された(特願昭57-182346)。
本素子においてもっとも重要な部分の一つは情報をVBL
対の形でストライプドメイン磁壁内に安定化し、かつ、
必要に応じて該VBL対をブロッホ磁壁内で転送すること
である。
VBL対安定保持法については、特願昭58−065826に、マ
イナーループを構成するストライプドメイン周辺のブロ
ッホ磁壁に沿って、膜面内の磁気異方性の向きを局所的
に変化させることにより、ストライプドメイン磁壁に沿
って、VBL対が安定に存在する位置とそうでない位置を
作りつけられることが示されている。
(発明が解決しようとする問題点) 特願昭58-065826に述べられている膜面内の磁気異方性
の向きを局所的に変化させる具体的な方法は(1)膜へ
の選択的イオン注入による格子歪に基づく逆磁歪効果を
利用するとかまたは、(2)内部応力が大きい材料を用
いてストライプドメイン保持膜表面にパターンを形成
し、膜に応力分布を与え、それに基く逆磁歪効果を利用
するアイ・イー・イー・イー・トランザクション・オン
・マグネティクス(IEEE Transaction on Magnetics)V
ol,MAG-20,No.5pp1135〜1137(1984)などである。
(1)では膜表面層部においてのみ、膜面内磁気異方性
の向きを制御している。この膜面内磁気異方性の局所変
化は磁壁の移動速度をほとんど変えず、単にVBL対の難
易だけを制御する方法である。したがって、膜厚方向に
亘って均一に面内磁気異方性が制御されていれば問題な
いが、その一部だけ面内磁気異方性が変えてあり、か
つ、イオ注入した表面層としていない層との境界が明瞭
であると、与えられた磁壁移動速度に対して発生するジ
ャイロ力は一定であるから、VBL対の移動の難易に依存
して、必然的にVBL対の移動の様子は膜厚方向に沿って
不均一になる。その結果、場合によってはVBLが膜厚の
中間部で分断されてしまい、VBL対の消滅に至ることが
ある。これは素子の信頼性の上から大きな問題になる、
この障害を取除くためには、膜厚方向に均一にイオン注
入することが望ましいが、イオン注入法の本質的特性ま
たはイオン注入装置の性能などのため、かなり難しい。
(2)の方法は(1)の方法に比べて、膜面内磁気異方
性の膜厚方向変化はゆるやかであり、(1)に比べてVB
L対の移動時の不安定化の確率は小さいが、傾向として
はイオン注入と同じである。
本発明の目的はこのような従来の問題点を除去したVBL
対安定保持法を施したストライプドメイン磁壁を有して
いる超高密度記録素子を提供することにある。
(問題を解決するための手段) すなわち、本発明は情報読出し手段、情報書込み手段お
よび情報蓄積手段を有し、かつ、膜面に垂直な方向を磁
化容易方向とするフェリ磁性体膜に存在するストライプ
ドメインの境界のブロッホ磁壁中につくった相隣る2つ
の垂直なブロッホラインからなる垂直ブロッホライン対
を記憶情報単位として用い、かつ、該垂直ブロッホライ
ン対をブロッホ磁壁内で転送する手段を有する素子にお
いて、該ストライプドメイン保持層表面にもう一種類の
フェリ磁性体を直接つけ、ストライプドメイン磁壁に沿
って2つの膜厚を局所的に変化させていることを特徴と
する。
(作用) 本発明は上述の構成をとることにより、ストライプドメ
イン磁壁に沿って情報単位であるVBL対を安定して保持
し、また転送できることを示した。以下、本発明の原理
を詳細に説明する。VBL対の充分安定した転送が得られ
ない理由の一つはVBL対が転送中に消滅してしまうため
である。VBLが消滅する機構に関してはVBLがストライプ
ドメイン保持層膜厚方向に沿ってその構造が変化してい
ることに起因する。VBLがストライプドメイン保持層の
膜厚方向に沿って構造変化するのはストライプドメイン
保持層が薄膜であり、かつ、保持層膜面法線方向に磁化
容易方向をもっているためであり、保持層表面に磁極が
誘起され、この磁極から磁壁部に対して磁壁法線方向に
誘起される面内磁界Hsが存在しているためである。
第4図にその様子を示す。ストライプドメイン3の両側
はブロッホ磁壁4,4′に囲まれている。πΔは磁壁の
幅である。磁壁4の外側はストライプドメイン内の磁化
Mの向き(下向き)5と逆向き(上向き)の磁化5′を
もっている。したがってストライプドメイン保持層のス
トライプドメイン部3の膜表面には上側に−磁極、下側
に+磁極が誘起される。他方4,4′の外側の領域では上
側の膜表面に+磁極、下側に−磁極が誘起される。その
結果、膜面法線方向に平行な面をもつ磁壁4,4′の膜表
面近くでは磁壁面法線方向に面内磁界Hsを生じる。Hsの
向きは第4図の場合、4では膜の上側表面で右向き、下
側で左向きになり、4′では膜の上側表面で左向き、下
側で右向きになる。このHsの影響で磁壁中心線上の磁化
の向きも膜面の下側から上に向けて4内では左向きから
膜厚方向に沿って徐々に回転し、膜の上面では右向きに
なっている。4′内では下側では右向き、上側では左向
きになっている。この磁壁構造の膜厚方向変化がVBL特
性にも大きな影響を及ぼす。第5図はバブルドメイン磁
壁中にVBLの部分11の磁化の回転の様子をストライプド
メイン保持層の両側の表面と膜厚の中心部について示し
ている。このVBLの中心の磁化は、バブルドメイン磁壁
の面法線に沿ってバブルドメインの中心軸に向いてい
る。面内磁界Hsはこの場合、バブルドメインの上面では
バブルドメインの中心軸に向き、下側では外向きに向い
ている。磁壁の中心線上の磁化は膜表面近くではHsの向
きに揃えられる。但し、膜厚の中心付近では上、下面か
らの寄与が互いに打消し合って零になり、磁壁中心の磁
化は本来のブロッホ磁壁の磁化向き(磁壁面に平行)に
なる。このような性質をもつ磁壁中に前記VBLがある
と、その中心線上の磁化は膜上面では周囲の磁化と同じ
向きを向き、VBL領域に特にエネルギーは貯えられな
い。他方、下面ではVBLの磁化の向きはその周囲の磁壁
磁化の向きと180゜異なるため、VBLには交換エネルギー
が貯えられる。このため、VBLのエネルギーELは膜厚に
沿って変化する。
この様子を定性的に示したのが第6図である。VBL単位
長さあたりのエネルギーELをストライプドメイン保持層
の膜厚hに対して計算した結果である。
第6図の横軸の左端を膜の下面、右端を膜の上面とする
と、第5図のVBLのELの膜厚方向依存は12で表わされ
る。膜の下面でELが非常に高くなっている。他方、VBL
中心線上の磁化が第5図のバブルドメイン磁壁法線方向
外側を向いていると第6図12′のようなELの膜厚方向依
存が得られる。
このようなELの膜厚方向依存が以下のプロセスを通し
て、VBL対の消滅につながる。第7図はストライプドメ
イン保持層内ブロッホ磁壁中のVBLを示している。11,1
1′は本発明で情報担体として用いるVBL構造である。11
が第6図の12,11′が12′に対応している。11または1
1′のVBLはその中心線上の磁化が膜厚方向に亘って磁壁
法線方向に沿って同じ向きに揃っている。他方、13のVB
Lの中心線上の磁化は膜厚中心を境に下側と上側とでそ
の向きが逆になっている。いずれの部分でも磁化はHsの
向きに一致している。このとき膜厚の中心にブロッホポ
イントと呼ばれる特異点14が入っている。このポイント
が入ることにより、ELは膜厚方向に亘ってその変化が小
さくなる。つまりこのVBLのELは第7図で膜中心から下
の部分では12′に沿って変化し、上半分では12に沿って
変化し11,11′のように、ELが膜厚方向に沿って急激な
変化することが避けられた。但し、ブロッホポイントが
入ると、VBLの極性が上半分と下半分とで逆になる。
本ブロッホラインメモリでは情報担体であるVBLをスト
ライプドメイン磁壁に沿って移動させるのに、磁壁にパ
ルスバイアス磁界を加えて移動させたとき、生じる反作
用であるジャイロ力を利用する。このジャイロ力はVBL
の極性に依存して移動向きが定まる。したがって、第7
図13のように、極性が逆の部分を共有するVBLは結局、
パルスバイアス磁界では移動できないことになる。この
移動できないでいるVBLに相隣るVBLがぶつかると、2つ
のVBLの膜厚方向に亘って互いに極性が異なる部分は再
結合し、ブロッホラインは全体として最終的には消滅し
てしまう。このことは汎用素子にとっては非常に大きな
問題である。
VBLへのブロッホポイントの注入はブロッホポイント発
生磁界エネルギーに等しい運動エネルギーが磁壁移動な
どにより、VBLに与えられると生じる。ブロッホポイン
ト注入を抑制するためには、ブロッホポイント注入エネ
ルギーを大きクすればよい。つまり、ブロッホポイント
が入りにくくなるような構造にすればよい。
本発明の目的はこのような考え方に立って、従来の欠点
を除去し、マイナーループであるストライプドメイン磁
壁上のVBL対を安定に保持し、かつ、1ビットずつ選択
転送できるようにしたVBL対を情報単位として用いる超
高密度磁気記憶素子を提供することにある。
本発明では膜面に垂直方向を磁化容易方向とするフェリ
磁性体膜に存在するストライプドメインの周辺のブロッ
ホ磁壁中に作った相隣合う2つのVBLからなるVBL対を記
憶単位として用いる磁気記憶素子において、前記フェリ
磁性体の少なくとも一方の表面に該フェリ磁性体の自発
磁化の向きに対する格構成原子からの寄与の仕方に比べ
て寄与の仕方が逆転しているフェリ磁性体膜を直接つけ
ることによって、ブロッホポイント発生磁界エネルギー
を制御している。フェリ磁性体では、自発磁化に対して
各構成原子からの寄与が逆転している磁性体を形成でき
ることは、例えば、近角聰信著、「強磁性体の物理」
(裳華房、昭和34年9月発行)の第78頁〜第79頁に記載
されているように、フェリ磁性体の一例であるガーネッ
トでは立方晶構造の16a位置に位置するFe3+と24d位置に
位置するFe3+の磁化の向きが逆向きであるので、各格子
位置に位置するFe3+の量を制御することにより、自発磁
化の向きを逆向きにもできることから明らかである。な
お、ここで、立方晶構造の16a又は24dの位置について
は、ガーネット結晶に関して、飯田修一他編、「磁気バ
ブル」(丸善、昭和52年10月発行)の第80頁に説明され
ている。以下、構成の詳細な説明をする。
第1図は本発明の全般的構成を示す図である。図中2は
局所的に膜厚が変化しているフェリ磁性コート層であ
る。第8図は本発明におけるマイナーループ部のストラ
イプドメイン保持層の構成図であり、第8図では本発明
におけるフェリ磁性コート層の局所的な膜厚の変化の図
示を省略している。基板7の上にストラプドメイン保持
用フェリ磁性体層1をつける。その上に直接前記フェリ
磁性体の自発磁化の向きに対する格構成原子からの寄与
の仕方に比べて寄与の仕方が逆転しているフェリ磁性体
層2をつける。こうすることにより、VBLのエネルギー
密度ELが膜表面で急激に増加するのを押さえられる。そ
の機構をストライプドメイン保持層用材料として一般的
なフェリ磁性ガーネツト膜を例にとって説明する。第9
図において11,11′はVBLである。VBL11,11′のエネルギ
ー密度の膜厚方向依存(第7図)から、11では膜の下端
でELが高く、11′では膜の上面近傍でELが高くなる。第
8図のストライプドメイン保持層1の上表面に1の自発
磁化の向きに対する各構成原子からの寄与の仕方に比べ
て寄与の仕方が逆転しているフェリ磁性体2をつける。
こうすると、1,2の境界部でVBL11の上端15には交換エネ
ルギーが貯えられる。なぜならば、フェリ磁性体層2の
磁区構造はストライプドメイン保持層1のドメイン構造
に依存し1に存在する磁壁の直上付近の2の磁化向きは
1のドメイン構造から生じる面内磁界成分Hsの向きに向
けられる。いま、層1の磁化は24d位置の原子磁気モー
メントと同じ向きを向き、層2の磁化は16a位置の原子
磁気モーメントの向きと一致していると仮定する。24d
位置に入っている希土類イオの原子磁気モーメントの寄
与は原子番号が64以上の場合は16a位置の原子磁気モー
メントの向きと同じであり、以下便宜上、16a位置の原
子磁気モーメントに付加して、16a位置の原子磁気モー
メントの大きさと、24d位置の原子磁気モーメントとの
相対的大きさを考えることにする。単位格子あたりの磁
化の向きはその中の16a位置の原子モーメントの和と24d
位置の原子磁気モーメントの和とを比較して大きい方と
一致する。
つまり、VBLの上端付近で磁化がHs方向を向いていると
いうことは24d位置の原子磁気モーメントがHs向きに一
致していることであり、層2で磁化がHs方向を向いてい
るということは16a位置の原子磁気モーメントがHs向き
に一致していることになる。このように考えると、VBL1
1の上端と2との境界15では層1の24d位置の原子磁気モ
ーメントと層2の16a位置の原子磁気モーメントが同じ
向きになる。これはフェリ磁性ガーネットで24d位置の
原子磁気モーメントと16a位置の原子磁気モーメントは
互いに反平行に結合され安定化されるという性質に反し
ている。したがって、15の部分には交換エネルギーが貯
えられる。
この交換エネルギーは2のフェリ磁性層の磁化向きをHs
に逆らって反転するか、またはVBL11の上端近傍の磁化
を反転するかどちらかであるかいずれにしてもその際15
の位置に注入されたブロッホポイントは簡単には1の膜
厚中心まで進めない。1の膜厚中心までブロッホポイン
トが進むためには、2の膜厚を大きくして、1の磁化が
反転されるようにし、かつ、第6図に示すELの膜厚方向
依存において、12に示す曲線の膜厚上端におけるELが膜
厚中心の値に比べて大きくなる必要がある。膜厚上端に
おけるELが膜厚中心のELと等しくなったところがブロッ
ホポイントを1の膜厚中心まで進ませないための1上に
つける膜2の限界厚さをきめる。他方、VBL11′の上端
と2との境界では想の24d位置の原子と磁化と属2の16a
位置の磁化とは互いに逆向きに結合していて、フェリ磁
性体ガーネット特有の安定結合の性質を満足する配置を
している。したがって、16の部分には交換エネルギーが
貯えられない。むしろ、1の磁区構造を反映してVBL1
1′上端部におけるHsは層2の16a位置の磁化をHsと同じ
向きに向けるため、1のVBLの上端部付近の磁化向きはH
sと逆向きに安定化されることになる。このため、2の
膜がない場合、比較的容易にHs方向に反転され、ブロッ
ホポイントが注入していた16の点でのブロッホポイント
注入が抑えられるようになった。
第10図は本発明のもう一つの例であり、第10図において
も本発明におけるフェリ磁性コート層の局所的な膜厚の
変化の図示は省略している。本例では、ストライプドメ
イン保持層1の下面と基板との間にも上面と同様に1の
自発磁化の向きに対する各構成原子からの寄与の仕方に
比べて寄与の仕方が逆転しているフェリ磁性体膜2′を
直接接触するようにつけている。こうすることによっ
て、ストライプドメイン保持層の上、下両表面層からの
ブロッホポイント注入が抑制される。
第11図はその機構を説明している。VBL11の下端ではVBL
11′の上端と同じ構造が実現し、VBL11′の下端ではVBL
11の上端と同じ構造が出現する。このことから、ストラ
イプドメイ保持層1の下端からブロッホポイントが入り
やすいブロッホライン11は層2′によってブロッホポイ
ント16′から注入することが抑制される。他方、トライ
プドメイン保持層1の上端からブロッホポイントが入り
やすいブロッホライン11′は層2によってブロッホポイ
ントが16から注入することが抑制される。このように、
ストライプドメイン保持層(フェリ磁性体)の表面に該
フェリ磁性体の少なくとも一方の表面に該フェリ磁性体
自発磁化の向きに対する各構成原子からの寄与の仕方に
比べて寄与の仕方が逆転しているフェリ磁性体膜を直接
コートするとVBLのエネルギーの摂動を受けることがわ
かった。この原理をVBL対の安定位置設定に利用する。
第1図は本発明におけるストライプドメイン磁壁部にお
ける膜厚の変化の与え方を示している。ストライプドメ
イン3の両側の磁壁(ブロッホ磁壁)中のVBL対6の中V
BL11′は膜厚が厚い部分に安定化され、VBL11は薄い部
分に安定化される。11′の磁化向きと、コート層の磁化
向きが逆になっているため、両層の原子磁気モーメント
間の交換エネルギー分だけ得をする。他方、11ではその
磁化向きと、コート層の磁化向きが同じであるため、コ
ート層があると、交換エネルギー分だけ、VBLのエネル
ギーが高くなり、したがって、コート層の薄いところに
安定化される。なお、この2本のVBLを対として保って
いることには、VBL間の相互作用の他に外部からドメイ
ン長手方向に加えている面内磁界の寄与ある。
従来のVBL対安定保持法では、VBLのエネルギー密度を磁
壁に沿って局所的に変化させている。この変化を与える
ため、具体的には、イオン注入などを利用しているので
膜厚方向に特性の不均一を生じることを避けられない。
VBL対6はストライプドメインを形成するフェリ磁性体
膜の膜面に垂直な方向に加えられたパルスバイアス磁界
により生じるジャイロ力によって、ブロッホ磁壁中を移
動する。したがって、VBLの移動速度が膜厚方向に沿っ
て不均一になり、VBLが分断されたりする。
一方、本発明におけるVBL対安定化法においてはVBL対を
保持している層には何も加工していない。単に、コート
層の存在によってVBLにコート層との相互作用を与えて
いるだけであり、従来法の欠点を取除くことができる。
第2図を用いてその原理を説明する。第2図(a)は第
1図の一部をストライプドメイン磁壁を含む平面でカッ
トした断面を表わしている。VBL対6を形成する2本のV
BL11と11′がそれぞれコート層が厚い領域および薄い領
域にそれぞれに安定化されている。このVBL対を転送す
るため、膜面に垂直方向にパルスバイアス磁界を加え
て、それによって生じるジャイロ力を利用する。ジャイ
ロ力の大きさをどのように評価するかについて述べる。
第2図(b)にはVBL11,11′の安定位置をコート層とVB
Lとの相互作用の観点から第2図(a)に対応して定性
的に示している。一般的にVBLとコート層との相互作用
が最低になるところに安定化されているVBLはその隣の
相互作用が最大になる山を乗り越えてとなりの谷へ移動
する。したがって、VBL対に働くジャイロ力は相互作用
の谷と山との間の相互作用の変化の勾配の最大値に比べ
て大きくする必要がる。本発明の長所はVBL対駆動時にV
BL11′が安定化されているポテンシャルの底が上り、隣
の安定位置との間にある、いわゆるビット障壁が相対的
に低くなることである。これはコート層がいわゆるhrgh
-g材料に属しているため、与えられた磁壁のダイナミッ
クな移動に対してVBL部に働くジャイロ力にストライプ
ドメイン保持層とコート層とで大きな差ができ、ダイナ
ミックに交換力が高まるため、VBLはその位置を避ける
ようになる。その後、磁壁のダイナミックな移動が収ま
ると、再びコート層の厚い位置がVBL11′にとってポテ
ンシャルウェルがもっとも深くなり、VBL11′はそこに
安定化される。
次にコート層の膜厚変化のさせ方について述べる。第2
図(a)の破線は膜厚変化領域を非常に狭くした場合
(断面が矩形型)を示している。これに対応してVBLと
コート層との相互作用のx方向依存も第2図(b)に破
線で示すように変ってくる。この場合、エネルギーが低
いところに安定化されたVBLをとなりの谷まで移動させ
るのに必要なジャイロ力は実線の場合に比べて非常に大
きくなり、実際上、制御しにくくなる。したがって、実
線で示した波型構造が実用上使いやすい。
この方法ではストライプドメイン保持層には全く加工し
ていないので、VBL対のジャイロ力に対する応答がイオ
ン注入法のときのように膜厚方向に亘って不連続的に変
化するといったことが生じない。したがって、転送中に
ビット間障壁を乗り越えるときVBLが膜厚の中間部で分
断されるといった不安定性の生じる確立が非常に低く抑
えられ、安定してVBL対転送が得られる。
以下実施例を使って発明の内容を具体的に示す。
(実施例1) この波型パターンの製造法を第3図を用いて説明する。
バブル材料膜2上にポジ型フォトレジストMP1300(シプ
レージャパン社、商品名)で、巾5μm,周期10μm膜厚
1μmのパターン8を形成する(第3図a)。パターン
形成後135℃で1時間ポストベイクを行なう。するとパ
ターンは8′のような形状になる。この温度以上でビキ
ングを行なうと、パターン巾が変動し、好ましくない。
逆に、温度が低すぎても、パターンの断面形状が矩形の
ままであるので好ましくない(第3図b)。次に分子量
17500のポリスチレンを、キシレンを溶剤として塗布す
る。10重量パーセントのスチレンを溶解した液を用い、
スピン塗布回転数3000rpmで、平坦部で役3000Åのポリ
スチレン塗膜9が得られる。塗布後の表面はゆるやかな
波形となった。波形形状の高低差は約1.3μmであっ
た。塗布工程の前後でポジ型フォトレジストパターンの
変形はなかった(第3図c)。次にイオン注入を行な
う。注入条件は厚さ1.3μmの有機膜をイオンが貫通す
るように決めた。
ここでは130KeV/He/4.8×1015個/cm2,50KeV/He/1.7×10
15個/cm2とした。第3図(d)10′で示すストライプド
メイン保持層表面にコートした層の部分にイオン注入が
なされる。コート層材料にイオン注入を行なうと、格子
歪が注入層に誘起されるため、一般に化学エッチング耐
性が変化することが知られているが、前記手順で作製し
た試料を酸素プラズマにさらし、有機膜を除去し後、90
℃のリン酸に10分間浸漬したところ第3図(e)に示す
ように高低差0.4μmの波形形状にコート層が加工でき
た。
前記のストライプドメイン保持材料はGd3Ga5O12(111)
基板にLPE成長した5μmバブル材料(YSmLuCa)(Fe
Ge)5O12膜(膜厚=3.88μm、ストライプ幅=5.0μ
m、4πMs=202Gaussの上に直接(EuCa)(siGeFe)
5O12を液相エピタキシャル成長した。第1図に示す波型
構造とした5μm周期(マスクパターン幅3μmまたは
2μm)、山の高さ0.4μmになるように形成した試料
について、この領域にストラプドメインを配し、VBL対
の安定性を調べ、VBL対が波型構造の山部谷部にそれぞ
れ安定化されていることVBL対に幅10nsの矩形波状パル
スバイアス磁界を加えていくと、振幅250e付近で、VBL
対が波型構造の山を乗り越えた。
なお、第10図に示したようにフェリ磁性コート層2′を
ストライプドメイン保持層1の下に形成する場合は、基
板7上にフェリ磁性コート層2′をエピタキシャル成長
した後、第3図に示した実施例1と同様な方法で局所的
な波型の膜厚変化を形成した後、エピタキシャル成長で
ストライプドメイン保持層1を形成する。フェリ磁性コ
ート層およびストライプドメイン保持層ともエピタキシ
ャル成長による単結晶膜であるため、局所的な膜厚変化
があっても膜成長に支障はなかった。
(発明の効果) 本発明により、ブロッホラインメモリでもっとも重要な
要素の一つであるストライプドメイン磁壁上へのブロッ
ホライン対の安定化および磁壁に沿っての転送の安定性
を従来の方法にくらべて改善できた。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による垂直ブロッホラインの安定化保持
手段の概観図、第2図(a),(b)はそれぞれ磁壁を
含む面で切断したときのフェリ磁性体ストライプドメイ
ン保持層およびフェリ磁性体コート層の断面と、ブロッ
ホラインとコート層との相互作用の位置依存を示す図で
ある。第3図は素子を形成する過程の実施例を示す図。
第4図はストライプドメイン両側の磁壁中心線上の磁化
向きの膜厚方向依存の説明図、第5図はバブルドメイン
磁壁内のVBL部の磁化回転の様子を示す図、第6図はVBL
単位長さあたりのエネルギー密度ELの膜厚方向依存を示
す図、第7図はストライプドメイン磁壁中に存在する各
種VBLの説明図、第8図,第9図はストライプドメイン
保持層の構成例を示す図およびその基本原理説明図、第
10図,第11図はもう一つのストライプドメイン保持層の
構成例およびその基本原理説明図。 図において、1……フェリ磁性体ストライプドメイン保
持層、2,2′……フェリ磁性体コート層、3……ストラ
イプドメイン、4,4′……ストライプドメイン磁壁、5
……ストライプドメイン内の磁化、5′……ストライプ
ドメインの外の磁化、6……垂直ブロッホライン(VB
L)対、7……基板、8′……ポストベイク後のフォト
レジストパターン、9……ポリスチレン、10′……イオ
ン注入されたフェリ磁性体コート層、11,11′……垂直
ブロッホライン(VBL)、12……VBL11のエネルギー密度
のストライプドメイン保持層内膜厚方向依存カーブ、1
2′……VBL11′のエネルギー密度のストライプドメイン
保持層内膜厚方向依存カーブ、13……ブロッホポイント
をもつVBL、14……ブロッホポイント。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】情報読出し手段と情報書込み手段と情報蓄
    積手段を備え膜面に垂直な方向を磁化容易方向とするフ
    ェリ磁性体膜に存在するストライプドメイン周辺のブロ
    ッホ磁壁の中に作った垂直ブロッホライン対を記憶情報
    単位として用いる磁気記憶素子において、前記フェリ磁
    性体膜の少なくとも一方の表面に該フェリ磁性体の自発
    磁化の向きに対する各構成原子からの寄与の仕方に比べ
    て寄与の仕方が逆転しているフェリ磁性体膜を直接コー
    トし、かつ該コート層の膜厚がストライプドメイン保持
    層のブロッホ磁壁に沿って、局所的に変化していること
    を特徴とする磁気記憶素子。
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