JPH0717868B2 - 朱肉液及び朱肉液の製造方法 - Google Patents

朱肉液及び朱肉液の製造方法

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JPH0717868B2
JPH0717868B2 JP4296998A JP29699892A JPH0717868B2 JP H0717868 B2 JPH0717868 B2 JP H0717868B2 JP 4296998 A JP4296998 A JP 4296998A JP 29699892 A JP29699892 A JP 29699892A JP H0717868 B2 JPH0717868 B2 JP H0717868B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は印鑑等の捺印用朱肉液の
改良に係り、吸収性並びに乾燥性の改善を計ることによ
り、普通紙(易吸収性用紙)のみならず上質紙(難吸収
性用紙)や和紙であっても、鮮明な捺印を能率よく行え
るようにした朱肉液とその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】印鑑等の捺印用朱肉には、朱肉液をパッ
ドに含有させたスポンジ用朱肉(一般事務用)と、朱肉
液と含有材とを混練した練朱肉(特殊用)の二種があ
り、朱肉として具備すべき押印性、転写性、色度、耐光
性、耐水性、耐薬品性及び耐衝撃性等については、JI
S・S6020−1992に夫々規定が設けられてい
る。また、前記朱肉液(朱油)としては、通常着色顔
料、展色剤及び粘性剤を主成分とする混合体が多く使用
されている。表1は、従前の代表的な朱肉液の成分配合
(重量比)を示すものであり、当該朱肉液の粘度は約2
0,000CP(25℃)程度に調整されている。
【0003】
【表1】
【0004】ところで、印鑑の捺印作業を能率よく行う
には、領収書や小切手等に多用されている易吸収性の上
質紙等の場合には、紙面上での朱肉液の吸収・乾燥が少
なくとも3〜10秒以内(可能ならば3〜5秒以内)で
完了される必要がある。そうすれば、捺印すべき用紙が
多量の場合には、捺印後の用紙の積み重ねをすることが
出来、用紙同士の接触や摩擦によって生じる用紙の汚れ
も皆無になるからである。
【0005】しかし、従前の朱肉液を用いた朱肉を使用
した場合には、用紙が上質紙であっても、朱肉液の粘性
が高いため、その乾燥・吸収に少なくとも約180秒以
上を必要とする。その結果、捺印後の用紙の積み重ねが
出来ない上、用紙同士の接触や摩擦によって汚れが多発
し、能率のよい捺印作業が不可能となる。また、従前の
朱肉による捺印では、朱肉液の吸収・乾燥が遅いため、
所謂印影の転写が可能となって転写に係るトラブルを生
ずる虞れがある。更に、従前の朱肉液は、前述の如く粘
性が約20,000CP(25℃)であって相当の高粘
度であり、朱肉用パッドへの朱肉液の充填が著しく困難
になる。その結果、朱肉パッドの組み立てに手数が掛か
り、製造コストの引き下げを計り難いと云う難点があ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従前の朱肉
液を用いた朱肉捺印に於ける上述の如き問題、即ち朱
肉液の吸収・乾燥が遅いため、多数の捺印を高能率で行
えないこと、印影の転写にまつわるトラブルを生じる
こと、朱肉パッドへの朱肉液の充填が容易でないこと
等の問題を解決せんとするものであり、紙面上での吸収
・乾燥が比較的速く、しかも和紙や薄葉紙等の場合でも
にじみが生せず、高能率で鮮明な印影の印鑑捺印を行え
るようにした朱肉液を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本件発明者は、数多くの
朱肉液を用いた印鑑捺印試験の結果から、朱肉液の吸
収・乾燥性を高めて捺印後の用紙の積み重ねや摩擦によ
る汚れの防止を計るためには、朱肉液中の顔料粒子を
より微細化すると共に、ビヒクル内に於ける分散を安定
化させること、朱肉液の粘度を少なくとも10,00
0CP(25℃)以下(望ましくは7,500CP以
下)に調整すること、和紙や薄葉紙等へ捺印した場合
の「にじみ」を防止するためには、朱肉液の粘度を少な
くとも5,000CP(25℃)以上に調整すること等
が必要であることを知得した。本件発明は、前記知得を
基礎として開発されたものであり、請求項1に記載の発
明は、樹脂キャリア中に微粒子顔料を分散せしめた加工
顔料12〜15wt%と;ジエチレングリコールモノブ
チルエーテル15〜20wt%と;オレイン酸30〜4
0wt%と;残部の精製ひまし油とから成り且つ常温に
於ける粘度が5000〜7500CPであることを発明
の基本構成とするものである。
【0008】また、本件方法発明は、樹脂キャリア中に
微粒子顔料を分散せしめた加工顔料12〜15wt%を
ジエチレングリコールモノブチルエーテル15〜20w
t%に分散溶解させ、その後前記分散溶解させた混合物
をオレイン酸30〜40wt%に分散溶解させ、更に前
記分散溶解させた混合物を15〜40wt%の精製ひま
し油に分散溶解させることを発明の基本構成とするもの
である。
【0009】
【作用】所定量の樹脂キャリア中に微粒子顔料を分散さ
せた加工顔料は、先ず常温下で所定量のジエチレングリ
コールモノブチルエーテル内へ溶解・分散される。次
に、所定量のオレイン酸を加えることにより、この中へ
再度溶解・分散され、最後に所定量の精製ひまし油を加
えて攪拌混合することにより、顔料微粒子が展色剤と粘
性材(樹脂キャリア等)との混合物内へ安定分散され
る。前記加工顔料中の樹脂キャリアは、ジエチレングリ
コールモノブチルエーテルやオレイン酸内へ溶解される
ことにより、朱肉液の粘性を保持すると共に、顔料粒子
の分散性を高める。また、前記ジエチレングリコールモ
ノブチルエーテルやオレイン酸は、加工顔料中のキャリ
ア樹脂を溶解すると共に、顔料粒子を分散させ、朱肉液
の吸収度合いを調整する作用をする。更に、精製ひまし
油は、展色剤の主体として顔料微粒子を安定分散させる
と共に、ジエチレングリコールモノブチルエーテルやオ
レイン酸と相溶することにより、これ等の蒸発を防止す
る作用をする。
【0010】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。図1は本
発明に係る朱肉液の製造工程を示すものであり、先ず第
1溶解工程Aに於いて所定量の加工顔料1のなかへ所定
量の第1溶剤(ジエチレングリコールモノブチルエーテ
ル)2を混合し、常温で攪拌混合することにより、加工
顔料のキャリア樹脂1aを溶解すると共に顔料微粒子1
bを分散させる。次に、第2溶解工程Bに於いて、前記
第1溶解処理を終えた混合物A´内へ所定量の第2溶剤
(オレイン酸)3を加え、混合物A´内のキャリア樹脂
1a等をオレイン酸3内へ溶解せしめると共に、顔料粒
子1bを分散させる。その後、第3溶解工程Cに於い
て、第2溶解処理をした混合物B´内へ所定量の展色剤
である精製ひまし油4を加え、これを常温下で攪拌混合
することにより顔料微粒子1bを再分散させると共に、
ひまし油4にこれと相溶性のオレイン酸3やジエチレン
グリコールモノブチルエーテル2を溶解せしめる。
【0011】前記加工顔料1は、キャリア樹脂1b中に
微粒子顔料1aを分散させたものであり、公知の物質で
ある。また、本実施例ではキャリア樹脂としてエチルセ
ルローズを使用した加工顔料(商品名 マイクロリスス
カーレットR−A及びマイクルリス・イエロ・2R−A
及びマイクルリスマゼンタ2B−A・スイスチバガイギ
ー社製)と、キャリア樹脂にポリビニールブチラールを
使用した加工顔料(PAVC 1216 RED,PA
VC 1217 RED及びPAVC 1104 YE
LLOW・大日精化株式会社製)を夫々使用している。
【0012】前記第1溶解工程A及び第2溶解工程Bで
使用する溶剤2,3は(イ)加工顔料1のキャリア樹脂
1aをよく溶解すること(例えば、アルコール類、エス
テル類及びエーテル類)、(ロ)不乾燥性又はほぼ不乾
燥性(蒸気圧0.1mmHg以下・28℃)であること
(蒸発すると、朱肉液の粘度が上昇する)、(ハ)ひま
し油との相溶性があること及び(ニ)印鑑等の素材(象
牙、黒水牛、柘、黒檀、アセチロイドやABS等の合成
樹脂)を変質させないこと等の特性を必要とし、本実施
例では第1溶剤2としてジエチレングリコールモノブチ
ルエーテル(商品名n・ブチルカルビトール・ダイセル
化学工業株式会社製)を、また、第2溶剤3としてオレ
イン酸を夫々使用している。尚、前記n−ブチルカルビ
トールは、本発明に用いる加工顔料のキャリアー樹脂
(ポリビニルブチラール又はエチルセルロース)に対し
て極めて良好な溶解剤であり、又、オレイン酸は加工顔
料を溶解分散後、ビヒクル中での顔料の分散安定性を長
期間保持するのに極めて有効である。
【0013】前記精製ひまし油4は乾燥性がなく、各種
の印材(象牙、黒水牛、柘、アセチロイド、ABS樹
脂、黒檀等)に影響を与えないので、従来から朱肉液の
優れたビヒクルとして一般に用いられている。尚、本実
施例では精製ひまし油4として商品名脱臭精製ヒマシ油
DR(豊国製油株式会社製)を使用している。また、本
件発明では、界面活性剤5としてフロラードFC−17
6(住友スリーエム株式会社製)を何れかの溶解工程に
於いて若干量混入するようにしている。当該界面活性剤
5は顔料粒子1bの分散を促進させると共に、朱肉液の
吸収性を高める作用を有するものであるが、これを混合
しなくても本発明が達成されることは勿論である。
【0014】尚、前記図1に示した実施例に於いては、
溶解工程を三工程に分けているが、所定量の加工顔料1
と第1溶剤2及び第3溶剤3を同時に混合攪拌するよう
にしてもよい。また、本実施例では常温下に於いて各配
合成分を攪拌混合するようにしているが、高温状態で攪
拌混合するようにしてもよい。
【0015】表2及び表3は、本件発明の各実施例に於
ける朱肉液の成分配合例(重量%)と、製品の粘度CP
(25℃)と、印鑑による捺印試験の結果を示すもので
あり、試料番号No1〜No7は加工顔料1のキャリア
樹脂1aをエチルセルローズとしたもの、また、試料番
号No8〜No10はキャリア樹脂1aをポリビニール
ブラチールとしたものである。
【0016】
【表2】
【0017】
【表3】
【0018】また、表2及び表3に於いて、試験結果欄
の○印は、捺印後3〜5秒間で完全に乾燥して摩擦によ
っても汚れず、且つ捺印面が鮮明であってにじみのない
ものを、また、×印は、捺印後3〜5秒後であれば汚れ
とにじみの両方が発生するもの、(にじみ)×印は、捺
印後3〜5秒間であれば汚れは生じないがにじみが発生
するものを、夫々示している。
【0019】更に、試験結果欄の上質紙には、コクヨ株
式会社の領収証用紙(ウケ−35N等)が、薄葉紙には
コクヨ株式会社の和文タイプ用高級薄葉紙(タイ−19
号)が、和紙には習字練習用半紙が夫々使用されてい
る。
【0020】前記表2及び表3の試験結果からも明らか
なように、朱肉液の成分配合比は加工顔料12〜15w
t%、ジエチレングリコールモノブチルエーテル15〜
20wt%、オレイン酸30〜40wt%、残部が精製
ひまし油であって且つ粘度(25℃)が5000〜75
00CPのものが、吸収性及び乾燥性に優れていること
が判る。即ち、上記朱肉液の場合には、捺印後3〜5秒
間で摩擦等による汚れが発生しなくなり、しかもにじみ
の無い鮮明な捺印面を得ることが出来る。
【0021】
【発明の効果】本発明では、朱肉液の成分比率及び粘度
を前記のとおりに規制したため、優れた吸収性と乾燥性
を具備することになり、上質紙のみならず薄葉紙や和紙
に対しても、捺印後3〜5秒間で摩擦等による汚れが生
せず、しかも、にじみの無い鮮明な捺印面を得ることが
出来る。その結果、印鑑等の捺印作業を連続的に高能率
で実施することが出来、事務作業能率の大幅な向上が可
能となる。また、本発明による朱肉液は耐光性や耐水
性、耐薬品性等の面でも従前の朱肉液と同等以上の特性
を備えており、しかも如何なる印鑑素材に対しても腐
食、膨潤、変形等の影響を及ぼすことは無い。更に、本
発明の朱肉液は、その製造過程に於いて、加熱操作を殆
ど必要としないうえ、粘度が極端に高くないため朱肉パ
ッド等へも容易に充填することができ、製造コストの大
幅な引き下げが可能となると共に、従前の朱肉液の如き
転写による悪用が防止でき、優れた実用的効用を奏する
ものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る朱肉液の製造工程図である。
【符号の説明】
Aは第1溶解工程、Bは第2溶解工程、Cは第3溶解工
程、1は加工顔料、2は第1溶剤(ジエチレングリコー
ルモノブチルエーテル)、3は第2溶剤(オレイン
酸)、4は第3溶剤(精製ひまし油)。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂キャリア中に微粒子顔料を分散せし
    めた加工顔料12〜15(wt%)と;ジエチレングリ
    コールモノブチルエーテル15〜20(wt%)と;オ
    レイン酸30〜40(wt%)と;残部のひまし油とか
    ら成り且つ常温に於ける粘度が5000〜7500CP
    であることを特徴とする朱肉液。
  2. 【請求項2】 樹脂キャリアをエチルセルローズ又はポ
    リビニールブチラールとした請求項1に記載の朱肉液。
  3. 【請求項3】 樹脂キャリア中に微粒子顔料を分散せし
    めた加工顔料12〜15(wt%)をジエチレングリコ
    ールモノブチルエーテル15〜20(wt%)に分散溶
    解させ、その後前記分散溶解させた混合物をオレイン酸
    30〜40(wt%)に分散溶解させ、更に前記分散溶
    解させた混合物を15〜40(wt%)の精製ひまし油
    に分散溶解させることを特徴とする朱肉液の製造方法。
  4. 【請求項4】 樹脂キャリアをエチルセルローズ又はポ
    リビニールブチラールとした請求項1に記載の朱肉液の
    製造方法。
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