JPH07182011A - 異常診断装置 - Google Patents

異常診断装置

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Publication number
JPH07182011A
JPH07182011A JP34744793A JP34744793A JPH07182011A JP H07182011 A JPH07182011 A JP H07182011A JP 34744793 A JP34744793 A JP 34744793A JP 34744793 A JP34744793 A JP 34744793A JP H07182011 A JPH07182011 A JP H07182011A
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JP
Japan
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term
prepared
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Application number
JP34744793A
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English (en)
Inventor
Takuo Kunihiro
卓生 国広
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Dainippon Screen Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Dainippon Screen Manufacturing Co Ltd
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Publication date
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  • Testing And Monitoring For Control Systems (AREA)
  • Testing Or Measuring Of Semiconductors Or The Like (AREA)
  • Container, Conveyance, Adherence, Positioning, Of Wafer (AREA)
  • Feedback Control In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 周期的な運動を反復する可動部材を有する機
構部の異常発生までの余命を精度良く推論する。 【構成】 可動部材の逐次移動時間T2を検出し(S
1)、その長期変動率Pa、短期変動率Pbを算出する
(S3)。これらの規格値をもとに異常発生の可能性を
ファジー推論し(S4)、可能性が高ければ、ファジー
推論によって異常の原因を推論する(S6)。その後、
逐次移動時間T2と所定の定数との比である危険率Pc
を演算し、長期変動率Pa、短期変動率Pb、および危
険率Pcの3変数のメンバーシップ関数の組合せを前件
とし、余命のメンバーシップ関数を後件とするプロダク
ションルールにもとづいて、余命のファジー推論を行う
(S7)。 【効果】 プロダクションルールに熟練者の経験を反映
させることが可能であるので、精度のよい余命の推論を
実行することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば半導体ウェハ
プロセスにおいて使用されるウェハチャック移動機構部
などの、往復運動、回転運動等の周期的な運動を反復す
る可動部材を有する機構部に対する異常診断を行う異常
診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、複雑な構造を有する製造装置、プ
ラント等の異常を診断する技術として、ファジー推論を
用いた診断技術が知られる。この技術は、例えば特開平
2−66608号公報、特開平3−161801号公
報、および特開平2−205926号公報等に開示され
るように、複数種類の測定量にもとづいて異常発生の有
無を判断する等の、従来熟練者の経験に依拠して行われ
ていた複雑な判断手順を、ファジー推論の中に反映させ
ることによって、その自動化を可能にしたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の従来の診断技術には以下に掲げるような問題点があっ
た。
【0004】(1)まず第1に、診断対象が複数種類存
在するときには、診断のもとになる測定量も診断対象毎
に一般に異なる。したがって、例えば特開平2−205
926号公報の技術を複数種類の診断対象に応用するな
らば、ファジー推論を実行するために用いられるメンバ
ーシップ関数は、診断対象に応じて複数種類を準備する
必要があった。このため、診断対象の増大に伴って、メ
ンバーシップ関数を格納する記憶媒体の容量を増大させ
るという問題点があった。
【0005】(2)従来の診断技術の中には、異常の原
因をも判定する技術が知られている。しかしながらこの
従来技術は、例えば特開平3−161801号公報に開
示される技術のように、異常が発生した後にその異常箇
所を特定するものであるか、あるいは特開平2−666
08号公報に開示されるように、異常発生以前にその原
因を特定する技術であっても、ファジー量の単純平均を
行うことによって複数種類の原因の度合を算出するもの
であった。このため従来の技術では、異常発生以前に、
熟練者の経験を十分に取り入れた原因の判定が行われな
いという第2の問題点があった。
【0006】(3)第3に、従来の技術は、将来におい
て異常が発生するまでの余命の推定を行うものではなか
った。あるいは、特開平2−205926号公報に開示
される技術のように、余命の推定を行う技術であって
も、単に測定量が基準量へ達する時刻を過去の測定量か
ら直線外挿することによって推定するに過ぎず、熟練者
の経験にもとづく複雑な判断を要する診断対象物の余命
の推定には応用が困難であるという問題点があった。
【0007】この発明は、従来の技術が有する上記の欠
点を解消することを目指したもので、特に周期的な運動
を反復する可動部材を有する機構部の診断を行う技術に
おいて、第1に、複数の機構部における異常発生の可能
性の推論を、少ないメンバーシップ関数を用いて、しか
も精度を低下させることなく実行でき、第2に、異常発
生可能な機構部における異常の原因の推論を、熟練者の
経験を取り入れて精度良く実行でき、第3に、異常が発
生するまでの余命の推論を、熟練者の経験を取り入れて
精度良く実行する診断技術を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明にかかる請求項
1に記載の異常診断装置は、周期的な運動を反復する可
動部材を有する機構部の異常を診断する装置であって、
前記可動部材の運動の周期を検出する手段と、前記周期
の現在値、初期値、および現在より一定時間以前におけ
る値である近日値を記憶する手段と、前記現在値の前記
初期値からのずれと当該初期値との比で定義される長期
変動率を演算する手段と、前記現在値の前記近日値から
のずれと当該近日値との比で定義される短期変動率を演
算する手段と、前記長期変動率に関して準備された第1
のメンバーシップ関数、前記短期変動率に関して準備さ
れた第2のメンバーシップ関数、および前記機構部にお
ける異常発生の可能性に関して準備された第3のメンバ
ーシップ関数を記憶する手段と、前記第1および第2の
メンバーシップ関数の組合せを前件部とし前記第3のメ
ンバーシップ関数を後件部として準備されたプロダクシ
ョンルールを記憶する手段と、前記長期変動率と前記短
期変動率の演算値から、前記プロダクションルールにも
とづくファジー推論を実行する手段と、前記推論で得ら
れた推論結果を非ファジー化することにより、前記機構
部における異常発生の可能性を表現する数値を得る手段
と、を備える。
【0009】この発明にかかる請求項2に記載の異常診
断装置は、周期的な運動を反復する可動部材を有する機
構部の異常を診断する装置であって、前記可動部材の運
動の周期を検出する手段と、前記機構部の総稼働時間を
計数する手段と、前記周期の現在値、初期値、および現
在より一定時間以前における値である近日値を記憶する
手段と、前記総稼働時間を記憶する手段と、前記現在値
の前記初期値からのずれと当該初期値との比で定義され
る長期変動率を演算する手段と、前記現在値の前記近日
値からのずれと当該近日値との比で定義される短期変動
率を演算する手段と、前記長期変動率に関して準備され
た第1のメンバーシップ関数、前記短期変動率に関して
準備された第2のメンバーシップ関数、前記総稼働時間
に関して準備された第3のメンバーシップ関数、および
パラメータ評価値に関して準備された第4のメンバーシ
ップ関数を記憶する手段と、前記第1のメンバーシップ
関数を前件部とし前記第4のメンバーシップ関数を後件
部として準備された第1のプロダクションルールを記憶
する手段と、前記第2のメンバーシップ関数を前件部と
し前記第4のメンバーシップ関数を後件部として準備さ
れた第2のプロダクションルールを記憶する手段と、前
記第3のメンバーシップ関数を前件部とし前記第4のメ
ンバーシップ関数を後件部として準備された第3のプロ
ダクションルールを記憶する手段と、前記長期変動率の
値から、前記第1のプロダクションルールにもとづくフ
ァジー推論を実行して得られた推論結果を非ファジー化
することにより、長期変動率のグレードを表現する第1
の特性パラメータの値を得る手段と、前記短期変動率の
値から、前記第2のプロダクションルールにもとづくフ
ァジー推論を実行して得られた推論結果を非ファジー化
することにより、短期変動率のグレードを表現する第2
の特性パラメータの値を得る手段と、前記総稼働時間の
値から、前記第3のプロダクションルールにもとづくフ
ァジー推論を実行して得られた推論結果を非ファジー化
することにより、総稼働時間のグレードを表現する第3
の特性パラメータの値を得る手段と、前記機構部に固有
の定数として準備される第4の特性パラメータの値を記
憶する手段と、前記第1ないし第4の特性パラメータを
成分として有する特性ベクトルに、線形オペレータとし
て作用することにより、異常原因のグレードを成分とす
るベクトルを生成すべく準備されたファジー関係行列を
記憶する手段と、前記特性ベクトルに、前記ファジー関
係行列を線形オペレータとして作用させることにより、
異常原因のグレードを成分とするベクトルの値を得る手
段と、を備える。
【0010】この発明にかかる請求項3に記載の異常診
断装置は、周期的な運動を反復する可動部材を有する機
構部の異常を診断する装置であって、前記可動部材の運
動の周期を検出する手段と、前記周期の現在値、初期
値、現在より一定時間以前における値である近日値、お
よび基準値を記憶する手段と、前記現在値の前記初期値
からのずれと当該初期値との比で定義される長期変動率
を演算する手段と、前記現在値の前記近日値からのずれ
と当該近日値との比で定義される短期変動率を演算する
手段と、前記現在値の前記基準値からのずれと当該基準
値との比で定義される危険率を演算する手段と、前記長
期変動率に関して準備された第1のメンバーシップ関
数、前記短期変動率に関して準備された第2のメンバー
シップ関数、前記危険率に関して準備された第3のメン
バーシップ関数、および前記機構部の余命に関して準備
された第4のメンバーシップ関数を記憶する手段と、前
記第1ないし第3のメンバーシップ関数の組合せを前件
部とし前記第4のメンバーシップ関数を後件部として準
備されたプロダクションルールを記憶する手段と、前記
長期変動率、前記短期変動率、および前記危険率の演算
値から、前記プロダクションルールにもとづくファジー
推論を実行する手段と、前記推論で得られた推論結果を
非ファジー化することにより、前記機構部における余命
を表現する数値を得る手段と、を備える。
【0011】
【作用】
<請求項1に記載の発明の作用>
【0012】この発明における異常診断装置では、一種
の規格化変数である長期変動率と短期変動率の演算値を
もとに異常発生の可能性を推論するので、複数の異なる
種類の機構部を診断する際においても、共通のメンバー
シップ関数を用いることができる。このため、メンバー
シップ関数を記憶する手段の記憶容量を節減することが
可能である。
【0013】<請求項2に記載の発明の作用>
【0014】この発明における異常診断装置では、機構
部の経時的特性および固有の特性を表現する特性ベクト
ルに、ファジー関係行列を作用させることによって異常
原因を推論する。このため、ファジー関係行列に熟練者
の経験を反映させることによって、異常の原因の推論
を、熟練者の経験を取り入れて精度良く実行することが
可能である。
【0015】<請求項3に記載の発明の作用>
【0016】この発明における異常診断装置では、長期
変動率、短期変動率、および危険率の演算値から、プロ
ダクションルールにもとづくファジー推論を実行するこ
とによって、診断対象とする機構部に異常が発生するま
での余命を推定する。プロダクションルールには熟練者
の経験を反映させることができるので、余命の推論を精
度良く実行することが可能である。
【0017】
【実施例】
<1.装置の構成と動作の概略>
【0018】この実施例では、診断の対象とされる機構
部の一例として、半導体ウェハプロセスの中で使用され
るスピンプロセッサの構成部分の1つである、ウェハチ
ャックを鉛直方向に移動させるウェハチャック移動機構
部を取り上げる。図2は、ウェハチャック移動機構部1
の概略構成図である。ウェハWHを把持するウェハチャ
ック2は、ロッド3で支持されている。ロッド3は、ア
クチュエータとして機能するエアーシリンダ4によっ
て、鉛直方向に駆動される。スピンプロセッサが新たな
ウェハWHを順次処理するのに同期して、ロッド3はエ
アーシリンダ4の働きにより、鉛直方向に周期的な往復
運動を行う。ロッド3の近傍には、上部および下部に2
つの位置センサ5、6が配設されている。位置センサ
5、6は、ロッド3に取り付けられたマーキング7の通
過を検知し、検知信号を出力する。
【0019】図3は、ウェハチャック移動機構部1の位
置センサ5、6から送出された検知信号、およびその他
の機構部1a、1b・・のセンサ5a、5b・・、6
a、6b・・からそれぞれ送出された検知信号に基づい
て、診断処理を実行する信号処理部の概略構成を示すブ
ロック図である。この信号処理部10において、各機構
部のセンサから送信された検知信号は、インタフェイス
として機能する入出力部11を介して、制御部12へ入
力される。制御部12には更に、半導体ウェハの処理サ
イクルに同期したタイミング信号と、現在の時刻とがタ
イマ13より入力される。
【0020】制御部12は、入出力部11、タイマ13
の他に演算部14およびメモリ15の動作をも制御す
る。演算部14は、マイクロプロセッサを内蔵してお
り、センサ5、5a・・、6、6a・・からの検知信
号、タイマ13からの入力信号、およびメモリ15に格
納された諸変数をもとに、所定のプログラムに沿って各
機構部に対する診断処理を遂行し、診断結果を表示器1
6に表示する。
【0021】メモリ15は、全ての機構部に共通なデー
タを格納するメモリエリア15a、および各機構部に固
有なデータをそれぞれ格納する複数のメモリエリア15
b、・・・、15nを有している。各メモリエリアに格
納される変数の意味については後述する。
【0022】図1は、演算部14によって1つの機構部
に対して行われる診断処理の流れを示すフローチャート
である。このフローチャートに示される診断処理が、各
機構部毎に個別に実行される。一例として、図1に示す
診断処理がウェハチャック移動機構部1に対するもので
あるとする。
【0023】処理が開始されると、スピンプロセッサが
新たなウェハWHを順次反復的に処理する処理サイクル
に同期して、図1のフローチャートに沿った一連の処
理、すなわちステップS1〜ステップS5のループ、ま
たはステップS1〜ステップS8のループが実行され
る。演算部14は、タイマ13からのタイミング信号に
よって、スピンプロセッサにおける処理サイクルの更新
を認識する。
【0024】ステップS1では、位置センサ5、6から
の検知信号に基づいて、ウェハチャック2の移動時間す
なわち往復運動の周期を算出する。この移動時間T2
は、現在の処理サイクルにおける移動時間に対応するの
で、逐次移動時間と称される。
【0025】つぎに、ステップS2において、逐次移動
時間T2をメモリ15へ格納する。その後、ステップS
3において、逐次移動時間T2の長期的な変動率を表現
する長期変動率Pa、および短期的な変動率を表現する
短期変動率Pbを算出する。
【0026】つぎにステップS4において、長期変動率
Paおよび短期変動率Pbをもとに、プロダクションル
ールに基づくファジー推論を実行することにより、ウェ
ハチャック移動機構部1における異常が発生する可能性
を算出する。つづいて、ステップS5において、異常可
能性が50%以上であるか否かを判定し、50%以上で
あればステップS6へ処理を進め、50%以上でなけれ
ばステップS1へ処理を戻す。
【0027】つづくステップS6では、主としてファジ
ー関係行列を用いたファジー推論にもとづいて、異常の
原因を推論する。つづいて、ステップS7において、プ
ロダクションルールを用いたファジー推論に基づいて、
ウェハチャック移動機構部1の余命を推論する。
【0028】つぎに、ステップS8において、推論の結
果を表示器16へ表示する。その後で、ステップS1へ
処理を戻す。
【0029】以上のように、信号処理部10は、各機構
部におけるセンサからの検知信号に基づいて、各機構部
における異常の発生の可能性の推論に加えて、異常の可
能性がある場合には、原因の推論と余命の推論とを行
う。このため、各機構部の異常の発生を事前に予測し得
るとともに、熟練者でなくとも原因の把握が可能であ
り、更に余命の推論値にもとづいて部品の交換のための
人的および物的スケジューリングを容易に行い得るとい
う利点がある。
【0030】<2.異常発生の可能性の推論>
【0031】ここでは、図1におけるステップS2〜ス
テップS4の処理、すなわち異常発生の可能性の推論と
その準備過程について詳述する。ここでも、ウェハチャ
ック移動機構部1に対する診断処理を例として取り上げ
る。
【0032】<2-1.変数の定義>
【0033】表1は、異常発生可能性の推論、原因の推
論、および余命の推論の過程で用いられる諸変数の一覧
表である。ここに列挙される諸変数の中、初期移動時間
T1〜近日移動時間T3、長期変動率Pa、および短期
変動率Pbが、異常発生可能性の推論に用いられる。原
因の推論には、これらに加えて総稼動時間としての総稼
働日数ΔDが更に用いられ、余命の推論には、それらに
加えて更に異常発生時間(タイムアウト)T4および危
険率Pcが用いられる。これらの変数は、すべてメモリ
15に格納される。
【0034】
【表1】
【0035】初期移動時間T1は、装置が完成した時点
でのウェハチャック移動機構部1における移動時間であ
り、診断処理の開始に先だってあらかじめメモリ15に
格納される。この初期移動時間T1は定数であり、処理
サイクルの進行に伴って更新されることはない。メモリ
15には、更に処理サイクル毎に新たに算出される逐次
移動時間T2が格納される(図1;ステップS2)。逐
次移動時間T2は、処理サイクル毎に更新されるが、1
日の最終データはメモリ15へ格納される。この最終デ
ータは現在より過去30日分保存され、それより以前の
データは消去される(図3を参照)。これらの30日分
のデータの中から、5日前のデータを選び出して近日移
動時間T3を定義する。
【0036】異常発生可能性の推論を行うために、これ
らの初期移動時間T1、逐次移動時間T2、および近日
移動時間T3をもとに、長期変動率Pa、および短期変
動率Pbを算出する(図1;ステップS3)。長期変動
率Paは、表1の第5枠に示すように、逐次移動時間T
2の初期移動時間T1からのずれの割合として定義され
る。また、短期変動率Pbは、表1の第6枠に示すよう
に、逐次移動時間T2の近日移動時間T3からのずれの
割合として定義される。これらの長期変動率Pa、短期
変動率Pbは、1を超える場合には1として再定義され
る。このため、長期変動率Pa、短期変動率Pbは、と
もに0〜1の間の値をもつ。
【0037】<2-2.メンバーシップ関数の定義>
【0038】ステップS4における異常発生可能性の推
論へのファジー推論の適用を可能とするために、各種の
メンバーシップ関数があらかじめ定義される。表2は、
異常発生可能性の推論、原因の推論、および余命の推論
の過程で用いられる諸メンバーシップ関数の一覧表であ
る。ここに列挙される諸関数の中で、メンバーシップ関
数f1、f2、およびFbが、異常発生可能性の推論に
用いられる。原因の推論には、これらに加えてメンバー
シップ関数f4、Faが更に用いられ、余命の推論に
は、それらに加えて更にメンバーシップ関数f3、Fc
が用いられる。これらの関数はすべて、診断処理の開始
に先だってあらかじめメモリ15に格納され(図3参
照)、処理サイクルの進行にともなって更新されること
はない。
【0039】
【表2】
【0040】これらのすべてのメンバーシップ関数は、
機構部の種類によらず、すべての機構部に共通に用いら
れる。逐次移動時間T2から長期変動率Pa、短期変動
率Pb、危険率Pc等の規格化変数を導入し、各機構部
の特性を規格化変数で評価することによって、すべての
機構部に共通のメンバーシップ関数を適用することを可
能にしている。すなわち、これらの規格化変数を導入す
ることによって、メンバーシップ関数の種類を削減し、
プログラミンングに要するコストの節減と、メモリ15
の容量の節減とを実現している。
【0041】これらのメンバーシップ関数において、フ
ァジー変数として4種類の変数、すなわち、「小さい」
(S)、「やや小さい」(MS)、「やや大きい」(M
L)、および「大きい」(L)が用いられる。これらの
メンバーシップ関数は、それぞれ例えば図4〜図10に
示すグラフで定義される。各メンバーシップ関数の意味
は、表2に示すとおりである。
【0042】<2-3.プロダクションルールの定義>
【0043】メンバーシップ関数を用いたファジー推論
を可能にするためには更に、診断処理の開始に先だっ
て、プロダクションルールがあらかじめ定義され、メモ
リ15に格納される。表3は、長期変動率Paと短期変
動率Pbの度合を前件とし、異常発生の可能性の度合を
後件とする条件文の形式を有するプロダクションルール
の一例を示す。すなわち、これらのプロダクションルー
ルは、長期変動率Paおよび短期変動率Pbに対するフ
ァジー集合のグレードから、異常発生の可能性の推論を
行う際に用いられるルールである。この例では、9通り
のルールが定義されている。表4は、表3のルールを記
号S、MS、ML、Lを用いて表現し直したものであ
る。
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】<2-4.推論の実例>
【0047】ここでは、以上に述べた変数、メンバーシ
ップ関数、およびプロダクションルールを用いて異常発
生可能性の推論を行う手順を、具体的な数値を用いて説
明する。以下の例において、初期移動時間T1は3.0
secであり、近日移動時間T3は4.2secである
とする。いま、逐次移動時間T2が4.8secであっ
たとすると、表1に示した長期変動率Pa、短期変動率
Pbの定義から、長期変動率Pa、短期変動率Pbは、
ステップS3(図1)において、それぞれ、Pa=0.
6(=60%)、Pb=0.14(=14%)と算出さ
れる。
【0048】つぎに、ステップS4(図1)の処理に移
って、まず長期変動率Pa、短期変動率Pbのグレード
が算出される。長期変動率Paが60%であることか
ら、メンバーシップ関数f1(図4)から、長期変動率
Paは0.5のグレードでML(やや大きい)であり、
しかも0.5のグレードでL(大きい)であるとの評価
が得られる。同様に、短期変動率Pbが14%であるこ
とから、メンバーシップ関数f2(図5)から、短期変
動率Pbは0.6のグレードでS(小さい)であり、し
かも0.4のグレードでMS(やや小さい)であるとの
評価が得られる。
【0049】つぎに、これらのグレードの評価にもとづ
いて、プロダクションルール(以下「ルール」と略称す
る)を用いて異常発生可能性の評価を行う。この例で
は、長期変動率PaについてはMLとLとが前件とな
り、短期変動率PbについてはSとMSとが前件となる
ので、表4に列挙した9個のルールの中の番号1、2、
3が付された3種類のルールのみが使用される。
【0050】まずこれらの各ルールに対する適合度が算
出される。適合度の算出に当たっては、例えば論理積
(min演算)が使用される。すなわち、一般に数1に
示すような前件部をもつルールがあった場合に、各Xi
がAiに属するグレードがμAi(Xi)であるとすれ
ば、この前件部の適合度は、数2のように算出される。
【0051】
【数1】
【0052】
【数2】
【0053】番号1のルールにおいては、0.5のグレ
ードで長期変動率PaがLであるので、短期変動率Pb
とは無関係に適合度は0.5と算出される。番号2のル
ールにおいては、0.5のグレードで長期変動率Paが
MLであり、かつ0.4のグレードで短期変動率Pbが
MSであるので、適合度は0.4と算出される。数式で
表現すると、数3のように書くことができる。
【0054】
【数3】
【0055】番号3のルールにおいては、数4に従って
適合度は0.5と算出される。
【0056】
【数4】
【0057】論理積による演算に代えて、代数積、限界
積、激烈積等の他のt−ノルム論理積を用いることも可
能である。これらの中で、論理積が最も容易に計算可能
である。
【0058】次に、各ルール毎に推論結果を導出する。
この推論結果の導出には、代数積を用いる。図11は、
各ルール毎の推論結果を示すグラフである。すなわち、
番号1のルールの後件は、「異常発生可能性がL」であ
るので、メンバーシップ関数FbのLの部分に適合度=
0.5で代数積を施すことによって、番号1のルールの
推論結果μFbLが得られる。同様にして、番号2のル
ールの推論結果μFbML、および番号3のルールの推
論結果μFbMSが、図11に示すように得られる。こ
れらの演算においても、代数積に代えて、例えば論理積
などの他の演算を用いることも可能である。
【0059】つぎに、3つの推論結果の合成を行う。こ
の合成には、例えば論理和、すなわち各推論結果の最大
値を求める演算(max演算)を用いる。図12は、合
成の結果を示すグラフである。図11に示した3種の推
論結果μFbMS、μFbML、およびμFbLの、最
大値として合成結果μFbが得られている。この合成に
おいても、論理和に代えて代数和、その他の演算を用い
ることも可能である。
【0060】最後に、合成結果μFbの非ファジー化を
行うことによって、異常発生の可能性を数値をもって評
価する。非ファジー化の手法においても、一般に多数の
方法が提唱されているが、ここでは重心法、すなわち関
数の重心を計算する手法を用いる。一般に、変数xの関
数における重心x’は、数5で与えられる。
【0061】
【数5】
【0062】図12に示したμFbを関数f(x)と表
記すると、関数f(x)は、数6に示すような、区間毎
に個別に定義される1次関数で表される。
【0063】
【数6】
【0064】従って、関数f(x)の重心x’は数7の
ように計算されるので、値66%が得られる。
【0065】
【数7】
【0066】すなわち、合成結果μFbの重心は、66
%である。したがって、異常発生の可能性は66%であ
ると評価される。
【0067】以上でステップS4(図1)が終了する。
つづくステップS5(図1)において、異常発生可能性
が50%を超えると判定されるので、診断のルーチンは
ステップS6へと進む。
【0068】<3.異常原因の推論>
【0069】<3-1.パラメータの決定>
【0070】異常原因の推論を行う際に、ファジー関係
行列が用いられる。このため、機構部の特性に関わる8
個のパラメータX1〜X8が、各機構部毎に決定ないし
算出される。表5はこれらのパラメータX1〜X8の定
義(内容)と意味とを示す一覧表である。パラメータX
1〜X8は一種の規格化された定数ないし変数であっ
て、0〜1の範囲の値を有する。これらのパラメータX
1〜X8の中で、パラメータX1〜X5は熟練者の経験
にもとづいて決定され、診断処理の開始に先だってあら
かじめメモリ15に格納される。これらのパラメータX
1〜X5は定数であり、処理サイクルの進行に伴って更
新されることはない。一方、パラメータX6〜X8は、
長期変動率Pa、短期変動率Pb、および総稼働日数Δ
Dにもとづいて、演算により決定される変数である。し
たがって、パラメータX6〜X8は、処理サイクルの進
行に伴って更新される。
【0071】
【表5】
【0072】<3-2.プロダクションルールの定義>
【0073】パラメータX6〜X8は、後述するように
ルールを用いたファジー推論にもとづいて算出される。
このため、前述の表4に示したルール群とは別個に、診
断処理の開始に先だって、パラメータX6〜X8を演算
するためのルールがあらかじめ定義され、メモリ15に
格納される。表6は、長期変動率Paのグレードを前件
とし、パラメータX6の度合を後件とする条件文の形式
を有するルールの一例を示す。同じく、表7は短期変動
率のグレードからパラメータX7を推論するルールの一
例を示しており、表8は総稼働日数ΔDのグレードから
パラメータX8を推論するルールの一例を示す。表6〜
表8は、各ルールを言語で表現している。
【0074】
【表6】
【0075】
【表7】
【0076】
【表8】
【0077】<3-3.ファジー関係行列の定義>
【0078】異常原因の推論は、パラメータX1〜X8
にファジー関係行列を作用させることにより、複数種類
の原因の度合をそれぞれ評価することによって完結す
る。一例として、4種類の異常原因が存在するものとす
る。このため、異常原因の度合の評価を行うのに用いら
れるファジー関係行列R1は、数8に示すような4行8
列の行列となる。
【0079】
【数8】
【0080】ファジー関係行列R1の各要素の値は、熟
練者の経験にもとづいて決定され、診断処理の開始に先
だってあらかじめメモリ15に格納される。ファジー関
係行列R1とパラメータX1〜X8とにもとづいて、数
9に示す行列の演算を実行することにより、4種類の原
因の度合をそれぞれ表現する4個の変数y1〜y4の値
が算出される。
【0081】
【数9】
【0082】<3-4.推論の実例>
【0083】ここでは、異常原因の推論を行う手順を、
具体的な数値を用いて説明する。この例において、初期
移動時間T1等の変数の値、メンバーシップ関数f1等
の形は、異常発生可能性の推論の実例において採用した
ものと同様であるとする。まず、あらかじめ決定され、
メモリ15に格納されているパラメータX1〜X5の値
は、数10の通りであるとする。
【0084】
【数10】
【0085】診断処理がステップS6(図1)に至る
と、まずパラメータX6〜X8の算出が行われる。これ
らのパラメータX6〜X8を算出するには、まずそれぞ
れメンバーシップ関数f1、f2、f4を用いて、各パ
ラメータのグレードを評価する。つぎに、表6〜表8に
示したルールをそれぞれ用いるとともに、更にメンバー
シップ関数Faを用いることにより、推論結果をメンバ
ーシップ関数Faの上に写し込む。この推論結果を更に
非ファジー化することによって、パラメータX6〜X8
の値が得られる。
【0086】<3-4-1.パラメータX6の算出>
【0087】パラメータX6を算出する手順の実例を、
具体的な数値を用いて説明する。長期変動率Pa=60
%であるから、メンバーシップ関数f1(図4)を用い
ることにより、前述のように「長期変動率Paは0.5
のグレードでMLであり、しかも0.5のグレードでL
である」との評価が得られる。したがって、表6に示し
た4種のルールの中の番号1および2のルールが適用さ
れる。図13は、それぞれのルールにもとづいて得られ
る推論結果μFaL6、μFaML6を示すグラフであ
る。これらの推論結果μFaL6、μFaML6を導出
する上で、図11に示した推論結果の導出と同様に、代
数積が採用されている。
【0088】つぎに、2つの推論結果μFaL6、μF
aML6の合成が行われる。この合成においても、図1
2に示した合成の手順と同様に、論理和を採用する。図
14は、得られた合成結果μFa6を示すグラフであ
る。つぎに、合成結果μFa6の非ファジー化を行うこ
とによって、パラメータX6の値が得られる。この非フ
ァジー化にも、異常発生可能性の評価において採用した
重心法を用いる。したがって、グレードxを変数とする
関数f(x)で合成結果μFa6を表現すると、パラメ
ータX6の値は数11で与えられる。
【0089】
【数11】
【0090】図14における折線μFa6で表される関
数f(x)は、数12に示すような、区間毎に個別に定
義される1次関数で表現される。
【0091】
【数12】
【0092】数12に示した1次関数を用いて、数11
に示した重心を求める演算を実行することにより、数1
3に示す結果を得る。
【0093】
【数13】
【0094】<3-4-2.パラメータX7の算出>
【0095】つぎに、パラメータX7を算出する手順の
実例について説明する。パラメータX7の算出の手順
は、パラメータX6の算出の手順と同様である。短期変
動率Pb=14%であるから、メンバーシップ関数f2
(図5)を用いることにより、前述のように「短期変動
率Pbは0.6のグレードでSであり、しかも0.4の
グレードでMSである」との評価が得られる。したがっ
て、表7に示した4種のルールの中の番号3および4の
ルールが適用される。図15は、それぞれのルールにも
とづいて得られる推論結果μFaS7、μFaMS7を
示すグラフである。
【0096】つぎに、2つの推論結果μFaS7、μF
aMS7の合成が行われる。図16は、得られた合成結
果μFa7を示すグラフである。つぎに、合成結果μF
a7の非ファジー化を行うことによって、パラメータX
7の値が得られる。グレードxを変数とする関数f
(x)で合成結果μFa7を表現すると、パラメータX
7の値は数14で与えられる。
【0097】
【数14】
【0098】図16における折線μFa7で表される関
数f(x)は、数15に示すような、区間毎に個別に定
義される1次関数で表現される。
【0099】
【数15】
【0100】数15に示した1次関数を用いて、数14
に示した重心を求める演算を実行することにより、数1
6に示す結果を得る。
【0101】
【数16】
【0102】<3-4-3.パラメータX8の算出>
【0103】つぎに、パラメータX8を算出する手順の
実例について説明する。パラメータX8の算出の手順
も、パラメータX6の算出の手順と同様である。総稼働
日数ΔDは、タイマ13(図3)から送信される時刻信
号にもとづいて、演算部14において計数される。この
実例では、総稼働日数ΔD=900日であるとする。こ
のため、メンバーシップ関数f4(図7)を用いること
により、「総稼働日数ΔDは、0.5のグレードでML
である」との評価が得られる。したがって、表8に示し
た4種のルールの中の番号2のルールが適用される。
【0104】図17は、このルールにもとづいて得られ
る推論結果μFa8を示すグラフである。推論結果μF
a8の非ファジー化を行うことによって、パラメータX
8の値が得られる。グレードxを変数とする関数f
(x)で合成結果μFa8を表現すると、パラメータX
8の値は数17で与えられる。
【0105】
【数17】
【0106】図17における折線μFa8で表される関
数f(x)は、数18に示すような、区間毎に個別に定
義される1次関数で表現される。
【0107】
【数18】
【0108】数18に示した1次関数を用いて、数17
に示した重心を求める演算を実行することにより、数1
9に示す結果を得る。
【0109】
【数19】
【0110】以上の手順によってパラメータX6〜X8
の値が得られた。
【0111】<3-4-4.変数y1〜y4の算出>
【0112】つぎに、4種類の原因の度合をそれぞれ表
現する4個の変数y1〜y4の値が算出される。変数y
1〜y4の意味は、つぎのように定義される。すなわ
ち、変数y1=ウェハチャック移動機構部1の腐食また
は結晶化が原因である度合、変数y2=ウェハチャック
移動機構部1の部品の消耗・耐久性が原因である度合、
変数y3=ウェハチャック移動機構部1の調整・組立・
加工上の問題点が原因である度合、および変数y4=ウ
ェハチャック移動機構部1のセンサまたは駆動系の突発
的なトラブルが原因である度合、である。
【0113】表9は、これらの変数y1〜y4に関わる
原因の性質を列挙した一覧表である。
【0114】
【表9】
【0115】この一覧表は、熟練者の経験から得られた
ものである。ファジー関係行列R1は、更に熟練者の経
験を加味することによって、表9に掲げる変数y1〜y
4の定性的な特徴を定量化することによって決定され
る。一例として、ファジー関係行列R1が数20に示す
値で与えられ、あらかじめメモリ15に格納されている
ものとする。
【0116】
【数20】
【0117】そうすると、ステップS6における異常原
因の推論の過程において、前述のパラメータX6〜X8
の算出につづいて、数21にもとづいて変数y1〜y4
の算出が行われる。
【0118】
【数21】
【0119】演算記号「○」は、各要素間の論理積を演
算し、更にその結果の論理和を演算するという演算手順
を表現する。したがって、変数y1については、数22
に示す演算を実行することによって、y1=0.85と
いう結果が得られる。
【0120】
【数22】
【0121】同様の演算手順によって、変数y2〜y4
も算出される。これらの演算の結果は、数23に示す通
りである。
【0122】
【数23】
【0123】数23に示される結果が意味するところ
は、腐食・結晶化(y1)が原因である可能性、部品の
消耗・耐久性が原因である可能性(y2)、調整・組立
・加工上の問題点が原因である可能性(y3)、および
センサまたは駆動系の突発的なトラブルが原因である可
能性(y4)の比が、85:80:25:30であると
いうことである。すなわち、4種の原因の中のいずれか
1種を真の原因であると断定するのではなく、各原因の
グレードを算出することによって、最終判断はオペレー
タに委ねられる。オペレータは、数23の結果を見て、
例えば腐食・結晶化(y1)または部品の消耗・耐久性
(y2)が原因であると判断し、該当部分の調査と部品
交換等の準備に着手する。
【0124】また、変数y1〜y4の意味するところか
ら明らかなように、取り上げられた4種の原因は、いず
れも単に不良箇所を特定するのではなく、不良を引き起
こす根本原因を列挙している。これらの根本原因と異常
発生との間の因果関係は、通常は理論的に究明し尽くせ
るものではなく、熟練者の経験と勘の働きによって探り
出されるものである。ステップS6で実行される推論で
は、熟練者の経験をファジー関係行列に反映させること
によって、根本原因の推定を可能にしている。
【0125】以上でステップS6(図1)における処理
が終了し、診断のルーチンはつぎのステップS7へと進
む。
【0126】<4.余命の推論>
【0127】ステップS7において推論される機構部の
余命は、現在時点から起算してその機構部が正常であり
つづける期間を意味する。この余命を推論するのに、異
常発生可能性の推論に用いた手法と同様の手法を用い
る。
【0128】<4-1.プロダクションルールの定義>
【0129】メンバーシップ関数を用いたファジー推論
を可能にするために、診断処理の開始に先だって、プロ
ダクションルールがあらかじめ定義され、メモリ15に
格納される。表10は、余命の推論に用いられるルール
を列挙した一覧表である。この例では、20通りのルー
ルが定義されている。これらのルールは、長期変動率P
a、短期変動率Pbに加えて、危険率Pcの度合を前件
とし、余命の長さの度合を後件とする条件文の形式を有
する。
【0130】
【表10】
【0131】<4-2.推論の実例>
【0132】ここでは、余命の推論を行う手順を、具体
的な数値を用いて説明する。この例においても、初期移
動時間T1等の変数の値、メンバーシップ関数f1等の
形は、異常発生可能性の推論の実例において採用したも
のと同様であるとする。異常発生時間T4は、T4=
8.0secで与えられ(すなわち、逐次移動時間T2
が8.0sec以上であるときを異常とみなす)、診断
の開始に先だってあらかじめメモリ15に格納されてい
るものとする。
【0133】ステップS7の処理が開始されると、まず
危険率Pcの定義(表1)から、危険率Pcが数24の
ように算出される。
【0134】
【数24】
【0135】つぎに、メンバーシップ関数f3(図6)
を用いることにより、数24に示した危険率Pcの値か
ら危険率Pcのグレードが算出される。図6に示すよう
に、「危険率Pcは1.0のグレードでMSである」と
の評価が得られる。
【0136】つぎに、このグレードの評価にもとづい
て、表10に示したルールを用いて余命の算出を行う。
長期変動率Pa、短期変動率Pb、および危険率Pcの
グレードは、表11のようにまとめられる。
【0137】
【表11】
【0138】このため、表10に列挙したルールの中
で、番号11、12、19、および20が付された4種
のルールが適用される。
【0139】各ルールの前件部における適合度の算出に
は、異常可能性の推論と同様に論理積(min演算)が
用いられる。このため、番号11が付されたルールの前
件部の適合度は、0.4となる。同様に、番号12、1
9、および20が付されたルールの前件部の適合度は、
それぞれ0.4、0.5、および0.5となる。
【0140】次に、各ルール毎に推論結果を導出する。
この推論結果の導出には、異常発生可能性の推論の場合
と同様に代数積を用いる。図18は、各ルール毎の推論
結果を示すグラフである。推論結果μFc11、μFc
12、μFc19、およびμFc20は、それぞれ番号
11、12、19、および20が付されたルールにもと
づいた推論結果である。
【0141】つぎに、これらの4つの推論結果の合成を
行う。この合成には、異常発生可能性の推論と同様に、
論理和(max演算)が用いられる。図19は、合成結
果μFcを示すグラフである。
【0142】最後に、合成結果μFcの非ファジー化を
行うことによって、余命を導出する。この非ファジー化
においても、異常発生可能性の推論と同様に重心法が用
いられる。図19に示した合成結果μFcを関数f
(x)と表記すると、余命Lrは、数25で与えられ
る。
【0143】
【数25】
【0144】また、関数f(x)は、数26に示すよう
な、区間毎に個別に定義される1次関数で表される。
【0145】
【数26】
【0146】従って、余命Lrは、数25で表された関
数f(x)を用いて数26の計算を実行することによっ
て、数27のように値が得られる。
【0147】
【数27】
【0148】すなわち、ウェハチャック移動機構部1の
余命は225日であると評価される。以上でステップS
7(図1)が終了する。
【0149】
【発明の効果】
<請求項1に記載の発明の効果>
【0150】この発明における異常診断装置では、規格
化変数を一旦導入し、その値にもとづいて異常発生の可
能性を推論するので、複数の異なる種類の機構部を診断
する際においても、共通のメンバーシップ関数を用いる
ことができ、メンバーシップ関数を記憶する手段の記憶
容量を節減できるという効果がある。
【0151】<請求項2に記載の発明の効果>
【0152】この発明における異常診断装置では、機構
部の特性を多角的に表現し得る特性ベクトルに、熟練者
の経験が反映されたファジー関係行列を作用させること
によって異常原因を推論するので、異常原因の推論を精
度良く実行し得るという効果がある。
【0153】<請求項3に記載の発明の効果>
【0154】この発明における異常診断装置では、長期
変動率、短期変動率、および危険率の演算値から、熟練
者の経験を反映したプロダクションルールにもとづくフ
ァジー推論を実行することによって、診断対象とする機
構部に異常が発生するまでの余命を推定する。このため
余命の推論を、精度良く実行し得るという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】信号処理部における処理の流れを示すフローチ
ャートである。
【図2】ウェハチャック移動機構部の概略構成図であ
る。
【図3】信号処理部の構成を示すブロック図である。
【図4】メンバーシップ関数f1を示すグラフである。
【図5】メンバーシップ関数f2を示すグラフである。
【図6】メンバーシップ関数f3を示すグラフである。
【図7】メンバーシップ関数f4を示すグラフである。
【図8】メンバーシップ関数Faを示すグラフである。
【図9】メンバーシップ関数Fbを示すグラフである。
【図10】メンバーシップ関数Fcを示すグラフであ
る。
【図11】メンバーシップ関数Fbの上への推論結果を
示すグラフである。
【図12】メンバーシップ関数Fbの上への推論結果を
合成した結果を示すグラフである。
【図13】メンバーシップ関数Faの上への推論結果を
示すグラフである。
【図14】メンバーシップ関数Faの上への推論結果を
合成した結果を示すグラフである。
【図15】メンバーシップ関数Faの上への推論結果を
示すグラフである。
【図16】メンバーシップ関数Faの上への推論結果を
合成した結果を示すグラフである。
【図17】メンバーシップ関数Faの上への推論結果を
示すグラフである。
【図18】メンバーシップ関数Fcの上への推論結果を
示すグラフである。
【図19】メンバーシップ関数Fcの上への推論結果を
合成した結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ウェハチャック移動機構部 2 ウェハチャック 5、6 位置センサ 10 信号処理部 13 タイマ 14 演算部 15 メモリ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 周期的な運動を反復する可動部材を有す
    る機構部の異常を診断する装置であって、 前記可動部材の運動の周期を検出する手段と、 前記周期の現在値、初期値、および現在より一定時間以
    前における値である近日値を記憶する手段と、 前記現在値の前記初期値からのずれと当該初期値との比
    で定義される長期変動率を演算する手段と、 前記現在値の前記近日値からのずれと当該近日値との比
    で定義される短期変動率を演算する手段と、 前記長期変動率に関して準備された第1のメンバーシッ
    プ関数、前記短期変動率に関して準備された第2のメン
    バーシップ関数、および前記機構部における異常発生の
    可能性に関して準備された第3のメンバーシップ関数を
    記憶する手段と、 前記第1および第2のメンバーシップ関数の組合せを前
    件部とし前記第3のメンバーシップ関数を後件部として
    準備されたプロダクションルールを記憶する手段と、 前記長期変動率と前記短期変動率の演算値から、前記プ
    ロダクションルールにもとづくファジー推論を実行する
    手段と、 前記推論で得られた推論結果を非ファジー化することに
    より、前記機構部における異常発生の可能性を表現する
    数値を得る手段と、を備える異常診断装置。
  2. 【請求項2】 周期的な運動を反復する可動部材を有す
    る機構部の異常を診断する装置であって、 前記可動部材の運動の周期を検出する手段と、 前記機構部の総稼働時間を計数する手段と、 前記周期の現在値、初期値、および現在より一定時間以
    前における値である近日値を記憶する手段と、 前記総稼働時間を記憶する手段と、 前記現在値の前記初期値からのずれと当該初期値との比
    で定義される長期変動率を演算する手段と、 前記現在値の前記近日値からのずれと当該近日値との比
    で定義される短期変動率を演算する手段と、 前記長期変動率に関して準備された第1のメンバーシッ
    プ関数、前記短期変動率に関して準備された第2のメン
    バーシップ関数、前記総稼働時間に関して準備された第
    3のメンバーシップ関数、およびパラメータ評価値に関
    して準備された第4のメンバーシップ関数を記憶する手
    段と、 前記第1のメンバーシップ関数を前件部とし前記第4の
    メンバーシップ関数を後件部として準備された第1のプ
    ロダクションルールを記憶する手段と、 前記第2のメンバーシップ関数を前件部とし前記第4の
    メンバーシップ関数を後件部として準備された第2のプ
    ロダクションルールを記憶する手段と、 前記第3のメンバーシップ関数を前件部とし前記第4の
    メンバーシップ関数を後件部として準備された第3のプ
    ロダクションルールを記憶する手段と、 前記長期変動率の値から、前記第1のプロダクションル
    ールにもとづくファジー推論を実行して得られた推論結
    果を非ファジー化することにより、長期変動率のグレー
    ドを表現する第1の特性パラメータの値を得る手段と、 前記短期変動率の値から、前記第2のプロダクションル
    ールにもとづくファジー推論を実行して得られた推論結
    果を非ファジー化することにより、短期変動率のグレー
    ドを表現する第2の特性パラメータの値を得る手段と、 前記総稼働時間の値から、前記第3のプロダクションル
    ールにもとづくファジー推論を実行して得られた推論結
    果を非ファジー化することにより、総稼働時間のグレー
    ドを表現する第3の特性パラメータの値を得る手段と、 前記機構部に固有の定数として準備される第4の特性パ
    ラメータの値を記憶する手段と、 前記第1ないし第4の特性パラメータを成分として有す
    る特性ベクトルに、線形オペレータとして作用すること
    により、異常原因のグレードを成分とするベクトルを生
    成すべく準備されたファジー関係行列を記憶する手段
    と、 前記特性ベクトルに、前記ファジー関係行列を線形オペ
    レータとして作用させることにより、異常原因のグレー
    ドを成分とするベクトルの値を得る手段と、を備える異
    常診断装置。
  3. 【請求項3】 周期的な運動を反復する可動部材を有す
    る機構部の異常を診断する装置であって、 前記可動部材の運動の周期を検出する手段と、 前記周期の現在値、初期値、現在より一定時間以前にお
    ける値である近日値、および基準値を記憶する手段と、 前記現在値の前記初期値からのずれと当該初期値との比
    で定義される長期変動率を演算する手段と、 前記現在値の前記近日値からのずれと当該近日値との比
    で定義される短期変動率を演算する手段と、 前記現在値の前記基準値からのずれと当該基準値との比
    で定義される危険率を演算する手段と、 前記長期変動率に関して準備された第1のメンバーシッ
    プ関数、前記短期変動率に関して準備された第2のメン
    バーシップ関数、前記危険率に関して準備された第3の
    メンバーシップ関数、および前記機構部の余命に関して
    準備された第4のメンバーシップ関数を記憶する手段
    と、 前記第1ないし第3のメンバーシップ関数の組合せを前
    件部とし前記第4のメンバーシップ関数を後件部として
    準備されたプロダクションルールを記憶する手段と、 前記長期変動率、前記短期変動率、および前記危険率の
    演算値から、前記プロダクションルールにもとづくファ
    ジー推論を実行する手段と、 前記推論で得られた推論結果を非ファジー化することに
    より、前記機構部における余命を表現する数値を得る手
    段と、を備える異常診断装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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