JPH07184692A - 物質の測定方法 - Google Patents

物質の測定方法

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JPH07184692A
JPH07184692A JP35077393A JP35077393A JPH07184692A JP H07184692 A JPH07184692 A JP H07184692A JP 35077393 A JP35077393 A JP 35077393A JP 35077393 A JP35077393 A JP 35077393A JP H07184692 A JPH07184692 A JP H07184692A
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Kenji Isshiki
健二 一色
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 臨床検査などの分野で使用され、血清、尿な
どの検体中の生体物質の測定法を提供することを目的と
する。 【構成】 本発明の方法は、二価金属イオン存在下、ス
ルフヒドリル化合物を酵素反応の基質又は酵素の活性化
剤として使用する試薬、又は二価金属イオン存在下にリ
ン酸緩衝液を使用する試薬を用いて、生体試料などに含
まれる各種成分や酵素活性を測定する方法であって、特
定の種類及び量のキレート剤を用いることを特徴とする
ものである。本発明の方法によれば、二価金属要求酵素
を用いて酵素の活性もしくは基質を定量する際、スルフ
ヒドリル化合物の酸化を抑制し、安定化する効果及び/
又はリン酸塩と二価金属イオンとによる不溶性沈殿物の
析出を抑制する効果を達成することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は物質の測定方法に関す
る。より詳細には、主として臨床検査などの分野で利用
され、生体試料中の各種物質や酵素活性などを酵素反応
を用いて測定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、臨床検査、生化学検査などの
分野では、生体試料中の各種物質の定量や酵素活性の測
定が頻繁に行われており、この測定には反応特異性が高
いことから酵素反応を用いた方法が汎用されている。こ
のような酵素反応を用いた測定法においては、酵素の活
性化に二価金属イオンを必要とする酵素(以下、二価金
属要求酵素という)を用いることがあり、例えば、クレ
アチンキナーゼはマグネシウムイオンの存在下に酵素反
応が進行し、アミラーゼはカルシウムイオンの存在下に
酵素反応が進行する。また、酵素反応を用いた測定法に
おいては、基質としてスルフヒドリル化合物(スルフヒ
ドリル基を有する化合物)が用いられたり、酵素の活性
化剤としてスルフヒドリル化合物が用いられることがあ
る。従って、検体中の各種成分を酵素反応により測定す
る方法においては、二価金属イオンとスルフヒドリル化
合物の存在下に測定を行うケースが多く存在する。
【0003】しかし、かかる方法に用いられるスルフヒ
ドリル化合物は還元性を有し、自身は容易に酸化される
ため安定性がよくない。特に、二価金属イオンはスルフ
ヒドリル化合物の酸化を促進する。従って、スルフヒド
リル化合物を含む試薬の調製・使用にあたっては、その
安定性を高めるため、pHを下げたり、他の還元剤の添
加、EDTAなどのキレート剤の添加が行われている。
しかしながら、pHを下げる方法は試薬中に共存してい
る他の成分(基質、酵素など)の安定性を悪くしたり、
それらの変性により沈殿物が生成する。また、使用時、
測定に適したpH域に戻す必要があるために2試薬にし
た場合、もう一方の試薬はアルカリ側にする必要も生
じ、これにより試薬の安定性が悪くなったり、混合比率
が変わると測定pHが変化するため再現性が悪くなる。
また、他の還元剤を添加する方法においては、他の還元
剤としてアスコルビン酸などが使用されたり、反応に関
与しないスルフヒドリル化合物(例えば、L−システイ
ンなど)が使用されるが、それ自身が安定ではない。キ
レート剤を添加する方法に関して、EDTAなどのキレ
ート剤の添加は有効であるが、キレート剤の量が少ない
と、スルフヒドリル化合物の安定性を高めることはでき
ない。
【0004】このような問題から、特開昭62−104
598号公報に記載の方法では、N−アセチル−L−シ
ステイン(NAC)とMgイオンを共存させるとNAC
の安定性が悪くなるため、各々別の2液に分け、NAC
とEDTAを共存させる方法が開示されている。この場
合の条件として、第一試薬と第二試薬が混合された時の
EDTAの濃度はマグネシウムイオンの濃度より低い濃
度にする必要がある。EDTAの方が多いと金属要求酵
素であるクレアチンキナーゼ(CK)やヘキソキナーゼ
(HK)の活性が低下し、場合によっては全く活性を失
ってしまう。また、NACと分離してクレアチンリン酸
(CP)とマグネシウムイオンを共存させると、液状保
存でCPの自己水解によりリン酸が遊離してマグネシウ
ムイオンと不溶性のリン酸マグネシウムの沈殿が析出
し、CK活性測定ができなくなることがある。
【0005】また、酵素反応を用いて生体試料中の各種
成分を測定する方法においては、一般に溶媒としてリン
酸緩衝液が汎用されるが、二価金属を含有する場合に
は、二価金属イオンとリン酸塩により不溶性沈殿物を形
成し易く、試薬が濁ったり酵素反応が阻害される。例え
ば、2mM塩化カルシウムを含むリン酸緩衝液は用時調
製だけに有効であり、冷蔵中で1日保存すればリン酸カ
ルシウムの結晶が析出してしまう。そのため、リン酸緩
衝液に代えて、他の緩衝液(例えば、グッド緩衝液な
ど)を使用する必要があるが、試薬ブランクが上昇する
などの問題を有していた。また、リン酸が酵素の安定
化、活性化に重要である場合も少なくなく、測定系によ
ってはどうしてもリン酸緩衝液を使用しなければならな
いときがある。このような酵素と二価金属イオンを同時
に共存させる必要が生じたとき、試薬を二液に分けて用
時に混合したり、性能が劣るのを覚悟して他の緩衝液を
使用する必要があった。また、二価金属イオンは、大気
中の炭酸ガスを吸収して不溶性塩を形成し、自動分析装
置のノズルが詰るような問題もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、二価金
属イオン及びスルフヒドリル化合物の存在下、二価金属
要求酵素を用いて生体成分を測定する方法においては、
二価金属イオンがスルフヒドリル化合物の酸化を加速し
て試薬の安定性を阻害するため、試薬を2つに分離した
り、各種の安定化剤を加えるなど複雑な試薬組成とする
必要があった。また、このような組成にしても長期間液
状で安定な試薬を提供することは困難であった。また、
リン酸緩衝液中では、酵素の必要とする十分量の二価金
属イオンを使用すると、水に不溶の塩を生成し沈殿を生
じるため、極少量の二価金属イオンを添加したり、性能
が劣るの覚悟して他の緩衝液に代えなければならなかっ
た。また、リン酸緩衝液を他の緩衝液に代えても、添加
する基質がリン酸化合物である場合は、経時的にリン酸
化合物が自己水解し、生成するリン酸と二価金属イオン
が沈殿を形成するため、使用不能になる場合もある。
【0007】本発明者等は、上記の課題を解決するため
に、二価金属イオンの存在下におけるスルフヒドリル化
合物の安定化及び二価金属イオンとリン酸塩による不溶
性塩の生成抑制について検討を重ねた結果、EDTAを
二価金属イオンに対して過剰に加えるとスルフヒドリル
化合物が安定化し、リン酸緩衝液中でもリン酸と不溶性
の塩を形成しないことがわかった。しかしながら、二価
金属要求酵素の活性が低下したり、ときには全く反応し
なくなる(EDTAによりマグネシウム要求性酵素が容
易に失活することは特開昭61−247400号公報な
どに示されている)。
【0008】本発明者等は、こうした現象がキレート剤
のキレート安定度定数と関係があるのではないかと考
え、各種キレート剤の金属要求酵素に対する感受性、ス
ルフヒドリル化合物に対する安定性作用、二価金属イオ
ンに対する不溶性塩生成抑制作用について鋭意検討した
ところ、二価金属要求酵素とキレート剤の二価金属イオ
ンの取り合いにおいて、キレート安定度定数の大きいキ
レート剤は酵素の活性に必要な金属までもマスキングす
るため活性が発現されないこと;逆にキレート安定度定
数の小さいキレート剤は二価金属要求酵素の活性発現を
阻害しないが、スルフヒドリル化合物の安定化効果は低
くなり、またリン酸との沈殿形成を抑制する効果も減少
することが判明し、キレート剤の種類及び量を適宜調整
することにより、二価金属要求酵素の活性に大きな影響
を与えずに、スルフヒドリル化合物を安定化でき、また
リン酸塩と二価金属イオンによる不溶性沈殿物の生成を
抑制できることを見出した。本発明はかかる知見に基づ
いてなされたもので、二価金属イオン存在下、スルフヒ
ドリル化合物を安定化させ、リン酸塩と二価金属イオン
による不溶性沈殿物の生成を防止し、試薬の安定性を飛
躍的に高めることができる測定方法を提供することを目
的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めになされた本発明の方法は、二価金属イオンとスルフ
ヒドリル化合物の存在下、酵素反応を用いて物質を測定
する方法において、二価金属イオンに対するキレート安
定度定数が5〜7のキレート剤を添加し、酵素活性に影
響を与えずにスルフヒドリル化合物を安定化することか
らなる物質の測定方法であり、また二価金属イオンとス
ルフヒドリル化合物の存在下、酵素反応を用いて物質を
測定する方法において、二価金属イオンに対するキレー
ト安定度定数が7より大きいキレート剤を二価金属イオ
ンのモル濃度より少なく添加し、更に二価金属イオンに
対するキレート安定度定数が3〜7のキレート剤を添加
し、酵素活性に影響を与えずにスルフヒドリル化合物を
安定化することからなる物質の測定方法である。
【0010】更に、本発明の方法は、二価金属イオンと
リン酸塩の存在下、酵素反応を用いて物質を測定する方
法において、二価金属イオンに対するキレート安定度定
数が5以上のキレート剤を添加し、二価金属イオンとリ
ン酸塩による不溶性塩の生成を防止することからなる物
質の測定方法であり、またこの際に二価金属イオンに対
するキレート安定度定数が5〜7のキレート剤を用いる
方法である。
【0011】以下、本発明をより詳細に説明する。前述
のように、本発明者等は、各種キレート剤の金属要求酵
素に対する感受性、スルフヒドリル化合物に対する安定
性作用、二価金属イオンとの不溶性塩の生成性は、キレ
ート剤のキレート安定度定数と関係があるのではないか
と考え、代表的なキレート剤を用いて、これらの点につ
いて検討した。用いたキレート剤は、ジヒドロキシエチ
ルグリシン(DHEG)、エチレンジアミン二プロピオ
ン酸(EDDP)、1,2−ビス(o−アミノフェノ
キ)エタン四酢酸(BAPTA)、ヒドロキシエチルイ
ミノ二酢酸(HIDA)、エチレンジアミン二酢酸(E
DDA)、ジアミノプロパノール四酢酸(DPTA−O
H)、グリコールエーテルジアミン四酢酸(GEDT
A)、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミンテ
トラキス(メチレンフォスフォン酸)(EDTPO)、
ニトリロトリス(メチレンフォスフォン酸)(NTP
O)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(ED
TA−OH)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTH
A)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジアミノ
プロパン四酢酸(Methyl−EDTA)、ジエチレ
ントリアミン五酢酸(DPTA)、シクロヘキサンジア
ミン四酢酸(CyDTA)である。なお、これらのキレ
ート剤のマグネシウムイオン及びカルシウムイオンに対
するキレート安定度定数は文献的に知られており、その
値を下記表1に示した。
【0012】
【表1】
【0013】まず、二価金属イオン存在下における各種
キレート剤のスルフヒドリル化合物に対する安定化作用
を検討した。その結果、スルフヒドリル化合物を安定化
するにはキレート安定度定数が5以上のキレート剤を添
加するのがよいことが判った。そして、このとき、キレ
ート剤は2種類以上の複数のものが使用できることが判
った。そしてキレート剤を2種類以上使用するとき、一
のキレート剤のキレート安定度定数が7より大きい場合
には、他のキレート剤のキレート安定度定数が3以上の
ものでも使用できることが判った。なお、このときには
添加するキレート剤の量は総量として二価金属イオンの
モル濃度より多くする必要がある。また、各種キレート
剤の二価金属要求酵素に対する影響を調べたところ、キ
レート剤のモル濃度が二価金属イオンのモル濃度より多
いときは、キレート安定度定数が7より大きいキレート
剤を使用すると当該酵素の活性が発現できないことも判
った。
【0014】これらの結果は組み合わせても成立するこ
とが判り、その結果、二価金属イオンとスルフヒドリル
化合物の存在下で、二価金属要求酵素の活性を低下させ
ずにスルフヒドリル化合物を安定化するには、キレ−ト
安定度定数が5〜7のキレート剤の1種類以上を、その
総量が二価金属イオンのモル濃度より多く添加するのが
よいことが判った。更に、キレート安定度定数が7より
大きいキレート剤の1種類以上を、その総量が二価金属
イオンより少ないモル濃度で添加するときは、キレート
安定度定数が3〜7のキレート剤の1種類以上を、全キ
レート剤の総計が二価金属イオンのモル濃度より多くな
るように添加すればよいことも判った。
【0015】次に、リン酸緩衝液の存在下、二価金属イ
オンとリン酸塩との不溶性塩の生成に対する各種キレー
ト剤の影響についても、キレート安定度定数に基づいて
詳細に検討した。その結果、キレ−ト安定度定数が5以
上のキレ−ト剤を1種類以上添加すれば、この不溶性塩
の生成が防止できることが判った。この場合のキレ−ト
剤の添加総量は通常二価金属イオンのモル濃度の0.5
倍以上で使用できるが、好ましくは1〜2倍加えるのが
よい。これらは前述の多くのキレ−ト剤に適応できる
が、DPTA−OHは二価金属イオンのモル濃度のより
低い濃度で添加できる例である。そして、このときも同
様に、二価金属要求酵素にキレ−ト剤を添加するとき、
キレ−ト剤のモル濃度が二価金属イオンより多い場合
は、キレ−ト安定度定数が7より大きいキレ−ト剤を使
用すると当該酵素の活性が発現できない、という上述の
知見が適用できることも判った。これらの結果から、二
価金属イオンとリン酸塩の存在下で、二価金属要求酵素
の活性を低下させずに二価金属イオンとリン酸塩の不溶
性塩生成を防止するには、キレ−ト剤の総量が二価金属
イオンのモル濃度以下のときは、キレ−ト安定度定数が
5以上のキレ−ト剤を1種類以上添加するのがよく、ま
たキレ−ト剤の総量が二価金属イオンのモル濃度を越え
るときはキレ−ト安定度定数が5〜7のキレ−ト剤を1
種類以上添加するか、又はキレ−ト安定度定数が7より
大きいキレ−ト剤の1種類以上を二価金属イオンのモル
濃度より少なく添加するとともにキレ−ト安定度定数が
5〜7のキレ−ト剤を1種類以上添加するのが、よいこ
とが判った。以上の結果から本発明は完成するに至っ
た。
【0016】本発明の方法は、二価金属イオン存在下、
スルフヒドリル化合物を酵素反応の基質、酵素の活性化
又は試薬の安定化剤として使用する試薬、又は二価金属
イオン存在下にリン酸緩衝液を使用する試薬を用いて、
生体試料などに含まれる各種成分や酵素活性を測定する
場合に有用に応用され、特定の種類及び量のキレート剤
を用いる以外は、従来の測定法と同様にして行うことが
できる。測定に使用される酵素反応系は1種類のみなら
ず、複数の酵素反応系を共役させたものであってもよ
い。生体試料としては、血液、尿、髄液などが例示され
る。なお、本発明において使用されるキレート剤は、前
述の表1に示されるキレート安定度定数を参照して適宜
選択するすることができるが、表1に示されたキレート
剤に限定されるものではない。また、キレート安定度定
数がpHにより多少の変動を起こすことは当業者にとっ
て自明である。
【0017】一般に酵素の活性発現に必要な二価金属イ
オンとしては、例えば、マグネシウムイオン、カルシウ
ムイオン、亜鉛イオン、マンガンイオンなどが挙げら
れ、酵素の活性化に必要な濃度は通常0.01〜20m
Mである。また、通常使用されるスルフヒドリル化合物
としては、NAC、コエンザイム−A(CoASH)、
L−システイン、還元型グルタチオン、ジチオスレイト
ール(DTT)などがある。より具体的には、例えば、
NACはクレアチンフォスフォキナーゼ(CK)の活性
化剤として、CoASHは遊離脂肪酸の定量に使用され
るアシルCoAシンセターゼの基質として、また特開平
5−95798号公報に示されるように、ピルビン酸脱
水素酵素(PDHL)の基質として使用される。還元型
グルタチオンは、試薬の安定化及びグルタチンリダクタ
−ゼの基質として、L−システイン及びDTTは試薬の
安定化剤として使用されている。二価金属イオン存在
下、リン酸緩衝液を使用する場合としては、アミラーゼ
活性測定においてマルト−スフォスフォリラーゼ(ロッ
シュマルトテラオース法)又はシュ−クロ−スフォスフ
ォリラ−ゼ(特開平2−177900号公報参照)を使
用した測定方法などがある。
【0018】
【発明の効果】本発明の方法よれば、二価金属要求酵素
を用いて酵素の活性もしくは基質を定量する際、スルフ
ヒドリル化合物の酸化を抑制し、安定化する効果及び/
又はリン酸(又はリン酸化合物が自己水解もしくは混在
酵素による水解のために生じたリン酸)と二価金属イオ
ンとによる不溶性沈殿の析出を抑制する効果を達成する
ことができる。スルフヒドリル化合物は不安定である
が、基質や酵素の活性化に必要であり、その濃度が低下
すると直接測定値に影響を与える。従って、本発明によ
れば、スルフヒドリル化合物を安定化させることが可能
になるため、液状の試薬で長期間にわたり安定した測定
が可能となる。また、不溶性沈殿の生成が抑制されるた
め、二価金属要求酵素の至適な条件で試薬を調製するこ
とが可能となり、酵素の触媒作用を高めることができ、
更に沈殿物による自動分析装置のノズルの詰りなどの問
題も回避することができる。
【0019】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。 実施例1 0.1M イミダゾール緩衝液(pH6.6)に10m
M 酢酸マグネシウム、10mM NACを添加し、表
1に示すキレート剤を各々12mM添加したもの、E
DTAをあらかじめ2mM添加して同様の表1に示すキ
レ−ト剤を各々10mM添加したものを、30℃で1週
間保存後、NACのスルフヒドリル基を5,5−ジチオ
ビス(2−ニトロ安息香酸)で発色させ、412nmで
比色定量してNACの残存量を測定した。これらの結果
を表2に示した。なお、キレ−ト剤無添加の系をコント
ロールとした。
【0020】表2に示される結果に関し、実用上の観点
から、NAC残存量80%以上をNAC安定化の判断基
準とした場合、二価金属イオンであるマグネシウムの存
在下でNACを安定化できるような系は、DPTA−O
Hを含むこれよりキレ−ト安定度定数の大きいキレ−ト
剤を添加した場合、即ち、キレ−ト安定度定数が5以上
であるキレ−ト剤を添加した場合であることが判った。
また、キレ−ト安定度定数が7より大きいEDTAのよ
うなキレ−ト剤を二価金属イオンの濃度より少なく添加
した系においては、同様にIDAを含むこれよりキレ−
ト安定度定数の大きいキレ−ト剤を添加した場合、即
ち、キレ−ト安定度定数が3以上であるキレ−ト剤を添
加した場合にNACを安定化できることが判った。
【0021】
【表2】
【0022】実施例2 終濃度が10mM 塩化マグネシウムに終濃度が15m
M各種キレ−ト剤、又は終濃度1mM 塩化カルシウム
に終濃度1.5mM各種キレ−ト剤を添加したものに、
終濃度が0.1Mリン酸になるようにリン酸緩衝液を加
えpH7.0に調整し、冷蔵下、1週間保存し、不溶性
沈殿物の有無について肉眼で観察した。その結果を表3
に示した。マグネシウム及びカルシウムとも、キレート
剤のキレ−ト安定度定数が5以上であればリン酸カルシ
ウム、リン酸マグネシウムの沈殿を生成しないことが判
った。
【0023】
【表3】
【0024】実施例3 二価金属要求酵素であるHK、CK、ピルビン酸脱水素
酵素(PDHL)、ヒト膵由来アミラーゼ(pAMY)
及びヒト唾液由来アミラーゼ(sAMY)について、酵
素活性に対するキレ−ト剤の影響を調べた。即ち、HK
については、0.1M リン酸緩衝液(pH8.0)に
0.11M グルコース、0.55mM ATP、0.2
3M NADPに1.25mM 塩化マグネシウムを加え
た溶液に、4mMの各種キレ−ト剤を添加し、HK(sac
charomycessp由来)活性を定量した。CKについては、
0.1M イミダゾール緩衝液(pH6.6)に10m
M 酢酸マグネシウム、2mM アデノシン−5’−2リ
ン酸、5mM アデノシン−5’−1リン酸、20mM
NAC、20mM グルコース、2mM β−NADP、
3U/ml HK、1.5U/ml グルコース−6−リ
ン酸脱水素酵素、30mM CPに、15mMの各種キ
レ−ト剤を添加してヒト血清中のCK活性を測定した。
PDHLについては、50mMトリス(ヒドロキシメチ
ル)アミノメタン(pH7.5)、20mM リン酸一
カリウム、10mM 塩化アンモニウム、2.5mM N
AD、0.2mM チアミンピロリン酸、4mM ピルビ
ン酸ナトリウム、0.2mM CoASH、1.0mM
塩化マグネシウムを加えた溶液に、2mMの各種キレ−
ト剤を添加し、PDHL(ブタ心筋由来)活性を測定し
た。pAMY及びsAMYについては、0.1M リン
酸緩衝液に2mM p−ニトロフェニル−4,6−ベン
ジリデンマルトヘプタオシド、30U/ml α−グル
コシダ−ゼ、30U/ml グルコアミラ−ゼ、50m
M 塩化ナトリウムに1.0mM 塩化カルシウムを加え
た溶液に、2mMの各種キレ−ト剤を添加し、pAMY
(ヒト膵由来)及びsAMY(ヒト唾液由来)活性を測
定した。
【0025】その結果を表4に示す。なお、各酵素活性
は、コントロールの酵素活性を100とする相対活性で
示した。本実施例のように、二価金属イオンよりキレ−
ト剤の添加量が多い場合、キレート剤のキレ−ト安定度
定数が高くなるにつれて二価金属要求酵素の活性は低下
し、特にキレ−ト安定度定数が7以上で阻害が大きい。
従ってキレ−ト安定度定数が7以下のキレ−ト剤を使用
すれば、酵素の触媒活性を低下させないで測定試薬の共
役酵素として使用可能であり、またこれら二価金属要求
酵素の酵素活性においても適正な酵素活性測定が可能と
なる。
【0026】
【表4】
【0027】実施例4 DPTA−OHの濃度を代えて、実際に試薬を調製し、
CK活性及びNACの安定性について検討した。即ち、
0.1M イミダゾール緩衝液(pH6.6)に10m
M 酢酸マグネシウム、2mM アデノシン−5’−2リ
ン酸、5mM アデノシン−5’−1リン酸、20mM
NAC、20mM グルコ−ス、2mM β−NADP、
3U/ml HK、1.5U/ml グルコース−6−リ
ン酸脱水素酵素、30mM CPを加えた溶液に、DP
TA−OHを0〜20mMまで濃度を変化させて添加し
て、ヒト血清中のCK活性及び30℃で1週間保存した
ときのNAC残存量を実施例1に従って測定した。その
結果を表5に示した。DPTA−OHは、NACなどの
スルフヒドリル化合物に対して安定性を高める効果が高
く、またCKを活性化する効果も高い。従って、CK測
定用試薬に添加すると安定且つ定量性のよい試薬を提供
できることが明らかになった。
【0028】
【表5】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡津 吉史 神戸市西区室谷1丁目1−2 国際試薬株 式会社研究開発センター内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二価金属イオンとスルフヒドリル化
    合物の存在下、酵素反応を用いて物質を測定する方法に
    おいて、二価金属イオンに対するキレート安定度定数が
    5〜7のキレート剤を添加し、酵素活性に影響を与えず
    にスルフヒドリル化合物を安定化することを特徴とする
    物質の測定方法。
  2. 【請求項2】 二価金属イオンとスルフヒドリル化
    合物の存在下、酵素反応を用いて物質を測定する方法に
    おいて、二価金属イオンに対するキレート安定度定数が
    7より大きいキレート剤を二価金属イオンのモル濃度よ
    り少なく添加し、更に二価金属イオンに対するキレート
    安定度定数が3〜7のキレート剤を添加し、酵素活性に
    影響を与えずにスルフヒドリル化合物を安定化すること
    を特徴とする物質の測定方法。
  3. 【請求項3】 二価金属イオンとリン酸塩の存在
    下、酵素反応を用いて物質を測定する方法において、二
    価金属イオンに対するキレート安定度定数が5以上のキ
    レート剤を添加し、二価金属イオンとリン酸塩による不
    溶性塩の生成を防止することを特徴とする物質の測定方
    法。
  4. 【請求項4】 二価金属イオンに対するキレート安
    定度定数が5〜7である請求項3に記載の物質の測定方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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