JPH07192904A - ヒーターおよびサーマルヘッド - Google Patents

ヒーターおよびサーマルヘッド

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JPH07192904A
JPH07192904A JP5333596A JP33359693A JPH07192904A JP H07192904 A JPH07192904 A JP H07192904A JP 5333596 A JP5333596 A JP 5333596A JP 33359693 A JP33359693 A JP 33359693A JP H07192904 A JPH07192904 A JP H07192904A
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    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/315Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by selective application of heat to a heat sensitive printing or impression-transfer material
    • B41J2/32Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by selective application of heat to a heat sensitive printing or impression-transfer material using thermal heads
    • B41J2/335Structure of thermal heads
    • B41J2/3355Structure of thermal heads characterised by materials

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  • Non-Adjustable Resistors (AREA)
  • Electronic Switches (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】熱伝導率が高く熱応答性に優れたヒーターを備
え、より高速度の印字記録を可能とする。 【構成】ヒーターは、希土類元素を酸化物に換算して
1.0〜7.5重量%、不純物陽イオン元素としてのL
i,Na,K,Fe,Ca,Mg,Sr,Ba,Mn,
Bを合計で0.3重量%以下含有し、熱伝導率が60W
/m・Kより大きい高熱伝導性窒化けい素基板7または
窒化けい素粒子および粒界相により構成され、粒界相中
における結晶化合物相が粒界相全体に対して体積比で2
0%以上を占め、熱伝導率が60W/m・Kより大きい
高熱伝導性窒化けい素基板7に発熱抵抗体を一体に配置
して構成される。さらに発熱抵抗体を覆うように基板上
に絶縁体層を形成し、この絶縁体層を高熱伝導性窒化け
い素基板7で構成してもよい。またサーマルヘッドは、
高熱伝導性窒化けい素基板7の表面に発熱抵抗体2およ
び耐摩耗層5を一体に積層して構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はセラミックス基板表面に
発熱抵抗体を配設したヒーターおよびサーマルヘッドに
係り、特に発熱抵抗体への印加電圧のON−OFF制御
に対する熱応答性に優れたヒーターおよび高速印字化,
高精細化が可能なサーマルヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】セラミックス基板上に線状の発熱抵抗体
を印刷したヒーターは、面発熱体やガスセンサ,温度セ
ンサ,サーマルヘッドの構成部品として広く利用されて
いる。
【0003】例えばガスセンサの一種として、半導体
と、この半導体に吸着したガス分子との間の電荷の移動
を電気伝導率の変化として検出する半導体型ガスセンサ
が実用化されており、有毒ガスのガス漏れ警報器や炭化
水素などから成る都市ガスのガス漏れ警報器として使用
されている。
【0004】このような半導体型ガスセンサとして、セ
ラミックス基板を用いた抵抗型のものが開発されてい
る。このガスセンサは、例えばアルミナ(Al2 3
基板や窒化アルミニウム(AlN)基板などのセラミッ
クス基板の一方の面(表面)に電極と、ガスを接触させ
るためのガス検知層および触媒層とを形成する一方、他
方の面(裏面)に発熱抵抗体を形成して構成される。ガ
ス検知層は、例えば、感ガス特性を有する半導体膜(厚
膜)と半導体膜に重ねて形成された触媒層とで構成され
る。このガスセンサは、ガスが検知層および触媒層に接
触したときのガス分子と触媒層との間の電荷の移動によ
り、電極の電気伝導度すなわち抵抗値が変化し、電極を
流れる電流値が変化してガスの存在を検出する。
【0005】このように構成されたガスセンサでは、ヒ
ーターとしての発熱抵抗体に通電することにより触媒層
を所定温度に加熱し、触媒層表面におけるガスの酸化還
元反応を円滑に実施せしめて半導体膜の感度と応答性と
を高めるとともに、触媒層の汚れを除去している。
【0006】ところで、ガスセンサの感度および応答性
は半導体や触媒の種類および温度によって異なってお
り、ある特定の検出対象ガスに対して検出感度を最適値
に保持するためには感ガス特性が優れた半導体を選定す
るとともに、センサ温度を一定に保持する必要がある。
【0007】そのため上述したガスセンサは基板表面の
温度分布を均一にするために、セラミックス基板に形成
する発熱抵抗体のパターンを面状にしたり、線状の発熱
抵抗体を基板全面に引き回したりしたヒーターを使用し
ている。これによりセンサのガス検知層を構成する、感
ガス特性を有するSnO2 などの感度分布を一定に保持
している。
【0008】一方、セラミックス基板に発熱抵抗体を形
成したヒーターに、さらに電気導線や耐摩耗層を形成し
たサーマルヘッドも各種印字機器に使用されている。例
えば計測記録計、各種プリンタやファクシミリなどの感
熱記録デバイスに電気信号として送信される情報を感熱
記録紙上に文字、記号または図形画像に変換するために
各種のサーマルヘッドが使用されている。サーマルヘッ
ドは加熱によって発色する化学材料を塗布した感熱記録
紙面に文字、画像を形成するために電流加熱される発熱
抵抗体を有している。
【0009】すなわち、従来の厚膜式サーマルプリンタ
の記録部となるサーマルヘッドの基本構成は、一般に図
10に示すように、アルミナ(Al2 3 )から成るセ
ラミックス基板1と、この基板1上に形成され、電圧印
加によって発熱する発熱抵抗体2と、発熱抵抗体2の端
部に対向するように接続された電気導線(電極)3と、
感熱記録紙4の接触摩耗から上記発熱抵抗体2および電
気導線3を保護するための耐摩耗層5とから構成されて
いる。
【0010】この厚膜形サーマルヘッドに送りローラ6
を介して感熱記録紙4が圧着され、この状態で発熱抵抗
体2にパルス電圧が印加されると、感熱記録紙4に塗布
されていた発色剤が化学反応を起こし、発熱抵抗体2部
分に接触している発色層が点(ドット)状に発色する。
送りローラによって記録紙4を順次、矢印方向に移動さ
せながら、パルス状加熱を繰り返すことにより、多数の
発色ドットが得られ、この発色ドットの配列の仕方によ
り、文字、記号または画像の記録がなされる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来のヒーターにおけるセラミックス基板は、熱伝導率が
小さいアルミナ(Al2 3 )を主たる構成材料として
形成されているため、熱応答特性が低い問題点がある。
すなわち発熱抵抗体への通電のON−OFF操作に伴う
ヒーターの表面温度が所定値になるまでの時間の遅れが
大きく、ガスセンサ用のヒーターとして使用した場合に
高精度で迅速なガス検知が困難になる問題点があった。
【0012】一方、上記従来のサーマルヘッドのセラミ
ックス基板も、熱伝導率が小さいアルミナ(Al
2 3 )を主たる構成材料として形成されているため、
熱応答特性が低く、一旦加熱されたヘッドが感熱紙の発
色温度以下の温度までに冷却されるまでの放熱時間が長
くなり、その結果、記録紙の地汚れや印字の尾引きが発
生し易くなり、高速記録プリンタ用のヘッドとしては不
適な場合が多かった。近年印字速度の高速化が求められ
ており、より印字の高速化に充分な対応ができ、熱応答
特性および信頼性が高いサーマルヘッドが希求されてい
る。
【0013】一方窒化アルミニウム製基板は他のセラミ
ックス基板と比較して高い熱伝導率と低熱膨張係数の特
長を有するため、高速化、高出力化、多機能化、大型化
が進展する半導体チップの回路部品やパッケージ材料と
して普及しているが、ヒーターやサーマルヘッドに必要
な機械的強度の点で充分に満足できるものは得られてい
ない。また高温時に酸素,水分と反応し易く、特性上不
安定な面も有する。
【0014】さらに上記セラミックス構造部材を主たる
構成材とするヒーターやサーマルヘッドを固定部にねじ
止め等により固定しようとすると、ねじの押圧力による
僅かな変形や印字動作時の衝撃力によってヒーターやサ
ーマルヘッドが破損し、適用製品の歩留りを大幅に低減
させる場合がある。したがって、ヒーターやサーマルヘ
ッドにおいても、外力に耐える高強度特性と、高出力
化,高速化に対応できる優れた熱応答特性を兼ね備えた
ものが要請されている。特に感熱記録デバイスに使用さ
れるサーマルヘッドには高精細化,高速化などの高機能
化が要求されている。
【0015】本発明は上記のような課題要請に対処する
ためになされたものであり、高強度特性に加えて、熱伝
導率が高く熱応答性に優れたヒーターと、同じく高強度
特性および熱応答性を兼ね備え、より高速度の印字記録
を可能とするサーマルヘッドとを提供することを目的と
する。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記目的を達
成するため、特に優れた靭性値,曲げ強度などの機械的
強度を有する窒化けい素焼結体に着目し、この機械的強
度を損うことなく、熱伝導性を高める方策を種々検討
し、ヒーターおよびサーマルヘッド用の基板材料への適
用性について研究した。すなわち従来の窒化けい素焼結
体に対して窒化けい素粉末の種類、焼結助剤や添加物の
種類および添加量、焼結条件等を種々検討を加えた結
果、従来の窒化けい素焼結体の有する熱伝導率の2倍以
上の高い熱伝導性を有する窒化けい素焼結体を開発し、
さらにそれらの要素が最終製品としてヒーターやサーマ
ルヘッドとして使用する際に効果が大きいことを実験に
より確認した。
【0017】具体的には、微細で高純度を有する窒化け
い素粉末に希土類元素、窒化アルミニウム、アルミナな
どのアルミニウム成分を所定量ずつ添加した原料混合体
を成形脱脂し、得られた成形体を所定温度で一定時間加
熱保持して緻密化焼結を実施した後、従来製法と比較し
て低い所定以下の冷却速度で徐冷したときに熱伝導率が
大きく向上し、かつ高強度を併有する窒化けい素基板が
得られることが判明し、放熱特性および強度特性を共に
満足する新規な窒化けい素材料を開発した。そして、こ
の窒化けい素材料を、ヒーターおよびサーマルヘッドを
構成するセラミックス基板に適用したときに、優れた熱
応答特性と耐久性とを同時に達成できることが判明し
た。
【0018】また上記セラミックス基板の構成原料とし
て、酸素や不純物陽イオン元素含有量を低減した高純度
の窒化けい素原料粉末を使用し、上記条件にて焼結する
ことにより、粒界相におけるガラス相(非晶質相)の生
成を効果的に抑制でき、粒界相における結晶化合物相を
20体積%以上(粒界相全体に対し)とすることにより
希土類元素酸化物のみを原料粉末に添加した場合におい
ても60W/m・K以上の高熱伝導率を有する窒化けい
素基板が得られるという知見を得た。
【0019】また、従来、焼結操作終了後に焼成炉の加
熱用電源をOFFとして焼結体を炉冷していた場合に
は、冷却速度が毎時400〜800℃と急速であった
が、本発明者の実験によれば、特に冷却速度を毎時10
0℃以下に緩速に制御することにより、窒化けい素焼結
体組織の粒界相が非結晶質状態から結晶相を含む相に変
化させ、高強度特性と高伝熱特性とが同時に達成され、
この窒化けい素焼結体をヒーターおよびサーマルヘッド
のセラミックス基板として使用した際に、優れた耐久性
および熱応答特性が得られることが判明した。
【0020】本発明は上記知見に基づいて完成されたも
のである。すなわち本発明に係るヒーターは、希土類元
素を酸化物に換算して1.0〜7.5重量%、不純物陽
イオン元素としてのLi,Na,K,Fe,Ca,M
g,Sr,Ba,Mn,Bを合量で0.3重量%以下含
有し、熱伝導率が60W/m・K以上である高熱伝導性
窒化けい素基板に発熱抵抗体を一体に配置したことを特
徴とする。
【0021】また他の態様として、窒化けい素粒子およ
び粒界相により構成され、粒界相中における結晶化合物
相が粒界相全体に対して体積比で20%以上を占め、熱
伝導率が60W/m・K以上である高熱伝導性窒化けい
素基板に発熱抵抗体を一体に配置したことを特徴とす
る。
【0022】発熱抵抗体はTi,Zr,Hf,V,C
r,Mo,W,NiCr,ネサ膜,Ta−Si,Ta2
N,Ta−SiO2 およびNb−SiO2 から選択され
る少なくとも1種の元素または化合物から形成するとよ
い。
【0023】ここで上記高融点金属(タングステン系,
モリブデン系)合金を主成分とする発熱抵抗体は窒化け
い素基板との密着性に優れており、耐久性の良いヒータ
ーが得られる。特にタングステン−白金合金で形成した
発熱抵抗体は、耐酸化性に優れているため、長寿命のヒ
ーターが得られる。なお、発熱抵抗体は、メタライズ法
により形成してもよいが、電気抵抗線を配設して形成す
ることもできる。
【0024】また上記発熱抵抗体を覆うように窒化けい
素基板上に絶縁体層を形成して構成することもできる。
この絶縁体層を形成することにより、導電性を有する発
熱抵抗体が周辺の構成部品と電気的に接触して、誤動作
等を引き起こすことが効果的に防止できる。この絶縁体
層を構成する材料としては、汎用のアルミナ,ムライ
ト,Si3 4 などが使用できる。特にこの絶縁体層の
構成材料として窒化けい素基板と同一の材料を使用する
ことによって、絶縁体層および窒化けい素基板の熱膨張
率を等しくすることができ、両者の熱膨張差による剥離
を防止することができ、耐久性が優れたヒーターを形成
することができる。
【0025】また本発明に係るサーマルヘッドは、希土
類元素を酸化物に換算して1.0〜7.5重量%、不純
物陽イオン元素としてのLi,Na,K,Fe,Ca,
Mg,Sr,Ba,Mn,Bを合量で0.3重量%以下
含有し、熱伝導率が60W/m・K以上である高熱伝導
性窒化けい素基板表面に、発熱抵抗体および耐摩耗層を
一体に積層したことを特徴とする。
【0026】さらにサーマルヘッドの他の態様として、
窒化けい素粒子および粒界相により構成され、粒界相中
における結晶化合物相が粒界相全体に対して体積比で2
0%以上を占め、熱伝導率が60W/m・K以上である
高熱伝導性窒化けい素基板表面に、発熱抵抗体および耐
摩耗層を一体に積層して構成してもよい。
【0027】上記ヒーターおよびサーマルヘッドに使用
される高熱伝導性窒化けい素基板は、例えば以下の方法
で製造される。すなわち、酸素を1.7重量%以下、不
純物陽イオン元素としてのLi,Na,K,Fe,C
a,Mg,Sr,Ba,Mn,Bを0.3重量%以下、
α相型窒化けい素を90重量%以上含有し、平均粒径
0.8μm以下の窒化けい素粉末に、希土類元素を酸化
物に換算して1.0〜7.5重量%を添加した原料混合
体をドクターブレード法等によって成形して成形体を調
製し、得られた成形体を脱脂後、温度1800〜200
0℃で雰囲気加圧焼結し、上記焼結温度から、上記希土
類元素により焼結時に形成された液相が凝固する温度ま
でに至る焼結体の冷却速度を毎時100℃以下に設定
し、得られた焼結体を研削研摩加工して製造される。
【0028】また上記製造方法において、上記原料混合
体に、さらにTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,C
r,Mo,Wの酸化物,炭化物、窒化物、けい化物、硼
化物からなる群より選択される少なくとも1種を0.2
〜3.0重量%と、必要に応じてアルミナおよび窒化ア
ルミニウムの少なくとも一方を0.1〜2.0重量%と
を添加してもよい。
【0029】上記製造方法によれば、窒化けい素結晶組
織中に希土類元素等を含む粒界相が形成され、気孔率が
1.5%以下、熱伝導率が60W/m・K以上、三点曲
げ強度が室温で80kg/mm2 以上の機械的特性および熱
伝導特性が共に優れた高熱伝導性窒化けい素基板が得ら
れる。
【0030】上記高熱伝導性窒化けい素基板の主原料と
なる窒化けい素粉末としては、焼結性、強度および熱伝
導率を考慮して、酸素含有量が1.7重量%以下、好ま
しくは0.5〜1.5重量%、Li,Na,K,Fe,
Mg,Ca,Sr,Ba,Mn,Bなどの不純物陽イオ
ン元素の含有量が0.3重量%以下、好ましくは0.2
重量%以下で、焼結性が優れたα相型窒化けい素を90
重量%以上、好ましくは93重量%以上含有し、平均粒
径が0.8μm以下、好ましくは0.4〜0.6μm程
度の微細な窒化けい素粉末を使用する。
【0031】平均粒径が0.8μm以下の微細な原料粉
末を使用することにより、少量の焼結助剤であっても気
孔率が1.5%以下の緻密な焼結体を形成することが可
能であり、また焼結助剤が熱伝導特性を阻害するおそれ
も減少する。
【0032】またFe,Mg,Ca,Sr,Ba,M
n,B,Li,Na,Kは不純物陽イオン元素として熱
伝導性を阻害する物質として作用するため、60W/m
・K以上の熱伝導率を確保するためには、上記不純物陽
イオン元素の含有量は合計で0.3重量%以下に設定さ
れる。特にβ相型と比較して焼結性に優れたα相型窒化
けい素を90重量%以上含有する窒化けい素原料粉末を
使用することにより、高密度の窒化けい素基板を製造す
ることができる。
【0033】また前記窒化けい素原料粉末に焼結助剤と
して添加する希土類元素としてはY,La,Sc,P
r,Ce,Nd,Dy,Ho,Gdなどの酸化物もしく
は焼結操作により、これらの酸化物となる物質が単独
で、または2種以上の酸化物を組み合せたものを含んで
もよいが、特に酸化イットリウム(Y2 3 )が好まし
い。これらの焼結助剤は、窒化けい素原料粉末と反応し
て液相を生成し、焼結促進剤として機能する。
【0034】上記焼結助剤の添加量は、酸化物換算で原
料粉末に対して1.0〜7.5重量%の範囲に設定され
る。この添加量が1.0重量%未満と過少の場合は、焼
結体が緻密化されず、一方、添加量が7.5重量%を超
える過量となると、過量の粒界相が生成し、熱伝導率の
低下や強度が低下し始めるので上記範囲に設定される。
特に好ましくは3.0〜6.0重量%に設定することが
望ましい。
【0035】さらに、他の添加成分としてのアルミナ
(Al2 3 )は、上記希土類元素の焼結促進剤の機能
を助長する役目を果すものであり、特に加圧焼結を行な
う場合に著しい効果を発揮するものである。Al2 3
の添加量が0.1重量%未満の場合においては緻密化が
不充分である一方、2.0重量%を超える過量となる場
合には過量の粒界相を生成したり、または窒化けい素に
固溶し始め、熱伝導の低下が起こるため、添加量は2.
0重量%以下、好ましくは0.1〜2.0重量%の範囲
に設定される。特に強度、熱伝導率共に良好な性能を確
保するためには添加量を0.2〜1.5重量%の範囲に
設定することが望ましい。
【0036】また、後述するAlNと併用する場合に
は、その合計添加量は2.0重量%以下に設定すること
が望ましい。
【0037】さらに他の添加成分としての窒化アルミニ
ウム(AlN)は焼結過程における窒化けい素の蒸発な
どを抑制するとともに、上記希土類元素の焼結促進剤と
しての機能をさらに助長する役目を果すものである。
【0038】AlNの添加量が0.3重量%未満(アル
ミナと併用する場合では0.1重量%未満)の場合にお
いては緻密化が不充分である一方、2.0重量%を超え
る過量となる場合には過量の粒界相を生成したり、また
は窒化けい素に固溶し始め、熱伝導の低下が起こるた
め、添加量は2.0重量%以下、好ましくは0.3〜
2.0重量%の範囲に設定される。特に強度、熱伝導率
共に良好な性能を確保するためには添加量を0.5〜
1.5重量%の範囲に設定することが望ましい。なお前
記Al2 3 と併用する場合には、AlNの添加量は
0.1〜2.0重量%の範囲が好ましい。
【0039】また他の添加成分として使用するTi,Z
r,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,Wの酸化物,
炭化物、窒化物、けい化物、硼化物は、上記希土類元素
の焼結促進剤の機能を促進すると共に、窒化けい素結晶
組織において分散強化の機能を果しSi3 4 基板の機
械的強度を向上させるものである。これらの化合物の添
加量が0.2重量%未満の場合においてはSi3 4
板の緻密化が不充分である一方、3.0重量%を超える
過量となる場合には熱伝導率および機械的強度や電気絶
縁破壊強度の低下が起こるため、添加量は0.2〜3.
0重量%の範囲に設定される。特に好ましくは0.3〜
2.0重量%に設定することが望ましい。
【0040】また窒化アルミニウム(AlN)は焼結過
程における窒化けい素の蒸発などを抑制する一方、上記
焼結促進剤の機能をさらに助長し、アルミナと同様に上
記Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W
などの酸化物の添加量を相対的に軽減する役目を果す。
これらアルミナや窒化アルミニウムなどのアルミニウム
化合物の添加量はTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,
Cr,Mo,Wの酸化物などの添加量と密接な関係があ
る。すなわち上記Ti化合物等の添加量が0.2重量%
未満であり、かつAl2 3 およびAlN等のアルミニ
ウム化合物が単独または併用して添加され、その添加量
が0.1重量%未満の場合においては緻密化が不充分で
ある一方、アルミニウム化合物の添加量が2.0重量%
を超える過量となる場合には過量の粒界相を生成した
り、または窒化けい素に固溶し始め、熱伝導の低下が起
こるため、添加量は0.1〜2.0重量%の範囲に設定
される。特に強度、熱伝導率共に良好な性能を確保する
ためには添加量を0.2〜1.5重量%の範囲に設定す
ることが望ましい。
【0041】また窒化けい素基板の気孔率は、その熱伝
導率および強度に大きく影響するため1.5%以下、望
ましくは0.5%以下に設定される。気孔率が1.5%
を超えると熱伝導の妨げとなり、基板の熱伝導率が低下
するとともに、基板の強度低下が起こる。
【0042】また、窒化けい素結晶組織に形成される粒
界相は基板の熱伝導率に大きく影響するため、本発明に
係るヒーターおよびサーマルヘッドに使用する窒化けい
素基板においては、体積比で粒界相の20%以上が結晶
相で占めるように設定される。結晶相が20%未満では
熱伝導率が60W/m・K以上となるような放熱特性に
優れ、かつ高温強度に優れた高熱伝導性窒化けい素基板
が得られないからである。
【0043】さらに上記のように窒化けい素基板の気孔
率を1.5%以下にし、また窒化けい素結晶組織に形成
される粒界相の20体積%以上が結晶相で占めるように
するためには、窒化けい素成形体を温度1800〜20
00℃で0.5〜10時間程度、加圧焼結し、かつ焼結
操作完了直後における焼結体の冷却速度を毎時100℃
以下に調整制御することが必要である。
【0044】焼結温度を1800℃未満に設定した場合
には、窒化けい素基板の緻密化が不充分で気孔率が1.
5vol%以上になり機械的強度および熱伝導性が共に低下
してしまう。一方焼結温度が2000℃を超えると窒化
けい素成分自体が蒸発分解し易くなる。特に加圧焼結で
はなく、常圧焼結を実施した場合には、1800℃付近
より窒化けい素の分解蒸発が始まる。
【0045】上記焼結操作完了直後における窒化けい素
焼結体の冷却速度は粒界相を結晶化させるために重要な
制御因子であり、冷却速度が毎時100℃を超えるよう
な急速冷却を実施した場合には、焼結体組織の粒界相が
非結晶質(ガラス相)となり、焼結体に生成した液相が
結晶相として粒界相に占める体積割合が20%未満とな
り、強度および熱伝導性が共に低下してしまう。
【0046】上記冷却速度を厳密に調整すべき温度範囲
は、所定の焼結温度(1800〜2000℃)から、前
記の焼結助剤の反応によって生成する液相が凝固するま
での温度範囲で充分である。ちなみに前記のような焼結
助剤を使用した場合の液相凝固点は概略1600〜15
00℃程度である。そして少なくとも焼結温度から上記
液相凝固温度に至るまでの焼結体の冷却速度を毎時10
0℃以下、好ましくは50℃以下に制御することによ
り、体積比で粒界相の20%以上、望ましくは50%以
上が結晶相になり、熱伝導率および機械的強度が共に優
れた高熱伝導性窒化けい素基板が得られる。
【0047】本発明に係るヒーターおよびサーマルヘッ
ドは、例えば以下のようなプロセスを経て製造される。
すなわち前記所定の微細粒径を有し、また不純物含有量
が少ない微細な窒化けい素粉末に対して所定量の焼結助
剤、有機バインダ等の必要な添加剤およびAl2 3
AlNまたはTi,Zr,Hf等の化合物を加えて原料
混合体を調整し、次に得られた原料混合体を成形して所
定形状の成形体を得る。原料混合体の成形法としては、
汎用の金型プレス法、あるいはドクターブレード法のよ
うなシート成形法なども適用できる。上記成形操作に引
き続いて、成形体を非酸化性雰囲気中で温度600〜8
00℃で1〜2時間加熱して、予め添加していた有機バ
インダ成分を充分に除去し、脱脂する。次に脱脂処理さ
れた成形体を窒素ガス、水素ガスやアルゴンガスなどの
不活性ガス雰囲気中で1800〜2000℃の温度で所
定時間雰囲気加圧焼結を行い、さらに得られた焼結体を
研削研摩加工して所定形状の高熱伝導性窒化けい素基板
が得られる。この製法によって製造された窒化けい素基
板は気孔率が1.5%以下、60W/m・K(25℃)
以上の高熱伝導率を有し、また三点曲げ強度が常温で8
0kg/mm2 以上と機械的特性にも優れている。
【0048】そして得られた高熱伝導性窒化けい素基板
に発熱抵抗体および必要に応じて絶縁体層を一体に形成
することにより、本発明に係るヒーターが得られる。な
お上記ヒーターの窒化けい素基板,発熱抵抗体および絶
縁体層を同時焼成によって一体に形成することもでき
る。すなわち、まず前記低酸素で不純物が少ない微細な
窒化けい素原料粉末に焼結助剤を添加し、有機バインダ
および溶剤等を添加して均一な混合体を調製し、得られ
た混合体をドクターブレード法等により板状に射出して
グリーンシートを成形し、得られたグリーンシート上
に、タングステンまたはモリブデン粉末を主成分とする
導体(発熱抵抗体)ペーストを用い、スクリーン印刷法
などによって配線パターンを印刷し、発熱抵抗体を形成
する。
【0049】さらに発熱抵抗体の上面に重なるように、
アルミナ,ムライト,窒化けい素などの絶縁体を主成分
とする絶縁ペーストをスクリーン印刷により基板全面に
印刷して絶縁体層を形成する。なお絶縁体層は、発熱抵
抗体の端部を絶縁体層の外部に導出するためのスルーホ
ールを設け、各スルーホール内を導体ペーストで充填し
てリードパッドを形成する。そして得られたヒーター積
層体をN2 などの不活性雰囲気中で脱脂,焼成して一体
化し、所定形状のヒーターを得ることもできる。このよ
うに窒化けい素基板、発熱抵抗体および絶縁体層を同時
焼成によって一体に形成することにより、各構成材間の
密着性が向上し、特に発熱抵抗体の電気抵抗の経時変化
が効果的に防止される。
【0050】一方、前記得られた高熱伝導性窒化けい素
基板に発熱抵抗体および耐摩耗層を一体に形成して、本
発明に係るサーマルヘッドが製造される。このサーマル
ヘッドの発熱抵抗体は、印加されたパルス電圧によって
発熱し、感熱記録をドット状に発色させるものであり、
例えばTa2 N,NiCr合金,ネサ膜,Ta−SiO2 ,T
a−Siなどの原料をペースト状にした後に、スクリー
ン印刷法などの製膜技術を利用して形成される。
【0051】
【作用】上記構成に係るヒーターおよびサーマルヘッド
によれば、その強度特性および熱応答特性を支配するセ
ラミックス基板として、窒化けい素焼結体が本来的に備
える高強度特性に加えて、60W・m・K以上という高
い熱伝導率を併有する新規な高熱伝導性窒化けい素基板
を使用しているため、発熱抵抗体に印加する電圧のON
−OFF動作に対して優れた熱応答特性を発揮できると
ともに優れた耐久性を示すことができる。特に上記サー
マルヘッドにおいては、従来のアルミナと比較して熱伝
導率が少なくとも2〜5倍も高い高熱伝導性窒化けい素
基板を使用しているため、一旦印字温度まで立上げて発
熱した抵抗体を所定温度まで冷却するまでの立下げ時間
が大幅に短縮される。したがって発熱抵抗体の温度の立
上り時間と立下げ時間との和である印字の繰返し時間が
極めて短かくなる結果、サーマルヘッドの熱応答性が大
幅に改善され、記録速度を大幅に上昇させることが可能
となる。
【0052】
【実施例】次に本発明を以下に示す実施例を参照して具
体的に説明する。まず本発明に係るヒーターおよびサー
マルヘッドの強度特性および熱応答特性を支配する高熱
伝導性窒化けい素基板について以下の実施例に基づき説
明し、しかる後にヒーターおよびサーマルヘッドに適用
した事例を順次説明する。
【0053】実施例1〜3 酸素を1.3重量%、不純物陽イオン元素を0.15重
量%含有し、α相型窒化けい素97%を含む平均粒径
0.55μmの窒化けい素原料粉末に対して、焼結助剤
として平均粒径0.7μmのY2 3 (酸化イットリウ
ム)粉末5重量%、平均粒径0.5μmのAl2
3 (アルミナ)粉末1.5重量%を添加し、エチルアル
コール中で24時間湿式混合した後に乾燥して原料粉末
混合体を調整した。次に得られた原料粉末混合体に有機
バインダを所定量添加して均一に混合した後に、100
0kg/cm2 の成形圧力でプレス成形し、長さ50mm×幅
50mm×厚さ5mmの成形体を多数製作した。次に得られ
た成形体を700℃の雰囲気ガス中において2時間脱脂
した後に、この脱脂体を窒素ガス雰囲気中7.5気圧に
て1900℃で6時間保持し、緻密化焼結を実施した後
に、焼結炉に付設した加熱装置への通電量を制御して焼
結炉内温度が1500℃まで降下するまでの間における
焼結体の冷却速度がそれぞれ100℃/hr(実施例
1)、50℃/hr(実施例2)、25℃/hr(実施例
3)となるように調整して焼結体を冷却し、さらに得ら
れた各焼結体を研摩加工してそれぞれ実施例1〜3に係
る窒化けい素基板を調製した。
【0054】比較例1 一方、緻密化焼結完了直後に、加熱装置電源をOFFに
し、従来の炉冷による冷却速度(約500℃/hr)で焼
結体を冷却した点以外は実施例1と同一条件で焼結処理
して比較例1に係る窒化けい素基板を調製した。
【0055】比較例2 酸素を1.5重量%、不純物陽イオン元素を0.6重量
%含有し、α相型窒化けい素93%を含む平均粒径0.
60μmの窒化けい素原料粉末を用いた点以外は実施例
1と同一条件で処理し、比較例2に係る窒化けい素基板
を調製した。
【0056】比較例3 酸素を1.7重量%、不純物陽イオン元素を0.7重量
%含有し、α相型窒化けい素91%を含む平均粒径1.
1μmの窒化けい素原料粉末を用いた点以外は実施例1
と同一条件で処理し、比較例3に係る窒化けい素基板を
調製した。
【0057】こうして得た実施例1〜3および比較例1
〜3に係る窒化けい素基板について気孔率、熱伝導率
(25℃)、室温での三点曲げ強度の平均値を測定し
た。さらに、各基板をX線回折法によって粒界相に占め
る結晶相の割合(体積比)を測定し、各表1に示す結果
を得た。
【0058】
【表1】
【0059】表1に示す結果から明らかなように実施例
1〜3に係る窒化けい素基板においては、比較例1と比
較して緻密化焼結完了直後における焼結体の冷却速度を
従来より低く設定しているため、粒界相に結晶相を含
み、結晶相の占める割合が高い程、高熱伝導率を有する
放熱性の高い高強度かつ高熱伝導性窒化けい素基板が得
られた。
【0060】一方、比較例1のように焼結体の冷却速度
を大きく設定し、急激に冷却した場合は粒界相が全て非
結晶質で形成され熱伝導率が低下した。また、比較例2
のように不純物陽イオン元素を0.6重量%と多く含有
した窒化けい素粉末を用いた場合は焼結体の冷却速度を
実施例1と同一にしても粒界相が全て非結晶質で形成さ
れ熱伝導率が低下した。
【0061】さらに比較例3のように平均粒径が1.1
μmと粗い窒化けい素粉末を用いた場合は、焼結におい
て緻密化が不充分で強度、熱伝導率とも低下した。
【0062】実施例4〜12および比較例4〜7 実施例4〜12として実施例1において使用した窒化け
い素粉末とY2 3粉末とAl2 3 粉末とを表2に示
す組成比となるように調合して原料混合体をそれぞれ調
製した。
【0063】次に得られた各原料混合体を実施例1と同
一条件で成形脱脂処理した後、表2に示す条件で焼結処
理し、さらに研摩加工してそれぞれ実施例4〜12に係
る窒化けい素基板を製造した。
【0064】一方比較例4〜7として表2に示すように
Al2 3 を過少量に添加したもの(比較例4)、Y2
3 を過少量に添加したもの(比較例5)、Al2 3
を過量に添加したもの(比較例6)、Y2 3 を過量に
添加したもの(比較例7)の原料混合体をそれぞれ調製
し、実施例1と同一条件で原料混合から焼結操作を実施
してそれぞれ比較例4〜7に係る窒化けい素基板を製造
した。
【0065】こうして製造した実施例4〜12および比
較例4〜7に係る各窒化けい素基板について実施例1と
同一条件で気孔率、熱伝導率(25℃)、室温での三点
曲げ強度の平均値、X線回折法による粒界相に占める結
晶相の割合を測定し、下記表2に示す結果を得た。
【0066】
【表2】
【0067】表2に示す結果から明らかなように、Y2
3 ,Al2 3 を所定量含有し、焼結後の冷却速度を
所定に設定した実施例4〜12に係る窒化けい素基板
は、いずれも高熱伝導率で高強度値を有している。一
方、比較例4〜7に示すように、Y2 3 ,Al2 3
の少なくとも1種の成分が過少量、あるいは過量添加さ
れた場合は、緻密化が不充分であったり、粒界相が過量
あるいは粒界相に占める結晶相の割合が低過ぎるため
に、曲げ強度が低下、または熱伝導率が劣ることが確認
された。
【0068】実施例13〜16 実施例13〜16として実施例1において使用したY2
3 粉末に置き換えて表3に示す希土類酸化物を使用し
た以外は実施例1と同一条件で処理して実施例13〜1
6に係る窒化けい素基板を製造した。
【0069】こうして得た実施例13〜16に係る窒化
けい素基板について実施例1と同一条件で気孔率、熱伝
導率(25℃)、室温での三点曲げ強度の平均値、X線
回折による粒界相に占める結晶相の割合を測定し下記表
3に示す結果を得た。
【0070】
【表3】
【0071】表3に示す結果から明らかなようにY2
3 に置き換えて他の希土類元素を使用した実施例13〜
16に係る窒化けい素基板はY2 3 添加のものと同等
の性能を有することが確認された。
【0072】次に上記高熱伝導性窒化けい素基板を、ヒ
ーターに適用した例について、以下の実施例を参照して
説明する。
【0073】実施例17 図1および図2は、本発明に係るヒーターの一実施例の
構成を示す平面図および断面図である。本実施例17に
示すヒーター10は、実施例3において調製したところ
の熱伝導率が115W/m・Kで三点曲げ強度が98kg
/mm2 である高熱伝導性窒化けい素基板をセラミックス
基板11として使用し、その表面に窒化タンタル(Ta
2 N)から成る発熱抵抗体12を形成し、さらに発熱抵
抗体12を覆うようにセラミックス基板11表面に絶縁
体層13を一体に形成して構成される。上記高熱伝導性
窒化けい素から成るセラミックス基板11の寸法は20
×10×1.0mmであり、発熱抵抗体12の蛇行幅Wは
3mm,蛇行間隔Lは0.2mmとした。上記絶縁体層13
およびセラミックス基板11は共に実施例3において、
調製した高熱伝導性窒化けい素焼結体から形成されてい
る。
【0074】上記実施例17に係るヒーターによれば、
発熱抵抗体12を担持するセラミックス基板11および
絶縁体層13が共に高強度および高熱伝導性を有する窒
化けい素焼結体で形成されているため、発熱抵抗体12
に印加する電圧のON−OFF動作に対応して優れた熱応
答性および耐久性が同時に発揮される。
【0075】さらにセラミックス基板11と絶縁体層1
3とを共に同一材質で構成しているため、両者の熱膨脹
差による剥離や割れの発生が効果的に防止でき、優れた
耐久性を発揮する。
【0076】実施例18 図3は本発明に係るヒーターの他の実施例を示す断面図
である。すなわち図3に示す実施例18に係るヒーター
10aは、図2に示す高熱伝導性窒化けい素で形成した
絶縁体層13に代えて、通常のSi3 4 焼結体,Al
2 3 ,ムライトなどの絶縁材で絶縁体層13aを形成
した以外は実施例17のヒーター10と同一である。
【0077】本実施例のヒーター10aによれば、発熱
抵抗体12を担持するセラミックス基板11として、高
熱伝導性窒化けい素基板を使用しているため、図におい
て下方向に対する熱伝導性が優れており、同様に高い熱
応答特性を発揮することができる。
【0078】実施例19 図4は本発明に係るヒーターの他の実施例を示す断面図
である。すなわち図4に示す実施例19に係るヒーター
10bは、図2〜3に示すヒーター10,10aにおい
て、絶縁体層を被着しない以外は実施例17〜18のヒ
ーター10a,10bと同一である。
【0079】本実施例のヒーター10bにおいて、絶縁
体層がなく発熱抵抗体12が表面に露出した簡素な構造
を採用している。したがってヒーター10bの周囲に、
発熱抵抗体12と接触して短絡等を生じる他の導電体等
が配設されない場合については、本実施例のヒーター1
0bで充分である。
【0080】実施例20 図5は本発明に係るヒーターの他の実施例を示す断面図
である。すなわち図5に示す実施例20に係るヒーター
10cは、図2に示す高熱伝導性窒化けい素で形成した
セラミックス基板11に代えて、通常のSi3 4 焼結
体,Al2 3 ,ムライトなどの絶縁材でセラミックス
基板11aを形成した以外は実施例17のヒーター10
と同一である。
【0081】本実施例のヒーター10cによれば、絶縁
体層13の構成材料として、高熱伝導性窒化けい素基板
を使用しているため、図において上方向に対する熱伝導
性が優れており、同様に高い熱応答特性を発揮すること
ができる。
【0082】比較例8 一方、図2で示す実施例17のヒーター10に使用した
セラミックス基板11および絶縁体層13に代えて、熱
伝導率が25W/m・Kで三点曲げ強度が31kg/mm2
のAl2 3 焼結体でセラミックス基板および絶縁体層
を形成した以外は実施例17と同様に処理して、比較例
8に係るAl2 3 ヒーターを作成した。
【0083】比較例9 また、図2で示す実施例17のヒーター10に使用した
セラミックス基板11および絶縁体層13に代えて、熱
伝導率が140W/m・Kで三点曲げ強度が32kg/mm
2 のAlN焼結体でセラミックス基板および絶縁体層を
形成した以外は実施例17と同様に処理して、比較例9
に係るAlNヒーターを作成した。
【0084】こうして調製した実施例17および比較例
8〜9に係る各ヒーターについて、その昇温特性(熱応
答性)を評価するために、各ヒーターの発熱抵抗体12
への通電量を15Wに設定し、無負荷状態においてヒー
ターの表面温度の経時変化を測定し、図6に示す結果を
得た。また各ヒーターの加熱能力の指標として、昇温速
度および電力密度を測定し、下記表4に示す結果を得
た。
【0085】
【表4】
【0086】図6および表4に示す結果から明らかなよ
うに、高強度かつ高熱伝導性窒化けい素基板によりセラ
ミックス基板および絶縁体層を形成した実施例17のヒ
ーターによれば、Al2 3 焼結体で形成した比較例8
のヒーターと比較して、表面温度が通電開始直後から急
激に上昇し、優れた熱応答特性を有することが確認でき
た。また図6において、実施例17のヒーターとAlN
焼結体で形成した比較例9のヒーターとは双方とも高い
熱伝導率を有するため、ほぼ同等の昇温特性を示してい
る。しかしながら、表4から明らかなように、比較例9
に係るヒーターの三点曲げ強度は、実施例17のヒータ
ーと比較して1/3程度であり、耐久性が極めて劣って
いることがわかる。
【0087】なお以上説明した実施例においては、平板
形状を有するヒーターを例にとって説明したが、ヒータ
ーの形状は上記に限定されるものではなく、加熱対象物
の形状等に対応して、適宜、管状,円環状等の形状に製
作することも可能である。
【0088】次に前記実施例にて調製した高熱伝導性窒
化けい素基板をサーマルヘッドに適用した例について、
以下の実施例を参照して説明する。
【0089】実施例21 図7は本発明に係る厚膜形サーマルヘッドの一実施例を
示す断面図である。なお図10に示す従来例と同一要素
には同一符号を付してその重複する説明を省略する。
【0090】すなわち本実施例に係る厚膜形サーマルヘ
ッドは、表面粗さRaが1μm以下であり、実施例3に
おいて調製した熱伝導率が115W/m・K,三点曲げ
強度が98kg/mm2 の高熱伝導性窒化けい素基板7表面
に、発熱抵抗体2および耐摩耗層5を積層して構成され
る。また発熱抵抗体2の両端部にはAu,Ag,Pd−
Ag,Pt−Au等の導体ペーストを転写焼成して形成
された電気導線(電極)3が接合されている。
【0091】本実施例に係るサーマルヘッドはセラミッ
クス基板として、従来のアルミナ基板と比較して4〜5
倍の熱伝導率を有する高熱伝導性窒化けい素基板7を使
用することを大きな特徴としている。
【0092】また上記高熱伝導性窒化けい素基板7の表
面粗さRa(JIS B0601に規定する中心線平均
粗さ)の大小は、基板7と基板上に配設される発熱抵抗
体2との密着性および化学的接合強度に大きく影響する
ため、1μm以下に設定するとよい。表面粗さRaが1
μmを超えると、基板7と発熱抵抗体2や電気導線3と
の密着性および接合強度が低下してサーマルヘッドの信
頼性および耐久性が低下するからである。
【0093】このような表面粗さRaが1μm以下の高
熱伝導性窒化けい素基板7は、焼結体表面を通常の鏡面
研摩加工すること等によって調製することができる。
【0094】また発熱抵抗体2は、電気導線(電極)
3,3に印加されたパルス電圧によって発熱し、感熱記
録紙の発色剤をドット状に発色させるものであり、例え
ばTa2 N,NiCr,ネサ膜,SiO2 −Ta,Si
−Taなどの原料をペースト状にした後に、スクリーン
印刷などの膜製造技術を利用して形成される。
【0095】また耐摩耗層5は感熱記録紙の接触摩耗か
ら発熱抵抗体2を保護するために設けられ、例えばSi
2 −Ta2 3 ,SiC,Al2 3 ,SiO2 など
の材料から構成される。
【0096】電極3,3を経由して発熱抵抗体2にパル
ス電圧を印加すると、サーマルヘッドの発熱抵抗体2が
発熱し、耐摩耗層5を介して送りローラ6によって抵抗
体2に押圧されている感熱記録紙4に塗布された発色剤
がドット状に発色する。パルス電圧の印加時間は通常1
〜10ms程度である。
【0097】そしてパルス電圧の消失によって発熱抵抗
体2の熱は高熱伝導性窒化けい素基板7を経て系外に放
出され、発熱抵抗体2は所定の印字下限温度まで冷却さ
れる。そして次のパルス電圧の印加によって同様に発熱
と冷却とを繰り返し、移動する感熱記録紙上に多数のド
ットを発色させ、各ドットの配列によって所定の文字、
記号または画像等が記録される。
【0098】次に本実施例に係るサーマルヘッドの優位
性を従来例と比較して述べる。図8は図7に示す高熱伝
導性窒化けい素基板7を使用した実施例21の厚膜形サ
ーマルヘッドと、図10に示すAl2 3 セラミックス
基板1を使用した従来例の厚膜形サーマルヘッドとをそ
れぞれプリンタに装着して印字試験を行なった場合にお
ける各発熱抵抗体温度の経時変化を示すグラフである。
【0099】図8において実線で示すように、本実施例
においては高熱伝導性窒化けい素基板7をセラミックス
基板として使用しているため、パルス電圧消失後におけ
る放熱特性が優れており、発熱抵抗体が所定の印字下限
温度までに冷却されるまでの放熱時間t1 が、Al2
3 製のセラミックス基板1で構成した従来例の場合に必
要な放熱時間t0 と比較して大幅に短縮することが可能
となった。
【0100】このことは、加熱昇温時間と放熱時間との
合計時間で表わされる印字の繰り返し時間が低減される
ことを意味し、プリンタなどの記録機器の高速化を図る
ことができる。
【0101】次に本発明に係るサーマルヘッドの発熱抵
抗体の形状例について説明する。従来、一対の電気導線
間に配設される発熱抵抗体は各軸方向位置における断面
が等しくなるように帯状に形成されていた。
【0102】しかしながら、図9に示すようにサーマル
ヘッドの発熱抵抗体2aの電極3,3と接続する部分を
帯状に形成する一方、中央部の幅Wを端部より小さく設
定し、中央部がくびれた形状に形成してもよい。この場
合、発熱抵抗体2aの中央部が最も高い抵抗値を有する
こととなる。この発熱抵抗体2aに電極3,3を介して
電圧を印加し電流を流すと、まず中央部のみが発熱して
温度が上昇し、感熱記録紙に塗布されたインクを溶解さ
せる温度に達し、小さなドットが紙上に転写される。こ
の状態で、発熱抵抗体2aに電圧印加を継続すると、イ
ンク溶解温度に達する領域が徐々に拡大していく。この
ように発熱抵抗体2a毎に印加するエネルギを電圧印加
パルス幅によって可変に調整することによって、転写さ
れる各ドットのサイズを、画像の濃淡に対応して可変と
することができる。すなわち各ドット毎に階調を有する
こととなり、解像度の低下を招くことなく、階調性に優
れた印字記録が可能となる。
【0103】
【発明の効果】以上説明の通り、本発明に係るヒーター
およびサーマルヘッドによれば、その強度特性および熱
応答特性を支配するセラミックス基板として、窒化けい
素焼結体が本来的に備える高強度特性に加えて、60W
・m・K以上という高い熱伝導率を併有する新規な高熱
伝導性窒化けい素基板を使用しているため、発熱抵抗体
に印加する電圧のON−OFF動作に対して優れた熱応
答特性を発揮できるとともに優れた耐久性を示すことが
できる。特に上記サーマルヘッドにおいては、従来のア
ルミナと比較して熱伝導率が少なくとも2〜5倍も高い
高熱伝導性窒化けい素基板を使用しているため、一旦印
字温度まで立上げて発熱した抵抗体を所定温度まで冷却
するまでの立下げ時間が大幅に短縮される。したがって
発熱抵抗体の温度の立上り時間と立下げ時間との和であ
る印字の繰返し時間が極めて短かくなる結果、サーマル
ヘッドの熱応答性が大幅に改善され、記録速度を大幅に
上昇させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るヒーターの一実施例の構成を示す
断面図。
【図2】図1に示すヒーターの断面図。
【図3】本発明に係るヒーターの他の実施例を示す断面
図。
【図4】本発明に係るヒーターの他の実施例を示す断面
図。
【図5】本発明に係るヒーターの他の実施例を示す断面
図。
【図6】実施例および比較例に係るヒーターの表面温度
の経時変化を示すグラフ。
【図7】本発明に係る厚膜型サーマルヘッドの一実施例
を示す断面図。
【図8】本発明に係る厚膜型サーマルヘッドの熱応答特
性を従来例と比較して示すグラフ。
【図9】発熱抵抗体の形状例を示す平面図。
【図10】従来の厚膜型サーマルヘッドの構成例を示す
断面図。
【符号の説明】
1 セラミックス基板(Al2 3 ) 2,2a 発熱抵抗体 3 電気導線(電極) 4 感熱記録紙 5 耐摩耗層 6 送りローラ 7 高熱伝導性窒化けい素基板 10,10a,10b,10c ヒーター 11,11a セラミックス基板 12 発熱抵抗体 13,13a 絶縁体層
【手続補正書】
【提出日】平成6年6月15日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 ヒーターおよびサーマルヘッド
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はセラミックス基板表面に
発熱抵抗体を配設したヒーターおよびサーマルヘッドに
係り、特に発熱抵抗体への印加電圧のON−OFF制御
に対する熱応答性に優れたヒーターおよび高速印字化,
高精細化が可能なサーマルヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】一般にセラミックスヒーターは、任意の
幅および長さを有する線状の発熱抵抗体をセラミックス
基板上にパターン印刷して形成され、例えば、ディーゼ
ルエンジン用グロープラグ,サーマルヘッドの構造部品
として広く利用されている。
【0003】ここでサーマルヘッドの基本構成は、セラ
ミックス基板に発熱抵抗体を形成し、さらに電気導線や
耐摩耗層を形成したもので各種印字機器に使用されてい
る。例えば計測記録計、各種プリンタやファクシミリな
どの感熱記録デバイスに電気信号として送信される情報
を感熱記録紙上に文字、記号または図形画像に変換する
ために各種のサーマルヘッドが使用されている。サーマ
ルヘッドは加熱によって発色する化学材料を塗布した感
熱記録紙面に文字、画像を形成するために電流加熱され
る発熱抵抗体を有している。
【0004】すなわち、従来の厚膜式サーマルプリンタ
の記録部となるサーマルヘッドの基本構成は、一般に図
10に示すように、アルミナ(Al2 3 )から成るセ
ラミックス基板1と、この基板1上に形成され、電圧印
加によって発熱する発熱抵抗体2と、発熱抵抗体2の端
部に対向するように接続された電気導線(電極)3と、
感熱記録紙4の接触摩耗から上記発熱抵抗体2および電
気導線3を保護するための耐摩耗層5とから構成されて
いる。
【0005】この厚膜形サーマルヘッドに送りローラ6
を介して感熱記録紙4が圧着され、この状態で発熱抵抗
体2にパルス電圧が印加されると、感熱記録紙4に塗布
されていた発色剤が化学反応を起こし、発熱抵抗体2部
分に接触している発色層が点(ドット)状に発色する。
送りローラによって記録紙4を順次、矢印方向に移動さ
せながら、パルス状加熱を繰り返すことにより、多数の
発色ドットが得られ、この発色ドットの配列の仕方によ
り、文字、記号または画像の記録がなされる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来のヒーターにおけるセラミックス基板は、熱伝導率が
小さいアルミナ(Al2 3 )を主たる構成材料として
形成されているため、熱応答特性が低い問題点がある。
すなわち発熱抵抗体への通電のON−OFF操作に伴う
ヒーターの表面温度が所定値になるまでの時間の遅れが
大きいという問題点があった。
【0007】一方、上記従来のサーマルヘッドのセラミ
ックス基板も、熱伝導率が小さいアルミナ(Al
2 3 )を主たる構成材料として形成されているため、
熱応答特性が低く、一旦加熱されたヘッドが感熱紙の発
色温度以下の温度までに冷却されるまでの放熱時間が長
くなり、その結果、記録紙の地汚れや印字の尾引きが発
生し易くなり、高速記録プリンタ用のヘッドとしては不
適な場合が多かった。近年印字速度の高速化が求められ
ており、より印字の高速化に充分な対応ができ、熱応答
特性および信頼性が高いサーマルヘッドが希求されてい
る。
【0008】一方窒化アルミニウム製基板は他のセラミ
ックス基板と比較して高い熱伝導率と低熱膨張係数の特
徴を有するため、高速化、高出力化、多機能化、大型化
が進展する半導体チップの回路部品やパッケージ材料と
して普及しているが、ヒーターやサーマルヘッドに必要
な機械的強度,高温強度の点で充分に満足できるものは
得られていない。また高温時に酸素,水分と反応し易
く、特性上不安定な面も有する。
【0009】さらに上記セラミックス構造部材を主たる
構成材とするヒーターやサーマルヘッドを固定部に固定
した場合、印字動作時の押圧力や衝撃力によってヒータ
ーやサーマルヘッドが破損し、適用製品の信頼性を大幅
に低減させることとなる。したがって、ヒーターやサー
マルヘッドにおいても、外力に耐える高強度特性と、高
出力化,高速化に対応できる優れた熱応答特性を兼ね備
えたものが要請されている。特に感熱記録デバイスに使
用されるサーマルヘッドには高精細化,高速化などの高
機能化が要求されている。
【0010】本発明は上記のような課題要請に対処する
ためになされたものであり、窒化けい素焼結体が本来備
える高強度特性に加えて、熱伝導率が高く熱応答性に優
れた窒化けい素焼結体を開発し、これをヒーターやサー
マルヘッド用の基板材料に適用することにより、高強度
特性に加えて、熱伝導率が高く熱応答性に優れたヒータ
ーと、同じく高強度特性および熱応答性を兼ね備え、よ
り高速度の印字記録を可能とするサーマルヘッドとを提
供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記目的を達
成するため、特に優れた靭性値,曲げ強度などの機械的
強度を有する窒化けい素焼結体に着目し、この機械的強
度を損うことなく、熱伝導性を高める方策を種々検討
し、ヒーターおよびサーマルヘッド用の基板材料への適
用性について研究した。すなわち従来の窒化けい素焼結
体に対して窒化けい素粉末の種類、焼結助剤や添加物の
種類および添加量、焼結体中に不純物として含有し熱伝
導率を低下させる元素およびその含有量、焼結条件等を
種々検討を加えた結果、従来の窒化けい素焼結体の有す
る熱伝導率の2倍以上の高い熱伝導性を有する窒化けい
素焼結体を開発し、さらにこの窒化けい素焼結体をヒー
ターやサーマルヘッド用の基板材料として使用する際に
効果が大きいことを初めて確認した。
【0012】具体的には、微細で高純度を有する窒化け
い素粉末に希土類元素、必要に応じ窒化アルミニウム、
アルミナなどのアルミニウム成分を所定量添加した原料
混合体を成形脱脂し、得られた成形体を所定温度で一定
時間加熱保持して緻密化焼結を実施した後、従来製法と
比較して低い所定以下の冷却速度で徐冷したときに熱伝
導率が従来の窒化けい素焼結体の2倍以上、具体的には
60W/m・Kを超えるほど大きく向上し、かつ高強度
を併有する窒化けい素焼結体が得られることが判明し、
放熱特性および強度特性を共に満足する新規な窒化けい
素材料を開発した。そして、この窒化けい素材料を、ヒ
ーターおよびサーマルヘッドを構成するセラミックス基
板に適用したときに、優れた熱応答特性と耐久性とを同
時に達成できることが判明した。
【0013】また上記セラミックス基板の構成原料とし
て、酸素や不純物陽イオン元素含有量を低減した高純度
の窒化けい素原料粉末を使用し、上記条件にて焼結する
ことにより、粒界相におけるガラス相(非晶質相)の生
成を効果的に抑制でき、粒界相における結晶化合物相を
20体積%以上(粒界相全体に対し)、好ましくは50
体積%以上とすることにより希土類元素酸化物のみを原
料粉末に添加した場合においても60W/m・Kを超え
る値の高熱伝導率を有する窒化けい素基板が得られると
いう知見を得た。
【0014】特に、従来、焼結操作終了後に焼成炉の加
熱用電源をOFFとして焼結体を炉冷していた場合に
は、冷却速度が毎時400〜800℃と急速であった
が、本発明者の実験によれば、冷却速度を毎時100℃
以下に緩速に制御することにより、窒化けい素焼結体中
の粒界相を、少なくとも20体積%以上、好ましくは5
0体積%以上(粒界相全体に対し)の結晶相を含む相に
し、高強度特性と高伝熱特性とが同時に達成され、この
窒化けい素焼結体をヒーターおよびサーマルヘッドのセ
ラミックス基板として使用した際に、優れた耐久性およ
び熱応答特性が得られることが判明した。
【0015】本発明は上記知見に基づいて完成されたも
のである。すなわち本発明に係るヒーターは、希土類元
素を酸化物に換算して1.0〜7.5重量%、不純物陽
イオン元素としてのLi,Na,K,Fe,Ca,M
g,Sr,Ba,Mn,Bを合量で0.3重量%以下含
有し、熱伝導率が60W/m・Kを超える値、好ましく
は80W/m・K以上である高熱伝導性窒化けい素基板
に発熱抵抗体を一体に配置したことを特徴とする。
【0016】また他の態様として、窒化けい素粒子およ
び粒界相により構成され、粒界相中における結晶化合物
相が粒界相全体に対して体積比で20体積%以上、好ま
しくは50体積%以上を占め、熱伝導率が60W/m・
Kを超える値、好ましくは80W/m・K以上である高
熱伝導性窒化けい素基板に発熱抵抗体を一体に配置した
ことを特徴とする。
【0017】さらに本発明に係る高熱伝導性窒化けい素
基板は、不純物イオン元素量,陽イオン元素量(0.3
重量%以下),焼結体中の粒界相における結晶化合物相
の割合(50体積%以上),気孔率(0.3体積%以
下),その他製造に使用する窒化けい素粉末の粒径およ
び含有酸素量などを適正に制御することにより、その熱
伝導率を100W/m・Kとすることができる。
【0018】発熱抵抗体はTi,Zr,Hf,V,C
r,Mo,W,NiCr,ネサ膜,Ta−Si,Ta2
N,Ta−SiO2 およびNb−SiO2 から選択され
る少なくとも1種の元素または化合物から形成するとよ
い。
【0019】ここで上記高融点金属(タングステン系,
モリブデン系)合金を主成分とする発熱抵抗体は窒化け
い素基板との密着性に優れており、耐久性の良いヒータ
ーが得られる。特にタングステンにTi,Zr,Hfの
少なくとも1種を含有した発熱抵抗体は、さらに窒化け
い素基板の密着性(密着強度)に優れている。また、タ
ングステン−白金合金で形成した発熱抵抗体は、耐酸化
性に優れているため、長寿命のヒーターが得られる。な
お、発熱抵抗体は、メタライズ法により形成してもよい
が、電気抵抗線を配設して形成することもできる。
【0020】また上記発熱抵抗体を覆うように窒化けい
素基板上に絶縁体層を形成して構成することもできる。
この絶縁体層を形成することにより、導電性を有する発
熱抵抗体が周辺の構成部品と電気的に接触して、誤動作
等を引き起こすことが効果的に防止できる。この絶縁体
層を構成する材料としては、汎用のアルミナ,ムライ
ト,Si3 4 などが使用できる。特にこの絶縁体層の
構成材料として窒化けい素基板と同一の材料を使用する
ことによって、絶縁体層および窒化けい素基板の熱膨張
率を等しくすることができ、両者の熱膨張差による剥離
を防止することができ、耐久性が優れたヒーターを形成
することができる。
【0021】また本発明に係るサーマルヘッドは、希土
類元素を酸化物に換算して1.0〜7.5重量%、不純
物陽イオン元素としてのLi,Na,K,Fe,Ca,
Mg,Sr,Ba,Mn,Bを合量で0.3重量%以下
含有し、熱伝導率が60W/m・Kを超える値、好まし
くは80W/m・K以上である高熱伝導性窒化けい素基
板表面に、発熱抵抗体および耐摩耗層を一体に積層した
ことを特徴とする。
【0022】さらにサーマルヘッドの他の態様として、
窒化けい素粒子および粒界相により構成され、粒界相中
における結晶化合物相が粒界相全体に対して体積比で2
0%以上、好ましくは50体積%以上を占め、熱伝導率
が60W/m・Kを超える値、好ましくは80W/m・
K以上である高熱伝導性窒化けい素基板表面に、発熱抵
抗体および耐摩耗層を一体に積層して構成してもよい。
この場合、特に結晶化合物相を粒界相全体に対して体積
比で50%以上とし、さらに前記不純物陽イオン元素含
有量や焼結後の冷却速度等を制御することにより、熱伝
導率が、80W/m・K以上、さらには100W/m・
K以上の高熱伝導性窒化けい素基板を得ることができ
る。
【0023】なお、本発明のヒーターおよびサーマルヘ
ッドは以上のような構成,組成,組織を有する窒化けい
素基板を有するものであるが、この窒化けい素基板を主
体とし、さらにSiC等の添加物を加えた複合材料基板
を使用することも可能であり、これらの態様も本発明の
範囲に含まれる。
【0024】上記ヒーターおよびサーマルヘッドに使用
される高熱伝導性窒化けい素基板は、例えば以下の方法
で製造される。すなわち、酸素を1.7重量%以下、不
純物陽イオン元素としてのLi,Na,K,Fe,C
a,Mg,Sr,Ba,Mn,Bを0.3重量%以下、
α相型窒化けい素を90重量%以上含有し、平均粒径
0.8μm以下の窒化けい素粉末に、希土類元素を酸化
物に換算して1.0〜7.5重量%を添加した原料混合
体をドクターブレード法等によって成形して成形体を調
製し、得られた成形体を脱脂後、温度1800〜200
0℃で雰囲気加圧焼結し、上記焼結温度から、上記希土
類元素により焼結時に形成された液相が凝固する温度ま
でに至る焼結体の冷却速度を毎時100℃以下に設定
し、得られた焼結体を研削研摩加工して製造される。
【0025】また上記製造方法において、上記原料混合
体に、さらにTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,C
r,Mo,Wの酸化物,炭化物、窒化物、けい化物、硼
化物からなる群より選択される少なくとも1種を0.2
〜3.0重量%と、必要に応じてアルミナおよび窒化ア
ルミニウムの少なくとも一方を0.1〜2.0重量%と
を添加してもよい。
【0026】上記製造方法によれば、窒化けい素結晶組
織中に希土類元素等を含む粒界相が形成され、気孔率が
1.5%以下、熱伝導率が60W/m・Kより大きく、
三点曲げ強度が室温で80kg/mm2 以上の機械的特性お
よび熱伝導特性が共に優れた高熱伝導性窒化けい素基板
が得られる。
【0027】上記高熱伝導性窒化けい素基板の主原料と
なる窒化けい素粉末としては、焼結性、強度および熱伝
導率を考慮して、酸素含有量が1.7重量%以下、好ま
しくは0.5〜1.5重量%、Li,Na,K,Fe,
Mg,Ca,Sr,Ba,Mn,Bなどの不純物陽イオ
ン元素の含有量が0.3重量%以下、好ましくは0.2
重量%以下で、焼結性が優れたα相型窒化けい素を90
重量%以上、好ましくは93重量%以上含有し、平均粒
径が0.8μm以下、好ましくは0.4〜0.6μm程
度の微細な窒化けい素粉末を使用する。
【0028】平均粒径が0.8μm以下の微細な原料粉
末を使用することにより、少量の焼結助剤であっても気
孔率が1.5%以下の緻密な焼結体を形成することが可
能であり、また焼結助剤が熱伝導特性を阻害するおそれ
も減少する。
【0029】また不純物陽イオン元素としてのFe,M
g,Ca,Sr,Ba,Mn,B,Li,Na,Kは熱
伝導性を阻害する物質として作用するため、60W/m
・Kを超える熱伝導率を確保するためには、最終的に窒
化けい素焼結体中に存在する上記不純物陽イオン元素の
含有量を合計で0.3重量%以下に抑制するように調整
する。特にβ相型と比較して焼結性に優れたα相型窒化
けい素を90重量%以上含有する窒化けい素原料粉末を
使用することにより、高密度の窒化けい素基板を製造す
ることができる。
【0030】また前記窒化けい素原料粉末に焼結助剤と
して添加する希土類元素としてはY,La,Sc,P
r,Ce,Nd,Dy,Ho,Gdなどの酸化物もしく
は焼結操作により、これらの酸化物となる物質が単独
で、または2種以上の酸化物を組み合せたものを含んで
もよいが、特に酸化イットリウム(Y2 3 )が好まし
い。これらの焼結助剤は、窒化けい素原料粉末と反応し
て液相を生成し、焼結促進剤として機能する。
【0031】上記焼結助剤の添加量は、酸化物換算で原
料粉末に対して1.0〜7.5重量%の範囲に設定され
る。この添加量が1.0重量%未満と過少の場合は、焼
結体が緻密化されず、一方、添加量が7.5重量%を超
える過量となると、過量の粒界相が生成し、熱伝導率の
低下や強度が低下し始めるので上記範囲に設定される。
特に好ましくは3.0〜6.0重量%とすることが望ま
しい。
【0032】さらに、他の添加成分としてのアルミナ
(Al2 3 )は、上記希土類元素の焼結促進剤の機能
を助長する役目を果すものであり、特に加圧焼結を行な
う場合に著しい効果を発揮するものである。Al2 3
の添加量が0.1重量%未満の場合においては緻密化が
不充分である一方、2.0重量%を超える過量となる場
合には過量の粒界相を生成したり、または窒化けい素に
固溶し始め、熱伝導の低下が起こるため、添加量は2.
0重量%以下、好ましくは0.1〜2.0重量%の範囲
とする。特に強度、熱伝導率共に良好な性能を確保する
ためには添加量を0.2〜1.5重量%の範囲とするこ
とが望ましい。
【0033】また、後述するAlNと併用する場合に
は、その合計添加量は2.0重量%以下とすることが望
ましい。
【0034】さらに他の添加成分としての窒化アルミニ
ウム(AlN)は焼結過程における窒化けい素の蒸発な
どを抑制するとともに、上記希土類元素の焼結促進剤と
しての機能をさらに助長する役目を果すものである。
【0035】AlNの添加量が0.3重量%未満(アル
ミナと併用する場合では0.1重量%未満)の場合にお
いては緻密化が不充分である一方、2.0重量%を超え
る過量となる場合には過量の粒界相を生成したり、また
は窒化けい素に固溶し始め、熱伝導率の低下が起こるた
め、添加量は2.0重量%以下、好ましくは0.3〜
2.0重量%の範囲とする。特に強度、熱伝導率共に良
好な性能を確保するためには添加量を0.5〜1.5重
量%の範囲とすることが望ましい。なお前記Al2 3
と併用する場合には、AlNの添加量は0.1〜2.0
重量%の範囲が好ましい。
【0036】また他の添加成分として使用するTi,Z
r,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,Wの酸化物,
炭化物、窒化物、けい化物、硼化物は、上記希土類元素
の焼結促進剤の機能を促進すると共に、窒化けい素結晶
組織において分散強化の機能を果しSi3 4 基板の機
械的強度を向上させるものである。これらの化合物の添
加量が0.2重量%未満の場合においてはSi3 4
板の緻密化が不充分である一方、3.0重量%を超える
過量となる場合には熱伝導率および機械的強度や電気絶
縁破壊強度の低下が起こるため、添加量は0.2〜3.
0重量%の範囲とする。特に好ましくは0.3〜2.0
重量%とすることが望ましい。
【0037】また窒化アルミニウム(AlN)は焼結過
程における窒化けい素の蒸発などを抑制する一方、上記
焼結促進剤の機能をさらに助長し、アルミナと同様に上
記Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W
などの酸化物の添加量を相対的に軽減する役目を果す。
これらアルミナや窒化アルミニウムなどのアルミニウム
化合物の添加量はTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,
Cr,Mo,Wの酸化物などの添加量と密接な関係があ
る。すなわち上記Ti化合物等の添加量が0.2重量%
未満であり、かつAl2 3 およびAlN等のアルミニ
ウム化合物が単独または併用して添加され、その添加量
が0.1重量%未満の場合においては緻密化が不充分で
ある一方、アルミニウム化合物の添加量が2.0重量%
を超える過量となる場合には過量の粒界相を生成した
り、または窒化けい素に固溶し始め、熱伝導率の低下が
起こるため、添加量は0.1〜2.0重量%の範囲とす
る。特に強度、熱伝導率共に良好な性能を確保するため
には添加量を0.2〜1.5重量%の範囲とすることが
望ましい。
【0038】また窒化けい素基板の気孔率は、その熱伝
導率および強度に大きく影響するため1.5%以下、望
ましくは0.5%以下に設定される。気孔率が1.5%
を超えると熱伝導の妨げとなり、基板の熱伝導率が低下
するとともに、基板の強度低下が起こる。
【0039】また、窒化けい素結晶組織に形成される粒
界相は基板の熱伝導率に大きく影響するため、本発明に
係るヒーターおよびサーマルヘッドに使用する窒化けい
素基板においては、体積比で粒界相の20体積%以上、
好ましくは50体積%以上が結晶相で占めるように設定
される。結晶相が20%未満では熱伝導率が60W/m
・Kを超えるような放熱特性に優れ、かつ高温強度に優
れた高熱伝導性窒化けい素基板が得られないからであ
る。
【0040】さらに上記のように窒化けい素基板の気孔
率を1.5%以下にし、また窒化けい素結晶組織に形成
される粒界相の20体積%以上、好ましくは50体積%
以上が結晶相で占めるようにするためには、窒化けい素
成形体を温度1800〜2000℃で0.5〜10時間
程度、加圧焼結し、かつ焼結操作完了直後における焼結
体の冷却速度を毎時100℃以下に調整制御することが
必要である。
【0041】焼結温度を1800℃未満に設定した場合
には、窒化けい素基板の緻密化が不充分で気孔率が1.
5vol%以上になり機械的強度および熱伝導性が共に低下
してしまう。一方焼結温度が2000℃を超えると窒化
けい素成分自体が蒸発分解し易くなる。特に加圧焼結で
はなく、常圧焼結を実施した場合には、1800℃付近
より窒化けい素の分解蒸発が始まる。
【0042】上記焼結操作完了直後における窒化けい素
焼結体の冷却速度は粒界相を結晶化させるために重要な
制御因子であり、冷却速度が毎時100℃を超えるよう
な急速冷却を実施した場合には、焼結体組織の粒界相が
非結晶質(ガラス相)となり、焼結体に生成した液相が
結晶相として粒界相に占める体積割合が20%未満とな
り、強度および熱伝導性は低い。
【0043】上記冷却速度を厳密に調整すべき温度範囲
は、所定の焼結温度(1800〜2000℃)から、前
記の焼結助剤の反応によって生成する液相が凝固するま
での温度範囲で充分である。ちなみに前記のような焼結
助剤を使用した場合の液相凝固点は概略1600〜15
00℃である。そして少なくとも焼結温度から上記液相
凝固温度に至るまでの焼結体の冷却速度を毎時100℃
以下、好ましくは50℃以下に制御することにより、体
積比で粒界相の20%以上、望ましくは50%以上が結
晶相になり、熱伝導率および機械的強度が共に優れた高
熱伝導性窒化けい素基板が得られる。
【0044】本発明に係るヒーターおよびサーマルヘッ
ドは、例えば以下のようなプロセスを経て製造される。
すなわち前記所定の微細粒径を有し、また不純物含有量
が少ない微細な窒化けい素粉末に対して所定量の焼結助
剤、有機バインダ等の添加剤および必要に応じAl2
3 やAlNまたはTi,Zr,Hf等の化合物を加えて
原料混合体を調整し、次に得られた原料混合体を成形し
て所定形状の成形体を得る。原料混合体の成形法として
は、汎用の金型プレス法、あるいはドクターブレード法
のようなシート成形法なども適用できる。上記成形操作
に引き続いて、成形体を非酸化性雰囲気中で温度600
〜800℃で1〜2時間加熱して、予め添加していた有
機バインダ成分を充分に除去し、脱脂する。次に脱脂処
理された成形体を窒素ガス、水素ガスやアルゴンガスな
どの不活性ガス雰囲気中で1800〜2000℃の温度
で所定時間雰囲気加圧焼結を行い、さらに得られた焼結
体を研削研摩加工して所定形状の高熱伝導性窒化けい素
基板が得られる。この製法によって製造された窒化けい
素基板は気孔率が1.5%以下、60W/m・K(25
℃)を超える高熱伝導率を有し、また三点曲げ強度が常
温で80kg/mm2 以上と機械的特性にも優れている。
【0045】そして得られた高熱伝導性窒化けい素基板
に発熱抵抗体および必要に応じて絶縁体層を一体に形成
することにより、本発明に係るヒーターが得られる。な
お上記ヒーターの窒化けい素基板,発熱抵抗体および絶
縁体層を同時焼成によって一体に形成することもでき
る。すなわち、まず前記低酸素で不純物が少ない微細な
窒化けい素原料粉末に焼結助剤を添加し、有機バインダ
および溶剤等を添加して均一な混合体を調製し、得られ
た混合体をドクターブレード法等により板状に射出して
グリーンシートを成形し、得られたグリーンシート上
に、タングステンまたはモリブデン粉末を主成分とする
導体(発熱抵抗体)ペーストを用い、スクリーン印刷法
などによって配線パターンを印刷し、発熱抵抗体を形成
する。
【0046】さらに発熱抵抗体の上面に重なるように、
アルミナ,ムライト,窒化けい素などの絶縁体を主成分
とする絶縁ペーストをスクリーン印刷により基板全面に
印刷して絶縁体層を形成する。なお絶縁体層は、発熱抵
抗体の端部を絶縁体層の外部に導出するためのスルーホ
ールを設け、各スルーホール内を導体ペーストで充填し
てリードパッドを形成する。そして得られたヒーター積
層体をN2 などの不活性雰囲気中で脱脂,焼成して一体
化し、所定形状のヒーターを得ることもできる。このよ
うに窒化けい素基板、発熱抵抗体および絶縁体層を同時
焼成によって一体に形成することにより、各構成材間の
密着性が向上し、特に発熱抵抗体の電気抵抗の経時変化
が効果的に防止される。
【0047】一方、前記得られた高熱伝導性窒化けい素
基板に発熱抵抗体および耐摩耗層を一体に形成して、本
発明に係るサーマルヘッドが製造される。このサーマル
ヘッドの発熱抵抗体は、印加されたパルス電圧によって
発熱し、感熱記録をドット状に発色させるものであり、
例えばTa2 N,NiCr合金,ネサ膜,Ta−SiO2 ,T
a−Siなどの原料をペースト状にした後に、スクリー
ン印刷法などの製膜技術を利用して形成される。
【0048】
【作用】上記構成に係るヒーターおよびサーマルヘッド
によれば、その強度特性および熱応答特性を支配するセ
ラミックス基板として、窒化けい素焼結体が本来的に備
える高強度特性に加えて、60W・m・Kより大きな高
い熱伝導率を併有する新規な高熱伝導性窒化けい素基板
を使用しているため、発熱抵抗体に印加する電圧のON
−OFF動作に対して優れた熱応答特性を発揮できると
ともに優れた耐久性を示すことができる。特に上記サー
マルヘッドにおいては、従来のアルミナと比較して熱伝
導率が少なくとも2〜5倍も高い高熱伝導性窒化けい素
基板を使用しているため、一旦印字温度まで立上げて発
熱した抵抗体を所定温度まで冷却するまでの立下げ時間
が大幅に短縮される。したがって発熱抵抗体の温度の立
上り時間と立下げ時間との和である印字の繰返し時間が
極めて短かくなる結果、サーマルヘッドの熱応答性が大
幅に改善され、記録速度を大幅に上昇させることが可能
となる。
【0049】
【実施例】次に本発明を以下に示す実施例を参照して具
体的に説明する。まず本発明に係るヒーターおよびサー
マルヘッドの強度特性および熱応答特性を支配する高熱
伝導性窒化けい素基板について以下の実施例に基づき説
明し、しかる後にヒーターおよびサーマルヘッドに適用
した事例を順次説明する。
【0050】実施例1〜3 酸素を1.3重量%、不純物陽イオン元素としてのL
i,Na,K,Fe,Ca,Mg,Sr,Ba,Mn,
Bを合計で0.15重量%含有し、α相型窒化けい素9
7%を含む平均粒径0.55μmの窒化けい素原料粉末
に対して、焼結助剤として平均粒径0.7μmのY2
3 (酸化イットリウム)粉末5重量%、平均粒径0.5
μmのAl2 3 (アルミナ)粉末1.5重量%を添加
し、エチルアルコール中で24時間湿式混合した後に乾
燥して原料粉末混合体を調整した。次に得られた原料粉
末混合体に有機バインダを所定量添加して均一に混合し
た後に、1000kg/cm2 の成形圧力でプレス成形し、
長さ50mm×幅50mm×厚さ5mmの成形体を多数製作し
た。次に得られた成形体を700℃の雰囲気ガス中にお
いて2時間脱脂した後に、この脱脂体を窒素ガス雰囲気
中7.5気圧にて1900℃で6時間保持し、緻密化焼
結を実施した後に、焼結炉に付設した加熱装置への通電
量を制御して焼結炉内温度が1500℃まで降下するま
での間における焼結体の冷却速度がそれぞれ100℃/
hr(実施例1)、50℃/hr(実施例2)、25℃/hr
(実施例3)となるように調整して焼結体を冷却し、さ
らに得られた各焼結体を研摩加工してそれぞれ実施例1
〜3に係る窒化けい素基板を調製した。
【0051】比較例1 一方、緻密化焼結完了直後に、加熱装置電源をOFFに
し、従来の炉冷による冷却速度(約500℃/hr)で焼
結体を冷却した点以外は実施例1と同一条件で焼結処理
して比較例1に係る窒化けい素基板を調製した。
【0052】比較例2 酸素を1.5重量%、不純物陽イオン元素を0.6重量
%含有し、α相型窒化けい素93%を含む平均粒径0.
60μmの窒化けい素原料粉末を用いた点以外は実施例
1と同一条件で処理し、比較例2に係る窒化けい素基板
を調製した。
【0053】比較例3 酸素を1.7重量%、不純物陽イオン元素を0.7重量
%含有し、α相型窒化けい素91%を含む平均粒径1.
1μmの窒化けい素原料粉末を用いた点以外は実施例1
と同一条件で処理し、比較例3に係る窒化けい素基板を
調製した。
【0054】こうして得た実施例1〜3および比較例1
〜3に係る窒化けい素基板について気孔率、熱伝導率
(25℃)、室温での三点曲げ強度の平均値を測定し
た。さらに、各基板をX線回折法によって粒界相に占め
る結晶相の割合(体積比)を測定し、各表1に示す結果
を得た。
【0055】
【表1】
【0056】表1に示す結果から明らかなように実施例
1〜3に係る窒化けい素基板においては、比較例1と比
較して緻密化焼結完了直後における焼結体の冷却速度を
従来より小さく設定しているため、粒界相に結晶相を含
み、結晶相の占める割合が高い程、高熱伝導率を有する
放熱性の高い高強度かつ高熱伝導性窒化けい素基板が得
られた。
【0057】一方、比較例1のように焼結体の冷却速度
を大きく設定し、急激に冷却した場合は粒界相が全て非
結晶質で形成され熱伝導率が低下した。また、比較例2
のように前記不純物陽イオン元素を0.6重量%と多く
含有した窒化けい素粉末を用いた場合は焼結体の冷却速
度を実施例1と同一にしても粒界相が全て非結晶質で形
成され熱伝導率が低いものであった。
【0058】さらに比較例3のように平均粒径が1.1
μmと粗い窒化けい素粉末を用いた場合は、焼結におい
て緻密化が不充分で強度、熱伝導率とも低下いものであ
った。
【0059】なお本実施例において調製した各高熱伝導
性窒化けい素基板の強度は、室温を基準として評価して
いるが、各実施例の窒化けい素基板は、室温のみなら
ず、窒化けい素焼結体の特徴である1000〜1200
℃以上の高温における強度についても優れていることが
確認された。
【0060】実施例4〜12および比較例4〜7 実施例4〜12として実施例1において使用した窒化け
い素粉末とY2 3粉末とAl2 3 粉末とを表2に示
す組成比となるように調合して原料混合体をそれぞれ調
製した。
【0061】次に得られた各原料混合体を実施例1と同
一条件で成形脱脂処理した後、表2に示す条件で焼結処
理し、さらに研摩加工してそれぞれ実施例4〜12に係
る窒化けい素基板を製造した。
【0062】一方比較例4〜7として表2に示すように
Al2 3 を過少量に添加したもの(比較例4)、Y2
3 を過少量に添加したもの(比較例5)、Al2 3
を過量に添加したもの(比較例6)、Y2 3 を過量に
添加したもの(比較例7)の原料混合体をそれぞれ調製
し、実施例1と同一条件で原料混合から焼結操作を実施
してそれぞれ比較例4〜7に係る窒化けい素基板を製造
した。
【0063】こうして製造した実施例4〜12および比
較例4〜7に係る各窒化けい素基板について実施例1と
同一条件で気孔率、熱伝導率(25℃)、室温での三点
曲げ強度の平均値、X線回折法による粒界相に占める結
晶相の割合を測定し、下記表2に示す結果を得た。
【0064】
【表2】
【0065】表2に示す結果から明らかなように、Y2
3 ,Al2 3 を所定量含有し、焼結後の冷却速度を
所定に設定した実施例4〜12に係る窒化けい素基板
は、いずれも高熱伝導率で高強度値を有している。一
方、比較例4〜7に示すように、Y2 3 ,Al2 3
の少なくとも1種の成分が過少量、あるいは過量添加さ
れた場合は、緻密化が不充分であったり、粒界相が過量
あるいは粒界相に占める結晶相の割合が低過ぎるため
に、曲げ強度が低下、または熱伝導率が劣ることが確認
された。
【0066】実施例13〜16 実施例13〜16として実施例1において使用したY2
3 粉末に置き換えて表3に示す希土類酸化物を使用し
た以外は実施例1と同一条件で処理して実施例13〜1
6に係る窒化けい素基板を製造した。
【0067】こうして得た実施例13〜16に係る窒化
けい素基板について実施例1と同一条件で気孔率、熱伝
導率(25℃)、室温での三点曲げ強度の平均値、X線
回折による粒界相に占める結晶相の割合を測定し下記表
3に示す結果を得た。
【0068】
【表3】
【0069】表3に示す結果から明らかなようにY2
3 に置き換えて他の希土類元素を使用した実施例13〜
16に係る窒化けい素基板はY2 3 添加のものと同等
の性能を有することが確認された。
【0070】次に上記高熱伝導性窒化けい素基板を、ヒ
ーターに適用した例について、以下の実施例を参照して
説明する。
【0071】実施例17 図1および図2は、本発明に係るヒーターの一実施例の
構成を示す平面図および断面図である。本実施例17に
示すヒーター10は、実施例3において調製したところ
の熱伝導率が115W/m・Kで三点曲げ強度が98kg
/mm2 である高熱伝導性窒化けい素基板をセラミックス
基板11として使用し、その表面に窒化タンタル(Ta
2 N)から成る発熱抵抗体12を形成し、さらに発熱抵
抗体12を覆うようにセラミックス基板11表面に絶縁
体層13を一体に形成して構成される。上記高熱伝導性
窒化けい素から成るセラミックス基板11の寸法は20
×10×1.0mmであり、発熱抵抗体12の蛇行幅Wは
3mm,蛇行間隔Lは0.2mmとした。上記絶縁体層13
およびセラミックス基板11は共に実施例3において、
調製した高熱伝導性窒化けい素焼結体から形成されてい
る。
【0072】上記実施例17に係るヒーターによれば、
発熱抵抗体12を担持するセラミックス基板11および
絶縁体層13が共に高強度および高熱伝導性を有する窒
化けい素焼結体で形成されているため、発熱抵抗体12
に印加する電圧のON−OFF動作に対応して優れた熱応
答性および耐久性が同時に発揮される。
【0073】さらにセラミックス基板11と絶縁体層1
3とを共に同一材質で構成しているため、両者の熱膨脹
差による剥離や割れの発生が効果的に防止でき、優れた
耐久性を発揮する。
【0074】実施例18 図3は本発明に係るヒーターの他の実施例を示す断面図
である。すなわち図3に示す実施例18に係るヒーター
10aは、図2に示す高熱伝導性窒化けい素で形成した
絶縁体層13に代えて、通常のSi3 4 焼結体,Al
2 3 ,ムライトなどの絶縁材で絶縁体層13aを形成
した以外は実施例17のヒーター10と同一である。
【0075】本実施例のヒーター10aによれば、発熱
抵抗体12を担持するセラミックス基板11として、高
熱伝導性窒化けい素基板を使用しているため、図におい
て下方向に対する熱伝導性が優れており、同様に高い熱
応答特性を発揮することができる。
【0076】実施例19 図4は本発明に係るヒーターの他の実施例を示す断面図
である。すなわち図4に示す実施例19に係るヒーター
10bは、図2〜3に示すヒーター10,10aにおい
て、絶縁体層を被着しない以外は実施例17〜18のヒ
ーター10a,10bと同一である。
【0077】本実施例のヒーター10bにおいて、絶縁
体層がなく発熱抵抗体12が表面に露出した簡素な構造
を採用している。したがってヒーター10bの周囲に、
発熱抵抗体12と接触して短絡等を生じる他の導電体等
が配設されない場合については、本実施例のヒーター1
0bで充分である。
【0078】実施例20 図5は本発明に係るヒーターの他の実施例を示す断面図
である。すなわち図5に示す実施例20に係るヒーター
10cは、図2に示す高熱伝導性窒化けい素で形成した
セラミックス基板11に代えて、通常のSi3 4 焼結
体,Al2 3 ,ムライトなどの絶縁材でセラミックス
基板11aを形成した以外は実施例17のヒーター10
と同一である。
【0079】本実施例のヒーター10cによれば、絶縁
体層13の構成材料として、高熱伝導性窒化けい素基板
を使用しているため、図において上方向に対する熱伝導
性が優れており、同様に高い熱応答特性を発揮すること
ができる。
【0080】比較例8 一方、図2で示す実施例17のヒーター10に使用した
セラミックス基板11および絶縁体層13に代えて、熱
伝導率が25W/m・Kで三点曲げ強度が31kg/mm2
のAl2 3 焼結体でセラミックス基板および絶縁体層
を形成した以外は実施例17と同様に処理して、比較例
8に係るAl2 3 ヒーターを作成した。
【0081】比較例9 また、図2で示す実施例17のヒーター10に使用した
セラミックス基板11および絶縁体層13に代えて、熱
伝導率が140W/m・Kで三点曲げ強度が32kg/mm
2 のAlN焼結体でセラミックス基板および絶縁体層を
形成した以外は実施例17と同様に処理して、比較例9
に係るAlNヒーターを作成した。
【0082】こうして調製した実施例17および比較例
8〜9に係る各ヒーターについて、その昇温特性(熱応
答性)を評価するために、各ヒーターの発熱抵抗体12
への通電量を15Wに設定し、無負荷状態においてヒー
ターの表面温度の経時変化を測定し、図6に示す結果を
得た。また各ヒーターの加熱能力の指標として、昇温速
度および電力密度を測定し、下記表4に示す結果を得
た。
【0083】
【表4】
【0084】図6および表4に示す結果から明らかなよ
うに、高強度かつ高熱伝導性窒化けい素基板によりセラ
ミックス基板および絶縁体層を形成した実施例17のヒ
ーターによれば、Al2 3 焼結体で形成した比較例8
のヒーターと比較して、表面温度が通電開始直後から急
激に上昇し、優れた熱応答特性を有することが確認でき
た。また図6において、実施例17のヒーターとAlN
焼結体で形成した比較例9のヒーターとは双方とも高い
熱伝導率を有するため、ほぼ同等の昇温特性を示してい
る。しかしながら、表4から明らかなように、比較例9
に係るヒーターの三点曲げ強度は、実施例17のヒータ
ーと比較して1/3程度であり、耐久性が極めて劣って
いることがわかる。
【0085】なお以上説明した実施例においては、平板
形状を有するヒーターを例にとって説明したが、ヒータ
ーの形状は上記に限定されるものではなく、加熱対象物
の形状等に対応して、適宜、管状,円環状等の形状に製
作することも可能である。
【0086】次に前記実施例にて調製した高熱伝導性窒
化けい素基板をサーマルヘッドに適用した例について、
以下の実施例を参照して説明する。
【0087】実施例21 図7は本発明に係る厚膜形サーマルヘッドの一実施例を
示す断面図である。なお図10に示す従来例と同一要素
には同一符号を付してその重複する説明を省略する。
【0088】すなわち本実施例に係る厚膜形サーマルヘ
ッドは、表面粗さRaが1μm以下であり、実施例3に
おいて調製した熱伝導率が115W/m・K,三点曲げ
強度が98kg/mm2 の高熱伝導性窒化けい素基板7表面
に、発熱抵抗体2および耐摩耗層5を積層して構成され
る。また発熱抵抗体2の両端部にはAu,Ag,Pd−
Ag,Pt−Au等の導体ペーストを転写焼成して形成
された電気導線(電極)3が接合されている。
【0089】本実施例に係るサーマルヘッドはセラミッ
クス基板として、従来のアルミナ基板と比較して4〜5
倍の熱伝導率を有する高熱伝導性窒化けい素基板7を使
用することを大きな特徴としている。
【0090】また上記高熱伝導性窒化けい素基板7の表
面粗さRa(JIS B0601に規定する中心線平均
粗さ)の大小は、基板7と基板上に配設される発熱抵抗
体2との密着性および化学的接合強度に大きく影響する
ため、1μm以下に設定するとよい。表面粗さRaが1
μmを超えると、基板7と発熱抵抗体2や電気導線3と
の密着性および接合強度が低下してサーマルヘッドの信
頼性および耐久性が低下するからである。
【0091】このような表面粗さRaが1μm以下の高
熱伝導性窒化けい素基板7は、焼結体表面を通常の鏡面
研摩加工すること等によって調製することができる。
【0092】また発熱抵抗体2は、電気導線(電極)
3,3に印加されたパルス電圧によって発熱し、感熱記
録紙の発色剤をドット状に発色させるものであり、例え
ばTa2 N,NiCr,ネサ膜,SiO2 −Ta,Si
−Taなどの原料をペースト状にした後に、スクリーン
印刷などの膜製造技術を利用して形成される。
【0093】また耐摩耗層5は感熱記録紙の接触摩耗か
ら発熱抵抗体2を保護するために設けられ、例えばSi
2 −Ta2 3 ,SiC,Al2 3 ,SiO2 など
の材料から構成される。
【0094】電極3,3を経由して発熱抵抗体2にパル
ス電圧を印加すると、サーマルヘッドの発熱抵抗体2が
発熱し、耐摩耗層5を介して送りローラ6によって抵抗
体2に押圧されている感熱記録紙4に塗布された発色剤
がドット状に発色する。パルス電圧の印加時間は通常1
〜10ms程度である。
【0095】そしてパルス電圧の消失によって発熱抵抗
体2の熱は高熱伝導性窒化けい素基板7を経て系外に放
出され、発熱抵抗体2は所定の印字下限温度まで冷却さ
れる。そして次のパルス電圧の印加によって同様に発熱
と冷却とを繰り返し、移動する感熱記録紙上に多数のド
ットを発色させ、各ドットの配列によって所定の文字、
記号または画像等が記録される。
【0096】次に本実施例に係るサーマルヘッドの優位
性を従来例と比較して述べる。図8は図7に示す高熱伝
導性窒化けい素基板7を使用した実施例21の厚膜形サ
ーマルヘッドと、図10に示すAl2 3 セラミックス
基板1を使用した従来例の厚膜形サーマルヘッドとをそ
れぞれプリンタに装着して印字試験を行なった場合にお
ける各発熱抵抗体温度の経時変化を示すグラフである。
【0097】図8において実線で示すように、本実施例
においては高熱伝導性窒化けい素基板7をセラミックス
基板として使用しているため、パルス電圧消失後におけ
る放熱特性が優れており、発熱抵抗体が所定の印字下限
温度までに冷却されるまでの放熱時間t1 が、Al2
3 製のセラミックス基板1で構成した従来例の場合に必
要な放熱時間t0 と比較して大幅に短縮することが可能
となった。
【0098】このことは、加熱昇温時間と放熱時間との
合計時間で表わされる印字の繰り返し時間が低減される
ことを意味し、プリンタなどの記録機器の高速化を図る
ことができる。
【0099】次に本発明に係るサーマルヘッドの発熱抵
抗体の形状例について説明する。従来、一対の電気導線
間に配設される発熱抵抗体は各軸方向位置における断面
が等しくなるように帯状に形成されていた。
【0100】しかしながら、図9に示すようにサーマル
ヘッドの発熱抵抗体2aの電極3,3と接続する部分を
帯状に形成する一方、中央部の幅Wを端部より小さく設
定し、中央部がくびれた形状に形成してもよい。この場
合、発熱抵抗体2aの中央部が最も高い抵抗値を有する
こととなる。この発熱抵抗体2aに電極3,3を介して
電圧を印加し電流を流すと、まず中央部のみが発熱して
温度が上昇し、感熱記録紙に塗布されたインクを溶解さ
せる温度に達し、小さなドットが紙上に転写される。こ
の状態で、発熱抵抗体2aに電圧印加を継続すると、イ
ンク溶解温度に達する領域が徐々に拡大していく。この
ように発熱抵抗体2a毎に印加するエネルギを電圧印加
パルス幅によって可変に調整することによって、転写さ
れる各ドットのサイズを、画像の濃淡に対応して可変と
することができる。すなわち各ドット毎に階調を有する
こととなり、解像度の低下を招くことなく、階調性に優
れた印字記録が可能となる。
【0101】なお以上の各実施例では、室温から数百度
の温度範囲で使用されるヒーターやサーマルヘッドで例
示しているが、各実施例において使用した高熱伝導性窒
化けい素基板は、窒化けい素焼結体としての高温強度
(1000〜1200℃以上における強度)と高放熱性
とを併せ持っており、高温下で使用される高強度部材と
しても有効であることは言うまでもない。
【0102】
【発明の効果】以上説明の通り、本発明に係るヒーター
およびサーマルヘッドによれば、その強度特性および熱
応答特性を支配するセラミックス基板として、窒化けい
素焼結体が本来的に備える高強度特性に加えて、60W
・m・Kより大きい熱伝導率を併有する新規な高熱伝導
性窒化けい素基板を使用しているため、発熱抵抗体に印
加する電圧のON−OFF動作に対して優れた熱応答特
性を発揮できるとともに優れた耐久性を示すことができ
る。特に上記サーマルヘッドにおいては、従来のアルミ
ナと比較して熱伝導率が少なくとも2〜5倍も高い高熱
伝導性窒化けい素基板を使用しているため、一旦印字温
度まで立上げて発熱した抵抗体を所定温度まで冷却する
までの立下げ時間が大幅に短縮される。したがって発熱
抵抗体の温度の立上り時間と立下げ時間との和である印
字の繰返し時間が極めて短かくなる結果、サーマルヘッ
ドの熱応答性が大幅に改善され、記録速度を大幅に上昇
させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るヒーターの一実施例の構成を示す
断面図。
【図2】図1に示すヒーターの断面図。
【図3】本発明に係るヒーターの他の実施例を示す断面
図。
【図4】本発明に係るヒーターの他の実施例を示す断面
図。
【図5】本発明に係るヒーターの他の実施例を示す断面
図。
【図6】実施例および比較例に係るヒーターの表面温度
の経時変化を示すグラフ。
【図7】本発明に係る厚膜型サーマルヘッドの一実施例
を示す断面図。
【図8】本発明に係る厚膜型サーマルヘッドの熱応答特
性を従来例と比較して示すグラフ。
【図9】発熱抵抗体の形状例を示す平面図。
【図10】従来の厚膜型サーマルヘッドの構成例を示す
断面図。
【符号の説明】 1 セラミックス基板(Al2 3 ) 2,2a 発熱抵抗体 3 電気導線(電極) 4 感熱記録紙 5 耐摩耗層 6 送りローラ 7 高熱伝導性窒化けい素基板 10,10a,10b,10c ヒーター 11,11a セラミックス基板 12 発熱抵抗体 13,13a 絶縁体層

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 希土類元素を酸化物に換算して1.0〜
    7.5重量%、不純物陽イオン元素としてのLi,N
    a,K,Fe,Ca,Mg,Sr,Ba,Mn,Bを合
    量で0.3重量%以下含有し、熱伝導率が60W/m・
    K以上である高熱伝導性窒化けい素基板に、発熱抵抗体
    を一体に配置したことを特徴とするヒーター。
  2. 【請求項2】 窒化けい素粒子および粒界相により構成
    され、粒界相中における結晶化合物相が粒界相全体に対
    して体積比で20%以上を占め、熱伝導率が60W/m
    ・K以上である高熱伝導性窒化けい素基板に、発熱抵抗
    体を一体に配置したことを特徴とするヒーター。
  3. 【請求項3】 発熱抵抗体がTi,Zr,Hf,V,C
    r,Mo,W,NiCr,ネサ膜,Ta−Si,Ta2
    N,Ta−SiO2 およびNb−SiO2から選択される
    少なくとも1種の元素または化合物から成ることを特徴
    とする請求項1または2記載のヒーター。
  4. 【請求項4】 セラミックス基板と、このセラミックス
    基板に配置された発熱抵抗体と、この発熱抵抗体を覆う
    ようにセラミックス基板上に設けられた絶縁体層とから
    成るヒーターにおいて、上記絶縁体層が、希土類元素を
    酸化物に換算して1.0〜7.5重量%、不純物陽イオ
    ン元素としてのLi,Na,K,Fe,Ca,Mg,S
    r,Ba,Mn,Bを合量で0.3重量%以下含有し、
    熱伝導率が60W/m・K以上である高熱伝導性窒化け
    い素で構成されていることを特徴とするヒーター。
  5. 【請求項5】 セラミックス基板と、このセラミックス
    基板に配置された発熱抵抗体と、この発熱抵抗体を覆う
    ようにセラミックス基板上に設けられた絶縁体層とから
    成るヒーターにおいて、上記絶縁体層が、窒化けい素粒
    子および粒界相により構成され、粒界相中における結晶
    化合物相が粒界相全体に対して体積比で20%以上を占
    め、熱伝導率が60W/m・K以上である高熱伝導性窒
    化けい素で構成されていることを特徴とするヒーター。
  6. 【請求項6】 発熱抵抗体がTi,Zr,Hf,V,C
    r,Mo,W,NiCr,ネサ膜,Ta−Si,Ta2
    N,Ta−SiO2 およびNb−SiO2から選択される
    少なくとも1種の元素または化合物から成ることを特徴
    とする請求項4または5記載のヒーター。
  7. 【請求項7】 希土類元素を酸化物に換算して1.0〜
    7.5重量%、不純物陽イオン元素としてのLi,N
    a,K,Fe,Ca,Mg,Sr,Ba,Mn,Bを合
    量で0.3重量%以下含有し、熱伝導率が60W/m・
    K以上である高熱伝導性窒化けい素基板表面に、発熱抵
    抗体および耐摩耗層を一体に積層したことを特徴とする
    サーマルヘッド。
  8. 【請求項8】 窒化けい素粒子および粒界相により構成
    され、粒界相中における結晶化合物相が粒界相全体に対
    して体積比で20%以上を占め、熱伝導率が60W/m
    ・K以上である高熱伝導性窒化けい素基板表面に、発熱
    抵抗体および耐摩耗層を一体に積層したことを特徴とす
    るサーマルヘッド。
  9. 【請求項9】 発熱抵抗体がTi,Zr,Hf,V,C
    r,Mo,W,NiCr,ネサ膜,Ta−Si,Ta2
    N,Ta−SiO2 およびNb−SiO2から選択される
    少なくとも1種の元素または化合物から成ることを特徴
    とする請求項7または8記載のサーマルヘッド。
  10. 【請求項10】 発熱抵抗体は、両端がそれぞれ電極に
    接続され、電極と接続する発熱抵抗体の端部を帯状に形
    成する一方、中央部の幅を端部の幅より小さく設定した
    ことを特徴とする請求項7または8記載のサーマルヘッ
    ド。
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