JPH07207184A - X型無金属フタロシアニンの製造方法 - Google Patents

X型無金属フタロシアニンの製造方法

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JPH07207184A
JPH07207184A JP442394A JP442394A JPH07207184A JP H07207184 A JPH07207184 A JP H07207184A JP 442394 A JP442394 A JP 442394A JP 442394 A JP442394 A JP 442394A JP H07207184 A JPH07207184 A JP H07207184A
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JP
Japan
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free phthalocyanine
metal
phthalocyanine
type metal
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JP442394A
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English (en)
Inventor
Yasuhiro Yamazaki
康寛 山▲崎▼
Aiko Okamura
愛子 岡村
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Orient Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Orient Chemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 (a)粗製無金属フタロシアニン、α型無金属
フタロシアニン、β型無金属フタロシアニンおよびアモ
ルファス型無金属フタロシアニンからなる群から選択さ
れる無金属フタロシアニンを、乾式ミリングする工程;
および(b)得られる無金属フタロシアニンを有機溶剤中
に分散させる工程;を包含するX型無金属フタロシアニ
ンの製造方法。 【効果】 従来法の約1/10の時間で、従来品に見ら
れない高純度のX型H2-Pcが収率よく得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はX型無金属フタロシアニ
ンの製造方法に関し、特に半導体レーザー光に対して高
感度が要求される電子写真感光体に適するX型無金属フ
タロシアニンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真感光体は、電子写真技術を応用
した複写機、プリンターなどに広く適用されている。従
来、この電子写真感光体としては、無定形セレン等に代
表される無機感光体が使用されてきた。しかしこの無機
感光体は、人体に有害なセレンや硫化カドミウムを用い
ており廃棄の問題があった。また、一般に蒸着法により
作成するため生産コストが高くなり、小型・低価格機へ
の適用が不利であるという問題を有していた。
【0003】近年、半導体レーザー技術の発達に伴い、
半導体レーザーの発信波長域である800nm前後に感
度を有する有機光導電物質が注目されている。このよう
な有機光導電性物質を有効成分とする有機光導電性材料
も多数提案されており、例えば、これらを電荷発生材と
して含む負帯電型の有機感光体が挙げられる。この種有
機感光体に用いられる電荷発生剤としては、スクアレリ
ウム系化合物、トリフェニルアミン系トリスアゾ化合
物、ペリレン系化合物、フタロシアニン系化合物などが
ある。
【0004】フタロシアニン系化合物は、長波長域まで
の分光感度を有し、電荷発生効率もよく、堅牢性にすぐ
れ、高感度、高耐久性である。このため、X型無金属フ
タロシアニン、チタニルフタロシアニンおよびバナジル
フタロシアニンのような無金属又は金属フタロシアニン
化合物の有機感光体への適用が期待されている。特に、
X型無金属フタロシアニンは、(準)安定なα型および安
定なβ型の無金属フタロシアニンよりも感度がよいこ
と、および三価および四価の金属フタロシアニンよりも
蒸着または分散により薄膜(例えば、電荷発生層)を形成
し易いこと等の理由で注目されている。
【0005】X型の無金属フタロシアニン(以下、「H2
-Pc」という。)は、一般に、α又はβ型H2-Pcのミ
リング(磨砕)および溶剤処理などにより結晶変換して製
造される。しかしながら、従来法では、変換に要する時
間が長く経済的とはいえないものであった。また、変換
して得られたX型H2-Pcは、X線回折スペクトルに
ピークが認められる程度の量で未変換H2-Pcを含ん
でおり、必ずしも満足できる高純度品ではなかった。
【0006】X型H2-Pcに関する公知技術には、米
国特許第3,357,989号、特公昭45−8102
号、特公昭46−42512号、特公昭49−4338
号および特公平3−78872号公報等が挙げられる。
【0007】米国特許第3,357,989号公報には、
α又はβ型H2-Pcを長時間乾燥ミリングして、X型
H2-Pcを得る方法が記載されている。この方法で
は、α又はβ型からX型に変換されるには、48時間以
上の、さらに変換率を高めるには144時間の乾式ミリ
ングを必要とする。また、この方法では、後述の比較例
2に示すように、長時間ミリングを行っても結晶型がそ
のまま持続することが多く、安定してX型結晶型のもの
を得ることができない。
【0008】特公平3−78872号には、β型H2-
Pcを溶媒可溶化処理して得られた高純度(99%以上)
のα型H2-Pcを室温下、100rpm/分の回転数
で100時間ミリングして、X型に変換することが記載
されている。この方法は、高純度品を得るものである
が、後述の比較例3に示すように、α型H2-Pcを数
%含む。
【0009】特公昭45−8102号には、α型H2-
Pcに、種付けするための少量のX型H2-Pc加え、
メチルエチルケトンのようなケトン系溶剤中で湿式ミリ
ングするX型H2-Pcの製造法が記載されている。こ
の方法では、後述の比較例1に示すようにβ型H2-P
cを得ることが多い。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来の問
題を解決するものであり、その目的とするところは、長
時間のミリング(磨砕)を必要とせず、高純度品が得られ
るX型H2-Pcの製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、(a)粗製H2-
Pc、α型H2-Pc、β型H2-Pcおよびアモルファ
ス型H2-Pcからなる群から選択されるH2-Pcを乾
式ミリングする工程;および(b)得られる無金属フタロ
シアニンを有機溶剤中に分散させる工程;を包含するX
型H2-Pcの製造方法を提供するものであり、そのこ
とにより上記目的が達成される。
【0012】本発明で用いる粗製H2-Pcは、一般
に、フタロニトリルをn−アミルアルコール、n−ヘキ
シルアルコール、1−メトキシエタノール、1−エトキ
シエタノールのようなアルコール系溶媒中で、DBU
(1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7)、D
BN(1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン−5)また
はアルコキドイオンのような強塩基の存在下に反応さ
せ、熱時濾過する公知の方法により得られる。
【0013】本発明で用いるβ型H2-Pcは、上記の
粗製H2-Pcを熱DMFのような有機溶剤を用いて、
洗浄および/または再分散(例えば、還流温度にて約2
時間)することにより精製して得られる。
【0014】本発明で用いるα型H2-Pcは、上記β
型もしくは粗製H2-Pcを溶媒可溶化処理した後、精
製復元処理することにより得られる。ここで、「溶媒可
溶化処理」とは、J.Am.Chem.Soc.、第1
03号、第4629頁、1981年、に記載されている
ように、用いる溶媒(例えば、ジグライムとアルカリ水
溶液)による錯体形成のために、溶解しない元のH2-P
cを可溶化させ、不溶物と分離することで精製を行うこ
とを意味する。また、「精製復元処理」とは、引き続き、
不溶物と分離した均一混合物を、酸を用いて元のH2-
Pcへ戻す反応を意味する。この反応は、例えば、以下
の式で示される。 K2Pc(diglyme)2+2H+→H2-Pc+2K++(dig
lyme)2
【0015】また、本発明で用いるアモルファス型H2
-Pcは、上記β型H2-Pcを硫酸に一度溶解し、アシ
ッドペースティングした後、精製復元処理することによ
り得られる。ここで、「アシッドペースティング」とは、
有機顔料を濃硫酸などに溶解させ、その後これを氷水中
に投入して再沈殿させることにより有機顔料を精製、微
細化する方法を意味し、濃硫酸の使用量、硫酸水の濃度
などは特に限定されない。このアシッドペースティング
の際に用いる濃硫酸は濃度80〜100%、好ましくは
95〜100%のものである。濃硫酸の濃度が80%を
下回るとフタロシアニンの微粒子化が不十分となるから
である。濃硫酸の量は精製、微細化に適する良好なペー
ストが得られる程度であれば特に限定されないが、一般
に無金属フタロシアンの1〜100倍量(重量比)、好ま
しくは5〜50倍の範囲で使用される。
【0016】得られる粗製、α型、β型もしくはアモル
ファス型H2-Pc(以下、これらを「原料H2-Pc」と
いう。)を、まず、乾式ミリングする。「ミリング」と
は、適当な機械的方法により物体を擦りつぶして細かく
するいわゆる摩砕を意味する。「乾式ミリング」とは、乾
燥した状態で行われるミリングを意味する。
【0017】本発明で用いるのに好ましい乾式ミリング
法の例には、ボールミル、サンドミル、ペイントシェイ
カー、ディスパーザーおよびアジターのような装置を用
いる機械的処理法が挙げられる。
【0018】好ましくは、乾式ミリングは、例えば、直
径3mmの球状ガラス製ミル媒体を用いて、振動数75
0cpmおよびミル媒体と試料との重量比100:5の
条件で、約2〜10時間、特に3〜5時間行われる。乾
式ミリングの時間が2時間を下回ると後続の有機溶剤中
での分散工程に要する時間が長くなったり、変換純度が
低くなる等の問題が生じる。また、10時間を上回って
行っても有意な結果が得られない。この乾式ミリングの
工程により原料H2-Pcの一部がX型に変換される。
【0019】乾式ミリングは、例えば、原料H2-Pc
約5重量部を、3mmφガラスビーズ等を100重量部
充填した100ml容量のガラス製や磁製などの容器に
仕込み、試験用分散機(ペイントシェーカー)を用いて振
盪することにより行われる。
【0020】ついで、得られる無金属フタロシアニンを
有機溶剤中に分散させる。ここで、「分散させる」とは、
固液混合物に剪断力を加えることにより固体を微細な粒
子として液体中に浮遊させる全ての方法をいう。
【0021】例えば、原料H2-Pcを乾式ミリングし
た後に容器に有機溶剤を加えること、または有機溶剤が
充填された容器に乾式ミリング後の原料H2-Pcを加
えることによりスラリーを形成し、これを機械スターラ
ーのような撹拌装置で分散させる。その際には、例え
ば、室温において20〜60rpm程度の撹拌速度にお
いて分散させるのが好ましい。または、乾式ミリングを
行った容器に直接有機溶剤を加えること以外は乾式ミリ
ングと同様にして湿式ミリングを行うことにより分散を
行ってもよい。
【0022】この場合、有機溶剤はH2-Pc(重量部)
に対して約5〜50倍容量部、好ましくは10〜25倍
容量部で用い得る。有機溶剤の量が5倍容量部を下回る
と溶剤による変換の効率が低下し、50倍容量部を上回
ると試料密度が希薄となり変換に長時間を要する。
【0023】分散工程に用いる有機溶剤は特に限定され
ないが、変換効率(収率)の観点よりメチルエチルケトン
(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)および酢
酸エチルなどのようなケトン系溶剤;メタノールおよび
エタノールのようなアルコール系溶剤;およびテトラヒ
ドロフラン(THF)およびジブチルエーテルのようなエ
ーテル系溶剤;を用いることが好ましい。
【0024】分散操作は、約3〜10時間、特に5〜7
時間行うことが好ましい。分散操作の時間が3時間を下
回ると変換が不完全となり、10時間を上回って行って
も有意な効果は得られない。この分散工程により原料H
2-Pcは完全にX型に変換される。ここで、「完全にX
型に変換される」とは、X線回折スペクトル中にα型お
よびβ型のような原料H2-Pcのピークが見られない
X型として公知のピークのみを示す状態に変換されるこ
とをいう。
【0025】本発明の方法により得られたX型H2-P
cは、複写機などに用いられる電子写真感光体のような
光導電性材料として有用である。本発明のX型H2-P
cを有効成分とする光導電性材料は、電子写真感光体の
電荷発生層に適用された場合に、帯電性が良好で、高感
度、高耐久性の感光体を提供する。
【0026】電子写真有機感光体は、導電性基体上に電
荷発生材と電荷輸送材を構成成分として含む感光層を備
え、単層構造のものと、機能が分離した二層構造のもの
が実用化されており、機能分離型の感光体が主流となっ
ている。
【0027】X型H2-Pcのような有機光導電性材料
の少なくとも1種及び樹脂を備えてなる電子写真有機感
光体は、感光層が電荷発生層と電荷輸送層とに分離した
積層型のものであってもよく、単層型のものであっても
よい。しかし、フタロシアニンの結晶変態の電気特性を
有効に発揮させるためには、発生した電荷が捕獲される
可能性が小さく、各層がそれぞれの機能を阻害すること
なく効率よく感光体表面に輸送される二層構造の機能分
離型感光体に適用することが好ましい。
【0028】このような機能分離型感光体は、例えば、
導電性支持体上に電荷発生層と電荷輸送層とを薄膜状に
積層して形成される。導電性支持体の基材としては、ア
ルミニウム、ニッケル等の金属、金属蒸着フィルム等に
用いることができ、ドラム状、シート状又はベルト状の
形態で作成される。
【0029】電子写真感光体への適用は、まず本発明の
フタロシアニンを電荷発生材料として含む電荷発生層を
導電性支持体上に薄膜状に形成する。この際の電荷発生
層は、X型H2-Pcを導電性支持体上に蒸着させ薄膜
を形成することもできるが、一般には、結着樹脂を溶剤
に溶解した溶液に電荷発生材料を分散させた塗布液を調
製して、それを支持体上に塗布することによって形成す
る。
【0030】フタロシアニンを分散させる方法として
は、ボールミル、サンドミル、ペイントシェイカー等用
いる通常の分散法を採用することができる。
【0031】電荷発生層の塗工手段としては、特に限定
されることはなく、例えば、バーコーター、ディップコ
ーター、スピンコーター、ローラーコーター、カレンダ
ーコーター等を適宜使用することができる。乾燥は、3
0〜200℃の温度で5分〜2時間、静止又は送風下で
行うことができる。
【0032】塗布液用の溶剤としては、フタロシアニン
を溶解することなく、均一に分散させ、必要に応じて用
いられる結着樹脂を溶解するものであれば特に限定され
ることはなく、例えば、メタノール、エタノール、イソ
プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶剤;トル
エン、キシレン、テトラリン等の芳香族系溶剤;ジクロ
ロメタン、クロロホルム、トリクロロエチレン、四塩化
炭素等のハロゲン系溶剤;酢酸エチル、酢酸プロピル等
のエステル系溶剤;エチレングリコールモノエチルエー
テル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系
溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等
が挙げられる。
【0033】結着樹脂は、広範な絶縁性樹脂から選択す
ることができる。好ましい樹脂としては、ポリカーボネ
ート、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリアミド等
の縮合系樹脂;ポリスチレン、スチレン−アクリル共重
合体、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリビ
ニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリアクリル
ニトリル、ポリアクリル−ブタジエン共重合体、ポリ塩
化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の付加重
合体;ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアン
トラセン等の有機光導電性樹脂;ポリスルホン、ポリエ
ーテルスルホン、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタ
ン樹脂等が挙げられる。これらは適宜混合して用いるこ
とができる。
【0034】上記結着樹脂の使用量は、電荷発生材料に
対して、0.1〜3重量比であり、3重量比よりも大で
あると、電荷発生層における電荷発生材料濃度が小さく
なり感度が悪くなる。電荷発生層の膜厚は、0.05〜
5.0μmであり、0.5μmより大きくなると電荷が
捕獲される確立が大きくなり、感度の低下の原因となる
ため好ましくない。
【0035】次に電荷発生層の上部に、電荷輸送材料を
含む電荷輸送層を薄膜状に形成する。この薄膜形成法と
しては、電荷発生層と同様な塗工法が用いられ、電荷輸
送材料を、必要に応じて結着樹脂と共に溶剤に溶解し、
電荷発生層の上部に均一に塗布し、その後乾燥させれば
よい。
【0036】電荷輸送材料としては、芳香族第3級モノ
アミノ化合物、オキサジアゾール誘導体、ピラゾリン誘
導体、ヒドラゾン誘導体、トリアジン誘導体、キナゾリ
ン誘導体など公知のものが使用できる。
【0037】電荷輸送層を形成する結着樹脂及び溶剤と
しては、前記電荷発生層に使用されるものと同様なもの
が使用できる。
【0038】上記結着樹脂の使用量は、電荷輸送材料に
対して、0.1〜5重量比であり、5重量比よりも大で
あると、電荷輸送層における電荷輸送材料濃度が小さく
なり感度が悪くなる。電荷発生層の膜厚は、5〜50μ
mであり、50μmより大きくなると電荷の輸送に、よ
り多くの時間を要するようになり、又、電荷が捕獲され
る確立が大きくなり、感度の低下の原因となるため好ま
しくない。
【0039】本発明では、従来法の約1/10の時間
で、従来品に見られない高純度のX型H2-Pcが収率
よく得られる。特に、乾式ミリングと湿式ミリングとを
併用する方法では、乾式ミリング後の生成物を移す操作
が不要となり操作が簡便である。しかも、変換前の結晶
変態は、高純度のα型である必要はなく、α型、β型、
アモルファス型のいずれでもよい。粗合成後、精製を加
えたβ型あるいはアシッドペースティングによって得ら
れた完全アモルファス型のものでも完全に目的のX型に
変換し得る。
【0040】また、α型無金属フタロシアニンに種付け
するために必要なX型フタロシアニンを、別途、用意す
る必要もない。種付けフタロシアニンを必要としない理
由は、乾式ミリングによりフタロシアニンが、一部X型
に変換されているからである。このX型フタロシアニン
は、単純に外部から加えたものでなく、化合物中での変
態であるため、引き続き湿式ミリングでの結晶変態に大
きく寄与し、特公平3−78872号公報の比較例に示
されるようなβ型への転移は皆無である。更に、湿式ミ
リングまたは撹拌分散処理の際に用いる溶剤の種類の選
択幅を広げることが可能となり、工業的製造において有
意な選択を可能とする。
【0041】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。
【0042】実施例1 撹拌器、滴下ロート他必要器具を備えた500mlのガ
ラス製四ツ口フラスコに、フタロニトリル64.1g、
アミルアルコール250mlを仕込み、窒素ガス雰囲気
下、還流状態でDBU83.0gを滴下ロートより30
分かけて滴下し、滴下終了後引き続き5時間還流下に撹
拌した。反応後、即座に熱時濾過し、熱DMF200m
lを用いて洗浄した後、ウエットケーキを再度DMF3
00mlへ分散し、2時間還流撹拌を行った後、同様に
熱時濾過し、再度、熱DMF200mlで振り掛け洗浄
し、引き続きメタノール100mlを用いてDMFを置
換した。乾燥後、36.2gの赤紫色微結晶を得た。こ
のものは、元素分析及びIRの測定からH2-Pcであ
り、また、X線回析からβ型であることが確認された。
元素分析した結果を表1に示す。IRスペクトルを図1
に示す。また、X線回折スペクトルを図2に示す。
【0043】
【表1】
【0044】このβ型H2-Pc5.0gと3mmφガ
ラスビーズ 100gを100ml広口瓶に仕込み、試
験用分散機(ペイントシェカー)を用いて3〜5時間乾式
ミリングを加えた。この段階での試料のX線パターン
は、図3の様子を示しており、概ねα型からX型への変
換途中であることを示した。このものにMEK50ml
を加え、引き続き7〜5時間湿式ミリングを加えた。濾
布をとおしてガラスビーズと分離した後、30μmのメ
ンブランフィルターをとおしてフタロシアニンを濾取
し、乾燥後、4.6gの青紫色粉体を得た。このものは
IR及びX線回析からX型H2-Pc型に変換されてい
ることを確認した。図4にX型H2-PcのIRスペク
トルを示す。図5にX型H2-PcのX線回折スペクト
ルを示す。
【0045】比較例1 実施例1で得られたβ型H2-Pc4.75gとX型H
2-Pc0.25g及びMEK50mlと3mmφガラ
スビーズ100gを加え、同様に10時間の湿式ミリン
グを加えた。同様に後処理を行って得たフタロシアニン
は、X線回析から100%β型に変換されており、X型
への変換は見られなかった。
【0046】実施例2 実施例1で得られたβ型H2-Pc20gを5℃に冷却
した98%硫酸200gに少しづつ溶解し、その混合物
を5℃の温度に維持しながら1時間撹拌した。次いでこ
の硫酸溶液を2000mlの氷水中に投入し、析出した
結晶を濾別し、濾液が中性になる迄で水で洗浄した。乾
燥後16.2gの青色粉体を得た。このものはX線回析
パターンから完全にアモルファスとなっていた。図6に
粉末X線回折スペクトルを示す。
【0047】この完全アモルファス型H2-Pc5gと
3mmφガラスビーズ100gを100ml広口瓶に仕
込み、3〜5時間乾式ミリングを加えた後、実施例1と
同様に処理し、4.3gの青紫色粉体を得た。このフタ
ロシアニンも図4、図5に示すIR及びX線回析を示
し、完全にX型H2-Pcに変換されていることを確認
した。
【0048】比較例2 実施例2で得た完全アモルファスH2-Pc5.0g
を、米国特許第3557989号明細書に示される方法
にしたがって100時間以上、同じ試験用分散機を用い
てミリングを加えたが、相当量のα型H2-Pcが残っ
ており、安定にX型のみを得ることができなかった。
【0049】実施例3 撹拌器、滴下ロートなど備えた500mlの4ツ口フラ
スコに、J.Am.Chem.Soc.、第103号、
第4629頁、1981年、に記載の方法に準じて、実
施例1で得られたβ型H2-Pc35.0gをジグライ
ム(diglyme)200g、60%KOH水溶液50gと共
に仕込み、90〜100℃の温度で2時間反応した。得
られた緑色の反応混合液は、メンブランフィルターを通
して不溶物を除去した後、濾液を5%HCl液1000
ml中へゆっくり滴下し、K2-Pc(diglyme)2(ジカ
リウムフタロシアニンジグライム錯体)を分解し、水洗
後アセトンで水置換を行ない、減圧乾燥を行った後、3
2.6gの青色微粉体を得た。このものは、X線回析パ
ターンからα型H2-Pc変態をとっていた。IRを図
7に、X線回折スペクトルを図8に示す。
【0050】このα型H2-Pc5.0gと3mmφガ
ラスビーズ100gを100ml広口瓶に仕込み、試験
用分散機(ペイントシェカー)を用いて3〜5時間乾式ミ
リングを加えた後、実施例1と同様にMEK50mlを
加え、引き続き7〜5時間の湿式ミリングを行い同様に
処理し、3.7gの青紫色粉体を得た。このフタロシア
ニンも図4、図5に示したIR及びX線回析を示し、完
全にX型H2-Pcに変換されていることを確認した。
【0051】比較例3 実施例3で得られたα型H2-Pc 5.0gを特公平3
−78872号公報に記載された方法に従って、50時
間以上のミリングを加えたが図9に示すように、X型へ
の変換は不完全であった。なお、同号公報記載と同様に
100時間以上のミリングでは高純度のX型H2-Pc
を与えるが、それでも数%のα型を含むものであった。
【0052】実施例4 実施例3と同様に溶媒可溶化処理、精製復元してα型H
2-Pcを生成した。3〜5時間乾式ミリングを加えた
後、MEKの代りにメタノール50mlを加え、同様に
7〜5時間湿式ミリングを行い、同様な処理後、4.1
gの青色粉体を得た。このものも図4、図5に示したI
R及びX線回析を示し、完全にX型H2-Pcに変換さ
れていることを確認した。
【0053】実施例5 実施例4で用いたメタノールの代りにTHF 50ml
を用い、同じ実験を行った。得られた3.7gの青紫色
粉体も完全にX型に変換され、図4、図5に示す結果を
得た。
【0054】実施例6 実施例3と同様にα型H2-Pc5gと3mmφガラス
ビーズ100gとを100ml広口瓶に仕込み、分散機
を用いて3〜5時間乾式磨砕を行った後、ふるいを通し
て赤紫粉末3.2gを得た。この粉体にMEK100m
lを加え、単純にビーカー中で分散撹拌を室温で、3〜
5時間行った後、濾取し、減圧乾燥して、3.0gの青
紫色粉体を得た。IR及びX線回析から、このものも完
全にX型H2-Pc型に変換されていることを確認し
た。
【0055】応用例 実施例で得られたX型H2-Pc2gとシリコン樹脂[信
越化学社製のKR−5240(15%キシレン−ブタノ
ール溶液)]30gとをイソプロパノール100mlに分
散し、これをアルミニウム板上にポリカーボネートベー
スとして、バーコーターで(0.3μmの)電荷発生薄膜
を形成し風乾した。次に、その上に電荷輸送材料として
N,N−ジエチルアミノ−p−ベンズアルデヒドフェニ
ルナフチルヒドラゾン1.5gとポリカーボネート樹脂
1.5gとを1,2−ジクロルエタン15mlに溶かし
た溶液で厚さ約20μmの電荷輸送薄膜を形成し、積層
型の電子写真感光体を作成した。
【0056】このようにして作成した感光体をペーパー
アナライザー[川口電機社製のEPA−8100]を用い
て、帯電電圧−5kvで感光体表面を負に帯電し、5秒
間の暗減衰[D]につづき、5luxの白色光にて露光を
行って、光電子的特性を評価した。結果を表2に示す。
【0057】
【表2】 帯電電位 暗減衰率 半減露光量 (−V) (%) (lux・sec) 実施例1のX型H2-Pc 680 90 1.3 実施例2のX型H2-Pc 695 91 1.1 実施例3のX型H2-Pc 720 91 0.8 実施例4のX型H2-Pc 700 91 0.9 実施例5のX型H2-Pc 690 92 1.0 実施例6のX型H2-Pc 700 91 0.9 比較例1の H2-Pc 550 86 3.0以上 比較例2の H2-Pc 650 88 1.5 比較例3の H2-Pc 680 88 1.4
【0058】以上の結果より、本発明の方法で得られる
X型H2−Pcを用いた感光体は従来法のものと比較し
て帯電性が良好で、暗減衰率が小さくそして残留電位が
小さい電気特性を有することが示された。
【0059】
【発明の効果】本発明の新規な製造方法は、従来法に比
べ短時間のミリング処理で、元の結晶変態を完全にX型
に変換でき、製造コストの大幅な低減が可能である。
【0060】また、本発明の方法で得られたX型H2-
Pcは、高純度で、しかも光電子的特性にすぐれるた
め、半導体レーザーを利用する複写機等の電子写真感光
体の電荷発生材料として極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1のβ型H2-PcのIRスペクトル
を示す。
【図2】 実施例1のβ型H2-PcのX線回折スペク
トルを示す。
【図3】 乾式ミリングを施したα型からX型への変換
途中のフタロシアニンのX線回折スペクトルを示す。
【図4】 本発明の方法で得られたX型H2-PcのI
Rスペクトルを示す。
【図5】 本発明の方法で得られたX型H2-PcX線
回折スペクトルを示す。
【図6】 実施例2の完全アモルファス型H2-Pcの
X線回折スペクトルを示す。
【図7】 実施例3のα型H2-PcのIRスペクトル
を示す。
【図8】 実施例3のα型H2-PcのX線回折スペク
トルを示す。
【図9】 比較例3のH2-PcのX線回折スペクトル
を示す。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)粗製無金属フタロシアニン、α型無
    金属フタロシアニン、β型無金属フタロシアニンおよび
    アモルファス型無金属フタロシアニンからなる群から選
    択される無金属フタロシアニンを乾式ミリングする工
    程;および(b)得られる無金属フタロシアニンを有機溶
    剤中に分散させる工程;を包含するX型無金属フタロシ
    アニンの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記分散を湿式ミリングにより行う請求
    項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記β型無金属フタロシアニンが、粗製
    無金属フタロシアニンを有機溶剤を用いて精製すること
    により得られる請求項1または2記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記α型無金属フタロシアニンが、前記
    粗製無金属フタロシアニンまたはβ型無金属フタロシア
    ニンを溶媒可溶化処理した後、精製復元処理して得られ
    る請求項1〜3のいずれか記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記アモルファス型無金属フタロシアニ
    ンが、前記粗製無金属フタロシアニンまたはβ型無金属
    フタロシアニンを硫酸に一度溶解し、アシッドペーステ
    ィング処理した後、精製復元処理することにより得られ
    る請求項1〜4のいずれか記載の方法。
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