JPH07213627A - イオントフォレシス用マトリックス - Google Patents

イオントフォレシス用マトリックス

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JPH07213627A
JPH07213627A JP22666094A JP22666094A JPH07213627A JP H07213627 A JPH07213627 A JP H07213627A JP 22666094 A JP22666094 A JP 22666094A JP 22666094 A JP22666094 A JP 22666094A JP H07213627 A JPH07213627 A JP H07213627A
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勝美 伊賀
Hiroaki Okada
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Abstract

(57)【要約】 【目的】薬物の利用効率を著しく高めた実用的なイオン
トオフォレシス用マトリックスを提供する。 【構成】陰極側にカチオン化された薬物、陽極側に水溶
性酸性物質またはその塩を含有してなるイオントフォレ
シス用マトリックス。 【効果】本発明のイオントフォレシス用マトリックスを
用いてイオントフォレシスを行うことにより、薬物を利
用効率よく生体内に投与し得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、イオントフォレシス用
の新規マトリックスに関する。
【0002】
【従来の技術】イオントフォレシス (Iontophoresis)
は外的刺激に電気を用いた経皮吸収促進システムで、そ
の原理は主に通電により陰極および陽極間に生じた電界
中を正にチャージした分子は陽極から出て陰極へ、負に
チャージした分子は陰極から出て陽極へ移動する力に基
づいて薬物分子の皮膚バリヤー透過を促進する〔ジャー
ナル・オブ・コントロールド・リリース(Journal of C
ontorolled Release)18巻,1992年,213−2
20頁;アドバンスト・ドラッグ・デリバリー・レビユ
ウ(Advanced Drug Delivery Review)9巻,1992
年,119頁;ファルマシウチカル・リサーチ(Pharma
ceutical Research)3巻,1986年,318−32
6頁参照〕。最近の合成技術、遺伝子工学の進歩により
天然に存在するペプチドあるいは蛋白質もしくはこれら
のアミノ酸組成を変化させたものや化学的修飾を加えた
誘導体が、純粋にかつ大量に生産されるようになり医薬
品としての応用が期待されている。しかしその一方で微
量で多様な生理活性を有するこれらのペプチドや蛋白質
を限定された疾病で薬効を最大限に発揮させ副作用を最
小限に抑えるためには厳密な投薬コントロールが要求さ
れる。例えば副甲状腺ホルモンやその活性フラグメント
は骨に対して造骨作用と破骨作用という相反する作用を
有しているが、間欠的に投与することで造骨作用が強く
発現して、骨粗鬆症の治療薬に利用されている。ところ
が、一般にこのような生理活性ペプチドあるいは蛋白質
は胃腸管内で消化液によって分解されたり、消化壁の分
解酵素によって加水分解を受け、吸収が悪いことが知ら
れている。従って充分な薬効を期待するためにはこれら
の生理活性ペプチドあるいは蛋白質の投与方法は通常、
経口投与ではなく注射による投与が行われているが、患
者に与える苦痛は大きく、また自己投与が出来ないこと
も患者には大きな負担である。特に上記の副甲状腺ホル
モンの活性フラグメントのような間欠的な連続投与を要
求される場合はなおさらである。
【0003】製薬分野においてこうした生理活性ペプチ
ドや蛋白質に対応できる新しい薬物送達システム(ドラ
ッグデリバリーシステム)としてイオントフォレシスが
精力的に研究されている。特開平4−224770号公
報には、一対の電極に薬物を配合し、双方の電極間に印
加される電圧の正・負を各々交互に切り替えるための電
圧調節手段を具備したイオントフォレシス用装置が記載
されている。カナダ公開特許出願2042994号公報
には、陰陽両電極に薬物を含有し、陰極を高pHに陽極
を低pHに保つことを特徴とするイオントフォレシス用
装置が記載されている。米国特許第5042975号公
報には、イオントフォレシスにおける、薬物の等電点と
電極のpHとが薬物の吸収性に及ぼす影響について記載
されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
イオントフォレシスの方法では、薬物の吸収が十分でな
かったり、経時的に吸収が低下する欠点を有し、そのま
ま実用に供するには問題点があった。かかる現状に鑑
み、薬物の利用効率を著しく高めた実用的なイオントフ
ォレシス用マトリックスの開発が求められている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な課題を解決するために鋭意研究をすすめたところ、陽
極側にカチオン化された薬物、陰極側に水溶性酸性物質
またはその塩を含有せしめてイオントフォレシスを行う
と、薬物の経皮吸収性が著しく増大するこを見いだし、
さらに鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成した。即ち
本発明は、(1)陽極側にカチオン化された薬物、陰極
側に水溶性酸性物質を含有してなるイオントフォレシス
用マトリックス、(2)薬物が水溶性カルボン酸でカチ
オン化された上記(1)記載のマトリックス、(3)カ
ルボン酸が脂肪族カルボン酸である上記(2)記載のマ
トリックス、(4)酸性物質が水溶性有機酸である上記
(1)記載のマトリックス、(5)酸性物質が水溶性無
機酸である上記(1)記載のマトリックス、(6)酸性
物質が脂肪族カルボン酸である上記(1)記載のマトリ
ックス、(7)脂肪族カルボン酸が炭素数2から6の脂
肪族カルボン酸である上記(3)または(6)記載のマ
トリックス、(8)脂肪族カルボン酸がクエン酸である
上記(7)記載のマトリックス、(9)陽極側のpHが
1から5の範囲である上記(1)記載のマトリックス、
(10)薬物が分子内に少なくとも1個の塩基性官能基
を有する生理活性ペプチドである上記(1)記載のマト
リッス、(11)ペプチドの分子量が7000以下であ
る上記(10)記載のマトリックス、(12)ペプチド
の等電点が5.5以上である上記(10)記載のマトリ
ックス、(13)薬物がカルシウム調節ホルモンである
上記(1)記載のマトリックス、(14)カルシウム調
節ホルモンが副甲状腺ホルモン、その誘導体またはそれ
らの塩である上記(13)記載のマトリックス、(1
5)カルシウム調節ホルモンがカルシトニン、その誘導
体またはそれらの塩である上記(13)記載のマトリッ
クス、(16)上記(1)記載のイオントフォレシス用
マトリックスに通電/非通電のサイクルを繰り返すこと
を特徴とするイオントフォレシス、(17)パルス直流
電流を通電することを特徴とする上記(16)記載のイ
オントフォレシス、(18)連続直流電流を通電するこ
とを特徴とする上記(16)記載のイオントフォレシス
および(19)直流電流を約0.01から4mA/cm
2の電流値で通電することを特徴とする上記(17)ま
たは(18)記載のイオントフォレシスに関する。
【0006】本発明における薬物としては、カチオン化
し得る薬物で、カチオン化した状態で水溶性であれば、
いかなる薬物でも用いることができる。該薬物の好まし
い例として、例えば生理活性を有し、分子内に少なくと
も1個の塩基性官能基を有するペプチドが挙げられる。
該ペプチドの分子量は、約7000以下であることが好
ましく、さらに約6000以下であることが好ましい。
特に約5000以下が好ましい。該水溶性ペプチドの等
電点は、約5.5以上であることが好ましく、さらに約
6以上であることが好ましい。
【0007】薬物の水溶性は、水とn−オクタノールと
の油水分配率で定義され、n−オクタノール/水溶解度
の比が1以下の薬物への適用が好ましく、0.1以下の
薬物への適用がより好ましい。油水分配率の測定は、
「物理化学実験法」鮫島実三郎著、裳華房刊、昭和36
年に記載された方法に従えばよい。すなわち、まず試験
管中にn−オクタノールおよびpH5.5の緩衝液(1
対1の等量混合物)を入れる。該緩衝液としては例えば
ゼーレンゼン(Sφerenzen)緩衝液〔エルジェブニッセ
・デア・フィジオロジー(Ergeb. Physiol.) 12, 393(19
12)〕、クラークルブス(Clark-Lubs)緩衝液〔ジャー
ナル・オブ・バクテリオロジー(J. Bact.) 2(1), 109,
191(1917)〕、マクルベイン(MacIlvaine)緩衝液〔ジ
ャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J. Bi
ol. Chem.) 49, 183(1921)〕、ミカエリス(Michaeli
s)緩衝液〔ディ・バッサー−シュトッフイオネンコン
ツエントラチオン(Die Wasser-stoffionenkonzentratio
n.) p. 186(1914)〕、コルソフ(Kolthoff)緩衝液〔バ
イオヘミシェ・ツアイトシュリフト(Biochem. Z.) 179,
410(1926)〕などが挙げられる。これらの薬物を適宜量
投入し、さらに栓をして恒温槽(25℃)に浸し、しば
しば強く振盪する。そして薬物が両液層間に溶け、平衡
に達したと思われる頃、液を静置あるいは遠心分離し、
上下各層より別々にピペットにて一定量の液をとり出
し、これを分析して各層の中における薬物の濃度を決定
し、n−オクタノール層中の薬物の濃度/水層中の薬物
の濃度の比をとれば、油水分配率となる。
【0008】なお本明細書において、アミノ酸,ペプチ
ド等に関し、略号で表示する場合、IUPAC−IUB
コミッション・オン・バイオケミカル・ノーメンクレ
ーチャー(Commission on Biochemical Nomenclature)
による略号あるいは当該分野における慣用略号に基づく
ものとし、また、アミノ酸に光学異性体があり得る場
合、特に明示しなければL体を示すものとする。
【0009】上記ペプチドの好ましい具体例として、例
えば黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH-RH),LH-RH
と同様な作用を有する誘導体、例えば式(I):(Pyr) G
lu-R1-Trp-Ser-R2-R3-R4-Arg-Pro-R5(I) 〔式中、R1
は His,Tyr,Trp または p-NH2-Phe、R2は Tyr または
Phe、R3 は Gly または D型のアミノ酸残基、R4は Le
u,Ile または Nle、R5 は Gly-NH-R6(R6 は H または
水酸基を有していてもよい低級アルキル基)または NH-
R6(R6 は前記と同意義)を示す〕で表されるポリペプ
チドまたはそれらの塩〔米国特許第3853837号,
同第4008209号、同第3972859号,英国特
許第1423083号,プロシーデイングス・オブ・ザ
・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス (Procee
dings of the National Academy of Science)第78
巻,6509〜6512頁(1981年)参照〕;LH
−RH 拮抗物質、例えば式(II) :N-α-t-ブトキシ
カルボニル-O-ベンジル-Ser-Trp-Ser-Tyr-X1-Leu-Arg-P
ro-GlyNH2(II) 〔式中、X1は D-Ser または D-Trp を
示す〕で表されるポリペプチドまたはそれらの塩(米国
特許第4086219号,同第4124577号,同第
4253997号,同第4317815号参照);イン
スリン;ソマトスタチン,ソマトスタチン誘導体、例え
ば式(III):
【化1】 〔式中、Y は D-Ala,D-Ser または D-Val、Z は Asn
または Ala を示す〕で表されるポリペプチドまたはそ
れらの塩(米国特許第4087390号,同第4093
574号,同第4100117号,同第4253998
号参照);副腎皮質刺激ホルモン(ACTH);メラノサイ
ト刺激ホルモン(MSH);甲状腺刺激ホルモン放出ホル
モン(TRH),その誘導体、例えば式(IV):
【化2】 〔式中、X' は4,5または6員複素環基を、Y' はイミ
ダゾール−4−イルまたは4−ヒドロキシフェニルを、
Z' は CH2 または S を、R1',R2'は同一または異なっ
て水素もしくは低級アルキル基を、R3'は水素または置
換基を有していてもよいアラルキル基を示す〕で表され
る化合物またはそれらの塩(特開昭50−121273
号,特開昭52−116465号公報参照);副甲状腺
ホルモン(PTH),その誘導体、例えば式(V):R1''-V
al-Ser-Glu-Leu-R2''-His-Asn-R3''-R4''-R5''-His-Leu
-Asn-Ser-R6''-R7''-Arg-R8''-Glu-R9''-Leu-R10''-R
11''-R12''-Leu-Gln-Asp-Val-His-Asn-R13''(V) 〔R
1'' は Ser または Aib、R2''は Met または天然型の脂
溶性アミノ酸、R3'' は Leu,Ser,Lys または芳香族ア
ミノ酸、R4'' は Gly またはD-アミノ酸、R5'' は Lys
または Leu、R6'' はMet または天然型の脂溶性アミノ
酸、R7'' は Glu または塩基性アミノ酸、R8''は Val
または塩基性アミノ酸、R9'' は Trp または 2-(1,3-ジ
チオラン-2-イル)Trp、R10'' は Arg または His、R
11'' は Lys または His、R12'' は Lys,Gln または L
eu、R13'' は Phe または Phe-NH2 を示す〕で表される
ペプチドまたはそれらの塩(特開平5−32696号,
同第4−247034号,ヨーロッパ特許公開第510
662号,同第477885号,同第539491号公
報参照)、ヒト型 PTH のN末端(1→34位)のペプ
チドフラグメント(hPTH(1→34)と略す)など〔G.W.Tre
gearら、エンドクリノロジー(Endocrinology),
,1349−1353(1973)〕;バソプレシ
ン,バソプレシン誘導体{デスモプレシン〔日本内分泌
学会雑誌,第54巻 第5号第676〜691頁(19
78)〕参照};オキシトシン;カルシトニン、カルシ
トニンと同様な作用を有する誘導体、例えば式(VI):
【化3】 〔式中、X'' は2−アミノスベリン酸〕で表される化合
物またはそれらの塩〔エンドクリノロジー(Endocrinolo
gy)1992,131/6(2885−2890)〕;
グルカゴン;ガストリン;セクレチン;コレシストキニ
ン;アンジオテンシン;エンケファリン,エンケファリ
ン誘導体、例えば式(VII):
【化4】 〔式中、R1''' と R3'''は水素または炭素数1から6の
アルキル基、R2''' は水素または D-α-アミノ酸、R
4''' は水素または炭素数1から8の置換されていても
よい脂肪族アシル基を示す〕で表されるペプチドまたは
それらの塩(米国特許第4277394号,ヨーロッパ
特許出願公開第31567号公報参照)等のオリゴペプ
チドおよびエンドルフィン;キョウトルフィン;インタ
ーロイキン(IからXI);タフトシン;サイモポイエチ
ン;胸腺液性因子(THF);血中胸腺因子(FTS)
およびその誘導体、例えば式(VIII):PGlu-X'''-Lys-
Ser-Gln-Y'''-Z'''-Ser-Asn-OH (VIII) 〔式中、X'''
は L- または D-Ala、Y''' 及びZ''' は各々 Gly また
は炭素数3から9の D-アミノ酸を示す〕で表されるペ
プチドまたはそれらの塩(米国特許第4229438号
参照);およびその他の胸腺ホルモン〔サイモシン α1
およびβ4,サイミックファクター X等、医学のあゆ
み、第125巻,第10号,835−843頁(198
3年)〕;モチリン;デイノルフィン;ボムベシン;ニ
ュウロテンシン;セルレイン;ブラディキニン;ウロキ
ナーゼ;サブスタンスP;ポリミキシンB;コリスチ
ン;グラミシジン;バシトラシン;タンパク合成刺激ペ
プチド(英国特許第8232082号);胃酸分泌抑制
ポリペプチド(GIP);バソアクティブ・インティス
ティナル・ポリペプチド〔vasoactive intestinal poly
peptide(VIP)〕;プレートレット−ディライブド
・グロース・ファクター〔platelet-derived growth fa
ctor(PDGF)〕;成長ホルモン分泌因子(GRF,
ソマトクリニン)などが挙げられる。
【0010】これらの生理活性ペプチドはヒト型でも他
の動物、たとえばウシ、ブタ、ニワトリ、サケ、ウナギ
由来のものでもよく、さらにはヒトとそれら動物由来の
もののキメラ体でもよい。さらに一部構造を変化させた
活性誘導体でもよい。たとえば、ブタ由来のインスリン
や、カルシトニンではブタ、ニワトリ、サケ、ウナギ由
来のものあるいはヒトとサケのキメラ体であって、式
(IX):Cys-Gly-Asn-Leu-Ser-Thr-Cys-Met-Leu-Gly-Ly
s-Leu-Ser-Gln-Glu-Leu-His-Lys-Leu-Gln-Thr-Tyr-Pro-
Arg-Thr-Asn-Thr-Gly-Ser-Gly-Thr-Pro (IX)で表され
るペプチド〔エンドクリノロジー(Endocrinology)19
92,131/6(2885−2890)〕などが挙げ
られる。
【0011】上記薬物の中で、副甲状腺ホルモン(PT
H),その誘導体またはそれらの塩;カルシトニン,そ
の誘導体またはそれらの塩;黄体形成ホルモン放出ホル
モン(LH-RH),LH-RH と同様な作用を有する誘導体ま
たはそれらの塩;甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TR
H),その誘導体またはそれらの塩;バソプレッシン,
その誘導体;インスリンが好ましい。さらに、副甲状腺
ホルモン,その誘導体またはそれらの塩;カルシトニ
ン,その誘導体またはそれらの塩が特に好ましい。
【0012】薬物の陽極への配合量は、使用する薬物の
種類、投与対象動物(例、マウス,ラット,ウシ,ウ
マ,サル,人等の温血哺乳動物)、投与部位(例、腕,
腹部,背部等)により種々異なるが、薬物の有効量であ
ればよい。例えば、ヒト副甲状腺ホルモン,その誘導体
またはそれらの塩を成人(体重50kg)へ投与するた
めのマトリックスは、マトリックス1gに該薬物を好ま
しくは約0.01から10重量%、さらに好ましくは約
0.03から8重量%、特に好ましくは約0.05から5
重量%含有させる。
【0013】薬物をカチオン化する方法は、薬物がカチ
オン化した状態で水溶性であればいかなる方法を用いて
もよい。好ましい方法として例えば、薬物と水溶性カル
ボン酸とを接触させる方法が挙げられる。具体的には、
例えば薬物を水に溶解または懸濁した液に水溶性カルボ
ン酸を添加し、均一溶液とすることにより行なわれる。
この場合、水溶性カルボン酸の配合量は、陽極のpHが
約1から5の範囲、好ましくは約3から4の範囲となる
ように配合する。具体的には、薬物のモル数とカルボン
酸のモル当量数(カルボン酸のモル数×カルボン酸の電
荷数)の比が約1:20から1:400、好ましくは約
1:40から1:400となるように配合することが好
ましい。
【0014】上記水溶性カルボン酸の好ましい例とし
て、例えば水溶性脂肪族カルボン酸が挙げられる。より
好ましくは、炭素数2から6の水溶性脂肪族カルボン酸
が挙げられる。特に好ましくは、1から5個の水酸基を
有していてもよい炭素数2から6の脂肪族モノ、ジおよ
びトリカルボン酸である。該水溶性カルボン酸の具体例
としては、例えば酢酸,プロピオン酸,アスコルビン
酸,乳酸,グルコン酸,グルクロン酸等のモノカルボン
酸、シュウ酸,マロン酸,コハク酸,リンゴ酸,酒石
酸,フタル酸,マレイン酸等のジカルボン酸、クエン酸
等のトリカルボン酸が挙げられる。これらの中で、酢
酸,プロピオン酸,アスコルビン酸,乳酸,グルコン
酸,グルクロン酸,マロン酸,コハク酸,マレイン酸,
リンゴ酸,酒石酸,クエン酸が好ましく、クエン酸、酒
石酸、コハク酸が更に好ましい。クエン酸が特に好まし
い。
【0015】陰極側に用いられる水溶性酸性物質として
は、例えば水溶性有機酸、水溶性無機酸等があげられ
る。これら水溶性酸性物質は、薬理効果を示さない水溶
性酸性物質が好ましい。該水溶性有機酸としては、例え
ば水溶性カルボン酸が好ましい。水溶性カルボン酸の好
ましい例として、例えば水溶性脂肪族カルボン酸が挙げ
られる。さらに好ましくは、炭素数2から6の水溶性脂
肪族カルボン酸が挙げられる。特に好ましくは、1から
5個の水酸基を有していてもよい炭素数2から6の脂肪
族モノ、ジおよびトリカルボン酸である。該水溶性カル
ボン酸の具体例としては、例えば酢酸,プロピオン酸,
アスコルビン酸,乳酸,グルコン酸,グルクロン酸等の
モノカルボン酸、シュウ酸,マロン酸,コハク酸,リン
ゴ酸,酒石酸,フタル酸,マレイン酸等のジカルボン
酸、クエン酸等のトリカルボン酸が挙げられる。これら
の中で、酢酸,プロピオン酸,アスコルビン酸,乳酸,
グルコン酸,グルクロン酸,マロン酸,コハク酸,マレ
イン酸,リンゴ酸,酒石酸,クエン酸が好ましく、クエ
ン酸、酒石酸、コハク酸が更に好ましい。クエン酸が特
に好ましい。該水溶性無機酸としては、例えばリン酸、
ポリリン酸、ホスホン酸(亜リン酸)、塩酸等が好まし
い。リン酸は,さらにアルコールとのエステル(例、リ
ン酸メチル、リン酸エチル等)として用いることもでき
る。
【0016】上記水溶性酸性物質は、酸性を示すのであ
ればその塩として用いてもよく、例えばアルカリ金属
(例、ナトリウム,カリウム等),アンモニア,有機ア
ミン類〔例、アルキルアミン類(例、ジエチルアミン,
トリエチルアミン等),芳香族アミン類(例、ピリジ
ン,ルチジン等)等〕と上記ジまたはトリカルボン酸と
の塩が挙げられる。具体例を挙げれば、クエン酸モノナ
トリウム塩,酒石酸モノナトリウム塩,コハク酸モノカ
リウム塩等である。水溶性カルボン酸、水溶性酸性物質
における水溶性は、該カルボン酸または酸性物質1gま
たは1mlを20±5℃において溶解するに要する水の
量により示される。本発明には該水量が好ましくは約1
0ml未満、さらに好ましくは5ml未満、特に好まし
くは約1ml未満のカルボン酸または酸性物質が用いら
れる。水溶性酸性物質またはその塩の陰極側への配合量
は、皮膚に悪影響(刺激,腐食等)を与えない量であれ
ばいかなる量であってもよい。具体的には、マトリック
ス全体に対して、例えば約0.1から15重量%配合す
る。好ましくは約0.1から12重量%、特に約0.3
から10重量%である。
【0017】薬物を含有させるマトリックスの基剤とし
ては、皮膚に悪影響(刺激,腐食等)を及ぼさず、皮膚
密着性に富み、且つ導電性を示す基剤であればいかなる
ものも用いることができる。該基剤の好ましい例として
は、例えば親水性樹脂または高分子化合物が用いられ
る。親水性樹脂としては、たとえばポリアクリルアミ
ド,ポリアクリル酸またはそのアルカリ金属塩またはそ
のエステル等のアクリル系樹脂,ポリビニルピロリド
ン,ポリビニルアルコール,ポリビニルエチルエーテル
およびそのコーポリマー等のビニル系樹脂,トラガント
ガム,カラヤガム等の天然多糖類などが、また、高分子
化合物としては、メチルセルロース,ヒドロキシプロピ
ルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,
ヒアルロン酸またはそのアルカリ金属塩などが挙げられ
る。マトリックスとしては、綿,濾紙,メンプランフィ
ルターなどの素材に導電性を付与した薬物含有液を含浸
させたものを用いることもできる。マトリックスは、自
己保形性を維持しうる程度に調製し、フィルム状ないし
シート状に展延する。厚さは約0.05〜3.0mmが良
く、特に好ましくは約0.1〜2.0mmである。厚すぎる
と良好な経皮吸収が得られないことがある。
【0018】本発明のイオトフォレシス用マトリックス
は、例えば次のようにして製造される。即ち、上記薬物
を含有させるマトリックスの基剤を水に溶解し、この溶
液に薬物、薬物をカチオン化するための化合物を添加し
練合した後成形し陽極側用マトリックスを製造し、さら
に上記マトリックスの基剤を水に溶解し、この溶液に水
溶性酸性物質またはその塩を添加し練合した後成形し陰
極側用マトリックスを製造することにより、イオントフ
ォレシス用マトリックスを製造することができる。その
際、柔軟可塑剤として、水,ポリエチレングリコール,
プロピレングリコール,グリセリンなどが、また、誘電
性を付与するための電解質としては塩化ナトリウム,炭
酸ナトリウム,リン酸,クエン酸ナトリウムなどが適宜
配合される。
【0019】基剤の使用量は、基剤の種類、マトリック
スの形状(例、フイルム状,シート状等)などにより異
なるが、マトリックスの自己保形性を維持し得る程度に
用いる。例えば、水溶液とした場合の濃度が、好ましく
は約0.1から30重量%、より好ましくは約0.5から
20重量%、特に好ましくは約1から15重量%となる
量を用いる。各原料の配合量は、最終製品における各原
料の量が、前述の範囲を満たすように適宜選択される。
上記製造法において、所望によりタンパク分解酵素阻害
剤,等張化剤,保存剤,抗酸化剤,pH調整剤,可塑
剤,界面活性剤,浸透圧増強剤等を適宜配合してもよ
い。
【0020】タンパク分解酵素阻害剤としては、例えば
メシル酸ガベキサート,α−1−アンチトリプシン,ア
プロチニン,ペプスタチン等が挙げられる。等張化剤と
しては、例えばマンニトール,ソルビトール等が挙げら
れる。保存剤としては、例えば塩化ベンザルコニウム
(benzalkonium chloride)、セトリミド(臭化セチル
トリメチルアンモニウム),安息香酸,ベンジルアルコ
ール,パラベン(p−ヒドロキシ安息香酸のメチル−,
エチル−,プロピル−およびブリル−エステルに対する
商標),クロルヘキシジン,クロロブタノール,酢酸フ
ェニル水銀,ホウ酸フェニル水銀,硝酸フェニル水銀,
ソルビン酸カリウム,安息香酸ナトリウム,ソルビン酸
ならびにチオメルサール(thiomersal)(メルクリチオ
サリチレート)またはそれらの混合物等が挙げられる。
【0021】抗酸化剤としては、例えばメタ重亜硫酸ナ
トリウム,ブチルヒドロキシアニソール(butylated hy
droxyanisole)およびブチルヒドロキシトルエン(buty
lated hydroxytoluene)もしくはそれらの混合物等が挙
げられる。pH調節剤としては、例えばクエン酸および
クエン酸ナトリウム等が挙げられる。可塑剤としては、
例えばフタル酸ジエチル,フタル酸ジブチルおよびクエ
ン酸トリブチル等が挙げられる。界面活性剤としては、
例えばラウリル硫酸ナトリウム,モノステアリン酸ジエ
チレングリコール,モノステアリン酸プロピレングリコ
ール,商標マクロゴル(MACROGOL)のもとに市販される
ポリエチレングリコール,ポリソルベートおよびポリビ
ニルアルコール等が挙げられる。浸透圧増強剤として
は、例えばジメチルスルホキシド,N,N−ジメチルア
セトアミド,N,N−ジメチルホルムアミド,2−ピロ
リドン,N−メチル−2−ピロリドンおよび1−ドデシ
ルアザシクロ−ヘプタン−2−オン等が挙げられる。
【0022】本発明のイオントフォレシス用マトリック
スを、適当な電源と組み合わせてイオントフォレシスを
行うことにより、薬物を例えば温血哺乳動物(例、マウ
ス,ラット,ウシ,ウマ,サル,人等)に安全に経皮投
与することができる。該電源としては、本発明のイオン
トフォレシス用マトリックスより薬物を効率よく生体内
に移動させ得るものであれば、いかなる電源でもよい。
上記電源の好ましい例として、例えば本発明のイオント
フォレシス用マトリックスに連続直流電流またはパルス
直流電流を印加しうる電源が挙げられる。さらに、パル
ス直流電流を印加し得る電源が好ましい。特に方形型パ
ルス直流電流を印加し得る電源が好ましい。連続直流電
流の電流値は、約0.01から4mA/cm2が好ましい。よ
り好ましくは約0.1から4mA/cm2である。パルス直流
電流の周波数は、好ましくは約0.1から200kH
z、より好ましくは約1から100kHz、特に好まし
くは約5から80kHzの範囲より適宜選択される。パ
ルス直流電流のオン/オフ(on/off)の比は、好ましく
は約1/100から20/1、より好ましくは約1/5
0から15/1、特に好ましくは約1/30から10/
1の範囲より適宜選択される。パルス直流電流の電流値
は、好ましくは約0.1から4mA/cm2、より好ま
しくは約0.3から3.5mA/cm2、特に好ましく
は約0.5から3mA/cm2の範囲より適宜選択され
る。通電時間は、連続通電で約24時間以下、さらに約
12時間以下、特に約6時間以下が好ましい。
【0023】好ましい通電方法は、例えば約1分から6
時間、より好ましく約1分から2時間、特に好ましくは
約10分から1.5時間の連続通電期間とその後に続く
約1分から6時間、より好ましくは約10分から4時
間、特に好ましくは約30分から2時間の非通電期間を
合わせて1サイクルとしたとき、少なくとも2回該サイ
クルを繰り返すことが好ましい。通電/非通電のサイク
ルは3回以上繰り返すことが特に好ましい。通電/非通
電のサイクルを繰り返す場合において、通電期間の総和
は約10分から24時間となることが好ましい。より好
ましくは約30分から2時間である。上記の通電/非通
電のサイクルを繰り返すイオントフォレシスには、例え
ばパルス直流電流、連続直流電流、好ましくはパルス直
流電流が用いられる。このパルス直流電流の周波数は、
約1から100kHzが好ましい、より好ましくは約20
から60kHzである。このパルス直流電流のオン/オフ
(ON/OFF)比は、約10/1から1/10が好まし
い。より好ましくは約3/1から1/3である。パルス
直流電流の電流値は、約0.01から1.0mA/cm2が好
ましく、約0.5から3.0mA/cm2がより好ましい。特
に好ましくは約0.8から1.8mA/cm2である。連続直
流電流の電流値は、約0.01から1.0mA/cm2が好ま
しく、約0.01から1mA/cm2がより好ましい。特に好
ましくは約0.05から0.3mA/cm2である。本発明の
イオントフォレシス用マトリックスは、例えば図1また
は図2に示すような形態で用いることができる。
【0024】
【実施例】以下に、参考例、実施例、実験例により、本
発明を具体的に例示するが、本発明はこれらに限定され
るものではない。特にことわりのない限り、参考例中の
%は容量%を、実施例,実験例中の%は重量%を示す。 参考例1 ヒト副甲状腺ホルモン(以下、hPTHと略
記)のアミノ基末端から34番目までのアミノ酸からな
る活性フラグメントの酢酸塩〔以下hPTH(1→3
4)と略記する〕の合成と精製 本ペプチドの合成はメリフィールドらにより開発された
ペプチドの固相合成法〔アール・ビー・メリフィールド
(R. B. Merrifield) アドバンシズ イン エンザイモ
ロジー(Adv. Enzymol.)32巻、221−296頁
1969年)の変法に準じて行われ、自動ペプチド合成
機430A(アプライドバイオシステムズ社、米国)を
用いた。保護ペプチド−樹脂の合成はアプライドバイオ
システムズ社指定のプロトコールを用いた。縮合時に各
アミノ酸のα−アミノ基を保護するため、三級ブチルオ
キシカルボニル(BOC)基を用いた。側官能基保護は
次のように行った。セリンとスレオニンのヒドロキシル
基はo−ベンジルエーテルとして、グルタミン酸及びア
スパラギン酸のカルボキシル基はベンジルエステルとし
て、ヒスチジンのイミダゾール窒素はベンジルオキシメ
チルによって、リジンの側鎖アミノ基は2−クロルベン
ジルオキシカルボキシルで、アルギニンのグアニジン官
能基はp−トルエンスルホニル基で、トリプトファンの
インドールイミンはホルミル基で保護した。すべてのア
ミノ酸は、アプライド・バイオシステムズジャパン社又
はバチェム・ケミカルズから入手した。
【0025】Boc−L−フェニルアラニン−pオキシメ
チルフェニルアセトアミドメチル樹脂(ポリスチレン−
1%ジビニルベンゼン)を出発原料とし、これに逐次保
護アミノ酸を縮合させた。樹脂上に全てのアミノ酸を縮
合した後、保護ペプチド樹脂を合成機から取り出し、乾
燥した。ペプチド樹脂(1g)を、p−クレゾール(1m
l)、1,2−エタンジチオール(1ml)、2−メルカ
プトピリジン(100mg)を含んだ無水フッ化水素(8
ml)と、0℃で2時間反応させた。反応終了後、フッ化
水素を留去し、残留物をジエチルエーテルで洗浄し、大
部分の混合試薬を除去した。ペプチドを3%酢酸(10
ml)で抽出し、濾過により樹脂を除いた。濾液をセファ
デックスG−25を用いるゲル濾過により精製した。ゲ
ル濾過の条件は、カラムサイズ2.8×60cm、検出波
長230もしくは280nm;溶媒、3%酢酸;流速40
ml/時間であった。ペプチドを含むフラクションを集め
て凍結乾燥し、得られた粉末標品をさらに逆相高速液体
クロマトグラフィーで精製した。カラムYMC−パッ
ク、A−324 ODS(10×250mm)溶出溶媒
A,0.1%トリフルオロ酢酸−99.9%水;溶出溶
媒B,0.1%トリフルオロ酢酸−99.9%アセトニ
トリル;溶出濃度勾配プログラム、0分(90%A+1
0%B)、30分(60%A+40%B)溶出速度1.
6ml/分、検出波長230または280nm。純粋な目的
物を含むピーク画分を集めてバイオラッドAGI×8
(酢酸型、1.8×5cm)のカラムに通し、洗液も集め
アセトニトリルを留去した後、凍結乾燥した。収量10
5mg。4%チオグリコール酸存在下、6規定塩酸で減圧
封管中、110℃、24時間加水分解後のアミノ酸分析
値は次のとおりであった。カッコ内は理論値。Asp 4.0
0(4); Ser 2.54(3); Glu 4.92(5); Gly 0.91(1); V
al 2.61(3); Met 1.97(2); Ile 0.83(1); Len 4.90
(5); Phe 0.91(1); Lys 2.82(3); His 2.48(3); Tr
p 0.76(1); Arg 1.74(2)。
【0026】実施例1 参考例1で製造したhPTH(1→34)(10mg)と
クエン酸−水和物(7mg)を8%ポリビニルアルコール
水溶液(1g)に溶解し(pH3.8)、ゲル化・成形
し断面積8cm2、 厚さ1mmの円筒状としたものを陽極側
用マトリックスとし、またクエン酸−水和物(7mg)を
8%ポリビニルアルコール水溶液1gに溶解し、ゲル化
・成形し断面積8cm2、 厚さ1mmの円筒状としたものを
陰極側用マトリックスとし、イオントフォレシス用マト
リックスを製造した。 実施例2 hPTH(1→34)(10mg)とクエン酸−水和物
(70mg)を8%ポリビニルアルコール水溶液(1g)
に溶解し(pH2.8)、ゲル化・成形し断面積8c
m2、 厚さ1mmの円筒状としたものを陽極側用マトリッ
クスとし、またクエン酸−水和物(70mg)を8%ポリ
ビニルアルコール水溶液(1g)に溶解し、ゲル化・成
形し断面積8cm2、 厚さ1mmの円筒状したものを陰極側
用マトリックスとし、イオントフォレシス用マトリック
スを製造した。 実施例3 hPTH(1→34)(10mg)とクエン酸−水和物
(7mg)を8%ポリビニルアルコール水溶液(0.4
g)に溶解し(pH3.8)、ゲル化・成形し断面積
3.2cm2、 厚さ1mmの円筒状としたものを陽極側用マ
トリックスとし、またクエン酸−水和物(7mg)を8%
ポリビニルアルコール水溶液(0.4g)に溶解し、ゲ
ル化・成形し断面積3.2cm2、 厚さ1mmの円筒状とし
たものを陰極側用マトリックスとし、イオントフォレシ
ス用マトリックスを製造した。
【0027】実施例4 ヒトインシュリン(清水製薬製,10mg)と酒石酸(1
0mg)を8%ポリビニルアルコール水溶液(1g)に溶
解し(pH3.4)、ゲル化・成形し断面積8cm2、 厚
さ1mmの円筒状としたものを陽極側用マトリックスと
し、また酒石酸(10mg)を8%ポリビニルアルコール
水溶液(1g)に溶解し、ゲル化・成形し断面積8c
m2、 厚さ1mmの円筒状としたものを陰極側用マトリッ
クスとし、イオントフォレシス用マトリックスを製造し
た。 実施例5 サケカルシトニン(生化学工業製,2mg)とクエン酸−
水和物(5mg)を8%ポリビニルアルコール水溶液0.
4gに溶解し(pH3.4)、ゲル化・成形し断面積8c
m2、 厚さ1mmの円筒状としたものを陽極側用マトリッ
クスとし、またクエン酸−水和物(5mg)を8%ポリビ
ニルアルコール水溶液(0.4g)に溶解し、ゲル化・
成型し断面積3.2cm2、 厚さ1mmの円筒状としたもの
を陰極側用マトリックスとし、イオントフォレシス用マ
トリックスを製造した。
【0028】実施例6 参考例1で製造したhPTH(1→34)を1%含有す
る50mMクエン酸水溶液1mlにヒドロキシプロピル
セルロース〔HPC−L(日本曹達製)〕の6.25%
エチルアルコール溶液4mlを加え均一溶液とした。こ
の溶液0.5gをシリコン・ゴム製の底面積8cm2
厚み約1mmの円筒状くぼみの中に流し込み、常温(2
5℃)常圧(1気圧)下でアルコールを蒸発させ、hP
TH(1→34)を1mg含有する断面積8cm2,重
量27mg、厚さ0.024mmの円筒状イオントフォ
レシス用マトリックスを製造した。 実施例7 実施例6と同様にして製造したhPTH(1→34)お
よびHPC−Lの溶液1.0gをシリコン・ゴム製の底
面積16cm2、厚み約1mmの円筒状くぼみの中に流
し込み、常温(25℃)常圧(1気圧)下でアルコール
を蒸発させ、hPTH(1→34)を2mg含有する断
面積16cm2、重量54mg、厚さ0.024mmの
円筒状イオントフォレシス用マトリックスを製造した。
【0029】実施例8 実施例6と同様にして製造したhPTH(1→34)お
よびHPC−Lの溶液0.2gをシリコン・ゴム製の底
面積3.2cm2および厚み約1mmの円筒状くぼみの
中に流し込み、常温(25℃)常圧(1気圧)下でアル
コールを蒸発させ、hPTH(1→34)を0.4mg
含有する断面積3.2cm2重量10mg厚さ0.02
2mmの円筒状イオントフォレシス用マトリックスを製
造した。 実施例9 HPC−Lの6.25%エチルアルコール溶液の代わり
にHPC−Lの3.125%エチルアルコール溶液を用
いること以外、実施例6と同様にして、hPTH(1→
34)を1mg含有する断面積8cm2、重量14.5
mg、厚さ0.013mmの円筒状イオントフォレシス
用マトリックスを製造した。 実施例10 HPC−Lの6.25%エチルアルコール溶液の代わり
にHPC−Lの12.5%エチルアルコール溶液を用い
ること以外、実施例6と同様にして、hPTH(1→3
4)1mgを含有する断面積8cm2、重量52mg、
厚さ0.046mmの円筒状イオントフォレシス用マト
リックスを製造した。
【0030】実施例11 hPTH(1→34)を1%含有する50mMクエン酸
水溶液の代わりに、hPTH(1→34)を0.2%を
含有する50mMクエン酸水溶液を用いること以外、実
施例6と同様にして、hPTH(1→34)を0.2m
g含有する断面積8cm2、重量26.2mg、厚さ
0.023mmの円筒状イオントフォレシス用マトリッ
クスを製造した。 実施例12 hPTH(1→34)を1%含有する50mMクエン酸
水溶液の代わりに、hPTH(1→34)を2%を含有
する50mMクエン酸水溶液を用いること以外、実施例
6と同様にして、hPTH(1→34)を2mg含有す
る断面積8cm2、重量28mg、厚さ0.025mm
の円筒状イオントフォレシス用マトリックスを製造し
た。 実施例13 hPTH(1→34)を1%含有する50mMクエン酸
水溶液の代わりに、hPTH(1→34)を4%を含有
する50mMクエン酸水溶液を用いること以外、実施例
6と同様にして、hPTH(1→34)を4mg含有す
る断面積8cm2、重量30mg、厚さ0.027mm
の円筒状イオントフォレシス用マトリックスを製造し
た。
【0031】実施例14 HPC−Lの6.25%エチルアルコール溶液の代わり
にヒドロキシプロピルメチルセルロース〔TC−5(信
越化学社製)〕の6.25%エチルアルコール分散液を
用いること以外、実施例6と同様にして、hPTH(1
→34)を1mg含有する断面積8cm2、重量27m
g、厚さ0.024mmの円筒状イオントフォレシス用
マトリックスを製造した。なお、TC−5は100%エ
チルアルコール中ではコロイド分散して存在するが、h
PTH(1→34)を1%含有する50mMクエン酸溶
液を混和後TC−5のコロイドは溶解した。 実施例15 HPC−Lの6.25%エチルアルコール溶液の代わり
にHPC−Lを3.125%およびメチルセルロース
〔メトロースSM(信越化学社製)〕を3.125%含
有するHPC−Lおよびメチルセルロースのエチルアル
コール溶液を用いること以外、実施例6と同様にして、
hPTH(1→34)を1mg含有する断面積8c
2、重量27mg、厚さ0.024mmの円筒状イオ
ントフォレシス用マトリックスを製造した。 実施例16 hPTH(1→34)を1%含有する50mMクエン酸
水溶液の代わりに、サケカルシトニン(以下、sCTと
略する。シグマ社製、米国)を0.2%を含有する50
mMクエン酸水溶液を用いること以外、実施例6と同様
にして、sCTを0.2mg含有する断面積8cm2
重量26.2mg、厚さ0.023mmの円筒状イオン
トフォレシス用マトリックスを製造した。
【0032】実施例17 hPTH(1→34)を1%含有する50mMクエン酸
水溶液の代わりに、sCTを0.02%含有する50m
Mクエン酸水溶液を用いること以外、実施例6と同様に
して、sCTを0.02mg含有する断面積8cm2
重量26mg、厚さ0.023mmの円筒状イオントフ
ォレシス用マトリックスを製造した。 実施例18 hPTH(1→34)を1%含有する50mMクエン酸
水溶液の代わりに、牛膵臓インスリン(和光純薬製)を
1%を含有する50mMクエン酸水溶液を用いた以外、
実施例6と同様にして、牛膵臓インスリンを1mg含有
する断面積8cm2、重量27mg、厚さ0.023m
mの円筒状イオントフォレシス用マトリックスを製造し
た。 実施例19 hPTH(1→34)を1%含有する50mMクエン酸
水溶液の代わりに、TRH〔インターナショナル・ジャ
ーナル・オブ・ファルマシウチクス(International Jou
rnal of Pharmaceutics)第69巻、第69〜75頁(1
991年)記載の方法により製造したものを用いた〕を
1%を含有する50mMクエン酸水溶液を用いること以
外、実施例6と同様にして、TRHを1mg含有する断
面積8cm2、重量27mg、厚さ0.023mmの円
筒状イオントフォレシス用マトリックスを製造した。 実施例20 hPTH(1→34)を1%含有する50mMクエン酸
水溶液の代わりに、リュープロライド(武田薬品工業
製)を0.2%を含有する50mMクエン酸水溶液を用
いること以外、実施例6と同様にして、リュープロライ
ドを0.2mg含有する断面積8cm2、重量26.2
mg、厚さ0.023mmの円筒状イオントフォレシス
用マトリックスを製造した。
【0033】実験例1 hPTH(1→34)(10mg)を8%ポリビニルアル
コール水溶液(1g)に溶解し(約pH6.5)、ゲル
化・成形し断面積8cm2、 厚さ1mmの円筒状としたもの
を陽極側用マトリックスとし、また8%ポリビニルアル
コール水溶液(1g)を、ゲル化・成形し断面積8c
m2、 厚さ1mmの円筒状としたものを陰極側用マトリッ
クスとし、イオントフォレシス用マトリックスを製造し
た(比較マトリックス1とする)。実施例1のマトリッ
クスと比較マトリックス1にカーボンコーティングチタ
ン電極(以下電極と略す)を装着して、それらをSD系
雄性ラット(7週齢)のあらかじめ除毛した腹部に貼付
した。実施例1のマトリックスを装着したラットを2つ
のグループに分けて、一群は装着したままの状態で通電
せずに尾静脈より経時的に採血し(非通電投与群とす
る)、残りの群と比較マトリックス1を装着した群は通
電した。電気供給装置にはADIS4030〔アドバン
ス(ADVANCE)社製,日本〕を用いた。通電条件
は1mA/cm2(40kHz、on/off=3/7)の定電流条
件で4時間連続で通電した。この時のhPTH(1→3
4)の血清中濃度の時間推移の結果を〔図3〕に示す。
非通電投与群はマトリックス装着中も投与前のレベルの
まま推移し、比較マトリックス1の投与群では投与後3
0分目に血清中濃度が投与前の値の3倍まで上昇する
が、その後速やかに減少しており、通電中も通電後も投
与前のレベルを推移している。実施例1のマトリックス
の投与群は投与後1時間までに投与前のレベルの約5倍
に上昇し、4時間以降は約30倍のレベルに到達する。
このような血清中濃度の上昇の遅延現象は皮内にデポが
形成されたためと思われる。この結果はカルボン酸の配
合によりイオントフォレシスの吸収効果を著しく促進す
ることを示している。なお血清中hPTH(1→34)
濃度はラジオイムノアッセイ法〔ラット・ピー・ティ・
エイチ・キット(Rat PTH Kit),イムノトロピック・
コーポレイテッド(Immutopics Inc)製、米国〕により
測定した(以下、血清中hPTH(1→34)濃度は同
様にして測定した)。
【0034】実験例2 hPTH(1→34)(10mg)とクエン酸−水和物
(2.1mg)を8%ポリビニルアルコール水溶液(0.4
g)に溶解し(約pH5.3)、ゲル化・成形し断面積
3.2cm2、 厚さ1mmの円筒状としたものを陽極側用マ
トリックスとし、またクエン酸−水和物(7mg)を8%
ポリビニルアルコール水溶液(0.4g)に溶解し、ゲ
ル化・成形し断面積3.2cm2、 厚さ1mmの円筒状とし
たものを陰極側用マトリックスとし、イオントフォレシ
ス用マトリックスを製造した(比較マトリックス2とす
る)。実施例3のマトリックスと比較マトリックス2と
に各々電極を装着して、それらをSD系雄性ラット(7
週齢)のあらかじめ除毛した腹部に貼付した。電気供給
装置にはADIS4030(アドバンス社製,日本)を
用いた。通電条件は2mA/cm2(40kHz、on/off=3
/7)の定電流条件で4時間連続で通電した。この時の
hPTH(1→34)の血清中濃度の時間推移の結果を
〔図4〕に示す。通電開始直後から4時間目までは両群
ともほぼ同じレベルの血清中濃度を推移しているが、4
時間以降ではpHの低い実施例1のマトリックスの投与
群の血清中濃度の上昇が顕著であり、6時間目では10
倍以上血清中濃度が高くなっている。この結果から吸収
性の増加と製剤のpHには重要な関係があることが明ら
かである。
【0035】実験例3 hPTH(1→34)(10mg)とクエン酸−水和物
(7mg)を8%ポリビニルアルコール水溶液(1g)に
溶解し(pH3.8)、ゲル化・成形し断面積8cm2
厚さ1mmの円筒状としたものを陽極側用マトリックスと
し、クエン酸−水和物(7mg)を8%ポリビニルアルコ
ール水溶液(1g)に溶解し、ゲル化・成形し断面積8
cm2、 厚さ1mmの円筒状としたものを陰極側用マトリッ
クスとし、イオントフォレシス用マトリックスを製造し
た。各々のマトリックスにカーボンコーティングチタン
電極を装着して、それらをラットのあらかじめ除毛した
腹部に貼付した。電気供給装置にはADIS4030
(アドバンス社製,日本)を用いた。通電条件は1.5
mA/cm2(40kHz、on/off=3/7)の定電流条件で
まず2時間連続で通電し、次の2時間は通電せず、さら
に4時間目から2時間前と同じ条件(1.5mA/cm2
40kHz、on/off=3/7、定電流条件)での通電を繰
り返した。この間マトリックスは装着したままである。
経時的に尾静脈より採血し、hPTH(1→34)の血
清中濃度を測定した。この時のhPTH(1→34)の
血清中濃度の時間推移の結果を〔図5〕に示す。通電の
2回の繰り返しに対して、若干の遅れがあるものの血清
中hPTH(1→34)濃度も連動して増減している。
しかも各通電時の最高血清中濃度は皮下注から得られて
いる造骨作用に関わる薬効発現に必要な濃度に達してい
る。
【0036】実験例4 hPTH(1→34)(1mg)を、33mMクエン酸水溶
液にポリビニールアルコールを8%含有する溶液0.8
mlに溶解した。この溶液を表面積8cm2、厚み1mmのシ
リコン製の鋳型に流し込み凍結保存後、解凍して陽極側
用マトリックスを作製した。また薬物を含まない同組成
の陰極側用マトリックスを同様にして作成し、イオント
フォレシス用マトリックスを製造した。両マトリックス
にカーボンコーティングチタン電極を接続し、それらの
マトリックスをラットの腹部(雄性SD体重約250
g;前日に腹部の毛を刈り取っておく)に当て、下記の
条件で通電し、血清中のhPTH(1→34)濃度を経
時的に測定することによりhPTH(1→34)の吸収
促進性を評価した。 通電条件:パルス直流電流(40kHz;ON/OFF=3/7;電
流値、1.5mA/cm2)を用い、通電期間2時間/非通電
期間2時間のサイクルを2回行った。測定したhPTH
(1→34)の血清中濃度の時間推移を〔図6〕に示
す。通電に応答した高い血清中hPTH(1→34)濃
度が示された。
【0037】実験例5 下記の条件で通電を行った他、実験例4と同様にして、
hPTH(1→34)の吸収促進性を評価した。 通電条件:パルス直流電流(40kHz;ON/OFF=3/7;電
流値、1.5mA/cm2)を用い、通電期間1時間/非通電
期間1時間のサイクルを4回繰り返した。測定したhP
TH(1→34)の血清中濃度の時間推移を〔図7〕に
示す。通電に応答した3つのピークを持つ高い血清中h
PTH(1→34)濃度パターンが示された。
【0038】実験例6 下記の条件で通電を行った他、実験例4と同様にして、
hPTH(1→34)の吸収促進性を評価した。 通電条件:パルス直流電流(40kHz;ON/OFF=3/7;電
流値、1.5mA/cm2)を用い、通電期間0.5時間/非
通電期間1.5時間のサイクルを4回繰り返した。測定
したhPTH(1→34)の血清中濃度の時間推移を
〔図8〕に示す。通電に応答した2つのピークを持つ高
い血清中hPTH(1→34)濃度パターンが示され
た。
【0039】実験例7 下記の条件で通電を行った他、実験例4と同様にして、
hPTH(1→34)の吸収促進性を評価した。 通電条件:パルス直流電流(40kHz;ON/OFF=3/7;電
流値、1.5mA/cm2)を用い、通電期間0.5時間/非
通電期間0.5時間のサイクルを2回繰り返し、続いて
通電期間0.5時間/非通電期間1.5時間のサイクル
を4回繰り返した。測定したhPTH(1→34)の血
清中濃度の時間推移を〔図9〕に示す。通電に応答した
4つのピークを持つ高い血清中hPTH(1→34)濃
度パターンが示された。
【0040】実験例8 下記の条件で通電を行った他、実験例4と同様にして、
hPTH(1→34)の吸収促進性を評価した。 通電条件:パルス直流電流(40kHz;ON/OFF=3/7;電
流値、2mA/cm2)を用い、通電期間0.25時間/非通
電期間1.75時間のサイクルを4回繰り返した。測定
したhPTH(1→34)の血清中濃度の時間推移を
〔図10〕に示す。通電に応答した2つのピークを持つ
高い血清中hPTH(1→34)濃度パターンが示され
た。
【0041】実験例9 8%ポリビニールアルコール水溶液をゲル化・成形し断
面積8cm2、厚さ1mmの円筒状としたものに実施例
6から20で作製したイオントフォレシス用マトリック
スを貼付した。該マトリックスは貼付後1分以内に溶解
した。また実施例6と同様な方法でhPTH(1→3
4)を含有しないマトリックスを製造し、予め水分で湿
らせた上腕部の皮膚に接触させた。該マトリックスは貼
付後1分以内に溶解した。 実験例10 ポリビニルアルコールを8%含有する33mMクエン酸
水溶液(0.8ml)をゲル化・成形し断面積8c
2、厚さ1mmの円筒状としたものに、実施例6のイ
オントフォレシス用マトリックスを、ピンセットを使っ
てシリコン製鋳型から剥離した後貼付し、陽極側マトリ
ックスとした。また、ポリビニルアルコールを8%含有
する33mMクエン酸水溶液(0.8ml)をゲル化・
成形し断面積8cm2、厚さ1mmの円筒状としたもの
を陰極側用マトリックスとした。これらのマトリックス
にカーボンコーティングチタン電極を装着して、それら
を雄性SD系ラット(体重約250g)のあらかじめ除
毛した腹部に接触させた。特に陽極側マトリックスは、
実施例6の薬物含有層を貼付した面が腹部に接触するよ
うにした。ラットへの陽極用および陰極用マトリックス
の接触に際しては、ラットをエーテルで麻酔した後、接
触直前に実施例6のイオントフォレシス用マトリックス
を貼付した陽極側用マトリックスおよび陰極側マトリッ
クスをラット腹部に接触し伸縮性包帯で固定した後、さ
らにラットをボルマンケージで保定した。電気供給装置
には、ADIS4030〔アドバンス(ADVANC
E)社製,日本〕を用いた。通電は、直流パルス電流
(40kHz;ON/OFF=3/7;電流値、1.5
mA/cm2)を1時間通電した。血清中hPTH(1
→34)濃度はラジオイムノアッセイ法〔ラット・ピー
・ティー・エイチ・キット(Rat PTH Kit)イムトピッ
クス・インコーポレーテッド(Immutopics, Inc)製〕
により測定した。投与後の血清中hPTH(1→34)
濃度は、通電後1時間で最大血中濃度(約840pg/
ml)を示した。この結果は、実施例6のイオントフォ
レシス用マトリックスを電極用マトリックスに貼付した
イオントフォレシス用マトリックスを用いることにより
迅速な吸収および高いバイオアベイラビリーが得られる
ことを示す。
【0042】実験例11 実施例6のイオントフォレシス用マトリックスの代わり
に実施例16のイオントフォレシス用マトリックスを用
いること以外、実験例10と同様にしてsCTの経皮吸
収性を評価した。sCTの経皮吸収性は、血清中カルシ
ュウム濃度を経時的に測定することにより評価した。血
清中カルシュウム濃度は血中カルシュウム測定キット
(カルシュウムE−テストワコー、和光純薬工業製)に
より測定した。血清中カルシュウム濃度の時間推移を
〔図11〕に示した。1時間後、2時間後のカルシュウ
ム濃度はsCT投与前の正常レベルに対し、有意に低下
し、迅速なsCTの吸収が示された。 実験例12 イオントフォレシスを下記の通電条件で行うこと以外、
実験例10と同様にしてhPTH(1→34)の経皮吸
収促進性を評価した。 通電条件:パルス直流電流(40kHz;ON/OFF
=3/7;電流値、1.5A/cm2)を用い、通電期
間1時間/非通電期間1時間のサイクルを4回繰り返し
た。血清中hPTH(1→34)濃度の時間推移を〔図
12〕に示した。通電に応答した3つのピークをもつ高
い血中PTH(3−34)濃度パターンが示された。
【0043】実験例13 イオントフォレシスを下記の通電条件で行うこと以外、
実験例11と同様にしてsCTの経皮吸収性を評価し
た。 通電条件:パルス直流電流(40kHz;ON/OFF
=3/7;電流値、1.5A/cm2)を用い、通電期
間1時間/非通電期間1時間のサイクルを4回繰り返し
た。血清中カルシュウムの時間推移を〔図13〕に示し
た。有意な血清中カルシュウム濃度の低下(投与前の正
常値の約60から65%)が長期に持続することが示さ
れた。 実験例14 予め糊(コクヨ社製)を薄く塗っておいた剥離紙(タカ
ラ社製)に、実施例6の薬物含有層を貼付し、緩く接着
させた。該薬物含有層に、8%ポリビニルアルコール水
溶液をゲル化・成形し得られる断面積8cm2、厚さ1
mmの円筒状電極用マトリックスを接触させ、適度に押
さえたのち、剥離紙を剥すと該薬物含有層が円筒状のゲ
ル断面に残存、付着した。 実験例15 実施例16のsCTを含有する薬物含有層を室温(25
℃)で1週間保存後、薬物含有層中のsCT含量低下を
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法で評価し
た。 HPLC条件:カラム:GL−PACK ジー・エルー
・サイエンス・リミテッド(GL Sciences Ltd)社製;溶
出方法:グラジエント法〔A液:0.1%(v/v)ト
リフルオロ酢酸水溶液、B液:0.1%(v/v)トリ
フルオロ酢酸含有アセトニトリル,A液/B液比を80
/20(v/v)から50/50(v/v)までの直線
的グラジエント〕;検出、UV280nm その結果、sCT含量の低下は0%で、実施例16の薬
物含有層中のsCTは安定に存在することが示された。
【0044】
【発明の効果】本発明のマトリックスを用いるイオント
フォレシスでは、薬物が効率良く経皮吸収され、しかも
皮膚のただれ等の副作用もほとんど無い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のイオントフォレシス用マトリックスを
用いる装置の模式的な例示。なお、図中1は陰極側マト
リックス、2は陽極側マトリックス、3は電源、4は角
質層、5は表皮を示す。
【図2】本発明のイオントフォレシス用マトリックスを
用いる装置の模式的な例示。なお、図中1は陰極側マト
リックス、2は陽極側マトリックス、3は電源、4は角
質層、5は表皮、6は絶縁層を示す。
【図3】実験例1におけるhPTH(1→34)の血清
中濃度の時間推移
【図4】実験例2におけるhPTH(1→34)の血清
中濃度の時間推移
【図5】実験例3におけるhPTH(1→34)の血清
中濃度の時間推移
【図6】実験例4におけるhPTH(1→34)の血清
中濃度の時間推移
【図7】実験例5におけるhPTH(1→34)の血清
中濃度の時間推移
【図8】実験例6におけるhPTH(1→34)の血清
中濃度の時間推移
【図9】実験例7におけるhPTH(1→34)の血清
中濃度の時間推移
【図10】実験例8におけるhPTH(1→34)の血
清中濃度の時間推移
【図11】実験例11におけるカルシウムの血清中濃度
の時間推移
【図12】実験例12におけるhPTH(1→34)の
血清中濃度の時間推移
【図13】実験例13におけるカルシウムの血清中濃度
の時間推移
【符号の説明】
図3における−○−は非通電投与群を示す。 図3における−△−は比較マトリックス1を示す。 図3における−●−は実施例1のマトリックスを示す。
【化5】 図4における−○−は比較マトリックス2を示す。 図4における−●−は実施例3のマトリックスを示す。
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】陽極側にカチオン化された薬物、陰極側に
    水溶性酸性物質を含有してなるイオントフォレシス用マ
    トリックス。
  2. 【請求項2】薬物が水溶性カルボン酸でカチオン化され
    た請求項1記載のマトリックス。
  3. 【請求項3】カルボン酸が脂肪族カルボン酸である請求
    項2記載のマトリックス。
  4. 【請求項4】酸性物質が水溶性有機酸である請求項1記
    載のマトリックス。
  5. 【請求項5】酸性物質が水溶性無機酸である請求項1記
    載のマトリックス。
  6. 【請求項6】酸性物質が脂肪族カルボン酸である請求項
    1記載のマトリックス。
  7. 【請求項7】脂肪族カルボン酸が炭素数2から6の脂肪
    族カルボン酸である請求項3または6記載のマトリック
    ス。
  8. 【請求項8】脂肪族カルボン酸がクエン酸である請求項
    7記載のマトリックス。
  9. 【請求項9】陽極側のpHが1から5の範囲である請求
    項1記載のマトリックス。
  10. 【請求項10】薬物が分子内に少なくとも1個の塩基性
    官能基を有する生理活性ペプチドである請求項1記載の
    マトリッス。
  11. 【請求項11】ペプチドの分子量が7000以下である
    請求項10記載のマトリックス。
  12. 【請求項12】ペプチドの等電点が5.5以上である請
    求項10記載のマトリックス。
  13. 【請求項13】薬物がカルシウム調節ホルモンである請
    求項1記載のマトリックス。
  14. 【請求項14】カルシウム調節ホルモンが副甲状腺ホル
    モン、その誘導体またはそれらの塩である請求項13記
    載のマトリックス。
  15. 【請求項15】カルシウム調節ホルモンがカルシトニ
    ン、その誘導体またはそれらの塩である請求項13記載
    のマトリックス。
  16. 【請求項16】請求項1記載のイオントフォレシス用マ
    トリックスに通電/非通電のサイクルを繰り返すことを
    特徴とするイオントフォレシス。
  17. 【請求項17】パルス直流電流を通電することを特徴と
    する請求項16記載のイオントフォレシス。
  18. 【請求項18】連続直流電流を通電することを特徴とす
    る請求項16記載のイオントフォレシス。
  19. 【請求項19】直流電流を約0.01から4mA/cm
    2の電流値で通電することを特徴とする請求項17また
    は18記載のイオントフォレシス。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2007055279A1 (ja) * 2005-11-14 2007-05-18 Teikoku Seiyaku Co., Ltd. イオントフォレーシス用製剤
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