JPH07218880A - 光半導体素子及び光通信装置 - Google Patents

光半導体素子及び光通信装置

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JPH07218880A
JPH07218880A JP902494A JP902494A JPH07218880A JP H07218880 A JPH07218880 A JP H07218880A JP 902494 A JP902494 A JP 902494A JP 902494 A JP902494 A JP 902494A JP H07218880 A JPH07218880 A JP H07218880A
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Junichi Shimizu
淳一 清水
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 タイプII超格子を用いることにより、従来
よりも低損失、低消費電力が可能な光半導体素子を提供
する。さらに本発明の素子を用いることで、従来の半導
体レーザ直接変調を用いた光通信装置を大幅な変更無
く、高速な光半導体素子を用いた光通信装置に置き換え
ることを可能とする。 【構成】 マッハツェンダ型光変調器のような屈折率変
化が動作原理となる光半導体素子において、屈折率変化
を生じさせる部分にタイプII超格子構造3を用いる。
また、このタイプII超格子構造よりなる光半導体素子
を含む光通信装置では、駆動回路の出力がオフの無電界
時には光吸収により光出力は無く、駆動回路の出力がオ
ンの電界印加時には光出力が得られるノーマリーオフの
装置構成となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光通信等に用いる光半
導体素子及び光半導体素子を用いた光通信装置の構成方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】光ファイバ通信システムは近年めざまし
い発展を遂げ、400Mb/s、1.6Gb/s等の大
容量の光通信システムが日本国内をはじめ、海底ケーブ
ルを通じて外国との間にも導入されている。この光通信
システムも、従来は半導体レーザを直接変調する方式で
行っていた。しかしながら、将来の10Gb/s、40
Gb/s等の超高速・大容量光伝送システムの実現のた
め、半導体レーザの直接変調方式から光の吸収変化や光
の屈折率変化を動作原理とする光半導体素子を用いた外
部変調器方式に移行されつつある。このため、より高性
能な外部変調器の開発が重要となってきている。また、
光ファイバ通信システムが広く実用化されるに伴って、
交換機系の光化も要望が高まりつつある。光交換機を実
現するための最も重要な光半導体素子としては光スイッ
チがある。
【0003】外部変調方式に用いられる光半導体素子と
して代表的な電界吸収型光変調素子は、光通信装置の小
型化、容易性といった面で優れており、これまでに多く
の報告(例えば、電子情報通信学会の光量子エレクトロ
ニクス研究会の技術報告;OQE91−57,pp69
−74)があり、一部は商用レベルに到達しつつある。
電界吸収型光変調素子の基本動作原理としては、図7
(b)に示したバルク半導体層のフランツ−ケルディシ
ュ効果や図7(c)に示したタイプI超格子構造の量子
閉じ込めシュタルク効果(QCSE)が良く知られてい
る。ここでタイプI超格子構造とは、半導体材料1、2
からなる超格子構造において、各々の電子親和力χ1
χ2 、禁制帯エネルギEg1、Eg2が χ1 <χ2 χ1 +Eg1>χ2 +Eg2 なる関係を有する超格子構造を指す。
【0004】フランツ−ケルディシュ効果やQCSEを
用いた従来の電界吸収型光変調素子の構成を図7(a)
に示す。概略的には、ノンドープ光吸収層をp型クラッ
ド層及びn型クラッド層で挟み込んだpin構造を基本
構造とし、図7(b)や図7(c)のように、電界印加
によって光吸収端近傍波長(図の変調波長)での光吸収
の程度を制御することで光の変調を行う。
【0005】一方、光交換機に用いられる光スイッチも
これまでに多くの報告がある。その動作原理として、キ
ャリア注入プラズマ効果による屈折率変化を用いた報告
(例えば、電気学会の光・量子デバイス研究会OQD−
90−61、pp27−31)や前記QCSEに伴う屈
折率変化を用いた報告がある。キャリア注入プラズマ効
果を動作原理とした交差型光スイッチの構成を図8に示
す。概略的には、ノンドープ光ガイド層をp型クラッド
及びn型クラッドで挟み込んだpin構造を有してお
り、電流を交差部に注入することで注入部の屈折率変化
(△n/n)が負となるようにし、光の全反射条件を満
たすときに光路が切り換わる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたような従来
の吸収型光変調素子や光スイッチには次のような問題が
あった。
【0007】図7(a)に示した吸収型光変調素子で
は、図7(b)(c)のように、電界印加時に光吸収端
波長が長波長側にシフト(レッドシフト)するが、特に
フランツ−ケルディッシュ効果を用いた素子ではかなり
の高電界を必要とするという問題がある。また、QCS
Eを用いた素子は比較的低電界で動作可能であるが、Q
CSEは超格子井戸層内の電界印加時のキャリア分極に
よる遷移確率の低減によって生ずるため、キャリアの空
間的分離が十分でないと遷移確率の低減が十分でなく、
光吸収端のシフトが十分でなくなるという問題点、光吸
収により光キャリアが発生しホールパイルアップが生じ
るという問題点がある。
【0008】さらに、図9(a)のような従来の半導体
レーザの直接変調を行う光通信装置は、駆動回路の出力
がオン時に光出力がオンされ、駆動回路の出力がオフ時
には光出力がオフのいわゆるノーマリーオフの装置構成
であるのに対して、図9(b)のような従来型の外部変
調素子を用いた光通信装置では、駆動回路の出力がオフ
で外部変調器の印加電界が零の場合には光変調器での光
吸収は無く光出力はオンで、駆動回路の出力がオンで外
部変調器の印加電界がある場合には光変調器での光吸収
によって光出力はオフとなるいわゆるノーマリーオンの
装置構成である。従って、従来の半導体レーザの直接変
調を用いた光通信装置の駆動方法と外部変調器を用いた
光通信装置の駆動方法が整合しないという問題点があ
る。
【0009】次に、図8に示した従来の全反射型の光ス
イッチは、電流注入によって屈折率変化を生じさせるた
め、消費電力が大きい、動作速度が電界制御素子に比べ
て遅いという問題点がある。また、従来のタイプI超格
子構造のQCSEによっても屈折率変化が得られるが、
QCSEを用いた全反射型の光スイッチでは、図7
(d)の屈折率変化スペクトル図のように、負の大きな
屈折率変化は吸収端近傍波長λ6 でしか得られないため
に、ガイド層にこの屈折率変化を生じさせる超格子をそ
のまま用いると吸収損失が大きくなるといった問題点が
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上記問題点を解
決した光半導体素子、及び光通信装置の構成方法を提供
するもので、半導体基板上に導電型クラッド層、ガイド
層、逆導電型クラッド層を基本構造として有し、印加電
界による吸収係数または屈折率変化を動作原理とする半
導体素子において、前記ガイド層の一部が半導体材料
1、2からなる超格子構造であり、かつ各々の電子親和
力χ1 、χ2 、禁制帯エネルギEg1、Eg2が χ1 <χ2 χ1 +Eg1<χ2 +Eg2 なる関係を有する、いわゆるタイプII超格子であるこ
とを特徴とする光半導体素子を第1の発明とする。
【0011】第1の発明において、光半導体素子が屈折
率変化によって生ずる位相変化を動作原理とするマッハ
ツェンダ型に構成されていることを特徴とする光半導体
素子を第2の発明とする。
【0012】第1の発明において、光半導体素子が少な
くとも2本の交差する導波路の交点に位置する一部の半
導体層の屈折率を変化させ、全反射によって光路を切り
換える全反射型光スイッチとして構成されていることを
特徴とする光半導体素子を第3の発明とする。
【0013】第1の発明に記載された光半導体素子を吸
収型の外部変調素子として含むことを特徴とする光通信
装置を第4の発明とする。
【0014】
【作用】本発明の光半導体素子は、上述の手段をとる事
により従来技術の課題を解決した。
【0015】その原理を図1を用いて説明する。図1は
本発明の基本をなすタイプII半導体超格子構造のバン
ド図である。タイプII超格子は、半導体材料1、2の
各々の電子親和力χ1 、χ2、禁制帯エネルギEg1、E
g2が χ1 <χ2 χ1 +Eg1<χ2 +Eg2 なる関係を有する。タイプII超格子構造では、無電界
時の吸収は最低禁制帯エネルギーを有する半導体層1、
2ヘテロ界面近傍のみで起こると考えられるが、電子正
孔分布確率が空間的に完全に分離されている(図1
(a))ため、極めて遷移確率が低く、間接遷移型に近
い吸収特性を有する。
【0016】ところが、有電界時には電子正孔分布確率
の空間分布がオーバーラップ(図1(b))し、遷移確
率が高まるため直接遷移型に近い吸収特性を示す。従っ
て、タイプII超格子構造は、タイプI超格子構造に比
べて無電界時から有電界時の吸収変化が大きく、吸収端
のシフトも大きい。
【0017】タイプII超格子をガイド層とする導波路
を用いた著者らの実験によれば、図2(a)に示す様
に、タイプII超格子構造の光吸収スペクトルは印加電
界強度の増加に伴い、吸収端が短波長側にシフト(ブル
ーシフト)することが観測されている。これは電界印加
によって光の遷移波長がλ0 からλ1 (λ1 <λ0 )に
変化する(図1(a)(b)参照)からである。この
時、タイプII超格子構造の屈折率変化は図2(b)の
ように負に大きく変化することも我々の実験で観測され
ている。
【0018】図2(c)も我々の実験結果で、pinダ
イオード構造を有する面型素子の光吸収スペクトルの電
界強度依存性を示す図である。印加電界強度の増加に伴
い吸収端はブルーシフトする。また、図2(c)に示し
た様に、吸収係数が増加する波長λ5 と吸収係数が減少
する波長λ3 がある。この時、屈折率変化スペクトルは
クラマース・クローニッヒの関係から求めることがで
き、図2(d)の様になる。図2(c)(d)から、タ
イプII超格子構造では、吸収変化がほとんどない波長
域で大きな負の屈折率変化が得られることがわかる。こ
の点が図7(c)(d)に示した従来のタイプI超格子
構造の様相と大きく異なっている。
【0019】以上の様に、本発明のタイプII超格子構
造の吸収係数はある適当な波長域では印加電界の増加と
共に減少し、別の波長域では増加するという特徴を有し
ている。また、タイプII超格子構造の屈折率変化は、
バルク半導体層のフランツーケルディシュ効果と比べる
と大きく、タイプI超格子構造のQCSEと比べると、
屈折率変化の大きさは同程度であるが、その符号は反対
であり、吸収端から比較的離れた長波長側で負の屈折率
変化が得られるという特徴を有している。
【0020】従って、本発明の第一の作用として、タイ
プII超格子構造を用いた吸収型光半導体素子では、低
電界動作で大きな吸収係数変化を得ることが可能であ
り、電界印加によって光吸収が減少するような波長域を
用いた吸収型の光半導体素子においては、光吸収により
光キャリアが発生しホールパイルアップが生じるという
問題点は生じない。
【0021】また、本発明の第二の作用として、タイプ
II超格子構造を用いた吸収型光半導体素子では、電界
印加によって光吸収が急激に増加するような波長域も利
用でき、この場合には従来のタイプI超格子構造の光半
導体素子よりも低電圧で動作が可能である。
【0022】次に、第三の作用として、本発明の光半導
体素子を第一の作用で用いた場合には、従来の半導体レ
ーザを用いた光通信装置と整合するノーマリオフの光通
信装置の構成が可能である。
【0023】さらに、第四の作用として、タイプII超
格子構造の電界効果を屈折率制御型光半導体素子に用い
た場合、吸収端から比較的離れた長波長側で負の屈折率
変化が得られ、かつ吸収変化が少ないため、従来よりも
小型で低損失の光半導体素子が得られ、その際の消費電
力は小さくかつ高速動作が可能である。
【0024】
【実施例】本発明の光半導体素子の実施例を図面に用い
て詳細に説明する。
【0025】図3(a)は本発明の第1の実施例(第一
の作用に対応)である電界吸収型の光半導体素子の斜視
図である。この実施例は、n型InP基板1上に、n型
クラッド層2(層厚0.5μm、キャリア濃度5×10
17cm-3)、ノンドープInP/InAlAs超格子ガ
イド層3、p型InPクラッド層4(層厚1.5μm、
キャリア濃度5×1017cm-3)、p型InGaAsコ
ンタクト層5(層厚0.2μm、キャリア濃度1×10
19cm-3)をガスソース分子線エピタキシャル成長法で
順次積層する。その後反応性イオンビームエッチング
(RIBE)によってn型クラッド層2の途中までエッ
チングし、リブ導波路を形成する。ここで、ノンドープ
InP/InAlAs超格子ガイド層3は本発明による
もので、InP(70オングストローム)/InAlA
s(70オングストローム)を30周期積層してあり、
この時、伝導帯不連続量△EV =0.38eV、価電子
帯不連続量△EC =0.26eVを有する図3(b)に
示した様なバンド構造のタイプII超格子構造となる。
リブ導波路上部と基板の裏面に電極を形成して素子は完
成する。
【0026】図3(a)に示した光半導体素子に、タイ
プII超格子の吸収端に近い波長λ3 =1.125μm
の光を入射し素子に電圧を印加すると、図2(a)の様
に、印加電界強度の増加と共に吸収係数が減少する。図
2(a)から分かるように、E0 のような無電界時には
光の吸収が大きく光出力はオフとなり、E2 のような有
電界時には吸収端のブルーシフトによって光の吸収は少
なくなり、光出力はオンの状態となる。我々の実験で
は、印加電圧3Vで消光比(=光出力オン/光出力オ
フ)は13dB以上であった。このように、本発明では
低電圧で大きな吸収係数変化が得られる。また、有電界
時の光吸収が無いため、従来のタイプI超格子で問題と
なるホールパイルアップによって実効的な電界強度が弱
まる事はなく、キャリアの引き抜きも早いために高速変
調時に応答劣化が生じる事もない。
【0027】図4は本発明の第2の実施例(第二の作用
に対応)である電界吸収型の光半導体素子の断面図であ
る。層構造は図3の従来例と同様であるが、この実施例
は面型の変調器であり、InGaAsコンタクト層5で
の光の吸収が生じないようにInGaAsコンタクト層
5の一部を硫酸系(H2 SO4 、H2 O、H2 2 の混
合液)の選択エッチャントによって除去し、電極も光の
入出射を行う部分は除去する。この素子に、波長λ5
1.08μmの光を入射する。図2(c)で明らかなよ
うに、波長λ5 の光に対しては、光吸収は電界印加によ
って急激に増加する。この時の電界印加による吸収変化
は、従来のタイプI超格子のQCSEよりも大きいた
め、低電圧で大きな消光比が得られる。我々の実験で
は、図4のような面型変調器で消光比13dB以上が得
られている。本実施例のような面型変調器は光の並列性
を使うことができるため、光コンピュータ等への適用も
可能である。
【0028】図9(c)は本発明の第3の実施例(第三
の作用に対応)である光通信装置の構成図である。図3
(a)の様な本発明の第一の作用で動作する吸収型の光
半導体素子を含む光通信装置では、駆動回路Aの出力が
オフの無電界時には光吸収があるため光出力はオフとな
り、駆動回路Aの出力がオンの電界印加時には光吸収は
減少し光出力はオンとなるノーマリーオフの装置構成が
可能である。この時の駆動回路Aは図9(a)の半導体
レーザ直接変調型光通信装置の駆動回路Aと同じとな
り、駆動回路を新たに設計変更する必要はない。これに
対して、図7(b)(c)に示したフランツケルディッ
シュ効果やQCSEを用いる従来の吸収型外部変調器を
用いた図9(b)のような光通信装置では、従来型外部
変調器が電界印加によって図7(b)(c)に示されて
いるような吸収変化を生ずるため、光通信装置の駆動回
路Bの出力がオフの無電界時には光吸収がなく、光出力
はオンとなり、駆動回路Bがオンの有電界時には光吸収
が生じ、光出力はオフとなるノーマリーオンの装置構成
となる。この場合には、図9(a)のような半導体レー
ザ直接変調型光通信装置と互換性がなく、根本的な駆動
回路の設計変更が必要となる。
【0029】図5(a)(b)はそれぞれ本発明の第4
の実施例(第四の作用に対応)であるマッハツェンダ型
光半導体素子の上面図と断面図である。基本的な製造方
法は図3の電界吸収型光半導体素子と同じであるが、一
本の光導波路を二本の位相変調光導波路に分岐し、これ
を一本の光導波路に合流したマッハツェンダ型の構成と
なっている。但し、リッジ20形成時のRIBEエッチ
ングはp型InPクラッド15の途中で止めている。素
子は二本の位相変調光導波路に各々独立の電極を設け、
基板裏面電極を設けて完成する。
【0030】図5の光半導体素子に波長λ4 =1.3μ
mの光を入射し、一方の位相変調光導波路に電圧を印加
すると、その光導波路では図2(b)(または図2
(d))のような屈折率変化が生じ、合流した出力光導
波路では二本の位相変調光導波路の光に位相差が生じる
ことによって光の変調が行える。図5(a)(b)に示
した本発明のマッハツェンダ型光半導体素子の印加電圧
に対する消光特性を図5(c)に示す。印加電圧3.5
Vで15dB以上の大きな消光比が得られている。図2
(a)で明らかなように、本素子ではλ4 =1.3μm
の光に対する光吸収がない。従って、光キャリアの発生
がなくホールパイルアップの様な現象は生じないため、
本質的な高速動作が可能である。また、吸収の変化がな
いために一方の位相変調部の損失変化によって、消光比
が劣化するという問題もない。なお、本実施例ではCR
時定数で制限される周波数帯域拡大のために、電極パッ
ド下にポリイミド16を用いて素子容量0.6pF以下
の低容量化を実現している。
【0031】図6は本発明の第5の実施例(第四の作用
に対応)である全反射型光スイッチの斜視図とA−A′
での断面図である。基本的な製造方法は図5のマッハツ
ェンダ型の光半導体素子と同じであり、p型InPクラ
ッド層4の途中でRIBEによるエッチングを止めてリ
ッジ20を形成している。本実施例の素子は、二本の交
差する導波路の中央に屈折率を変化させる電界印加領域
への電界印加のための電極を設け、基板裏面電極を形成
することで完成する。
【0032】この素子に波長λ4 =1.3μmの光を図
のPinから入射すると、無電界時には図6のP2 から出
射するが、電界印加領域に電圧を印加すると、電界印加
領域下のガイド層に、図2(b)の様な負の屈折率変化
が生じ、この電界印加領域と電界が印加されないガイド
層の間に全反射条件が満たされると、電界印加領域下を
全反射面として光路が切り替わり、図6のP1 から出射
する。この屈折率の変化を用いる点は、図8に示した従
来例のキャリア注入プラズマ効果によって負の屈折率変
化が生じ、全反射を起こす光スイッチと同じである。と
ころが、本発明は、電圧制御によって全反射を生じさ
せ、光路の切り換えを行う光スイッチであることが従来
例とは大きく異なる。本発明の消費電力は逆バイアスを
用いた電圧駆動素子のため小さく、応答速度は電流注入
型の光路切り換え光スイッチよりもはるかに高速であ
る。更に、光の吸収がないためホールパイルアップが無
く、この点からも高速動作が可能である。また、ガイド
層における光の吸収も少ないため、従来よりも伝搬損失
の低減が可能である。
【0033】以上、本発明の実施例について説明してき
たが以下で若干の補足をする。実施例では何れもInP
/InAlAsタイプII超格子構造を適用している
が、原理的にタイプII超格子構造を有していればどん
な材料でも良く、例えば他に、InGaAsP/InG
aAlAs、InGaAlAs/GaAlAsSb超格
子系に関しても適用可能である。また、このタイプII
超格子構造を用いて形成される光半導体素子の導波路構
造をどのような形態で形成するか、電界印加手段をどの
位置にどのような形態で形成するかは、利用される光の
波長、行われるべき機能等によって適当に決定すれば良
い。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によって得
られた光半導体素子は、タイプII超格子層を光吸収層
として用いることにより、吸収係数変化の大きな即ち消
光比が大きな吸収型光半導体素子が得らる。また、タイ
プII超格子層を屈折率変化部に用いる事により、光吸
収変化が無く屈折率変化が負に大きい屈折率制御型光半
導体素子が得られる。これらの素子は何れも低電力・高
消光比・高速である。更に、吸収型光半導体素子を用い
た光通信装置ではノーマリーオフの装置構成も可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本原理でタイプII超格子構造のバ
ンド構造図を示す。
【図2】本発明の作用を説明するための図で、(a)
(c)は吸収係数スペクトルの電界依存性、(b)
(d)は屈折率変化スペクトルの電界依存性を示す。
【図3】本発明による電界吸収型光半導体素子の斜視図
と超格子ガイド層のバンド図を示す。
【図4】本発明による面型の電界吸収型光半導体素子の
断面図を示す。
【図5】本発明によるマッハツェンダ型の光半導体素子
の上面図(a)と断面図(b)とその印加電圧に対する
消光特性図(c)を示す。
【図6】本発明による全反射型の光スイッチの斜視図
(a)とA−A′で切断した図(b)を示す。
【図7】従来のバルク又はタイプI超格子構造を用いた
電界吸収型光半導体素子の斜視図(a)とその原理を説
明する吸収係数スペクトルの電界依存性(b)(c)と
屈折率変化スペクトルの電界依存性(d)を示す図。
【図8】従来の全反射型光スイッチの上面図。
【図9】従来の半導体レーザを用いた光通信装置の構成
図(a)と従来の吸収型光半導体素子を外部変調器とし
て有する光通信装置の構成図(b)と本発明による光半
導体素子を用いた光通信装置の構成図(c)を示す。
【符号の説明】
1 n型InP基板 2 n型InPクラッド層 3 ノンドープInP/InAlAsタイプII超格子
ガイド層 4 p型InPクラッド層 5 p型InGaAsコンタクト層 6 p電極 7 n電極 8 入射光 9 出射光 10 SiO2 膜 11 InP基板 12 InP/InAlAsタイプII超格子ガイド層 13 ノンドープInP 14 SiO2 15 InPクラッド層 16 ポリイミド 17 Ti/Au電極 18 InGaAsコンタクト層 20 リッジ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】半導体基板上に導電型クラッド層、ガイド
    層、逆導電型クラッド層を基本構造として有し、吸収係
    数変化または屈折率変化を生じさせる電界印加手段を有
    する半導体素子において、前記ガイド層の一部が半導体
    材料1、2からなる超格子構造であり、かつ半導体材料
    1、2の各々の電子親和力χ1 、χ2 、禁制帯エネルギ
    g1、Eg2が χ1 <χ2 χ1 +Eg1<χ2 +Eg2 なる関係を有することを特徴とする光半導体素子。
  2. 【請求項2】光半導体素子が屈折率変化によって生ずる
    位相変化を用いるマッハツェンダ型に構成されているこ
    とを特徴とする請求項1記載の光半導体素子。
  3. 【請求項3】光半導体素子が少なくとも2本の交差する
    導波路の交点に位置する一部の半導体層の屈折率を変化
    させ、全反射によって光路を切り換える全反射型光スイ
    ッチとして構成されていることを特徴とする請求項1記
    載の光半導体素子。
  4. 【請求項4】請求項1に記載された光半導体素子を吸収
    型の外部変調器として含むことを特徴とする光通信装
    置。
  5. 【請求項5】半導体レーザとその駆動回路と、外部変調
    器とその駆動回路とからなり、前記外部変調器が請求項
    1記載の光半導体素子からなる吸収型変調器であり、ノ
    ーマリオフ型であることを特徴とする光通信装置。
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