JPH07222928A - 金属微粒子を含む触媒を有する部材の作製方法 - Google Patents

金属微粒子を含む触媒を有する部材の作製方法

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JPH07222928A
JPH07222928A JP6337417A JP33741794A JPH07222928A JP H07222928 A JPH07222928 A JP H07222928A JP 6337417 A JP6337417 A JP 6337417A JP 33741794 A JP33741794 A JP 33741794A JP H07222928 A JPH07222928 A JP H07222928A
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栄一 小島
Keiichiro Norimoto
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太門 木村
Makoto Chikuni
真 千国
Makoto Hayakawa
信 早川
Toshiya Watabe
俊也 渡部
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高い光触媒活性を維持しつつ基材の色、模様
等のデザインを損なわない脱色方法を提供すること。 【構成】 基材上に光触媒活性を有する粒子と有色の金
属微粒子を固定する工程、前記金属微粒子と溶液または
気体を反応させて少なくとも金属微粒子表面に無色化ま
たは白色化した塩を形成する工程からなる金属微粒子を
含む触媒を有する部材の作製方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、タイル、ガラス
(鏡)、衛生陶器あるいは樹脂板等の表面に、下地の
色、模様等のデザインを活かしつつ抗菌、脱臭、汚れ防
止等の効果を有する金属粒子と光触媒の混合物層を形成
する方法に関する。
【0002】
【従来技術】近年、抗菌、防臭に関する意識が高まり、
種々の提案がなされている。その1つの方法に光触媒を
利用した方法がある。
【0003】例えば、特公平5−50294号におい
て、光半導体微粒子を基材表面に固定化してなる光滅菌
性充填材を有することを特徴とする滅菌性リアクターが
開示されており、それにより3時間で99%以上の滅菌
に成功している。
【0004】しかし、上記のものは高分子物質や塵芥の
混合物が、光触媒反応を起こす触媒である半導体表面に
付着し、これを覆ってしまうため、触媒まで紫外線が達
せず、触媒がエネルギーを受けにくくなり、光触媒反応
が低下し、反応劣化を引き起こすのである。そこで、特
公平6−7905号には、半導体からなる光触媒層と、
それに対向して設けられた紫外線灯および発熱体と、送
風機からなり、光触媒層全体が順次加熱されるように、
光触媒層あるいは発熱体、または光触媒層及び発熱体が
移動する光触媒による脱臭装置が開示されているが、光
触媒層の活性再生手段を要することから脱臭装置が複雑
化してしまう。
【0005】また、光触媒層を構成する物質が酸化チタ
ンである場合には、900℃以上の高温で光触媒活性の
高いアナターゼ型から光触媒活性の低いルチル型へと相
転移してしまう。したがって、熱処理のみにより酸化チ
タン粒子間を固相焼結で形成したネック部で結合させよ
うとすると、かなり小さな微粒の酸化チタンを出発原料
にして、低温で撓結させないかぎり、ルチル型へと相転
移して光触媒活性が低下してしまう。
【0006】
【発明が解決すべき課題】上記2つの問題を同時に解決
する方法として、光触媒活性を有する微粒子の活性点を
銀、銅、白金、パラジウム、金、ニッケル、鉄、コバル
ト、亜鉛等の金属微粒子で覆う方法がある。しかし、か
かる金属は有色金属であるため、多量に塗布すると基材
の表面に固有の色が付いてしまい、基材の色、模様等の
デザインを損なってしまう。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明では上記課題を解
決すべく、基材上に光触媒活性を有する粒子と有色の金
属微粒子を固定する工程、前記金属微粒子と溶液または
気体を反応させて少なくとも金属微粒子表面に無色化ま
たは白色化した塩を形成する工程からなることを特徴と
する金属微粒子を含む触媒を有する部材の作製すること
にし、高い光触媒活性を維持しつつ基材の色、模様等の
デザインを損なわない脱色方法を提案することを目的と
する。
【0008】光触媒活性を有する粒子とは、抗菌機能、
脱臭機能等の光触媒機能を発揮するのに充分なバンド・
ギャップを有する半導体粒子のことである。光触媒粒子
が抗菌性を有する理由としては所定以上の電圧が印加さ
れることにより感電死するという説もあるが、一般には
脱臭機能と同様に、光照射時に生じる活性酸素のためと
考えられている。活性酸素を生成するためには、半導体
の伝導帯の位置がバンド・モデルで表すとき水素発生電
位より上方にあり、かつ価電子帯の上端が酸素発生電位
より下方にあることを要する。この条件を満たす半導体
には、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化亜
鉛、炭化ケイ素、リン化ガリウム、硫化カドミウム、セ
レン化カドミウム、三硫化モリブデン等がある。また微
粒化すると伝導帯の位置は上方に移動するので、1〜1
0nm程度の微粒子ならば、酸化スズ、三酸化タングス
テン、酸化第二鉄、三酸化二ビスマス等も活性酸素を生
成しうる可能性がある。このうち化学的に安定で、安価
に活性の高い微粒子を得ることができることから、アナ
ターゼ型酸化チタンが特に好ましい。
【0009】有色の金属微粒子とは、銀、銅、白金、パ
ラジウム、金、ニッケル、鉄、コバルト、亜鉛等のイオ
ン化傾向が小さく、自身が還元されやすい金属微粒子を
いう。水溶液反応により無色化または白色化した塩を形
成する場合、または金属微粒子を含む触媒を液体中で用
いる場合は、形成される無色化または白色化した塩は難
溶性または不溶性のほうがよい。尚、無色化、白色化し
たとは、色差で下地に対し、2以下程度まで、脱色した
ことをいい、必ずしも、無色または純白色である必要は
ない。
【0010】ここで上記した2つの工程を行う順番は順
不同であり、どちらから行っても構わない。光触媒活性
を有する粒子を予め基材に固定しておいてから金属微粒
子を含む触媒を作製してもよいし、金属微粒子を含む触
媒を作製した後、基材に固定してもよい。
【0011】ここで用いる基材の材質は、セラミック、
陶磁器材料、金属、ガラス、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹
脂あるいはそれらの複合物等基本的に何でもよい。基材
の形状も基本的にどのようなものでもよく、例えば、タ
イル、壁材、床材等の板状物や棒状物、球状物、円柱状
物、円筒状物、角柱状物、中空の角柱状物などの単純形
状のものでも、衛生陶器、洗面台、浴槽、流し台等およ
びその付属品などの複雑形状のものでも構わない。
【0012】光触媒活性を有する粒子を予め基材に固定
しておいてから金属微粒子を含む触媒を作製する場合の
第一の態様は、基材に光触媒活性を有する粒子層を形成
する工程、その上に有色の金属微粒子を固定化する工
程、前記有色の金属微粒子を覆うように無色化または白
色化した塩を形成する工程を順次行うことによる。
【0013】基材に光触媒活性を有する粒子層を形成す
る工程は、基本的に出発原料あるいはそれに適当な処理
を施したものを基材表面に塗布後、熱処理することによ
り行う。出発原料としては、光触媒活性を有する物質の
ゾルや、光触媒活性を有する物質を構成する金属元素を
含むアルコキシド、有機金属塩、無機酸塩、ハロゲン化
物塩等を用いる。例えば、出発原料としてアナターゼ型
酸化チタンゾルを用いる場合は、酸化チタンの等電点が
PH6.5とほぼ中性であることから、酸またはアルカ
リで分散した懸濁液を用いて基材表面に塗布すると均一
に塗布しやすい。
【0014】このような分散処理において、基材が金属
の場合は耐蝕性の観点からアルカリ分散が好ましい。陶
磁器、タイル、セラミック等の場合は酸、アルカリいず
れの分散液を用いてもよい。このとき用いる酸として
は、硝酸、硫酸、塩酸、酢酸、リン酸、有機酸等が挙げ
られる。アルカリの場合はアンモニア、アルカリ金属ま
たはアルカリ土類金属を含む水酸化物等が挙げられる
が、熱処理後に金属汚染物が生成しないことからアンモ
ニアが特に好ましい。これらの分散液に、さらに有機
系、リン酸系の分散剤、表面活性剤、表面処理剤等を添
加してもよい。
【0015】また出発原料としてゾルを用いる場合は、
光触媒活性を有する物質のゾルの平均粒径は0.05μ
m以下好ましくは0.01μm以下がよい。粒径が小さ
いほど光触媒活性が高いからである。ここで平均粒径
は、ゾルを粉末X線回折したときの結晶の最大ピークの
積分幅からScherrer式により求められる。
【0016】出発原料としてゾルを用いる場合、基材表
面への塗布方法としては、ゾルの懸濁液をスプレー・コ
ーティング、ロール・コーティング、ディップ・コーテ
ィング、スピン・コーティング、CVD、電子ビーム蒸
着、スパッタなどして塗布する方法があり、そのいずれ
でもよいし、それ以外の方法でもよい。ただし、スプレ
ー・コーティング、ロール・コーティング、ディップ・
コーティングは、CVD、電子ビーム蒸着、スパッタな
どと比較して特別の設備を要せず、安価に塗膜可能であ
る利点がある。
【0017】出発原料としてアルコキシドを用いる場合
は、アルコキシドに適当な希釈剤と必要ならば塩酸等の
加水分解抑制剤を添加した混合液を塗布する。ここで適
当な希釈剤とは、エタノール、プロパノール、メタノー
ル等のアルコール類が好ましいがそれに限定されるもの
ではない。ただし水はできる限り含まないほうがよい。
水が含まれるとチタンアルコキシド等の多くのアルコキ
シドにおいて加水分解が爆発的に促進され、クラックの
一因をなすからである。アルコキシドの基材への塗布方
法は、例えば、乾燥空気をキャリヤーとしてフロー・コ
ーティング法により塗布する。
【0018】出発原料としてアルコキシド、有機金属
塩、無機酸塩、ハロゲン化物塩等を用いた場合には、塗
布後の熱処理はこれら前駆体が酸化物に変化しかつ結晶
化すると同時に、このようにして得た光触媒活性を有す
る粒子が基材表面へ高い密着強度で固定化される温度で
行う。その温度は例えば、光触媒活性を有する粒子がア
ナターゼ型酸化チタンである場合には400℃以上80
0℃以下である。
【0019】それに対し、出発原料としてゾルを用いた
場合には、既に酸化物結晶であるので、単に光触媒活性
を有する粒子が基材表面へ高い密着強度で固定化される
温度で熱処理すればよい。しかしゾルは余程の微粒でな
いかぎり上記前駆体と比較して基材への密着強度が相対
的に弱いので、例えば光触媒活性を有する粒子が酸化チ
タンである場合、粒度配合等の特別の手段を用いない限
り800℃以上の高温で熱処理する必要がある。
【0020】基材に光触媒活性を有する粒子層を形成す
る工程は、基材と光触媒活性を有する粒子層との間にバ
インダー層を介して形成してもよい。このようにするこ
とにより、光触媒活性を有する粒子層と基材との結合を
より強固なものにすることができる。
【0021】ここでバインダーには、釉薬、無機ガラス
質、熱可塑性樹脂、半田等の熱可塑性バインダーおよび
熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等の硬化性バインダーの双
方が利用できる。
【0022】熱可塑性バインダーを用いる場合は、例え
ば、基材表面にバインダー層を形成する工程、バインダ
ー層上に光触媒活性を有する層を形成する工程、光触媒
活性を有する層の最表面が露出されかつ下層の一部が前
記バインダー層に埋設されるような温度で熱処理する工
程を順次行うことにより、基材上に光触媒活性を有する
粒子層を形成する。
【0023】ここで基材表面にバインダー層を形成する
工程は、基材にその軟化温度が基材よりも低いバインダ
ー成分を塗布することにより行う。このときのバインダ
ー成分は必ずしも部材完成時のバインダー層の組成と一
致している必要はない。例えば、バインダーが無機ガラ
ス質の場合の塗布物は、粒状、フリット状、塊状、粉末
等の無機ガラス質組成物の懸濁液でもよいし、構成金属
成分を含む塩の混合液でもよい。塗布方法には、スプレ
ー・コーティング法、ロール・コーティング法、ディッ
プ・コーティング法等があるがそのいずれでもよい。
【0024】バインダー層の上に光触媒活性を有する粒
子層を形成する工程を行う前に、塗布したバインダー層
を乾燥し、水分等を蒸発させてもよい。この際の乾燥方
法は、室温放置による方法、基材とともに加熱する方法
等がある。バインダー層の上に光触媒活性を有する粒子
層を形成する工程を行う前に、塗布したバインダー層を
基材の軟化温度より低く、バインダー層が部材完成時の
バインダー層の組成に変化しなおかつ軟化する温度で熱
処理してもよい。この方法によればバインダー層の上に
光触媒活性を有する粒子層を形成する時に予めバインダ
ー層がより平滑になるので、塗布する光触媒活性を有す
る粒子が少量でも充分な効果を発揮できるようになる。
【0025】バインダー層の上に光触媒活性を有する粒
子層を形成する工程は、基材上に光触媒活性を有する粒
子層を直接形成する場合と基本的に同様である。光触媒
活性を有する層の最表面が露出されかつ下層の一部が前
記バインダー層に埋設されるような温度で熱処理する工
程は、基材の軟化点より低く、バインダー層が部材完成
時のバインダー層の組成に変化しなおかつ軟化する温度
で処理することにより行う。一般的にはバインダー層の
軟化温度より20〜320℃高い温度で熱処理するとよ
い。そうすることにより、光触媒活性を有する粒子は適
度にバインダー層中に移動し、光触媒活性を有する層の
最表面が露出されかつ下層の一部が前記バインダー層に
埋設される状態になる。また熱硬化性バインダーを用い
る場合は、例えばバインダーを硬化剤と混合して基材に
塗布する工程、前記混合物を増粘する工程、光触媒活性
を有する粒子を塗布する工程、熱処理によりバインダー
を硬化させる工程を順次行うことにより、基材上に光触
媒活性を有する粒子層を形成する。
【0026】バインダーを硬化剤と混合して基材に塗布
する方法は、例えば熱硬化性樹脂に希釈剤を添加し、次
いで硬化剤を添加して得た混合液を基材表面に塗布する
ことにより行う。ここで希釈剤は、混合液の粘性を低下
させ、基材表面に該混合液を塗布しやすくするために塗
布する。したがって、ここで使用する希釈剤はこの目的
を達成しうる溶媒であれば基本的に何でもよい。例え
ば、水、エタノール、プロパノール等が使用できる。
【0027】混合液の基材への塗布方法も、スプレー・
コーティング法、ロール・コーティング法、ディップ・
コーティング法、スピン・コーティング法等があるが、
そのいずれを用いてもよいし、それ以外の方法でもよ
い。
【0028】混合物を増粘する工程において、混合物の
増粘は熱処理または放置することにより行う。増粘粘性
は10posise以上107.5poise未満に
することが望ましい。10poise以上の高粘性値
にしてから光触媒活性を有する粒子を塗布することによ
り、光触媒活性を有する粒子がバインダー層中に完全に
埋没してしまわない状態での埋設が可能となり、また1
7.5poise未満にすることにより、光触媒活性
を有する粒子層の少なくとも最下層部はその一部がバイ
ンダー上層に埋設されうるようになるからである。
【0029】光触媒活性を有する粒子層の上に有色の金
属微粒子を固定化する工程は、銀、銅、白金、パラジウ
ム、金、ニッケル、鉄、コバルト、亜鉛等の少なくとも
1種の有色の金属を含む溶液を塗布し、塗布面に紫外線
を含む光を照射することにより行う。
【0030】ここで有色の金属を含む溶液には、上記金
属の可溶性塩の溶液が好ましく、例えば、硝酸銀、硫酸
銀、酢酸銀、フッ化銀、塩素酸銀、酢酸第一銅、酢酸第
二銅、塩素酸第二銅、塩化第二銅、硫酸第一銅、硫酸第
二銅、臭化第二銅、硝酸第二銅、塩化第一鉄、塩化第二
鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、ヨウ化第一鉄、臭化第一
鉄、臭化第二鉄、シュウ酸第二鉄、酢酸第一鉄、酢酸第
二鉄、塩素酸第一鉄、塩素酸第二鉄、硝酸第一鉄、硝酸
第二鉄、塩化コバルト、硫酸コバルト、ヨウ化コバル
ト、臭化コバルト、酢酸コバルト、塩素酸コバルト、硝
酸コバルト、塩化ニッケル、硫酸ニッケル、ヨウ化ニッ
ケル、臭化ニッケル、酢酸ニッケル、塩素酸ニッケル、
硝酸ニッケル、硫酸パラジウム、塩化パラジウム、塩化
白金酸、硫酸白金、塩化第二金、硫酸第二金、臭化第二
金、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、ヨウ化亜鉛、臭化亜鉛、酢酸
亜鉛、塩素酸亜鉛、硝酸亜鉛等の溶液およびその混合溶
液が使用できる。溶液の塗布方法は、基本的にどのよう
な方法でもよいが、スプレー・コーティング法が簡便で
ある。また、使用する溶液の量が少なくてすむこと、均
一に塗布できること、膜厚を制御しやすいこと、裏面に
付けたくないときにそれが可能であることなどの長所
も、スプレー・コーティング法は有しており好ましい。
【0031】スプレー・コーティング法により溶液を塗
布する場合は、紫外線を含む光を照射する前に塗布物を
乾燥させたほうがよい。塗布量に対する金属の固定化率
が向上するので、コスト上有利だからである。スプレー
・コーティング法により溶液を塗布する場合の溶媒も基
本的に限定されるものでなく、水、エタノール、プロパ
ノール、メタノール等種々の溶媒を利用できる。このう
ち分散性が同一ならばエタノールを使用することが最も
好ましい。エタノールは水系よりも乾燥速度が速いので
乾燥工程にかかる時間を短縮でき、生産性が向上するか
らである。また表面張力が低いので光触媒活性を有する
粒子層への濡れもよい。さらにメタノール等の他の揮発
性溶媒と比較して毒性がなく、無害である。また分散性
等の理由により水を使用しなければならない場合は、ア
ルコール類、不飽和炭化水素等の犠牲酸化剤を少量添加
すると光還元反応がより迅速に進行するので好ましい。
【0032】紫外線を含む光を照射する光源は、紫外線
を照射しうるものであればよく、例えば、紫外線ラン
プ、BLBランプ、キセノンランプ、水銀灯、蛍光灯な
どが挙げられる。紫外線を含む光を照射するときに、照
射面に垂直に光があたるように試料を配置するのが好ま
しい。照射効率が最も優れるからである。
【0033】有色の金属微粒子を覆うように無色化また
は白色化した塩を形成する工程は、例えば、上記有色の
金属微粒子と反応して金属微粒子の少なくとも表面に無
色化または白色化した塩を形成しうる溶液を金属微粒子
に接触させる方法、または上記有色の金属微粒子と反応
して金属微粒子の少なくとも表面に無色化または白色化
した塩を形成しうる反応ガスを金属微粒子に接触させる
方法で行う。
【0034】上記有色の金属微粒子の塩で白色化または
無色化したものは、難溶性または不溶性の塩であること
が好ましい。水溶液反応で金属微粒子の少なくとも表面
に塩を容易に形成でき、また水のある環境で安定に使用
できるからである。
【0035】上記有色の金属微粒子の塩で白色化または
無色化するものとしては、例えば、塩化銀、臭化銀、ヨ
ウ化銀、シユウ酸銀、チオ硫酸銀、シアン化銀、ロダン
化銀、塩化第一銅、臭化第一銅、シアン化第一銅、ロダ
ン化第一銅、酸化第一銅、リン酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、
シアン化亜鉛、シアン化パラジウム、硫化亜鉛、炭酸亜
鉛、炭酸第一鉄、酸化亜鉛等が挙げられる。上記塩を形
成しうる溶液は、例えば塩化銀の場合には、塩化カリウ
ム溶液、塩化ナトリウム溶液、塩化アンモニウム溶液、
塩化第二鉄溶液等、ヨウ化銀の場合には、ヨウ化カリウ
ム溶液、ヨウ化ナトリウム溶液、ヨウ化第二鉄溶液等が
挙げられるがそれに限定されるものではなく、各々の塩
の陰イオンを含む可溶性塩溶液であれば広く使用でき
る。その他、上記各種塩が酸化亜鉛、酸化第一銅等の酸
化物ならば、過酸化水素水、オゾン水等の酸化剤水溶液
を用いることもできる。
【0036】また上記塩を形成しうる反応ガスも各々の
塩の陰イオン元素を含む気体であれば広く使用できる。
例えば上記塩が酸化亜鉛、酸化第一銅等の酸化物なら
ば、大気中、酸素中、水蒸気中等で加熱することによ
り、また、オゾン等の酸化剤で反応させることにより金
属微粒子表面を酸化して表面に酸化物層を形成させるこ
とができる。
【0037】また基材に光触媒活性を有する粒子層は、
光触媒活性を有する粒子と樹脂との混合層で形成しても
よい。このような構造にしてもやはり光触媒活性を有す
る粒子層と基材との結合をより強固なものにすることが
できる。しかもこの場合、光触媒活性を有する粒子が外
気と接するように露出させる必要がなくなるので、基材
上に塗布する場合に光触媒活性を有する粒子を塗布する
工程とバインダーを塗布する工程を分けて行う必要がな
くなり、例えば光触媒活性を有する粒子とバインダーを
混練して1度で塗布することが可能となる。したがって
工程の簡略化が実現でき、製造コストの低減を図ること
ができる。
【0038】ここで樹脂は、極度に紫外線を吸収する物
質でなく、かつ光に対しある程度の耐蝕性のある素材で
あれば、熱可塑性、熱硬化性、光硬化性のいずれの性質
を有する樹脂でもよい。この場合、多くの光触媒活性を
有する粒子が樹脂中に埋もれることになるので、光触媒
活性が生じないことが懸念されるが、実際には銀、銅、
白金、パラジウム、金、ニッケル、鉄、コバルト、亜鉛
等の金属微粒子が担持されることにより、光触媒活性は
失われない。この機構について以下に略述する。
【0039】光触媒活性を有する粒子上での光触媒反応
は以下のように進行すると解される。まず第一段階とし
て、光子が電子と正孔に分解する反応が生じる。すなわ
ち、 hυ→h+e (1) 次に生成した正孔が空気または層中の酸素または水分と
反応して活性酸素種を生成する。(2)、(3)式に水
分と反応した場合の化学反応式を示す。 H2O→H+OH (2) OH+h→OH・ (3) ここで生じた活性酸素種OH・が悪臭成分や菌に作用し
て防臭性、抗菌性が発揮されるのである。ただし、
(3)式の反応は(4)式に示す正孔と電子が再結合し
て光子に戻る反応と競合する。 h+e→hυ (4)
【0040】まず光触媒活性を有する粒子が露出してい
る場合について考察する。この場合には、空気中または
層中の酸素または水分は光触媒活性を有する粒子と直接
接触することができるので、光触媒活性を有する粒子上
には(1)式で示される光の分解反応が生じたときに正
孔、電子の他、酸素または水分が存在する。したがって
この場合(3)式と(4)式は競争反応となる。したが
ってある確率(アナターゼ型酸化チタンの場合は約20
%程度)で(3)式により活性酸素が生成する。この活
性酸素の作用により、防臭、抗菌等の光触媒反応が起こ
ることになる。次に光触媒活性を有する粒子が上記金属
が周囲にない状態でバインダーに完全に覆われた場合に
ついて考察する。バインダーに覆われることにより酸素
または水分は光触媒に直接接触することができなくな
る。したがって酸素または水分と正孔とが(3)式によ
り反応するためには、酸素または水分が光触媒活性を有
する粒子上へ拡散するか、または正孔が酸素または水分
の存在する最表面に拡散するか、若しくはその双方の拡
散が生じる必要がある。その分誘導期間が生じることに
なる。一方、電子は光子の分解反応が生じたときにすで
に光触媒活性を有する粒子上に存在する。そのため上記
拡散が生じる前に、すなわち誘導期間中に(4)式によ
る反応が生じることになり、そのため(3)式による活
性酸素生成反応はほとんど生じなくなる。
【0041】以上のことから光触媒活性を有する粒子が
上記金属が周囲にない状態でバインダーに大部分覆われ
ている場合には、光触媒活性を有する粒子が露出してい
る部分のみある確率で活性酸素が生じることになる。そ
のため生成する活性酸素の量が少ないので充分な防臭、
抗菌等の光触媒機能が発揮されないのである。
【0042】一方、光触媒活性を有する粒子の近傍(必
ずしも、光触媒活性を有する粒子と接触していなくても
よい状態)に上記金属微粒子がある場合は、光触媒活性
を有する粒子がバインダーに完全に覆われていても、
(1)式で生成した電子はこれら金属微粒子に捕捉され
るので、(4)式の再結合反応が生じにくくなり、正孔
が長時間消滅せずに残留しうるようになる。したがっ
て、光触媒活性を有する粒子がバインダーに覆われて
(3)式の活性酸素生成反応が上記理由により誘導期間
を有するようになっても、正孔が(4)式により消滅し
にくくなるので、誘導期間に(3)式の活性酸素生成反
応が生じるようになる。
【0043】以上の機構により、銀、銅、白金、パラジ
ウム、金、ニッケル、鉄、コバルト、亜鉛等の金属微粒
子の少なくとも1種が含まれていれば、光触媒活性を有
する粒子の大部分が樹脂に覆われるにもかかわらず、防
臭、抗菌等の光触媒機能が発揮されるのである。
【0044】この場合の光触媒活性を有する粒子層の形
成方法の一態様は、例えば、光触媒活性を有する物質の
ゾルを分散した懸濁液に熱硬化性樹脂を添加する工程、
前記ゾルと樹脂の混合物の懸濁液を溶媒で希釈する工
程、前記希釈液にさらに硬化剤を添加する工程、硬化剤
を添加した液状物を基材に塗布する工程、液状物を塗布
した基材を熱処理する工程を順次行うことによる。そし
てこの場合には光触媒活性を有する粒子に有色の金属微
粒子を固定化する工程、前記金属微粒子と溶液または気
体を反応させて少なくとも金属微粒子表面に無色化また
は白色化した塩を形成する工程は上述した方法と同様に
行う。
【0045】ここで、有色の金属微粒子を溶液または気
体と反応させて、金属微粒子表面に無色化または白色化
した塩を形成する工程は、樹脂と混合する前に光触媒活
性を有する粒子表面に担持させた後に行ってもよいし、
金属微粒子の表面に無色化または白色化した塩を形成し
た後、この金属微粒子と光触媒活性を有する粒子とを樹
脂と共に混合し、上記と同様にして、基材上に金属微粒
子を含む触媒を有する部材を作成してもよい。
【0046】ここでゾルと樹脂の混合物の懸濁液を溶媒
で希釈する工程で用いる希釈剤、粘度を低下させ、基材
への塗布をしやすくする目的で加えるものであり、この
目的が達せられるものであれば、基本的に何でもよい。
例えば、エタノール、プロパノール、水等が挙げられ
る。 硬化剤を添加した液状物を基材に塗布する工程
と、液状物を塗布した基材を熱処理する工程との間に乾
燥工程を挿入してもよい。硬化剤を添加した液状物の基
材への塗布方法は基本的にどのような方法を用いてもよ
いが、スプレー・コーティング法またはロール・コーテ
ィング法が比較的簡便である。
【0047】熱処理は100℃未満の低温で長時間かけ
て行ってもよいし、100℃以上かつ基材及び熱硬化性
樹脂の耐熱温度未満で短時間で行ってもよい。一般に光
触媒活性を有する粒子の方が熱硬化性樹脂よりも比重が
大きいので、100℃以上かつ基材及び熱硬化性樹脂の
耐熱温度未満で短時間で熱処理したほうが光触媒活性を
有する粒子が基材表面下層部に埋没するおそれがなく望
ましい。基材に光触媒活性を有する粒子層を光触媒活性
を有する粒子と樹脂との混合層で形成する場合の、光触
媒活性を有する粒子層の形成方法の他の実施態様は、例
えば、光触媒活性を有する物質のゾルを分散した懸濁液
に、銀、銅、白金、パラジウム、金、ニッケル、鉄、コ
バルト、亜鉛等のうちの少なくとも1種の金属を含む溶
液を混合する工程、前記混合液に紫外線を含む光を照射
することにより金属を光触媒活性を有する物質のゾルに
固定する工程、前記金属微粒子と溶液または気体を反応
させて少なくとも金属微粒子表面に無色化または白色化
した塩を形成する工程、前記混合液に熱硬化性樹脂を添
加する工程、前記ゾルと樹脂の混合物の懸濁液を溶媒で
希釈する工程、前記希釈液にさらに硬化剤を添加する工
程、添加した液状物を基材に塗布する工程、液状物を塗
布した基材を熱処理する工程を順次行うことにより行
う。この場合は金属微粒子を含む触媒粒子を予め形成し
てから基材に固定することになる。
【0048】ここで光触媒活性を有する物質のゾルを分
散した懸濁液に、銀、銅、白金、パラジウム、金、ニッ
ケル、鉄、コバルト、亜鉛等のうちの少なくとも1種の
金属を含む溶液を混合する工程は、光触媒活性を有する
物質のゾルを分散した懸濁液に、前記懸濁液とほぼ同じ
PHに調整した金属塩溶液を添加するようにするとよ
い。液中の光触媒活性を有する物質のゾルのゼータ電位
をなるべく変化させないようにすることで、光触媒活性
を有する物質のゾルの分散性を維持できるからである。
【0049】混合液に紫外線を含む光を照射することに
より金属を光触媒活性を有する物質のゾルに固定する工
程は、攪拌しながら行うほうがよい。そのほうが光触媒
活性を有する物質のゾルに金属を万便なく付着させやす
いからである。このときの攪拌装置としては、例えば超
音波振動器、スターラー、ホモジナイザー等が使用でき
る。
【0050】紫外線を含む光の照射方法も基本的には問
わないが、容器上方から照射するほうがよい。容器によ
る紫外線の吸収がないからである。基材に光触媒活性を
有する粒子層を光触媒活性を有する粒子と樹脂との混合
層で形成する場合の、上記2つの光触媒活性を有する粒
子層の形成方法において、基材に予め熱硬化性樹脂を塗
布していてもよい。このように基材と光触媒活性を有す
る粒子と樹脂との混合層との間に熱硬化性樹脂層を介す
ることにより、以下に示す効果がある。
【0051】第一に基材と光触媒活性を有する粒子と樹
脂との混合層とをより強固に結合することができ、耐剥
離性を向上させることができる。熱硬化性樹脂のみの膜
のほうが、熱硬化性樹脂と無機結晶質の光触媒活性を有
する粒子との混合物よりなる膜より膜強度が高く、接着
性にも優れるからである。
【0052】第二にこのように熱硬化性樹脂層を介する
ことにより膜強度を向上できるので、基材表面の光触媒
活性を有する粒子と樹脂との混合層中の熱硬化性樹脂量
を低減することができる。このことにより光触媒活性を
有する粒子の分布をより最表面付近に集中させることが
可能となるので、光触媒活性をより発揮しやすくなり、
抗菌性、防臭性等の光触媒機能が向上する。
【0053】第三にここで挿入する樹脂は、必ずしも光
触媒活性を有する粒子と樹脂との混合層中の樹脂と同種
である必要がない。例えば、光触媒活性を有する粒子と
樹脂との混合層中の樹脂はある程度の光耐蝕性があるほ
うが望ましいが、ここで挿入する樹脂にはその必要はな
いので、より安価な樹脂や着色樹脂で形成してもよい。
また基材と光触媒活性を有する粒子との熱膨張差が著し
く大きい場合には、挿入する樹脂を弾力性のある樹脂や
中間的な熱膨張係数を有する樹脂で形成すると、熱処理
時にクラック等が生じるおそれを解消することができ
る。
【0054】この場合の光触媒活性を有する粒子と樹脂
との混合層中の樹脂量は5重量%以上50重量%以下で
あることが好ましい。5重量%未満では基材表面の耐摩
耗性が充分でなく、50重量%をこえると光触媒活性を
有する粒子の絶対量が不足して、充分な防臭、抗菌効果
が得られないからである。
【0055】基材に予め熱硬化性樹脂を塗布する方法
は、溶媒中に熱硬化性樹脂を分散する工程、前記分散液
に硬化剤を添加する工程、硬化剤を添加した液状物を基
材に塗布する工程、基材に塗布した液状物を乾燥する工
程を順次行うことによる。
【0056】
【作用】光触媒活性を有する粒子の活性点を銀、銅、白
金、パラジウム、金、鉄、ニッケル、コバルト、亜鉛等
の有色金属で覆うことにより、高分子や塵芥の付着によ
る光触媒活性の低下を防止することができる。また基材
上に光触媒活性を有する粒子を強固に固定するために高
温処理等を行い、そのために低下した光触媒活性を上記
有色金属で覆うことにより、回復させることができる。
さらに前記金属微粒子の少なくとも表面を溶液または気
体と反応させて白色化または無色化した塩を形成する方
法によれば、基材の色、模様等のデザインを損なわずに
脱色できる。
【0057】
【実施例】
(実施例1)15cm角のタイル基材表面に、平均粒径
0.01μmの酸化チタンゾルを塗布後、900℃で熱
処理し、ルチル型酸化チタン薄膜を形成した。この段階
で止めた試料を比較試料1とする。その後、硝酸銀水溶
液をスプレー・コーティング法にて塗布し、20WのB
LBランプを光源として10分光照射し、銀をルチル型
酸化チタン薄膜上に固定した。このときの銀の担持量は
1.2μg/cm2であり、茶色に呈色した。この段階
で止めた試料を比較試料2とする。その後、0.1mo
l/リットルのヨウ化カリウム水溶液を比較試料2上に
0.1cc/cm2の割合で塗布し反応させた。その結
果、試料表面は黄白色へと変化し、白色化された。ヨウ
化銀層が形成されたためと考えられる。この試料を実施
試料1とする。
【0058】これら試料について、色差、光活性、防臭
特性および抗菌性を評価した。色差の測定は分光式色差
計(東京電色(株)製)で測定した。その際、標準試料
は比較試料1とした。結果を図1に示す。その結果、比
較試料2では色差3.5であったのに対し、ヨウ化カリ
ウム水溶液で処理したことにより、実施試料1では色差
1に減少し、呈色の度合いが減少した。
【0059】光活性については△PH試験で評価した。
△PH試験とは、試料表面にヨウ化カリウム水溶液を滴
下し、次いで滴下したヨウ化カリウム水溶液に30分間
紫外線を照射し、照射前のヨウ化カリウム水溶液のPH
と照射後のヨウ化カリウム水溶液のPHとの差により光
活性を評価する方法である。すなわちこの方法によれば
試料表面の光活性が高ければ下記に示すような酸化還元
反応がより進行するので照射後のPHは照射前のPHよ
り高くなっていく。 酸化反応:2I+2h=I2 還元反応:O2+2H2O+4e=4OH
【0060】また防臭特性はR30(L)で評価した。
R30(L)とは光照射後の悪臭除去率のことで、具体
的には11Lのガラス容器内に試料を入れ、試料の薄膜
を形成した面を光源(BLB蛍光灯4W)から8cmの
距離に配置し、メチルメルカプタンガスを初期濃度3p
pmとなるように容器内に注入し、30分間光照射した
ときの濃度変化を測定することで得られる。
【0061】光活性および防臭特性の結果を図2に示
す。比較試料1と2との比較により、銀を担持したこと
によって、比較試料2では光活性が回復し、△PHもR
30(L)も良好な結果を示した。また実施試料1と比
較試料2を比較すると、△PHもR30(L)もともに
ほぼ同程度の値となり、脱色処理によっても光活性には
変化を生じず、良好な特性が維持できることが判明し
た。
【0062】また抗菌性については、大腸菌(Esch
erichia coli W3110株)を用いて試
験した。予め70%エタノールで殺菌した試料の最表面
に菌液0.15ml(2×10CFU)を滴下し、ガ
ラス板(100×100)に載せて基材最表面に密着さ
せ、試料とした。白色灯(3500ルクス)を所定時間
照射した試料(L)と、遮光条件下に維持した試料
(D)の菌液を滅菌ガーゼで拭いて生理食塩水10ml
に回収し、生菌数を調べ評価した。
【0063】抗菌性に関する結果を図3に示す。比較試
料1では銀を担持していないので、暗時(D)の抗菌効
果は認められない。それに対し、実施試料1では脱色処
理で銀の表面が化合物に変化しているにもかかわらず暗
時(D)の抗菌効果が認められた。また光照射時(L)
にはより強い抗菌効果が観察され、銀の抗菌効果のみな
らず、ルチル型酸化チタン薄膜の光触媒活性回復効果も
観察された。
【0064】(実施例2)フッ素樹脂をバインダーとし
てアナターゼ型酸化チタンに混合し、この混合物をアク
リル樹脂板に100μm程度塗布した後、乾燥し密着さ
せたものに、0.001重量%〜0.1重量%の硝酸銀
水溶液を塗布した後、紫外線を照射して酸化チタン薄膜
上に銀を析出せしめ、この表面に0.1mol/リット
ルのヨウ化カリウム水溶液を0.1cc/cm2の割合
で塗布し、紫外線を照射すると脱色され、色差が4→
1.2に減少した。また防臭特性R30(L)も90%
程度と良好であった。
【0065】(実施例3)プラスチック製品を射出成形
するにあたり、前もって金型面にアナターゼ型酸化チタ
ン粉末と、銀粉末を混合したしたものを塗布しておく。
そして射出成形により、プラスチック表面に酸化チタン
と銀からなる層を設けた後、0.1mol/リットルの
ヨウ化カリウム水溶液中に浸漬し、紫外線を照射すると
脱色され、色差が3→0.8に減少した。また防臭特性
R30(L)も80%程度と良好であった。
【0066】(実施例4)15cm角の衛生陶器成形素
地に釉薬を塗布後、1100〜1200℃で焼成後、平
均粒径0.01μmのアナターゼ型酸化チタンゾルを塗
布し、900〜1000℃で焼成し、衛生陶器素地基材
上にルチル型酸化チタン薄膜を固定した。この後、その
上に硝酸銀水溶液を塗布し、紫外線を照射して酸化チタ
ン薄膜上に銀を析出せしめた。さらにその上に塩化第二
鉄水溶液を塗布し、紫外線を照射すると脱色され、色差
が3→0.3に減少した。また抗菌性は、光照射時、暗
時ともに試料に30分接触させることで、もとの菌数の
10%未満しか生菌してないことが確認され、良好な結
果を示した。
【0067】(実施例5)平均粒径0.01μmのアナ
ターゼ型酸化チタンゾルの硝酸分散液と撥水性のあるシ
ロキサン・クリア・コート樹脂を所定の重量比で混合
し、プロパノールで希釈した後、硬化剤を添加した溶液
を塗布した。塗布後150℃で焼成して固化させ冷却し
た。さらにこの基材に酢酸銅水溶液をアルミナ基板に塗
布し、この後光還元(光源は20ワットBLBランプ、
光源から試料までの距離10cm、照射時間15分)し
て試料を得た。このようにして得られた混合層の膜厚は
約0.8μmであり、結晶型はアナターゼであった。ま
た上記光還元処理を大気中で行うと、銅はすでに脱色さ
れた状態で固定される。このことは、ESCA(化学分
析のための電子分光法)により固定された銅が0価およ
び1価で存在することから、一度還元固定された銅の少
なくとも表面がアナターゼ型酸化チタンの光触媒作用に
より生成した活性酸素種と反応し、酸化第一銅へと変化
しているためと考えられ、この工程中に銅は脱色される
のである。得られた試料について防臭性、耐摩耗性、耐
水あか性について評価した。
【0068】防臭性評価については以下に示す方法によ
り、悪臭ガスとしてメチルメルカプタンを用い、R3
0′を測定することにより評価した。R30′とは、暗
時に濃度3ppmのメチルメルカプタンガスを11Lの
ガラス容器内に注入し、1日放置してガスを試料に充分
に吸着させた後に、1日光照射(光源(BLB蛍光灯4
W)は試料から8cmの距離に配置)し吸着ガスを光分
解した後に、新たにメチルメルカプタンガスを初期濃度
3ppmとなるように容器内に注入し、暗時の30分後
の濃度変化を測定することで得られる。
【0069】耐摩耗性については、プラスチック消しゴ
ムを用いた摺動摩耗を行い、外観の変化を比較し、評価
した。評価基準を下記に示す。 ◎:40回往復に対して変化なし ○:10回以上40回未満の摺動で傷が入り、光触媒層
が剥離 △:5回以上10回未満の摺動で傷が入り、光触媒層が
剥離 ×:5回未満の摺動で傷が入り、光触媒層が剥離 耐水あか性については、以下に示す装置により評価し
た。すなわち試料の光触媒等からなる層を形成した面を
上方に向けて配置し、光を試料上方の面に照射しながら
公衆浴場で採取した風呂水を循環させながら連続的に滴
下した。そして14日後の試料面を観察し、生じたぬめ
りの程度および無機系の汚れについて評価した。ぬめり
についての評価基準を下記に示す。 ◎:ぬめりは認められない ○:ややぬめりを感じる △:ぬめりが生じる ×:ぬめりがひどく生じる 無機系の汚れについての評価基準を下記に示す。 ◎:無機系の汚れが生じない ○:無機系の汚れが生じるが、簡単に拭き取れ、かすか
に跡が残る程度である △:無機系の汚れが生じるが、簡単に拭き取れ、わずか
に跡が残る程度である ×:無機系の汚れが生じ、強くこする程度では拭き取れ
ない 結果を図4〜7の黒点に示す。基材表面にアナターゼ粒
子からなる光触媒と銅(および酸化第一銅)とシロキサ
ン樹脂との混合層を形成することにより、基材表面の耐
摩耗性は向上し、混合層中のシロキサン樹脂を20重量
%以上にすることにより◎または○となった(図4)。
また防臭特性はアナターゼ粒子を増加させると向上し、
シロキサン樹脂が20重量%以下ではR30′で50%
以上となった(図5)。また無機汚れについてもシロキ
サン樹脂が20重量%添加で○となった。さらにぬめり
についてもシロキサン樹脂が20〜30重量%添加で○
となり、防汚効果があることが見出だされた。さらに接
触角測定器によりぬれ角を測定したところ、シロキサン
樹脂が20重量%で50゜と下記の比較例に対して若干
の撥水作用が観察された。
【0070】それに対し、試料にアナターゼ粒子からな
る光触媒と銅(および酸化第一銅)のみを担持させた場
合(図中シロキサン樹脂0重量%;平均粒径0.01μ
mの酸化チタンゾルの硝酸分散液を基材に塗布後、30
0℃で焼成し、その後酢酸銅水溶液を塗布し、大気中で
光還元(光源は20ワットBLBランプ、光源から試料
までの距離10cm、照射時間15分))には汚れがア
ナターゼ粒子間に入りこむため防汚性が悪く、また基材
に対するアナターゼ粒子の密着性が悪いため耐摩耗性が
悪い。さらに接触角測定器によりぬれ角を測定したとこ
ろ、12°であり、ほとんど撥水性は認められなかっ
た。
【0071】また試料にシロキサン樹脂と銅のみを担持
させた場合(図中シロキサン樹脂100重量%;予めプ
ロパノールで希釈した撥水性のあるシロキサン・クリア
コート樹脂に硬化剤を添加した液状物を10cm角のア
ルミニウム基板に約10μm塗布後150℃にて乾燥
し、次にこの基材に酢酸銅水溶液を塗布し、この後光照
射(光源は20ワットBLBランプ、光源から試料まで
の距離10cm、照射時間15分))にも光活性がな
く、一度吸着した気体を分解できないため防臭特性R3
0′は10%と悪く、また防汚性も悪い。
【0072】(実施例6)まず予めプロパノールで希釈
した撥水性のあるシロキサン・クリアコート樹脂に硬化
剤を添加した液状物を10cm角のアルミニウム基板に
約10μm塗布後150℃にて乾燥した。次に平均粒径
0.01μmの酸化チタンゾルの硝酸分散液と撥水性の
あるシロキサン・クリアコート樹脂を所定の重量比で混
合し、プロパノールで希釈した後、硬化剤を添加した液
状物を塗布した。塗布後150℃で焼成して固化させ冷
却した。さらにこの基材に酢酸銅水溶液を塗布し、この
後大気中で光還元(光源は20ワットBLBランプ、光
源から試料までの距離10cm、照射時間15分)して
脱色された試料を得た。このようにして得られた混合層
の膜厚は0.3μmであり、中間のシロキサン樹脂層の
膜厚は0.5μmであった。また酸化チタンの結晶型は
アナターゼであった。
【0073】結果を図4〜7の白抜き点で示す。中間に
シロキサン樹脂層を介したことにより、耐摩耗性は、混
合層中のシロキサン樹脂量が5重量%でも○となった。
また防臭特性もシロキサン樹脂量50重量%でもR3
0′で90%以上となり良好な結果を示した。したがっ
て中間にシロキサン樹脂層を介すると、混合層中のシロ
キサン樹脂量に対して逆の傾向を示す上記2特性の調和
を容易にとれるようになる。また防汚特性に関しても特
に有機成分を主とするぬめりについては中間にシロキサ
ン樹脂層を介する構造をとることにより改善され、シロ
キサン樹脂量5〜50重量%で◎と良好な結果を示し
た。
【0074】(実施例7)15cm角の衛生陶器成形素
地に釉薬を塗布後、1100〜1200℃で焼成した。
さらにその上に平均粒径0.01μmのアナターゼ型酸
化チタンゾルを塗布し、900〜1000℃で焼成し、
衛生陶器素地基材上にルチル型酸化チタン薄膜を固定し
た。この後、その上に硝酸銀水溶液を塗布し、紫外線を
照射して酸化チタン薄膜に銀を析出せしめた。さらに試
料をオゾナイザー付きのデシケーター中(オゾン濃度数
10ppm)に約2時間放置すると脱色された。また抗
菌性は、光照射時、暗時ともに試料に3時間接触させる
ことで、もとの菌数の10%未満しか生菌していないこ
とが確認され、良好な結果を示した。
【0075】(実施例8)15cm角の衛生陶器成形素
地に釉薬を塗布後、1000〜1200℃で焼成した。
さらにその上に、硝酸水溶液中に分散した平均粒径0.
01μmのアナターゼ型酸化チタンゾルと硝酸銀水溶液
との金剛液を塗布した後焼成し衛生陶器素地基材上に酸
化チタン薄膜を固定した。このとき700℃未満の焼成
では茶色に呈色するが、700℃以上で焼成すると脱色
された。銀表面が大気中成分と反応したためと解され
る。また850℃で焼成して衛生陶器素地基材上にアナ
ターゼ型酸化チタン薄膜を固定した試料について抗菌性
を測定すると、光照射時、暗時ともに試料に3時間接触
させることで、もとの菌数の10%未満しか生菌してい
ないことが確認され、良好な結果を示した。
【0076】(実施例9)15cm角の衛生陶器成形素
地に釉薬を塗布後、1100〜1200℃で焼成した。
さらにその上に平均粒径0.01μmのアナターゼ型酸
化チタンゾルを塗布し、900〜1000℃で焼成し、
衛生陶器素地基材上にルチル型酸化チタン薄膜を固定し
た。この後、その上に硝酸銀水溶液を塗布し、紫外線を
照射して酸化チタン薄膜に銀を析出せしめた。さらにそ
の上に過酸化水素水を塗布すると脱色された。また抗菌
性は、光照射時、暗時ともに試料に3時間接触させるこ
とで、もとの菌数の10%未満しか生菌していないこと
が確認され、良好な結果を示した。
【0077】
【発明の効果】光触媒活性を有する粒子に有色の金属微
粒子を固定化することにより、光触媒活性を高く維持、
向上できるとともに、前記有色の金属微粒子を溶液また
は気体と反応させて少なくとも金属微粒子表面に無色化
または白色化した塩を形成することにより膜を脱色する
ことができ、下地に形成したデザインを活かすことが可
能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例と比較例との色差△Eを示すグ
ラフ
【図2】本発明の実施例と比較例との光活性△pHを示
すグラフ
【図3】本発明の実施例と比較例との抗菌性を示すグラ
【図4】本発明の実施例を示す図で、シロキサン樹脂の
添加量と耐摩耗性との関係を示すグラフ
【図5】本発明の実施例を示す図で、シロキサン樹脂の
添加量と防臭性との関係を示すグラフ
【図6】本発明の実施例を示す図で、シロキサン樹脂の
添加量と無機汚れの関係を示すグラフ
【図7】本発明の実施例を示す図で、シロキサン樹脂の
添加量とぬめりとの関係を示すグラフ
フロントページの続き (72)発明者 千国 真 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 早川 信 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 渡部 俊也 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材上に光触媒活性を有する粒子と有色
    の金属微粒子を固定する工程、前記金属微粒子と溶液ま
    たは気体を反応させて少なくとも金属微粒子表面に無色
    化または白色化した塩を形成する工程からなることを特
    徴とする金属微粒子を含む触媒を有する部材の作製方
    法。
  2. 【請求項2】 基材上に光触媒活性を有する粒子と有色
    の金属微粒子を固定する工程、前記金属微粒子と溶液ま
    たは気体を反応させて少なくとも金属微粒子表面に無色
    化または白色化した塩を形成する工程をこの順に行うこ
    とを特徴とする金属微粒子を含む触媒を有する部材の作
    製方法。
  3. 【請求項3】 溶液または気体を反応させて少なくとも
    金属微粒子表面に無色化または白色化した塩を形成する
    工程、基材上に光触媒活性を有する粒子と無色化又は白
    色化した塩を表面に形成した金属微粒子を固定する工程
    をこの順に行うことを特徴とする金属微粒子を含む触媒
    を有する部材の作製方法。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3項に記載の金属微粒子を
    含む触媒を有する部材の作製方法において、前記金属微
    粒子と反応させる溶液は、有色の金属微粒子の少なくと
    も表面に無色化又は白色化した不溶性または難溶性の塩
    を形成する物質を含む溶液であることを特徴とする金属
    微粒子を含む触媒を有する部材の作製方法。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至3項に記載の金属微粒子を
    含む触媒を有する部材の作製方法において、前記金属微
    粒子と反応させる溶液は、塩化第二鉄水溶液等のハロゲ
    ン化塩溶液または過酸化水素水、オゾン水等の酸化剤を
    含む溶液のうちから選ばれる物質の少なくとも1種から
    なることを特徴とする金属微粒子を含む触媒を有する部
    材の作製方法。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至3項に記載の金属微粒子を
    含む触媒を有する部材の作製方法において、前記金属微
    粒子と反応させる気体は、酸素、水蒸気、オゾン等の酸
    化剤からなることを特徴とする金属微粒子を含む触媒を
    有する部材の作製方法。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の金属微粒子を含む触媒
    を有する部材の作成方法において、気体と反応させて生
    成する少なくとも金属微粒子表面に無色化または白色化
    した塩は、不溶性又は難溶性であることを特徴とする金
    属微粒子を含む触媒を有する部材の作製方法。
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