JPH07227245A - 発酵食品の製造方法 - Google Patents

発酵食品の製造方法

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JPH07227245A
JPH07227245A JP6045141A JP4514194A JPH07227245A JP H07227245 A JPH07227245 A JP H07227245A JP 6045141 A JP6045141 A JP 6045141A JP 4514194 A JP4514194 A JP 4514194A JP H07227245 A JPH07227245 A JP H07227245A
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acid
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 γ−アミノ酪酸を多量に含有し、食品として
の安全性の面でも問題の無い発酵食品を製造する方法を
提供する。 【構成】 魚介類を原料としそれを製麹して作られる魚
麹を食塩水と混合して仕込み、得られた魚醤油諸味に、
γ−アミノ酪酸を生成する能力を持つ乳酸菌を含有する
醸造諸味を添加し、魚醤油諸味を発酵させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、γ(ガンマ)−アミ
ノ酪酸を含有する発酵食品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】γ−アミノ酪酸(GABA)は、自然界
に広く分布しているアミノ酸であり、食品の成分として
も、茶、野菜類などに通常含まれており、生体内におい
てもグルタミン酸からの脱炭酸により生成され、組織内
に存在する。このγ−アミノ酪酸は、他の多くのアミノ
酸とは異なり、非タンパク質構成アミノ酸であるが、生
理的には重要な働きを持っている。すなわち、γ−アミ
ノ酪酸は、食品として体内に摂取された場合、エネルギ
ー源として消費されるだけでなく、塩分の過剰摂取に対
して尿へのナトリウムイオンの排出を促進し、また血圧
降下作用を示すなどの重要な調節作用に寄与しているこ
とが知られている。
【0003】γ−アミノ酪酸を含有した食品としては、
γ−アミノ酪酸を強化した茶葉がギャバロン茶として開
発され、ラットを用いた実験により、ギャバロン茶が血
圧降下作用や尿へのナトリウムイオンの排出促進作用を
有していることが確認されている。また、昔から血圧降
下作用が顕著であるとして薬膳料理などに用いられてき
た紅麹の主要な有効物質はγ−アミノ酪酸であること
が、最近明らかにされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、γ−ア
ミノ酪酸が含まれている食品は、少数の野菜など種類が
限定されており、また、γ−アミノ酪酸を含んでいる食
品でも、その含有量は少なく、γ−アミノ酪酸は、有効
な成分であるにもかかわらず、食品として摂取される機
会が少ない。
【0005】そこで、人為的にγ−アミノ酪酸の摂取量
を多くする方法として、大腸菌等の微生物によりγ−ア
ミノ酪酸を生産し、それを食品に添加することも考えら
れる。しかしながら、大腸菌により生産されたγ−アミ
ノ酪酸は、食品に用いるには安全性の面で問題がある。
このように、微生物により生産されたものは、食品とし
て用いる場合、γ−アミノ酪酸を生産する菌の種類が問
題になるとともに、それを安全かつ大量に生産すること
ができる菌は、まだ見付かっていない。
【0006】この発明は、以上のような事情に鑑みてな
されたものであり、γ−アミノ酪酸の優れた性質に着目
し、γ−アミノ酪酸を多量に含有した食品を製造する方
法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明では、食品とし
ての安全性の点から、従来から食品の製造に用いられて
いる微生物によるγ−アミノ酪酸の生成能力を利用する
こととし、通常の発酵(醸造)食品の製造工程において
γ−アミノ酪酸を生成する能力を持つ微生物を検索し
た。その結果、ラクトバティルス(Lactobaci
llus)属の乳酸菌が、魚醤油やヨーグルトなどの発
酵工程中において、グルタミン酸が多量に存在すると、
グルタミン酸を脱炭酸してγ−アミノ酪酸を生産するこ
とを見い出し、この発明に至った。
【0008】すなわち、請求項1又は請求項2に記載の
発明は、魚介類を原料としそれを製麹して作られる魚麹
を食塩水と混合して仕込み、得られた魚醤油諸味もしく
はその圧搾液又はその圧搾液を火入れして得られる魚醤
油に、又は、その魚醤油諸味もしくはその圧搾液又は魚
醤油にグルタミン酸又はその塩類と食塩水とを混合して
その混合液に、γ−アミノ酪酸を生成する能力を持つ乳
酸菌又はそれを含有する醸造諸味を添加し、前記魚醤油
諸味、その圧搾液もしくは魚醤油又は前記混合液を発酵
させて発酵食品を得ることを特徴とする。
【0009】請求項3に記載の発明は、グルタミン酸又
はその塩類を含有した食塩水に、γ−アミノ酪酸を生成
する能力を持つ乳酸菌を含有する魚醤油諸味もしくはそ
の圧搾液又は魚醤油諸味の圧搾液を火入れして得られる
魚醤油とγ−アミノ酪酸を生成する能力を持つ乳酸菌も
しくはそれを含有する醸造諸味とを添加し、それを発酵
させて発酵食品を得ることを特徴とする。
【0010】請求項4に記載の発明は、牛乳にγ−アミ
ノ酪酸を生成する能力を持つ乳酸菌を接種し培養して牛
乳を乳酸発酵させ、得られた乳酸菌飲料又は食物、すな
わちヨーグルトやチーズなどにグルタミン酸又はその塩
類を添加し、それをさらに発酵させて発酵食品を得るこ
とを特徴とする。また、請求項5に記載の発明は、原料
となる牛乳に最初からグルタミン酸又はその塩類を添加
しておき、その牛乳にγ−アミノ酪酸を生成する能力を
持つ乳酸菌を接種し培養して牛乳を乳酸発酵させ、ヨー
グルトやチーズなどの発酵食品を得ることを特徴とす
る。
【0011】さらに、請求項6に記載の発明は、乳酸菌
が繁殖する液体培地となる栄養液にグルタミン酸又はそ
の塩類を含有させておき、その栄養液にγ−アミノ酪酸
を生成する能力を持つ乳酸菌を接種し培養して発酵食品
を得ることを特徴とする。また、請求項7に記載の発明
は、栄養液にγ−アミノ酪酸を生成する能力を持つ乳酸
菌を接種して培養し、その栄養液にグルタミン酸又はそ
の塩類を添加し、それを発酵させて発酵食品を得ること
を特徴とする。
【0012】また、上記した各製造方法によってそれぞ
れ得られた発酵食品を脱塩、脱色及び脱臭して液体状の
発酵食品を得るようにし、またそれを乾燥させて粉末状
の発酵食品を得るようにすることができる。
【0013】
【作用】請求項1に記載の発明に係る製造方法では、魚
醤油諸味もしくはその圧搾液又は魚醤油中に含有されて
いるグルタミン酸が、添加された乳酸菌又は添加された
魚醤油諸味等の醸造諸味中の乳酸菌により、その発酵作
用を受けて脱炭酸され、γ−アミノ酪酸が生産される。
また、請求項2に記載の発明に係る製造方法によれば、
魚醤油諸味もしくはその圧搾液又は魚醤油中に含有され
ているグルタミン酸及び別途混合されたグルタミン酸又
はその塩類から、上記と同様に乳酸菌による発酵作用に
より、γ−アミノ酪酸が生産される。尚、その他の醸造
食品である酒、大豆から作られる醤油、酢及び納豆につ
いては、同様の方法では、γ−アミノ酪酸が生産されな
い。
【0014】請求項3に記載の発明に係る製造方法で
は、食塩水中に含有されているグルタミン酸又はその塩
類が、添加された魚醤油諸味もしくは圧搾液中の乳酸菌
又は魚醤油と共に添加された乳酸菌もしくは醸造諸味中
の乳酸菌による発酵作用により、γ−アミノ酪酸に変換
される。
【0015】請求項4に記載の発明に係る製造方法で
は、牛乳を乳酸発酵させて得られたヨーグルト、チーズ
等の乳酸菌飲料又は食物に添加されたグルタミン酸又は
その塩類が、ヨーグルト等に含有される乳酸菌による発
酵作用を受けて脱炭酸され、γ−アミノ酪酸が生産され
る。また、請求項5に記載の製造方法によれば、牛乳に
添加されたグルタミン酸又はその塩類から、牛乳を乳酸
発酵させる過程で増殖した乳酸菌による発酵作用によ
り、γ−アミノ酪酸が生産される。尚、グルタミン酸を
添加しないヨーグルト、チーズ、牛乳等については、同
様の方法ではγ−アミノ酪酸が微量しか生産されない。
【0016】さらに、請求項6に記載の発明に係る製造
方法では、栄養液に含有されたグルタミン酸又はその塩
類が、栄養液に接種された乳酸菌が増殖する過程で、そ
の増殖した乳酸菌による発酵作用を受けて脱炭酸され、
γ−アミノ酪酸が生産される。また、請求項7に記載の
発明に係る製造方法によれば、栄養液に接種されて培養
された乳酸菌により、その栄養液に添加されたグルタミ
ン酸又はその塩類が脱炭酸されて、γ−アミノ酪酸が生
産される。
【0017】また、請求項8に記載の発明に係る方法に
よれば、上記したようにしてそれぞれ得られた発酵食品
から、他の食品に添加されてγ−アミノ酪酸を多量に含
有した食品を調製するのに適した液体状又は粉末状食品
が得られる。
【0018】
【実施例】以下、この発明の好適な実施例について実験
例を示しながら説明する。
【0019】まず、魚介類を原料としそれを製麹して作
られる魚麹を食塩水及び種諸味と混合して仕込んで得ら
れる魚醤油諸味、もしくはその魚醤油諸味を圧搾した
液、又は魚醤油諸味を圧搾して生揚魚醤油と醤油粕とを
得て、生揚魚醤油を火入れすることにより得られる魚醤
油から、γ−アミノ酪酸を多量に含有する魚醤油を得る
方法について説明する。
【0020】通常、魚醤油諸味は、γ−アミノ酪酸を生
成する能力(γ−アミノ酪酸を0.03%程度含有)を
持っている。この能力を強化する方法について、最初に
述べる。
【0021】〔魚醤油諸味中のγ−アミノ酪酸の増産方
法〕新しい魚醤油諸味に、γ−アミノ酪酸を生成する能
力のある魚醤油諸味(γ−アミノ酪酸を0.03%程度
含有)を1/20量接種したものを入れた試験管を10
本用意し、それぞれ30℃で3ヵ月間培養を行なった。
次に、それらのうちで最もγ−アミノ酪酸の含有量が多
いものを選択し、その1/20量の魚醤油諸味を新しい
魚醤油諸味に接種した。以上の操作を合計5回繰り返し
た。この結果、図1に示すように、γ−アミノ酪酸の生
産量は、植え継ぎ回数が2回から3回、4回へとなるに
従って飛躍的に増加した。尚、この実験で使用した魚醤
油諸味は、魚粉2kgに割砕小麦2kgと水3 lを加えて
混合し、その混合物に種麹8gを接種し、30〜40℃
で48時間培養して製麹し、得られた魚麹に18%食塩
水6 lと種諸味とを加え、それを仕込んで発酵熟成さ
せることにより製造した。魚醤油諸味の製法としては、
これ以外の方法、例えば特公平4−49989号公報に
記載されている方法であってもよい。また、この実験に
おいては、グルタミン酸をγ−アミノ酪酸に変換する微
生物として、醸造食品に通常見られるラクトバティルス
・プランタラム(Lactbacillus plan
tarum)に類似の耐塩性乳酸菌が分離された。
【0022】〔魚醤油諸味でのγ−アミノ酪酸の生産方
法〕上記したように調製した魚麹を、食塩濃度が10〜
21%、好ましくは、諸味の腐敗の可能性が無くかつグ
ルタミン酸からγ−アミノ酪酸への転換効率の良い食塩
濃度である15〜18%になるように食塩水で仕込み、
γ−アミノ酪酸の生産能のある種諸味を1/20量接種
し、30℃で培養した。この結果、図2に折線Iで示す
ように、新しい魚醤油諸味では、魚粉や小麦の分解によ
って生じたグルタミン酸がγ−アミノ酪酸に転換するこ
とにより、発酵開始1〜2ヵ月後からグルタミン酸の急
激な減少が見られた。尚、図2に折線IIで示したもの
は、γ−アミノ酪酸生産能のある種諸味を接種せずに普
通に発酵させた魚醤油諸味におけるグルタミン酸濃度の
経時変化を示している。また、図3は、γ−アミノ酪酸
生産能のある種諸味を接種した魚醤油諸味の搾り汁を液
体クロマトグラフ分析した結果を示し、(A)が発酵開
始1ヵ月後のもののクロマトグラム、(B)が発酵開始
2ヵ月後のもののクロマトグラムである。図3からも、
魚醤油諸味の発酵過程において、グルタミン酸が減少
し、γ−アミノ酪酸が生産されて増加していることが分
かる。
【0023】図4は、普通の醤油諸味にγ−アミノ酪酸
の生産能のある種諸味を1/20量接種して30℃で培
養したときのグルタミン酸濃度及びγ−アミノ酪酸濃度
の経時変化を示す折線図である。図4に示した結果よ
り、醤油諸味中ではγ−アミノ酪酸の多量生産ができな
いことが分かった。
【0024】尚、上記した実験例では、魚醤油諸味にγ
−アミノ酪酸生産能のある種諸味を接種して培養するよ
うにしているが、魚醤油諸味に代えて、それを圧搾した
圧搾液、或いはその圧搾液を火入れして得られる魚醤油
を使用するようにしてもよいし、また、種諸味を接種す
る代わりに、γ−アミノ酪酸生産能のある乳酸菌を魚醤
油諸味等へ添加するようにしてもよい。さらに、魚醤油
諸味、その圧搾液又は魚醤油にグルタミン酸又はその塩
類と食塩水とを混合し、その混合液を発酵させる過程で
増殖する乳酸菌により、魚醤油諸味等に元々含有されて
いるグルタミン酸の他別途混合されたグルタミン酸又は
その塩類をγ−アミノ酪酸に変換するようにして、より
多くの量のγ−アミノ酪酸を含有する魚醤油を製造する
ことができる。
【0025】次に、グルタミン酸を含有した食塩水を原
料液とし、魚醤油諸味もくはその圧搾液又はその圧搾液
を火入れして得られる魚醤油を用いてγ−アミノ酪酸を
生産する方法について説明する。
【0026】〔グルタミン酸を含有した食塩水でのγ−
アミノ酪酸の生産方法〕グルタミン酸ナトリウムを2%
含有した15%食塩水にγ−アミノ酪酸の生産能のある
魚醤油諸味を1/20量接種して30℃で培養したとき
の結果を図5に示す。図5より、食塩水中のグルタミン
酸がγ−アミノ酪酸に変換されて、γ−アミノ酪酸を多
量に含有する培養液が得られることが分かる。また、グ
ルタミン酸ナトリウムを2%含有した15%食塩水にγ
−アミノ酪酸の生産能のある魚醤油諸味を1/200量
接種して30℃で培養したときの結果を図6に示す。こ
の結果より、食塩水中のグルタミン酸をγ−アミノ酪酸
に変換するには、一定量以上の魚醤油諸味が必要である
ことが分かる。そこで、魚醤油諸味の必要添加量を検討
するために、グルタミン酸ナトリウムを2%含有した1
5%食塩水にγ−アミノ酪酸の生産能のある魚醤油諸味
を、その添加比率を1/10、1/20、1/50、1
/100及び1/200と変えて添加し、それぞれ30
℃で2ヵ月間培養する実験を行なった。その結果を図7
に示す。図7より、上記した培養条件では魚醤油諸味の
添加量を1/50量以上とする必要があることが分か
る。尚、グルタミン酸ナトリウムを2%含有した15%
食塩水に、魚醤油諸味を火入れ滅菌したものを、その添
加比率を1/10、1/20、1/50、1/100及
び1/200と変えて添加し、それぞれ30℃で2ヵ月
間培養してみたが、何れの場合にも、γ−アミノ酪酸を
生成しなかった。一方、同様の条件で、魚醤油諸味を火
入れ滅菌したものを添加し、さらにγ−アミノ酪酸の生
産能のある魚醤油諸味を1/1,000量添加した場合
には、図7に示した結果と同様の結果が得られた。この
ことより、食塩水中のグルタミン酸をγ−アミノ酪酸に
変換するには、生きた乳酸菌を含有した魚醤油諸味が必
要であり、魚醤油諸味の量は、微量であってもよいこと
が分かる。
【0027】次に、牛乳を乳酸発酵させてヨーグルトや
チーズなどの乳酸菌飲料又は食物を得ようとするときに
使用される乳酸菌により、牛乳や乳酸菌が繁殖する栄養
液(液体培地)を原料液として、グルタミン酸又はその
塩類からγ−アミノ酪酸を生産する方法について説明す
る。
【0028】〔ヨーグルト中でのγ−アミノ酪酸の生産
方法〕ヨーグルト中には、本来γ−アミノ酪酸は微量
(0.005%)しか含まれていないが、このヨーグル
トにグルタミン酸ナトリウムを1%添加して30℃で培
養した。その結果、図8に示すように、ヨーグルト中の
乳酸菌の発酵作用により、添加されたグルタミン酸がγ
−アミノ酪酸に変換し、発酵開始3日目で0.27%、
13日目で0.41%のγ−アミノ酪酸を生産すること
ができた。この場合、ヨーグルト中の乳酸菌は、γ−ア
ミノ酪酸を生成する能力を持つことが必要であることは
勿論である。
【0029】〔液体培地でのγ−アミノ酪酸の生産方
法〕乳酸菌が繁殖する液体培地、例えば麦芽エキス、酵
母エキス、ポリペプトン、微量塩類などを含有した液体
培地にグルタミン酸ナトリウムを添加したものに、ヨー
グルト中の乳酸菌又は純粋分離された乳酸菌、例えばラ
クトバチルス・ブルガリカス(Lactobacill
us bulgaricus)を接種し、30℃で2週
間培養することにより、多量のγ−アミノ酪酸を生産す
ることができた。
【0030】以上のようなヨーグルト用乳酸菌によるγ
−アミノ酪酸の生産方法は、前述した魚醤油を利用する
方法に比べて、短時間でγ−アミノ酪酸を生産すること
ができること、得られた培養液に食塩を含まないため、
その精製操作が簡易であること、等の利点を有してい
る。
【0031】尚、上記した実験例では、ヨーグルト中に
グルタミン酸を添加して培養し、γ−アミノ酪酸を多量
に含有したヨーグルトを得るようにしているが、牛乳に
グルタミン酸を添加し、その牛乳に乳酸菌を接種して培
養することにより、γ−アミノ酪酸を多量に含有したヨ
ーグルトを製造するようにしてもよい。また、上記実験
例では、グルタミン酸を含有した液体培地に乳酸菌を接
種して培養し、γ−アミノ酪酸を多量に含有した培養液
を得るようにしているが、液体培地に乳酸菌を接種して
培養している途中でグルタミン酸を添加するようにして
もよい。
【0032】グルタミン酸をγ−アミノ酪酸に変換する
能力を持つ乳酸菌としては、上記したラクトバティルス
・プランタラム(Lactbacillus plan
tarum)やラクトバティルス・ブルガリカス(La
ctbacillus bulgaricus)以外に
も、ラクトバティルス・デルブリッキ(Lactbac
illus delbrueckii)、ラクトバティ
ルス・レイヒマニー(Lactbacillus le
ichmannii)、ラクトバティルス・ラクティス
(Lactbacillus lactis)、ラクト
バティルス・ヘルベティカス(Lactbacillu
s helveticus)、ラクトバティルス・アシ
ドフィラス(Lactbacillus acidop
hilus)、ラクトバティルス・カゼイ(Lactb
acillus casei)、ラクトバティルス・フ
ァーメンタム(Lactbacillus ferme
ntum)、ラクトバティルス・ブレビス(Lactb
acillus brevis)などのラクトバティル
ス(Lactobacillus)属の乳酸菌を用いる
ことができる。
【0033】また、上記のようにして得られた魚醤油、
培養液、ヨーグルト等を脱塩、脱色及び脱臭して、精製
された液体状食品とし、或いは、それを乾燥させて粉末
状食品とすることができる。このようにすれば、他の食
品、例えば茶葉に添加することにより、γ−アミノ酪酸
を多量に含有した食品を得ることができる。
【0034】次に、各種発酵食品の具体的製法例につい
て説明する。
【0035】〔γ−アミノ酪酸を含有した魚醤油の製法
例〕蒸煮した魚粉2kgと割砕小麦2kgとを混合し、この
混合物に水を加えて水分量30〜35%に調整し、その
混合物に1/500量の醤油用種麹を接種し、30〜4
0℃で48時間培養して製麹した。その出麹に18%食
塩水6 lを加え、さらにγ−アミノ酪酸の生産能のあ
る種諸味を1/20量接種し、これを30℃で3ヵ月間
発酵させた。これにより、γ−アミノ酪酸を0.75
%、グルタミン酸を0.04%それぞれ含有し、食塩濃
度15.1%の魚醤油が得られた。
【0036】〔γ−アミノ酪酸を含有した培養液の製法
例〕グルタミン酸ナトリウムを2%含有した13%食塩
水1 lにγ−アミノ酪酸の生産能のある種諸味(魚醤
油諸味)を100ml接種し、25℃で静置培養した。
約70日間の培養で、γ−アミノ酪酸を1.30%、グ
ルタミン酸を0.14%それぞれ含有した培養液が得ら
れた。
【0037】〔γ−アミノ酪酸を含有したヨーグルトの
製法例〕牛乳1 lにスターターとしてラクトバティル
ス・ブルガリカス(Lactbacillus bul
garicus)を接種し、30℃で24時間培養して
ヨーグルトを作った。このヨーグルトにグルタミン酸ナ
トリウムを10g添加し、30℃で72時間培養した。
これにより、γ−アミノ酪酸を0.27%含有したヨー
グルトが得られた。
【0038】〔γ−アミノ酪酸を含有した魚醤油の精製
例〕上記製法例によって得られたγ−アミノ酪酸含有魚
醤油1 lに、脱色及び脱臭のため粉末活性炭を10g
添加し、これを30℃で30分間振盪させ、次いで遠心
分離した後濾過した。さらに、脱塩装置(電気透析方
式)を使用して濾過液を脱塩処理した。この精製前後に
おける各液に含まれたγ−アミノ酪酸及び総アミノ酸の
分析値は、表1の通りであった。
【0039】
【表1】
【0040】表1から分かるように、γ−アミノ酪酸及
び総アミノ酸共に、精製操作に伴う損失は無く、精製に
より各成分が約2倍程度に濃縮された液体が得られた。
【0041】〔γ−アミノ酪酸を強化した茶葉の製法
例〕通常の製茶工程(蒸熱→冷却→粗揉→揉捻→中揉→
精揉→乾燥)において、揉捻工程でγ−アミノ酪酸含有
魚醤油の精製液を生葉2kg当り100ml添加し、γ−
アミノ酪酸を強化した茶葉(GABA強化茶)を製造し
た。
【0042】得られたGABA強化茶と市販のギャバロ
ン茶とについて、それぞれの試料茶1.5gを80℃、
100mlの湯で90秒間抽出し、その各抽出液中のグ
ルタミン酸及びγ−アミノ酪酸の各濃度を測定した。そ
の分析結果を表2に示す。
【0043】
【表2】
【0044】また、得られたGABA強化茶と市販のギ
ャバロン茶とについて、それぞれ官能試験を行なった結
果を表3に示す。
【0045】
【表3】
【0046】表3からも分かるように、市販のギャバロ
ン茶は、いわゆるギャバ臭が強く嗜好性が劣っている。
これに対し、GABA強化茶は、表2に示したように市
販ギャバロン茶に比べて約4倍量のγ−アミノ酪酸を含
有するように調製しても、表3から分かるように、まっ
たく普通の煎茶と変わりが無く、嗜好性を落とすこと無
く喫飲することができる。このように、この発明によ
り、嗜好性の劣ったギャバロン茶に代わるような、γ−
アミノ酪酸を強化した嗜好性の良い茶を製造することが
できた。
【0047】
【発明の効果】この発明は以上説明したように構成され
かつ作用するので、この発明に係る製造方法によれば、
天然には存在しないような多量の、血圧降下作用や塩分
の過剰摂取に対する尿へのナトリウムイオンの排出促進
作用などを有するγ−アミノ酪酸を含有し、食品として
の安全性の面でも何ら問題が無い発酵食品を得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】新しい魚醤油諸味にγ−アミノ酪酸生産能のあ
る魚醤油諸味を接種し培養したときの実験結果を示し、
植え継ぎ回数とγ−アミノ酪酸の生産量との関係を示す
折線図である。
【図2】魚麹を食塩水で仕込みγ−アミノ酪酸生産能の
ある種諸味を接種し培養したときの魚醤油諸味における
グルタミン酸濃度の経時変化(折線I)と、γ−アミノ
酪酸生産能のある種諸味を接種せずに普通に発酵させた
魚醤油諸味におけるグルタミン酸濃度の経時変化(折線
II)とを示す折線図である。
【図3】γ−アミノ酪酸生産能のある種諸味を接種した
魚醤油諸味の搾り汁を液体クロマトグラフ分析した結果
を示し、(A)が発酵開始1ヵ月後のもののクロマトグ
ラム、(B)が発酵開始2ヵ月後のもののクロマトグラ
ムである。
【図4】普通の醤油諸味にγ−アミノ酪酸生産能のある
種諸味を接種し培養したときのグルタミン酸濃度及びγ
−アミノ酪酸濃度の経時変化を示す折線図である。
【図5】グルタミン酸を含有した食塩水にγ−アミノ酪
酸生産能のある接種し培養したときのグルタミン酸濃度
及びγ−アミノ酪酸濃度の経時変化を示す折線図であ
る。
【図6】グルタミン酸を含有した食塩水にγ−アミノ酪
酸生産能のある魚醤油諸味を1/200量接種し培養し
たときのグルタミン酸濃度及びγ−アミノ酪酸濃度の経
時変化を示す折線図である。
【図7】グルタミン酸を含有した食塩水にγ−アミノ酪
酸生産能のある魚醤油諸味を、その添加比率を変えて添
加し、それぞれ培養したときの結果を示し、魚醤油諸味
の添加比率とγ−アミノ酪酸濃度との関係を示す折線図
である。
【図8】ヨーグルトにグルタミン酸ナトリウムを添加し
培養したときのグルタミン酸濃度及びγ−アミノ酪酸濃
度の経時変化を示す折線図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 谷口 良三 京都府相楽郡木津町相楽台3丁目1−7 株式会社福寿園CHA研究センター内 (72)発明者 山口 淳 京都府相楽郡木津町相楽台3丁目1−7 株式会社福寿園CHA研究センター内 (72)発明者 竹内 美由紀 京都府相楽郡木津町相楽台3丁目1−7 株式会社福寿園CHA研究センター内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 魚介類を原料としそれを製麹して作られ
    る魚麹を食塩水と混合して仕込み、得られた魚醤油諸味
    もしくはその圧搾液又はその圧搾液を火入れして得られ
    る魚醤油に、γ−アミノ酪酸を生成する能力を持つ乳酸
    菌又はそれを含有する醸造諸味を添加し、前記魚醤油諸
    味もしくはその圧搾液又は魚醤油を発酵させて発酵食品
    を得ることを特徴とする発酵食品の製造方法。
  2. 【請求項2】 魚介類を原料としそれを製麹して作られ
    る魚麹を食塩水と混合して仕込み、得られた魚醤油諸味
    もしくはその圧搾液又はその圧搾液を火入れして得られ
    る魚醤油にグルタミン酸又はその塩類と食塩水とを混合
    し、その混合液に、γ−アミノ酪酸を生成する能力を持
    つ乳酸菌又はそれを含有する醸造諸味を添加し、前記混
    合液を発酵させて発酵食品を得ることを特徴とする発酵
    食品の製造方法。
  3. 【請求項3】 グルタミン酸又はその塩類を含有した食
    塩水に、γ−アミノ酪酸を生成する能力を持つ乳酸菌を
    含有する魚醤油諸味もしくはその圧搾液又は魚醤油諸味
    の圧搾液を火入れして得られる魚醤油とγ−アミノ酪酸
    を生成する能力を持つ乳酸菌もしくはそれを含有する醸
    造諸味とを添加し、それを発酵させて発酵食品を得るこ
    とを特徴とする発酵食品の製造方法。
  4. 【請求項4】 牛乳にγ−アミノ酪酸を生成する能力を
    持つ乳酸菌を接種し培養して牛乳を乳酸発酵させ、得ら
    れた乳酸菌飲料又は食物にグルタミン酸又はその塩類を
    添加し、それをさらに発酵させて発酵食品を得ることを
    特徴とする発酵食品の製造方法。
  5. 【請求項5】 牛乳にグルタミン酸又はその塩類を添加
    し、その牛乳にγ−アミノ酪酸を生成する能力を持つ乳
    酸菌を接種し培養して、牛乳を乳酸発酵させて発酵食品
    を得ることを特徴とする発酵食品の製造方法。
  6. 【請求項6】 グルタミン酸又はその塩類を含有する栄
    養液にγ−アミノ酪酸を生成する能力を持つ乳酸菌を接
    種し培養して発酵食品を得ることを特徴とする発酵食品
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 栄養液にγ−アミノ酪酸を生成する能力
    を持つ乳酸菌を接種して培養し、その栄養液にグルタミ
    ン酸又はその塩類を添加し、それを発酵させて発酵食品
    を得ることを特徴とする発酵食品の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし請求項7のいずれかに記
    載の発酵食品を脱塩、脱色及び脱臭して、液体状食品又
    はこれを乾燥させた粉末状食品を得るようにする発酵食
    品の製造方法。
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