JPH07242746A - 高分子量ポリアリーレンスルフィドの製造方法 - Google Patents

高分子量ポリアリーレンスルフィドの製造方法

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JPH07242746A
JPH07242746A JP6059782A JP5978294A JPH07242746A JP H07242746 A JPH07242746 A JP H07242746A JP 6059782 A JP6059782 A JP 6059782A JP 5978294 A JP5978294 A JP 5978294A JP H07242746 A JPH07242746 A JP H07242746A
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井上  敏
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治 小味山
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  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)
  • Other Resins Obtained By Reactions Not Involving Carbon-To-Carbon Unsaturated Bonds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 簡易かつ低コストで均一な熱処理を可能にす
る方法を提供する。 【構成】 粉末状のポリアリーレンスルフィドを気相酸
化性雰囲気下でその融点未満の温度に加熱して高分子量
ポリアリーレンスルフィドを製造する方法において、ス
クリュー混合型加熱装置、円錐形スクリュー混合型加熱
装置又は高速回転羽根混合型加熱装置の容器部に粉末状
のポリアリーレンスルフィドを入れ、容器の下部から酸
素を含む気体を導入し、容器の上部から該気体を排出し
つつ加熱処理すること、及び該気体の吸排気量を上記加
熱装置の容器内容積の5〜50%/分とすることを特徴
とするポリアリーレンスルフィドの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高分子量ポリアリーレ
ンスルフィドの製造方法に関し、更に詳しくは粉末状の
ポリアリーレンスルフィドを気相酸化性雰囲気下で加熱
処理して高分子量ポリアリーレンスルフィドを製造する
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリアリーレンスルフィド(以
下、PASと略すことがある)を製造する方法として
は、特公昭45‐3368号公報にジハロ芳香族化合物
とアルカリ金属硫化物とを有機アミド溶媒中で反応させ
る方法が記載されている。しかし、該方法では高分子量
のPASを製造することができなかった。
【0003】従って、通常該PASに熱処理を施して高
分子量化し靭性を高めている。該熱処理は、一般にPA
Sを気相酸化性雰囲気下でその融点以下の温度に加熱す
ることにより行われている。該方法としては、米国特許
第3354129号明細書記載の強制加熱空気循環式乾
燥機を使用する方法、同第3793256号記載の流動
層を使用する方法、あるいは同第3717620号記載
の二重螺旋型攪拌翼付容器固定型加熱混合装置を使用す
る方法等が知られている。
【0004】しかし、強制加熱空気循環式乾燥機を使用
する方法では、機内に広い温度分布が生じ、更にPAS
の粒子層の表面部分と内部との酸素濃度差も生じて均一
な熱処理が困難となる。流動層を使用する場合には、風
量を上げれば層内温度を均一に保持できるが、粉末の飛
散が多くなって収率が低下し実用的とは言えない。更に
二重螺旋型攪拌翼付容器固定型加熱混合装置を使用する
場合には、PASが容器内壁に押し付けられ、また、攪
拌翼と容器壁との間に発生する剪断応力により、PAS
粒子の凝集並びに付着固化現象が起り、局部加熱による
ミクロゲルの発生、、付着による収率の低下、壁付着層
の除去作業が困難等の問題が生じている。
【0005】かかる問題を解決すべく、特公平5‐79
100号公報には、気体導入部及び気体排気部を備えた
容器回転型加熱装置を使用してPASを熱処理する方法
が記載されている。該方法では、PAS粉末の入った容
器自体を回転させるため大型化した際に制御方法が複雑
化すると共に正確な制御が容易ではなく、また、それに
伴うコスト増のため経済的にも不利であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、簡易かつ低
コストで均一な熱処理を可能にする方法を提供するもの
である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記種々
の欠点を解決すべく鋭意検討を重ねた。その結果、所定
の容器固定型加熱装置を使用し、かつ所定の気体流通を
採用することにより、従来の二重螺旋型攪拌翼付容器固
定型加熱混合装置を使用した際に生ずるミクロゲルの発
生等の問題、及び容器回転型加熱装置を使用した際に生
ずるコスト増の問題のいずれをも良好に回避し得ること
を見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明
は、粉末状のポリアリーレンスルフィドを気相酸化性雰
囲気下でその融点未満の温度に加熱して高分子量ポリア
リーレンスルフィドを製造する方法において、スクリュ
ー混合型加熱装置、円錐形スクリュー混合型加熱装置又
は高速回転羽根混合型加熱装置の容器部に粉末状のポリ
アリーレンスルフィドを入れ、容器の下部から酸素を含
む気体を導入し、容器の上部から該気体を排出しつつ加
熱処理すること、及び該気体の吸排気量を上記加熱装置
の容器内容積の5〜50%/分とすることを特徴とする
ポリアリーレンスルフィドの製造方法である。
【0008】本発明に使用する加熱装置は、気体導入部
及び気体排出部を備えた、スクリュー混合型加熱装置、
円錐形スクリュー混合型加熱装置又は高速回転羽根混合
型加熱装置である。スクリュー混合型加熱装置、円錐形
スクリュー混合型加熱装置又は高速回転羽根混合型加熱
装置は、いずれも公知である。円錐形スクリュー混合型
加熱装置及び高速回転羽根混合型加熱装置は、例えば
「化学装置便覧・改訂二版(丸善発行)784〜786
頁、19・5・2 混合機」に記載されている。本発明
の加熱装置は、これらの装置に気体導入部及び気体排出
部を備えたものである。
【0009】上記加熱装置における気体の吸排気量は、
加熱装置の容器内容積の5〜50%/分であり、好まし
くは容器内容積の10〜30%/分である。上記下限未
満では、攪拌による剪断応力が高くなり、PAS粒子の
凝集あるいは器壁等への付着が起る。従って、局部加熱
によるミクロゲルの発生、付着による収率の低下、及び
付着層の除去作業が困難等の種々の問題が生じ好ましく
ない。また、上記上限を超えては、PAS粉末の飛散が
多くなり、収率が低下するため好ましくない。均一な加
熱処理を行うため、スクリュー混合型加熱装置及び円錐
形スクリュー混合型加熱装置を使用する場合には、スク
リュー公転軸回転数が好ましくは0.2〜10rpmで
あり、かつスクリュー自転軸回転数が好ましくは20〜
200rpmである。高速回転羽根混合型加熱装置を使
用する場合には、その攪拌羽根回転数が好ましくは50
0〜15000rpmである。いずれの場合にも、上記
下限未満では、攪拌が不均一になり、局部加熱によりミ
クロゲルの発生を生じ、上記上限を超えては、PAS粒
子の破壊を生じ微粒化するので好ましくない。また、加
熱装置への粉末状PASの仕込量は、好ましくは容器内
容積の75%以下、特に好ましくは60〜70%であ
る。75%を超えると、混合が不均一になって熱処理む
らが生じたり、PAS粉末の飛散が多くなるため好まし
くない。
【0010】上記気体導入部及び気体排出部は、上記加
熱装置に適用できれば、その形式、形状は問わない。ま
た、容器内のPAS粒子を均一に混合加熱し、更に特定
部分への滞留を防止するためには、装置下部に気体導入
部、装置上部に気体排出部を設ける。気体導入部及び気
体排出部からの気体の吸排気量を上記の所定値に制御す
るために、例えば、装置下部に設けた気体導入部に往復
圧縮機、遠心送風機、軸流送風機、回転圧縮機あるいは
送風機等の気体輸送機、及び/又は装置上部に設けた気
体排出部に真空ポンプ又はその他の真空発生機器等を使
用することが好ましい。
【0011】また、上記加熱装置の加熱方式としては、
熱媒を用いた外部加熱方式、加熱気体を導入する方式、
発熱体やエネルギー線照射装置を組込む方式等を単独で
又は組合せて使用することができる。
【0012】更に必要に応じて、気体排出部側に重力集
塵、慣性集塵、遠心力集塵、フィルター集塵、電気集
塵、洗浄集塵等の集塵装置やバッフルプレート、ドレイ
ンポット等を付設できる。また、気体導入部側には加熱
器や気体圧縮ボンベ等を付設することができる。
【0013】本発明において使用する粉末状のPASの
粒子径は、好ましくは積算分布の50%に対応する粒子
径D50(平均粒径)が5.0〜150μmであり、特に
好ましくは10〜100μmである。上記下限未満で
は、粉末の飛散が多くなり収率が低下し、上記上限を超
えては、粒子の表面と内部での熱処理効果が不均一とな
り好ましくない。
【0014】該PASは従来公知の方法により製造する
ことができる。例えば、ジハロ芳香族化合物とアルカリ
金属硫化物とを有機アミド溶媒中で反応させる方法(特
公昭45‐3368号公報)、アルカリ金属カルボン酸
塩を使用する方法(特公昭52‐12240号公報)、
ハロゲン化リチウム等の重合助剤を使用する方法(米国
特許第4038263号明細書)、ポリハロ芳香族化合
物等の架橋剤を使用する方法(特公昭54‐8719号
公報)、又は異なる水の存在量下、多段階反応を使用す
る方法(特公昭63‐33775号公報)、あるいは反
応缶の気相部分を冷却して、気相の一部を液相に還流せ
しめる方法(特開平5‐222196号公報)等により
製造し得る。
【0015】上記方法のうち、特開平5‐222196
号公報記載の方法により製造したPASが特に好まし
い。該方法は、有機アミド系溶媒中でアルカリ金属硫化
物とジハロ芳香族化合物とを反応させPASを製造する
方法において、反応缶の気相部分を冷却することにより
反応缶内の気相の一部を凝縮させ、これを液相に還流せ
しめることを特徴とする、PASの製造法である。
【0016】該PAS製造法において、還流される液体
は、水とアミド系溶媒の蒸気圧差の故に、液相バルクに
比較して水含有率が高い。この水含有率の高い還流液
は、反応溶液上部に水含有率の高い層を形成する。その
結果、残存のアルカリ金属硫化物(例えばNa2 S)、
ハロゲン化アルカリ金属(例えばNaCl)、オリゴマ
ー等が、その層に多く含有されるようになる。従来法に
おいては230℃以上の高温下で、生成したPASとN
2 S等の原料及び副生成物とが均一に混じりあった状
態では、高分子量のPASが得られないばかりでなく、
せっかく生成したPASの解重合も生じ、チオフェノー
ルの副生成が認められる。しかし、該方法では、反応缶
の気相部分を積極的に冷却して、水分に富む還流液を多
量に液相上部に戻してやることによって上記の不都合な
現象が回避でき、反応を阻害するような因子を真に効率
良く除外でき、高分子量PASを得ることができるもの
と思われる。但し、該方法は上記現象による効果のみに
より限定されるものではなく、気相部分を冷却すること
によって生じる種々の影響によって、高分子量のPAS
が得られるのである。
【0017】該方法においては、従来法のように反応の
途中で水を添加することを要しない。しかし、水を添加
することを全く排除するものではない。但し、水を添加
する操作を行えば、該方法の利点のいくつかは失われ
る。従って、好ましくは、重合反応系内の全水分量は反
応の間中一定である。
【0018】反応缶の気相部分の冷却は、外部冷却でも
内部冷却でも可能であり、自体公知の冷却手段により行
える。たとえば、反応缶内の上部に設置した内部コイル
に冷媒体を流す方法、反応缶外部の上部に巻きつけた外
部コイルまたはジャケットに冷媒体を流す方法、反応缶
上部に設置したリフラックスコンデンサーを用いる方
法、反応缶外部の上部に水をかける又は気体(空気、窒
素等)を吹き付ける等の方法が考えられるが、結果的に
缶内の還流量を増大させる効果があるものならば、いず
れの方法を用いても良い。外気温度が比較的低いなら
(たとえば常温)、反応缶上部に従来備えられている保
温材を取外すことによって、適切な冷却を行うことも可
能である。外部冷却の場合、反応缶壁面で凝縮した水/
アミド系溶媒混合物は反応缶壁を伝わって液相中に入
る。従って、該水分に富む混合物は、液相上部に溜り、
そこの水分量を比較的高く保つ。内部冷却の場合には、
冷却面で凝縮した混合物が同様に冷却装置表面又は反応
缶壁を伝わって液相中に入る。
【0019】一方、液相バルクの温度は、所定の一定温
度に保たれ、あるいは所定の温度プロフィールに従って
コントロールされる。一定温度とする場合、 230〜275
℃の温度で 0.1〜20時間反応を行うことが好ましい。よ
り好ましくは、 240〜265 ℃の温度で1〜6時間であ
る。より高い分子量のPASを得るには、2段階以上の
反応温度プロフィールを用いることが好ましい。この2
段階操作を行う場合、第1段階は 195〜240 ℃の温度で
行うことが好ましい。温度が低いと反応速度が小さす
ぎ、実用的ではない。 240℃より高いと反応速度が速す
ぎて、十分に高分子量なPASが得られないのみなら
ず、副反応速度が著しく増大する。第1段階の終了は、
重合反応系内ジハロ芳香族化合物残存率が1モル%〜40
モル%、且つ分子量が 3,000〜20,000の範囲内の時点で
行うことが好ましい。より好ましくは、重合反応系内ジ
ハロ芳香族化合物残存率が2モル%〜15モル%、且つ分
子量が 5,000〜15,000の範囲である。残存率が40モル%
を越えると、第2段階の反応で解重合など副反応が生じ
やすく、一方、1モル%未満では、最終的に高分子量P
ASを得難い。その後昇温して、最終段階の反応は、反
応温度 240〜270 ℃の範囲で、1時間〜10時間行うこと
が好ましい。温度が低いと十分に高分子量化したPAS
を得ることができず、また 270℃より高い温度では解重
合等の副反応が生じやすくなり、安定的に高分子量物を
得難くなる。
【0020】実際の操作としては、先ず不活性ガス雰囲
気下で、アミド系溶媒中のアルカリ金属硫化物中の水分
量が所定の量となるよう、必要に応じて脱水または水添
加する。水分量は、好ましくは、アルカリ金属硫化物1
モル当り0.5〜2.5モル、特に0.8〜1.2モル
とする。2.5モルを超えては、反応速度が小さくな
り、しかも反応終了後の濾液中にフェノール等の副生成
物量が増大し、重合度も上がらない。0.5モル未満で
は、反応速度が速すぎ、十分な高分子量の物を得ること
ができない。
【0021】反応時の気相部分の冷却は、一定温度での
1段反応の場合では、反応開始時から行うことが望まし
いが、少なくとも 250℃以下の昇温途中から行わなけれ
ばならない。多段階反応では、第1段階の反応から冷却
を行うことが望ましいが、遅くとも第1段階反応の終了
後の昇温途中から行うことが好ましい。冷却効果の度合
いは、通常反応缶内圧力が最も適した指標である。圧力
の絶対値については、反応缶の特性、攪拌状態、系内水
分量、ジハロ芳香族化合物とアルカリ金属硫化物とのモ
ル比等によって異なる。しかし、同一反応条件下で冷却
しない場合に比べて、反応缶圧力が低下すれば、還流液
量が増加して、反応溶液気液界面における温度が低下し
ていることを意味しており、その相対的な低下の度合い
が水分含有量の多い層と、そうでない層との分離の度合
いを示していると考えられる。そこで、冷却は反応缶内
圧が、冷却をしない場合と比較して低くなる程度に行う
のが好ましい。冷却の程度は、都度の使用する装置、運
転条件などに応じて、当業者が適宜設定できる。
【0022】ここで使用する有機アミド系溶媒は、PA
S重合のために知られており、たとえばN‐メチルピロ
リドン(NMP)、N,N‐ジメチルホルムアミド、
N,N‐ジメチルアセトアミド、N‐メチルカプロラク
タム等、及びこれらの混合物を使用でき、NMPが好ま
しい。これらは全て、水よりも低い蒸気圧を持つ。
【0023】アルカリ金属硫化物も公知であり、たとえ
ば、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫
化ルビジウム、硫化セシウム及びこれらの混合物であ
る。これらの水和物及び水溶液であっても良い。又、こ
れらにそれぞれ対応する水硫化物及び水和物を、それぞ
れに対応する水酸化物で中和して用いることができる。
安価な硫化ナトリウムが好ましい。
【0024】ジハロ芳香族化合物は、たとえば特公昭4
5‐3368号公報記載のものから選ぶことができる
が、好ましくはp‐ジクロロベンゼンである。又、少量
(20モル%以下)のジフェニルエーテル、ジフェニル
スルホン又はビフェニルのパラ、メタ又はオルトジハロ
物を1種類以上用いて共重合体を得ることができる。例
えば、m‐ジクロロベンゼン、o‐ジクロロベンゼン、
p,p´‐ジクロロジフェニルエーテル、m,p´‐ジ
クロロジフェニルエーテル、m,m´‐ジクロロジフェ
ニルエーテル、p,p´‐ジクロロジフェニルスルホ
ン、m,p´‐ジクロロジフェニルスルホン、m,m´
‐ジクロロジフェニルスルホン、p,p´‐ジクロロビ
フェニル、m,p´‐ジクロロビフェニル、m,m´‐
ジクロロビフェニルである。
【0025】PASの分子量をより大きくするために、
例えば1,3,5‐トリクロロベンゼン、1,2,4‐
トリクロロベンゼン等のポリハロ化合物を、パラ及びメ
タジハロ芳香族化合物の合計量に対して好ましくは5モ
ル%以下の濃度で使用することもできる。
【0026】また、他の少量添加物として、末端停止
剤、修飾剤としてのモノハロ化物を併用することもでき
る。
【0027】本発明の加熱処理は、気相酸化性雰囲気下
でPASの融点未満の温度で加熱することにより実施す
る。加熱処理を行う温度は、好ましくは100〜280
℃、特に好ましくは170〜260℃である。該温度が
上記下限未満では、加熱処理に要する時間が増加し、上
記上限を越えては、PAS粒子同志が融着しやすくな
り、粒子が著しく大きくなったり、容器壁への付着が生
じ好ましくない。また、加熱処理に要する時間は、上記
の加熱温度等により異なるが、好ましくは0.5〜12
0時間、特に好ましくは1〜96時間である。該時間
が、上記下限未満では,熱処理の効果が十分に得られ
ず、上記上限を越えては、PAS粒子同志が融着しやす
くなり、二次粒子が著しく大きくなったり、容器壁への
付着が生じ好ましくない。
【0028】該加熱処理は、好ましくは空気、純酸素等
又はこれらと任意の適当な不活性ガスとの混合物のよう
な酸素含有ガスの気相酸化性雰囲気下で実施される。不
活性ガスとしては、例えば水蒸気、窒素、二酸化炭素等
又はそれらの混合物が挙げられる。上記の酸素含有ガス
中の酸素の濃度は、好ましくは0.5〜50体積%,特
に好ましくは10〜25体積%である。該酸素濃度が、
上記上限を越えてはラジカル発生量が増大し溶融時の増
粘が著しくなり、また色相が暗色化して好ましくなく、
上記下限未満では、熱酸化速度が遅くなり好ましくな
い。
【0029】本発明の方法により製造された高分子量P
ASには、エンジニアリングプラスチックとしての性能
例えば強度、耐熱性、寸法安定性等を改善するために、
更に慣用の添加剤を配合することができる。例えば、無
機充填材としてのシリカ、アルミナ、タルク、マイカ、
カオリン、クレー、シリカアルミナ、酸化チタン、炭酸
カルシウム、ケイ酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫
酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、
リン酸マグネシウム、窒化ケイ素、ガラス、ハイドロタ
ルサイト、酸化ジルコニウム、パイロフイライド、ベン
トナイト、セリサイト、ゼオライト、雲母、ネフエリン
シナイト、ドロナイト、三酸化アンチモン、酸化亜鉛、
ウオラストナイト、アタルバルジヤイト、酸化鉄、二酸
化モリブデン、黒鉛、石膏等の粒状、粉末状あるいは鱗
片状のもの、又はガラス繊維、チタン酸カリウム繊維、
炭素繊維、マイカセラミック繊維等の繊維状のものを配
合することができる。これら無機充填材は、夫々単独
で、あるいは二種以上組合わせて用いることができる。
また、これらの無機充填材は、シランカップリング剤や
チタネートカップリング剤で処理したものであってもよ
い。充填材の配合割合は、溶融加工性の観点等から30
重量%以下が好ましい。
【0030】更に、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定
剤、滑剤、離型剤、着色剤等の添加剤を配合することも
できる。
【0031】以上のような各成分を混合する方法は、特
に限定されるものではない。一般に広く使用されている
方法、例えば各成分をヘンシェルミキサー等の混合機で
混合する等の方法を用いることができる。
【0032】以下、本発明を実施例により更に詳細に説
明するが、本発明はこれら実施例により限定されるもの
ではない。
【0033】
【実施例】各実施例及び比較例において、溶融粘度V6
は、島津製作所製フローテスターCFT‐500Cを用
いて300℃、荷重20kgf/cm2 、L/D=10
で6分間保持した後に測定した粘度(ポイズ)である。
【0034】粒径は、日機装株式会社製のマイクロトラ
ックSRA9210粒度分析計を用いて測定した。
【0035】ミクロゲルの発生の有無は285℃での1
‐クロロナフタレンへの溶解性により調べた。
【0036】実施例及び比較例で使用した加熱装置を図
1〜3に示す。
【0037】図1は、気体導入部及び気体排出部を備え
た円錐形スクリュー混合型加熱装置の概略図である。粉
末状PASは、投入口8から円錐形の容器9中に装入さ
れる。該PASは、それ自体回転しながら、かつ同時に
公転運動を行うことができるスクリュー1により混合さ
れる。気体は、ブロワ13により加熱器14を通って気
体導入ライン3から容器9中に連続的に送られる。容器
9は、吸引ブロワ12により排気されており、排出気体
は、バグフィルター6を通って、飛散したPASが除去
された後、排気ライン10、スクラバー11を経由して
排気される。気体の吸排気量は、流量計22を監視して
ブロワ13と吸引ブロワ12の吸排気量を調節すること
により所定量に調節される。PASの加熱は、加熱器1
8により加熱された熱媒をジャケット2中に通過させる
こと、及び上記のようにして送られる加熱気体の両者に
より行われる。加熱処理中、内温は温度計5により測定
される。加熱処理後、PASは取出し口4から抜き出さ
れる。
【0038】図2は、気体導入部及び気体排出部を備え
た高速回転羽根混合型加熱装置の概略図である。粉末状
PASは、上部の開閉可能なふた部31から混合容器3
2中に装入される。該PASは、高速で回転する攪拌羽
根34により混合される。気体は、コンプレッサー40
により気体導入ライン35から混合容器32中に連続的
に送られ、排気口37より排出される。気体の吸排気量
は、流量計39を監視してコンプレッサー40の吐出気
体量を調節することにより所定量に調節される。PAS
の加熱は、ジャケット33中に設けられた電熱器により
行われる。加熱処理中、内温は温度計41により測定さ
れる。加熱処理後、PASは取出し口38から抜き出さ
れる。
【0039】図3は、比較例3で使用した、気体導入部
及び気体排出部を備えた二重螺旋攪拌混合型加熱装置の
概略図である。粉末状PASは、上部の開閉可能なふた
部71から混合容器51中に装入される。該PASは、
二重螺旋型攪拌羽根53により混合される。気体は、ブ
ロワ67により加熱器66を通って気体導入ライン58
から容器51中に連続的に送られる。容器51は、吸引
ブロワ62により排気されており、排出気体は、排気ラ
イン59、スクラバー61を経由して排気される。気体
の吸排気量は、流量計60を監視してブロワ67と吸引
ブロワ62の吸排気量を調節することにより所定量に調
節される。PASの加熱は、加熱器69により加熱され
た熱媒をジャケット52中に通過させることにより行
う。加熱処理中、内温は温度計56により測定される。
加熱処理後、PASは取出し口57から抜き出される。
【0040】
【実施例1】溶融粘度V6 が1020ポイズ、平均粒径
50が52μmのポリフェニレンスルフィド(以下では
PPSと略すことがある)400kgを、図1に示した
気体導入部及び気体排出部を備えた内容積5m3 の円錐
形スクリュー混合型加熱装置に仕込んだ。次いで、24
0℃に加熱した空気を1m3 /分(容器内容積の20%
/分)の流量で装置底部より導入し、上部から排気を行
いながら、該加熱空気及び熱媒体を用いて内温が225
℃となるまで3時間で昇温し、該温度で更に12時間攪
拌を継続した。攪拌機の回転数は、スクリューの公転軸
を1rpm、自転軸を100rpmとした。その後、冷
却して製品を得た。
【0041】加熱処理後のPPSの溶融粘度V6 は96
80ポイズであり、ミクロゲルの発生、及び容器内壁と
スクリューの間にPPSの付着は認められなかった。
【0042】
【比較例1】240℃に加熱した空気を0.2m3 /分
(容器内容積の4.0%/分)の流量で装置底部より導
入した以外は、実施例1と同じく実施した。
【0043】冷却後、内容物を取出すと容器内壁とスク
リューの間にPPSの付着が著しく、また加熱処理後の
PPS粉末中に小石状のPPSが含まれていた。該小石
状PPSにはミクロゲルが生じていた。加熱処理後のP
PSの溶融粘度V6 は3820ポイズであった。
【0044】
【比較例2】スクリューによる攪拌を実施しなかった以
外は、実施例1と同じく実施した。PPSの飛散はなか
ったが、流動化は一部でしか生じなかった。また、内温
の制御は困難であった。
【0045】冷却後、内容物を取出すと容器内壁にPP
Sの付着が著しかった。加熱処理後のPPSの溶融粘度
6 は、サンプリングした箇所により大きく異なり、流
動化していた部分の溶融粘度V6 は4210ポイズであ
り、流動化していなかった部分の溶融粘度V6 は242
00ポイズであった。また、上記いずれの部分において
も、そのPPS中にはミクロゲルの発生が認められ、小
石上のPPSの発生も認められた。
【0046】
【実施例2】溶融粘度V6 が320ポイズ、平均粒径D
50が28μmのPPS8kgを、図2に示した気体導入
部及び気体排出部を備えた内容積10リットルの高速回
転羽根混合型加熱装置に仕込んだ。次いで、常温の空気
を2リットル/分(容器内容積の20%/分)の流量で
装置底部より導入し、上部から排気を行いながら、熱媒
体を用いて内温が225℃となるまで3時間で昇温し、
該温度で更に8時間攪拌を継続した。攪拌羽根の回転数
は1200rpmとした。その後、冷却して製品を得
た。
【0047】容器内壁と攪拌羽根との間には、PPSの
付着は殆どなかった。加熱処理後のPPSの溶融粘度V
6 は2860ポイズであり、ミクロゲルの発生は認めら
れなかった。
【0048】
【比較例3】図3に示した気体導入部及び気体排出部を
備えた内容積10リットルの二重螺旋攪拌混合型加熱装
置を用い、245℃に加熱した空気を0.25リットル
/分(容器内容積の2.5%/分)の流量で導入し、か
つ攪拌機の回転数を90rpmとした以外は、実施例2
と同じく実施した。
【0049】冷却後、内容物を取出すと小石状のPPS
が含まれていた。該小石状PPSにはミクロゲルが生じ
ていた。加熱処理後のPPSの溶融粘度V6 は2470
ポイズであった。また、容器内壁と攪拌羽根との間に、
PPSの付着が激しかった。
【0050】以上の結果を表1及び2に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】 実施例1は、空気量を本発明の下限未満に設定した比較
例1と比べて、高い溶融粘度V6 を示し、より高分子量
のPPSが得られることが分かった。また、小石状PP
S、ミクロゲルの発生及び容器内への付着もなく、均一
な熱処理を達成できた。比較例2は、実施例1と同一条
件下、スクリューの回転をしなかったものである。PP
Sの熱処理むら、及びミクロゲルが生じ、また容器内へ
のPPSの付着も激しかった。実施例2は、高速回転羽
根混合型加熱装置を使用したものである。ミクロゲルの
発生はなく、均一な熱処理を達成できた。一方、比較例
3は、二重螺旋攪拌混合型加熱装置を使用し、かつ空気
量を本発明の下限未満に設定したものである。小石状P
PS、ミクロゲルの発生及び容器内へのPPSの付着が
認められた。
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、均一な熱処理が可能で
ある。従って、ミクロゲル等の発生がなく、かつ所望す
る粘度を持つ均質な高分子量PASを製造することがで
きる。更に、簡易かつ低コストな方法であるため経済性
に優れており、大規模工業化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】気体導入部及び気体排出部を備えた円錐形スク
リュー混合型加熱装置の概略図である。
【図2】気体導入部及び気体排出部を備えた高速回転羽
根混合型加熱装置の概略図である。
【図3】気体導入部及び気体排出部を備えた二重螺旋攪
拌混合型加熱装置の概略図である。
【符号の説明】
1.スクリュー 2,52.熱媒ジャケット 3,35,58.気体導入ライン 4,38,57.PAS取出し口 5,41,56.温度計(容器内温度) 6.バグフィルター 8.PAS投入口 9,32,51.容器 10,59.気体排気ライン 11,61.スクラバー 12,62.吸引ブロワ 13,67.ブロワ 14,66.気体用加熱器 16,63.熱媒入口ライン 17,64.熱媒出口ライン 18,69.熱媒用加熱器 19,70.熱媒循環ポンプ 20,65.気体用温度計 21,68.熱媒用温度計 22,60.排気体流量計 31,71.ふた 33.ヒータージャケット 34.攪拌羽根 37.気体排気口 39.気体流量計 40.コンプレッサー 53.二重螺旋型攪拌羽根

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粉末状のポリアリーレンスルフィドを気
    相酸化性雰囲気下でその融点未満の温度に加熱して高分
    子量ポリアリーレンスルフィドを製造する方法におい
    て、スクリュー混合型加熱装置、円錐形スクリュー混合
    型加熱装置又は高速回転羽根混合型加熱装置の容器部に
    粉末状のポリアリーレンスルフィドを入れ、容器の下部
    から酸素を含む気体を導入し、容器の上部から該気体を
    排出しつつ加熱処理すること、及び該気体の吸排気量を
    上記加熱装置の容器内容積の5〜50%/分とすること
    を特徴とするポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  2. 【請求項2】 上記吸排気量が容器内容積の10〜30
    %/分である請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 スクリュー混合型加熱装置及び円錐形ス
    クリュー混合型加熱装置のスクリュー公転軸回転数が
    0.2〜10rpm、かつスクリュー自転軸回転数が2
    0〜200rpmであり、又は高速回転羽根混合型加熱
    装置の攪拌羽根回転数が500〜15000rpmであ
    る請求項1又は2記載の方法。
  4. 【請求項4】 粉末状のポリアリーレンスルフィドの平
    均粒径が5〜150μmである請求項1〜3のいずれか
    一に記載の方法。
  5. 【請求項5】 粉末状のポリアリーレンスルフィドの平
    均粒径が10〜100μmである請求項1〜3のいずれ
    か一に記載の方法。
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