JPH07249316A - 透明導電膜および該透明導電膜を用いた透明基体 - Google Patents

透明導電膜および該透明導電膜を用いた透明基体

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JPH07249316A
JPH07249316A JP3996894A JP3996894A JPH07249316A JP H07249316 A JPH07249316 A JP H07249316A JP 3996894 A JP3996894 A JP 3996894A JP 3996894 A JP3996894 A JP 3996894A JP H07249316 A JPH07249316 A JP H07249316A
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transparent conductive
conductive film
oxide
transparent
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JP3996894A
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Junichi Ebisawa
純一 海老沢
Kazuo Sato
一夫 佐藤
Akira Mitsui
彰 光井
Masami Miyazaki
正美 宮崎
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Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】ガリウムを亜鉛に対して0.1〜15原子%含
有し、そのX線回折パターンにおいて(002)面によ
る回折ピークを有し、該回折線の半値幅が1.2度以下
であり、かつ、比抵抗が10-2Ω・cm以下で、膜厚が
80nm〜5μmの範囲にある、酸化亜鉛を主成分とす
る透明導電膜および該膜を用いた透明基体。 【効果】従来の膜に比べて大気中での耐熱性が大幅に優
れ、かつ導電性が改善される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高性能を有する透明性
電導膜、および外観的な均一性や取り扱い性に優れた、
光学的選択透過性を有する透明部材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、光学的選択透過性を有する透明部
材としては、いくつかのタイプのものが知られている。
その一つに、暖房熱源や室温の物体からの輻射波長であ
る2μm以上の長波長の赤外線を特に有効に反射する、
いわゆるLow−Eと呼ばれるものがある。構成として
は、室外側から順に、ガラス、空気層、コート層を室外
側においたコートガラスの複層構成として、寒冷下で暖
房負荷を軽減するLow−E複層ガラスや、室外側から
順に、コート層を室内側においたコートガラス、空気
層、ガラスの複層構成として、温暖地で遮熱を目的に使
用されるサンベルトLow−Eが知られている。この範
疇の透明部材としては、透明基体上に、電導性の透明酸
化膜や膜厚約10nmの銀膜を含む積層膜をコートした
ものが知られている。
【0003】透明電導性の酸化スズとしては、アンチモ
ンやフッ素をドーパントとして含むものが知られてお
り、これを用いた膜系が、スプレー法やCVD法により
工業的に生産されて、すでにLow−Eガラスとしても
上市されている。これらは機械的・化学的な耐久性に優
れるため、通常コートなしガラスと同様に扱うこともで
きる点は長所である。
【0004】しかし、製法に由来する問題として、窓部
材で用いられるような大面積基板にコートする場合、面
内で膜厚や膜質がばらつき、光学的干渉条件のむらによ
る、外観的に干渉縞が発生してしまう点がある。対策と
して、干渉の不均一を打ち消すための層を用いた2層構
成で用いられるのが通常であるが、それでも完全に干渉
むらを解消するには至らず、外観的には次に述べるスパ
ッタ法による銀膜系にかなり劣る。
【0005】スパッタ法による銀膜を用いた膜系として
は、透明誘電体層/銀層/透明誘電体層の2層膜、ある
いはこれを繰り返し積層した5層膜以上のコート膜が知
られている。この銀系コート膜は、2μm以上の長波長
赤外線に対する反射率が非常に高く、Low−E性能の
点では前に挙げたなかで最も光学特性的に優れているも
のの一つである。またスパッタ法は大面積にわたって均
一なコートを行うのにきわめて適した方法であるので、
コート製品の面内で外観や特性のむらのない製品が安定
して得られる点も長所の一つである。しかし銀は、光学
的な選択反射性能の点では種々の金属材料のなかでも最
も優れる半面、耐久性の点では劣り、後工程で機械的な
傷がついたり、保管環境によっては腐食が発生して外観
に異常を生じるという問題がある。
【0006】また透明電導膜としては、酸化スズドープ
酸化インジウム(ITO)がよく知られている。ITO
はスパッタ法、化学的気相成長法(CVD)、スプレー
法などで成膜できるが、いずれの方法を用いてもインジ
ウムが希少な金属の一つであるため、膜材料費が高く、
工業的に窓部材として成立させるのは難しい。
【0007】他の透明導電膜としては、アルミナなどを
ドープした酸化亜鉛が知られており、10-4Ω・cm台
とITO膜に匹敵する低い比抵抗が得られているが、L
ow−Eとして必要な低抵抗膜の成膜に際して、ターゲ
ット性状の経時変化の影響を受けやすく、また成膜後に
非酸化性雰囲気での熱処理が必要であり、成膜速度が
0.5nm/秒程度以下ときわめて小さいため生産速度
が遅いなど、工業的な生産に適用するには致命的な問題
があり、広く用いられるには至っていない。
【0008】他に、透明誘電体を積層して、光学干渉に
よって長波長の赤外線に対して選択反射特性を持たせた
干渉フィルタが知られているが、全体の膜厚が数百nm
と厚くなり、かつ各層の膜厚を±5%以下の精度で制御
しなければならないので、窓部材等の大面積製品に対し
て工業的に適用するのは不可能に近い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術が
有していた前述の欠点を解消し、直流スパッタ法により
高速で大面積コートが可能で、しかも機械的・化学的な
耐久性が改善されて、さらに大気雰囲気等の酸化性雰囲
気での高温熱処理においても光学特性が劣化しない高品
位かつ低コストの、光学的選択反射特性膜、特にLow
−E膜として工業的に有用な膜の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は前述の課題を解
決すべくなされたものであり、酸化亜鉛を主成分とする
透明導電膜であって、該透明導電膜は、ガリウムを亜鉛
に対して0.1〜15原子%含有し、そのX線回折パタ
ーンにおいて(002)面による回折ピークを有し、
(002)面による回折線の半値幅が1.2度以下であ
る透明導電膜において、該透明導電膜の比抵抗が10-2
Ω・cm以下で、膜厚が10nm〜5μmの範囲にある
ことを特徴とする透明導電膜を提供する。
【0011】本発明における透明導電膜は、ガリウムを
亜鉛に対して0.5〜12原子%含有し、そのX線回折
パターンにおいて(002)面による回折ピークを有
し、(002)面による回折線の半値幅が0.6度以下
であることが好ましい。
【0012】また、本発明における透明導電膜は、比抵
抗が10-2Ω・cm以下で、膜厚が80nm〜5μmの
範囲、好ましくは、100nm〜300nmの範囲にあ
ることが好ましい。
【0013】膜厚が5μm超であると成膜時間が長くな
り、コスト増加を招く。膜厚が80nm未満、あるい
は、比抵抗が10-2Ω・cm超であるとLow−E性能
が不十分となる。
【0014】本発明の透明導電膜(以下、単に導電膜と
もいう)には、Zn、Ga以外の金属元素が本発明の目
的を損わない範囲で含まれていても支障ないが、できる
限り少量にとどめることが望ましい。
【0015】本発明の透明導電膜を形成する基体にはガ
ラス、プラスチックなどを使用できる。基体がソーダラ
イムガラスのように、その成分としてアルカリ金属を含
む場合には、製膜時あるいは熱処理時あるいは長期間使
用時に基体から導電膜へのアルカリ金属の拡散を防止す
るために、基体と導電膜の間にSi、Al、Zrなどの
金属の酸化物を主成分とする下地層を形成することがよ
り好ましい。
【0016】本発明の導電膜の形成方法は特に限定され
ず、スパッタ法、真空蒸着法などの物理蒸着法やCVD
法などの化学蒸着法が用いられ、より低温基板温度で良
好な導電膜特性が得られる物理蒸着法が好ましい。なか
でも結晶性を促進させるために有効な高密度プラズマを
活性化手段として用いたスパッタ法、高磁場を用いた低
電圧スパッタ法、および、プラズマ活性化真空蒸着法が
低抵抗で耐熱性に優れる膜を得るうえでより好ましい。
【0017】スパッタ法で本発明の透明導電膜を形成す
る際には、ターゲットについて、単に酸化亜鉛中に酸化
ガリウムを所定量添加して焼結するだけでなく、好まし
くは1400℃以上の温度で2時間以上保持する処理を
行って、酸化ガリウムを酸化亜鉛中に充分固溶させる処
理を行ったものを用いることが好ましい。なお、実施例
ではスパッタ法として直流法を示しているが、これを高
周波法で行ってもよいことはいうまでもない。
【0018】本発明の導電膜は、たとえばマグネトロン
直流スパッタ法を用いて作製された場合、4nm/秒ま
での高速で製膜された場合も低抵抗かつ大気中での高耐
熱性が確保されるため、実用的な成膜速度で膜を成長で
きるという効果もあわせもつ。
【0019】本発明の透明基体においては、外観を調整
する目的で、透明導電膜層と基体の間に1層以上のアン
ダーコート膜、あるいは透明導電膜層の上に、1層以上
のオーバーコート膜を設けて、光の干渉現象や膜の吸収
を利用して透過・反射色調や可視光線反射率の調整がで
きる。
【0020】前記アンダーコート膜の少なくとも1層ま
たはオーバーコート膜の少なくとも1層の膜材料として
は、たとえば、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニ
ウム、酸化スズ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化ニオ
ブ、酸化ホウ素、酸化インジウム、酸化亜鉛、および酸
化セリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種な
ど、あるいは、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ク
ロム、ニオブの金属、前記金属の窒化物、および前記金
属の酸窒化物からなる群から選ばれる少なくとも1種な
どが挙げられる。
【0021】このアンダーコート膜やオーバーコート膜
は、光学特性を調整する以外の目的にも有効に用いるこ
とができる。たとえば、合わせ前のコート製品の取り扱
い性を向上させるために耐久性を付与する目的に対して
効果がある。また他の基体とともに合わせ構造に、ある
いは複層構造にしたりする際に、合わせ構造における中
間膜やスペーサ、組み付ける他の部品等との接着性を調
整する目的や、透明基体を形成した後に、ガラス基板の
強化や曲げなどの高温を要する工程に耐えるための耐熱
性を付与したり、高温下での使用に対する信頼性を高め
たりするなどの目的に対しても効果がある。
【0022】本発明の透明基体は、もちろん透明電導膜
が形成された基体単独でも用いることができるが、基体
をプラスチック板やガラス板と接着したり、強化処理し
たり、複層化したりすることもできる。
【0023】図2に本発明の透明基体の断面構成図を示
し、1はオーバーコート層、2はガリウムドープ酸化亜
鉛層、3はアンダーコート層、4は基体を表す。
【0024】
【作用】発明者らはZnO透明導電膜中のGa濃度をG
a/Zn原子比で0.5〜12%に制御し、かつ膜の
(002)X線回折線の半値幅が0.6度以下になるよ
うに膜の結晶性を制御することにより、比抵抗値が2×
10-4Ω・cmとITOと同等に低いものが通常の基板
配置で高速で製造した場合でも容易に得られることを見
出した。さらにこれらの膜は500℃以上での大気中熱
処理の後に導電性の劣化はなく、酸化性雰囲気での耐熱
性にきわめて優れることを見出した。
【0025】ZnOに単にGaを添加すること自体はす
でに報告されている(J.Electrochem.Soc,127,1636(198
0) 、Jpn.J.Appl.Phys,24,L781(1985))。前者はZnに
対して1原子%のGaを添加した例であり、後者はZn
に対して1〜4原子%のGaを添加したスパッタ法によ
る例である。しかしいずれの場合も電気的、光学的特性
について添加膜と無添加膜との比較検討を行った報告例
であり、耐熱性に関する検討および記述は一切みられな
い。またそれらの膜の導電性は従来のAl添加膜に比べ
て劣るものである。
【0026】一方、本発明はGa添加量と膜の結晶性を
制御することにより、電気特性の大幅な向上とともに大
気中での耐熱性を著しく向上させることができる。すな
わち耐熱性はGaを含むだけでは発現せず、Gaをある
特定の範囲の量含み、かつX線回折の半値幅の値が特定
の値以下である場合のみに現れることがわかった。
【0027】一般に、ZnOに周期律表第3族の金属を
添加すると電子密度が増加するために導電性が増加する
ことはよく知られている。これは3族すなわち3価の金
属が、2価のZnの位置に置換することにより、浅い電
気的ドナーを形成し自由電子を生成するためと考えられ
ている。また同時に過剰Znが格子間位置に生成するこ
とや酸素欠陥の生成によってもドナー形成による電子密
度の増加は説明できる。実際の膜ではこれらが混在した
状態になっているものと推定される。3族元素とZnの
イオン半径は同一ではないため置換した場合でも結晶格
子歪が生じることが考えられる。
【0028】また3族元素はすべて置換可能なわけでは
なく、一部は結晶格子間または粒界等に析出していると
考えられる。なぜならば膜中から検出される3族元素の
量は、電子密度から理論的に算出される量より約1桁も
多いからである。これらの余剰な元素は格子歪を引き起
こすため、酸素空孔等の生成を引き起こすことが予想さ
れる。酸素空孔等の欠陥は高温の酸素雰囲気下で熱処理
すると減少し、同時に空孔により発生する電子密度も減
少するため抵抗増加が生じると解釈される。
【0029】実際、Ga以外のAl、In、Bの3族元
素を添加したZnO膜は非酸化性雰囲気での耐熱性には
優れるが、大気中等の酸化性雰囲気での耐熱性はきわめ
て悪い。本発明者らはX線回折により膜の組成と結晶性
および大気中での熱的安定性の関係を詳細に調べた結
果、その添加元素が単に3族元素ではなくGaであり、
しかもその添加量がある特定の範囲であり、加えて膜の
X線回折の半値幅がある値以下の場合に限り大気中での
耐熱性に富む膜が得られることを見出した。
【0030】添加元素がAl、B、Inの場合とGaの
場合で大気中での耐熱性が異なる原因としてはイオン半
径の差が考えられる。すなわちAl、Bのイオン半径は
それぞれZnに比べて小さすぎ、逆にInは大きすぎ
る。Gaのイオン半径はZnのそれに最も近いため置換
した場合の格子歪は最も小さくなると考えられる。低抵
抗膜を得るためにはAl、B、Inを多量に添加する必
要があるが、この場合歪が増加し、酸素空孔が生成する
と考えられる。この欠陥は酸化性雰囲気中での高温熱処
理により容易に減少し、同時に欠陥により発生した自由
電子も減少するため、抵抗増加が起ると考えられる。
【0031】これに対してGa添加膜の場合、Gaの多
量添加によっても格子歪、酸素欠陥が生じにくいため酸
化性雰囲気での耐熱性も向上すると考えられる。Ga添
加の場合も耐熱性は膜の結晶性に強く依存することがわ
かり、結晶性のよい膜、すなわちX線回折線の半値幅が
ある値以下の場合、酸化性雰囲気での耐熱性が著しく向
上することがわかった。
【0032】
【実施例】
[実施例1〜6]充分に洗浄したガラス基板(5cm×
5cm×1mm)上に直流マグネトロンスパッタ法によ
り、ZnO中に酸化ガリウム(Ga23 )を添加した
種々のターゲット(Ga/Zn比が0.3〜15原子
%)を用いてAr雰囲気中で、膜厚が80nm〜100
0nmのZnO透明導電膜を形成した。このとき用いた
ターゲットは、ZnO中に酸化ガリウムを添加した後、
1400℃以上の温度で2時間以上保持して、酸化ガリ
ウムをZnO中に充分固溶させた直径3インチのターゲ
ットである。
【0033】真空装置はあらかじめ10-6Torr以下
に排気した後、Arガスを0.01Torr導入してス
パッタを行った。基板温度は室温から300℃の範囲に
設定した。スパッタパワーは50Wを標準条件とした
が、高速製膜の例として400Wまで変化させた。
【0034】作製した膜中のGa含有量はZnO膜を塩
酸の2規定溶液中に溶解した後、ICP発光分析法によ
り定量分析して求めた。Ga含有量はZnに対する原子
%で表した。また比抵抗は4探針法により求めたシート
抵抗と、触針式膜厚計により測定した膜厚から算出し
た。
【0035】導電膜のX線回折はCuのKα線を使用
し、比例係数管を用いたレートメータにて測定した。X
線回折の測定例を図1に示す。これは後述するようにG
aを添加したZnO膜の実施例3について(002)X
線回折ピークを拡大したものである。図に示すように、
(002)ピークの最大強度の1/2の強度となる回折
線の線幅(度で表す)を半値幅(半価幅)と呼ぶが、図
1の実施例3の場合、半値幅は0.28度である。
【0036】光学的性質としては透過率、反射率および
放射率について積分球を用いた分光器により測定した。
これらの導電膜について表1に示す条件で大気中熱処理
試験を行った。表2に大気中熱処理試験(500℃、1
0分)の前(上段)と後(下段)の特性を測定した結果
を示す。
【0037】表2に示す実施例1〜6はGa添加量が
0.5〜12原子%であり、かつ(002)X線回折線
の半値幅が0.6度以下の場合の膜についての耐熱性試
験結果である。実施例3の膜のX線回折線の半値幅は図
1に示すように0.28度であった。これらの膜は成膜
時において0.40以下と低い放射率を示すとともに、
500℃、10分間の大気中熱処理後にも放射率は低下
せず、同等であるかまたは逆に向上している。
【0038】透過率の変化はみられず大気中熱処理に対
して安定な膜であることがわかった。特に注目すべきは
実施例4に示される高速製膜の例であり、4nm/秒と
いう高速で製膜された場合にも半値幅が0.45度と小
さい膜は製膜直後にも0.32と低放射率であり、かつ
大気中熱処理後も安定であることがわかった。代表的な
測定例として実施例3の膜(膜厚:200nm)の分光
特性を図3に示す。
【0039】[実施例7、比較例1〜4]各種Low−
Eとして、本発明に係る酸化ガリウムドープ酸化亜鉛膜
を用いた例(実施例7)と、他のドーパントを用いた透
明導電性酸化亜鉛膜や他の透明導電膜を用いた例(比較
例1〜4)とについて、その結果を表3に示す。
【0040】比較例1は酸化スズドープ酸化インジウム
を用いた例で、この場合、純Ar雰囲気でスパッタ成膜
すると得られた膜は微吸収を呈するため、スパッタ雰囲
気中に微量の酸素を導入する必要がある。ところが、膜
の特性はスパッタ雰囲気中の酸素濃度やガス圧力に敏感
に依存するため、得られた膜は比抵抗の不均一が生じ
て、Low−E性能も面内分布を持つ。
【0041】比較例2は酸化アルミニウムドープ酸化亜
鉛を用いた例で、ターゲット性状の経時変化の影響を受
けやすく、膜特性が変動しやすかったり、成膜速度が
0.5nm/秒以下と著しく低い欠点がある。
【0042】比較例3は酸化アンチモンドープ酸化スズ
を用いた例で、スパッタ法で低抵抗膜を得る条件幅が狭
く、極端に低い成膜速度でしか、必要な特性をもつ膜を
得ることができない。
【0043】比較例4はスプレー(熱分解)法によるフ
ッ素ドープ酸化スズを用いた例で、成膜法の宿命で面内
に比抵抗および膜厚の不均一を完全になくすのは非常に
困難で、通常、±10%の膜厚分布が生じてしまう。そ
の結果、通常用いる1000〜200nmの膜厚で、膜
厚むらに対応した縞状の干渉色むらを呈して、外観が見
苦しく、商品価値を著しく下げる。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
【発明の効果】表2からわかるように、Ga濃度がGa
/Zn原子比で0.5〜12原子%の膜は、成膜時にお
いて10-3Ω・cmから10-4Ω・cm台の高い導電性
を示すとともに、良好なLow−E特性を示す。またこ
れらの膜は、大気中熱処理後でも導電性およびLow−
E特性は低下せず、同等であるかまたは逆に向上する。
透過率についても変化はみられず高温大気中で安定な膜
であることがわかる。
【0048】本発明による、酸化ガリウムドープ酸化亜
鉛層を選択的光学反射層に用いた透明基体は、薄い銀層
等の金属薄層を用いた選択的光学反射体の膜系と比べ
て、複層化や合わせ化の工程前の取り扱い性や、使用時
の長期信頼性や環境からのアタックに対する安定性など
において優れる。
【0049】また、大面積基板に均一な膜厚・膜質分布
で成膜が可能な直流スパッタ法で成膜ができるため、た
とえば1m幅以上の大面積が必要な、たとえばLow−
E性能を有する窓部材や自動車のフロントガラスや電車
車両や航空機などの窓、さらに店舗などの冷凍ショーケ
ースなどの防曇用途などに応用できる。また小サイズの
基板を並べて複数枚同時に成膜できるので、生産効率も
優れる。
【0050】また酸化ガリウムドープ酸化亜鉛層に対す
るオーバーコート層もしくはアンダーコート層のうち、
1層以上を、たとえば窒化チタン、窒化ジルコニウム、
窒化ハフニウム、窒化クロムなどの窒化物や金、白金な
どの貴金属などをはじめとする熱線や可視光線を吸収・
反射する材料群から選ばれる材料で構成することによ
り、本発明のコートされた透明基体に対して熱線反射性
能を持たせたり、可視光線透過率を基体よりも低い値に
調整することもできる。
【0051】また、オーバーコート層とアンダーコート
層の両方もしくは一方を用いて、その膜材料と膜厚を調
整することにより光学干渉条件を調整して、本発明のコ
ートされた透明基体に対して、反射率や透過や反射の色
調を調整することもできる。これによりたとえば可視域
での反射率を下げ、ぎらぎらした外観にならないように
したり、好みの反射色調を得たりすることができる。
【0052】以上示したようにGa濃度とX線回折線の
半値幅をある特定の範囲に制御することにより、導電
性、透過率の高い透明導電膜が実現できることに加え
て、大気中熱処理によっても導電性が全く損われない、
耐酸化性透明導電膜を得ることができる。したがって、
これらの基板は高透明性、低抵抗、大気中耐熱性、低コ
ストの各要素を供えているため、各種表示素子や太陽電
池および受光素子などの透明電極、建築用および自動車
用の熱線反射膜、選択透過膜、および電磁波遮蔽膜、さ
らに、自動車の防曇、防水用や冷凍ショーケースなどや
その他の建築用の透明基体、あるいはフォトマスクや建
築用などの帯電防止膜、などとして最適なものとなり、
きわめて広範囲な分野への応用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例3の透明導電膜の(002)X線回折線
半値幅を示すグラフ
【図2】本発明の透明基体の断面構成図
【図3】実施例3の透明導電膜の分光特性を示すグラフ
【符号の説明】
1:オーバーコート層 2:ガリウムドープ酸化亜鉛層 3:アンダーコート層 4:基体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮崎 正美 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社中央研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化亜鉛を主成分とする透明導電膜であっ
    て、該透明導電膜は、ガリウムを亜鉛に対して0.1〜
    15原子%含有し、そのX線回折パターンにおいて(0
    02)面による回折ピークを有し、(002)面による
    回折線の半値幅が1.2度以下であり、かつ、該透明導
    電膜の比抵抗が10-2Ω・cm以下で、膜厚が80nm
    〜5μmの範囲にあることを特徴とする透明導電膜。
  2. 【請求項2】前記透明導電膜は、ガリウムを亜鉛に対し
    て0.5〜12原子%含有し、そのX線回折パターンに
    おいて(002)面による回折ピークを有し、(00
    2)面による回折線の半値幅が0.6度以下であること
    を特徴とする請求項1の透明導電膜。
  3. 【請求項3】基体上に、請求項1または2の透明導電膜
    を有することを特徴とする透明基体。
  4. 【請求項4】前記基体と前記透明導電膜との間に1層以
    上のアンダーコート膜および/または前記透明導電膜上
    に1層以上のオーバーコート膜を有することを特徴とす
    る請求項3の透明基体。
  5. 【請求項5】前記アンダーコート膜の少なくとも1層ま
    たは前記オーバーコート膜の少なくとも1層の膜材料
    は、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化
    スズ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化ニオブ、酸化ホ
    ウ素、酸化インジウム、酸化亜鉛、および酸化セリウム
    からなる群から選ばれる少なくとも1種からなることを
    特徴とする請求項4の透明基体。
  6. 【請求項6】前記アンダーコート膜の少なくとも1層ま
    たは前記オーバーコート膜の少なくとも1層の膜材料
    は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、クロム、ニオ
    ブの金属、前記金属の窒化物、および前記金属の酸窒化
    物からなる群から選ばれる少なくとも1種からなること
    を特徴とする請求項4の透明基体。
  7. 【請求項7】請求項3〜6いずれか1項の透明基体を有
    することを特徴とする合わせ構造体または複層構造体。
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