JPH07252105A - 液状消毒剤 - Google Patents

液状消毒剤

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JPH07252105A
JPH07252105A JP4369894A JP4369894A JPH07252105A JP H07252105 A JPH07252105 A JP H07252105A JP 4369894 A JP4369894 A JP 4369894A JP 4369894 A JP4369894 A JP 4369894A JP H07252105 A JPH07252105 A JP H07252105A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 手指、皮膚消毒用、器具類の浸漬用、床、廊
下、部屋などの環境消毒用、更にはLPガス使用などに
よる噴霧用としても適用可能であり、殺菌力が強力で強
毒性のMRSAに対しても有効で速効性もあり、薬効の
持続性にも優れ、無味、無臭で、毒性も低く人に対して
無害で皮膚刺激、気管支刺激も無く、金属腐食や繊維を
侵すおそれもなく、通常の日光、温度等で変化せず安定
であり、医療用消毒剤、食品関連用として台所、食堂等
の環境消毒用、食器、食品容器等の消毒用、畜舎の環境
消毒用、ウェットティシュ、脱脂綿、不織布等に含浸し
て除菌シート製品としても使用して優れた消毒効果を発
揮することのできる液状の消毒剤を提供すること。 【構成】 パラオキシ安息香酸ブチル0.2〜0.5
%、エタノール40%、プロピレングリコール10%、
及び水からなる液状消毒剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、病院における院内感染
防止など医療関連の感染原因菌の殺菌を目的とする医療
用消毒剤として使用されるとともに、食品関係、畜舎の
消毒用として、更には、ウェットティシュ、脱脂綿、不
織布等に含浸して除菌シートとしても使用しうる液状消
毒剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】医療関連において問題となる院内感染原
因菌は、グラム陽性球菌である黄色ブドウ球菌、腸内細
菌群、緑膿菌、シュードモナス・セパシア、ブドウ球菌
CNS、更にはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRS
A)といった具合に、時代の経過とともにその主役が変
遷してきている。
【0003】院内感染防止用の医療用消毒剤としては、
(1)殺菌力が強力であること、(2)速効性があるこ
と、(3)持続性に優れていること(少なくとも12時
間以上が望ましい)、(4)毒性が低く、人畜に対して
無害であること、(5)皮膚刺激、気管支刺激が無いこ
と、(6)通常の日光、温度等で変化せず安定であるこ
と、(7)pH、酸、アルカリなどによる薬効の変化が
ないこと、(8)無味、無臭であること、(9)金属腐
食、繊維を侵さないこと、などの条件が求められる。
【0004】また、これらの医療用消毒剤の適用部位と
しては、(1)皮膚系では、手指、皮膚、手術部位の皮
膚と粘膜、創傷部位など、(2)医療用の機械、器具
類、衣類、帽子、マスク、ガウン、シーツ、カバーな
ど、(3)環境系では、病室、床、廊下、ドアノブ、ベ
ッド、テーブル、トイレなどが対象となる。このような
各種部位に適用される医療用消毒剤の形態としては、
(1)手指、皮膚消毒用としては液状かローション状、
(2)器具類の浸漬用としては液状、(3)床、廊下、
部屋などの環境消毒用としても同様に液状、更に(4)
LPガス使用などによる噴霧用としても原料段階で液状
である必要がある。このように、医療用消毒剤として
は、いずれの場合においても液状であることが必要であ
る。
【0005】現在、一般に病院で使用されている消毒剤
としては、消毒用エタノール、イソプロパノールなどの
アルコール系、フェノール、液状フェノール、クレゾー
ル石ケン液などのフェノール系、塩化ベンザルコニウ
ム、塩化ベンゼトニウムなどの第4級アンモニウム塩、
ヨードチンキ、希ヨードチンキ、ボビドンヨード、ヨウ
素などのヨード系、塩素系の次亜塩素酸ナトリウム、ホ
ルマリン、グルタラールなどのアルデヒド系、両性界面
活性剤の塩酸アルキルポリアミノエチルグリシン、ピグ
アナイト系のグルコン酸クロルヘキシジンなどが主であ
る。
【0006】ところが、従来から医療用消毒剤として使
用されてきた上記のような各種薬剤には、いずれも一長
一短があり、医療用消毒剤として求められる前記のよう
な条件を全て満足しうるものは見当たらない。
【0007】例えば、消毒用エタノールとしては60%
前後のエタノール液が使用されているが、この消毒用エ
タノールは繁殖しつつある細菌は急速に死滅させるもの
の、胞子は死滅し難く、黄色ブドウ球菌、大腸菌などは
約1時間以上も生息し、速効性がない。しかも、沸点7
8.3℃、引火点128℃で、蒸発速度も230と速
く、殺菌のための時間不足とともに、薬効の持続性の点
でも問題がある。更に、この消毒用エタノールの場合に
は、皮膚への刺激があるため、粘膜や創傷部への使用は
できない、といった欠点がある。また、イソプロパノー
ルは前記消毒用エタノールの2倍と毒性が高い。フェノ
ールの場合は、細菌の蛋白質とゆるく結合して蛋白質変
成作用を起こし、また、細胞膜に対し浸透性が強く、膜
の機能低下、破壊を起こし細菌を死滅させる。ところ
が、このフェノールは一般細菌、結核菌には有効である
が、芽胞ウイルスに対する効力はなく、また、特有の臭
いや廃水基準による規制で使用量は減少している。クレ
ゾール石ケン液は結核菌に高い効果があり、有機物への
浸透性がよく、便や痰の消毒に適している。しかし、ゴ
ム、プラスチック、布などに吸着され、水洗による除去
ができず、また、アルカリ側で効力が低下するという問
題がある。塩化ベンザルコニウムや塩化ベンゼトニウム
などの第4級アンモニウム塩は特に強い塩基であり、特
異な殺菌性があるが、芽胞ウイルス、結核菌には効力が
ないし、緑膿菌などグラム陰性菌には耐性の有るものも
ある。更に、この第4級アンモニウム塩の場合、血液に
入ると溶血作用があり、クラーレ症状を起こす。また、
人推定経口毒性LD50=30〜400mg/kg、ラット
経口毒性LD50=400mg/kg、マウス経口毒性LD50
=340mg/kgと毒性が高く、アレルギー反応、過
敏症の発疹、痛痒などが起こり、また、血清、膿汁など
の有機物質の存在や石ケン類、アルカリ側で失効すると
いった問題もある。ヨードチンキ、希ヨードチンキ、ポ
ビドンヨード、ヨウ素等のヨード系消毒剤の場合には、
抗菌スペクトルが広く、また、毒性も低く、中性〜酸性
で殺菌力が大きいものの、アルカリ溶液中で褐色が消え
ると殆ど効力はなく、また、血液、喀痰などの有機物の
存在で著しく効力が低下し、皮膚、粘膜への刺激作用が
あり、また、発疹、水泡、かい痒などの急性皮膚炎を起
こしたり、過敏症が現れることもあるといった点が問題
である。次亜塩素酸ナトリウムは消毒剤として多用され
ているが、このものは金属やリネン類に対する腐食作用
が強く、また、皮膚に対しても肌荒れを起こすので手指
消毒は出来ない。ホルマリンは主にガス消毒法に用いら
れるが、通常18〜24時間と長時間経過ではじめて殺
菌効果が現れるもので、速効性がない。グルタラールの
場合、一般細菌は1〜2分で殺滅する。用法としては浸
漬法で蓋付容器を用い、後水洗を十分に行うことが必要
であり、清拭、噴霧は行わない。このグリタラールは、
中枢神経を侵し、めまい、無気力、運動失調、ケイレン
などを引き起こすおそれがあり、マウス経口毒性LD50=
250mg/kg、ラット経口毒性LD50=311mg/
kgで、吸入毒性はラットに2.5〜3ppm吸入で体
重増加抑制と肺気管支に炎症を起こし、6.0ppm吸
入で著しい体重増加抑制、鼻出血、眼粘膜出血、刺激症
状があり、毒性が高い。塩酸アルキルアミノエチルグリ
シンは等電点(pH8〜9)付近で殺菌剤としての薬効
が最大となるが、酸性、アルカリ性が強くなるに従って
薬効が低下し、また、味が非常に苦く、噴霧には適さな
い。また、人推定致死量=3g/kgであり、石ケン、
蛋白の存在で殺菌力は低下する。手指消毒では、過敏症
の人はかなり肌荒れを起こす。更に、グルコン酸クロル
ヘキシジンの場合、菌種により殺菌力にかなりの変動が
あり、グラム陰性菌の中には感受性の低いものがあり、
また、耐性株がかなり早期に現れる。マウス経口毒性LD
50=2515mg/kg、ラット経口毒性LD50=300
0mg/kgであり、皮膚に接触すると肌荒れを起こ
し、また、副作用として皮疹、失神、呼吸困難ショック
などアレルギー性の全身症状を起こす。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、現在、
医療用の消毒剤として使用されているものは、殺菌効
果、その持続性、毒性などの点でそれぞれ一長一短があ
り、皮膚系、器具計、環境系といった各種の適用部位
や、浸漬法、清拭法、洗浄法、擦式法、噴霧法といった
各種の消毒法の全てに適用でき、しかも、速効性、薬効
の持続性、無害性、安定性といった医療用の消毒剤とし
て求められる全ての条件を満足しうるものものはなく、
特に、強毒性のMRSAに対する優れた殺菌剤は現在の
ところ見当たらない。そこで本発明は、手指、皮膚消毒
用、器具類の浸漬用、床、廊下、部屋などの環境消毒
用、更にはLPガス使用などによる噴霧用としても適用
可能な液状であって、殺菌力が強力で強毒性のMRSA
に対しても有効で、速効性もあり、また、薬効の持続性
にも優れており、しかも、無味、無臭で、また毒性も低
く人に対して無害で皮膚刺激、気管支刺激も無く、更に
は、金属腐食や繊維を侵すおそれもなく、通常の日光、
温度等で変化せず安定であり医療用消毒剤としてだけで
なく、その他の分野、例えば食品関連用として台所、食
堂等の環境消毒用、食器、食品容器等の消毒用に、ま
た、畜舎の環境消毒用として、更には、ウェットティシ
ュ、脱脂綿、不織布等に含浸して除菌シート製品として
も使用して優れた消毒効果を発揮することのできる液状
の消毒剤を提供せんとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明に係る液状消毒剤は、パラオキシ安息香酸
エステルとアルコール、更には、これらに水を加えて構
成してなる。
【0010】前記消毒剤におけるパラオキシ安息香酸エ
ステルの配合量としては0.01%以上である。また、
水を加える場合にはアルコールを5%以上とし、残りが
水である。前記パラオキシ安息香エステルが0.01%
以下では目的とする殺菌、消毒効果が期待できない。ま
た、水を加えた場合にアルコールが5%以下では水に対
して難溶なパラオキシ安息香酸エステルの溶解性が低下
するとと同時に、パラオキシ安息香酸エステルとアルコ
ールとの相乗作用による優れた殺菌力は期待し難い。更
にこの場合、水の添加量としては20%以上、好ましく
は50%以上である。その理由は、水の添加量があまり
少ないと、アルコールの割合が高くなり、その結果、こ
の消毒剤を手指、皮膚消毒用として使用する場合の皮膚
への刺激の点で問題がある。
【0011】更に、上記のパラオキシ安息香酸エステル
とアルコール、あるいはこれに水を加えてなる消毒剤
に、保湿剤を添加することで、消毒剤の薬効持続性、皮
膚などへの刺激性を改善することができる。この保湿剤
としては、オリーブ、オレンヂ、ゴマ、ヤシ等の植物
油、牛脂、カルナバロウ、パラフィン、ワセリン、ステ
アリン酸ステアリルアルコール、またはプロピレングリ
コール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリ
コールなどの多価アルコール類の他、成膜性のあるワッ
クス状品なども使用できるが、このなかでも、主剤であ
るパラオキシ安息香酸エステルと親和性の大きなプロピ
レングリコールが好ましい。
【0012】上記のように本発明では消毒剤の主剤とし
てパラオキシ安息香酸エステルが用いられるが、このパ
ラオキシ安息香酸エステルとしては、メチルエステル、
エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、
ベンジルエステル、イソブチルエステル、イソプロピル
エステルなどが好適に使用され、これらの中の2種以上
を併用することもできる。特に、これらのエステルの中
でも、人畜に対する毒性が低く、かつ殺菌力が大きいブ
チルエステルを用いることが好ましい。
【0013】また、上記のパラオキシ安息香酸エステル
と併用されるアルコールとしては、エタノール、イソプ
ロパノールなどが挙げられるが、毒性などの観点から
は、エタノールを用いることがより好ましい。
【0014】尚、本発明の液状消毒剤を噴霧用として使
用する場合には、パラオキシ安息香酸エステルとアルコ
ールからなる消毒剤とLPガスとを1:1程度の割合で
配合して使用すればよい。
【0015】
【作用】本発明に係る液状消毒剤に用いられるパラオキ
シ安息香酸エステルのうち、パラオキシ安息香酸メチ
ル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プ
ロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等のパラオキシ安息
香酸エステルは、既存化学物質番号3−1585、日本
薬局方、食品添加物公定書、化粧品原料基準等にも掲載
されて広く知られており、25℃の水に対する溶解度が
メチルエステルで0.25、エチルエステルで0.1
7、プロピルエステルは0.05、ブチルエステルで
0.02であり、また、融点はメチルエステルで125
〜128℃、エチルエステルで116〜118℃、プロ
ピルエステルで95〜98℃、ブチルエステルで69〜
72℃であり、いずれも無色の結晶または白色の結晶性
粉末である。これらのパラオキシ安息香酸エステルは、
マウスによる急性経口毒性(LD-50)がメチルエステルで
7800(mg/kg)、エチルエステルで5000
(mg/kg)、プロピルエステルで8000(mg/
kg)、ブチルエステルで17000(mg/kg)と
低く、また、亜急性毒性の点についても、これらの4種
類のパラオキシ安息香酸エステルを各々0.9〜1.2
g/kg/day96週間(2ケ年間)投与して飼育し
た結果は、生育に何ら影響が認められず、人畜に対する
毒性が極めて低い。このため、従来から食品分野におい
ては、醤油、酢、清涼飲料水、果実の表皮などの防腐
剤、また、化粧品、医薬部外品の分野においてはシャン
プー、リンス、ローションなどの防腐剤、更には、医薬
品の分野においては、軟膏、シロップなどの防腐剤とし
て使用されている。また、これらのパラオキシ安息香酸
エステルは、薬効や持続性がpHに影響されないという
特徴を有している。
【0016】上記のパラオキシ安息香酸エステルのカビ
に対する抗菌性(最小発育阻止濃度mg/kg)は下記
表1のとおりである。
【0017】
【表1】
【0018】また、バクテリアに対する抗菌性(最小発
育阻止濃度mg/kg)は下記表2のとおりである。
【0019】
【表2】
【0020】表1および表2の比較から明らかなよう
に、これらのパラオキシ安息香酸エステルは、カビに対
する薬効は大きいが、バクテリアに対する薬効は、カビ
に対するものに較べて10分の1程度である。これに対
し、例えば、果実の表面の防腐剤として公知であるフェ
ノール系のo-フェニルフェノール(OPP) の場合、黄色ブ
ドウ球菌に対しては7500〜10000分の1、大腸
菌に対しては500〜7500分の1、黒カビに対して
は10000〜12500分の1でそれぞれ滅菌でき、
また、クロルヘキシジンの場合には、黄色ブドウ球菌に
対しては100万分の1、大腸菌に対しては10万分の
1、更に緑膿菌に対しては30万分の1でそれぞれ滅菌
できる。また、第4級アンモニウム塩の場合は石炭酸係
数が300〜400程度である。このように、パラオキ
シ安息香酸エステルの場合は、他の消毒剤に較べてバク
テリアに対する殺菌力が大きく劣っている。
【0021】更に、既に述べたように、一般に消毒剤
は、(1)スワブ法(清拭法)、スクラブ法(洗浄
法)、ラビング法(擦式法)などにより手指、皮膚消毒
用として使用されるものについては、液状あるいはロー
ション状であり、(2)スワブ法(清拭法)、ベースン
法(浸漬法)などにより器具類を消毒する場合も当然に
液状であり、(3)院内の床、廊下、部屋などの環境消
毒の場合にも同様に液状であって、さらに(4)LPガ
スなどの使用しての噴霧用も液状である。つまり、医療
用を始めとして、一般に使用される消毒剤は液状である
ことが条件となっている。ところが、パラオキシ安息香
酸エステルの場合、上記のように水に対する溶解性が低
い白色の結晶性粉末であるため、医療用消毒剤としては
不適であった。このため、従来においては、これらのパ
ラオキシ安息香酸エステルは、単に上記のような食品、
化粧品などにおける防腐剤としての用途に止まってお
り、消毒剤としては全く使用されていなかった。
【0022】これに対し本発明では、従来においては、
殺菌性の点、および水に対する溶解性の低さなどの点か
ら消毒剤としての用途は全く考慮されていなかったパラ
オキシ安息香酸エステルをアルコールと併用すること
で、(1)グラム陰性菌の大腸菌、陽性菌の黄色ブドウ
球菌、緑膿菌などに対して少量で速効的に殺菌すること
ができる、(2)アルコールに溶解させることで液状と
して消毒剤として使用可能としたものである。パラオキ
シ安息香酸エステルとアルコールに加えて更にこれに水
を添加した消毒剤にあっては、前記のような手指、皮膚
消毒用として使用した場合のアルコールによる皮膚刺激
を緩和しうるものである。
【0023】更に、上記のパラオキシ安息香酸エステ
ル、アルコール、あるいは更に水を加えてなる液状消毒
剤は、これを浸漬用に用いる場合には特に問題はない
が、スワブ法(清拭法)、スクラブ法(洗浄法)、ラビ
ング法(擦式法)などにより手指、皮膚消毒用、あるい
は環境消毒をした場合、水およびアルコールが乾燥蒸発
した後、パラオキシ安息香酸エステルの白色結晶物が析
出することがある。そこで、これらの用途に用いる場合
には、上記のパラオキシ安息香酸エステル、アルコー
ル、および水に加えて、更に油脂、ワックス類、多価ア
ルコールなどを保湿剤として併用して成膜状とすること
で水およびアルコールが乾燥蒸発した後もその成膜によ
りパラオキシ安息香酸エステルの析出を防止するととも
に、皮膚を保護して皮膚刺激、肌荒れなども防止しうる
のである。
【0024】
【実施例】以下、本発明に係る液状消毒剤の具体的実施
例を示すが、本発明はこれらの実施例に何ら限定される
ものではない。
【0025】(実施例1)表3に示す配合により、パラ
オキシ安息香酸ブチル(吉富製薬(株)製)をエタノー
ルに溶解し、更にこれに水を加えて本発明に係る液状の
消毒剤1〜4を調製した。
【0026】
【表3】
【0027】(実験1)上記実施例1で調製した本発明
に係る液状消毒剤1〜4について、細菌に対する殺菌効
果試験を行った。試験は、消毒剤に大腸菌またはメチシ
リン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の菌液を添加後、
経時的に菌の生死を判定した。結果を表4に示す。尚、
表中「+」は菌が死滅しなかったことを、「−」は菌が
死滅したことを示す。
【0028】試験方法は下記のとおりである。 1)試験菌株 大腸菌 :Escherichia coil IFO 3301 MRSA:Methicillin Resistant Staphylococcus aur
eus (京都微生物研究所分離株) 2)試験用培地 継代培養培地:0.2%肉エキス加普通ブイヨン(栄研
化学) 後培養培地 :SCDLP 培地(日本製薬) 3)菌液の調製 継代培養培地を用いて3〜4代継代した後、同培地に移
植し、35℃24時間培養した。 4)試験操作 消毒剤10mlに菌液1mlを加え、混合後、20℃で
一定時間作用させた。作用開始30秒及び1分後に作用
試験管から後培養培地に1白金耳量移植し、35℃で2
日間培養後、試験菌の育成の有無を観察し、菌の生死を
判定した。尚、対照として滅菌水についても同様に試験
した。
【0029】
【表4】
【0030】表4の結果から明らかなように、本発明に
係る液状消毒剤1〜4は、いずれも大腸菌、MRSAに
対して優れた殺菌力を有し、特に、MRSAに対して
は、30秒以内の短時間で完全に死滅させることがで
き、速効性と優れた殺菌性が明らかとなった。
【0031】(実施例2)表5に示す配合により、各種
パラオキシ安息香酸エステルをエタノールまたはプロピ
レングリコールに溶解し、更にこれに適宜水を加えて本
発明に係る液状の消毒剤5〜10を調製した。
【0032】
【表5】
【0033】(実験2)実施例2で調製した本発明に係
る液状消毒剤5〜10について、実験1の場合と同様に
して大腸菌およびメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MR
SA)に対する殺菌効果試験を行った。結果を表6に示
す。尚、表中「NT」は試験を実施しなかったことを示
す。
【0034】
【表6】
【0035】表6の結果から明らかなように、本発明に
係る消毒剤は、パラオキシ安息香酸エステルとしてメチ
ルエステル、エチルエステル、およびプロピルエステル
を用いたいずれの場合においても大腸菌、MRSAに対
して優れた殺菌力を有し、また、パラオキシ安息香酸エ
ステルは0.05%で十分な殺菌力を有し、更に、エタ
ノールを使用することなくプロピレングリコールのみに
溶解した場合においても優れた殺菌力を有する。
【0036】(実施例3)表7に示す配合により、各種
パラオキシ安息香酸エステルをエタノールまたはプロピ
レングリコールに溶解し、更にこれに水を加えて本発明
に係る液状の消毒剤11、12を調製した。
【0037】
【表7】
【0038】(実験3)実施例3で調製した本発明に係
る液状消毒剤11、12について、MRSAとして、財
団法人 日本食品分析センター保存株(Methicillin Re
sistant Staphylococcus aureus NS462)を用いた以外は
実験1の場合と同様にして大腸菌およびメチシリン耐性
黄色ブドウ球菌(MRSA)に対する殺菌効果試験を行
った。結果を表8に示す。
【0039】
【表8】
【0040】(実施例4)パラオキシ安息香酸ブチル
(吉富製薬(株)製)0.2%、エタノール70%、プ
ロピレングリコール(花王(株)製)0.2%、および
水30%の比率で本発明に係る消毒剤13を調製した。
【0041】(実験4)上記の消毒剤13を約3ml手
指に擦り込み(ラビング法)、消毒前と1分後の手指の
菌数をストリークプレート法に準じて測定した結果は、
表9のとおりであった。
【0042】
【表9】
【0043】表9の結果から明らかなように、本発明に
係る消毒剤13は、速効性と優れた殺菌性を有するもの
である。
【0044】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る液状消毒剤
は、パラオキシ安息香酸エステルと、アルコールと、更
にこれらに水を加えてなり、パラオキシ安息香酸エステ
ルとアルコールとを併用することで大腸菌、黄色ブドウ
球菌、緑膿菌などに対する優れた殺菌性、速効性を有
し、とりわけ、非常に毒性が高く従来においては適切な
殺菌剤がないといわれていたMRSAに対してさえも約
30秒以内の短時間で完全に殺菌することができ、医療
用の消毒剤として使用した場合には極めて有用である。
しかも、この消毒剤に用いられるパラオキシ安息香酸エ
ステルは、融点がいずれも70℃以上であって常温で軟
化することがなく、また昇華分解もせず、更に水に難溶
であるため消毒後、アルコールや水が乾燥した後でも水
洗による薬剤の流失が少なく、殺菌効果の持続性に優れ
ている。そして、この消毒剤は、無味、無臭で、また、
毒性も低く人畜に対して無害であると同時に、皮膚、気
管支などへの刺激もなく、しかも金属を腐食したり、繊
維を侵したりすることもない。更に、上記の消毒剤の構
成に加えて、保湿剤を更に添加することで、この保湿剤
が皮膚を保護してアルコールによる皮膚、粘膜への刺激
を和らげることができ、手指、手術部位の皮膚、粘膜な
どにも適用することができると同時に、保湿剤の成膜作
用により水、アルコール蒸発後のパラオキシ安息香酸エ
ステルの結晶析出による白化を防止し、かつ薬効の持続
性を一層向上させることができる。

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パラオキシ安息香酸エステル0.01%
    以上と、アルコールとからなる液状消毒剤。
  2. 【請求項2】 パラオキシ安息香酸エステル0.01%
    以上と、アルコール5%以上と、水とからなる液状消毒
    剤。
  3. 【請求項3】 パラオキシ安息香酸エステル0.01%
    以上と、保湿剤0.1%以上と、アルコールとからなる
    液状消毒剤。
  4. 【請求項4】 パラオキシ安息香酸エステル0.01%
    以上と、アルコール5%以上と、保湿剤0.1%以上
    と、水とからなる液状消毒剤。
  5. 【請求項5】 パラオキシ安息香酸エステルが、パラオ
    キシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラ
    オキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、
    パラオキシ安息香酸ベンジル、パラオキシ安息香酸イソ
    プロピル、パラオキシ安息香酸イソブチルの中から選択
    される1種または2種以上である請求項1〜請求項4の
    いずれかに記載の液状消毒剤。
  6. 【請求項6】 パラオキシ安息香酸エステルがパラオキ
    シ安息香酸ブチルである請求項1〜請求項4のいずれか
    に記載の液状消毒剤。
  7. 【請求項7】 アルコールがエタノールまたはイソプロ
    パノールである請求項1〜請求項4のいずれかに記載の
    液状消毒剤。
  8. 【請求項8】 保湿剤が、オリーブ油、オレンジ油、ゴ
    マ油、ヤシ油、牛脂、カルナバロウ、パラフィン、ワセ
    リン、ステアリン酸ステアリルアルコール、およびプロ
    ピレングリコールの中から選択される1種または2種以
    上である請求項3または請求項4記載の液状消毒剤。
  9. 【請求項9】 保湿剤がプロピレングリコールである請
    求項3または請求項4記載の液状消毒剤。
  10. 【請求項10】 パラオキシ安息香酸エステル0.5
    %、エタノール70%、水30%からなる液状消毒剤。
  11. 【請求項11】 パラオキシ安息香酸ブチル0.2〜
    0.5%、エタノール50〜70%、水30〜50%か
    らなる液状消毒剤。
  12. 【請求項12】 パラオキシ安息香酸ブチル0.05〜
    0.5%、プロピレングリコール99.5〜99.95
    %からなる液状消毒剤。
  13. 【請求項13】 パラオキシ安息香酸ブチル0.05
    %、エタノール70%、プロピレングリコール30%か
    らなる液状消毒剤。
  14. 【請求項14】 パラオキシ安息香酸ブチル0.2〜
    0.5%、エタノール40%、プロピレングリコール1
    0%、水49.5〜49.8%からなる液状消毒剤。
  15. 【請求項15】 パラオキシ安息香酸ブチル0.2%、
    エタノール70%、プロピレングリコール0.2%、水
    30%からなる液状消毒剤。
  16. 【請求項16】 パラオキシ安息香酸エステル0.01
    〜0.5%と、エタノールまたはイソプロパノール9
    9.5〜99.99%とからなる液状消毒剤と、LPガ
    スとを1:1の割合で配合してなる噴霧用消毒剤。
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