JPH07258001A - 徐放性粒状農薬組成物 - Google Patents

徐放性粒状農薬組成物

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JPH07258001A
JPH07258001A JP7016194A JP7016194A JPH07258001A JP H07258001 A JPH07258001 A JP H07258001A JP 7016194 A JP7016194 A JP 7016194A JP 7016194 A JP7016194 A JP 7016194A JP H07258001 A JPH07258001 A JP H07258001A
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昌巳 上前
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一大 増子
Yukinori Nakazato
幸徳 中里
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Abstract

(57)【要約】 【目的】農薬成分放出の制御性、使用に際しての作業性
に優れ、作業者や環境に対して悪影響を及ぼすことがな
く、且つ安価な徐放性粒状農薬組成物の提供。 【構成】液体もしくは微粉状固体の農薬成分を含有させ
た粒剤または微粒剤をポリマーで被覆してなる徐放性粒
状農薬組成物において、該ポリマーが、特定のエチレン
系単量体(a)80〜99.9重量%、分子中にカルボキシル基
を有するエチレン系単量体(b)0.1〜20重量%、及び、該
単量体(a)及び(b)と共重合可能であって該単量体(a)及
び(b)以外の共単量体(c)0〜30重量%を繰返し構成単位
とする共重合体、及び/又は該共重合体の多価金属塩で
あることを特徴とする徐放性粒状農薬組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、農薬成分放出の制御
性、使用に際しての作業性に優れ、作業者や環境に対し
て悪影響を及ぼすことがなく、且つ安価な徐放性粒状農
薬組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から農薬成分を徐放性のものとする
試みは数多くなされてきた。徐放性とは、同一の条件下
で他の製剤と比較したとき、有効成分の放出速度が抑制
され、より長期間に渡って有効成分が放出されるような
性質を意味するものであるが、従来の試みはいずれも薬
効の持続、有効成分の安定化、作物に対する薬害の軽
減、魚毒性の軽減、その他種々の問題点の解決を目的と
するものである。
【0003】従来の徐放性農薬組成物は、大別すると、
(1) 農薬を天然または合成樹脂と共に混合して徐放性化
しようとするもの(特開昭47−20347号公報参照)、(2)
農薬をマイクロカプセル化するもの(特開昭48−4643
号公報参照)、(3) 農薬をポリマーで被覆し、徐放性化
しようとするもの(特開昭55−104201号公報、特開昭57
−126402号公報参照)等、がある。
【0004】しかしながらこれらの徐放性農薬組成物
は、いずれも欠点を有している。例えば、上記(1)の組
成物は農薬と合成樹脂との混合物であるため、使用する
樹脂の量が多くなるという欠点を有している。上記(2)
の組成物には、製造に要するコストが高くなること、散
布時に分散状態にする必要から水を使用することが要求
されていること、分散状態にすればマイクロカプセル化
された農薬が分離沈降し易くなり、安定性に乏しいこと
等の欠点を有している。上記(3)の組成物は、上記(1)及
び(2)の組成物の如き欠点を有さず、最も一般的なもの
であるが、従来使用されているポリマーは熱可塑性樹脂
であり、農薬を被覆する際に有機溶媒が必要となるた
め、作業上の危険性、人体への影響、環境への影響等の
問題が多く、しかもポリマーが噴霧によりコーテイング
されているため、農薬組成物の流動性が悪くなり、また
ポリマーが粘着性のため農薬組成物が固結する等の不都
合を有している。
【0005】また、液体若しくは微粉化した固体の農薬
有効成分を、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸及
びそのエステル類又は塩類から選ばれた単量体を重合し
てなる水溶性又は水分散性の生成物を使用して被覆する
ことを特徴とする表面被覆型粒状農薬については、特開
昭58−13504号公報に開示されているが、該公報に記載
されている発明は固体農薬成分を被覆したポリマー等が
水溶性であることを利用し、溶脱性の優れた農薬組成物
を提供しようとするものであり、該公報には徐放性につ
いての記載は全くない。
【0006】さらに特開昭61−282301号公報には、アク
リル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマ
ル酸及びこれらの多価金属塩から選ばれた単量体を繰り
返し構成単位とする水不溶性オリゴマー又はポリマーで
被覆してなる粒状徐放性農薬組成物を開示しているが、
該提案の実施例において具体的に開示されているオリゴ
マー又はポリマーは、例えば70モル%以上など極めて多
量のカルボキシル基含有単量体を共重合したものであ
が、該オリゴマー又はポリマーを不溶化するためには多
量の多価金属塩を必要とすることになり、ポリマーの金
属架橋密度も非常に高くならざるをえず、形成される被
覆皮膜が脆いものとなりがちで、得られる農薬組成物に
衝撃を与えたり、水に浸漬したりしたとき、応力緩和が
不十分なものとなり、結果として農薬の徐放効果が必ず
しも十分とはいいがたい。
【0007】
【発明が解決すべき課題】本発明者は、作業上の危険
性、人体への影響、環境への影響等がなく、安価な粒状
徐放性農薬組成物を開発すべく種々の検討を重ねてきた
が、液状もしくは微粉化した固体農薬成分を含有する粒
剤または微粒剤を、特定組成の水溶性ポリマーで被覆し
た後、これを水不溶性にすることにより所望の徐放性粒
状農薬組成物が得られることを見出し、本発明を完成し
た。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、液体もしくは
微粉状固体の農薬成分を含有させた粒剤または微粒剤を
ポリマーで被覆してなる徐放性粒状農薬組成物におい
て、該ポリマーが、下記(a)〜(c)、
【0009】(a) 下記一般式(1)で表わされるエチレン
系単量体 80〜99.9重量%、
【0010】
【化2】
【0011】(式中、R1は水素またはメチル基を表わ
し、Yは水素、炭素数1〜8のアルキル基、−COOR
2、−OCOR3、アリール基またはCNを表わし、R2
は炭素数1〜12のアルキル基を表わし、R3は水素また
は炭素数1〜12のアルキル基を表わす)
【0012】(b) 分子中にカルボキシル基を有するエチ
レン系単量体 0.1〜20重量%、及び、
【0013】(c) (a)及び(b)と共重合可能であって、該
(a)及び(b)以外の共単量体 0〜30重量%、を繰り返し
構成単位とする共重合体の多価金属塩であることを特徴
とする徐放性粒状農薬組成物の提供を目的とするもので
ある。
【0014】以下本発明を詳細に説明する。
【0015】本発明の徐放性粒状農薬組成物は、ポリマ
ー中に含有されるカルボキシル基をアルカリで中和して
得られる水溶性のポリマーを用いて、液体もしくは微粉
状固体の農薬成分を含有する粒剤または微粒剤を被覆し
た後、加熱処理して該水溶性ポリマーを水不溶化する
か、または多価金属塩溶液で処理して該水溶性ポリマー
を水不溶化することとにより製造される。
【0016】本発明において処理対象となるものは、液
体もしくは微粉状固体の農薬成分を含有する粒剤又は微
粒剤である。
【0017】上記の農薬成分としては、従来公知の殺虫
剤、除草剤及び殺菌剤のいずれでもよく、例えば、O,S-
ジメチル-N-アセチルホスホロアミドチオエート、O,O-
ジメチル-S-フタリルイミドメチルジチオホスフェー
ト、O,O-ジエチル-S-2-(エチルチオ)エチルホスホロジ
チオエート、2-クロロ-1-(2,4,5-トリクロロフェニル)
ビニルジメチルホスフェート、(2-イソプロピル-4-メチ
ルピリミジル-6)-ジエチルチオホスフェート等の有機リ
ン系殺虫剤;
【0018】例えば、2,3-ジヒドロ-2,2-ジメチル-7-ベ
ンゾフラニル-N-[N-(2-エトキシカルボニルエチル)-N-i
-プロピルアミノスルフェニル]-N-メチルカルバメー
ト、2,3-ジヒドロ-2,2-ジメチル-7-ベンゾフラニル-N-
(N,N-ジブチルアミノスルフェニル)-N-メチルカルバメ
ート、[(2,3-ジヒドロ-2,2-ジメチルベンゾフラニル-7-
オキシ)-(N-メチルアミノ)カルボニル]-[n-ブトキシ-
(N'-メチルアミノ)カルボニル]サルファイド、2-イソプ
ロポキシフェニル-N-メチルカルバメート、ジメチル(3-
メチル-4-ニトロフェニル)チオホスフェート、1-ナフチ
ル-N-メチルカルバメート等のカーバメイト系殺虫剤;
【0019】例えば、ジイソプロピル-1,3-ジチオラン-
2-イリデン-マロネート、O,O-ジイソプロピル-S-ベンジ
ルチオホスフェート等の殺菌剤;例えば、2,4-ジクロロ
フェニル-3-メトキシ-4'-ニトロフェニルエーテル、5-
エチルヘキサヒドロ-1H-アゼピン-1-カルボチオエート、
2-メチルチオ-4,6-ビス-エチルアミノ-s-トリアジン、
2,6-ジクロロベンゾニトリル、S-(4-クロロベンジル)-
N,N-ジエチルチオカルバメート、2-クロロ-4,6-ビス(エ
チルアミノ)-s-トリアジン、2,4-ジクロロフェニル-4'-
ニトロフェニルエーテル、2,4,6-トリクロロフェニル-
4'-ニトロフェニルエーテル、3-イソプロピル-2,1,3-ベ
ンゾ-チアジアジノン-(4)-2,2-ジオキシド等の除草剤;
などを挙げることができる。
【0020】本発明で用いられるポリマーの繰り返し構
成単位である前記単量体(a)は、下記一般式(1)で表わさ
れるエチレン系単量体である。
【0021】
【化3】
【0022】(式中、R1は水素またはメチル基を表わ
し、Yは水素、炭素数1〜8のアルキル基、−COOR
2、−OCOR3、アリール基またはCNを表わし、R2
は炭素数1〜12のアルキル基を表わし、R3は水素また
は炭素数1〜12のアルキル基を表わす)
【0023】このような単量体(a)としては、Yが水素
または炭素数1〜8のアルキル基である単量体、例え
ば、エチレン、n-プロピレン、i-プロピレン、n-ブチレ
ン、i-ブチレン等のオレフィン系単量体;Yが−COO
2で、R2が炭素数1〜12のアルキル基である単量体、
例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アク
リレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、i-プロピル
(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-
ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレー
ト、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル
(メタ)アクリレート、i-オクチル(メタ)アクリレート、
n-ノニル(メタ)アクリレート、i-ノニル(メタ)アクリレ
ート、ラウリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル
酸エステル系単量体;
【0024】Yが−OCOR3で、R3が水素または炭素
数1〜12のアルキル基である単量体、例えば、蟻酸ビニ
ル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、「バーサチック
酸ビニル」(商品名、シェル社製)等の飽和脂肪酸ビニ
ル単量体;Yがアリール基である単量体、例えば、スチ
レン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族
ビニル単量体;YがCNである単量体、例えば、(メタ)
アクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体;などが挙
げられ、
【0025】得られる農薬組成物の徐放効果のよさ等の
観点からメチルアクリレート、エチルアクリレート、メ
チルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系単
量体及び酢酸ビニル、「バーサチック酸ビニル」等の飽
和脂肪酸ビニル単量体の使用が好ましく、安全性や経済
性の観点から酢酸ビニルの使用が特に好ましい。
【0026】これらの単量体(a)の共重合比率は、単量
体(a)〜(c)の合計100重量%に対して、80〜99.9重量
%、好ましくは85〜99.5重量%、特に好ましくは90〜99
重量%の範囲である。単量体(a)の共重合比率が、該上
限値を超えて多過ぎては、得られる共重合体をアルカリ
で中和したとき水溶性になりにくいので好ましくなく、
一方、該下限値未満と少な過ぎては、得られる農薬組成
物の被覆皮膜の耐水性が不足しがちであり、十分な徐放
効果が得にくいので好ましくない。
【0027】前記単量体(b)は、分子中にカルボキシル
基を有するエチレン系単量体及び/又はこれらの多価金
属塩である。このような単量体(b)の具体例としては、
例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、シト
ラコン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等の炭素
数3〜5のα,β-不飽和モノ-もしくはジ-カルボン酸
(以下、エチレン系カルボン酸と略称することがあ
る);例えば、無水マレイン酸等の炭素数4〜5のα,
β-不飽和ジカルボン酸の無水物;例えば、モノn-ブチ
ルマレート、モノn-ブチルフマレート、モノエチルイタ
コネート等の炭素数4〜5のα,β-不飽和ジカルボン酸
の炭素数1〜12のモノアルキルエステル単量体;例え
ば、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸アンモニウム
等のエチレン系カルボン酸または炭素数4〜5のα,β-
不飽和ジカルボン酸モノアルキルエステル単量体のアン
モニウム塩もしくはアルカリ金属塩を挙げることができ
る。
【0028】これらの単量体(b)のうち、重合反応の容
易さ等の観点から、単量体(a)として(メタ)アクリル酸
エステル系単量体を主成分量用いるときには、アクリル
酸、メタクリル酸、イタコン酸(特にはアクリル酸、メ
タクリル酸)の使用が好ましく、また、単量体(a)とし
て飽和脂肪酸ビニル単量体を主成分量用いるときには、
クロトン酸、モノメチルマレート、モノエチルマレー
ト、モノブチルマレート(特にはクロトン酸)の使用が
好ましい。
【0029】単量体(b)の共重合比率は、単量体(a)〜
(c)の合計100重量%に対して、0.1〜20重量%、好まし
くは0.5〜15重量%、特に好ましくは1〜10重量%の範
囲である。単量体(b)の共重合比率が、該上限値を超え
て多過ぎては、得られる農薬組成物の被覆皮膜の耐水性
が不足しがちであり、農薬成分の十分な徐放効果が得に
くいので好ましくなく、一方、該下限値未満と少な過ぎ
ては、得られる共重合体をアルカリで中和したとき水溶
性になりにくいので好ましくない。
【0030】前記単量体(c)は、前記単量体(a)及び(b)
と共重合可能であって、該単量体(a)及び(b)以外の共単
量体である。このような単量体(c)の具体例としては、
例えば、アクリルアミド、メタククリルアミド、ジアセ
トンアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-
メチロールメタクリルアミド等のエチレン系カルボン酸
のアミド類またはその誘導体;例えば、グリシジルアク
リレート、グリシジルメタクリレート等のエチレン系カ
ルボン酸とエポキシ基を有する飽和アルコールとのエス
テル類;例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-
ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシエチル
メタアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタアクリレ
ート等のエチレン系カルボン酸と多価飽和アルコールと
のエステル類;などが挙げられる。
【0031】共単量体(c)の共重合比率は、単量体(a)〜
(c)の合計100重量%に対して、0〜30重量%、好ましく
は0〜25重量%、特に好ましくは0〜20重量%の範囲で
あるのがよい。単量体(c)の共重合比率が、該下限値以
下であれば、共重合時の反応性及び安定性に優れると共
に、得られる農薬組成物の被覆皮膜の耐水性や農薬成分
の徐放効果などの本発明の効果を損なうことがないので
好ましく、また、該共単量体(c)を使用することによ
り、得られるポリマーに、必要に応じて適宜の親水性、
または、架橋構造の導入などによる更に優れた徐放制御
性等を付与することができるので、該共単量体(c)は該
共重合比率の範囲で用いるのが好ましい。
【0032】本発明において、農薬成分を含有させた粒
剤または微粒剤を被覆するのに用いる水溶性ポリマー
は、前記単量体(a)〜(c)を、例えば、溶液重合、乳化重
合、懸濁重合などの公知の方法により共重合し、次いで
アンモニア水などのアルカリで中和することにより調製
することができる。
【0033】本発明に用いられるポリマーの分子量は、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定に
よる重量平均分子量で3000〜10万程度が好ましく、また
固形分約25重量%水溶液の粘度は、50〜2000cps程度
(B型回転粘度計、25℃、20rpm、以下同様)が好適で
ある。
【0034】本発明の徐放性粒状農薬組成物は、まず液
体もしくは微粉状固体の農薬成分を含有する粒剤または
微粒剤を、上記水溶性ポリマーで被覆し、次いでこれを
水不溶性にすることにより製造される。
【0035】上記の農薬成分を含有する粒剤または微粒
剤を水溶性ポリマーで被覆するに際しては、従来公知の
技術を広く適用でき、例えば該ポリマーの水溶液(通常
は10〜30重量%水溶液)を噴霧するか、またはポリマー
の水溶液中に被覆すべき粒剤または微粒剤を浸漬すれば
よい。該水溶性ポリマーの被覆量としては、特に制限さ
れないが、上記固体農薬成分を含有する粒剤又は微粒剤
100重量部に対して、通常0.5〜20重量%程度、好ましく
は1〜10重量%程度の量を被覆するのがよい。
【0036】次に水不溶性にするための方法としては、
上記水溶性ポリマーで被覆された粒剤又は微粒剤を加熱
処理して水分の除去と同時にアルカリの脱離を行えばよ
い。加熱温度は、処理される農薬成分の種類等により異
なり一概にはいえないが、一般には50〜150℃程度であ
り、また加熱時間は、通常3〜180分程度である。
【0037】さらに別法として、上記水溶性ポリマーに
多価金属塩を添加したポリマー溶液で農薬成分を含有す
る粒剤または微粒剤を被覆すればよい。使用できる多価
金属塩としては、例えば塩化カルシウム、塩化マグネシ
ウム、塩化亜鉛、塩化銅、塩化アルミニウム、硫酸カル
シウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸銅、硫酸ア
ルミニウム、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硝酸
亜鉛、硝酸銅、カルシウムアンミン錯体、亜鉛アンミン
錯体等を挙げることができる。多価金属塩の量として
は、ゲル化点となる以上の量を使用するのがよい。
【0038】これらの方法は、いずれも簡単な方法であ
り、水溶性ポリマーの使用量及び加熱方法、多価金属塩
の使用量を適宜選択することにより、不溶化の度合を調
整することができるので、農薬成分の放出率を自由にコ
ントロールすることができる。
【0039】
【実施例】以下、本発明を実施例、比較例及び参考例に
より更に具体的に説明する。なお、実施例及び比較例に
おいて用いる、試験用サンプルの作成及びその試験方法
は次のとおりである。
【0040】(1) 耐水性試験 清浄なガラス板上に乾燥時の膜厚が30μmとなるように
ドクターブレードを用いてポリマー水溶液を塗布し、室
温で3時間乾燥後120℃、20分加熱処理し、次いで室温
で16時間以上放置して試験板とする。この試験板を20℃
の水中に30分間浸漬後取出し、皮膜の白化、亀裂を次の
基準により評価する。
【0041】<白化> ○・・・・・・白化せず △・・・・・・少し白化 ×・・・・・・白化大
【0042】<亀裂> ○・・・・・・亀裂なし △・・・・・・少し亀裂発生 ×・・・・・・亀裂発生多い
【0043】(2) 農薬溶出率試験 500ccのガラスビーカーに、脱イオン水を200ml入れ、こ
れに試料として試料の粒状農薬組成物100mgを投入し、2
0℃の室内に放置し、1日後、3日後及び7日後におけ
る水中の農薬有効成分濃度をガスクロマトグラフィーに
より測定し、次式に従って農薬の溶出率を算出する。
【0044】
【数1】
【0045】参考例1 撹拌機、還流冷却機および温度計を備えた反応容器に、
脱イオン水730重量部を仕込み、窒素フローしながら80
℃に昇温した。また、別の容器に酢酸ビニル(VAc)285
重量部及びクロトン酸(CA)15重量部を添加し、混合し
て均一に溶解して単量体混合物とした。この単量体混合
物の全量及び重合開始剤水溶液としてのt-ブチルヒドロ
パーオキシド10重量%水溶液60重量部を反応容器中に3
時間で連続添加し、次いで同温度で1時間保持した後冷
却し、25重量%アンモニア水溶液及び25重量%酢酸亜鉛
(ZnAc)水溶液を添加して、pH8.5〜9.5になるように調
節してポリマー水溶液を得た。得られたポリマーの共重
合組成及び分子量、酢酸亜鉛の配合量、並びに、ポリマ
ー水溶液の性状及び耐水性試験結果を表1に示す。
【0046】参考例2 参考例1において、VAc 285重量部用いる代わりに、VAc
195重量部及び「バーサチック酸ビニル」(商品名)(V
V)90重量部用いる以外は実施例1と同様にしてポリマ
ー水溶液を得た。得られたポリマーの共重合組成及び分
子量、酢酸亜鉛の配合量、並びに、ポリマー水溶液の性
状及び耐水性試験結果を表1に示す。
【0047】参考例3〜4 参考例1において、VAc 285重量部及びCA 15重量部用い
る代わりに、メチルメタクリレート(MMA)150重量部、
エチルアクリレート(EA)126重量部及びアクリル酸(A
A)24重量部、並びに、MMA 210重量部及びAA 90重量部
をそれぞれ用いる以外は実施例1と同様にしてポリマー
水溶液を得た。得られたポリマーの共重合組成及び分子
量、酢酸亜鉛の配合量、並びに、ポリマー水溶液の性状
及び耐水性試験結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】実施例1 カーバメート系殺虫剤〔2,3-ジヒドロ-2,2-ジメチル-7-
ベンゾフラニル-N-[N-(2-エトキシカルボニルエチル)-N
-i-プロピルアミノスルフェニル]-N-メチルカルバメー
ト〕5重量部と48〜75メッシュのクレー95重量部とを、
ナウタミキサーで10分間混合した。次いで参考例1のポ
リマー水溶液を、該殺虫剤とクレーとの合計100重量部
に対して固形分で5重量部となるように噴霧し、更に10
分間混合した後、これを熱風循環式乾燥器中で110℃、1
5分間乾燥し、目的の徐放性粒状農薬組成物を得た。使
用したポリマーの量及び得られた農薬組成物の溶出率試
験結果を表2に示す。
【0050】実施例2 実施例1において、参考例1のポリマー水溶液の使用量
を変える以外は実施例1と同様にして徐放性粒状農薬組
成物を得た。使用したポリマーの量及び得られた農薬組
成物の溶出率試験結果を表2に示す。
【0051】実施例3〜4及び比較例1 実施例1において、参考例1のポリマー水溶液を用いる
代わりに、参考例2〜4のポリマー水溶液を用いる以外
は、実施例1と同様にして、徐放性粒状農薬組成物を得
た。使用したポリマーの量及び得られた農薬組成物の溶
出率試験結果を表2に示す。
【0052】比較例2 実施例1において、ポリマー水溶液を噴霧しない以外は
実施例1と同様にして、徐放性粒状農薬組成物を得た。
使用したポリマーの量及び得られた農薬組成物の溶出率
試験結果を表2に示す。
【0053】
【表2】
【0054】
【発明の効果】本発明の粒状徐放性農薬組成物は、従来
のものに比し、より長期間に渡って優れた薬効を持続し
得るものである。また本発明の粒状徐放性農薬組成物を
使用するに当って、作業上の危険性、人体への影響、環
境への影響等もない。更に上記した通り、本発明組成物
を製造する際の条件を適宜選択することにより、農薬成
分の放出率を自由にコントロールすることができるとい
う利点がある。加えて、本発明組成物の製造も容易であ
り、経済的にも好適なものである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】液体もしくは微粉状固体の農薬成分を含有
    させた粒剤または微粒剤をポリマーで被覆してなる徐放
    性粒状農薬組成物において、該ポリマーが、下記(a)〜
    (c)、(a) 下記一般式(1)で表わされるエチレン系単量体
    80〜99.9重量%、 【化1】 (式中、R1は水素またはメチル基を表わし、Yは水
    素、炭素数1〜8のアルキル基、−COOR2、−OC
    OR3、アリール基またはCNを表わし、R2は炭素数1
    〜12のアルキル基を表わし、R3は水素または炭素数1
    〜12のアルキル基を表わす)(b) 分子中にカルボキシル
    基を有するエチレン系単量体 0.1〜20重量%、及び、
    (c) (a)及び(b)と共重合可能であって、該(a)及び(b)以
    外の共単量体 0〜30重量%、を繰り返し構成単位とす
    る共重合体、及び/又は該共重合体の多価金属塩である
    ことを特徴とする徐放性粒状農薬組成物。
  2. 【請求項2】 多価金属塩がカルシウム塩、マグネシウ
    ム塩、亜鉛塩、銅塩またはアルミニウム塩である請求項
    1に記載の組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002121101A (ja) * 2000-10-12 2002-04-23 Hokko Chem Ind Co Ltd 被覆粒状農薬組成物およびその製造方法
JP2007308413A (ja) * 2006-05-17 2007-11-29 Nippon Nohyaku Co Ltd 農薬粒状製剤及びその製造方法
JP2022136010A (ja) * 2021-03-05 2022-09-15 三井化学アグロ株式会社 被覆農薬組成物

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