JPH07258788A - 脆性亀裂伝播停止特性と低温靭性の優れた厚鋼板の製造方法 - Google Patents
脆性亀裂伝播停止特性と低温靭性の優れた厚鋼板の製造方法Info
- Publication number
- JPH07258788A JPH07258788A JP4883294A JP4883294A JPH07258788A JP H07258788 A JPH07258788 A JP H07258788A JP 4883294 A JP4883294 A JP 4883294A JP 4883294 A JP4883294 A JP 4883294A JP H07258788 A JPH07258788 A JP H07258788A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- toughness
- crack propagation
- tempering
- brittle crack
- bainite
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
Abstract
加に頼ることなく、脆性亀裂伝播停止特性と、シャルピ
ー特性の優れた引張り強度60kgf/mm2 級以下の高張力
構造用鋼板を製造する方法を提供する。 【構成】 所定の成分範囲の鋼において、フェライトの
体積分率が30〜80%で、残部がベイナイトあるいは
マルテンサイト、あるいはベイナイトとマルテンサイト
の混合組織である組織を有する鋼板を、0.5℃/s以上
の昇温速度で450〜650℃に再加熱し、該温度での
保持時間が10分以下の条件で焼戻すことを特徴とする
脆性亀裂伝播停止特性と低温靭性の優れた厚鋼板の製造
方法。
Description
の多量の添加に頼ることなく、脆性亀裂伝播停止特性
と、シャルピー特性の優れた引張り強度60kgf/mm2 級
以下の高張力構造用鋼板を製造する方法に関するもので
ある。
冶金学的方法としては結晶粒の微細化とNi量の増加が
主な方法である。Ni量の増加はミクロ組織によらず脆
性亀裂伝播停止特性を向上できる方法であるが、当然コ
ストの増加を招く。そこで、従来から脆性破壊伝播停止
特性の向上を結晶粒の微細化により図る試みが種々行わ
れている。一般的には熱間圧延における制御圧延を強化
したり、さらに制御圧延を容易にするためにNbを添加
する方法がとられているが、制御圧延の強化は生産性の
低下を招き、また、Nbの添加は溶接部の靭性劣化を生
じやすくなる上、これらの方法では大幅な細粒化は望め
ず、得られる脆性亀裂伝播停止特性の向上には限度があ
る。
4号公報においては、鋳片表面から中心部への板厚の1
/8以上の距離にわたってAr3 変態点以下に冷却し、
鋳片の厚み方向に温度差をつけたまま圧延を開始し、圧
延中または圧延後に鋳片厚の全域をAc3 変態点以上に
復熱することにより、ESSO試験による−20℃にお
ける脆性亀裂伝播停止特性を表すKcaが460〜96
0 kgf・mm-3/2程度の厚鋼板を製造する方法を提案して
いる。しかし最近の構造物の使用環境の苛酷化の傾向に
伴ない、鋼材にもさらに高い脆性破壊伝播停止特性が要
求されるようになってきており、前記方法により達成さ
れる特性では十分でない場合が生じている。前記特開昭
61−235534号公報の方法においては鋳片全域を
Ac3 変態点以上に単純に復熱させる工程であり、最終
的にオーステナイト(γ)−フェライト(α)変態で得
られるα粒径はせいぜい5μm以下であるため、一層の
脆性亀裂伝播停止特性の改善を図るにはさらに、新しい
技術が要求される。
17号公報に示されているように、表層部を冷却後、復
熱中の圧延により表層部のα結晶粒を顕著に細粒化して
脆性亀裂伝播停止特性を向上させる方法が提案されてい
る。この方法によれば表層部が超細粒化し、表層部のシ
アリップの形成により−50℃においても優れた脆性亀
裂伝播停止特性が得られる。しかし、上記方法は全て圧
延過程での組織の造り込みを前提としており、圧延への
負荷の軽減が十分でない。また、αの細粒化を極限的に
用いる方法であり、製造条件を厳密に制御する必要があ
ると考えられる。従って、αの細粒化による方法は現状
の製造方法の中では限界にきており、圧延過程での細粒
化によらない新しい脆性亀裂伝播停止特性を含む低温靭
性の画期的な製造方法が必要である。
性の確保に加えて、良好な脆性亀裂伝播停止特性を得る
ための製造方法において、α粒径の微細化によらない、
圧延工程に負荷をかけない、効率的、経済的な製造方法
を提供することを課題とするものである。
決すべく、熱間圧延、制御冷却、さらに焼戻しにより、
低温靭性を向上させるための研究により発明に至ったも
のである。その要旨の第1とするところは、重量%で、
C:0.01〜0.15%、Si:0.05〜1.0
%、Mn:0.30〜2.0%、Al:0.005〜
0.1%、N:0.001〜0.01%を含有し、以下
の(1)式で示す炭素当量(Ceq.)が0.45%以下
で、残部がFe及び不可避不純物からなる鋼において、
フェライトの体積分率が30〜80%で、残部がベイナ
イトあるいはマルテンサイト、あるいはベイナイトとマ
ルテンサイトの混合組織である組織を有する鋼板を、
0.5℃/s以上の昇温速度で450〜650℃に再加熱
し、該温度での保持時間が10分以下の条件で焼戻すこ
とを特徴とする脆性亀裂伝播停止特性と低温靭性の優れ
た厚鋼板の製造方法である。 Ceq.=C%+Mn%/6 ……………(1)
でC:0.01〜0.15%、Si:0.05〜1.0
%、Mn:0.30〜2.0%、Al:0.005〜
0.1%、N:0.001〜0.01%を含有し、さら
に、、Cr:0.01〜1.0%、Ni:0.01〜
3.0%、Mo:0.01〜1.0%、Cu:0.01
〜1.5%、Ti:0.003〜0.10%、V:0.
005〜0.20%、Nb:0.003〜0.05%、
B:0.0003〜0.0020%の1種または2種以
上を含有し、以下の(2)式で示す炭素当量(Ceq.)が
0.45%以下で、残部がFe及び不可避不純物からな
る鋼において、フェライトの体積分率が30〜80%
で、残部がベイナイトあるいはマルテンサイト、あるい
はベイナイトとマルテンサイトの混合組織である組織を
有する鋼板を、0.5℃/s以上の昇温速度で、450〜
650℃に再加熱し、該温度での保持時間が10分以下
の条件で焼戻すことを特徴とする脆性亀裂伝播停止特性
と低温靭性の優れた厚鋼板の製造方法である。 Ceq.=C%+Mn%/6+(Cu%+Ni%)/15 +(Cr%+Mo%+V%)/5) ……………(2)
下の高張力鋼板において、シャルピー特性及び脆性破壊
伝播停止特性を向上させるために、特に焼戻しによる冶
金因子の制御に注目して研究した結果、発明に至ったも
のである。低温靭性を支配する冶金因子としては、マト
リクスの特性、結晶粒径、析出物、第二相が主要なもの
である。マトリクスの特性を向上させるほとんど唯一の
方法がNiの添加であるが、Niの添加により靭性、特
に脆性破壊伝播停止特性を明確に向上させるためには、
多量の添加が必要で、経済的に好ましくない。また、細
粒化は靭性向上の代表的な手法であるが、最初に述べた
ように、圧延過程への負荷が過大となり、生産性を低下
させる。残る手段として、析出物あるいは第二相の制御
が考えられる。そこで、本発明者らは、析出物の制御に
注目して、詳細な研究を行った。
ためのNbやV等の炭窒化物とセメンタイトが挙げられ
る。本発明者らはこれらの析出物の制御と靭性への影響
を詳細に検討した結果、シャルピー特性及び脆性破壊伝
播停止特性向上のためには、粗大に析出する傾向の強い
セメンタイトの制御が重要であること、その制御には適
切な焼戻し処理を施すことが必要であること、焼戻し工
程におけるセメンタイトの制御による低温靭性の向上の
ためには、焼戻し前の組織を適切に造り込む必要がある
こと、等を以下に示すような実験、解析、考察により見
いだした。
の上昇、焼戻し時間の増加等、いわゆる焼戻し効果の増
加により、固溶しているCがセメンタイトとして析出・
粗大化する。Ti,Nb等も炭窒化物として析出する一
方で、焼入れ時に導入された転位、空孔等の欠陥が消失
して、マトリクスの回復が進む。焼戻し効果が増加して
セメンタイトが粗大化すると、靭性に悪影響を及ぼすた
め、セメンタイトに関しては焼戻し効果が過大になるこ
とは避けるべきである。ところが、マトリクスの回復に
関しては、焼戻し効果が大きければ大きいほど靭性向上
には有利である。従って、焼入れ時にはマトリクス中に
転位等の欠陥が多量に導入される、マルテンサイトやベ
イナイト主体組織では焼戻し効果が小さいとマトリクス
自体の靭性が劣り、逆に焼戻し効果が大きいとセメンタ
イトが粗大化して破壊発生起点となり、両因子を両立さ
せて靭性向上を図ることが難しい。従って、セメンタイ
トの微細化とマトリクスの回復を同時に達成することが
低温靭性の抜本的な改善につながると考えられる。
テンサイト〜ベイナイト主体組織においては、マトリク
スのある程度の回復を図ろうとすると、焼戻し温度の上
昇あるいは焼戻し時間の増加が必要となるが、そのよう
な焼戻し条件ではセメンタイトの粗大化を避けられな
い。一方、焼入れ時の組織をα主体の組織とすればもと
もとマトリクス中の欠陥密度が低いため、それほど焼戻
し効果が大きくなくともマトリクスの回復を図ることが
でき、さらに焼戻しの条件を最適化することにより低温
靭性の改善が可能であることを見いだした。また、αが
主体で、残りが硬質相である組織とすることは脆性破壊
伝播停止特性の改善にも有効であることが判明した。
1.48%Mn−0.007%Tiを主要成分とする鋼
を用いて、焼戻しの最適化と組み合わせて靭性を向上さ
せるために適切な組織と焼戻し条件を検討した結果であ
る。鋼片を1150℃に加熱後、累積圧下率約40〜5
0%でγの再結晶域圧延を行った後、圧下率が50〜7
5%でγの未再結晶域圧延を行って仕上げ板厚25mmと
し、圧延後は水冷により平均冷却速度が約20℃/sの加
速冷却を行った。加速冷却は約200℃以下まで行っ
た。熱間圧延に際して、未再結晶域圧延の温度域と加速
冷却開始温度を種々変化させて、最終的に得られる組織
中のαの割合を0〜80%程度まで変化させている。こ
の方法ではαの割合が80%を超えるような、組織は得
られなかった。αが0%の場合は、組織は展伸したγか
ら変態した上部ベイナイト主体組織となっている。αの
割合が増加するにつれて残った第二相は変態温度の低い
組織に変化しており、αが40%程度以上になると、第
二相は低温で変態したベイナイトに加えて、マルテンサ
イトも存在するようになる。
に種々の条件で焼戻しを施した。焼戻しは高周波誘導加
熱方式で行い、焼戻し条件は、昇温速度が0.1℃/sで
保持時間が30分と、昇温速度が1℃/sで保持時間が
0.5分の2条件において、焼戻し温度を350℃から
750℃まで変化させた。熱処理を施した素材より試験
片を採取し、シャルピー衝撃特性を調査した。
における破面遷移温度:vTrs)の関係を示す。αの
組織割合と焼戻し条件の組み合わせの種類により、到達
し得る靭性レベルは大きく異なり、αの割合が30〜8
0%で、かつ昇温速度が1℃/sと速く、保持時間が0.
5分と短い焼戻し条件でのみ、安定して優れた低温靭性
が得られた。これは、αが一定量あれば焼戻し効果がそ
れほど大きくなくともαの回復は十分で、脆性破壊の発
生あるいは伝播の際の破壊の抵抗になり得るためであ
る。このような組織の場合にも最適な焼戻し条件が存在
する。
は、焼戻し温度が低すぎるとα主体組織といえども回復
が十分でなく靭性向上が望めないためと、焼戻し温度が
高すぎると、昇温速度が速く、保持時間が短くともセメ
ンタイトの粗大化が顕著となって、靭性劣化を生じるた
めである。適正な温度条件においても昇温速度を増加
し、保持時間を短時間に抑制することによって初めてセ
メンタイトの微細化が達成される。従って、焼戻し条件
が、昇温速度が0.1℃/sと遅く、保持時間が30分と
長ければ組織によらず、靭性は向上しない。また、αの
割合が30%未満の場合は、昇温速度の速い、保持時間
の短い焼戻し条件でマトリクス中の欠陥の消滅が不十分
となるため、セメンタイトが微細分散しても靭性の顕著
な向上が望めない。
し前の組織をα主体組織にすることであるが、図1の結
果に基づいて、αの割合を30〜80%に限定する。即
ち、このαが30%以上あれば、もともとのマトリクス
中の転位、空孔等の欠陥密度が低く、焼戻しによる回復
も速い。また、破壊の発生、伝播に対しても30%以上
のα分率であれば抵抗として十分働く。ただし、α分率
が80%を超えると、構造用鋼板の基本特性である強度
が確保できなくなるため、また、脆性破壊伝播停止特性
に対してはある程度、硬質の第二相を含有させた方が好
ましいため、αの割合の上限は80%とした。
ンサイト、あるいは両者の混合組織とすべきである。α
以外の組織がパーライトであると、先ず、強度確保が困
難であること、また、パーライトは層状のセメンタイト
からなる組織であるため、破壊の発生点となりやすく、
靭性に有害となる。さらに、脆性破壊伝播停止特性に対
しては、ベイナイト〜マルテンサイトの硬質相がα主体
組織中に分散している方が好ましい。以上の理由から、
第二相としてはパーライト以外のベイナイトあるいはマ
ルテンサイト、あるいは両者の混合組織とする必要があ
る。ただし、パーライト生成を厳密に抑制する必要はな
く、5%未満程度であれば混在していても靭性への悪影
響は無視できる。
織に対して昇温速度が速く、保持時間の短い条件で、か
つ適正温度範囲で焼戻しを加えることである。昇温速度
は速いほど良いが、最低限0.5℃/s以上であればセメ
ンタイト微細化効果が期待できる。保持時間も短いほど
良いが鋼板内の温度分布の均一化のための時間等を考慮
して、セメンタイト微細化が図れる最低限の条件とし
て、10分以下とすべきである。焼戻し温度は図1に示
すように、本発明の化学成分範囲でvTrsが−100
℃以下となる条件として、450〜650℃の範囲に限
定する。vTrsを−100℃以下としたのは、シャル
ピー試験でvTrsが−100℃以下であれば、脆性破
壊伝播停止特性も十分良好となることを実験的に確認し
ているためである。なお、焼戻しの加熱・保持後の冷却
条件は、材質に大きな影響を及ぼさないため、特に限定
する必要はないが、粒界脆化やセメンタイトの粗大化、
固溶Cによる脆化等の懸念がある鋼種、化学成分におい
ては0.2℃/s〜5℃/s程度の冷却速度を選定する方が
好ましい。
方法は図1の方法あるいは後述の製造方法に何等限定さ
れることはなく、上記で規定した化学成分範囲におい
て、規定の組織割合が達成されていれば、その組織を達
成する手段によらず、その後の焼戻しを適正化すること
により所望の低温靭性が得られる。具体的には、熱間圧
延後、αが適正量生成する程度の冷却速度で加速冷却す
るか、熱間圧延後、Ar3 変態点とAr1 変態点の中間
の適当な温度まで放冷程度にゆっくりと冷却してαを適
量生成させた後、残りのγを本発明で規定している組織
となるような冷却速度で加速冷却する方法、または熱間
圧延により鋼板とした後、Ac1 変態点以上、Ac3 変
態点以下の適当な温度に再加熱することによりαの割合
が30〜80%、残部をγとした後、加速冷却によって
γをベイナイトあるいはマルテンサイト、あるいはベイ
ナイトとマルテンサイトの混合組織に変態させる、等の
製造方法が本発明における所定の組織を生成させる方法
として挙げられるが、それ以外の製造方法によっても何
等支障はない。
るが、強度、低温靭性等、所望の材質を確保するために
は製造方法だけでなく、化学成分も適正範囲内とする必
要がある。以下に、本発明における化学成分の限定理由
を述べる。先ず、Cは鋼の強度を向上させる有効な成分
として添加するもので、0.01%未満では構造用鋼に
必要な強度の確保が困難であり、また、0.15%を超
える過剰の添加は靭性や耐溶接割れ性等を著しく低下さ
せるので、0.01〜0.15%の範囲とした。次に、
Siは脱炭元素として、また、母材の強度確保に有効な
元素である。しかし、1.0%を超える過剰の添加は粗
大な酸化物を形成して延性や靭性劣化を招く。そこで、
Siの範囲は0.05〜1.0%に限定した。
要な元素であり、最低限0.30%以上添加する必要が
あるが、溶接部の靭性、割れ性等材質上許容できる範囲
で上限を2.0%とした。Alは脱酸、γ粒径の細粒化
等に有効な元素であり、効果を発揮するためには0.0
05%以上含有する必要があるが、0.1%を超えて過
剰に添加すると、粗大な酸化物を形成して延性を極端に
劣化させるため、0.005〜0.1%の範囲に限定す
る必要がある。NはAlやTiと結びついてγ粒微細化
に有効に働き、強度、靭性向上に有効であるが、その効
果が明確になるためには0.001%以上含有させる必
要がある。一方、過剰に添加すると固溶Nが増加して靭
性や延性に悪影響を及ぼす。許容できる範囲として上限
を0.01%とする。
の強度レベルに応じて母材強度の上昇の目的で、必要に
応じてCr,Ni,Mo,Cu,Ti,V,Nb,Bの
1種または2種以上を含有することができる。また、N
i,Cuは強度向上以外に靭性向上を目的としても添加
する。先ず、Cr及びMoはいずれも母材の強度向上に
有効な元素であるが、明瞭な効果を生じるためには0.
01%以上必要であり、一方、1.0%を超えて添加す
ると、靭性が劣化する傾向を有するため、0.01〜
1.0%の範囲とする。
上でき、非常に有効な元素であるが、効果を発揮させる
ためには0.01%以上含有させる必要がある。含有量
が多くなると強度、靭性は向上するが3.0%を超えて
添加しても効果が飽和するため、経済性を考慮して、上
限を3.0%とする。次に、CuもほぼNiと同様の効
果を有するが1.5%超の添加では熱間加工性に問題を
生じるため、0.01〜1.5%の範囲に限定する。T
iは析出強化により母材強度向上に寄与するとともに、
TiNの形成によりγ粒微細化にも有効な元素である
が、効果を発揮できるためには0.003%以上の添加
が必要である。一方、0.10%を超えると、Alと同
様、粗大な酸化物を形成して靭性や延性を劣化させるた
め、上限を0.10%とする。
より母材の強度向上に寄与するが、過剰の添加で延性や
靭性が劣化する。従って、延性、靭性の劣化を招かず
に、効果を発揮できる範囲として、Vは0.005〜
0.20%、Nbは0.003〜0.05%とする。B
は0.0003%以上のごく微量添加で鋼材の焼入性を
高めて強度上昇に非常に有効であるが、過剰に添加する
とBNを形成して、逆に焼入性を落としたり、靭性を大
きく劣化させるため、上限を0.0020%とする。
鋼材の靭性確保のために、(1)式あるいは(2)式で
示される炭素当量を限定する必要がある。即ち、本発明
の方法ではα相を生成させる必要があるが、炭素当量が
高すぎるとαの生成を工業的に制御することが困難とな
る。また、炭素当量が高くなりすぎると、冷却変態点が
低下するため、α中の欠陥密度の抑制が不十分となり、
低温靭性に悪影響を及ぼす可能性がある。そこで、実験
結果に基づいて、炭素当量は0.45%以下に限定す
る。
明による製造条件及び比較として本発明の範囲外の製造
方法により製造した。製造方法と、厚鋼板のシャルピー
試験による靭性(破面遷移温度vTrs)、ESSO試
験による脆性亀裂伝播停止特性(Kca値が600 kgf
・mm-3/2となる温度)を表2に示す。本発明の化学成分
を有する鋼種A〜Fを用いて、本発明の製造方法により
製造した試験番号1〜10の厚鋼板はKca値が600
kgf・mm-3/2となる温度が約−50℃以下と、非常に優
れた脆性亀裂伝播停止特性を示すとともに、シャルピー
特性についてもvTrs−100℃以下の優れた特性を
示す。
り、製造方法が本発明に合致しない比較例の試験番号1
1〜17の厚鋼板では本発明法による厚鋼板に比べて、
脆性亀裂伝播停止特性、シャルピー特性とも明らかに劣
っている。即ち、試験番号11〜13は化学成分や炭素
当量が本発明の範囲を外れており、脆性破壊伝播停止特
性、シャルピー特性ともに、本発明鋼に比べて劣ってい
る。比較法14は第二相中のパーライトの割合が多いた
め、十分な脆性破壊伝播停止特性、シャルピー特性が得
られない。また、比較法15は組織にαが含まれないた
め、比較法16はテンパーの加熱温度が高すぎるため、
比較法17は昇温速度、保持時間が本発明を満足してい
ないため、それぞれ脆性破壊伝播停止特性、シャルピー
特性が劣る。以上、本発明によれば優れた脆性亀裂伝播
停止特性、シャルピー特性が得られるのに対して、本発
明を満足しない条件では本発明鋼のような優れた脆性亀
裂伝播停止特性及びシャルピー特性が得られないこと
が、表2の実施例から明らかである。
得られなかった脆性亀裂伝播停止特性の向上を従来にな
い製造法で安定して達成できるようにするものであり、
構造物として安全性の高い厚鋼板を経済性、生産性を損
なうことなく製造できる方法として産業上の効果は極め
て大きい。
温度:vTrs)とテンパー前の組織、テンパー条件の
関係を示す図表である。
Claims (2)
- 【請求項1】 重量%で、 C :0.01〜0.15%、 Si:0.05〜
1.0%、 Mn:0.30〜2.0%、 Al:0.005〜
0.1%、 N :0.001〜0.01%を含有し、以下の(1)
式で示す炭素当量(Ceq.)が0.45%以下で、残部
がFe及び不可避不純物からなる鋼において、フェライ
トの体積分率が30〜80%で、残部がベイナイトある
いはマルテンサイト、あるいはベイナイトとマルテンサ
イトの混合組織である組織を有する鋼板を、0.5℃/s
以上の昇温速度で450〜650℃に再加熱し、該温度
での保持時間が10分以下の条件で焼戻すことを特徴と
する脆性亀裂伝播停止特性と低温靭性の優れた厚鋼板の
製造方法。 Ceq.=C%+Mn%/6 ……………(1) - 【請求項2】 重量%で、 C :0.01〜0.15%、 Si:0.05〜
1.0%、 Mn:0.30〜2.0%、 Al:0.005〜
0.1%、 N :0.001〜0.01%を含有し、さらに、 Cr:0.01〜1.0%、 Ni:0.01〜
3.0%、 Mo:0.01〜1.0%、 Cu:0.01〜
1.5%、 Ti:0.003〜0.10%、 V :0.005〜
0.20%、 Nb:0.003〜0.05%、 B :0.0003
〜0.0020%の1種または2種以上を含有し、
(2)式で示す炭素当量(Ceq.)が0.45%以下
で、残部がFe及び不可避不純物からなる鋼において、
フェライトの体積分率が30〜80%で、残部がベイナ
イトあるいはマルテンサイト、あるいはベイナイトとマ
ルテンサイトの混合組織である組織を有する鋼板を、
0.5℃/s以上の昇温速度で450〜650℃に再加熱
し、該温度での保持時間が10分以下の条件で焼戻すこ
とを特徴とする脆性亀裂伝播停止特性と低温靭性の優れ
た厚鋼板の製造方法。 Ceq.=C%+Mn%/6+(Cu%+Ni%)/15 +(Cr%+Mo%+V%)/5) ……………(2)
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP04883294A JP3255790B2 (ja) | 1994-03-18 | 1994-03-18 | 脆性亀裂伝播停止特性と低温靭性の優れた厚鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP04883294A JP3255790B2 (ja) | 1994-03-18 | 1994-03-18 | 脆性亀裂伝播停止特性と低温靭性の優れた厚鋼板の製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH07258788A true JPH07258788A (ja) | 1995-10-09 |
| JP3255790B2 JP3255790B2 (ja) | 2002-02-12 |
Family
ID=12814221
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP04883294A Expired - Fee Related JP3255790B2 (ja) | 1994-03-18 | 1994-03-18 | 脆性亀裂伝播停止特性と低温靭性の優れた厚鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3255790B2 (ja) |
Cited By (7)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2006207028A (ja) * | 2004-12-28 | 2006-08-10 | Jfe Steel Kk | 耐切断割れ性に優れた高強度・高靱性厚鋼板の製造方法 |
| JP2007197778A (ja) * | 2006-01-27 | 2007-08-09 | Jfe Steel Kk | 強度依存性の小さい耐疲労亀裂伝播特性に優れた高強度鋼材およびその製造方法。 |
| JP2007197777A (ja) * | 2006-01-27 | 2007-08-09 | Jfe Steel Kk | 耐延性亀裂発生特性と耐疲労亀裂伝播特性に優れた高強度鋼材およびその製造方法 |
| KR100815717B1 (ko) * | 2006-11-02 | 2008-03-20 | 주식회사 포스코 | 수소유기균열 저항성과 저온인성이 우수한 고강도 대구경라인파이프 강재 및 그 제조방법 |
| JP2012046808A (ja) * | 2010-08-30 | 2012-03-08 | Jfe Steel Corp | 溶接部の低温靭性に優れる厚肉高張力鋼板およびその製造方法 |
| JP2013057125A (ja) * | 2004-12-28 | 2013-03-28 | Jfe Steel Corp | 耐切断割れ性とdwtt特性に優れた高強度・高靭性厚鋼板 |
| CN110878404A (zh) * | 2015-09-18 | 2020-03-13 | 杰富意钢铁株式会社 | 结构用高强度厚钢板 |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP4466196B2 (ja) * | 2004-05-24 | 2010-05-26 | 住友金属工業株式会社 | 耐疲労き裂進展性に優れた鋼板およびその製造方法 |
-
1994
- 1994-03-18 JP JP04883294A patent/JP3255790B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (7)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2006207028A (ja) * | 2004-12-28 | 2006-08-10 | Jfe Steel Kk | 耐切断割れ性に優れた高強度・高靱性厚鋼板の製造方法 |
| JP2013057125A (ja) * | 2004-12-28 | 2013-03-28 | Jfe Steel Corp | 耐切断割れ性とdwtt特性に優れた高強度・高靭性厚鋼板 |
| JP2007197778A (ja) * | 2006-01-27 | 2007-08-09 | Jfe Steel Kk | 強度依存性の小さい耐疲労亀裂伝播特性に優れた高強度鋼材およびその製造方法。 |
| JP2007197777A (ja) * | 2006-01-27 | 2007-08-09 | Jfe Steel Kk | 耐延性亀裂発生特性と耐疲労亀裂伝播特性に優れた高強度鋼材およびその製造方法 |
| KR100815717B1 (ko) * | 2006-11-02 | 2008-03-20 | 주식회사 포스코 | 수소유기균열 저항성과 저온인성이 우수한 고강도 대구경라인파이프 강재 및 그 제조방법 |
| JP2012046808A (ja) * | 2010-08-30 | 2012-03-08 | Jfe Steel Corp | 溶接部の低温靭性に優れる厚肉高張力鋼板およびその製造方法 |
| CN110878404A (zh) * | 2015-09-18 | 2020-03-13 | 杰富意钢铁株式会社 | 结构用高强度厚钢板 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP3255790B2 (ja) | 2002-02-12 |
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| CN113825854B (zh) | 具有超高强度的冷轧钢板及其制造方法 | |
| JP2022513964A (ja) | 加工性に優れた冷延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、及びこれらの製造方法 | |
| JP4085826B2 (ja) | 伸びおよび伸びフランジ性に優れた二相型高張力鋼板およびその製造方法 | |
| JP3314295B2 (ja) | 低温靱性に優れた厚鋼板の製造方法 | |
| JP3864536B2 (ja) | 耐遅れ破壊特性に優れる高強度鋼およびその製造方法 | |
| JP3842836B2 (ja) | 低温靱性に優れた高張力鋼材の製造方法 | |
| JP4096839B2 (ja) | 超大入熱溶接熱影響部靱性に優れた低降伏比高張力厚鋼板の製造方法 | |
| JP4265153B2 (ja) | 伸びおよび伸びフランジ性に優れた高張力冷延鋼板およびその製造方法 | |
| JP3879440B2 (ja) | 高強度冷延鋼板の製造方法 | |
| JP3255790B2 (ja) | 脆性亀裂伝播停止特性と低温靭性の優れた厚鋼板の製造方法 | |
| CN116194606B (zh) | 成型性和加工硬化率优异的钢板 | |
| JPH09256037A (ja) | 応力除去焼鈍処理用の厚肉高張力鋼板の製造方法 | |
| JP4492105B2 (ja) | 伸びフランジ性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法 | |
| JP3290595B2 (ja) | 靱性、溶接性に優れた高張力厚鋼板の製造方法 | |
| JP3390596B2 (ja) | 靱性に優れる低降伏比高強度熱延鋼板およびその製造方法 | |
| JP2002363685A (ja) | 低降伏比高強度冷延鋼板 | |
| JP3246993B2 (ja) | 低温靭性に優れた厚鋼板の製造方法 | |
| JP2022510929A (ja) | 水素誘起割れ抵抗性に優れた圧力容器用鋼材及びその製造方法 | |
| JP3212344B2 (ja) | 低温での靭性が優れた溶接用構造用厚鋼板の製造法 | |
| JPH0629480B2 (ja) | 強度、延性、靱性及び疲労特性に優れた熱延高張力鋼板及びその製造方法 | |
| JPH08209239A (ja) | −50℃以下の脆性亀裂伝播停止特性を有する低温用厚鋼材の製造方法 | |
| JP2003034825A (ja) | 高強度冷延鋼板の製造方法 | |
| JP3229107B2 (ja) | 一様伸びの優れた低降伏比高張力鋼板の製造方法 | |
| JPH1088230A (ja) | 靱性に優れた高張力鋼材の製造方法 | |
| JPH07216451A (ja) | 溶接軟化抵抗の高い高強度高延性ステンレス鋼材の製造方法 |
Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20011023 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071130 Year of fee payment: 6 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081130 Year of fee payment: 7 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081130 Year of fee payment: 7 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091130 Year of fee payment: 8 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101130 Year of fee payment: 9 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101130 Year of fee payment: 9 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111130 Year of fee payment: 10 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111130 Year of fee payment: 10 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121130 Year of fee payment: 11 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121130 Year of fee payment: 11 |
|
| S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131130 Year of fee payment: 12 |
|
| R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131130 Year of fee payment: 12 |
|
| S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131130 Year of fee payment: 12 |
|
| R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
| LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |