JPH0726158B2 - 降伏比の低い建築用耐火鋼板の製造法 - Google Patents

降伏比の低い建築用耐火鋼板の製造法

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JPH0726158B2
JPH0726158B2 JP4977191A JP4977191A JPH0726158B2 JP H0726158 B2 JPH0726158 B2 JP H0726158B2 JP 4977191 A JP4977191 A JP 4977191A JP 4977191 A JP4977191 A JP 4977191A JP H0726158 B2 JPH0726158 B2 JP H0726158B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は建築、土木および海洋構
造物等の分野において、各種構造物に用いる低降伏比お
よび耐火性を有する鋼板の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般構造用圧延鋼材(JIS G 31
01)、溶接構造用圧延鋼材(JISG 3106)、
溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材(JIS G 311
4)、高耐候性圧延鋼材(JIS G 3125)およ
び一般構造用炭素鋼鋼管(JISG 3444)、一般
構造用角型鋼管(JIS G 3466)(以下周知鋼
材という)などが、建築、土木および海洋構造物などの
分野における各種建造用構築材として、広く利用されて
いる。ところで、各種建造物のうち、特に生活に密着し
たビルや事務所および住居などの建造物に前記周知鋼材
を用いる場合は、火災に置ける安全性を確保するため、
十分な耐火被覆を施すことが義務づけられており、建築
関係諸法令では、火災時に鋼材温度が、350℃以上に
ならないように規定している。つまり、前記周知材は建
造物に使用する場合350℃程度で耐力が常温時の60
〜70%になり、建造物の倒壊を引き起こす恐れがある
ため、耐火被覆を入念に施し、火災時における熱的損傷
により該鋼材が載荷力を失うことのないようにして利用
する。そのため、鋼材費用に比し耐火被覆施工費が高額
になり、建設コストが大幅に上昇することを避けること
が出来ない。近時建築物の高層化が進展し、設計技術の
向上とその信頼性の高さから、耐火設計について見直し
が行われるに至り、前述の350℃の温度制限によるこ
となく、鋼材の高温強度と建築に実際に加わっている荷
重より、耐火被覆の能力を決定できるようになり、場合
によっては無被覆で鋼材を使用することが可能になっ
た。たとえば、特開平02−77523号公報には、微
量Nb−Mo複合添加および高温圧延により耐火性の優
れた建築用鋼材として経済的価格で市場供給できるよう
な鋼材が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前述のように耐火物に
周知材を利用すると安価ではあるが、高温強度が低いた
め割高な耐火被覆を施さねばならないため建設コストを
高くすると共に建造物の利用空間を狭くするという課題
がある。一方、特開平02−77523号公報の微量N
b−Mo鋼では耐火性および低YR化も良好であるが、
板厚50mmを超える鋼板の製造には適しておらず、実施
例でも最大板厚は50mmであった。本発明の目的は、低
降伏比でかつ高温強度に優れた厚板(50mm)の製造方
法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、火災時に
置ける鋼材強度について研究の結果、無被覆使用を目標
とした場合、火災時の最高到達温度が1000℃である
ことから、鋼材が該温度で常温耐力の70%以上の耐力
を備えるためには、やはり高価な金属元素を多量に添加
せねばならず、経済性を失することを知った。つまり、
周知の鋼材費とそれに加え耐火被覆を施工する費用以上
に鋼材単価が高くなり、そのような鋼材は実際的に利用
することが出来ない。
【0005】そこで、研究を進めた結果、600℃での
高温耐力が常温時の70%となる鋼材が最も経済的であ
ることをつきとめ、高価な添加元素の量を少なくし、か
つ耐火被覆を薄くすることが可能で、火災荷重が小さい
場合は、無被覆で使用することが出来る鋼材すなわち本
発明鋼および鋼材とその製造方法に加えて耐火性能を付
与した鋼材を開発した。
【0006】よって、本発明の要旨とするところは、重
量%でC:0.05〜0.15%、Si:0.6%以
下、Mn:0.8〜1.6%、P:0.03%以下、
S:0.005%以下、Mo:0.35〜0.80%、
Ti:0.005〜0.025%、Al:0.06%以
下、N:0.006%以下さらに必要によりNb:0.
005〜0.05%、V:0.005〜0.1%、N
i:0.05〜0.1%、Cu:0.05〜0.1%、
Cr:0.05〜1.0%、Ca:0.001〜0.0
06%の1種または2種以上を含有し、残部が鉄および
不可避的不純物からなる鋼を熱間圧延後、850〜10
00℃の温度範囲に再加熱、焼入れし、続いて740〜
820℃の温度範囲に再加熱、再び焼入れを行った後、
450〜700℃の温度範囲で焼戻処理することを特徴
とする降伏比の低い建築用耐火鋼板の製造法である。
【0007】
【作用】発明者らは低降伏比と耐火性を合わせて有する
鋼板の製造方法について鋭意検討を重ねた結果、所定量
のMoを含有した鋼を全く新しい熱処理を加えることに
より、目的を達成できることを見いだした。Moは周知
の通り高温強度を増加させることが知られている。しか
しながら、本発明鋼の適用分野では溶接性が重視される
ため、その添加量は低い方が望ましい。かかる状況のた
め、厚鋼板(50mm以上)では圧延のままの製造方法に
おいて所定の強度を得るために多量のMo添加が必須で
あった。
【0008】本発明者らは、Moを0.35〜0.80
%の範囲で、新たに見いだした熱処理方法を適用するこ
とにより、低降伏比と耐火性の優れた厚手(50mm以
上)鋼板の製造を可能とした。高強度を得るためには従
来から焼入れ処理することが知られているが、本発明鋼
の様に低降伏比と耐火性の両得性を満足させることはで
きない。
【0009】本発明者らは従来にない2回の焼入処理に
よりこの課題を解決した。すなわち、1回目の焼入れに
より整細粒オーステナイトから焼入れし、2回目の加熱
でオーステナイトとフェライトの2相共存域に加熱し、
この温度より焼入れることにより、約30〜70%のフ
ェライトとマルテンサイトおよびベイナイトの混合組織
とし、その後焼戻処理により所定の材質特性を得るもの
である。
【0010】すなわち、1回目の焼入れ処理により整細
粒オーステナイトが得られる。ここでオーステナイト粒
の粗大化を抑制するためには、850℃以上、1000
℃以下での温度範囲で再加熱をほどこす必要がある。ま
た、2回目の焼入れはα−γ二相域加熱により、約30
〜70%のフェライトを生成させるためには740℃以
上、820℃以下での温度範囲で再加熱をほどこす必要
がある。
【0011】そして、焼戻処理により炭化物が安定化し
所定の材質特性を得るためには450℃以上、700℃
以下での温度範囲で再加熱をほどこす必要がある。低降
伏比、耐火性を有する鋼の製造方法の要点を前に述べた
が、これだけでは発明の目的は達し得ない。すなわち、
他の合金元素も適正な範囲に制御する必要がある。以下
にこれらの限定範囲について述べる。
【0012】C:Cは母材および溶接部および強度保証
ならびにNb,Moの添加効果を発揮させるために必要
であり、0.05%以下では効果が薄れるので下限は
0.05%とする。さらに、C量が多すぎると溶接熱影
響部(HAZ)の低温靭性に悪影響を及ぼすだけでな
く、母材靭性、溶接性をも劣化させるので、0.15%
が上限となる。Si:Siは脱酸上鋼に含まれる元素
で、Siが多くなると溶接性、HAZ靭性が劣化するた
め、その上限を0.6%とした。本発明鋼ではAl脱酸
で十分であり、さらにTi脱酸でも良い。Siについて
HAZ靭性の点からは含有量を0.15%程度とするこ
とが望ましい。
【0013】Mn:Mnは強度、靭性を確保する上で不
可避の元素であり、その下限は0.8%である。しか
し、Mn量が多すぎると焼入性が増加して溶接性、HA
Z靭性が劣化するだけでなく、目標とする規格に適合す
る母材強度を得ることが出来ない。このためMn量の上
限を1.6%とした。P:Pは多すぎると靭性、板厚方
向強度を劣化させるので、その上限を0.03%以下と
した。S:SもPと同様に多すぎると靭性、板厚方向強
度を劣化させるので、その上限を0.005%以下とし
た。
【0014】Mo:Moは高温強度を確保するために欠
かせない元素で特にフェライト地の強化に有効である。
このため、0.35%以上の添加は必要であるが、0.
80%を超えると溶接性や母材靭性を劣化させるため、
その上下限を0.35%、0.80%とした。Ti:T
iNにより組織の細粒化をはかり、再加熱焼戻時の非常
に微細かつ均一なγ粒を生成することに有効であり、
0.005%以下では効果が薄れるのでその下限を0.
005%とする。一方、0.025%超になると靭性が
著しく損なわれるため、上限を0.025%とする。A
l:Alは一般に脱酸上鋼に含まれる元素であるが、S
iおよびTiによっても脱酸は行われるので、本発明で
はAlについて下限は限定しない。しかし、Al量が多
くなると鋼の清浄度が悪くなり、溶接部の靭性は劣化す
るので上限を0.06%とした。N:Nは一般に不可避
的不純物として鋼中に含まれるものであるが、Tiと結
合し炭窒化物TiNを形成して靭性向上に効果を発揮す
る。このため最小量として0.001%必要であるが、
N量が多くなるとHAZ靭性の劣化や連続鋳造スラブの
表面疵の発生などを助長するので、その上限を0.00
6%とした。
【0015】本発明鋼の基本成分は以上の通りであり、
十分に目的を達成できるが、さらに目的に対し特性を高
めるため、以下に述べる元素すなわちNb,V,Ni,
Cu,Cr,Caを1種または2種以上選択的に添加す
ると強度、靭性の向上について、さらに好ましい結果が
得られる。Nb:Nbは微細な炭窒化物を形成し常温で
の強度及び靭性確保に有効であり、0.005%以下で
は効果がなく、0.05%を超えて含有されると溶接部
の靭性を劣化させる。よって、Nbの含有量を0.00
5〜0.05%と限定した。V:0.005〜0.10
%の範囲においてHAZ靭性を向上させる。しかし、
0.005%以下では効果がなく0.10%を超えると
HAZ靭性に好ましくない影響がある。Ni:Niは溶
接性、HAZ靭性に悪影響を及ぼすことなく、母材の強
度、靭性を向上させるが0.05%以下では硬化が薄
く、0.5%以上の添加は建築用鋼としての目的に対
し、きわめて高価になるため経済性を失うので、上限を
0.5%とした。
【0016】Cu:CuはNiとほぼ同様の効果を持つ
ほか、Cu析出物による高強度の増加や耐食性、耐候性
の向上にも効果を有する。しかし、Cu量が1.0%を
超えると熱間圧延時にCu割れが発生し製造が困難にな
り、また0.05%以下では効果がないのでCu量は
0.05〜0.1%に限定する。Cr:Crは母材およ
び溶接部の強度を高め、0.05%以上で耐食性、耐候
性を向上させるが1.0%を超えると溶接性やHAZ靭
性を劣化させ、また0.05%以下では効果が薄い。従
って、Cr量を0.05〜0.1%に限定した。Ca:
CaはMnSの形態を制御し、シャルピー吸収エネルギ
ーを増加させ低温靭性を向上させる効果がある。しか
し、0.001%以下では実用上効果がなく、また、
0.006%を超えるとCaO、CaSが多量に生成し
て大形介在物となり、鋼の靭性のみならず清浄度も害
し、さらに溶接性にも悪影響を与えるので、Ca添加量
の範囲を0.001〜0.006%とする。
【0017】
【実施例】表1に示す組成のスラブを製造し、これを表
2に示す条件下で製造を行った。得られた鋼の機械的性
質および耐火特性を表2にまとめて示す。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】
【表3】
【0021】
【表4】
【0022】鋼11〜16は適切な化学成分ではないの
で、適正な材質特性が得られない。まず鋼11はC量が
少なく強度が得られない。鋼12ではMn量が少ないた
め強度が得られない。鋼13はMoが少なく強度が不足
している。鋼14ではC量が多く低降伏比化、靭性の確
保が困難である。鋼15はMn量が多く靭性が劣化して
いる。鋼16では、Mo量が多く低降伏比化、靭性の確
保が困難である。また、鋼17〜20は本発明製造条件
からはずれており、適正な材質特性が得られない。鋼1
7はDQTにより常温での強度不足であり、また低降伏
化および靭性確保も困難である。鋼18はQT処理のた
め低降伏比を有さない。鋼19は圧延ままで常温強度が
確保できない。鋼20は焼準処理のため常温強度が低く
なっている。一方、本発明鋼である鋼1〜10は常温、
高温強度、低降伏比および高靭性をすべて満足してい
る。
【0023】
【発明の効果】本発明により、低降伏比でかつ高温強度
に優れた厚板の製造が可能になり、工業的にその効果の
大きい発明である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/50

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で C :0.05〜0.15%、 Si:0.6%以
    下、 Mn:0.8〜1.6%、 P :0.03%以
    下、 S :0.005%以下、 Mo:0.35〜
    0.80%、 Ti:0.005〜0.025%、Al:0.06%以
    下、 N :0.006以下、 残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼を熱間圧延
    後、850〜1000℃の温度範囲に再加熱、焼入れ
    し、続いて740〜820℃の温度範囲に再加熱、再び
    焼入れを行った後、450〜700℃の温度範囲で焼戻
    処理することを特徴とする降伏比の低い建築用耐火鋼板
    の製造法。
  2. 【請求項2】 重量%で Nb:0.005〜0.05%、 V :0.005〜
    0.1%、 Ni:0.05〜0.1%、 Cu:0.05〜
    0.1%、 Cr:0.05〜1.0%、 Ca:0.001〜
    0.006%、 の1種または2種以上を含有する請求項1記載の降伏比
    の低い建築用耐火鋼板の製造法。
JP4977191A 1991-03-14 1991-03-14 降伏比の低い建築用耐火鋼板の製造法 Expired - Lifetime JPH0726158B2 (ja)

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