JPH07262829A - 透明導電膜及びその形成方法 - Google Patents

透明導電膜及びその形成方法

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JPH07262829A
JPH07262829A JP5539394A JP5539394A JPH07262829A JP H07262829 A JPH07262829 A JP H07262829A JP 5539394 A JP5539394 A JP 5539394A JP 5539394 A JP5539394 A JP 5539394A JP H07262829 A JPH07262829 A JP H07262829A
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transparent conductive
conductive film
thin film
film
layer
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JP5539394A
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Toshiyuki Ono
俊之 大野
Kenichi Chiyabara
健一 茶原
Yuzo Kozono
裕三 小園
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明の目的は薄膜トランジスタ製造プロセス
に適合した低温条件で透明度を損なわずに比抵抗1×1
-4Ωcm以下の透明導電膜を得ることである。 【構成】クリプトンを含むガスあるいはキセノンを含む
ガスを用いたスパッタリング法により特定の結晶面が基
板表面に対して優先的に配向している透明導電膜を形成
した。また、該スパッタリング法によってキャリア密度
または移動度の異なる二つ以上の層を交互に積層した透
明導電膜を形成した。 【効果】透明導電膜結晶粒内や結晶粒界におけるキャリ
アの散乱低減の効果により、可視光域で透明な比抵抗1
×10-4Ωcmの導電膜を形成することができた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液晶ディスプレイ等の表
示装置の透明電極として用いることのできる透明導電膜
及びその形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】液晶ディスプレイ等の透明電極として透
明導電膜は不可欠である。透明導電膜を液晶ディスプレ
イの電極として用いる場合、マトリックスを形成する各
画素電極の駆動方式や駆動素子の構造,材質によって、
透明導電膜に要求される特性は多少異なってくるが、駆
動方式によらず、液晶パネルが高精細化していくのに伴
い、画素ピッチの縮小に対応して透明導電膜の比抵抗は
低いものが求められる。例えば、STN(super twisted
nematic) 方式では、シート抵抗で10〜12Ω/□以
下が必要で、導電膜の膜厚も100nm以下にしなけれ
ばならない。低抵抗化の利点は高精細化の問題だけでは
はい。透明導電膜の比抵抗が10-5Ωcm台になるとアク
ティブマトリックス方式の薄膜トランジスタ(TFT)
のソース,ドレイン電極に透明導電膜が適用できるよう
になり、素子形成の工程数低減によってコストが低減さ
れるという利点が生ずる。透明導電膜の比抵抗は膜作製
時の基板温度が高い程膜の比抵抗が小さくなることが公
知であり透明導電膜作製温度は300℃以上が好まし
い。しかし素子の構造によって透明導電膜の形成温度が
制限される。例えば、アクティブマトリックス方式で
は、前に形成したTFT素子にダメージを与えないよう
に透明導電膜作製温度は250℃以下にしなければなら
ない。また、カラーSTN(super twisted nematic)方
式でも、有機カラーフィルタ上に透明導電膜を成膜する
必要があるため薄膜作製温度は、250℃以下の低温に
制限される。しかも、STN方式の特有の低比抵抗も要
求される。このように、今後、ディスプレイの高精細
化,カラー化,低価格化の要求に応じるためにますます
低温で低抵抗膜を作製する技術が必要となる。
【0003】今日まで広く研究され、あるいは実用化さ
れている透明導電膜としてはSnをドープしたIn23
(ITO),FまたはSbをドープしたSnO2 ,I
n,Al,SiなどをドープしたZnOがある。これら
の膜はいずれもエネルギーギャップが3.5eV 以上の
n型半導体で、ドナーとして働くのは添加物イオンと化
学量論組成からの酸素の欠損であることが知られてい
る。透明導電膜の作製方法としては、蒸着法とスパッタ
リング法が一般的である。低抵抗の透明導電膜として
は、例えばジャーナル・オブ・アプライド・フィズィッ
クス 第54巻 (1983)3497頁から3501頁 (J. Appl. Phy
s. 54 (1983) p. 3497-3501)に開示されているように、
基板温度250℃で1.3×10-4Ωcm の比抵抗を示す
ITO膜(膜厚90nm)を作製しているが可視光の透
過率について記載がない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、今後
求めらる透明導電膜は、1×10-4Ωcm以下の比抵抗を
示し、しかも250℃以下の温度条件で形成されなけれ
ばならず、公知のものでは不十分である。比抵抗の値を
更に小さくするにためは伝導キャリアを増やすことか、
あるいはキャリアの移動度を大きくすることが必要であ
る。伝導キャリアを増やすためにはドーピング量と酸素
欠損量を増大させることが必要であるが、添加した元素
のすべてがドーパントとして有効に働かないことや、結
晶構造の安定化のために酸素欠損量には限りがある等の
点からキャリア密度を増すことにはおのずと限界があ
る。一方、移動度を高めるためには膜の結晶粒界におけ
るキャリアの散乱、あるいは結晶粒内におけるドーパン
トや欠陥によるキャリアの散乱を低減しなければならな
い。
【0005】本発明の目的は250℃以下の温度条件で
透明度を損なわずに比抵抗1×10-4Ωcm以下の透明導電
膜を形成する方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明は透明導電膜の移動度を高める三つの方法を提示
するものである。その第一は、スパッタリングにより透
明導電膜を形成する際に、不活性ガスとして通常用いら
れるアルゴンに替えて、これよりも原子量の大きなクリ
プトンあるいはキセノンを用いることである。この方法
により、従来よりも結晶粒径の大きな多結晶体である透
明導電膜を得ることができ、結晶性の向上と粒界部分の
減少によって移動度を高めることができる。また、アル
ゴンを用いた場合よりも酸素欠損が入りやすくなり、こ
のためキャリア密度が増大するという効果ももたらす。
スパッタリングの際にはクリプトンあるいはキセノンだ
けでなくこれに酸素、あるいは水素,水蒸気等を混入し
ても同様の効果を得ることができる。特に2〜5×10
-5Torr程度の酸素を混入することが低抵抗化のためには
有効である。また、スパッタリングの方法としては、直
流スパッタリング法ばかりでなく、高周波スパッタリン
グ法であっても、また、イオンビームスパッタリング法
であってもかまわない。マグネトロン方式であればさら
に効果が高められる。
【0007】第二の方法は、図1に示すように、多結晶
体である透明導電膜の各結晶粒において、特定の結晶面
を基板表面に対して優先的に配向させることである。こ
のような特徴を有することにより、前述したような結晶
粒界におけるキャリアの散乱を低減することが出来、低
抵抗の透明導電膜を得ることができる。本発明におい
て、特に、膜に結晶粒界が存在しない単結晶状態にある
場合にはその効果は極めて顕著である。基板表面に対し
て優先的に配向する特定の結晶面は、結晶学的に低指数
である結晶面の方が低抵抗になる効果が顕著である。こ
れは、例えばITOやドープされたSnO2 のように、そ
の結晶が立方晶あるいはそれに近い対称性をもつ場合に
は(100)面である。
【0008】特定の結晶面を基板表面に対して優先的に
配向させる方法としては、図4に示すように、例えば酸
化マグネシウムやチタン酸ストロンチウム等の単結晶あ
るいは多結晶体を基板として用いるという方法がある。
その場合、用いる結晶基板の表面の結晶方位や薄膜形成
条件を適宜選択することにより、優先的に配向する透明
導電膜の結晶面を選択することが出来る。また、用いる
結晶基板としては酸化マグネシウムやチタン酸ストロン
チウムの他に、岩塩や他のペロブスカイト,ガーネッ
ト,アルミナのようなコランダム構造をもつもの、スピ
ネル構造をもつもの、BaF2 のように螢石型構造をも
つものが考えられる。特に立方晶のYSZ(イットリウ
ムにより安定化したジルコニア)基板は格子定数が0.
5139nmとITOの格子定数の1/2に近いのでI
TO膜に対しては有効である。
【0009】このような方法の他に、基板上に薄い金属
の層を形成し、その上に透明導電膜の層を形成するとい
う方法がある。金属の膜は低い温度で形成しても容易に
結晶化し、特定の結晶面を基板表面に対して優先的に配
向させることも容易である。この、結晶化した金属層上
に透明導電膜を形成することによって、透明導電膜が結
晶化し、かつ、特定の結晶面を基板表面に対して優先的
に配向させることができる。その場合、金属層の厚さ
は、可視域の光の透過性を維持するため、15nm以下に
する必要がある。この金属からなる層は、図5に示すよ
うに基板と透明導電膜の間のすべてに存在する必要は必
ずしもなく、図6に示すようにその一部のみに存在する
場合においても、透明導電膜の層の結晶成長に有効に寄
与する。また、この金属からなる層は、基板の上に直接
形成されるのではなく、図7に示すように、例えば酸化
ケイ素,窒化ケイ素のような絶縁層上に形成される場合
であっても有効である。前記金属としては、金,銀,白
金,銅,ロジウム,パラジウム,アルミニウム,クロム
等がよい。
【0010】結晶性基板や結晶性下地層を用いずに、ガ
ラス基板上に直接に透明導電膜を形成する場合でも、膜
形成条件を選ぶことによって、配向した膜を形成するこ
とができる。上述したクリプトンやキセノンをスパッタ
ガスとして用いることは結晶粒を粗大化させる効果を持
ち、透明導電膜の結晶粒子の配向の効果を高めることが
できる。また、膜形成中に基板表面に向けて適宜なイオ
ンをイオンビームとして照射することや、プラズマを照
射することも透明導電膜の配向を高める上で有効な手法
となる。
【0011】低抵抗の透明導電膜を得る第三の方法とし
ては、透明導電膜をキャリア密度あるいは移動度の異な
る二つ以上の層で構成することである。前述したよう
に、透明導電膜の伝導キャリアはドーピングされた不純
物元素及び酸素欠損によって供給されるが、これらのキ
ャリア源は同時にキャリアに対する散乱源となり、移動
度を低下させる働きをしてしまう。このような点を改善
したのが本発明であり、透明導電膜を主としてキャリア
を供給する層と、この供給されたキャリアを搬送する層
という異なる機能を持つ層から構成した。この場合、キ
ャリア供給層は移動度が低くても構わないから、不純物
元素や酸素欠陥などを可能な限り導入してキャリア密度
を大きくすることができる。一方、キャリア搬送層は不
純物元素や酸素欠陥を少なくすることにより、十分高い
移動度を保持できる。このような積層膜は図2あるいは
図3に示すようにキャリア供給層とキャリア搬送層が各
々一層ずつあれば機能する。さらにその効果を高めるた
めには、図8に示すようにキャリア供給層とキャリア搬
送層を交互に積層した多層膜とすれば良い。その際、個
々の層の厚さは、50nm以下にすると良い。またこの
キャリア供給層とキャリア搬送層は各々一種類ずつ設け
るだけでなく、キャリア供給層およびキャリア搬送層を
交互に複数個ずつ積層することも有効である。
【0012】このような積層構造の透明導電膜において
も、各々の層において特定の結晶面が基板表面に対して
優先的に配向するように結晶成長させることにより、各
々の層における電子の粒界による散乱は低減されるか
ら、積層することにより移動度を高める効果は増大す
る。積層した各々の層の特定の結晶面が基板表面に対し
て優先的に配向するように結晶成長させる場合には、前
述したように、酸化マグネシウムやチタン酸ストロンチ
ウムなどの単結晶を基板として用いることが有効であ
る。さらに、キセノンを含むガスやクリプトンを含むガ
スを用いてスパッタリングにより前記キャリア供給層及
び前記キャリア搬送層形成することにより前記各層の結
晶粒径を大きくすることができる。
【0013】
【作用】本発明によれば、公知の方法では十分な移動度
を得られない250℃以下の温度条件においても、結晶
粒界や不純物元素,酸素欠損等によるキャリアの散乱が
低減される効果により、低抵抗で透明な導電膜を作製す
ることができる。本発明の低抵抗な透明導電膜を液晶表
示装置の画素電極あるいは配線材料として用いることに
より、電極や配線の厚さや幅を小さくすることができる
ため、画素寸法も小さくできるので、高精細な表示装置
を容易に作製することができる。また、このような低抵
抗の透明導電膜をアクティブマトリックス型の液晶表示
装置の駆動に用いられている薄膜トランジスタを構成す
るソース電極あるいはドレイン電極としても用いること
ができるので、薄膜トランジスタを製造するプロセスが
簡略化でき、コストが大きく低減する。
【0014】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いて説明するが、
本発明はこれに限定されるものではない。
【0015】(実施例1) 1)イオンビームスパッタリング装置内に表面を光学研
磨したガラス基板を装着し、1×10-6Torrの圧力まで
排気した。この装置内にはIn23−10wt%SnO2
焼結体がターゲットとして装着されている。ガラス基板
を250℃に保持しながら、Ar/O2 混合ガスを2×
10-4Torrの圧力まで導入し、ビーム電圧1KV,ビー
ム電流80mAの条件で100nmの厚さのITO膜を
スパッタリングで形成した。
【0016】2)1)と同様に、ガラス基板にイオンビ
ームスパッタリング法によりITO膜を形成した。この
際、スパッタリングガスはXe/O2 混合ガスとし、そ
の他の条件は1)と同じであった。
【0017】3)1)と同様に、ガラス基板にイオンビ
ームスパッタリング法によりITO膜を形成した。この
際、スパッタリングガスはKr/O2 混合ガスとし、そ
の他の条件は1)と同じであった。
【0018】4)1)〜3)に示した条件で形成したI
TO膜の比抵抗,キャリア密度,移動度について調べ
た。また、これらITO膜の結晶状態をX線回折法によ
り調べた。その結果をまとめて表1に示す。スパッタリ
ングガスをAr→Kr→Xeと替えるに従い、移動度が
増大していくことが分かる。同時にスパッタリングガス
をAr→Kr→Xeと替えるに従い、移キャリア密度の
増大も見られる。これらの結果としてスパッタリングガ
スをAr→Kr→Xeと替えるに従い比抵抗が低下して
いる。また、Ar→Kr→Xeと替えていくに従い、形
成したITO膜の結晶粒径が大きくなり、格子定数が小
さくなる。格子定数が小さくなることから酸素欠損の増
大が生じていると考えられる。以上から、スパッタリン
グガスをAr→Kr→Xeと替えていくことにより、I
TO膜の結晶粒が粗大化し、同時にITO膜内の酸素欠
損の増大が生じるため、その結果として比抵抗の低減が
もたらされることが分かった。
【0019】
【表1】
【0020】(実施例2) 1)直流マグネトロンスパッタリング装置内に表面を光
学研磨したガラス基板を装着し、1×10-6Torrの圧力
まで排気した。この装置内にIn23−10wt%Sn
2 焼結体をターゲットとして装着した。ガラス基板を
250℃に保持しながら、Ar/O2 混合ガスを5×1
-3Torrの圧力まで導入し、直流320Wのスパッタリ
ング電力で100nmの厚さのITO膜を形成した。
【0021】2)1)と同様に、ガラス基板に直流マグ
ネトロンスパッタリング法によりITO膜を形成した。こ
の際、スパッタリングガスはXe/O2 混合ガスとしそ
の他の条件は1)と同じである。
【0022】3)1)と2)に示した条件で形成したI
TO膜の比抵抗,キャリア密度,移動度を調べた。ま
た、これらの表面形態を走査型電子顕微鏡により調べ
た。その結果を表2に示す。スパッタリングガスをAr
からXeへ替えたことにより膜の結晶粒が大きくなって
いた。また、これに対応して移動度も大きくなってお
り、その結果として比抵抗が低下した。直流スパッタリ
ング法でも実施例1と同様な効果が見られた。
【0023】
【表2】
【0024】(実施例3)YSZ単結晶の(100)面
を光学研磨した基板及び表面を光学研磨したガラス基板
をそれぞれイオンビームスパッタリング装置内に装着
し、1×10−6Torrの圧力まで排気した。この装
置内にIn3−10wt%SnO2 焼結体をターゲ
ットとして装着した。これらの基板を250℃に保持し
ながら、Ar/O2 混合ガスを2×10-4Torrの圧力ま
で導入し、ビーム電圧1KV、ビーム電流80mAの条
件で100nmの厚さのITO膜を形成した。
【0025】形成したITO膜の比抵抗,キャリア密
度,移動度を測定した。また、これらの結晶状態をX線
回折法により調べた。その結果をまとめて表3に示す。
ガラス基板上のITO膜は無配向であった。YSZ単結
晶を基板とした場合のITO膜の結晶性はガラス基板よ
り良好であり、IT0膜の(100)面が配向してい
た。キャリア密度は基板,配向性による大きな違いがな
かった。しかし、移動度には大きな基板依存性が現われ
ていた。YSZ単結晶基板では、ITO膜に(100)配向
性が現われたことにより移動度が増大し、その結果、比
抵抗が低下した。
【0026】
【表3】
【0027】(実施例4) 1)酸化マグネシウム単結晶の(100)面を光学研磨
した基板及び表面を光学研磨したガラス基板をそれぞれ
イオンビームスパッタリング装置内に装着し、1×10
-6Torrの圧力まで排気した。この装置内にIn23−1
0wt%SnO2 焼結体をターゲットとして装着した。
これらの基板を250℃に保持しながら、Xe/O2
合ガスを2×10-4Torrの圧力まで導入し、基板を回転
させながらビーム電圧1KV,ビーム電流80mAの条
件で厚さ100nmのITO膜を形成した。この膜形成
条件を条件1とする。
【0028】2)酸化マグネシウム単結晶の(100)
面を光学研磨した基板及びガラス基板に、イオンビーム
スパッタリング法によりITO膜を形成した。この際、
基板温度,Xe/O2 混合ガス圧力,ビーム電圧,ビー
ム電流の条件は1)と同じにし、成膜中に基板を静止さ
せた。この膜形成条件を条件2とする。
【0029】3)1)及び2)で形成したITO膜の比
抵抗,キャリア密度,移動度を測定した。また、これら
の結晶状態をX線回折法により調べた。その結果をまと
めて表4に示す。ガラス基板上のITO膜は条件1では
無配向であるが、条件2では(100)配向性が強くな
っている。一方、酸化マグネシウム単結晶を基板として
用いた場合は膜の結晶性はガラス基板よりもはるかに良
好である、条件1では(111)配向性が強く(40
0)の回折ピークはほとんど現われないが条件2では
(100)配向性が強くなっていた。キャリア密度は基
板,配向性によって大きな違いは現われない。しかし、
移動度には大きな基板依存性が現われた。ガラス基板で
は、(100)配向性が現われることにより移動度が増
大している。酸化マグネシウム単結晶を基板として用い
た場合は(111)配向よりも(100)配向の場合の
方が移動度は高くなった。以上の結果から、移動度を高
めるためには(100)配向が有効であることが分かっ
た。
【0030】
【表4】
【0031】(実施例5) 1)表面を光学研磨したガラス基板を実施例2と同じ直
流マグネトロンスパッタリング装置内に装着し、1×1
-6Torrの圧力まで排気した。この装置内に白金及びI
23−10wt%SnO2 焼結体をターゲットとして
装着し、真空状態を破ることなく白金膜,ITO膜を形
成することができるようにした。ガラス基板を200℃
に保持しながら、ターゲットを白金に設定し、Kr/O
2混合ガスを5×10-3Torrの圧力まで導入し、直流1
00Wのスパッタリング電力でまず厚さ5nmの白金膜
を形成した。
【0032】2)1)に引き続いて、ターゲットをIn
23−5wt%SnO2 焼結体に替え、直流320Wの
スパッタリング電力で、100nmの厚さのITO膜を
白金膜上に形成した。
【0033】3)以上の1)から2)までの過程により
図5に示す透明導電膜を形成した。この膜のX線回折か
ら、白金膜上のITO膜は(100)に配向しているこ
とがわかった。この積層膜の表面で測定した比抵抗は
0.90×10-4Ωcm であった。この積層膜の透過率の
分光特性を図9に示す。波長350nmから800nm
の可視光領域において85%以上の透過率を示した。白
金層が薄いため、透過率に悪影響を及ぼしていない。
【0034】(実施例6) 1)イオンビームスパッタリング装置内に表面を光学研
磨したガラス基板を装着し、1×10-6Torrの圧力まで
排気した。この装置内にIn23−10wt%SnO2
焼結体及びIn23−5wt%SnO2 焼結体をターゲ
ットとして装着し、真空状態を破ることなく二種類のI
TO膜を形成することができるようにした。このガラス
基板を250℃に保持しながら、Xe/O2 混合ガスを
2×10-4Torrの圧力まで導入し、ビーム電圧1KV,
ビーム電流80mAの条件で、In23−5wt%Sn
2 焼結体を用いて100nmの厚さのITO膜を形成
した。
【0035】2)ガラス基板にイオンビームスパッタリ
ング法によりIn23−10wt%SnO2 焼結体をタ
ーゲットとしてITO膜を形成した。この際、用いたタ
ーゲット以外は1)と同じ条件とした。
【0036】3)1)及び2)により形成したITO膜
の比抵抗,キャリア密度,移動度及びSn濃度を測定し
た。その結果をまとめて表5に示す。5wt%SnO2
焼結体をターゲットとして形成したITO膜は10wt
%SnO2 焼結体をターゲットとした場合よりも、キャ
リア密度は小さいが移動度が大きい。
【0037】
【表5】
【0038】4)1)と同様に、ガラス基板にターゲッ
トをIn23−10wt%SnO2 焼結体とし、イオン
ビームスパッタリング法により50nmのITO膜を形
成した。この際、ターゲット以外は1)と同じ条件とし
た。次に、真空を破らずにターゲットをIn23−5w
t%SnO2 焼結体に替え、この膜の上に50nmのIT
O膜を形成した。以上により図2に示す積層型のITO
膜を形成した。この膜の比抵抗は0.85×10-4Ωcm
であり、各層単層の場合よりも比抵抗が低下するという
効果を得た。
【0039】(実施例7)イオンビームスパッタリング
装置内に酸化マグネシウム単結晶の(100)面を光学
研磨した基板を装着し、1×10-6Torrの圧力まで排気
した。この装置内にIn23−10wt%SnO2焼結
体及びIn23−5wt%SnO2焼結体をターゲット
として装着し、真空状態を破ることなく二種類のITO
膜を形成することができるようにした。基板を250℃
に保持しながら、Xe/O2 混合ガスを2×10-4Torr
の圧力まで導入し、ビーム電圧1KV、ビーム電流80
mAの条件で、In23−10wt%SnO2焼結体及
びIn23−5wt%SnO2焼結体を交互に用いて、
図8に示すような、ITO多層膜を形成した。その際、
一層の厚さは10nm、層の総数は10層とした。この
多層膜の比抵抗は0.75×10-4Ωcmであった。
【0040】(実施例8)実施例1で示した積層型の透
明導電膜を画素電極として用い、図10に示した画素構
造をもつアクティブマトリックス型の表示装置を作製し
た。図10の画素構造において、画素電極11の比抵抗
は従来の材料に比べて40%程度低減されているので、
その分画素電極の幅を狭くすることが出来た。その結
果、1つの画素の大きさを従来型に比べて10%程度小
さくすることが可能になった。これにより同一表示面積
の表示装置において従来型より画素密度を高くすること
ができた。
【0041】
【発明の効果】本発明により、結晶粒内あるいは結晶粒
界におけるキャリアの散乱が低減され、かつ移動度が向
上したことにより可視光域での透過率は損なわずに1×
10-4Ωcm以下の比抵抗を示す透明導電膜を得ることが
できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の透明導電膜の断面図を示す。
【図2】本発明の実施例の積層型透明導電膜の断面図を
示す。
【図3】本発明の別の実施例の積層型透明導電膜の断面
図を示す。
【図4】本発明の実施例の単結晶基板上に形成した、基
板に対して特定の結晶配向性を有する透明導電膜の断面
図を示す。
【図5】本発明の実施例の、基板上に積層した厚さ15
nm以下の金属層の上に形成した、特定の結晶配向性を
有する透明導電膜の断面図を示す。
【図6】本発明の実施例の、基板と透明導電膜の間の一
部に、金属から成る厚さ15nm以下の層を設けた特定の
結晶配向性を有する透明導電膜の断面図。
【図7】本発明の実施例の、基板上に形成した絶縁膜層
と透明導電膜の間に厚さ15nm以下の金属層を設けた積
層膜の断面図。
【図8】本発明の実施例の、基板上に高移動度で低キャ
リア密度の透明導電膜と低移動度で高キャリア密度の透
明導電膜交互に積層した透明導電膜の断面図。
【図9】実施例5による透明導電膜の透過スペクトル。
【図10】実施例8において作製した低抵抗透明導電膜
を画素電極として用いた液晶表示装置の模式図。
【符号の説明】
1…特定の結晶配向性を有する透明導電膜、2…基板、
3…高い移動度と低いキャリア密度をもつ透明導電膜の
層、4…低い移動度と高いキャリア密度をもつ透明導電
膜の層、5…単結晶基板、6…金属から成る厚さ15n
m以下の層、7…絶縁膜層、11…画素電極(ITO
膜)、12…ソース電極、13…ドレイン電極、14…
アモルファスシリコン膜、15…モリブデン層、16…
窒化ケイ素膜、17…ゲート電極(クロム)、18…ゲ
ート端子、19…保護層。

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】1種類以上のカチオン及び酸素を含有し、
    500nmから800nmの波長の光に対する70%以
    上の透過率と比抵抗1×10-2Ωcm以下の導電性を有す
    る薄膜において、該薄膜がキセノンを含むガスを用いた
    スパッタリングにより形成されたことを特徴とする透明
    導電膜。
  2. 【請求項2】1種類以上のカチオン及び酸素を含有し、
    500nmから800nmの波長の光に対する70%以
    上の透過率と比抵抗1×10-2Ωcm以下の導電性を有す
    る薄膜において、該薄膜がクリプトンを含むガスを用い
    たスパッタリングにより形成されたことを特徴とする透
    明導電膜。
  3. 【請求項3】請求項1及び2において、該薄膜がイオン
    ビームスパッタリングにより形成されたことを特徴とす
    る透明導電膜。
  4. 【請求項4】請求項1及び2において、該薄膜が直流あ
    るいは高周波スパッタリングにより形成されたことを特
    徴とする透明導電膜。
  5. 【請求項5】1種類以上のカチオン及び酸素を含有し、
    500nmから800nmの波長の光に対する70%以
    上の透過率と比抵抗1×10-2Ωcm以下の導電性を有す
    る薄膜において、該薄膜の特定の結晶面が基板表面に対
    して優先的に配向していることを特徴とする透明導電
    膜。
  6. 【請求項6】請求項1及び2において、該薄膜の特定の
    結晶面が基板表面に対して優先的に配向していることを
    特徴とする透明導電膜。
  7. 【請求項7】請求項5及び6において、該薄膜が立方晶
    の結晶対称性を示し、該薄膜の(100)面が基板表面
    に対して優先的に配向していることを特徴とする透明導
    電膜。
  8. 【請求項8】1種類以上のカチオン及び酸素を含有し、
    500nmから800nmの波長の光に対する70%以
    上の透過率と比抵抗1×10-2Ωcm以下の導電性を有す
    る薄膜において、該薄膜がキャリア密度あるいは移動度
    の異なる二つ以上の層からなることを特徴とする透明導
    電膜。
  9. 【請求項9】請求項8において、該薄膜が二層からなり
    該薄膜を形成する一つの層が該薄膜を形成する他の層よ
    りキャリア密度が小さくかつ移動度が大きいことを特徴
    とする透明導電膜。
  10. 【請求項10】請求項8において、該薄膜がキャリア密
    度あるいは移動度の異なる二種類の層により構成され、
    一方の層が他方の層よりキャリア密度が小さくかつ移動
    度が大きく、かつ前記二種類の層が交互に積層されてい
    ることを特徴とする透明導電膜。
  11. 【請求項11】請求項8から10において、該薄膜を構
    成する前記各層の特定の結晶面が基板表面に対して優先
    的に配向していることを特徴とする透明導電膜。
  12. 【請求項12】請求項8から10において、該薄膜を構
    成する前記各層が立方晶の結晶対称性を示し、かつ前記
    各層の(100)面が基板表面に対して優先的に配向し
    ていることを特徴とする透明導電膜。
  13. 【請求項13】請求項12において、該薄膜がキセノン
    を含むガスまたはクリプトンを含むガスを用いたスパッ
    タリングにより形成されたことを特徴とする透明導電
    膜。
  14. 【請求項14】請求項1から13に記載した透明導電膜
    を画素電極及び配線材料のいずれかに使用していること
    を特徴とする表示素子。
  15. 【請求項15】請求項1から13に記載した透明導電膜
    をソース電極及びドレイン電極のいずれかに使用した薄
    膜トランジスタを搭載したアクティブマトリックス型の
    液晶表示素子。
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