JPH07267237A - スチール製絞りしごき缶 - Google Patents

スチール製絞りしごき缶

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JPH07267237A
JPH07267237A JP6334194A JP6334194A JPH07267237A JP H07267237 A JPH07267237 A JP H07267237A JP 6334194 A JP6334194 A JP 6334194A JP 6334194 A JP6334194 A JP 6334194A JP H07267237 A JPH07267237 A JP H07267237A
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steel
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flange
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和久 増田
Kazuo Otsuka
一男 大塚
Kazuhiro Nishida
一弘 西田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ネックイン加工部の厚みが薄肉でしかも巻締
用口部が小径にネックイン加工されていながら、ネック
イン加工の際のしわの発生や、フランジ加工や巻締加工
の際のフランジ割れ(フランジクラック)が防止され、
その結果として密封性及び蓋巻締部耐腐食性の組み合わ
せに優れたスチール製絞りしごき缶を提供する。 【構成】 口絞り率が15%以上であり、ネックイン開
始部乃至その近傍の板厚が100乃至135μmの範囲
にあり、かつネックイン開始部乃至その近傍のマイクロ
ビッカース硬度(Y)及び底接地部内側のマイクロビッ
カース硬度(X)が式 X+Y ≦ 430及びY ≦ 240 で規定される範囲内にある密封性、蓋巻締部耐腐食性、
耐フランジクラック性に優れたスチール製絞りしごき
缶。 【効果】 ネックイン加工部を薄肉化することで、缶の
軽量化と素材コストの低減とが可能となり、またしごき
後のポンチからの抜き取りも容易であるなど、作業性の
点でも多くの利点が達成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スチール製絞りしごき
缶に関するもので、より詳細には巻締用口部が小径にネ
ックイン加工されていながら、密封性、蓋巻締部耐腐食
性及び耐フランジクラック性の組み合わせに優れたスチ
ール製絞りしごき缶に関する。
【0002】
【従来の技術】金属素材をポンチとダイスとの間で絞り
−再絞り加工、更にしごき加工に付して得られる缶体
は、缶胴部及び缶胴部と缶底部との接続部に継目がな
く、外観が良好で、底蓋の巻締及び継目形成などの操作
が不要であり、また缶胴側壁部が薄肉化されていて、金
属素材の量が少なくてよい等の利点を有することから、
飲料缶詰等の用途に広く使用されている。
【0003】このようなツーピース缶は、ビール、炭酸
飲料等の自生圧力を有する内容物や、窒素充填缶詰、更
に加熱殺菌缶詰等の用途に使用されることから、耐圧性
能、耐衝撃性、耐腐食性等が要求されている。アルミは
加工性に優れた素材であり、高度に薄肉化できるという
利点を有しているが、スチールに比較すると強度が3分
の1であり、また腐食性成分を含有する食品類に対して
はスチールに比して耐食性にも劣るので、加熱殺菌を必
要とする用途や、腐食成分を含有する内容物に対して
は、依然スチール缶が使用されている。
【0004】ツーピース缶では、缶胴上部のフランジ部
において、イージーオープン蓋と巻き締めることが必要
になるが、高価なイージーオープン蓋の径を縮小させて
コストを低減させること及び巻締部の外周が缶胴の外周
よりも内側に入るようにして、外観を向上させることな
どを目的として、缶胴上部に口部を小径に絞るネックイ
ン加工を行っている。このネックイン加工も、最近では
より高度なもの、即ち多段の加工でより小径に絞ること
が要求されている。
【0005】
【発明が解決しようとする問題点】しかしながら、スチ
ール製の絞りしごき缶において、ネックイン加工部をも
含めて缶胴部の厚みを薄くすることは、缶の軽量化及び
コストの低減の点で望ましいことであるが、このような
薄肉化絞りしごき缶では、巻締部の密封性不良や耐腐食
性低下を屡々生じることがわかった。
【0006】本発明者らは、この原因について追究した
結果、上記の密封性不良や耐腐食性低下は、ネックイン
加工に際して、ネック部やフランジ部にしわが発生する
ことに原因があり、このしわを起点として、フランジ加
工や巻締加工の際、割れ(フランジ割れ)を生じること
を突き止めた。このしわの発生は、ネックイン開始部乃
至その近傍の厚みが小さくなるほど顕著であり、更にネ
ックイン加工の際の口絞り率が大きくなるほど顕著にな
る傾向がある。
【0007】従って、本発明の目的は、ネックイン加工
部の厚みが薄肉でしかも巻締用口部が小径にネックイン
加工されていながら、ネックイン加工の際のしわの発生
や、フランジ加工や巻締加工の際のフランジ割れ(フラ
ンジクラック)が防止され、その結果として密封性及び
蓋巻締部耐腐食性の組み合わせに優れたスチール製絞り
しごき缶を提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、スチー
ル板を絞りしごき加工し、且つ巻締用口部を小径にネッ
クイン加工して成るスチール製絞りしごき缶において、
口絞り率が15%以上であり、ネックイン開始部乃至そ
の近傍の板厚が100乃至135μmの範囲にあり、か
つネックイン開始部乃至その近傍のマイクロビッカース
硬度(Y)及び底接地部内側のマイクロビッカース硬度
(X)が式 X+Y ≦ 430 …(1)、好適にはX+Y ≦ 410 …(1A)、 及び Y ≦ 240 …(2)、好適にはY≦230 …(2A) で規定される範囲内にあることを特徴とする密封性、蓋
巻締部耐腐食性、耐フランジクラック性に優れたスチー
ル製絞りしごき缶が提供される。
【0009】
【作用】本発明による各測定は次の方法による。 1) ネックイン開始部のマイクロビッカース硬度
(Y)の測定方法 ネックイン開始部のマイクロビッカース硬度(Y)は、
ネックイン開始部について、缶円周方向に45゜おきに
8点の断面マイクロビッカース硬度(荷重50g、30
秒)を測定し、その平均値で示す。 2) 底接地部内側のマイクロビッカース硬度(X)の
測定方法 底接地部内側のマイクロビッカース硬度(X)は、底接
地部近傍内側のドーム側弧状部について、缶円周方向に
45゜おきに8点の断面マイクロビッカース硬度(荷重
50g、30秒)を測定し、その平均値で示す。 3) ネックイン開始部板厚の測定方法 ネックイン開始部板厚は、ネックイン開始部の内外面樹
脂被膜を剥離したのち、缶円周方向10点について、金
属のみの肉厚を測定し、その平均値で示す。 4) 口絞り率の測定 口絞り率(%)は次式(3)のように定義する。 口絞り率(%)=((缶胴内径−巻締部内径)×100)÷缶胴内径 …(3)
【0010】本発明は、スチール板を絞りしごき加工
し、且つ巻締用口部を小径にネックイン加工して成るス
チール製絞りしごき缶に関するが、ネックイン開始部乃
至その近傍の板厚を、100乃至135μmと従来認め
られない厚みに薄くし、しかも口絞り率を15%以上と
大きくした。
【0011】従来、絞りしごき缶において、缶胴部をし
ごきにより上記肉厚程度に薄肉化することは勿論知られ
ているが、ネックイン加工やフランジ加工を行う部分で
は、しわやクラックのないフランジ部を形成させるため
に、上記部分のしごき加工の程度をわざと低くし、その
肉厚を一般に140μm程度の厚みとしていた。
【0012】これに対して、本発明では、ネックイン加
工やフランジ加工を行う部分にも高いしごき加工を加
え、この部分をも薄肉化することにより、缶を軽量化す
ると共に、缶の素材コストも低減させることを目的とし
ている。
【0013】板厚を100乃至135μmと限定してい
るのは、ネックイン開始部乃至その近傍の板厚が100
μmを下回ると、以下に述べる缶体の硬度の用件がたと
え本発明の関係を満足しても、口絞り率が15%以上の
場合、ネッキング成形、フランジング成形時にネック
部、フランジ部にしわやマイクロクラックなどの欠陥が
発生し、密封性、蓋巻締部耐腐食性、耐フランジクラッ
ク性が低下する。
【0014】一方、ネックイン開始部乃至その近傍の板
厚が135μmを越えると、口絞り率が15%以上のネ
ッキング成形、フランジ成形時の欠陥は一般に少なく、
密封性、蓋巻締部耐腐食性、耐フランジクラック性とも
に良好であるが、ネックイン加工部と缶胴部の板厚差が
大きくなるため段差ができ、しごき加工時にパンチから
の缶の抜け性(ストリップアウト性)が悪くなること、
ネックイン加工部の板厚が大きいと、ネッキング成形時
の成形荷重が大きいため、缶胴が座屈しやすく、缶胴板
厚を薄くできないこと、缶体の金属使用量が増大するた
め経済的に不利になること、また缶が重くなるため輸送
時のコストが高くなること、飲用時に重く感じて感覚的
にも不利となることなどの欠点が出て来る。
【0015】口絞り率を15%以上と特定しているの
は、缶胴に巻き締めるイージイオープン蓋を縮径し、蓋
のコストを低くすると共に、缶詰全体の外観特性、特に
安定感等を向上させるためである。
【0016】本発明では、このネックイン加工部の薄肉
化と、口絞り率の向上とを達成するために、ネックイン
開始部乃至その近傍のマイクロビッカース硬度(Y)及
び底接地部内側のマイクロビッカース硬度(X)を、式 X+Y ≦ 430、特にX+Y ≦ 410、及び Y ≦ 240、特にY≦230 で規定される範囲内としたことが顕著な特徴である。
【0017】図1を参照されたい。図1は、底接地部内
側のマイクロビッカース硬度(X)を横軸、ネックイン
開始部乃至その近傍のマイクロビッカース硬度(Y)を
縦軸とし、最終絞りしごき缶の密封性、蓋巻締部耐腐食
性、耐フランジクラック性に対する評価を、優(○)、
良(△)及び不可(×)でプロットしたものである。
【0018】この図1の結果によると、直線X+Y=4
30及びY=240よりも上側の領域では、密封不良、
蓋巻締部腐食及びフランジクラック等が発生するのに対
して、これらの直線以下の領域では、これらの欠陥が有
効に解消され、特に直線X+Y=410及びY=230
以下の領域では、密封性、蓋巻締部耐腐食性及び耐フラ
ンジクラック性の組み合わせに特に優れたスチール製絞
りしごき缶が得られることが明らかである。
【0019】(X+Y)の値が430よりも大きいと、
ネッキング加工によりネック部やフランジ部にしわが発
生し易く、そのしわを起点にしてフランジ加工時に割れ
(フランジ割れ)が発生するため、インラインでのリジ
ェクト缶が多くなり、生産性が落ちることになる。また
フランジ加工時に割れまでいかなくても、フランジ部に
大きなしわがあると、しわの部分の凹凸が大きいため、
内容物充填時に蓋と接触したときに、蓋内面と局部的に
擦れ、塗膜が破れ金属が露出するため、充填された内容
物により腐食し、はなはだしい場合には穿孔腐食とな
り、また溶解した金属イオンで内容物のフレーバーが劣
化したりする。また、フランジのしわの部分は二重巻締
時にフランジクラックになり易く、密封性を低下させる
原因となる。またネック部に発生するしわは外観が悪い
ため、缶の商品価値の低下を招く。
【0020】ネックイン開始部乃至その近傍のマイクロ
ビッカース硬度の絶対値(Y)も重要であることが理解
されるべきである。即ち、前述した(X+Y)の値が4
30以下であっても、ネック成形性が悪く、フランジ部
やネック部のしわや割れにより密封性、蓋巻締部耐腐食
性、耐フランジクラック性が劣る範囲がある。この理由
ははっきりとしてはいないが、ネックイン加工部の硬度
が同じであっても原板を絞りしごき成形した際の加工硬
化の仕方(スチール母材の種類による)により密封性、
蓋巻締部耐腐食性、耐フランジクラック性に違いがある
ものと思われる。この関係は底接地部内側のマイクロビ
ッカース硬度(X)が190以下の領域であてはまる。
【0021】本発明によれば、以上により、ネックイン
加工部の厚みが薄肉でしかも巻締用口部が小径にネック
イン加工されていながら、ネックイン加工の際のしわの
発生や、フランジ加工や巻締加工の際のフランジ割れ
(フランジクラック)が防止され、その結果として密封
性及び蓋巻締部耐腐食性の組み合わせに優れたスチール
製絞りしごき缶が得られる。
【0022】
【発明の好適態様】
[絞りしごき缶]本発明の絞りしごき缶の一例を示す図
2において、この絞りしごき缶1は、ブリキ等のスチー
ル板の深絞り(絞り−再絞り)とそれに続くしごき加工
とにより形成され、大まかにいって、底部2と胴部3と
からなっている。底部2は実質上素板と同一厚みであ
り、胴部3は絞りにより軸方向に延びており且つしごき
加工により薄肉化された側壁部4を備えている。
【0023】側壁部の上部には、径が次第に縮小される
ように、多段(図に示す具体例においては4段)のネッ
クイン加工部5が形成されており、このネックイン加工
部5の上に巻締用フランジ6が接続されて、縮径された
口部7を形成している。ネックイン加工部5には、多段
形状のものと、スムース形状のものとがある。
【0024】底部2は、下方に向けて径の縮小するテー
パ状の外周部8と、接地部9と、接地部から上方に急激
に立ち上がっているテーパ状の内周部10と、内周部に
接続されたドーム部11とからなっており、底の変形を
防止して、自立安定性を向上させるようになっている。
【0025】胴部の側壁部4の径はD、口部の径はdと
すると、口絞り率Rは式 R=(D−d)/D×100 で表されるが、本発明では、この口絞り率を15%以
上、好適には16.0乃至24.0%と高度の口絞りを
行っている。
【0026】また、缶胴のネックイン開始部とは、図2
においてPの点、即ち第一段目のネックイン加工部をい
うが、本発明では、このネックイン加工部乃至その近傍
の板厚を100乃至135μmの範囲、好適には110
乃至130μmの範囲と著しく薄肉にしている。
【0027】ネックイン加工前の缶胴の厚みの分布を拡
大して図3に示す。従来の絞りしごき缶では、胴側壁部
4はかなり薄肉(厚みtS )にしごき加工されていると
しても、ネックイン加工部12は、上方に向けて厚さの
増大するテーパ部13を介してかなり厚肉(tP )に形
成されており、その厚み(tP )は一般に140乃至1
50μmのオーダである。これに対して、本発明の絞り
しごき缶では、ネックイン加工部12は、テーパ部13
を介して接続されているとしても、その厚肉化の程度は
かなり小さいものである。
【0028】本発明の絞りしごき缶において、胴側壁部
の厚み(ts )は、一般の絞りしごき缶と同様の75乃
至90μmか、あるいはより薄い50乃至75μmの範
囲にある。tP を薄肉化することで、ネッキング加工時
の成形荷重を小さくでき、従来座屈発生のためにできな
かった缶胴板厚の薄肉化をすることができ、容器を軽量
化することができる。例えば、tP を100乃至130
μmとすると、tS を50乃至75μmにすることがで
きる。また別の観点では、ネックイン加工部と缶胴の厚
み差(tp /ts )は、従来のものが50乃至60μm
であるのに対して、20乃至60μmの範囲にある。こ
のようにtp を薄肉化することで、段差を小さくするこ
とができ、絞りしごき加工後での缶体のポンチからの型
抜きをよくすることができる。
【0029】本発明におけるネックイン加工は、ダイネ
ック、スピンネック、スクイズネック等の方法を使用す
る事ができる。ダイネックの場合、多段形状(一般に一
段での口絞り比が2乃至4%程度である4段乃至7段形
状)か或いはスムース形状で行われる。スピンネックの
場合、最終形状はスムース形状であるが、ダイネックで
ある程度の口絞りを行った後スピンネックを行うこと
や、スピンネックを1段階或いは数段階で行なうことも
できる。
【0030】本発明では、ネックイン加工部を薄くし
て、しかも口絞り比を向上させるために、ネックイン開
始部乃至その近傍のマイクロビッカース硬度(Y)及び
底接地部内側のマイクロビッカース硬度(X)を式 X+Y ≦ 430、好適にはX+Y ≦ 410、及び Y ≦ 240、好適にはY≦230 で規定される範囲内とする。
【0031】接地部内側とは、図2において、Qで示さ
れる部分であり、この接地部内側部分Qのマイクロビッ
カース硬度は、スチール材料そのものの加工のし易さと
密接に関係している。これらのマイクロビッカース硬度
とネックイン加工性との関係は既に詳述したとおりであ
る。用いる材料については、後で詳述する。
【0032】本発明の絞りしごき缶の底形状は、絞りし
ごき加工の途中或いは終段で平底を型で底打ちすること
により形成される。底の形状及び寸法は、缶と缶の積み
重ね性であるスタッカブル性と耐内圧性を考慮し、接地
部の径(du )を蓋径より約5〜10mm小さくするこ
とが一般的である。かつ接地部からのドーム部の高さ
(HB)は接地部の径(du )の約20%程度である。
【0033】[スチール素材]本発明に用いるスチール
素材は、冷延鋼板を基材とした表面処理鋼板で、絞りし
ごき缶に成形したときのマイクロビッカース硬度(X)
及び(Y)が前述した範囲となるようなものである。
【0034】一般に、スチール素材の硬度は、その素材
そのものが有する硬度と、素材が受ける加工硬化との両
方が影響する。即ち、冷延鋼板の硬度は、冷間圧延率が
大きくなれば、何れも硬度が増加する傾向にあることは
間違いがないが、比較的小さな圧延率でも硬度の大きい
ものや硬度の小さいものがあり、また圧延率の増加に伴
って、硬度の増大の著しいものや硬度の増大が比較的小
さいものがあり、その硬化特性は千差万別である。それ
ら硬度に影響する因子としては、成分(炭素や窒素など
の侵入型固溶元素、マンガンやリンなどの置換型固溶元
素などの量)、析出物(セメンタイトなどの炭化物や窒
化物などの量や分布状態)、結晶粒径、などがあり、熱
間圧延条件、焼鈍条件、過時効処理、二次冷間圧延量、
などで鋼の特性が大きく変化することは良く知られてい
る。また、製缶工程では、洗浄乾燥や塗料焼き付け等の
熱処理が必須不可欠のものであるが、これらの熱処理で
の時効硬化の影響も無視できない。
【0035】後述する例に示すとおり、冷間圧延20%
をした後210℃で5分の熱処理をしたときの断面マイ
クロビッカース硬度が170以下であり、しかも冷間圧
延70%をした後210℃で5分の熱処理をしたときの
断面マイクロビッカース硬度が210以下である特性を
持った冷延鋼板は、本発明の目的に適合していることが
わかった。
【0036】基材となる冷延鋼板は、低炭素鋼または極
低炭素鋼からなるのが良い。低炭素鋼では、一般に炭素
の含有量が0.01乃至0.10重量%、特に0.01
乃至0.06重量%が望ましい。その他の成分としてマ
ンガンの含有量が0.05乃至0.60重量%、アルミ
の含有量が0.01乃至0.15重量%で、残余が不可
避不純物と鉄とからなるものが特に適している。極低炭
素鋼では、一般に炭素の含有量が0.0005乃至0.
008重量%、特に0.0005乃至0.004重量%
が望ましい。その他の成分としてマンガンの含有量が
0.05乃至0.60重量%、アルミの含有量が0.0
1乃至0.15重量%で、残余が不可避不純物と鉄とか
らなるもの、及びそれにNbあるいはTiあるいはその
両方が0.0005乃至0.04重量%含まれているも
のが特に適している。一般的に、本発明における鋼に関
しては、固溶炭素の少ない鋼が望ましい。その理由は、
固溶炭素が原板硬度とともに加工硬化に対する影響が大
きいことによる。固溶炭素が多いと、XもYも増大し、
密封性などに欠陥が出やすい。すなわち、これらの成分
の鋼を使用し、固溶炭素を下げることにより、実施例の
ような特性を得ることができる。
【0037】冷延鋼板における平均結晶粒径もその硬度
に重要な影響をもたらし、粒径が大きい方が鋼は一般に
軟質であるが、粒径が大きすぎるとネック加工が不均質
になるため、平均結晶粒径は一般に低炭素鋼で8.0μ
m以下、極低炭素鋼で12.0μm以下が望ましい。
【0038】本発明に用いるスチール素材は、耐腐食性
や加工性の点で表面処理鋼板からなっていることが好ま
しく、この表面処理鋼板としては、冷間圧延鋼板を焼鈍
後、調質圧延あるいは二次冷間圧延し、亜鉛メッキ、錫
メッキ、ニッケルメッキ、電解クロム酸処理、クロム酸
処理等の表面処理の一種または二種以上行ったものを用
いることができる。
【0039】表面処理鋼板の好適な例は、缶外面側は
0.7乃至15g/m2 特に0.7乃至5.6g/
m2 、缶内面側は0.0乃至15g/m2 特に0.0乃
至5.6g/m2 の錫メッキ量を有するブリキ板であ
る。このブリキ板は錫メッキ層の溶融処理を行ったブラ
イト板(リフロー板)であっても、また溶融処理を行っ
ていないマット板(ノーリフロー)であっても良い。前
者のブライト板では、溶融処理にともなって、錫の一部
が下地の鉄中に拡散して錫−鉄合金層を形成しており、
このものは耐食性に特に優れている。後者のマット板
は、メッキ錫が粒状に付着したもので加工性、即ち絞り
しごき加工性に優れている。このブリキ板は、金属クロ
ム換算で、クロム量が1乃至30mg/m2 となるよう
なクロメート処理或いはクロム酸/リン酸処理或いはリ
ン酸処理が行われていることが望ましい。
【0040】好適な表面処理鋼板の他の例は、電解クロ
ム酸処理鋼板であり、特に10乃至200mg/m2 の
金属クロム層と1乃至50mg/m2 (金属クロム換
算)のクロム酸化物層とを備えたものであり、このもの
は塗膜密着性と耐腐食性との組合せに優れている。また
スチール板の元板厚は、一般のスチール製絞りしごき缶
と同様で、0.24乃至0.32mmのものが使用でき
る。また、従来より薄い0.17乃至0.23mmのも
のも使用でき、この場合軽量であり経済性に優れ、ネッ
クイン部板厚が同じであれば、原板からの加工量がより
小さいため、ネックイン開始部硬度をより小さくでき
る。
【0041】更に他の例としてはアルミニウムメッキ、
アルミニウム圧接等を施したアルミニウム被覆鋼板が用
いられる。また、缶内面側に熱可塑性樹脂をラミネート
したぶりき板も使用される。
【0042】[絞りしごき成形]スチール素材の絞りし
ごき加工は、それ自体公知の方法で行うことができる。
即ち、このスチール素材をを円板等の形状に剪断し、こ
れを絞りポンチと絞りダイスとの間で一段或いは多段の
絞り加工に賦する。絞り成形は大径の浅いカップへの前
絞り成形と小径の深絞りカップへの深絞り成形とでも行
うことができ、この深絞り成形工程では、肉厚を均一化
するためカップ側壁部の上方部分に軽度のしごきを加え
るようにしてもよい。絞り成形に際しては、素材に潤滑
剤を適用することもできる。絞り加工は室温で行い得る
のは勿論であるが、室温よりも若干高めの温度で加工を
行うこともできる。
【0043】上記絞り加工に際して、下記式(4) で定義される絞り比は、一般に1.2 乃至2.0 特に1.3 乃
至1.9 の範囲内にあることが好ましく、下記式(5) で定義される再絞り比は、一般に1.1 乃至1.6 特に1.15
乃至1.5 の範囲内にあることが好ましい。
【0044】絞り成形及び再しぼり成形に際して、スチ
ール板或いは更にカップに、各種滑剤、例えば流動パラ
フィン、合成パラフィン、食用油、水添食用 油、パー
ム油、各種天然ワックス、ポリエチレンワックス、合成
エステルを塗布して成形を行うのがよい。滑剤の塗布量
は、その種類によっても相違するが、一般に0.1 乃至10
mg/dm2 、特に0.2 乃至5 mg/dm2 の範囲内にあるのがよ
く、滑剤の塗布は、これを溶融状態で表面にスプレー塗
布あるいはロール塗布することにより行われる。
【0045】絞り加工或いは更に再絞り加工されたカッ
プを、しごきポンチとしごきダイスとの組み合わせを用
いて、一段乃至多段のしごき加工を行う。しごき加工に
際して、しごきポンチとしごきダイスとのクリアランス
をカップ側壁部の肉厚よりも小さくしておくことによ
り、この側壁部は延伸され、薄肉化される。
【0046】下記式(6) RI=(tb−ts)/tb×100 …(6) 式中、tbはしごき加工前のスチール素材の厚みであ
り、tsはしごき加工後のスチール素材の厚みである、
で定義されるしごき率(RI)は、一段のしごきで2乃
至60%、全体としてのしごきで20乃至85%の範囲
にあるのが望ましい。
【0047】しごき加工に際して、図3に相当する寸法
及び形状のしごきポンチを使用し、ネックイン開始部乃
至その近傍の厚みが100乃至135μmで、しかもそ
のマイクロビッカース硬度が前記式を満足するようにし
ごき加工を行うのはいうまでもない。
【0048】尚、しごき加工終了後カップの底打ちを行
って底部にドームを形成させておくのがよい。また、し
ごき加工に際して、しごきダイスと加工される側壁部と
を潤滑し且つこれを冷却するために、水性クーラントを
加工部分に吹き付けて加工を行うのがよい。水性クーラ
ントとしては、前述した潤滑剤を、界面活性剤と共に水
性媒体中に分散させ、乳化させたものが使用される。あ
るいは合成エステルなどの水溶性のクーラントも使用さ
れる。
【0049】[後処理]得られる絞りしごきカップを、
ポンチから抜き取った後、脱脂洗浄等の前処理を行い、
次いで表面処理等の後処理を行うことができる。この表
面処理としては、缶の耐食性を向上させ、また塗料との
密着性を向上させるような燐酸処理、クロム酸処理、ジ
ルコン酸処理、タンニン酸やアクリル樹脂等の水溶性高
分子による処理が挙げられる。絞りしごき缶の表面処理
は、この缶に処理液をスプレーすることにより容易に行
われる。処理後の缶を水洗し乾燥して、以下に示す塗装
処理を行う。
【0050】保護塗料としては、熱硬化性及び熱可塑性
樹脂から成る任意の保護塗料:例えば、フェノール−エ
ポキシ塗料、アミノ−エポキシ塗料等の変性エポキシ塗
料;例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニ
ル−酢酸ビニル共重合体部分ケン化物、塩化ビニル−酢
酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、エポキシ変性−、
エポキシアミノ変性−或はエポキシフェノール変性−ビ
ニル塗料等のビニルまたは変性ビニル塗料;アクリル樹
脂系塗料;スチレン−ブタジエン系共重合体等の合成ゴ
ム系塗料等の単独または2種以上の組合せが使用され
る。スチールに対する密着性と耐腐食性の点では、塗膜
形成性樹脂成分の一部としてエポキシ成分を含む塗料が
好ましい。
【0051】これらの塗料は、エナメル或はラッカー等
の有機溶媒溶液の形で、或は水性分散液または水溶液の
形で、ローラ塗装、スプレー塗装、浸漬塗装、静電塗
装、電気泳動塗装等の形で金属素材に施す。勿論、前記
樹脂塗料が熱硬化性の場合には、必要により塗料を焼付
ける。
【0052】保護塗装は、耐腐食性と加工性の見地か
ら、一般に2乃至30μm 、特に3乃至20μm の厚み
(乾燥状態)を有することが望ましい。また、塗装後の
缶の加工性を向上させるために、塗膜中に、各種滑剤を
含有させることもできる。
【0053】本発明のスチール製絞りしごき缶では、水
性塗料を用いることもできる。即ち、内面保護塗膜の形
成には、スプレー塗装が一般に使用されるが、水性塗料
を用いると、大気中への溶剤の揮散の問題がなく、環境
保全や公害防止の点で利点が奏せられる。水性塗料とし
ては、塗膜形成樹脂成分の少なくとも一部としてカルボ
キシル基含有アクリル樹脂成分及びエポキシ樹脂成分を
含有し、該アクリル樹脂成分のカルボキシル基がアンモ
ニウム塩またはアミン塩の形と成ることにより、該塗膜
形成樹脂成分がO/W型エマルジョン粒子の形で存在す
る乳化型熱硬化型水性塗料が好適に使用される。
【0054】塗料の焼き付けは、塗料の種類によっても
相違するが、一般に180乃至210℃の温度で、30
乃至120秒間程度行う。塗料の焼き付けには、熱風循
環炉、赤外線加熱炉等を用いることができる。
【0055】[ネックイン加工]本発明によれば、この
ようにして得られた塗装缶胴にネックイン加工を行う。
ネックイン加工は、既に指摘したとおり、口絞り率が1
5%以上となるように、一段或いは多段で行う。この
際、ネックイン開始部乃至その近傍のマイクロビッカー
ス硬度が、前記式(1)及び(2)を満足する範囲とな
っていることが重要であることも既に指摘したとおりで
ある。口絞りには、ダイ絞り、ローラ絞りやへら絞りを
用いることができる。ネックイン加工に次いで、フラン
ジダイ或いはスピンロールを用いてフランジ加工等を行
って、最終缶胴とする。尚、ネックイン加工がローラ絞
りの場合、通常フランジ成形も同時に行なう。
【0056】
【実施例】本発明を次の例で更に詳しく説明する。
【0057】測定及び評価は、実施例・比較例を通じ、
次の条件で評価を行った。 1) 製缶時のフランジクラックによるアウト缶数 作製した絞りしごき缶1,000,000 缶をインラインのフラ
ンジクラック検出器で検査し、フランジクラックによる
アウト缶数で評価した。 2) 蓋巻締部耐腐食性評価 フランジクラック検出器を通した後の絞りしごき缶10
0缶にコカコーラを常法にて充填・巻締し、37℃に6
カ月正立(蓋が上方向)で保管したのち、蓋巻締部の缶
胴側の腐食点数を調査し、1缶当たりの腐食点数で表わ
した。 3) 密封性評価 フランジクラック検出器を通した後の絞りしごき缶1,
000缶にコカコーラを常法にて充填・巻締し、37℃
に1年間倒立(蓋が下方向)で保管したのち、蓋巻締部
から液が漏洩した缶数を調べた。
【0058】[実施例1−1]冷間圧延20%をした後
210℃5分の熱処理をしたときの断面マイクロビッカ
ース硬度が175、冷間圧延70%をした後210℃5
分の熱処理をしたときの断面マイクロビッカース硬度が
182となる特性の板厚0.220mmの極低炭素(炭
素量0.0015重量%、箱型焼鈍)鋼板上にすずめっ
きをし、E2.8/2.8のすずめっき鋼板(ぶりき)
を製造した。この鋼板を、ブランク径142mmにブラ
ンキング後、1st絞り(絞り比1.6)でカップを成
形後、再絞り(絞り比1.3)としごき成形(3工程)
及びドーム成形を行い、ネックイン開始部の板厚が0.
130mmである缶胴内径65.8mmの絞りしごきカ
ップを成形し、缶高さが123mmになるようにトリミ
ングし、洗浄乾燥した後、外面を印刷し加熱焼付した
後、内面をスプレー塗装し加熱焼付けし、その後、ネッ
ク相当部をダイネック方式で6段ネック形状の口絞り加
工で内径52.4mm(口絞り率20.4%)に縮径し
た後、フランジング加工し、再度内面をスプレー塗装し
加熱焼付けし、絞りしごき缶を作製した。
【0059】このようにして得た絞りしごき缶につい
て、ネックイン開始部のマイクロビッカース硬度
(Y)、底接地部内側のマイクロビッカース硬度(X)
とネックイン開始部のマイクロビッカース硬度(Y)の
加算値(X+Y)、ネックイン開始部板厚、口絞り率な
どの測定値と、密封性評価、蓋巻締部耐腐食性評価、製
缶時のフランジクラックによるアウト缶数評価を行っ
た。その結果を表1に示す。
【0060】[実施例1−2〜1−6、比較例1−1〜
1−3]実施例1−2、1−3、1−4、1−5、1−
6、比較例1−1、1−2、1−3は、(冷間圧延20
%をした後210℃5分の熱処理をしたときの断面マイ
クロビッカース硬度、冷間圧延70%をした後210℃
5分の熱処理をしたときの断面マイクロビッカース硬
度)がそれぞれ(183,202)、(170,21
0)、(198,201)、(170,213)、(1
96,217)、(201,212)、(171,22
2)、(220,251)となる特性の板厚0.220
mmの鋼板上にすずめっきをし、E2.8/2.8のす
ずめっき鋼板(ぶりき)を製造したこと以外は実施例1
−1と同様にして絞りしごき缶を作製した。このときの
鋼板はそれぞれ、極低炭素(炭素量0.0022重量
%、連続焼鈍)鋼板、低炭素(炭素量0.037重量
%、連続焼鈍)鋼板、極低炭素(炭素量0.0032重
量%、連続焼鈍)鋼板、低炭素(炭素量0.032重量
%、連続焼鈍)鋼板、低炭素(炭素量0.040重量
%、連続焼鈍)鋼板、極低炭素(炭素量0.0044重
量%、連続焼鈍)鋼板、極低炭素(炭素量0.0032
重量%、連続焼鈍)鋼板、低炭素(炭素量0.051重
量%、連続焼鈍)鋼板である。このようにして得た絞り
しごき缶について、実施例1−1と同様にして、ネック
イン開始部のマイクロビッカース硬度(Y)、底接地部
内側のマイクロビッカース硬度(X)とネックイン開始
部のマイクロビッカース硬度(Y)の加算値(X+
Y)、ネックイン開始部板厚、口絞り率などの測定値
と、密封性評価、蓋巻締部耐腐食性評価、製缶時のフラ
ンジクラックによるアウト缶数評価を行った。その結果
を表1に示す。
【0061】[実施例2−1]実施例1−1と同じ(圧
延−硬度)特性をもつ板厚0.220mmの極低炭素
(炭素量0.0015重量%、箱型焼鈍)鋼板上にすず
めっきをし、E2.8/2.8のすずめっき鋼板(ぶり
き)を製造した。この鋼板をブランク径142mmにブ
ランキング後、1st絞り(絞り比1.6)でカップを
成形後、再絞り(絞り比1.3)としごき成形(3工
程)及びドーム成形を行い、ネックイン開始部の板厚が
0.100mmである缶胴内径65.8mmの絞りしご
きカップを成形し、缶高さが123mmになるようにト
リミングし、洗浄乾燥した後、外面を印刷し加熱焼付し
た後、内面をスプレー塗装し加熱焼付けし、その後、ネ
ック相当部をダイネック方式で2段ネック形状の口絞り
加工で内径60.0mm(口絞り率8.8%)に縮径し
た後、2段階のロールネック方式でスムース形状の内径
52.4mm(1段目の内径56.2mm、総口絞り率
20.4%)の縮径とフランジング加工を行い、再度内
面をスプレー塗装し加熱焼付けし、絞りしごき缶を作製
した。
【0062】このようにして得た絞りしごき缶につい
て、実施例1−1と同様にして、ネックイン開始部のマ
イクロビッカース硬度(Y)、底接地部内側のマイクロ
ビッカース硬度(X)とネックイン開始部のマイクロビ
ッカース硬度(Y)の加算値(X+Y)、ネックイン開
始部板厚、口絞り率などの測定値と、密封性評価、蓋巻
締部耐腐食性評価、製缶時のフランジクラックによるア
ウト缶数評価を行った。その結果を表1に示す。
【0063】[比較例2−1]ネック相当部の板厚が
0.095mmであること以外は、実施例2−1と同様
にして絞りしごき缶を作製した。このようにして得た絞
りしごき缶について、実施例1−1と同様にして、ネッ
クイン開始部のマイクロビッカース硬度(Y)、底接地
部内側のマイクロビッカース硬度(X)とネックイン開
始部のマイクロビッカース硬度(Y)の加算値(X+
Y)、ネックイン開始部の板厚、口絞り率などの測定値
と、密封性評価、蓋巻締部耐腐食性評価、製缶時のフラ
ンジクラックによるアウト缶数評価を行った。その結果
を表1に示す。
【0064】[実施例3−1]実施例1−1と同じ(圧
延−硬度)特性をもつ板厚0.220mmの極低炭素
(炭素量0.0015重量%、箱型焼鈍)鋼板上にすず
めっきをし、E2.8/2.8のすずめっき鋼板(ぶり
き)を製造し、ネック相当部をダイネック方式で5段ネ
ック形状の口絞り加工で内径54.90mm(口絞り率
16.6%)に縮径した事以外は、実施例1−1と同様
にして絞りしごき缶を作製した。
【0065】このようにして得た絞りしごき缶につい
て、実施例1−1と同様にして、ネックイン開始部のマ
イクロビッカース硬度(Y)、底接地部内側のマイクロ
ビッカース硬度(X)とネックイン開始部のマイクロビ
ッカース硬度(Y)の加算値(X+Y)、ネックイン開
始部の板厚、口絞り率などの測定値と、密封性評価、蓋
巻締部耐腐食性評価、製缶時のフランジクラックによる
アウト缶数評価を行った。その結果を表1に示す。
【0066】[実施例3−2]ネック相当部をダイネッ
ク方式で2段ネック形状の口絞り加工で内径60.0m
m(口絞り率8.8%)に縮径した後、2段階のロール
ネック方式でスムース形状の内径50.0mm(1段目
55.0mm、総口絞り率24.0%)に縮径した事以
外は実施例3−1と同様にして絞りしごき缶を作製し
た。
【0067】このようにして得た絞りしごき缶につい
て、実施例1−1と同様にして、ネックイン開始部のマ
イクロビッカース硬度(Y)、底接地部内側のマイクロ
ビッカース硬度(X)とネックイン開始部のマイクロビ
ッカース硬度(Y)の加算値(X+Y)、ネックイン開
始部の板厚、口絞り率などの測定値と、密封性評価、蓋
巻締部耐腐食性評価、製缶時のフランジクラックによる
リジェクト数評価を行った。その結果を表1に示す。
【0068】[実施例3−3]ネックイン開始部の板厚
を0.100mmにしたこと以外は、実施例3−2と同
様にして絞りしごき缶を作製した。このようにして得た
絞りしごき缶について、実施例1−1と同様にして、ネ
ックイン開始部のマイクロビッカース硬度(Y)、底接
地部内側のマイクロビッカース硬度(X)とネックイン
開始部のマイクロビッカース硬度(Y)の加算値(X+
Y)、ネックイン開始部の板厚、口絞り率などの測定値
と、密封性評価、蓋巻締部耐腐食性評価、製缶時のフラ
ンジクラックによるリジェクト数評価を行った。その結
果を表1に示す。
【0069】
【表1】
【0070】実施例1−1〜1−6,2−1,3−1〜
3−3、比較例1−1〜1−3,2−1から、スチール
板を絞りしごき加工し、且つ巻締用口部を小径にネック
イン加工して成るスチール製絞りしごき缶において、口
絞り率が15%以上であり、ネックイン開始部の板厚が
100乃至135μmの範囲にあり、かつネックイン開
始部のマイクロビッカース硬度Y及び底接地部内側のマ
イクロビッカース硬度Xが式 X+Y≦430 Y≦240 で規定される範囲内にあることを特徴とするスチール製
絞りしごき缶は、密封性に優れ、巻締部の腐食性が少な
く、製缶時のフランジクラック性に優れることが分か
る。
【0071】また、これらの缶品質は、 X+Y≦410 Y≦230 で規定される範囲内で特に優れることが分かる。
【0072】実施例と比較例を図1に示す。○△×の評
点基準は次の通りである。
【0073】
【発明の効果】本発明によれば、以上により、ネックイ
ン加工部の厚みが薄肉でしかも巻締用口部が小径にネッ
クイン加工されていながら、ネックイン加工の際のしわ
の発生や、フランジ加工や巻締加工の際のフランジ割れ
(フランジクラック)が防止され、その結果として密封
性及び蓋巻締部耐腐食性の組み合わせに優れたスチール
製絞りしごき缶が得られる。また、ネックイン加工部を
薄肉化することで、缶の軽量化と素材コストの低減とが
可能となり、またしごき後のポンチからの抜き取りも容
易であるなど、作業性の点でも多くの利点が達成され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】底接地部内側のマイクロビッカース硬度(X)
を横軸、ネックイン開始部乃至その近傍のマイクロビッ
カース硬度(Y)を縦軸とし、最終絞りしごき缶の密封
性、蓋巻締部耐腐食性、耐フランジクラック性に対する
評価を、優(○)、良(△)及び不可(×)でプロット
したグラフである。
【図2】本発明の絞りしごき缶の一例を示す一部断面側
面図である。
【図3】ネックイン加工前の缶胴の厚みの分布を拡大し
て示す拡大断面図である。
【符号の説明】
1 絞りしごき缶 2 底部 3 胴部 4 側壁部 5 ネックイン加工部 6 巻締用フランジ 7 縮径された口部 8 テーパ状の外周部 9 接地部 10 テーパ状の内周部 11 ドーム部 12 ネックイン加工部 13 テーパ部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スチール板を絞りしごき加工し、且つ巻
    締用口部を小径にネックイン加工して成るスチール製絞
    りしごき缶において、口絞り率が15%以上であり、ネ
    ックイン開始部乃至その近傍の板厚が100乃至135
    μmの範囲にあり、かつネックイン開始部乃至その近傍
    のマイクロビッカース硬度(Y)及び底接地部内側のマ
    イクロビッカース硬度(X)が式 X+Y ≦ 430 及び Y ≦ 240 で規定される範囲内にあることを特徴とする密封性、蓋
    巻締部耐腐食性、耐フランジクラック性に優れたスチー
    ル製絞りしごき缶。
  2. 【請求項2】 スチール板を絞りしごき加工し、且つ巻
    締用口部を小径にネックイン加工して成るスチール製絞
    りしごき缶において、口絞り率が15%以上であり、ネ
    ックイン開始部乃至その近傍の板厚が100乃至135
    μmの範囲にあり、かつネックイン開始部乃至その近傍
    のマイクロビッカース硬度(Y)及び底接地部内側のマ
    イクロビッカース硬度(X)が式 X+Y ≦ 410 及び Y ≦ 230 で規定される範囲内にあることを特徴とする密封性、蓋
    巻締部耐腐食性、耐フランジクラック性に優れたスチー
    ル製絞りしごき缶。
  3. 【請求項3】 スチール板が極低炭素鋼板で、含有炭素
    量が0.0005乃至0.0080重量%である請求項
    1,2のスチール製絞りしごき缶。
  4. 【請求項4】 スチール板が低炭素鋼板で、含有炭素量
    が0.010乃至0.060重量%である請求項1,2
    のスチール製絞りしごき缶。
  5. 【請求項5】 ネックイン開始部板厚が100乃至13
    0μmであり、かつ缶胴部板厚が50乃至75μmであ
    る請求項3,4のスチール製絞りしごき缶。
  6. 【請求項6】 スチール板の元板厚が0.17乃至0.
    23mmである請求項5のスチール製絞りしごき缶。
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