JPH07278656A - 低降伏比高張力鋼の製造方法 - Google Patents
低降伏比高張力鋼の製造方法Info
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- JPH07278656A JPH07278656A JP6629294A JP6629294A JPH07278656A JP H07278656 A JPH07278656 A JP H07278656A JP 6629294 A JP6629294 A JP 6629294A JP 6629294 A JP6629294 A JP 6629294A JP H07278656 A JPH07278656 A JP H07278656A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明は、低降伏比であると共に延性および
靭性に優れた鋼を容易に製造する方法を提供する。 【構成】 鋼片をそのままで熱間圧延を行うか、一度冷
却した後に再びAc3 点以上の温度に再加熱した後、A
r3 点以上の温度で熱間圧延を終了し、700℃以上の
温度から1℃/秒以上20℃/秒以下の冷却速度で冷却
を行い、600℃以下の温度で冷却を終了、放冷し、さ
らに750℃以上850℃以下の温度に昇温、60分以
内で保持を終了して、2℃/秒以上50℃/秒以下の冷
却速度で再び冷却を施すことによって、強度、靭性およ
び延性に優れた低降伏比高張力鋼を容易に製造すること
ができる。
靭性に優れた鋼を容易に製造する方法を提供する。 【構成】 鋼片をそのままで熱間圧延を行うか、一度冷
却した後に再びAc3 点以上の温度に再加熱した後、A
r3 点以上の温度で熱間圧延を終了し、700℃以上の
温度から1℃/秒以上20℃/秒以下の冷却速度で冷却
を行い、600℃以下の温度で冷却を終了、放冷し、さ
らに750℃以上850℃以下の温度に昇温、60分以
内で保持を終了して、2℃/秒以上50℃/秒以下の冷
却速度で再び冷却を施すことによって、強度、靭性およ
び延性に優れた低降伏比高張力鋼を容易に製造すること
ができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は加速冷却に焼き戻しを組
み合わせることにより容易に製造できる強度、靭性およ
び延性に優れた低降伏比高張力鋼の製造方法に関するも
のである。
み合わせることにより容易に製造できる強度、靭性およ
び延性に優れた低降伏比高張力鋼の製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】近年、建築用構造物に使用される鋼材等
(鋼板、鋼管、形鋼等)においては耐震性等の見地から
低降伏比の高張力鋼が求められている。このような要求
に対して、例えば特開昭53−23817号公報あるい
は特開平1−75817号公報記載の方法等が提案され
ているが、いずれの場合も降伏比を50%程度まで下げ
る鋼の製造方法は提案されていない。また、降伏比を大
きく低下させるためにはフェライト等の軟質相中にマル
テンサイト等の硬質相を分散させることが必要であり、
このような場合には靭性や延性が著しく低下してしまう
という問題点もある。
(鋼板、鋼管、形鋼等)においては耐震性等の見地から
低降伏比の高張力鋼が求められている。このような要求
に対して、例えば特開昭53−23817号公報あるい
は特開平1−75817号公報記載の方法等が提案され
ているが、いずれの場合も降伏比を50%程度まで下げ
る鋼の製造方法は提案されていない。また、降伏比を大
きく低下させるためにはフェライト等の軟質相中にマル
テンサイト等の硬質相を分散させることが必要であり、
このような場合には靭性や延性が著しく低下してしまう
という問題点もある。
【0003】靭性を改善する手段としては、特開平5−
222450号公報、特開平5−230530号公報、
特開平5−230531号公報に記載の方法が示されて
いる。これらの方法は本発明と同様にα+γの2相域温
度での処理により低YR鋼を得るもので、急速加熱、短
時間保持や成分により処理温度、保持時間を適正化する
ことで、この処理時に生じる金属組織の粗大化を防止
し、靭性の改善を図るものである。しかし、対象となる
金属組織がベイナイト、マルテンサイトである点がフェ
ライト主体の鋼について低YRかつ高靭性を得る方法を
提供しようとする本発明とは異なる。
222450号公報、特開平5−230530号公報、
特開平5−230531号公報に記載の方法が示されて
いる。これらの方法は本発明と同様にα+γの2相域温
度での処理により低YR鋼を得るもので、急速加熱、短
時間保持や成分により処理温度、保持時間を適正化する
ことで、この処理時に生じる金属組織の粗大化を防止
し、靭性の改善を図るものである。しかし、対象となる
金属組織がベイナイト、マルテンサイトである点がフェ
ライト主体の鋼について低YRかつ高靭性を得る方法を
提供しようとする本発明とは異なる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来法の問題点を排除し、降伏比を50%程度まで低下
させながらも靭性、延性(均一伸び、全伸び)を保ち得
る引張強度60kgf/mm2程度の鋼に対する低降伏比高張
力鋼の容易なる製造方法を提供することにある。
従来法の問題点を排除し、降伏比を50%程度まで低下
させながらも靭性、延性(均一伸び、全伸び)を保ち得
る引張強度60kgf/mm2程度の鋼に対する低降伏比高張
力鋼の容易なる製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は次の通り
である。 (1)重量%で、C:0.01〜0.4%、Mn:0.
02〜3.0%、Si:0.001〜0.75%、A
l:0.001〜0.1%、残部がFeおよび不可避的
不純物からなる鋼片をそのままか、一度冷却した後に再
びAc3 点以上の温度に再加熱した後に熱間圧延を開始
し、Ar3 点以上の温度で熱間圧延を終了して、700
℃以上の温度から1℃/秒以上20℃/秒以下の冷却速
度で冷却を行い、600℃以下の温度で冷却を終了、放
冷し、さらに750℃以上850℃以下の温度に昇温
し、60分以内で保持を終了して、2℃/秒以上50℃
/秒以下の冷却速度で再び冷却を施し、優れた強度、靭
性および延性を有することを特徴とする低降伏比高張力
鋼の製造方法。
である。 (1)重量%で、C:0.01〜0.4%、Mn:0.
02〜3.0%、Si:0.001〜0.75%、A
l:0.001〜0.1%、残部がFeおよび不可避的
不純物からなる鋼片をそのままか、一度冷却した後に再
びAc3 点以上の温度に再加熱した後に熱間圧延を開始
し、Ar3 点以上の温度で熱間圧延を終了して、700
℃以上の温度から1℃/秒以上20℃/秒以下の冷却速
度で冷却を行い、600℃以下の温度で冷却を終了、放
冷し、さらに750℃以上850℃以下の温度に昇温
し、60分以内で保持を終了して、2℃/秒以上50℃
/秒以下の冷却速度で再び冷却を施し、優れた強度、靭
性および延性を有することを特徴とする低降伏比高張力
鋼の製造方法。
【0006】(2)重量%で、Nb:0.001〜0.
05%、Ti:0.001〜0.05%、V:0.00
1〜0.1%のいずれか1種、または2種以上を含有
し、優れた強度、靭性および延性を有することを特徴と
する(1)記載の低降伏比高張力鋼の製造方法。(3)
重量%で、Mo:0.01〜1.0%、Ni:0.01
〜2%、Cr:0.01〜1%、Cu:0.01〜1
%、B:0.00001〜0.003%のいずれか1
種、または2種以上をさらに含有し、優れた強度、靭性
および延性を有することを特徴とする(1)又は(2)
記載の低降伏比高張力鋼の製造方法。本発明の製造方法
により、微細なフェライト組織中に高炭素マルテンサイ
トあるいはこれと残留オーステナイトの混合物(以下M
*と略記)を極めて微細に分散させることによって、靭
性、延性を保ちながら降伏比を顕著に低下させることを
特徴とする。
05%、Ti:0.001〜0.05%、V:0.00
1〜0.1%のいずれか1種、または2種以上を含有
し、優れた強度、靭性および延性を有することを特徴と
する(1)記載の低降伏比高張力鋼の製造方法。(3)
重量%で、Mo:0.01〜1.0%、Ni:0.01
〜2%、Cr:0.01〜1%、Cu:0.01〜1
%、B:0.00001〜0.003%のいずれか1
種、または2種以上をさらに含有し、優れた強度、靭性
および延性を有することを特徴とする(1)又は(2)
記載の低降伏比高張力鋼の製造方法。本発明の製造方法
により、微細なフェライト組織中に高炭素マルテンサイ
トあるいはこれと残留オーステナイトの混合物(以下M
*と略記)を極めて微細に分散させることによって、靭
性、延性を保ちながら降伏比を顕著に低下させることを
特徴とする。
【0007】
【作用】本発明の基本となる考え方は以下の通りであ
る。まず鋼の降伏比を低下させる手段についてである
が、簡単な方法としてはフェライト等の軟質相中にマル
テンサイト等の硬質相を分散させることが考えられる。
本発明では、このような金属組織状態を得るために圧延
・冷却後に鋼をAc1点温度以上の温度にし、金属組織
の一部を一旦高炭素のオーステナイトとし、冷却により
これをマルテンサイトあるいはM*とする。これにより
軟質なフェライトは低応力で降伏しながら、硬質なマル
テンサイト、M*が分散しているので引張強度を高くす
ることができ、低降伏比の高張力鋼を得ることができ
る。但し、このような軟質相と硬質相の混合組織では一
般にその不均一差のために靭性や延性が劣る。
る。まず鋼の降伏比を低下させる手段についてである
が、簡単な方法としてはフェライト等の軟質相中にマル
テンサイト等の硬質相を分散させることが考えられる。
本発明では、このような金属組織状態を得るために圧延
・冷却後に鋼をAc1点温度以上の温度にし、金属組織
の一部を一旦高炭素のオーステナイトとし、冷却により
これをマルテンサイトあるいはM*とする。これにより
軟質なフェライトは低応力で降伏しながら、硬質なマル
テンサイト、M*が分散しているので引張強度を高くす
ることができ、低降伏比の高張力鋼を得ることができ
る。但し、このような軟質相と硬質相の混合組織では一
般にその不均一差のために靭性や延性が劣る。
【0008】一方、通常の鋼において、靭性や延性の改
善には、金属組織を軟化させることや結晶粒径を微細に
すること等が有効であることが知られている。本発明者
等の検討によれば、上述したような方法で製造した低降
伏比鋼においても、その延性(一様伸び、破断伸び)
や、靭性はフェライト粒径や分散させたマルテンサイト
あるいはM*のサイズや析出率、分布等の影響を受け、
フェライト粒は微細であること、マルテンサイトあるい
はM*についても微細であり、かつ適当な析出率である
ことによって、靭性や延性の改善が可能であることが判
明した。
善には、金属組織を軟化させることや結晶粒径を微細に
すること等が有効であることが知られている。本発明者
等の検討によれば、上述したような方法で製造した低降
伏比鋼においても、その延性(一様伸び、破断伸び)
や、靭性はフェライト粒径や分散させたマルテンサイト
あるいはM*のサイズや析出率、分布等の影響を受け、
フェライト粒は微細であること、マルテンサイトあるい
はM*についても微細であり、かつ適当な析出率である
ことによって、靭性や延性の改善が可能であることが判
明した。
【0009】次に、このような金属組織状態を得る方法
について説明する。まず、微細なフェライト組織を得る
には圧延後のオーステナイト組織を強制冷却し、過冷却
状態から変態させることによって、フェライト変態の核
生成頻度を増加させることが効果的である。また、これ
に先立って圧延によりオーステナイトを細粒化しておく
ことやオーステナイトの未再結晶温度域で圧延を実施す
ることも更に有効に作用する。
について説明する。まず、微細なフェライト組織を得る
には圧延後のオーステナイト組織を強制冷却し、過冷却
状態から変態させることによって、フェライト変態の核
生成頻度を増加させることが効果的である。また、これ
に先立って圧延によりオーステナイトを細粒化しておく
ことやオーステナイトの未再結晶温度域で圧延を実施す
ることも更に有効に作用する。
【0010】次にマルテンサイトやM*を微細に分散さ
せる方法についてであるが、このためには、まず圧延、
冷却後の鋼をAc1 点温度以上の温度に加熱し、金属組
織の一部を高炭素のオーステナイトに変態させる際に、
この高炭素のオーステナイトを微細に分散させることが
必要である。なぜならこの部分が引き続く強制冷却によ
り、マルテンサイトやM*に変態するからである。
せる方法についてであるが、このためには、まず圧延、
冷却後の鋼をAc1 点温度以上の温度に加熱し、金属組
織の一部を高炭素のオーステナイトに変態させる際に、
この高炭素のオーステナイトを微細に分散させることが
必要である。なぜならこの部分が引き続く強制冷却によ
り、マルテンサイトやM*に変態するからである。
【0011】さて、このようなオーステナイトの核生成
箇所は昇温前の金属組織中の高炭素の箇所、すなわちパ
ーライトや高炭素マルテンサイト、残留オーステナイト
であるから、これらを事前に微細に分散させておくこと
が必要であって、本発明法では、圧延後に強制冷却を
施すことによって、放冷時に生じさせるような粗大なバ
ンド状のパーライトの生成を抑制し、これを微細に分散
させる、さらに冷却速度を比較的に低め、冷却終了温
度を通常の加速冷却に比較して低めにすることによっ
て、加速冷却法においては有害とされるベイナイトやマ
ルテンサイトあるいはM*を故意に微細分散させること
によってこれを達成した。
箇所は昇温前の金属組織中の高炭素の箇所、すなわちパ
ーライトや高炭素マルテンサイト、残留オーステナイト
であるから、これらを事前に微細に分散させておくこと
が必要であって、本発明法では、圧延後に強制冷却を
施すことによって、放冷時に生じさせるような粗大なバ
ンド状のパーライトの生成を抑制し、これを微細に分散
させる、さらに冷却速度を比較的に低め、冷却終了温
度を通常の加速冷却に比較して低めにすることによっ
て、加速冷却法においては有害とされるベイナイトやマ
ルテンサイトあるいはM*を故意に微細分散させること
によってこれを達成した。
【0012】次に、マルテンサイトあるいはM*の体積
分率を適当な量に制御する方法についてであるが、これ
はやはりAc1 点以上への再加熱の際にオーステナイト
化する体積率を制御することによって達成される。従っ
て、この時の温度および保持時間を制御することが必要
である。本発明においては、750℃以上850℃以下
でこれが得られることを見い出した。例えば、再加熱温
度が750℃未満の場合には、低降伏比は得られるが、
M*分率が低すぎ、延性および靭性が劣化した。
分率を適当な量に制御する方法についてであるが、これ
はやはりAc1 点以上への再加熱の際にオーステナイト
化する体積率を制御することによって達成される。従っ
て、この時の温度および保持時間を制御することが必要
である。本発明においては、750℃以上850℃以下
でこれが得られることを見い出した。例えば、再加熱温
度が750℃未満の場合には、低降伏比は得られるが、
M*分率が低すぎ、延性および靭性が劣化した。
【0013】このような鋼の金属組織ではマルテンサイ
トあるいはM*の発生個数も少なく、発生箇所(2相域
処理時にオーステナイト化する箇所)が遍在しているた
めと、750℃未満の処理温度ではマルテンサイトやM
*の炭素濃度が高く、フェライトとの硬度差が大きくな
りすぎるためであると考えられる。また、850℃超の
温度ではマルテンサイトあるいはM*の分率がかなり多
く、広範囲に広がり、微細な分散状態が得られず、やは
り靭性、延性が劣化する。また、750℃以上850℃
以下での保持時間が長すぎると金属組織や炭化物の粗大
化が生じるため、60分を超えて行うことは好ましくな
い。さらに、保持終了後にはオーステナイト化した部分
をマルテンサイトやM*に変態させるために強制冷却を
行う必要がある。
トあるいはM*の発生個数も少なく、発生箇所(2相域
処理時にオーステナイト化する箇所)が遍在しているた
めと、750℃未満の処理温度ではマルテンサイトやM
*の炭素濃度が高く、フェライトとの硬度差が大きくな
りすぎるためであると考えられる。また、850℃超の
温度ではマルテンサイトあるいはM*の分率がかなり多
く、広範囲に広がり、微細な分散状態が得られず、やは
り靭性、延性が劣化する。また、750℃以上850℃
以下での保持時間が長すぎると金属組織や炭化物の粗大
化が生じるため、60分を超えて行うことは好ましくな
い。さらに、保持終了後にはオーステナイト化した部分
をマルテンサイトやM*に変態させるために強制冷却を
行う必要がある。
【0014】以上が本発明の根幹となる考え方であっ
て、要約すると以下の通りである。まず、低降伏比鋼
は、Ac1 点以上の温度で鋼の一部をオーステナイト化
し、さらにこれを冷却することによってマルテンサイト
やM*を鋼中に分散させることによって製造可能であ
る。しかしながら、このような場合には靭性や延性が劣
化する。そこで、Ac1 点以上の温度でのオーステナイ
ト化処理の前組織について、加速冷却によりフェライト
を微細にしておくこと、また、同時に加速冷却の冷却速
度および冷却終了温度を制御することにより、粗大なパ
ーライトバンドの生成を阻止し、高炭素のベイナイトや
マルテンサイトあるいはM*を故意に微細分散させ、オ
ーステナイトの核生成箇所を微細に分散させておくこと
が有効である。
て、要約すると以下の通りである。まず、低降伏比鋼
は、Ac1 点以上の温度で鋼の一部をオーステナイト化
し、さらにこれを冷却することによってマルテンサイト
やM*を鋼中に分散させることによって製造可能であ
る。しかしながら、このような場合には靭性や延性が劣
化する。そこで、Ac1 点以上の温度でのオーステナイ
ト化処理の前組織について、加速冷却によりフェライト
を微細にしておくこと、また、同時に加速冷却の冷却速
度および冷却終了温度を制御することにより、粗大なパ
ーライトバンドの生成を阻止し、高炭素のベイナイトや
マルテンサイトあるいはM*を故意に微細分散させ、オ
ーステナイトの核生成箇所を微細に分散させておくこと
が有効である。
【0015】また、さらにオーステナイト化の体積率
(後のマルテンサイトやM*の体積率)を適当に制御す
る必要があり、このためにはオーステナイト化温度を制
御する必要がある。以上のようにオーステナイト処理や
その前組織を緻密に制御することによって、降伏比を顕
著に低下させながらも、靭性や延性を劣化させない鋼の
製造が可能となるものである。上記したような新しい発
見に基づき本発明法における鋼の化学成分、製造条件を
詳細に調査した結果、本発明者等は本発明に示したよう
な鋼の製造方法を創案した。
(後のマルテンサイトやM*の体積率)を適当に制御す
る必要があり、このためにはオーステナイト化温度を制
御する必要がある。以上のようにオーステナイト処理や
その前組織を緻密に制御することによって、降伏比を顕
著に低下させながらも、靭性や延性を劣化させない鋼の
製造が可能となるものである。上記したような新しい発
見に基づき本発明法における鋼の化学成分、製造条件を
詳細に調査した結果、本発明者等は本発明に示したよう
な鋼の製造方法を創案した。
【0016】以下に各成分の限定の理由について述べ
る。Cは鋼の強化を行うのに有効な元素であり0.01
%未満では十分な強度が得られない。一方、その含有量
が0.4%を超えると、溶接性を劣化させる。Mnは鋼
の強化に有効な元素であり、0.02%未満では十分な
効果が得られない。一方、その含有量が3.0%を超え
ると鋼の加工性を劣化させる。Siは脱酸元素として、
また、鋼の強化元素として有効であるが、0.001%
未満の含有量ではその効果がない。一方、0.75%を
超えると、鋼の表面性状を損なう。
る。Cは鋼の強化を行うのに有効な元素であり0.01
%未満では十分な強度が得られない。一方、その含有量
が0.4%を超えると、溶接性を劣化させる。Mnは鋼
の強化に有効な元素であり、0.02%未満では十分な
効果が得られない。一方、その含有量が3.0%を超え
ると鋼の加工性を劣化させる。Siは脱酸元素として、
また、鋼の強化元素として有効であるが、0.001%
未満の含有量ではその効果がない。一方、0.75%を
超えると、鋼の表面性状を損なう。
【0017】Alは脱酸あるいは圧延に先立つ再加熱時
のオーステナイトの成長抑制として添加され、0.00
1%未満では効果がなく、0.1%を超えると、鋼の表
面性状を劣化させる。Nb,TiおよびVはいずれも微
量の添加で結晶粒の微細化と析出強化の面で有効に機能
するので溶接部の靭性を劣化させない範囲で使用しても
よい。このような観点からその添加量をNb,Tiにつ
いては0.001〜0.05%、Vについては0.00
1〜0.1%とする。
のオーステナイトの成長抑制として添加され、0.00
1%未満では効果がなく、0.1%を超えると、鋼の表
面性状を劣化させる。Nb,TiおよびVはいずれも微
量の添加で結晶粒の微細化と析出強化の面で有効に機能
するので溶接部の靭性を劣化させない範囲で使用しても
よい。このような観点からその添加量をNb,Tiにつ
いては0.001〜0.05%、Vについては0.00
1〜0.1%とする。
【0018】Mo,Ni,Cr,Cu,Bはいずれも鋼
の焼入れ性を向上させる元素であり、本発明の場合、そ
の添加により鋼の強度を高めることができる。しかし、
過度の添加は鋼の靭性および溶接性を損なうため、Mo
については0.01%以上1.0%以下、Niについて
は0.01%以上2%以下、Crについては0.01%
以上1%以下、Cuについては0.01%以上1%以
下、Bについては0.00001%以上0.003%以
下に限定する。
の焼入れ性を向上させる元素であり、本発明の場合、そ
の添加により鋼の強度を高めることができる。しかし、
過度の添加は鋼の靭性および溶接性を損なうため、Mo
については0.01%以上1.0%以下、Niについて
は0.01%以上2%以下、Crについては0.01%
以上1%以下、Cuについては0.01%以上1%以
下、Bについては0.00001%以上0.003%以
下に限定する。
【0019】次に、本発明における製造条件について述
べる。本発明はいかなる鋳造条件で鋳造された鋳片につ
いても有効であるので、特に鋳造条件を特定する必要は
ない。また、鋳片を冷却することなくそのまま熱間圧延
を開始しても一度冷却した鋳片をAc3 点以上に再加熱
した後に圧延を開始してもよい。なお、本発明において
は圧延の条件についてはAr3 点以上の温度で圧延を終
了すること以外に特に規定するものではないが、それは
いかなる圧延を行っても本発明の有効性が失われないか
らである。
べる。本発明はいかなる鋳造条件で鋳造された鋳片につ
いても有効であるので、特に鋳造条件を特定する必要は
ない。また、鋳片を冷却することなくそのまま熱間圧延
を開始しても一度冷却した鋳片をAc3 点以上に再加熱
した後に圧延を開始してもよい。なお、本発明において
は圧延の条件についてはAr3 点以上の温度で圧延を終
了すること以外に特に規定するものではないが、それは
いかなる圧延を行っても本発明の有効性が失われないか
らである。
【0020】ただし、本発明ではフェライトの結晶粒が
微細であることが必要であるので、圧延条件を調整しオ
ーステナイトの微細化を行っておくことや制御圧延等に
よりオーステナイトの未再結晶域での圧延を行っておく
ことは有効に作用するのでこれを実施してもよい。
微細であることが必要であるので、圧延条件を調整しオ
ーステナイトの微細化を行っておくことや制御圧延等に
よりオーステナイトの未再結晶域での圧延を行っておく
ことは有効に作用するのでこれを実施してもよい。
【0021】次に、冷却条件の限定理由について述べ
る。本発明では冷却時にフェライトが微細に生成し、
粗大なバンド状のパーライトが生成しない、M*が
微細に生成することが要請されている。そこでまず、安
定して微細なフェライトが生成するために冷却開始温度
を700℃以上と限定した。この温度未満からの冷却で
は冷却開始前に粗大なフェライトが生成してしまうから
である。
る。本発明では冷却時にフェライトが微細に生成し、
粗大なバンド状のパーライトが生成しない、M*が
微細に生成することが要請されている。そこでまず、安
定して微細なフェライトが生成するために冷却開始温度
を700℃以上と限定した。この温度未満からの冷却で
は冷却開始前に粗大なフェライトが生成してしまうから
である。
【0022】また、冷却速度を1℃/秒以上としたの
は、1℃/秒未満の冷却速度ではフェライトの細粒化効
果が得られないからである。また、冷却速度の上限を2
0℃/秒としたのは、これ以上の冷却速度では安定して
フェライトが生成しないからである。
は、1℃/秒未満の冷却速度ではフェライトの細粒化効
果が得られないからである。また、冷却速度の上限を2
0℃/秒としたのは、これ以上の冷却速度では安定して
フェライトが生成しないからである。
【0023】また、冷却の終了温度を600℃以下とし
たのは、600℃を超える温度ではフェライト変態が完
了しておらず、未変態のオーステナイトが多く残ってお
りこの部分が粗大なバンド状のパーライトとなってしま
うからである。また、このような場合には未変態のオー
ステナイトはパーライトとなってしまい、高炭素のベイ
ナイト、マルテンサイトあるいはM*を微細に分散させ
ることができないからである。
たのは、600℃を超える温度ではフェライト変態が完
了しておらず、未変態のオーステナイトが多く残ってお
りこの部分が粗大なバンド状のパーライトとなってしま
うからである。また、このような場合には未変態のオー
ステナイトはパーライトとなってしまい、高炭素のベイ
ナイト、マルテンサイトあるいはM*を微細に分散させ
ることができないからである。
【0024】次に、Ac1 点温度以上での熱処理につい
てであるが、まず処理温度を750℃以上とした理由
は、これ未満の温度では十分な延性が得られないからで
ある。処理温度が低すぎると、オーステナイト化する体
積分率が低すぎるために、オーステナイトの生成箇所が
鋼の鋳造偏析部等が遍在し、この不均一差に起因して延
性が劣化するものと推定される。また、処理温度を85
0℃以下としたのは、これを超える温度ではオーステナ
イト化する体積分率が大きすぎ、微細な分散状態が得ら
れないからである。
てであるが、まず処理温度を750℃以上とした理由
は、これ未満の温度では十分な延性が得られないからで
ある。処理温度が低すぎると、オーステナイト化する体
積分率が低すぎるために、オーステナイトの生成箇所が
鋼の鋳造偏析部等が遍在し、この不均一差に起因して延
性が劣化するものと推定される。また、処理温度を85
0℃以下としたのは、これを超える温度ではオーステナ
イト化する体積分率が大きすぎ、微細な分散状態が得ら
れないからである。
【0025】また、処理時間を60分以内としたのは、
これを超える保持ではフェライト粒やオーステナイト粒
の合体成長等による金属組織の粗大化および炭化物の粗
大化が生じてしまい、強度、靭性の観点から好ましくな
いからである。また、保持終了後の冷却速度を2℃/秒
以上としたのは、2℃/秒未満の冷却速度では、一旦オ
ーステナイト化した部分をマルテンサイトやM*に変態
させることができないからであり、冷却速度の上限を5
0℃/秒としたのは、通常の水冷装置では50℃/秒を
超える冷却速度は達成しにくいからである。
これを超える保持ではフェライト粒やオーステナイト粒
の合体成長等による金属組織の粗大化および炭化物の粗
大化が生じてしまい、強度、靭性の観点から好ましくな
いからである。また、保持終了後の冷却速度を2℃/秒
以上としたのは、2℃/秒未満の冷却速度では、一旦オ
ーステナイト化した部分をマルテンサイトやM*に変態
させることができないからであり、冷却速度の上限を5
0℃/秒としたのは、通常の水冷装置では50℃/秒を
超える冷却速度は達成しにくいからである。
【0026】
【実施例】表1は実施例の鋼の成分を示すものである。
なお表中で、波下線で示した鋼は比較鋼であり、本発明
に一致しない項目を下線で示してある。次に、このよう
な成分の鋼を種々の製造条件で製造した場合に得られた
強度、降伏比、延性、靭性を製造条件とともに表2に示
す。強度としては降伏強度(YS(MPa))および引張強
度(TS(MPa))を示す。また、降伏比についてはYR
(降伏強度YS/引張強度TS)、延性については均一
伸び(uEl(%))および破断伸び(El(%))、
靭性についてはシャルピー衝撃試験における0℃におけ
る吸収エネルギー(vE0 (J))で評価した。これに
よれば本発明法はいずれも比較法に比べ明らかによい特
性を示している。本発明法により低降伏比で延性および
靭性に優れた鋼を製造することが可能であり、本発明は
有効である。
なお表中で、波下線で示した鋼は比較鋼であり、本発明
に一致しない項目を下線で示してある。次に、このよう
な成分の鋼を種々の製造条件で製造した場合に得られた
強度、降伏比、延性、靭性を製造条件とともに表2に示
す。強度としては降伏強度(YS(MPa))および引張強
度(TS(MPa))を示す。また、降伏比についてはYR
(降伏強度YS/引張強度TS)、延性については均一
伸び(uEl(%))および破断伸び(El(%))、
靭性についてはシャルピー衝撃試験における0℃におけ
る吸収エネルギー(vE0 (J))で評価した。これに
よれば本発明法はいずれも比較法に比べ明らかによい特
性を示している。本発明法により低降伏比で延性および
靭性に優れた鋼を製造することが可能であり、本発明は
有効である。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】
【表4】
【0031】
【表5】
【0032】
【発明の効果】本発明法によれば、低降伏比で延性およ
び靭性に優れた鋼を容易に製造することができる。
び靭性に優れた鋼を容易に製造することができる。
Claims (3)
- 【請求項1】 重量%で、 C :0.01〜0.4%、 Mn:0.02〜3.0%、 Si:0.001〜0.75%、 Al:0.001〜0.1%、 残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼片をそのま
まか、一度冷却した後に再びAc3 点以上の温度に再加
熱した後に熱間圧延を開始し、Ar3 点以上の温度で熱
間圧延を終了して、700℃以上の温度から1℃/秒以
上20℃/秒以下の冷却速度で冷却を行い、600℃以
下の温度で冷却を終了、放冷し、さらに750℃以上8
50℃以下の温度に昇温し、60分以内で保持を終了し
て、2℃/秒以上50℃/秒以下の冷却速度で再び冷却
を施し、優れた強度、靭性および延性を有することを特
徴とする低降伏比高張力鋼の製造方法。 - 【請求項2】 重量%で、 Nb:0.001〜0.05%、 Ti:0.001〜0.05%、 V :0.001〜0.1% のいずれか1種、または2種以上を含有し、優れた強
度、靭性および延性を有することを特徴とする請求項1
記載の低降伏比高張力鋼の製造方法。 - 【請求項3】 重量%で、 Mo:0.01〜1.0%、 Ni:0.01〜2%、 Cr:0.01〜1%、 Cu:0.01〜1%、 B :0.00001〜0.003% のいずれか1種、または2種以上をさらに含有し、優れ
た強度、靭性および延性を有することを特徴とする請求
項1又は2記載の低降伏比高張力鋼の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP6629294A JPH07278656A (ja) | 1994-04-04 | 1994-04-04 | 低降伏比高張力鋼の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP6629294A JPH07278656A (ja) | 1994-04-04 | 1994-04-04 | 低降伏比高張力鋼の製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH07278656A true JPH07278656A (ja) | 1995-10-24 |
Family
ID=13311610
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP6629294A Pending JPH07278656A (ja) | 1994-04-04 | 1994-04-04 | 低降伏比高張力鋼の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH07278656A (ja) |
Cited By (14)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH09263830A (ja) * | 1996-03-25 | 1997-10-07 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 合金鋼鋼管の製造方法 |
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| JP2001303168A (ja) * | 2000-04-18 | 2001-10-31 | Kobe Steel Ltd | 脆性亀裂発生特性に優れた鋼板の製造方法 |
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-
1994
- 1994-04-04 JP JP6629294A patent/JPH07278656A/ja active Pending
Cited By (22)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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