JPH072820B2 - 変性共重合体ゴムおよびその製造方法 - Google Patents

変性共重合体ゴムおよびその製造方法

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JPH072820B2
JPH072820B2 JP29163787A JP29163787A JPH072820B2 JP H072820 B2 JPH072820 B2 JP H072820B2 JP 29163787 A JP29163787 A JP 29163787A JP 29163787 A JP29163787 A JP 29163787A JP H072820 B2 JPH072820 B2 JP H072820B2
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住友化学工業株式会社
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【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は,改良された不飽和ジカルボン酸無水物変性エ
チレン−α−オレフィン共重合体ゴム及びその製造方法
に関するものである。
更に詳しくは,成型加工性,貯蔵安定性に優れた不飽和
ジカルボン酸無水物変性共重合体ゴム及びその改良され
た製造方法,即ち不飽和ジカルボン酸無水物の付加量が
高く,ゲル状物の生成量の少ない製造方法に関するもの
である。
<従来の技術> エチレン−プロピレン共重合体ゴム(以下EPMと略記す
る)またはエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合
体ゴム(以下EPDMと略記する)に代表されるエチレン−
α−オレフィン共重合体ゴムまたはエチレン−α−オレ
フィン−非共役ジエン共重合体ゴムは,耐候性,耐熱
性,耐オゾン性等にすぐれ,自動車部品を中心に工業用
品等に広く利用されている。
しかしながら,一方,耐油性,接着性および高不飽和ジ
エン系ゴムとの共加硫性に劣るとの指摘があり,改良が
待たれている。
こうした中で,従来よりEPMまたはEPDMの接着性や機械
的特性を向上させる目的で無水マレイン酸等の極性モノ
マーをグラフトさせる方法が古くから提案されている。
例えば,特公昭58−53005号等においては,アルキル芳
香族炭化水素媒体中,ラジカル開始剤の存在下でEPMに
不飽和ジカルボン酸またはその無水物をグラフトさせる
ことを特徴とする方法が開示されている。
しかしながら,これらの方法は,反応物を単離するため
に,反応混合物を大量のアセトン中に投入して変性物を
沈殿させる,もしくはスチームストリッピング等の手法
を用いる等の回収工程を必要とするため,その結果,高
価な溶媒を大量に要し,且つその回収設備を必要とする
といった欠点を有し,工業的規模における経済性,採算
性という観点からは好ましくない方法である。
一方,上記のような欠点を解決するために,押出機等の
混練機を用いて,不飽和ジカルボン酸無水物をEPMまた
はEPDMにグラフトさせる方法も種々開示されている。
例えば,特公昭35−11679号においては,無水マレイン
酸をグラフトさせると共に架橋を行ない更に酸化亜鉛等
によりイオン架橋を生じせしめる方法が開示されてい
る。
また,特公昭53−19351号,特開昭49−104992号および
特開昭50−67348号等においても押出機中で無水マレイ
ン酸を熱付加させた後,金属塩等により架橋させる方法
が開示されている。
しかしながら,これらの無水マレイン酸変性ゴムのイオ
ン架橋物は何れも高温においても流動せず,通常の成型
加工条件下では成型加工が難しいという欠点を有してい
る。
更に,特公昭58−445号においては,押出機中で過酸化
物存在下に無水マレイン酸等をグラフトさせるという熱
可塑性エラストマーの製造方法が開示されている。
しかしながら,これらの方法においても,EPMまたはEPDM
に,例えば無水マレイン酸を大量にグラフトさせようと
した場合,混練条件にもよるが,ゲル状物が生成した
り,得られた変性物のムーニー粘度(ML1+4121℃)が著
しく高くなることがあり,物性的にも加工性の面からも
良好なものは得られ難く,そのため実用上は比較的少な
い付加量の変性物に限らざるを得なく,したがってあま
り大きな改良効果は期待されない。
特に,不飽和ジカルボン酸無水物を用いて製造した熱可
塑性エラストマーは,貯蔵時に空気中の水分によりカル
ボン酸構造に変化するため,例えばロール加工性が要求
される用途に適用しようとすると,ゲル状物の様相を呈
し,また,ムーニー粘度が高くなることにより加工性に
劣るという欠点を有していることが判明した。
<発明が解決しようとする問題点> 本発明の目的とするところは,変性共重合体ゴムを得る
に際し,経済性,採算性にすぐれ,従来技術に比べて,
不飽和ジカルボン酸無水物の付加量が多く,ゲル状物の
生成量が少なく,かつ,ムーニー粘度(ML1+4121℃)の
上昇が小さく,更に成型加工性,貯蔵安定性の優れた,
不飽和ジカルボン酸無水物変性重合体ゴム及びその製造
方法を提供することにある。
<問題点を解決するための手段> 本発明者らは,従来技術と比べて,不飽和ジカルボン酸
無水物の付加量が多く,ゲル状物の生成量が少なく,か
つ,著しいムーニー粘度(ML1+4121℃)の上昇を抑え,
更に成型加工性,貯蔵安定性の優れた不飽和ジカルボン
酸無水物変性エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム及
びその製造方法につき,鋭意検討を進めた結果,エチレ
ン−α−オレフィン共重合体ゴムをラジカル開始剤,ビ
ニル芳香族単量体,不飽和ジカルボン酸無水物と共に混
練することにより得られる変性共重合体ゴムは,驚くべ
きことにビニル芳香族単量体を使用しない場合と比べ不
飽和ジカルボン酸無水物の付加量が多く,更に付加した
酸無水物が水分によりカルボン酸に変化する程度が非常
に少なく,ムーニー粘度の著しい上昇がないため成型加
工性に非常に優れる事を見い出し,本発明に到達した。
即ち,本発明は,一の発明は, 数平均分子量が10,000〜100,000,エチレン含量が15〜85
重量%,非共役ジエン含量が3重量%以下であるエチレ
ン−α−オレフィン共重合体ゴム及び/またはエチレン
−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴム,ラジカ
ル重合開始剤,ビニル芳香族単量体および不飽和ジカル
ボン酸無水物を200〜280℃の温度で混練することにより
得られ,該共重合体ゴムに対するビニル芳香族単量体の
付加量が0.1〜5重量%であり,不飽和ジカルボン酸無
水物の付加量が0.1〜5重量%であり,かつ,ムーニー
粘度(ML1+4121℃)が5〜120であることを特徴とする
変性共重合体ゴムに関するものである。
また,別の一の発明は, 原料ゴムとして数平均分子量が10,000〜100,000,エチレ
ン含量が15〜85重量%,非共役ジエン含量が3重量%以
下であるエチレン−α−オレフィン共重合体ゴム及び/
またはエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合
体ゴムを用いて,該原料ゴムと共にラジカル重合開始
剤,ビニル芳香族単量体および不飽和ジカルボン酸無水
物を200〜280℃の温度で混練してなるムーニー粘度(ML
1+4121℃)が5〜120であることを特徴とする変性共重
合体ゴムの製造方法に関するものである。
本発明で使用されるエチレン−α−オレフィン共重合体
ゴムとしては,エチレンと他のα−オレフィン,例えば
プロピレン,1−ブテン,1−ペンテン,1−ヘキセン,4−メ
チル−1−ペンテン,1−オクテン等との共重合体若しく
はエチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体等の三元
共重合体ゴム等が含まれるが,中でもエチレン−プロピ
レン共重合体ゴム,エチレン−1−ブテン共重合体ゴム
が好ましく用いられる。
また,エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合
体ゴムも使用することができるが,原料ゴム中の非共役
ジエン含量を3重量%以下とする事が必要である。非共
役ジエン含量が3重量%を超えると混練の際ゲル化を起
こす為,好ましくない。非共役ジエンとしては,エチリ
デンノルボルネン,ジシクロペンタジエン,1,4−ヘキサ
ジエン等が好ましい。
共重合体ゴム中のエチレン含量は15〜85重量%,好まし
くは40〜80重量%である。すなわちエチレン含量が85重
量%より多い高結晶性共重合体は通常のゴム成型条件下
で加工が難しく,またエチレン含量が15重量%より少な
いものはガラス転移点(Tg)が上昇し,ゴム的性質が低
下するため好ましくない。
また,共重合体ゴムの数平均分子量は押出機中で混練可
能なものとすることが好ましく,10,000〜100,000であ
る。分子量が小さすぎると押出機に供給する際の取扱い
が困難であり,また分子量が大きすぎると流動性が小さ
くなり加工が困難である。
尚,共重合体ゴムの数平均分子量はゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィー(GPC)により測定することが出
来,以下に示す条件で行なった。
GPC:Waters社製 150C型 カラム:昭和電工(株)製 Shodex80MA サンプル量:300μ(ポリマー濃度0.2wt%) 流量:1ml/min 温度:135℃ 溶媒:トリクロルベンゼン また,数平均分子量の計算の為の検量線は東洋曹達
(株)製の標準ポリスチレンを使用し,常法により作成
した。また,データ処理は東洋曹達(株)製データープ
ロセッサーCP−8モデルIIIを使用した。
また,共重合体ゴムの分子量分布についても特に限定さ
れず,通常,製造,市販されているモノモーダルタイ
プ,バイモーダルタイプ等種々の分子量分布を有するい
ずれの共重合体ゴムも使用し得る。
即ち,該共重合体ゴムは通常の製造触媒であるいわゆる
チーグラーナッタ触媒を用いて製造される共重合体ゴム
であって,触媒として例えば,有機アルミニウム化合物
と炭化水素溶媒に可溶な3〜5価のバナジウム化合物等
が組合せて用いられる。上記アルミニウム化合物として
は,アルキルアルミニウムセスキクロライド,トリアル
キルアルミニウム,ジアルキルアルミニウムモノクロラ
イド,あるいはこれらの混合物が用いられ,またバナジ
ウム化合物としては,オキシ三塩化バナジウム,四塩化
バナジウムあるいはVO(OR)nX3-n(o<n≦3,Rは炭素
数1〜10で表わされる直鎖,分岐又は環状の炭化水素)
で示されるバナデート化合物等を用いることができる。
分子量分布のQ値(重量平均分子量/数平均分子量)の
好ましい範囲は1〜30,さらに好ましくは2〜20であ
る。
本発明で使用されるラジカル重合開始剤としては,反応
温度において有効にラジカルを生成するものが好まし
く,有機過酸化物が好ましい。
使用される有機過酸化物としては,ジクミルパーオキサ
イド,1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサ
ン,1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメ
チルシクロヘキサン,2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブ
チルパーオキシ)ヘキサン,α・α′−ビス(t−ブチ
ルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン,ジ−t−
ブチルパーオキサイド,t−ブチル−クミルパーオキサイ
ドなどが挙げられるが,好ましくは,α・α′−ビス
(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼ
ン,1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメ
チルシクロヘキサン,2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブ
チルパーオキシ)ヘキサンなどである。
これらラジカル重合開始剤の使用量は,ラジカル重合開
始剤の種類や混練条件にもよるが,通常,原料ゴム100
重量部に対し0.005〜1.0重量部,好ましくは0.01〜0.5
重量部の範囲で使用することができる。0.005重量部未
満の使用量では,望ましい不飽和ジカルボン酸無水物の
付加量が得られず,また本発明の特徴であるビニル芳香
族単量体併用による酸無水物の付加量増加効果が小さく
なる。また1.0重量部を超えて使用するとゲル状物の生
成が起こり好ましくない。
本発明に使用されるビニル芳香族単量体としては,スチ
レンが最も好ましいが,o−メチルスチレン,p−メチルス
チレン,m−メチルスチレンおよびα−メチルスチレンな
ども用いることができ,これらを混合して用いることも
可能である。
また,本発明に用いられる不飽和ジカルボン酸無水物と
しては,無水マレイン酸,無水フマル酸,無水シトラコ
ン酸などであるが,特に反応性の高い無水マレイン酸が
好都合に使用される。
本発明においてはビニル芳香族単量体の使用量は,原料
ゴム100重量部に対し,0.2〜20重量部であり,不飽和ジ
カルボン酸無水物の使用量は0.5〜15重量部であり,且
つビニル芳香族単量体/不飽和ジカルボン酸無水物の重
量比は0.1〜3.0であることが好ましい。ビニル芳香族単
量体/不飽和ジカルボン酸無水物の重量比は,好ましく
は0.5〜2.0である。
ビニル芳香族単量体の使用量が不飽和ジカルボン酸無水
物に対して0.1重量比未満では,ゲル生成の防止および
グラフト反応量の向上に対して効果はみられず,また3.
0重量比を超えて用いてもさらに好ましい効果が期待し
得ない。
本発明の変性共重合体におけるビニル芳香族単量体の付
加量は0.1〜5重量%,不飽和ジカルボン酸無水物の付
加量は0.1〜5重量%である。ビニル芳香族単量体の付
加量が前記範囲より少ない場合や不飽和ジカルボン酸無
水物の付加量が前記範囲より多い場合には,成型加工性
に劣り,好ましくない。
本発明による変性共重合体ゴムのムーニー粘度(ML1+41
21℃)は5〜120の範囲で任意に選択され得るが,好ま
しくは20〜100の範囲である。例えば,ゴムにブレンド
して用いる場合には,良好な加工性を得るために,ML1+4
121℃は10〜75のものが好ましく,より好ましくは25〜7
0の範囲である。
一方,汎用プラスチックやエンジニアリングプラスチッ
ク等の耐衝撃性改良剤として用いる場合にはML1+4121℃
は5〜120の範囲で任意に選択され,好ましくは20〜100
である。
また,ML1+4121℃が5より小さいと例えばゴムや樹脂に
ブレンドしても強度に劣り,また120より大きい場合に
は成型加工性に劣り,好ましくない。
本発明においては,前記の4成分を200〜280℃,好まし
くは230〜260℃の温度にて混練することにより変性共重
合体ゴムを得る。
混練に際し,酸素の存在があまりにも多い場合には,ゲ
ル状物が生成したり,著しい着色を呈することがあるた
め実施的に酸素の不存在下にて混練することが望まし
い。
また,混練温度が200℃より低いと望ましい不飽和ジカ
ルボン酸無水物の付加量が得られず,グラフト反応量の
向上に対しても小さな効果しか得られない。また280℃
を超えてもグラフト反応量の向上に対する効果が小さ
く,場合によってはゲル状物の生成や,着色等が起こり
好ましくない。
本発明における変性のための混練機としては特に限定さ
れないが,連続的な製造が可能であるという点から,一
般には押出機を用いることが好ましく,1軸または2軸
で,供給された各種原料を均一に混合するのに適したス
クリューを有していることが望ましい。
押出機内における滞留時間は,混練温度,ラジカル開始
剤の種類により異なるが一般的には0.2〜10分程度であ
る。
本発明において前記4成分を混練機に供給するに際して
は,各々別々に供給することも可能であるが,予め,一
部もしくは全ての成分を均一に混合して用いることもで
きる。例えば,ゴムにラジカル重合開始剤とともにビニ
ル芳香族単量体を含浸させておき,混練の際に不飽和ジ
カルボン酸無水物等を同時にフィードして,混練する方
法等が採用され得る。また,押出機の途中から,ラジカ
ル重合開始剤および/または不飽和ジカルボン酸無水物
を供給することにより変性させる等の方法も用いること
ができる。また,本発明の方法において押出機の入口に
おいて,必要に応じポリプロピレン,ポリエチレン,ナ
イロン,ポリエステル,ABS,ポリフェニレンエーテル等
のプラスチックやスチレン−ブタジエン・ブロック共重
合体,スチレン−イソプレン・ブロック共重合体,及び
これらの水添物等のエラストマーを配合することも可能
であり,こうすることにより2種またはそれ以上のポリ
マーを共変性化することも可能である。
反応生成物から未反応のビニル芳香族単量体,不飽和ジ
カルボン酸無水物を除去するために,押出機の途中もし
くは出口付近でベントラインより真空ポンプにより吸引
したり,適当な溶媒に反応生成物を溶解させた後,析出
させて精製する等の方法を用いることもできる。
本発明の変性共重合体ゴムは,ビニル芳香族単量体及び
不飽和ジカルボン酸無水物が付加したものであり,且
つ,付加した不飽和ジカルボン酸無水物が貯蔵中に空気
中の水分によりカルボン酸に変化しにくいため,常に成
型加工性に優れるものである。
更に,本発明の方法はグラフト時にビニル芳香族単量体
を使用することにより,不飽和ジカルボン酸無水物付加
量の増大やゲル生成の防止が可能となるため,目的の付
加量を得るために使用する不飽和ジカルボン酸が少なく
てすみ,したがって,未反応不飽和ジカルボン酸を除去
する必要もなく,非常に経済的,効率的な方法である。
本発明の変性共重合体ゴムはそのまま熱可塑性エラスト
マーとして用いる事が可能であるほか,ブレンド材料と
して用いる事も可能である。即ち,汎用プラスチックで
あるポリプロピレン,ポリエチレン,ポリスチレン,AB
S,PVCやエンジテアリングプラスチックであるナイロ
ン,ポリアセタール,ポリカーボネート,(変性)ポリ
フェニレンエーテル,ポリエチレンテレフタレート,ポ
リブチレンテレフタレート等に適当量配合することによ
り,接着性,耐衝撃性,柔軟性等を改良することができ
る。
また,EPM,EPDM,スチレン−ブタジエンゴム,ブタジエン
ゴム等のゴムに配合することにより,接着性,加硫性,
加工性,機械物性等を改良することができる。
特に水酸基,アミノ基,エポキシ基を有する物質とのブ
レンドにおいてより一層物性改良を図る事ができる。
その他,塗装用プライマーや接着剤,粘着テープ等にも
適用することができる。
<実施例> 次に実施例により本発明を具体的に説明するが,本発明
はこれら実施例に限定されるものではない。尚,変性共
重合体ゴム中の無水マレイン酸付加量は押出試料の少量
をトルエンに溶解させ,無水アセトンで沈澱させること
により精製させた後,再度トルエン溶液とし,フェノー
ルフタレインを指示薬に用いて加温下(85℃)にKOHエ
タノール溶液により滴定して求めた。
また,スチレンの付加量は,上記精製を行なったものを
用いて測定した赤外吸収スペクトルに現れる置換ベンゼ
ン環に相当するピークの強度を用いて求めた。
ゲル生成量については温キシレン(90℃)不溶分を重量
%として求めた。
ムーニー粘度は,JISK6300に準拠し121℃でLローターを
用いてML1+4121℃として測定した。
ロール加工性については,以下の方法により評価した。
50℃に加熱した6インチロールにて,ロールギャップ0.
2mmで薄通しを10回行ない,シート成型性を評価した。
判定は以下の通り。
○…容易に平滑なシート成型可能。
△…どうにかシートにはなるがシート表面に不規則な凹
凸を生じ平滑なシートが得られない。
×…まとまりが悪くシートにならない。極端な場合は粉
状になる。
実施例1 エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムとしてエスプレ
E201(住友化学工業(株)製,EPM,エチレン含量47
重量%,数平均分子量55,000,ML1+4121℃=32)100重量
部に対し1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−ト
リメチルシクロヘキサンを0.08重量部,スチレンを5重
量部の割合でミキシングロールを用いて混合した試料を
無水マレイン酸10重量部とともに44mmφの2軸押出機
(スクリュー回転数450rpm)に窒素雰囲気下で投入,約
250℃の混練温度,押出速度18Kg/時間にて押出すことに
より変性共重合体ゴムを得た。
得られた変性共重合体ゴムの無水マレイン酸付加量は2.
8重量%,スチレンの付加量は1.3重量%であり,ML1+412
1℃は50でゲルの生成は全く認められなかった。ロール
加工性も良好であった。
比較例1 実施例1でスチレンを用いなかったほかは実施例1と同
様に行った。変性物には0.1%程度のゲル生成が認めら
れ,ML1+4121℃は45となり実施例1と同程度であった
が,無水マレイン酸の付加量は0.2%と低く,ロール加
工性にもやや劣り,本発明の目的に照らして好ましくな
いものであった。
実施例2〜4,および比較例2〜3 実施例1でスチレンの使用量,ラジカル重合開始剤量,
無水マレイン酸量,混練条件を変えて各種変性共重合体
ゴムを得た。結果を実施例1及び比較例1とともに第1
表に示した。
実施例5〜11 第2表に示した構造値を有する各種の共重合体ゴムのペ
レットもしくは粉砕物100重量物に対し,α・α′−ビ
ス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼ
ンを0.08重量部,スチレンを2.0重量部,無水マレイン
酸を2.0重量部の割合でヘンシェルミキサーを用いて混
合した試料を,実施例1と同様,2軸の押出機を用いて約
250℃にて混練することにより,変性共重合体ゴムを得
た。
いずれもロール加工性は良好であった。
また,実施例6で得られた変性共重合体ゴムを,130℃で
2mmの厚さに圧縮成型して得たシートより100%伸長応
力,破断点抗張力,破断点伸びを,23℃,引張り速度500
mm/minで測定したところ,それぞれ19Kg/cm2,76Kg/cm2,
870%であり熱可塑性エラストマーとしての良好な物性
を示した。
比較例4〜10 実施例5〜9において,混練時にスチレンを用いなかっ
た以外は各々実施例5〜9と同様に行なった。(比較例
4〜8) また,原料ゴムの非共役ジエン含量が5.2重量%の例に
ついても実施した。(比較例9および10) 結果を実施例5〜11とともに第2表に示すが,いずれも
MAHの付加量が少ないにもかかわらず,実施例と同程度
もしくはそれ以上のML1+4121℃を有し,ロール加工性に
劣るものであった。
また,非共役ジエン含量が3重量%を超えるとゲル含量
が著しく増大した。
実施例12〜15 実施例6において混練温度を変えた以外は実施例6と全
く同様に行ない変性共重合体ゴムを得た。
比較例11〜14 実施例12〜15において混練時にスチレンを用いない以外
は,各々同様に混練を行なった。
結果を実施例6,12〜15,比較例5とともに第3表を示す
が,比較例11〜14はいずれもゲル生成は少なかったが,
スチレンを使用した実施例12〜15に比べMAHの付加量が
少なく,ロール加工性に劣るものであった。
実施例16〜18 実施例6においてスチレンの使用量を変化させた以外
は,全く同様に混練を行ない変性共重合体を得た。
いずれもゲル生成は認められず,良好なロール加工性を
示した。結果を第4表に示した。
実施例19〜21,比較例15〜17 実施例6および比較例5においてラジカル重合開始剤の
使用量を変化させた以外は,全く同様に混練を行ない変
性共重合体ゴムを得た。
比較例はいずれも実施例に比べMAH付加量が少なく,ロ
ール加工性に劣るものであった。結果を第5表に示し
た。
比較例18 実施例6と同じMAH付加量を得るために,MAHの使用量を
4.0重量部とした以外は,比較例5の条件と同様に混練
を行ない,MAH付加量1.5wt%の変性共重合体を得た。
ゲル生成は認められなかったが,スチレンを使用してい
ない為,実施例6のML1+4121℃が70であるのに比べ,比
較例18は125と高く非常にロール加工性に劣るものであ
った。
次に実施例6と比較例18を用いて,付加MAHの水分によ
るカルボン酸への変化を測定した。
(測定方法) 実施例6および比較例18の試料を,湿度80%,温度60℃
の条件に設定された恒温・恒湿槽に入れ,所定時間毎に
試料の一部をサンプリングし,赤外吸収スペクトル測定
により酸無水物のカルボン酸への変化,即ち水開環率の
変化を求めた。
尚,水開環率(%)は赤外吸収スペクトルにおける,無
水マレイン酸のピーク(1785cm-1)吸光度(ε)及び
カルボン酸のピーク(1705cm-1)吸光度(ε)を用
い,{ε2/(ε+ε)}×100(%)として求め
た。水開環率が小さい程貯蔵安定性にすぐれる。
測定結果を第6表に示した。
第6表より,本発明による変性共重合体ゴムは,貯蔵時
の耐水開環性に優れており,物性の変化を起こさない良
好な貯蔵安定性を有していることが判る。
また,キャピラリーレオメーターを用いて,各各の変性
共重合体ゴムの押出加工性を調べた結果,本発明による
ものは高剪断速度下でも良好な押出肌を有することが判
明した。
第6表に同様に結果を示した。
(参考例) 本発明の変性共重合体ゴム(実施例6)を加硫EPDM組成
物の接着剤として使用した例を以下に示した。
〔接着剤の調製〕
実施例6の変性共重合体ゴムを10%濃度になるようにト
ルエンに溶解した。また,硬化剤としてヘキサメチレン
ジアミンカルバメートを加える場合には,1phrとなるよ
う添加した。
〔接着方法〕 脱脂した2枚の被着体に接着剤を塗布し,30分のオープ
ンタイムの後,貼り合わせ,2Kgハンドローラーで圧着し
た。その後80℃40分加熱後,室温にて6日間養生を施し
た。
〔試験方法〕
20mm巾の接着物を引張速度50mm/minで180℃はく離試験
を行ない,接着強度(Kgf/20mm)を求めた。
〔結果〕
第7表に示すように,本発明の変性共重合体ゴムは,加
硫EPDM組成物の接着剤として非常に優れた接着強度を有
するものである。
<発明の効果> 以上説明したように,本発明による変性共重合体ゴムお
よびその製造方法によれば,従来の技術により得られる
変性共重合体ゴムおよびその製造方法に比べて,不飽和
ジカルボン酸無水物の付加量が多く,かつムーニー粘度
の上昇を抑え,成型加工生に優れ,貯蔵安定性の良好な
変性重合体ゴムおよびその製造方法を提供することがで
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高尾 宏美 千葉県市原市姉崎海岸5―1 住友化学工 業株式会社内 (72)発明者 今井 昭夫 千葉県市原市姉崎海岸5―1 住友化学工 業株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】数平均分子量が10,000〜100,000,エチレン
    含量が15〜85重量%,非共役ジエン含量が3重量%以下
    であるエチレン−α−オレフィン共重合体ゴム及び/ま
    たはエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体
    ゴム,ラジカル重合開始剤,ビニル芳香族単量体および
    不飽和ジカルボン酸無水物を200〜280℃の温度で混練す
    ることにより得られ,該共重合体ゴムに対するビニル芳
    香族単量体の付加量が0.1〜5重量%であり,不飽和ジ
    カルボン酸無水物の付加量が0.1〜5重量%であり,か
    つ,ムーニー粘度(ML1+4121℃)が5〜120であること
    を特徴とする変性共重合体ゴム。
  2. 【請求項2】ラジカル重合開始剤の使用量が共重合体ゴ
    ム100重量部に対し0.005〜1.0重量部である特許請求の
    範囲第1項記載の変性共重合体ゴム。
  3. 【請求項3】ビニル芳香族単量体の使用量が共重合体ゴ
    ム100重量部に対し0.2〜20重量部,不飽和ジカルボン酸
    無水物の使用量が0.5〜15重量部であり,且つ,ビニル
    芳香族単量体/不飽和ジカルボン酸無水物の重量比が0.
    1〜3である特許請求の範囲第1項記載の変性共重合体
    ゴム。
  4. 【請求項4】ビニル芳香族単量体がスチレンであり,不
    飽和ジカルボン酸無水物が無水マレイン酸である特許請
    求の範囲第1項記載の変性共重合体ゴム。
  5. 【請求項5】原料ゴムとして数平均分子量が10,000〜10
    0,000,エチレン含量が15〜85重量%,非共役ジエン含量
    が3重量%以下であるエチレン−α−オレフィン共重合
    体ゴム及び/またはエチレン−α−オレフィン−非共役
    ジエン共重合体ゴムを用いて,該原料ゴムと共にラジカ
    ル重合開始剤,ビニル芳香族単量体および不飽和ジカル
    ボン酸無水物を200〜280℃の温度で混練してなるムーニ
    ー粘度(ML1+4121℃)が5〜120であることを特徴とす
    る変性共重合体ゴムの製造方法。
  6. 【請求項6】ラジカル重合開始剤の使用量が原料ゴム10
    0重量部に対し0.005〜1.0重量部である特許請求の範囲
    第5項記載の変性共重合体ゴムの製造方法。
  7. 【請求項7】ビニル芳香族単量体の使用量が原料ゴム10
    0重量部に対し0.2〜20重量部,不飽和ジカルボン酸無水
    物の使用量が0.5〜15重量部であり,且つ,ビニル芳香
    族単量体/不飽和ジカルボン酸無水物の重量比が0.1〜
    3である特許請求の範囲第5項記載の変性共重合体ゴム
    の製造方法。
  8. 【請求項8】変性共重合体ゴムにおいて,ビニル芳香族
    単量体の付加量が0.1〜5重量%,不飽和ジカルボン酸
    無水物の付加量が0.1〜5重量%である特許請求の範囲
    第5項記載の変性共重合体ゴムの製造方法。
  9. 【請求項9】ビニル芳香族単量体がスチレンであり,不
    飽和ジカルボン酸無水物が無水マレイン酸である特許請
    求の範囲第5号記載の変性共重合体ゴムの製造方法。
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