JPH0729436B2 - 液体噴射記録ヘツド - Google Patents

液体噴射記録ヘツド

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JPH0729436B2
JPH0729436B2 JP6419786A JP6419786A JPH0729436B2 JP H0729436 B2 JPH0729436 B2 JP H0729436B2 JP 6419786 A JP6419786 A JP 6419786A JP 6419786 A JP6419786 A JP 6419786A JP H0729436 B2 JPH0729436 B2 JP H0729436B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、記録液に熱エネルギーを作用させ、該液体を
飛翔的液滴として吐出噴射させて記録を行う液体噴射記
録ヘッドに関する。
[従来の技術] 液体噴射記録法(インクジェット記録法)は、記録時に
おける雑音の発生が無視し得る程度に極めて小さいとい
う点、高速記録が可能でありしかも所謂普通紙に定着と
いう特別な処理を必要とせずに記録の行なえる点におい
て、最近関心を集めている。
その中で例えば特開昭54−51837号公報、ドイツ公開(D
OLS)第2843064号公報に記載されている液体噴射記録法
は、熱エネルギーを液体に作用させて、液滴吐出の原動
力を得るという点において、他の液体噴射記録法とは、
異なる特徴を有している。
即ち、上記の公報に開示された記録法では、熱エネルギ
ーの作用を受けた記録液が急激な体積の増大を伴う状態
変化を起し、該状態変化に基づく作用力によって、記録
ヘッド先端の液体吐出口(オリフィス)より記録液が吐
出されて、飛翔的液滴が形成され、該液滴が紙などの被
記録部材に付着し記録が行なわれる。
殊に、DOLS第2843064号公報に開示されている液体噴射
記録法は、所謂ドロップオンデマンド(drop−on deman
d)記録法に極めて有効に適用されるばかりではなく、
記録ヘッド部をフルライン(full line)タイプで高密
度マルチオリフィス化された記録ヘッドが容易に具体化
できるので、高解解像度、高品質の画像を高速で得られ
るという特徴を有している。
上記の記録法に用いる記録装置の特徴的な記録ヘッド
は、一般に、記録液を吐出して飛翔的液滴を形成するた
めに設けられたオリフィスと、該オリフィスに連通し、
該液滴を吐出するための熱エネルギーが該記録液に作用
する部分である熱作用部を構成の一部とする液流路とを
有する液吐出部と、熱エネルギーを発生するための熱エ
ネルギー発生手段とを具備している。
そして、この熱エネルギー発生手段は、少なくとも一対
の電極と、これ等の電極に接続しこれ等の電極の間に発
熱する領域(熱発生部)を有する発熱抵抗層とを具備し
ているのが普通である。
このような液体噴射記録ヘッドの構造を示す典型的な例
が、第2図(a)および第2図(b)に示される。第2
図(a)は、液体噴射記録ヘッドのオリフィス側から見
た正面部分図であり、第2図(b)は、第2図(a)に
一点鎖線XYで示す部分で切断した場合の切断部分図であ
る。
記録ヘッド100は、その表面に熱エネルギー発生手段101
が設けられている基板102の表面を、所定の線密度で所
定の巾と深さの溝が所定数設けられている溝付板103で
覆うように接合することによって、オリフィス104と液
吐出部105が形成された構造を有している。図に示す記
録ヘッドの場合には、オリフィス104を複数有するもの
として示されているが、勿論本発明においては、このよ
うなものに限定されるものではなく、単一オリフィスの
記録ヘッドも本発明の範囲にはいるものである。
液吐出部105は、その終端に液体を吐出させるためのオ
リフィス104と、熱エネルギー発生手段101より発生され
る熱エネギーが記録液に作用して気泡を発生し、その体
積の膨張と収縮に依る急激な状態変化を引き起す箇所で
ある熱作用部106とを有する。
熱作用部106は、熱エネルギー発生手段101の熱発生部10
7の上部に位置し、熱発生部107の記録液と接触する面と
しての熱作用面108をその底面としている。
熱発生部107は、基板102上に設けられた下部層109、該
下部層109上に設けられた発熱抵抗層110、該発熱抵抗層
110上に設けられた第1の保護層111、第2の保護層112
とで構成される。
発熱抵抗層110には、熱を発生させるために該層110に通
電するための電極113,114がその表面に設けられてい
る。電極113は、各液吐出部の熱発生部に共通の電極で
あり、電極114は、各液吐出部の熱発生部を選択して発
熱させるための選択電極であって、液吐出部の液流路に
沿って設けられている。
第1の保護層111および第2の保護層112は、熱発生部10
7に於いては発熱抵抗層110を、使用する記録液から化学
的、物理的に保護するために発熱抵抗層110と液吐出部1
05の液流路を満たしている記録液とを隔絶すると共に、
記録液を通じて電極113,114間が短絡するのを防止す
る、発熱抵抗層110の保護的機能を有している。また、
第1の保護層111は、隣接する電極間に於ける電気的リ
ークを防止する役目を荷っている。殊に、各選択電極間
に於ける電気的リークの防止、或いは各液流路下にある
電極が何等かの理由で電極と記録液が接触し、これに通
電することによって起る電極の電蝕の防止は重要であっ
て、このためにこのような保護層的機能を有する第1の
保護層111が少なくとも液流路下に存在する電極上には
設けられている。
第1の保護層をはじめとする上部層は、設けられる場所
によって要求される特性が各々異なる。即ち、例えば熱
発生部107に於いては、耐熱性、耐液性、液浸透
防止性、熱伝導性、酸化防止性、絶縁性及び耐
破傷性に優れていることが要求され、熱発生部107以外
の領域に於いては熱的条件で緩和されるが液浸透防止
性、耐液性及び耐破傷性には充分優れていることが要求
される。
ところが、上記〜の特性の全てを所望通りに充分満
足する上部層を構成する材料は、今のところなく〜
の特性の幾つかを緩和して使用しているのが現状であ
る。即ち、熱発生部107に於いては、、及びに優
先が置かれて材料の選択が成され、他方熱発生部107以
外の、例えば電極部に於いては、、及びに優先が
置かれて材料の選択が成されて、夫々の該当する領域面
上に各相当する材料を以って上部層が形成されている。
他方、これ等とは別に、マルチオリフィス化タイプの液
体噴射記録ヘッドの場合には、基板上に多数の微細な熱
エネルギー発生手段を同時に形成する為に、製造過程に
於いて、基板上では各層の形成と、形成された層の一部
除去の繰返しが行なわれ、上部層が形成される段階で
は、上部層の形成されるその表面はステップウエッヂ部
(段差部)のある微細な凹凸状となっているので、この
段差部に於ける上部層の被覆性(すなわち、ステップカ
バレージ(Step coverage)性)が重要となっている。
つまり、この段差部の被覆性が悪いと、その部分で記録
液の浸透が起り、電触或いは電気的絶縁破壊を起こす誘
引となる。また、形成される上部層がその製造法上に於
いて欠陥部の生ずる確率が少なくない場合には、その欠
陥部を通じて、記録液の浸透が起り、熱エネルギー発生
手段の寿命を著しく低下させる要因となっている。
これ等の理由から、上部層は、段差部に於ける被覆性が
良好であること、形成される層にピンホール等の欠陥が
発生する確率が低く、発生しても実用上無視し得る程度
或いはそれ以上に少ないことが要求される。
一方、熱作用部106では、記録液が加熱により気化され
るが、これが、サブクール沸騰である為と、加熱時間が
短い為にすぐ冷却されて凝縮する。従って熱作用面近傍
では毎秒数千回の高頻度で発泡−凝縮が繰返されてお
り、この時の圧力変化(キャビテーションコロージョ
ン)は、基板を破壊することも少なくない。
このように、液体噴射記録ヘッドにあっては、熱エネル
ギー発生手段の保護を目的として種々の保護層が設けら
れるのが普通であり、例えば第2図に例示した如くに発
熱抵抗層を液流路内の記録液と隔絶するための機能を有
する第1の保護層や、耐キャビテーション機能を有する
第2の保護層等を設けて記録ヘッドの耐久性の向上がは
かられるのである。このような保護層は保護機能を達成
し得る所望の部位に設ければよく、例えば上記第1およ
び第2の保護層と言ったように機能分離して設けてもよ
いし、特には機能分離せずに設けてもよいのである。ま
た、上記第1および第2の保護層に加えて更に別の保護
層を設けることももちろん可能であり、例えば第2図に
例示の記録ヘッドであれば、第1の保護層111のみによ
って殆ど覆われている電極113,114の液流路下部分の保
護層111上に、被覆性に優れた有機材料等で構成された
第3の保護層を熱作用面を除いて設ける等のことが行な
われるのである。
このような保護層を構成する材料は、その保護機能など
によって所望のものが用いられるのであるが、例えば記
録液との隔絶を主とした第1の保護層111であれば、SiO
2等の無機酸化物やSi3N4等の無機窒化物等の無機絶縁材
料等が用いられ、耐キャビテーション性を主とした第2
の保護層112には粘りがあって、比較的機械的強度に優
れ、かつ第1の保護層に対して密着性と接着性のある、
例えば第1の保護層がSiO2で形成されている場合にはTa
等の金属材料で構成されるのが普通である。このように
第2の保護層を金属等の比較的粘りがあって機械的強度
のある無機材料で構成することは、特に熱作用面108に
於いて、液吐出の際に生ずるキャビテーション作用から
のショックを充分吸収することができ、熱エネルギー発
生手段101の寿命を格段に延ばす効果がある。
尚、溝付板103並びに熱作用部106の上流側に設けられる
共通液室の構成部材を構成する材料としては、微細精密
加工が容易に適用され得ると共に、面精度を所望通りに
容易に出すことができ、更には、それ等によって形成さ
れる流路中を記録液がスムーズに流れ得るように加工し
得る材質のものが一般には用いられ、代表的なものを例
示すれば、セラミックス、ガラス、金属、プラスチック
或いはシリコンウェハー等が挙げられる。中でも、ガラ
ス、シリコンウェハーは加工上容易であること、適度の
耐熱性、熱膨張係数、熱伝導性を有しているので汎用さ
れる材料の1つである。また、オリフィス104の周りの
外表面には、該オリフィス104が記録液で濡れて、記録
液がオリフィス104の外側に回り込むのを防止するた
め、記録液が水系の場合には撥水処理を、記録液が非水
系の場合には撥油処理を施す等の工夫が一般にはなされ
る。
従来、このようにして液体噴射記録ヘッドが構成される
訳であるが、このような液体噴射記録ヘッドにも、まだ
まだ改善すべき種々の問題がある。
その1つは、液体噴射記録ヘッドの温度特性に起因する
ものである。第3図に、記録液が被記録材に付着して形
成される記録ドットの大きさ、すなわち記録ドット径と
記録ヘッドの温度の関係を示す。この図から明らかなよ
うにドット径はヘッド温度に大きく依存する。これは、
ヘッド温度の変化によって飛翔的液滴を形成する記録液
の粘性が大きく変化することに起因しており、特に低温
では記録液の粘性が大きいために安定な飛翔的液滴を形
成することができず、良好な画質を得ることが出来なか
った。この為、従来一般にはポジスターなどの外部加熱
方式のヒーターを用いて、記録ヘッド外部から該ヒータ
ーにより記録ヘッド全体を加熱することで、このような
画質低下の問題に対応していた。しかしながら、この方
法では記録ヘッド全体を加熱する為、消費電力が大きく
なり、かつ温度上昇の応答速度も遅いという欠点があっ
た。
また、熱エネルギーを利用した液体噴射記録ヘッドは原
理上、自己発熱を伴なうことと、基板自身を記録の為の
記録液が流れていること(基板自身記録液が冷却してい
る)により、複雑な温度分布を示す。従ってマルチノイ
ズを有する液体噴射記録ヘッドでは、温度分布の均一化
及び低温時の特性改善が良好な画質を得る為の必要条件
となっている。
[発明が解決しようとする問題点] 本発明は係る点に鑑みて為されたものであって、消費電
力が少なく、しかも低温時でも即座に良好な画質を得る
ことが出来、しかも安価な液体噴射記録ヘッドを提供す
ることを目的とする。
[問題点を解決するための手段] 上記目的を達成するために本発明は、 液体を吐出するための複数の吐出口と、 該吐出口に連通する液流路と、 該液流路に対応して設けられ、液体を前記吐出口から吐
出させるための熱エネルギーを発生する熱エネルギー発
生手段と、 複数の前記熱エネルギー発生手段上に連続的に配され、
直接滴には液体の吐出に寄与せず液体を加熱するための
加熱手段と、を有することを特徴とする液体噴射記録ヘ
ッドを提案するもので、 前記加熱手段は、前記熱エネルギー発生手段上に設けら
れた第1の保護層上に、第2の保護層を兼ねる加熱手段
として設けられていること、 前記液体はインクであること、 前記加熱手段はタンタルで構成された層であることを含
む。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を詳細に
説明するが、本発明が以下の例に限定されるものでない
ことは言うまでもない。
第1図に本発明の液体噴射記録ヘッドの一例を示す。
尚、第1図には、特に該ヘッドの加熱手段付近の模式図
が示されている。
本例の液体噴射記録ヘッドは、基本的には第2図に例示
した従来例の記録ヘッドの保護層上に、飛翔的液滴を形
成するために用いられる熱エネルギーを発生するための
熱エネルギー発生手段2とは別に、該飛翔的液滴を形成
しない、つまり直接的には液体の吐出に寄与しない熱エ
ネルギーを発生する加熱手段1を設けたものである。第
1図においては説明を簡略化するため、熱エネルギー発
生手段2および加熱手段1以外のヘッド各部の構成を省
略して示してあるが、熱エネルギー発生手段2上には、
前述した第2図におけると同様の第1の保護層が積層さ
れ、加熱手段1は該第1の保護層上に第2の保護層を兼
ねるものとして第1図に例示の如くにバー状に設けられ
ている。尚、第1図中、2−2は熱エネルギー発生手段
2に記録信号を印加するための電極であり、2−1は該
手段2の熱発生部となる発熱抵抗体である。また、4は
記録液(インク)の電位を制御するために必要に応じて
設けられるインク電位制御電極であり、3は加熱手段1
の通電制御およびインク電位制御ための制御ドライバー
である。
本発明における液体噴射記録ヘッドは、例えば上記第1
図に例示の如くに、飛翔的液滴を形成するために用いら
れる熱エネルギーを発生する熱エネルギー発生手段2
と、該熱エネルギー発生手段2上に設けられ、上記飛翔
的液滴を形成しない熱エネルギーを発生する加熱手段1
とを有するものとして構成される。本発明においては、
このような加熱手段1を設ける以外の記録ヘッドの各種
構成については特に限定されるものではなく、従来例の
液体噴射記録ヘッドにおけると同様の種々の工夫がなさ
れてよい。
加熱手段1としては、記録液を加熱し得るものであれ
ば、その材質や形状等、特に限定されるものではない。
例えば材質であれば、熱エネルギー発生手段に用いられ
る各種の発熱抵抗体、あるいは第2の保護層として用い
られるTaなどの金属材料やその他の導電性を有するもの
などが具体的なものとして挙げられる。その形状として
も、例えば第1図に例示の如くにバー状として熱エネル
ギー発生手段2の熱発生部の発熱抵抗体2−1の全面を
覆うように設けてもよいし、各熱エネルギー発生手段2
の発熱抵抗体2−1の個々に対応してそれぞれを個別に
覆うように設けてもよいものである。また、その設置部
位は、熱エネルギー発生手段上の所望の部位に設ければ
よいのであるが、好ましくは上記熱エネルギー発生手段
の熱発生部近傍に、最適には上記熱エネルギー発生手段
の熱発生部に対応する部位に設けるとよい。
また、本例では、第2の保護層に用いられるTa等の金属
材料が電気抵抗体としても機能することに着目して、加
熱手段1を第2の保護層をも兼ねるものとして該加熱手
段1を形成してあるが、このように、加熱手段1は保護
層とは別に設けることは必ずしも必要ではなく、第1お
よび第2と言ったように保護層を機能分離して設ける場
合には、加熱手段1を保護層の機能を兼ねるものとして
設けてもよいものである。このようにすることで、簡易
な構成で、熱エネルギー発生手段2の保護を行なうこと
ができるとともに、前記本発明の目的を達成することが
できるものである。このような加熱手段1が保護層の機
能を兼ねる場合に好適な材料を具体的に例示すれば、上
記taの他、Au、Pd、Pt、Al、Ta、Ti、Zr、Hf、V、Nb、
Mg、Si、Mo、W、Y、La等の各種金属、あるいはこれら
の炭化物、窒化物、硼化物、ケイ化物などが挙げられ
る。もちろん、加熱手段1上には、該手段の酸化を防止
する等の目的で、熱エネルギー発生手段上に積層する保
護層と同様の各種の層を設けてもよいものである。
尚、第1図中のインク電位制御電極4は、例えば加熱手
段1が陽極酸化されやすい金属材料で形成される場合な
ど、該酸化によって加熱手段1に酸化被膜が形成され、
この硬い酸化被膜によって第2の保護層としての耐キャ
ビテーション性が劣化するのを防止する等のために、記
録液の電位を加熱手段1の電位よりも高く保持する(例
えば、第1図中に記号Aで示される加熱手段1の電位が
9Vであれば、記号Bで示されるインク電位制御電極4の
電位を10Vにすると言ったように)ために設けたもの
で、加熱手段1上にも保護層が設置されるような場合に
は、特に設ける必要はない。もちろん、Au、Pd、Pt等の
陽極酸化を受けにくい金属材料を用いる場合などにもイ
ンク電位制御電極4を特に設ける必要はない。但し、こ
のような陽極酸化を受けにくい金属材料を用いる場合に
はMo、W等の密着力向上層を加熱手段1の下引き層とし
て設けることが望ましい。このようなインク電位制御電
極4は、記録ヘッド中の記録液と接する所望の部位に設
ければよいのであるが、本例では熱エネルギー発生手段
2のそれぞれに対応した液流路に記録液を供給するため
の共通液室に該電極4を記録液と接するように設けてあ
る。
[作用] 本発明では、上記の如き加熱手段により飛翔的液滴とな
る記録液を直接加熱できるので、消費電力が小さく、か
つ記録ヘッド内の温度分布をほぼ均一にすることが可能
であり、特に低温時においても即座に良好な画質を得る
ことのできる新規な液体噴射記録ヘッドを提供し得るの
である。
[実施例] 以下に本発明の実施例を示す。
実施例1 第1図に例示の本発明の液体噴射記録ヘッドを以下のよ
うに作成した。
まず、第4図の如きカバー状の加熱手段112を有する基
板を以下のように作成した。すなわち、5μm厚の熱酸
化SiO2層を表面に有するSiウェハーを基板として、該基
板上に、RFマグネトロンスパッタリングを用いてHfB2
らなる発熱抵抗体110を1500Åの厚みに成膜し、引き続
きAlからなる電極層113、114をDCスパッタリングを用い
て5000Åの厚みに成膜した。その後フォトリソグラフィ
技術を用いて該電極層113、114および発熱抵抗体110の
パターニングを施し、基板上に所望のパターンに形成さ
れた発熱抵抗体110および電極113、114からなる熱エネ
ルギー発生手段を得た。この熱エネルギー発生手段上
に、保護層としてのSiO2膜をRFスパッタリングにより1.
5μmの厚みに成膜した。その後、加熱手段112としての
Ta膜をDCスパッタリングによりバー状に1.0μmの厚み
に成膜し、加熱手段112がバー状に形成された第4図の
如き基板を得た。
この基板に、液流路および共通液室となる所要の溝を有
する溝付板(本例ではガラス)を位置合わせの後に接着
して、第1図に例示の如き本発明の液体噴射記録ヘッド
を得た。
この記録ヘッドを用いて記録試験を実施したところ、印
写物の反射濃度が均一な良質の画像を、低温時において
も即座に得ることができた。尚、記録試験は、加熱手段
の酸化を防止するためにインク電位(B点)を10V、加
熱手段(A点)の電位を9Vとした上で、第7図に例示の
如きパルス電圧を加熱手段に印加して記録液を予熱した
後、ただちに発熱抵抗体110に記録パターンに応じた記
録信号を印加することによって行なった。記録ヘッドの
環境温度が0℃という低温度においても、第7図に示し
たような100μS程度の短い予熱時間で良心の画像が得
られた。
実施例2 インク電位制御電極を設けず、加熱手段112上にSiO2
らなる保護層を設ける以外は実施例1と同様にして本発
明の液体噴射記録ヘッドを得た。
この記録ヘッドを用い、インク電位の制御を行なわない
以外は実施例1と同様にして記録を行なったところ、実
施例1と同様に印写物の反射濃度が均一な良質の画像
を、低温時においても即座に得ることができた。
ところで、上記のような加熱手段を有しない従来例の液
体噴射記録ヘッドでは、このような良質の画像を形成す
ることができないのは前述の通りである。これは、記録
液(インク)の粘性が温度によって変化することに起因
していた。第5図は、このような記録液の温度に対する
粘性変化の一例である。第5図から明らかなように、低
温時には急激にインク粘度が増加するのである。例えば
0℃におけるインク粘度は、25℃のそれに比べて2倍強
高く、このような増粘によって、低温時における飛翔的
液滴の吐出速度が低下し、このため従来例の液体噴射記
録ヘッドでは安定な飛翔的液滴を形成することができ
ず、良質の画像を得ることが困難であったのである。こ
のため従来は、ポジスターなどの外部加熱方式のヒータ
ーを用いて記録ヘッドの加熱を行なっていた。
第6図に、ポジスターを用いて第2図に例示の如き従来
例の液体噴射ヘッドを加熱した時の昇温状態の一例を示
す(但し、加熱時の記録ヘッドの環境温度は26℃)。こ
れによると、ヘッド温度を10℃上げるの約30秒程度の時
間を要することが分る。例えば環境温度0℃の時に、イ
ンクの粘性増加による飛翔的液滴の吐出速度の低下がそ
れほど問題とはならないインク温度10℃で記録を行なう
とすると、記録を開始するためには約30秒程度のウェイ
ティングタイムを要することになる。しかも、外部加熱
方式では記録ヘッドの温度分布が必ずしも均一とはなら
ず、このような温度分布の不均一も画質低下の一因にな
っていたのである。
しかしながら、本発明は熱エネルギー発生手段上に設け
た加熱手段による記録液を直接加熱であるので、上記の
ような長時間のウェイティングタイムを要することな
く、前述の如き100μS程度の短時間の予熱で記録液を
均一に加熱することができ、しかも低消費電力で安定し
た飛翔的液滴を形成することができるのである。このた
め、本発明では低温の環境下においても即座に良質の画
像を得ることが出来、またベタ印字の際の印字物の濃度
差も、従来±3.5%程度であったものを、本発明では±
1.%程度に減少することができた。
[発明の効果] 以上に説明した如く、本発明によって、消費電力が小さ
く、かつ記録ヘッド内の温度分布をほぼ均一にすること
が可能であり、特に低温時においても即座に良好な画質
を得ることのできる新規な液体噴射記録ヘッドを提供し
得るようになった。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の液体噴射記録ヘッドの一例の概略説
明図、第2図(a)は従来例の液体噴射記録ヘッドの一
例の概略説明図、第2図(b)は第2図(a)のX−Y
断面の切断部分図、第3図は従来例の液体噴射記録ヘッ
ドによる記録の際のドット径とヘッド温度の関係の一例
を示す図、第4図は本発明の液体噴射記録ヘッドに係わ
る基板構成の一例を示す図、第5図はインク粘度とイン
ク温度との関係の一例を説明する図、第6図は従来例の
液体噴射記録ヘッドの加熱時間とヘッド温度の関係の一
例を示す図、第7図は本発明の液体噴射記録ヘッドの加
熱手段に印加するパルス電圧の一例を示す図である。 1……加熱手段 2……熱エネルギー発生手段

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】液体を吐出するための複数の吐出口と、 該吐出口に連通する液流路と、 該液流路に対応して設けられ、液体を前記吐出口から吐
    出させるための熱エネルギーを発生する熱エネルギー発
    生手段と、 複数の前記熱エネルギー発生手段上に連続的に配され、
    直接的には液体の吐出に寄与せず液体を加熱するための
    加熱手段と、を有することを特徴とする液体噴射記録ヘ
    ッド。
  2. 【請求項2】前記加熱手段は、前記熱エネルギー発生手
    段上に設けられた第1の保護層上に、第2の保護層を兼
    ねる加熱手段として設けられている特許請求の範囲第1
    項に記載の液体噴射記録ヘッド。
  3. 【請求項3】前記液体はインクである特許請求の範囲第
    1項に記載の液体噴射記録ヘッド。
  4. 【請求項4】前記加熱手段はタンタルで構成された層で
    ある特許請求の範囲第1項に記載の液体噴射記録ヘッ
    ド。
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