JPH07295606A - プロセス適応制御方法およびプロセスの適応制御システム - Google Patents

プロセス適応制御方法およびプロセスの適応制御システム

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JPH07295606A
JPH07295606A JP6083285A JP8328594A JPH07295606A JP H07295606 A JPH07295606 A JP H07295606A JP 6083285 A JP6083285 A JP 6083285A JP 8328594 A JP8328594 A JP 8328594A JP H07295606 A JPH07295606 A JP H07295606A
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JP
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model
sub
temperature
gas
heat exchanger
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JP6083285A
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English (en)
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Masahide Nomura
政英 野村
Kazunori Ouchi
和紀 大内
Yoshio Sato
美雄 佐藤
Eiji Toyama
栄二 遠山
Atsushi Yokogawa
篤 横川
Akira Sugano
彰 菅野
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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  • Control Of Steam Boilers And Waste-Gas Boilers (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】複数のサブプロセスで構成され、かつ各サブプ
ロセスが分布定数系であるプロセスの特性を精度よく模
擬できるモデルを用いて、プロセスを制御することがで
きるプロセス適応制御方法およびプロセス適応制御シス
テムを提供する。 【構成】火力プラント1の蒸気温度の目標値の予測値を
求める目標値予測システム2、蒸気温度の予測値を求め
る蒸気温度予測システム3、及び、目標値の予測値と蒸
気温度の予測値とに基づいて操作量を決定する操作量決
定システム4と、予測システムの予測値を用いるか、制
御量を直接用いるかの選択を行うスイッチ5とを備え、
蒸気温度予測システム3は、各熱交換器に対して複数の
集中定数化モデルを用いて、本来は分布定数系である熱
交換器の無駄時間特性を模擬する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プロセス適応制御方法
及びプロセス適応制御システムに係わり、特に、プロセ
スが熱交換器等の分布定数系の場合でも、プロセスの特
性に適応して、良好な制御特性を得るのに好適なプロセ
ス適応制御方法およびプロセス適応制御システムに関す
る。
【0002】
【従来の技術】制御対象となるプロセスには、その制御
上の特徴として、応答の遅れが大きいものがある。例え
ば、火力プラントの制御上の特徴は、蒸気温度の応答の
遅れが大きいことである。例えば、主蒸気温度の時定数
は、10分から20分程度である。従って、通常のフィ
ードバック制御では、負荷指令が大きく変化すると、主
蒸気温度が大きく変動し、タービンの熱ストレスを増大
させ、寿命が減少するという問題がある。このため、火
力プラントは、制御が難しいとされている。
【0003】これに対処するため、火力プラントのモデ
ルを制御システムに内蔵し、このモデルを用いてプラン
トの近い将来の動きを予測して、この予測結果に基づい
て操作量を決定することが提案されている。すなわち、
(1)Y.Sato,etal.,”Steam Te
mperature Prediction Cont
orol for Thermal Power Pl
ant”,IEEE/PES 1984 Winter
Meeting,Dallas,Texas,U.
S.A.January 29−February
3,1984.、(2)「カルマン・フィルタによるボ
イラ蒸気温度予測制御」、第18回SISE(計測自動
制御学会)学術講演会、1201、昭和54年8月29
日〜9月1日、(3)”Steam Temperat
ure Prediction Contorol f
or Thermal Power Plant”,I
EEE Trans.on Power Appara
tus and Systems,Vol.PAS−1
03,No.9,September(1984),p
p.2382−2387、に記載されているプロセス適
応制御方法がある。
【0004】これらの文献では、このプロセス適応制御
方法を、火力プラントに適用している。これらで用いら
れる予測モデルは、最終段過熱器の特性を物理式で表し
た集中定数化モデルである。このモデルは、前段過熱器
の出口蒸気温度を外乱として、最終段過熱器の出口蒸気
温度すなわち主蒸気温度を予測している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、最近、電力
需要の増大と共に、昼夜の電力需要の格差も増大してき
ている。そのため。最新鋭大容量火力プラントといえど
も、負荷追従運転(中間負荷運用)及びDSS(Dai
ly Start Stop)運転が要求されるように
なってきている。これらの要求に伴い、火力プラント制
御システムに対して、起動時制御特性及び負荷追従特性
の向上が求められている。
【0006】しかし、従来の予測制御では、これに対し
て十分に対応することが困難となっている。それは、従
来の予測制御では、上述した文献に記載されているよう
に、火力プラントを一つの集中定数化モデルで近似して
いることによる。
【0007】火力プラントは、火炉水壁、1次過熱器、
2次過熱器、3次過熱器等の複数の熱交換器で構成され
る。これらの熱交換器の中を、上流から下流に向かって
水が流れるうちに、燃焼ガスのエネルギを吸収して蒸気
となり、さらに過熱蒸気となる。
【0008】すなわち、火力プラントに含まれる各熱交
換器は、その変数が空間的に連続して分布している分布
定数系である。それにもかかわらず、上記従来技術で
は、火力プラントの最終段過熱器のみを一つの集中定数
化モデルで近似し、このモデルにより火力プラントの近
い将来の動きを予測して、この予測結果に基づいて操作
量を決定している。
【0009】そのため、予測に、前段過熱器の出口蒸気
温度の変化を考慮できないので、予測性能及び制御性の
向上が困難であるという問題がある。すなわち、従来技
術は、本来複数の熱交換器で構成され、かつ各熱交換器
が分布定数系である火力プラントを一つの集中定数化モ
デルで近似しているため、プラントの特性を精度よく模
擬することができない。そのため、このようなモデルで
火力プラントの近い将来の動きを予測しても、予測精度
の向上に限界があり、制御性の向上にも限界がある。
【0010】本発明の目的は、複数のサブプロセスで構
成され、かつ各サブプロセスが分布定数系であるプロセ
スの特性を精度よく模擬できるモデルを用いて、プロセ
スを制御することができるプロセス適応制御方法および
プロセス適応制御システムを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の一態樣によれば、プロセスのモデルを内蔵
し、このモデルを使用して、操作量を決定するプロセス
適応制御方法において、プロセスは、少なくとも一つの
分布定数系サブプロセスを含み、モデルは、このサブプ
ロセスのうち少なくとも一つを模擬するサブプロセスモ
デルを有するものであって、当該サブプロセスモデルの
それぞれを、物理式に基づく複数の集中定数化モデルか
らなる1組の集中定数化モデルにより構成して、当該物
理式を構成する変数のうちの少なくとも一つを、当該1
組の集中定数化モデルに入力して演算を行い、当該サブ
プロセスの状態量を求めて、当該状態量を用いて、当該
プロセスにおける操作量を決定することを特徴とするプ
ロセス適応制御方法が提供される。
【0012】また、本発明の他の態様によれば、プロセ
スに対する目標値及びプロセスの状態量に基づいて、プ
ロセスに対する操作量を決定するプロセス適応制御シス
テムにおいて、プロセスのモデルを内蔵し、このモデル
を使用して、プロセスの状態量を予測する状態量予測シ
ステムを備え、プロセスは、少なくとも一つの分布定数
系サブプロセスを含み、モデルは、このサブプロセスの
少なくとも一つを模擬するための、物理式に基づく複数
の集中定数化モデルからなる1組の集中定数化モデルを
備えるサブプロセスモデルを有し、当該状態量予測シス
テムは、当該サブプロセスモデルを手段として有し、当
該サブプロセスモデルは、当該1組の集中定数化モデル
の物理式を構成する変数を入力して、当該物理式による
演算を実行し、当該サブプロセスの状態量を算出して、
当該状態量を出力するものであり、入力変数は、当該プ
ロセスの操作量及び状態量であることを特徴とするプロ
セス適応制御システムが提供される。
【0013】すなわち、より具体的には、火力プラント
の各熱交換器のモデルを物理式に基づく複数の集中定数
化モデルにより構成し、これらの各熱交換器のモデルを
統合して使用し、火力プラントの近い将来の動きを予測
して、この予測結果に基づいて操作量を決定するように
したものである。
【0014】また、物理式に基づく複数の集中定数化モ
デルに対してカルマンフィルタを構成し、このカルマン
フィルタにより状態変数の値を推定し、この推定値に基
づいて火力プラントの近い将来の動きを予測するように
したものである。
【0015】
【作用】本発明が適用されるプロセスとして、例えば、
火力プラントを想定することができる。この場合、火力
プラントの各熱交換器を、無駄時間を用いずに、熱交換
に係る物理現象を表わした物理式に基づく集中定数化モ
デルを複数用いて、構成するので、本来、分布定数系で
ある各熱交換器の特性を精度良く模擬できる。
【0016】さらに、これらの各熱交換器のモデルを統
合して使用し、火力プラントの近い将来の動きを予測す
るので、予測精度の向上が達成できる。また、この予測
結果に基づいて操作量を決定するので、制御性の向上も
達成できる。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例について、図面を参照
して説明する。
【0018】先ず、本実施例における制御対象である火
力プラントの概要について説明する。図2は、石炭焚き
火力プラントの例を示した説明図である。
【0019】押込みファン101からの空気は、空気予
熱器102を通って予熱され、1次空気ファン103に
よって加速されて石炭ミル107内に送風される。一
方、石炭バンカ104内の石炭は、給炭機モータ105
により駆動される給炭機106により前記石炭ミル10
7内に運搬される。石炭ミル107によって微粉状とな
った石炭は、空気流と共にボイラ126内のバーナ12
7に送られ、ここで燃焼する。
【0020】節炭器(ECO)130、火炉水冷壁(W
W)108及び1次過熱器(1SH)109を通った水
は、この燃焼ガスにより蒸気となる。この蒸気は、1次
スプレ116を通り、2次過熱器(2SH)110で過
熱され、2次スプレ120を通り、3次過熱器(3S
H)111で更に過熱されて、主蒸気配管及び主蒸気加
減弁121を通って、高圧タービン122に入る。高圧
タービン122を出た蒸気は、1次再熱器112及び2
次再熱器113により再過熱され、中・低圧タービン1
23に送られる。
【0021】発電機124は、高圧タービン122と中
・低圧タービン123とにより駆動され発電する。中・
低圧タービン123を出た蒸気は、復水器125により
復水される。この復水は、給水ポンプ117により再び
ボイラ126の節炭器130に送られる。また、給水ポ
ンプ117を出た給水は、1次スプレ制御弁115及び
2次スプレ制御弁119を介して、1次スプレ116及
び2次スプレ120に送られる。また、給水ポンプ11
7を出た給水は、再熱スプレ制御弁131を介して再熱
スプレ132に送られる。なお、ボイラ126には、燃
焼ガスを再循環させるガス再循環ファン114が設けら
れている。また、ボイラ126には、排ガスを制御する
ための誘引ファン118が設けられている。
【0022】また、この火力プラントには、プラントの
状態を検出するための各種センサが設けられている。す
なわち、図2に示すように、主蒸気圧力(PMS)を測定
するセンサS1と、1次過熱器出口温度(T1SH)を測
定するセンサS2と、排ガス中のO2量(O2)を測定す
るセンサS3と、火炉圧力(PWW)を測定するセンサS
4と、2次過熱器出口蒸気温度(T2SH)を測定するセ
ンサS5と、主蒸気温度(TMS)を測定するセンサS6
と、再熱蒸気温度(TRH)及び1次再熱器出口蒸気温度
(T1RH)を測定するためのセンサS7及びS9と、発
電機124の発電量(MW)を検出するセンサS8とが
設けられている。
【0023】また、図示していないが、1次過熱器10
9、2次過熱器110及び3次過熱器111には、それ
ぞれ入口または出口に、蒸気流量、圧力及び温度を測定
する流量、圧力及び温度センサが設けられている。同様
に、1次再熱器112及び2次再熱器113について
も、それぞれ入口または出口に、蒸気流量、圧力及び温
度を測定する流量、圧力及び温度センサが設けられてい
る。
【0024】前記各センサS1〜S9と、これらの流
量、圧力及び温度センサの出力信号は、後述するマスタ
制御部及びローカル制御部に送られる。前記再熱スプレ
132は、非常用のものであり、温度が制限値を超えた
ときのみスプレを使用する。
【0025】本実施例では、これらのセンサ情報に基づ
いて、火力プラントの制御を行う。本実施例における制
御は、機能的には、マスタ制御部と、それに基づくサブ
ループ制御部とで構成される。図7に、その概要を示
す。
【0026】図7に示すように、マスタ制御部1000
では、主蒸気圧力等の応答が速い部分の制御を行う通常
制御部(1100系)と、主蒸気温度等の応答が遅い部
分についての予測制御を行う予測制御部(1200系)
とを有する。
【0027】通常制御部(1100系)には、主蒸気圧
力制御部1101、ガスO2制御部1102及び火炉圧
力制御部1103と、負荷指令の入力を受け付けて、そ
れに対応してタービン制御及びボイラ制御のためのデマ
ンド操作指令を出力するユニットマスタ1104とを有
する。予測制御部(1200系)は、1次過熱器出口蒸
気温度制御部1201、2次過熱器出口蒸気温度制御部
1202、主蒸気温度制御部1203及び再熱蒸気温度
制御部1204の各制御処理機能部が設けられている。
【0028】また、通常制御部には、前記ユニットマス
タ1104のデマンド操作指令について、前記主蒸気圧
力制御部1101からの操作量により補正して、給水制
御のための操作指令を出力する補正部1105と、前記
補正部1105の出力について、1次過熱器出口蒸気温
度制御部1201からの操作量により補正して、燃料制
御のための操作指令を出力する補正部1106と、前記
補正部1106の出力について、ガスO2制御部110
2からの操作量により補正して、空気制御のための操作
指令を出力する補正部1107と、前記補正部1107
の出力について、火炉圧力制御部1103からの操作量
により補正して、排ガス制御のための操作指令を出力す
る補正部1108と、前記補正部1105の出力につい
て、2次過熱器出口蒸気温度制御部1202からの操作
量により補正して、1次スプレ制御のための操作指令を
出力する補正部1109と、前記補正部1105の出力
について、主蒸気温度制御部1203からの操作量によ
り補正して、2次スプレのための操作指令を出力する補
正部1110と、前記補正部1105の出力について、
再熱蒸気温度制御部1204からの操作量により補正し
て、再循環ガス制御のための操作指令を出力する補正部
1111とが設けられている。
【0029】前記ユニットマスタ1104は、発電量に
関する経済負荷配分制御(ELD:Economic Load Disp
atching control)に関する指令と、周波数の自動調整
制御(AFC:Automatic Frequency Control)に関する
指令とを受けて、当該火力プラントにおける負荷変化
率、負荷変化幅の制限、及び周波数についての補正を行
って、それらに対応する操作指令を演算して出力する。
【0030】1次過熱器出口蒸気温度制御部1201、
2次過熱器出口蒸気温度制御部1202、主蒸気温度制
御部1203及び再熱蒸気温度制御部1204の各制御
処理機能部は、それぞれ対応するセンサからの情報に基
づいて、それぞれの目標値についての操作量を演算し
て、出力する。同図7において、二重線で示すブロック
内の制御処理部は、制御量の決定に際して、予測制御を
行う。
【0031】サブループ制御部2000には、前記ユニ
ットマスタ1104の出力信号とセンサS8からの発電
量を示す信号とを受けて、主蒸気加減弁121を制御す
るタービン制御部2001と、前記補正部1105の出
力信号を受けて給水ポンプ117を制御する給水制御部
2002と、前記補正部1106の出力信号を受けて給
炭機モータ105を制御する燃料制御部2003と、前
記補正部1107の出力信号を受けて押込みファン10
3を制御する空気制御部2004と、前記補正部110
8の出力信号を受けて誘引ファン118を制御する排ガ
ス制御部2005と、前記補正部1109の出力信号を
受けて1次スプレ制御弁115を制御する1次スプレ制
御部2006と、前記補正部1110の出力信号を受け
て2次スプレ制御弁119を制御する2次スプレ制御部
2007と、前記補正部1111の出力信号を受けてガ
ス再循環ファン114を制御する再循環ガス制御部20
08とを有する。
【0032】これらは、例えば、図8に示すようなハー
ドウエアシステム構成となる。
【0033】すなわち、前記マスタ制御部1000の通
常制御部の機能を分担して処理する第1のマスタ制御コ
ントローラ1100と、予測制御部の機能を分担して処
理する第2のマスタ制御コントロラ1200と、サブル
ープ制御部2000の各制御処理部を構成する、タービ
ン制御コントローラ2010、給水制御コントローラ、
燃料制御コントローラ2030、空気制御コントローラ
2040、排ガス制御コントローラ2050、1次スプ
レ制御コントローラ2060、2次スプレ制御コントロ
ーラ2070及び再循環ガス制御コントローラ2080
とを有する。
【0034】これらの各コントローラは、伝送ネットワ
ーク1500で接続され、互いに信号の授受を行う。こ
れらのコントローラは、それぞれコンピュータシステム
で構成される。
【0035】それらのコンピュータシステムは、図示し
ていないが、例えば、中央処理ユニット、メモリ、イン
タフェース等を有する構成のものが用いられる。
【0036】なお、図9に示すように、図8のマスタ制
御コントローラ1200を、上記温度予測専用の制御コ
ントローラ1201と、予測された結果に基づいて行う
操作料を決定するための制御コントローラ1202とに
分けても良い。この構成によれば、予測および制御に必
要な計算速度を、より向上させることが可能となる。
【0037】火力プラントの制御量のうち制御が難しい
のは、蒸気温度である。例えば、1次過熱器出口蒸気温
度T1SH、2次過熱器出口蒸気温度T2SH、主蒸気温度T
MS及び再熱蒸気温度TRSの4つがそれである。また、こ
れらの蒸気温度の制御のために、燃料流量FF、1次ス
プレ流量FSP1、2次スプレ流量FSP2及び再循環ガス流
量FGRFの4つの操作量がある。
【0038】本発明は、これらを予測制御により制御す
るようにしたものである。そして、その際に、従来にな
い予測モデルを用いたことに特徴がある。
【0039】本発明の出願人(一部同じ発明者)は、先
に、分布定数系のプロセスに対する予測モデルとして、
無駄時間要素と集中定数化モデルとから構成された予測
モデルを用いた、プロセスの適応制御方法およびプロセ
スの適応制御システムに関する発明(特願平5−526
68号)を出願している。
【0040】本発明は、無駄時間要素を用いずに、複数
の集中定数化モデルを用いて、プロセスをモデル化する
ことで、より一層の予測性能および制御性の向上を図っ
たものである。
【0041】次に、本発明の予測制御を、前記した火力
プラントの蒸気温度制御に適用した予測制御システムの
第1の実施例について説明する。ここで、モデル化する
プロセスとして、過熱器や再熱器等の熱交換器を想定す
るものである。図1に、本実施例の構成の概要を示す。
【0042】本実施例は、火力プラント1の蒸気温度の
目標値の予測値を求める目標値予測システム2、蒸気温
度の予測値を求める蒸気温度予測システム3、及び、目
標値の予測値と蒸気温度の予測値とに基づいて操作量を
決定する操作量決定システム4と、予測システムの予測
値を用いるか、制御量を直接用いるかの選択を行うスイ
ッチ5とを備えて構成される。
【0043】目標値予測システム2、蒸気温度予測シス
テム3、操作量決定システム4及びスイッチ5は、前記
予測制御部の処理を実行する第2のマスタ制御コントロ
ーラ1200において実現される。
【0044】目標値予測システム2は、蒸気温度の目標
値rの近い将来値を(1)式により予測する。ここで
は、1次過熱器出口蒸気温度T1SH、2次過熱器出口蒸
気温度T2SH、主蒸気温度TMS及び再熱蒸気温度TRSの
それぞれの目標値^r1、^r2、^r3及び^r4を算出
する。
【0045】
【数1】
【0046】ここで、 ^r1(k、n):現在時点kにおいて、1次過熱器出
口蒸気温度T1SHの目標値r1のnサンプリング先の予測
値 ^r2(k、n):現在時点kにおいて、2次過熱器出
口蒸気温度T2SHの目標値r2のnサンプリング先の予測
値 ^r3(k、n):現在時点kにおいて、主蒸気温度T
MSの目標値r3のnサンプリング先の予測値 ^r4(k、n):現在時点kにおいて、再熱蒸気温度
TRSの目標値r4のnサンプリング先の予測値 ri(k) :蒸気温度の目標値riの現在時点kに
おける値(i=1〜4) ai(k) :蒸気温度の目標値riの現在時点kに
おける変化率(i=1〜4) ΔT :サンプリング周期 である。
【0047】なお、本実施例では、目標値を近い将来の
予測により決定しているが、本発明は、これに限定され
ない。
【0048】蒸気温度予測システム3は、蒸気温度系の
モデルを使用して、蒸気温度の近い将来値を予測する。
【0049】蒸気温度系の予測モデルは、図3に示すよ
うに、火力プラント1の、本来は分布定数系である各熱
交換器のモデルを、無駄時間要素を用いずに、各熱交換
器におけるエネルギー保存測に基づく、複数の集中定数
化モデル304により構成している。すなわち、分布定
数系の特徴であるむだ時間特性を、複数の集中定数化モ
デルにより模擬するものである。
【0050】また、これら各熱交換器のモデルは、水・
蒸気系で、上流側から下流側に順次接続され、水・蒸気
の状態変化が上流側から下流側に伝達される構成となっ
ている。予測時には、これらの各熱交換器のモデルを統
合して使用し、蒸気温度の近い将来値が求られる。
【0051】集中定数化モデル304は、各熱交換器の
水・蒸気系及びガス系に対するエネルギ保存則から導か
れる数式により表される。また、ガス温度については、
ガス温度計算モデル306が用いられる。このガス温度
計算モデル306は、燃料流量、空気流量及びガス再循
環流量に基づいて、ガス温度を計算する。
【0052】さらに、各熱交換器の複数の集中定数化モ
デルに対して、カルマン・フィルタ305が構成され
る。このカルマン・フィルタ305により複数の集中定
数化モデル304の状態変数の値及びモデル誤差を推定
し、この推定値に基づいて各熱交換器のモデルを統合し
て使用し、蒸気温度の近い将来値を予測する。
【0053】ここで、図3中における集中定数化モデル
(i)304は、i番目の熱交換器に対応するモデルで
あり、複数の集中定数化モデル304a、304b、3
04c・・・から構成されるものである。以下の説明で
は、集中定数化モデルが、3分割されている場合につい
て説明するが、本発明においては、その分割数は限定さ
れない。
【0054】本実施例において、図3に示す前段過熱器
(i番目)の集中定数化モデル(i)304には、蒸気
流量FSi、蒸気温度θSi-1(=θSINi)及びガス温度θ
Gi-1(=θGINi)が入力され、蒸気温度θSiを出力す
る。また、後段過熱器の集中定数化モデル((i+1)
番目)には、蒸気流量FSi+1、前段過熱器から出力され
た蒸気温度θSi(=θSINi+1)及びガス温度θGi(=θ
GINi+1)が入力され、蒸気温度θSi+1を出力する。
【0055】各熱交換器における集中定数化モデル式
は、図10に示されるような、熱交換モデルを想定し
て、そこでのエネルギ保存則により導かれる。
【0056】本実施例では、各熱交換器が3分割された
状態を想定して、各分割領域において、その管壁を構成
するメタルの一方側に蒸気が、他方側にガスが流れ、ガ
スから蒸気へメタル(図10において、斜線で示す部
分)を介して熱が伝達される状態を想定している。
【0057】また、本実施例では、出口ガス温度θ
Giは、以下の式で示されるように、当該熱交換器を含
む、ガス側上流にある火炉水壁以外のすべての熱交換器
での、定常状態における総熱吸収量QHEXiにより計算さ
れる。
【0058】さらに、本実施例では、当該熱交換器の各
分割領域において、ガス温度θGINi、ガス流量FGi、お
よび、蒸気流量FSiは変化しないが、ガスからの伝熱に
よってそれぞれの領域におけるメタル温度が変化して、
その結果として各領域における蒸気温度が変化するもの
とする。
【0059】すなわち、第1分割領域では、入口ガス温
度θGINi、ガス流量FGiのガスが当該領域のメタルと接
触して、メタルに伝熱量QGM1iの熱を与える。一方、入
口蒸気温度θSINi、蒸気流量FSiの蒸気が熱交換器のメ
タルと接触して、メタルから伝熱量QMS1iの熱を受け
て、蒸気温度θS1iとなって第2分割領域へ流出する。
【0060】同様に、第2および第3分割領域では、入
口ガス温度θGINi、ガス流量FGiのガスが当該領域のメ
タルと接触して、それぞれのメタルに、伝熱量QGM2i、
QGM 3iの熱を与える一方、入ってきた蒸気温度θS1i、
θS2iの蒸気が、これらのメタルと接触して、メタルか
ら伝熱量QMS2i、QMS3iの熱を受けて、蒸気温度
θS2i、θS3iとなって流出する。ここで、蒸気温度θ
S3iは、出口ガス温度θGiとなる。また、ガス流量
FGi、すなわち、ボイラ・ガス流量FGBFは、後述する
ように、空気流量FA、燃料流量FF及び再循環ガス流量
FGRFの合計である。
【0061】各熱交換器の複数の集中定数化モデル30
4は、上記で述べたようにエネルギ保存則から導かれる
数式により表される。また、各熱交換器は、3つの、連
続して接続される、同じ構成の集中定数化モデルによ
り、表現される。このモデル式について、以下で説明す
る。なお、以下の数式で使用される記号は、下記のよう
に定義される。
【0062】V:容積 γ:比重量 H:エンタルピ F:流量 Q:伝熱量 M:重量 C:比熱 θ:温度 P:圧力 A:伝熱面積 α:対流熱伝達率 β:輻射熱伝達率 また、サフィックスは、下記の通りである。
【0063】S :水・蒸気G :ガスM :メタルGM :ガスからメタルMS :メタルから水・蒸気 各熱交換器の水・蒸気系、すなわち、管内部流体のエネ
ルギ保存式は、(2−1)、(2−3)、(2−5)式
で表される。また、管メタルのエネルギ保存式は、(2
−2)、(2−4)、(2−6)式で与えられる。
【0064】
【数2】
【0065】ここで、 VSki :熱交換器の管内部流体(水・蒸気)の容積
(m3) γSki :管内部流体(水・蒸気)の比重量(kg/m3) HSki :管内部流体(水・蒸気)の出口エンタルピ(k
cal/kg) HSINi :管内部流体(水・蒸気)の入口エンタルピ(kc
al/kg) FSki :管内部流体(水・蒸気)の流量(kg/s) AMSki :管メタルから管内部流体(水・蒸気)への伝
熱面積(m2) AGMki :管外部流体(ガス)から管メタルへの伝熱面
積(m2) αMSki :管メタルから管内部流体(水・蒸気)への対
流熱伝達率(kcal/(m2・s・℃)) αGMki :管外部流体(ガス)から管メタルへの対流熱
伝達率(kcal/(m2・s・℃)) MMki :熱交換器の管メタルの重量(kg) CMki :管メタルの比熱(kcal/(kg・℃)) θMki :管メタルの温度(℃) θSki :管内部流体(水・蒸気)の出口温度(℃) θGINi:管外部流体(ガス)の入口温度(℃) i :i番目の熱交換器 k :熱交換器のk分割目の集中定数化モデル また、各熱交換器の管外部流体(ガス)は、管内部流体
及び管メタル部の応答に比べると、その応答が極めて速
い。従って、ここでは、ガス系は、静的にエネルギ保存
則が成り立つとして考える。このため、熱交換器入口ガ
ス温度はθGINiは、次式で与えられる。
【0066】
【数3】
【0067】ここで、η :燃料発熱効率(-) HU :燃料発熱量(kcal/kg) FF :燃料流量(kg/s) HA :空気エンタルピ(kcal/kg) FA :空気流量(kg/s) HGRF :再循環ガスエンタルピ(kcal/kg) FGRF :再循環ガス流量(kg/s) CPG :ガス比熱(kcal/(kg・℃)) βWW :火炉輻射熱伝達係数(-) FGBF :ボイラガス流量(kg/s) QWW :火炉水壁熱吸収量(kcal/s) QHEXi:火炉水壁以外のガス側で、i番目を除いて、そ
れよりも上流にある熱交換器の総熱吸収量(kcal/s) である。
【0068】なお、前記空気エンタルピHAは、次式で
与えられる。
【0069】
【数4】
【0070】ここで、HA :空気エンタルピ(kcal/kg) CPA:空気の比熱(kcal/(kg・℃)) θA :空気の温度(℃) である。
【0071】また、再循環ガスのエンタルピHGRFは、
次式で与えられる。
【0072】
【数5】
【0073】ここで、HGRF :再循環ガスのエンタルピ
(kcal/kg) CPG :ガスの比熱(kcal/(kg・℃)) θGECO:節炭器付近でのガス温度(℃) である。
【0074】各熱交換器の水・蒸気系の伝熱を定圧過程
と近似すると、次式が成り立つ。
【0075】
【数6】
【0076】ここで、CPSki:定圧比熱(kcal/(kg・℃)) HSOki:基準エンタルピ(kcal/kg) である。
【0077】なお、ここでは、(2−17)式を、次式
で近似する。
【0078】
【数7】
【0079】(2−15),(2−16)式を(2−
1)、(2−3)、(2−5)式に代入して、整理する
と共に、(2−2)、(2−4)、(2−6)式を変形
すると、次式が得られる。
【0080】
【数8】
【0081】(2−19)〜(2−24)式をまとめる
と、次式が得られる。
【0082】
【数9】
【0083】ここで、
【0084】
【数10】
【0085】ここで、 Almi:状態遷移行列の要素 Blmi:駆動行列の要素 xli :状態変数 uli :入力変数 である。
【0086】なお、(2−25)〜(2−30)式のx
5i及びu1iは、測定可能な量であり、x1i〜x4i及びx
6iは、測定できない量である。また、u2i〜u4iも、測
定できないが、u2iは静特性に基づいて(2−7)式に
より求め、u3i及びu4iは、(2−16)式により求め
る。
【0087】また、管メタルからの水・蒸気への熱伝達
率αMSki及び管外部流体(ガス)から管メタルへの熱伝
達率αGMkiは、次式で近似する。
【0088】
【数11】
【0089】以上で説明したモデル式を用いて、各熱交
換器単体のモデルをブロック線図で表わすと、図4に示
すようになる。すなわち、各熱交換器単体のモデルは、
燃料流量FF、空気流量FA、ガス再循環流量FGRF、火
炉水壁熱吸収量QWW及び火炉水壁以外のi番目を含ずそ
れよりもガス側上流熱交換器の総熱吸収量QHEXiに基づ
いて、ガス温度θGINiを計算するガス温度計算モデル3
06と、熱交換器の入口蒸気温度θSINiを管内部流体
(水・蒸気)の入口エンタルピHSINiに変換する変換部
307と、複数の集中定数化モデル304と、カルマン
・フィルタ305とを有する。
【0090】次に、本実施例におけるカルマン・フィル
タ305による状態変数及びモデル誤差の推定について
説明する。
【0091】熱伝達式モデルである(2−25)〜(2
−30)式を用いて、蒸気温度を予測するには、状態変
数である蒸気温度θSki及び管メタル温度θMkiの予測開
始時点の値が必要である。しかしながら、上記で述べた
ように、出口蒸気温度θS3iは、計測できるが、中間の
蒸気温度θS1i、θS2i及び管メタル温度θMkiは、計測
できないので、推定値を用いることになる。これら中間
の蒸気温度θS1i、θS 2i及び管メタル温度θMkiの推定
にカルマン・フィルタを適用する。また、モデルには、
誤差があり、この誤差も併せてカルマン・フィルタによ
り推定する。
【0092】先ず、エネルギ保存則から導かれる熱伝達
式モデル(2−25)〜(2−30)式を離散時間表現
し、マトリクスの要素で示すと、次式が得られる。
【0093】
【数12】
【0094】カルマン・フィルタを適用するために、
(2−63)式を次式で表す。
【0095】
【数13】
【0096】ここで、X(k) :kサンプリング時点の
状態変数ベクトル Φ(k-1):(k−1)サンプリング時点の状態遷移行列 H(k-1):(k−1)サンプリング時点の駆動行列 U(k-1):(k−1)サンプリング時点の入力変数ベク
トル v(k-1):(k−1)サンプリング時点のシステムノイ
ズ・ベクトル である。
【0097】また、(2−64)式で表されるシステム
の観測過程は、次式で表されるものとする。
【0098】
【数14】
【0099】ここで、Y(k):kサンプリング時点にお
ける観測ベクトル X(k):kサンプリング時点における状態変数ベクトル w(k):kサンプリング時点における観測ノイズ・ベク
トル C(k):kサンプリング時点における観測行列 である。
【0100】(2−64)及び(2−70)式のカルマ
ン・フィルタは、次式により構成される。なお、ここで
は、’は、転置マトリクスを意味する。
【0101】
【数15】
【0102】ここで、^X(k):kサンプリング時点の
状態変数X(k)の最ゆう推定値 〜X(k):kサンプリング時点の状態変数X(k)の推定値 W(k) :kサンプリング時点の観測ノイズw(k)の共分
散分散行列 V(k-1):kサンプリング時点のシステム・ノイズv(k)
の共分散行列 である。
【0103】次に、本実施例における、予測モデルの全
体構成の一例を、図5に示す。
【0104】この予測モデルでは、図5に示すように、
給水ポンプ117から送られてくる水が節炭器(EC
O)130を経て火炉水壁(WW)108で加熱され
て、1次過熱器109、1次スプレ116、2次過熱器
110、2次スプレ120、3次過熱器111及び主蒸
気加減弁121を経て、高圧タービン122に送られ
る。また、高圧タービン122を出た蒸気は、1次再熱
器112、再熱スプレ132及び2次再熱器113を経
て中低圧タービン123に送られる。
【0105】このモデルにおいて、3つの過熱器10
9、110及び111には、図4で示されるような熱交
換モデルがそれぞれ適用されて、ガス温度計算モデル3
06により求められるガス温度θG1SHIN、θG2SHIN及び
θG3SHINが与えられて、前記物理式により、それぞれの
出口蒸気温度が算出される。また、同様に、1次再熱器
112及び2次再熱器113では、上記過熱器同様に、
図4の熱交換モデルが各再熱器に適用されて、ガス温度
計算モデル306により求められるガス温度θG1 RHIN及
びθG2RHINが与えられて、前記物理式により、それぞれ
の出口蒸気温度が算出される。
【0106】本実施例では、これらの算出された蒸気温
度に基づいて、以下でさらに説明する本実施例の予測制
御システムにより、操作量が決定されるものである。
【0107】次に、操作量決定システム4について説明
する。
【0108】操作量決定システム4は、目標値の近い将
来の予測値rと蒸気温度の近い将来の予測値ypに基づ
いて、操作量uを決定する。本実施例では、PI制御を
行っている。そのアルゴリズムを次式に示す。
【0109】
【数16】
【0110】ここで、 KPi:比例ゲイン KIi:積分ゲイン Δui(k):現在時点kにおける操作量uiの変化分 である。
【0111】次に、本実施例における予測特性につい
て、検討する。ここでは、最終段の過熱器のみについて
一つの集中定数化モデルを構成して予測を行う場合と、
本実施例の複数の集中定数化モデルを組合せたもので予
測を行う場合とを比較する。
【0112】従来のプラントに対し、一つの集中定数化
モデルで構成した場合、同じ操作量に対して、その応答
特性を測定すると、図11(a)に示すようになる。し
たがって、同図から明らかなように、一つの集中定数化
モデルのみで予測を行う場合には、プラントの応答より
応答が速くなっているため、誤差εが大きくなってい
る。そのため、誤差εによる引き戻し作用も大きくな
り、予測精度が悪くなる。(同図(b))。
【0113】一方、複数の集中定数化モデルを組合せた
ものは、制御量の応答が、プラントの応答特性と近似し
ているため、誤差εが小さくなり、引き戻し作用も小さ
く、予測精度が向上する(同図(c))。
【0114】なお、本実施例においては、予測制御と通
常制御を並置し、予測値の誤差が予め定めた範囲に入る
ときのみ予測制御を行うようにしている。図1のスイッ
チ6は、この目的のために設けられている。誤差εが大
きい場合には、通常のPI(比例・積分)制御を行い、
誤差εが小さくなったら、本発明の予測制御に切り替え
る。
【0115】本実施例においては、本来は分布定数系で
ある火力プラントの各熱交換器(プロセス)のそれぞれ
を、当該熱交換器で成り立つ物理式に基づいた複数の集
中定数化モデル、当該モデルに対するカルマンフィル
タ、および、ガス温度計算モデルによりモデル化する。
このような複数の集中定数化モデル等により構成される
予測モデルは、分布定数系の特徴であるむだ時間特性を
模擬できる。そのため、本実施例によれば、予測性能お
よび制御性を大幅に向上できる予測制御システムを提供
することができる。
【0116】本実施例では、ハードウエア構成として、
図8等に示されたようなものを有しているが、本発明
は、これに限定されない。例えば、図14に示すよう
に、各熱交換器の各分割領域ごとに、コントローラを割
り当てて、蒸気温度の予測および制御を行っても良い。
また、図15に示すように、各熱交換器の各分割領域ご
とに蒸気温度の予測を行うコントローラ1230a、1
230b、1230c、・・・1241cと、それらの
予測された蒸気温度に基づいて操作量を決定するコント
ローラ1250とを備える構成としても良い。
【0117】また、本実施例では、複数の熱交換器によ
り構成される火力プラントにおいて、各熱交換器のモデ
ルとして、物理式に基づいた複数の集中定数化モデルを
組み合わせたものを用いたものである。本発明は、同様
に、一つの熱交換器、すなわち、一つの分布定数系だけ
からなるシステムについても適用できることはいうまで
もない。
【0118】また、本実施例は、火力プラントの例であ
るが、本発明は、これに限定されないことはいうまでも
ない。原子力プラント、化学プラント等にも適用でき
る。
【0119】次に、本発明を適用した第2の実施例を説
明する。
【0120】図12に、その予測制御システムの構成を
示す。本実施例は、上記第1の実施例を石炭焚き火力プ
ラントの代わりに、ガス焚き変圧貫流ボイラ(プロセ
ス)600に適用したものである。本実施例において、
各熱交換器に対する予測モデル、および、それらを用い
た予測制御システムは、上記第1の実施例と同じである
ので、詳細な説明は省略する。
【0121】本実施例は、1次過熱器、2次過熱器及び
3次過熱器をそれぞれサブプロセスとして、各サブプロ
セスを、上記第1の実施例と同じように、複数の集中定
数化モデルで構成して、これらのサブプロセスのモデル
をカスケードに接続して組み込んだ予測モデル601を
有するものである。
【0122】この予測モデル601により、1次過熱器
出口蒸気温度、2次過熱器出口蒸気温度及び主蒸気温度
の近い将来値を予測して、この予測結果を用いて、PI
制御により、それぞれ燃料流量、1次スプレ流量及び2
次スプレ流量を操作する。
【0123】本実施例では、1次、2次、3次過熱器の
出口温度に基づいて予測制御を行っていたが、本発明
は、モデルする熱交換器としては、過熱器だけ出なく、
1次、2次再熱器にも、同様に適用することが出来る。
【0124】また、本実施例では、第1の実施例と同様
に、予測と操作量決定を一つのコントローラ上で行うよ
うな構成(図8参照)、または、それぞれ別のコントロ
ーラで行う構成(図9参照)にしても良いが、図6のよ
うに、各過熱器、各再熱器毎にコントローラを設ける構
成としても良い。すなわち、各過熱器の蒸気温度予測お
よび制御を行うコントローラ1210、1211、12
12、および、各再熱器の蒸気温度予測および制御を行
うコントローラ1220、1221を、それぞれ、設け
ることで、予測制御計算の高速化を可能とすることが出
来る。ここで、3次過熱器の出口蒸気温度は、図7に示
される主蒸気温度であり、2次再熱器の出口蒸気温度
は、図7に示される再熱蒸気温度である。
【0125】また、図13に示すように、各熱交換器の
蒸気温度予測と、その予測に基づく操作量の決定とを、
それぞれ別のコントローラで行うようにすることもでき
る。なお、図中において、2重枠で囲まれている各コン
トローラは、マイクロコンピュータ搭載のデジタルコン
トローラである。
【0126】次に、本発明を適用した第3の実施例を説
明する。
【0127】本実施例は、上記第1の実施例の予測制御
システムにおいて、動特性が模擬できるガス温度計算モ
デルを組み込んだものである。すなわち、上記第1の実
施例と同じ全体構成を有する予測制御システム(図1参
照)であり、以下に説明する、分布定数系に対する予測
モデルが異なる。以下では、異なる予測モデルについて
だけ説明し、構成が同じである予測制御システムについ
ての説明は、省略する。
【0128】本実施例において、動特性模擬用ガス温度
計算モデルを組んだ予測モデルは、図16に示すよう
に、分布定数系の特徴であるむだ時間特性を模擬するた
めに、火力プラントの各熱交換器のモデルを物理式に基
づく複数の集中定数化モデル304により構成する。ま
た、各熱交換器のモデルは、水・蒸気系で、上流側から
下流側に順次接続され、水・蒸気の状態変化が上流側か
ら下流側に伝達される構成となっている。予測時には、
これらの各熱交換器のモデルを統合して使用し、蒸気温
度の近い将来値が求られる。
【0129】集中定数化モデル304は、各熱交換器の
水・蒸気系及びガス系に対するエネルギ保存則から導か
れる数式により表される。また、ガス温度については、
ガス温度計算モデル306が用いられる。このガス温度
計算モデル306は、燃料流量、空気流量、ガス再循環
流量及び各熱交換器の管メタル温度に基づいて、ガス温
度を計算する。これにより、管メタル温度の変動に伴っ
て、ガス温度が動的に変動する現象が模擬できるように
なる。
【0130】なお、各熱交換器の複数の集中定数化モデ
ル304に対して、カルマン・フィルタ305が構成さ
れる。このカルマン・フィルタ305により複数の集中
定数化モデルの状態変数の値及びモデル誤差を推定し、
この推定値に基づいて各熱交換器のモデルを統合して使
用し、蒸気温度の近い将来値を予測する。
【0131】ここで、図16中における集中定数化モデ
ル(i)304は、i番目の熱交換器に対応するモデル
であり、複数の集中定数化モデル304a、304b、
304c・・・から構成されるものである。以下の説明
では、集中定数化モデルが、3分割されている場合につ
いて説明する。
【0132】図16に示す前段過熱器の集中定数化モデ
ル(i)304には、蒸気流量FSi、蒸気温度θ
Si-1(=θSINi)及びガス温度θGi-1(=θGINi)が入
力され、蒸気温度θSiを出力する。また、後段過熱器の
集中定数化モデル(i+1)304には、蒸気流量F
Si+1、前段過熱器から出力された蒸気温度θSi(=θ
SINi+1)及びガス温度θGi(=θGINi+1)が入力され、
蒸気温度θSi+1を出力する。なお、図16では、各熱交
換器を3分割した場合の例を示しているが、本発明にお
いて、この分割数は限定されるものではない。
【0133】本実施例において、各熱交換器における集
中定数化モデル式は、図17に示すモデルを想定して、
エネルギ保存則により導かれる。
【0134】本実施例では、各熱交換器が3分割された
状態を想定して、各分割領域において、その管壁を構成
するメタルの一方側に蒸気が、他方側にガスが流れ、ガ
スから蒸気へメタル(図17において、斜線で示す部
分)を介して熱が伝達される状態を想定している。
【0135】また、本実施例では、以下の式に示される
ように、当該熱交換器のメタルを介しての熱伝達により
入口ガス温度θGINiが、出口ガス温度θGiに変化するも
のであり、当該熱交換器(i番目)について算出された
各分割領域に対する管メタル温度に基づいて、出口ガス
温度θGiを算出するものである。
【0136】また、本実施例では、当該熱交換器の各分
割領域において、ガス温度θGINi、ガス流量FGi、およ
び、蒸気流量FSiは変化しないが、ガスの加熱によって
それぞれの領域におけるメタル温度が変化して、その結
果として各領域における蒸気温度が変化するものとす
る。
【0137】すなわち、第1分割領域では、入口ガス温
度θGINi、ガス流量FGiのガスが当該領域のメタルと接
触して、メタルに伝熱量QGM1iの熱を与える。一方、入
口蒸気温度θSINi、蒸気流量FSiの蒸気が熱交換器のメ
タルと接触して、メタルから伝熱量QMS1iの熱を受け
て、蒸気温度θS1iとなって第2分割領域へ流出する。
【0138】同様に、第2および第3分割領域では、入
口ガス温度θGINi、ガス流量FGiのガスが当該領域のメ
タルと接触して、それぞれのメタルに、伝熱量QGM2i、
QGM 3iの熱を与える一方、入ってきた蒸気温度θS1i、
θS2iの蒸気が、これらのメタルと接触して、メタルか
ら伝熱量QMS2i、QMS3iの熱を受けて、蒸気温度
θS2i、θS3iとなって流出する。ここで、蒸気温度θ
S3iは、出口ガス温度θGiとなる。また、ガス流量
FGi、すなわち、ボイラ・ガス流量FGBFは、後述する
ように、空気流量FA、燃料流量FF及び再循環ガス流量
FGRFの合計である。
【0139】各熱交換器の複数の集中定数化モデル30
4は、上記で述べたようにエネルギ保存則から導かれる
数式により表される。また、各交換器は、3つの、連続
して接続される、同じ構成の集中定数化モデルにより、
表現される。このモデル式について、以下で説明する。
なお、以下の数式で使用される記号は、下記のように定
義される。
【0140】V:容積 γ:比重量 H:エンタルピ F:流量 Q:伝熱量 M:重量 C:比熱 θ:温度 P:圧力 A:伝熱面積 α:対流熱伝達率 β:輻射熱伝達率 また、サフィックスは、下記の通りである。
【0141】S :水・蒸気G :ガスM :メタルGM :ガスからメタルMS :メタルから水・蒸気 各熱交換器の水・蒸気系、すなわち、管内部流体のエネ
ルギ保存式は、次に示す(3−1)、(3−3)、(3
−5)式で表される。また、管メタルのエネルギ保存式
は、(3−2)、(3−4)、(3−6)式で与えられ
る。
【0142】
【数17】
【0143】ここで、 VSki :熱交換器の管内部流体(水・蒸気)の容積
(m3) γSki :管内部流体(水・蒸気)の比重量(kg/m3) HSki :管内部流体(水・蒸気)の出口エンタルピ(k
cal/kg) HSINi :管内部流体(水・蒸気)の入口エンタルピ(kc
al/kg) FSki :管内部流体(水・蒸気)の流量(kg/s) AMSki :管メタルから管内部流体(水・蒸気)への伝
熱面積(m2) AGMki :管外部流体(ガス)から管メタルへの伝熱面
積(m2) αMSki :管メタルから管内部流体(水・蒸気)への対
流熱伝達率(kcal/(m2・s・℃)) αGMki :管外部流体(ガス)から管メタルへの対流熱
伝達率(kcal/(m2・s・℃)) MMki :熱交換器の管メタルの重量(kg) CMki :管メタルの比熱(kcal/(kg・℃)) θMki :管メタルの温度(℃) θSki :管内部流体(水・蒸気)の出口温度(℃) θGINi:管外部流体(ガス)の入口温度(℃) i :i番目の熱交換器 k :熱交換器のk分割目の集中定数化モデル である。
【0144】また、各熱交換器の管外部流体(ガス)
は、管内部流体及び管メタル部の応答に比べると、その
応答が極めて速い。従って、ここでは、ガス系は、静的
にエネルギ保存則が成り立つとして考える。ただし,ガ
ス温度は、管メタル温度の変動に伴って、動的に変動す
るものとする。このとき、熱交換器入口ガス温度θGINi
は、次式で与えられる。
【0145】
【数18】
【0146】ここで、η :燃料発熱効率(-) HU :燃料発熱量(kcal/kg) FF :燃料流量(kg/s) HA :空気エンタルピ(kcal/kg) FA :空気流量(kg/s) HGRF :再循環ガスエンタルピ(kcal/kg) FGRF :再循環ガス流量(kg/s) CPG :ガス比熱(kcal/(kg・℃)) βWW :火炉輻射熱伝達係数(-) FGBF :ボイラガス流量(kg/s) QWW :火炉水壁熱吸収量(kcal/s) QHEXi:火炉水壁以外のi番目熱交換器を除く、それよ
りもガス側上流熱交換器の総熱吸収量(kcal/s) QGMj :火炉水壁以外の各熱交換器での熱吸収量(kcal/
s) である。
【0147】なお、前記空気エンタルピHAは、次式で
与えられる。
【0148】
【数19】
【0149】ここで、HA :空気エンタルピ(kcal/kg) CPA:空気の比熱(kcal/(kg・℃)) θA :空気の温度(℃) である。
【0150】また、再循環ガスのエンタルピHGRFは、
次式で与えられる。
【0151】
【数20】
【0152】ここで、HGRF :再循環ガスのエンタルピ
(kcal/kg) CPG :ガスの比熱(kcal/(kg・℃)) θGECO:節炭器付近でのガス温度(℃) である。
【0153】各熱交換器の水・蒸気系の伝熱を定圧過程
と近似すると、次式が成り立つ。
【0154】
【数21】
【0155】ここで、CPSki:定圧比熱(kcal/(kg・℃)) HSOki:基準エンタルピ(kcal/kg)である。
【0156】なお、ここでは、(3−18)式を、次式
で近似する。
【0157】
【数22】
【0158】(3−16),(3−17)式を(3−
1)、(3−3)、(3−5)式に代入して、整理する
と共に、(3−2)、(3−4)、(3−6)式を変形
すると、次式が得られる。
【0159】
【数23】
【0160】(3−20)〜(3−25)式をまとめる
と、次式が得られる。
【0161】
【数24】
【0162】ここで、
【0163】
【数25】
【0164】ここで、Almi:状態遷移行列の要素 Blmi:駆動行列の要素 xli :状態変数 uli :入力変数 である。
【0165】なお、(3−26)〜(3−31)式のx
5i及びu1iは、測定可能な量であり、x1i〜x4i及びx
6iは、測定できない量である。また、u2i〜u4iも、測
定できないが、u2iは(3−7)式により求め、u3i及
びu4iは、(3−17)式により求める。
【0166】また、管メタルからの水・蒸気への熱伝達
率αMSki及び管外部流体(ガス)から管メタルへの熱伝
達率αGMkiは、次式で近似する。
【0167】
【数26】
【0168】以上で説明したモデル式を用いて、各熱交
換器単体のモデルをブロック線図で表わすと、図18に
示すようになる。すなわち、各熱交換器単体のモデル
は、燃料流量FF、空気流量FA、ガス再循環流量
FGRF、火炉水壁熱吸収量QWW及び火炉水壁以外のガス
側上流熱交換器の総熱吸収量QHEXiに基づいて、ガス温
度θGI Niを計算するガス温度計算モデル306と、熱交
換器の入口蒸気温度θSINiを管内部流体(水・蒸気)の
入口エンタルピHSINiに変換する変換部307と、複数
の集中定数化モデル304、及び、カルマン・フィルタ
305から構成される。
【0169】なお、ガス温度計算モデル306は、各熱
交換器の管メタル温度θMiに基づいて、火炉水壁以外の
ガス側上流熱交換器の総熱吸収量を計算し、これにより
ガス温度を計算するので、管メタル温度の変動に伴っ
て、ガス温度が動的に変動する現象が模擬できる。
【0170】次に、本実施例におけるカルマン・フィル
タ305による、状態変数及びモデル誤差の推定につい
て説明する。
【0171】すなわち、熱伝達式モデルである(3−2
6)〜(3−31)式を用いて、蒸気温度を予測するに
は、状態変数である蒸気温度θSki及び管メタル温度θ
Mkiの予測開始時点の値が必要である。しかしながら、
上記で述べたように、出口蒸気温度θS3iは、計測でき
るが、中間の蒸気温度θS1i、θS2i及び管メタル温度θ
M kiは、計測できないので、推定値を用いることにな
る。
【0172】本実施例においては、これら中間の蒸気温
度θS1i、θS2i及び管メタル温度θMkiの推定にカルマ
ン・フィルタを適用する。また、モデルには、誤差があ
り、この誤差も併せてカルマン・フィルタにより推定す
る。
【0173】先ず、エネルギ保存則から導かれる熱伝達
式モデル(3−26)〜(3−31)式を離散時間表現
し、マトリクスの要素で示すと、次式が得られる。
【0174】
【数27】
【0175】カルマン・フィルタを適用するために、
(3−64)式を次式で表す。
【0176】
【数28】
【0177】ここで、X(k) :kサンプリング時点の
状態変数ベクトル Φ(k-1):(k−1)サンプリング時点の状態遷移行列 H(k-1):(k−1)サンプリング時点の駆動行列 U(k-1):(k−1)サンプリング時点の入力変数ベク
トル v(k-1):(k−1)サンプリング時点のシステムノイ
ズベクトル である。
【0178】また、(3−65)式で表されるシステム
の観測過程は、次式で表されるものとする。
【0179】
【数29】
【0180】ここで、Y(k):kサンプリング時点にお
ける観測ベクトル X(k):kサンプリング時点における状態変数ベクトル w(k):kサンプリング時点における観測ノイズ・ベク
トル C(k):kサンプリング時点における観測行列 である。
【0181】(3−65)及び(3−71)式のカルマ
ン・フィルタは、次式により構成される。なお、ここで
は、’は、転置マトリクスを意味する。
【0182】
【数30】
【0183】ここで、^X(k):kサンプリング時点の
状態変数X(k)の最ゆう推定値 〜X(k):kサンプリング時点の状態変数X(k)の推定値 W(k) :kサンプリング時点の観測ノイズw(k)の共分
散分散行列 V(k-1):kサンプリング時点のシステム・ノイズv(k)
の共分散行列 である。
【0184】次に、本実施例における予測モデルの全体
構成の一例を説明する。
【0185】この予測モデルでは、図19に示すよう
に、給水ポンプから送られてくる水が節炭器(ECO)
を経て火炉水壁(WW)で加熱及び蒸発されて、1次過
熱器(1SH)、1次スプレ、2次過熱器(2SH)、
2次スプレ、3次過熱器(3SH)及び主蒸気加減弁を
経て、高圧タービンに送られる。また、高圧タービンを
出た蒸気は、1次再熱器(1RH)、再熱スプレ及び2
次再熱器(2RH)を経て中低圧タービンに送られる。
【0186】また、上記熱交換器において蒸気を加熱す
るガスは、火炉水壁で加熱され、3次過熱器→2次過熱
器→2次再熱器→1次過熱器→1次再熱器へと送られ
る。
【0187】本実施例においては、節炭器(ECO)、
火炉水壁(WW)、1次過熱器(1SH)、2次過熱器
(2SH)、3次過熱器(3SH)、1次再熱器(1R
H)、および、2次再熱器(2RH)のそれぞれの熱交
換器に対して、上記で説明した予測モデルが適用され
る。
【0188】このモデルでは、まず、火炉水壁の入口ガ
ス温度θGWWが、ガス温度計算モデル306により、燃
料流量、空気流量、および、ガス再循環流量から計算さ
れる。また、この求められたガス温度に基づいて、熱交
換モデルにより、火炉水壁における蒸気温度θSiおよび
メタル温度θM1i〜θM3iが、熱交換モデルにより計算さ
れる。
【0189】次に、火炉水壁よりもガス側下流に配置さ
れた熱交換器では、ガス計算モデル306により、前段
熱交換器での各分割領域でのメタル温度と、燃料流量、
空気流量、および、ガス再循環流量とに基づいて、当該
熱交換器におけるガス温度が順次求められる。すなわ
ち、過熱器でのガス温度θGIN1SH、θGIN2SH及びθGIN3
SHが、前段熱交換器の各分割領域単位での管メタル温度
に基づいて求められる。また、これらガス温度に基づい
て、熱交換モデルでの前記物理式により、それぞれの出
口蒸気温度θSi、および、当該熱交換器の各分割領域で
のメタル温度θM1 i〜θM3iが算出される。
【0190】また、同様に、1次再熱器及び2次再熱器
モデルでは、ガス温度θGIN1RH及びθGIN2RHが、ガス温
度計算モデル306により、前段熱交換器の各分割領域
単位での管メタル温度に基づいて求められる、前記物理
式により、それぞれの出口蒸気温度θSi、および、当該
熱交換器の分割領域単位でのメタル温度θM1i〜θM3iが
算出される。
【0191】本実施例によれば、予測制御システムに用
いるガス温度計算モデルにおいて、燃料流量、空気流
量、ガス再循環流量及び各熱交換器の分割領域単位での
管メタル温度に基づいて、ガス温度を計算するガス計算
モデルを用いるため、管メタル温度の変動に伴って、ガ
ス温度が動的に変動する現象が模擬できるようになる。
【0192】したがって、本実施例によれば、予測性能
および制御性能を、大幅に向上できる予測制御システム
を提供することができる。
【0193】次に、本発明を適用した第4の実施例を説
明する。
【0194】本実施例は、上記第3の実施例の動特性を
模擬できるガス温度計算モデルにおいて、各熱交換モデ
ルでの分割領域単位で、動的なガス温度の変動を推定で
きるものである。
【0195】すなわち、上記第1の実施例と同じ全体構
成を有する予測制御システム(図1参照)であり、以下
に説明する、分布定数系に対する予測モデルが異なる。
以下では、異なる予測モデルについてだけ説明し、その
構成が同じである予測制御システムについての説明は省
略する。
【0196】本実施例において、ガス温度計算モデルを
組んだ予測モデルは、図20に示すように、分布定数系
の特徴であるむだ時間特性を模擬するために、火力プラ
ントの各熱交換器のモデルを、物理式に基づく複数の集
中定数化モデル304により構成する。また、各熱交換
器のモデルは、水・蒸気系で、上流側から下流側に順次
接続され、水・蒸気の状態変化が上流側から下流側に伝
達される構成となっている。予測時には、これらの各熱
交換器のモデルを統合して使用し、蒸気温度の近い将来
値が求られる。
【0197】集中定数化モデル304は、各熱交換器の
水・蒸気系及びガス系に対するエネルギ保存則から導か
れる数式により表される。
【0198】また、ガス温度については、ガス温度計算
モデル306が用いられる。このガス温度計算モデル3
06は、燃料流量、空気流量、ガス再循環流量、及び、
各熱交換器の分割領域単位での管メタル温度に基づい
て、各熱交換器の分割領域単位のガス温度を計算する。
これにより、各熱交換器の分割単位の管メタル温度の変
動に伴って、各熱交換器の分割領域単位のガス温度が、
動的に変動する現象が模擬できるようになる。
【0199】なお、各熱交換器の複数の集中定数化モデ
ル304に対して、カルマン・フィルタ305が構成さ
れる。このカルマン・フィルタ305により複数の集中
定数化モデルの状態変数の値及びモデル誤差を推定し、
この推定値に基づいて各熱交換器のモデルを統合して使
用し、蒸気温度の近い将来値を予測する。
【0200】ここで、図20中における集中定数化モデ
ル(i)304は、i番目の熱交換器に対応するモデル
であり、複数の集中定数化モデル304a、304b、
304c・・・から構成されるものである。以下の説明
では、集中定数化モデルが、3分割されている場合につ
いて説明するが、本発明において、この分割数は限定さ
れるものではない。
【0201】図20に示す前段過熱器の集中定数化モデ
ル(i)304には、蒸気流量FSi、蒸気温度θ
Si-1(=θSINi)及びガス温度θGi-1(=θGINi)が入
力され、蒸気温度θSiを出力する。また、後段過熱器の
集中定数化モデル(i+1)304には、蒸気流量F
Si+1、前段過熱器から出力された蒸気温度θSi(=θ
SINi+1)及びガス温度θGi(=θGINi+1)が入力され、
蒸気温度θSi+1を出力する。
【0202】本実施例において、各熱交換器における集
中定数化モデル式は、図21に示すモデルを想定して、
エネルギ保存則により導かれる。
【0203】本実施例では、各熱交換器が3分割された
状態を想定して、各分割領域において、その管壁を構成
するメタルの一方側に蒸気が、他方側にガスが流れ、ガ
スから蒸気へメタル(図21において、斜線で示す部
分)を介して熱が伝達される状態を想定している。
【0204】また、本実施例では、以下の式に示される
ように、当該熱交換器のメタルを介しての熱伝達により
入口ガス温度θGINiが、出口ガス温度θG3iに変化する
ものであり、当該熱交換器(i番目)について算出され
た各分割領域に対する管メタル温度に基づいて、出口ガ
ス温度を算出するものである。
【0205】また、本実施例では、当該熱交換器の各分
割領域において、メタルを介してガスから蒸気へ熱量が
伝達されることを考慮する。そのため、当該伝達された
熱量分だけ、各分割領域において、ガス温度が減少する
と共に、蒸気温度が上昇するものとする。
【0206】すなわち、第1分割領域では、入口ガス温
度θGINi、ガス流量FGiのガスが当該領域のメタルと接
触して、メタルに伝熱量QGM1iの熱を与え、ガス温度θ
G1iとなり、第2分割領域へ流出する。一方、入口蒸気
温度θSINi、蒸気流量FSiの蒸気が熱交換器のメタルと
接触して、メタルから伝熱量QMS1iの熱を受けて、蒸気
温度θS1iとなって第2分割領域へ流出する。
【0207】同様に、第2および第3分割領域では、入
口ガス温度θGINi、ガス流量FGiのガスが当該領域のメ
タルと接触して、それぞれのメタルに、伝熱量QGM2i、
QGM 3iの熱を与え、ガス温度θG2i、θG3iとなり、第3
分割領域、外部へ流出する。一方、第2および第3分割
領域に入ってきた蒸気温度θS1i、θS2iの蒸気が、これ
らのメタルと接触して、メタルから伝熱量QMS2i、Q
MS3iの熱を受けて、蒸気温度θS2i、θS3iとなって流出
する。また、ガス流量FGi、すなわち、ボイラ・ガス流
量FGBFは、後述するように、空気流量FA、燃料流量F
F及び再循環ガス流量FGRFの合計である。
【0208】各熱交換器の複数の集中定数化モデル30
4は、上記で述べたようにエネルギ保存則から導かれる
数式により表される。また、各交換器は、3つの、連続
して接続される、同じ構成の集中定数化モデルにより、
表現される。このモデル式について、以下で説明する。
なお、以下の数式で使用される記号は、下記のように定
義される。
【0209】V:容積 γ:比重量 H:エンタルピ F:流量 Q:伝熱量 M:重量 C:比熱 θ:温度 P:圧力 A:伝熱面積 α:対流熱伝達率 β:輻射熱伝達率 また、サフィックスは、下記の通りである。
【0210】S :水・蒸気G :ガスM :メタルGM :ガスからメタルMS :メタルから水・蒸気 各熱交換器の水・蒸気系、すなわち、管内部流体のエネ
ルギ保存式は、次に示す(4−1)、(4−3)、(4
−5)式で表される。また、管メタルのエネルギ保存式
は、(4−2)、(4−4)、(4−6)式で与えられ
る。
【0211】
【数31】
【0212】ここで、VSki :熱交換器の管内部流体
(水・蒸気)の容積(m3) γSki :管内部流体(水・蒸気)の比重量(kg/m3) HSki :管内部流体(水・蒸気)の出口エンタルピ(k
cal/kg) HSINi :管内部流体(水・蒸気)の入口エンタルピ(kc
al/kg) FSki :管内部流体(水・蒸気)の流量(kg/s) AMSki :管メタルから管内部流体(水・蒸気)への伝
熱面積(m2) AGMki :管外部流体(ガス)から管メタルへの伝熱面
積(m2) αMSki :管メタルから管内部流体(水・蒸気)への対
流熱伝達率(kcal/(m2・s・℃)) αGMki :管外部流体(ガス)から管メタルへの対流熱
伝達率(kcal/(m2・s・℃)) MMki :熱交換器の管メタルの重量(kg) CMki :管メタルの比熱(kcal/(kg・℃)) θMki :管メタルの温度(℃) θSki :管内部流体(水・蒸気)の出口温度(℃) θGINi :管外部流体(ガス)の入口温度(℃) θGki :管外部流体(ガス)の出口温度(℃) i :i番目の熱交換器 k :熱交換器のk分割目の集中定数化モデル また、各熱交換器の管外部流体(ガス)は、管内部流体
及び管メタル部の応答に比べると、その応答が極めて速
い。従って、ここでは、ガス系は、静的にエネルギ保存
則が成り立つとして考える。ただし、ガス温度は、管メ
タル温度の変動に伴って、動的に変動するものとする。
このとき、熱交換器入口ガス温度θGINiは、次式で与え
られる。
【0213】
【数32】
【0214】ここで、η :燃料発熱効率(-) HU :燃料発熱量(kcal/kg) FF :燃料流量(kg/s) HA :空気エンタルピ(kcal/kg) FA :空気流量(kg/s) HGRF :再循環ガスエンタルピ(kcal/kg) FGRF :再循環ガス流量(kg/s) CPG :ガス比熱(kcal/(kg・℃)) βWW :火炉輻射熱伝達係数(-) FGBF :ボイラガス流量(kg/s) QWW :火炉水壁熱吸収量(kcal/s) QHEXi:火炉水壁以外のガス側上流熱交換器の総熱吸収
量(kcal/s) QGMj :火炉水壁以外の各熱交換器の熱吸収量(kcal/s) なお、前記空気エンタルピHAは、次式で与えられる。
【0215】
【数33】
【0216】ここで、HA :空気エンタルピ(kcal/kg) CPA:空気の比熱(kcal/(kg・℃)) θA :空気の温度(℃) である。
【0217】また、再循環ガスのエンタルピHGRFは、
次式で与えられる。
【0218】
【数34】
【0219】ここで、HGRF :再循環ガスのエンタルピ
(kcal/kg) CPG :ガスの比熱(kcal/(kg・℃)) θGECO:節炭器付近でのガス温度(℃) である。
【0220】各熱交換器の水・蒸気系の伝熱を定圧過程
と近似すると、次式が成り立つ。
【0221】
【数35】
【0222】ここで、CPSki:定圧比熱(kcal/(kg・
℃)) HSOki:基準エンタルピ(kcal/kg) である。
【0223】なお、ここでは、(4−18)式を、次式
で近似する。
【0224】
【数36】
【0225】(4−16)、(4−17)式を(4−
1)、(4−3)、(4−5)式に代入して、整理する
と共に、(4−2)、(4−4)、(4−6)式を変形
すると、次式が得られる。
【0226】
【数37】
【0227】(4−20)〜(4−25)式をまとめる
と、次式が得られる。
【0228】
【数38】
【0229】ここで、Almi:状態遷移行列の要素 Blmi:駆動行列の要素 xli :状態変数 uli :入力変数 である。
【0230】なお、(4−26)〜(4−31)式のx
5i及びu1iは、測定可能な量であり、x1i〜x4i及びx
6iは、測定できない量である。また、u2i〜u6iも、測
定できないが、u2i、u4i、u6iは、それぞれ(4−
7)、(4−64)、(4−65)式により求め、u3i
及びu5iは、(4−17)式により求める。
【0231】
【数39】
【0232】また、管メタルからの水・蒸気への熱伝達
率αMSki及び管外部流体(ガス)から管メタルへの熱伝
達率αGMkiは、次式で近似する。
【0233】
【数40】
【0234】以上で説明したモデル式を用いて、各熱交
換器単体のモデルをブロック線図で表わすと、図22に
示すようになる。すなわち、各熱交換器単体のモデル
は、燃料流量FF、空気流量FA、ガス再循環流量
FGRF、火炉水壁熱吸収量QWW及び火炉水壁以外のガス
側上流熱交換器の総熱吸収量QHEXiに基づいて、ガス温
度θGI Ni、θG1I、θG2Iを計算するガス温度計算モデル
306と、熱交換器の入口蒸気温度θSINiを管内部流体
(水・蒸気)の入口エンタルピHSINiに変換する変換部
307と、複数の集中定数化モデル304、及び、カル
マン・フィルタ305から構成される。
【0235】なお、ガス温度計算モデル306は、各熱
交換器の各分割領域単位での管メタル温度θMkiに基づ
いて、火炉水壁以外のガス側上流熱交換器の総熱吸収量
QHEX iを計算し、これにより当該分割単位のガス温度θ
GINi、θG1I、θG2I(θGkI)を計算するので、当該分
割単位での管メタル温度の変動に伴って、分割単位での
ガス温度が動的に変動する現象が模擬できる。
【0236】次に、本実施例におけるカルマン・フィル
タ305による、状態変数及びモデル誤差の推定につい
て説明する。
【0237】すなわち、熱伝達式モデルである(4−2
6)〜(4−31)式を用いて、蒸気温度を予測するに
は、状態変数である蒸気温度θSki及び管メタル温度θ
Mkiの予測開始時点の値が必要である。しかしながら、
上記で述べたように、出口蒸気温度θS3iは、計測でき
るが、中間の蒸気温度θS1i、θS2i及び管メタル温度θ
M kiは、計測できないので、推定値を用いることにな
る。これら中間の蒸気温度θS1i、θS2i及び管メタル温
度θMkiの推定にカルマン・フィルタを適用する。ま
た、モデルには、誤差があり、この誤差も併せてカルマ
ン・フィルタにより推定する。
【0238】先ず、エネルギ保存則から導かれる熱伝達
式モデル(4−26)〜(4−31)式を離散時間表現
し、マトリクスの要素で示すと、次式が得られる。
【0239】
【数41】
【0240】カルマン・フィルタを適用するために、
(4−68)式を次式で表す。
【0241】
【数42】
【0242】ここで、X(k) :kサンプリング時点の
状態変数ベクトル Φ(k-1):(k−1)サンプリング時点の状態遷移行列 H(k-1):(k−1)サンプリング時点の駆動行列 U(k-1):(k−1)サンプリング時点の入力変数ベク
トル v(k-1):(k−1)サンプリング時点のシステム・ノ
イズベクトル である。
【0243】また、(4−69)式で表されるシステム
の観測過程は、次式で表されるものとする。
【0244】
【数43】
【0245】ここで、Y(k):kサンプリング時点にお
ける観測ベクトル X(k):kサンプリング時点における状態変数ベクトル w(k):kサンプリング時点における観測ノイズ・ベク
トル C(k):kサンプリング時点における観測行列 である。
【0246】(4−69)及び(4−75)式のカルマ
ン・フィルタは、次式により構成される。なお、ここで
は、’は、転置マトリクスを意味する。
【0247】
【数44】
【0248】ここで、^X(k):kサンプリング時点の
状態変数X(k)の最ゆう推定値 〜X(k):kサンプリング時点の状態変数X(k)の推定値 W(k) :kサンプリング時点の観測ノイズw(k)の共分
散分散行列 V(k-1):kサンプリング時点のシステム・ノイズv(k)
の共分散行列 である。
【0249】次に、本実施例における予測モデルの全体
構成の一例を説明する。
【0250】この予測モデルでは、図23に示すよう
に、給水ポンプから送られてくる水が節炭器(ECO)
を経て火炉水壁(WW)で加熱及び蒸発されて、1次過
熱器(1SH)、1次スプレ、2次過熱器(2SH)、
2次スプレ、3次過熱器(3SH)及び主蒸気加減弁を
経て、高圧タービンに送られる。また、高圧タービンを
出た蒸気は、1次再熱器(1RH)、再熱スプレ及び2
次再熱器(2RH)を経て中低圧タービンに送られる。
【0251】また、上記熱交換器において蒸気を加熱す
るガスは、火炉水壁で加熱され、3次過熱器→2次過熱
器→2次再熱器→1次過熱器→1次再熱器へと送られ
る。
【0252】本実施例において、この予測モデルには、
節炭器(ECO)、火炉水壁(WW)、1次過熱器(1
SH)、2次過熱器(2SH)、3次過熱器(3S
H)、1次再熱器(1RH)、および、2次再熱器(2
RH)のそれぞれに対して、上記で説明した予測モデル
が適用される。
【0253】本実施例のガス計算モデル306では、ま
ず、火炉水壁の各分割領域でのガス温度θGWW、およ
び、θGjWW(=θG1WW、θG2WW)が、燃料流量、空気流
量、および、ガス再循環流量から計算されて、これらに
結果に基づいて火炉水壁における蒸気温度θSi、およ
び、当該水壁における各分割領域単位のメタル温度θ
M1i〜θM3iが、熱交換モデルにより計算される。
【0254】次に、火炉水壁よりもガス側下流に配置さ
れた熱交換器では、ガス計算モデル306により、前段
熱交換器における分割領域単位のメタル温度と、燃料流
量、空気流量、および、ガス再循環流量とに基づいて、
当該熱交換器の第1の分割領域での出口ガス温度θG1i
が求められる。この結果に基づいて、当該分割領域に対
応する熱交換モデル304aは、出口蒸気温度θSi、お
よび、当該分割領域のメタル温度θM1iを求める。当該
熱交換器の第2分割領域では、求められた第1分割領域
における出口ガス温度、メタル温度、および、出口蒸気
温度に基づいて、第1分割領域と同様に、第2分割領域
における出口ガス温度、メタル温度、および、出口蒸気
温度が求められる。
【0255】以下同様にして、ガス温度計算モデル30
6は、前段熱交換器および前段分割領域で求められたメ
タル温度に基づいて、当該分割領域での出口ガス温度を
算出する。また、熱交換モデル304は、当該出口ガス
温度に基づいて、当該分割領域での出口蒸気温度および
メタル温度を算出する。
【0256】すなわち、本実施例では、過熱器での各分
割単位毎のガス温度θGIN1SH、θGj 1SH、θGIN2SH、θ
Gj2SH、及び、θGIN3SH、θGj3SH(j=1、2)が、ガ
ス温度計算モデル306により、各分割領域単位での管
メタル温度に基づいて求められる。また、これらの結果
に基づいて、当該熱交換器に対応する熱交換モデル30
4は、前記物理式により、それぞれの出口蒸気温度θSi
(i=1SH、2SH、3SH)、および、各分割領域
ごとのメタル温度θM1i〜θM3i(i=1SH、2SH、
3SH)を算出する。
【0257】また、同様に、1次再熱器及び2次再熱器
モデルでは、各分割領域単位でのガス温度θGIN1RH、θ
Gj1RH、及び、θGIN2RH、θGj2RH(j=1、2)が、ガ
ス温度計算モデル306により、各分割領域単位での管
メタル温度に基づいて求められる。さらに、これらの結
果に基づいて、当該熱交換器に対応する熱交換モデル3
04は、前記物理式により、それぞれの出口蒸気温度θ
Si(i=1RH、2RH)、および、各分割領域ごとの
メタル温度θM1i〜θM3i(i=1RH、2RH)を算出
する。
【0258】本実施例によれば、予測制御システムに用
いるガス温度計算モデルにおいて、燃料流量、空気流
量、ガス再循環流量及び各熱交換器の各分割領域単位で
の管メタル温度に基づいて、各分割単位でのガス温度を
計算する。そのため、各熱交換器の分割領域ごとの管メ
タル温度の変動に伴って、当該領域におけるガス温度
の、動的変動現象を模擬することができる。
【0259】したがって、本実施例によれば、予測性能
および制御性能を、大幅に向上できる予測制御システム
を提供することができる。
【0260】
【発明の効果】本発明によれば、プロセスを複数のサブ
プロセスに分割し、分割されたサブプロセスのモデルを
物理式に基づく複数の集中定数化モデルで構成し、この
サブプロセスのモデルの組合せによりプロセスのモデル
を構成するので、プロセスが分布定数系であっても、無
駄時間要素を用いずに、その特性を精度良く模擬でき、
予測精度を向上させることができる。
【0261】また、プロセスのモデルを複数のサブプロ
セスのモデルの組合せで構成し、予測において、それら
の上流側サブプロセスのモデルの出力を下流側のサブプ
ロセスのモデルの入力の一部とすることにより、プロセ
スの予測を精度良く行える。また、この予測結果に基づ
いて操作量を決定するので、制御性の向上も達成でき
る。
【0262】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した第1の実施例における予測制
御システムの全体構成を示すブロック線図。
【図2】本発明を適用する火力プラントの構成概要を示
す説明図。
【図3】本発明の第1の実施例の蒸気温度予測モデルを
示すブロック線図。
【図4】本発明の第1の実施例の予測モデルの詳細を示
すブロック線図。
【図5】本発明の第1の実施例の予測モデルの全体構
成、および、水・蒸気とガス温度との関係を示す説明
図。
【図6】図7に示すシステムのハードウエア構成の他の
例を示すブロック図。
【図7】本発明の第1の実施例を構成する火力プラント
制御システムの機能構成を示すブロック図。
【図8】前記図7に示すシステムのハードウエア構成の
一例を示すブロック図。
【図9】前記図7に示すシステムのハードウエア構成の
他の例を示すブロック図。
【図10】本発明における第1の実施例の集中定数化モ
デルが基づく、熱交換器における熱伝達原理を示す説明
図。
【図11】本発明の第1の実施例による応答特性の比較
を示すグラフ。
【図12】本発明の第2の実施例の構成を示すブロック
線図。
【図13】前記図7に示すシステムのハードウエア構成
の他の例を示すブロック図。
【図14】本発明の制御システムのハードウエア構成の
他の例を示すブロック図。
【図15】本発明の制御システムのハードウエア構成の
他の例を示すブロック図。
【図16】本発明の第3の実施例の蒸気温度予測モデル
を示すブロック線図。
【図17】本発明における第3の実施例の集中定数化モ
デルが基づく、熱交換器における熱伝達原理を示す説明
図。
【図18】本発明の第3の実施例の予測モデルの詳細を
示すブロック線図。
【図19】本発明の第3の実施例の予測モデルの全体構
成、および、水・蒸気とガス温度との関係を示す説明
図。
【図20】本発明の第4の実施例の蒸気温度予測モデル
を示すブロック線図。
【図21】本発明における第4の実施例の集中定数化モ
デルが基づく、熱交換器における熱伝達原理を示す説明
図。
【図22】本発明の第4の実施例の予測モデルの詳細を
示すブロック線図。
【図23】本発明の第4の実施例の予測モデルの全体構
成、および、水・蒸気とガス温度との関係を示す説明
図。
【符号の説明】
1…火力プラント、2…目標値予測システム、3…蒸気
温度予測システム、4…操作量決定システム、5…スイ
ッチ、304…集中定数化熱交換モデル、304a、3
04b、304c…分割単位ごとの熱交換モデル、30
5…カルマンフィルタ、306…ガス温度計算モデル、
307…エンタルピー変換部、1100、1200…制
御コントローラ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 遠山 栄二 茨城県日立市大みか町五丁目2番1号 株 式会社日立製作所大みか工場内 (72)発明者 横川 篤 茨城県日立市大みか町五丁目2番1号 株 式会社日立製作所大みか工場内 (72)発明者 菅野 彰 茨城県日立市大みか町五丁目2番1号 株 式会社日立製作所大みか工場内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プロセスのモデルを内蔵し、このモデルを
    使用して、操作量を決定するプロセス適応制御方法にお
    いて、 プロセスは、少なくとも一つの分布定数系サブプロセス
    を含み、 モデルは、このサブプロセスのうち少なくとも一つを模
    擬するサブプロセスモデルを有するものであって、 当該サブプロセスモデルのそれぞれを、物理式に基づく
    複数の集中定数化モデルからなる1組の集中定数化モデ
    ルにより構成して、 当該物理式を構成する変数のうちの少なくとも一つを、
    当該1組の集中定数化モデルに入力して演算を行い、当
    該サブプロセスの状態量を求めて、 当該状態量を用いて、当該プロセスにおける操作量を決
    定することを特徴とするプロセス適応制御方法。
  2. 【請求項2】請求項1において、 前記サブプロセスの制御量の少なくとも一つを、前記状
    態量として、 前記サブプロセスモデルでは、分布定数系である前記サ
    ブプロセスでの無駄時間特性を、無駄時間要素を用いず
    に、前記1組の集中定数化モデルにより模擬し、 前記1組の集中定数化モデルを構成する集中定数化モデ
    ルをカスケード接続することを特徴とするプロセス適応
    制御方法。
  3. 【請求項3】請求項2において、 前記サブプロセスは、流れを有する熱媒体を用いた熱伝
    達プロセスであることを特徴とするプロセス適応制御方
    法。
  4. 【請求項4】請求項3において、 前記プロセスに前記サブプロセスが2つ以上含まれる場
    合、 それらサブプロセスに対応するように、前記サブプロセ
    スモデルを順に接続して、 上流側の前記サブプロセスモデルの物理式で求められる
    状態量を、下流側の前記サブプロセスモデルの入力変数
    とし、当該状態量を、下流側の前記サブプロセスモデル
    の物理式に入力して、これらサブプロセスモデルにより
    各サブプロセスの状態量の予測値を求めて、 これらの予測値を用いて、前記プロセスにおける操作量
    を決定することを特徴とするプロセス適応制御方法。
  5. 【請求項5】請求項1、2、3または4において、 前記サブプロセスモデルに対してカルマン・フィルタを
    構成し、このカルマン・フィルタで、前記状態量の誤差
    を推定することを特徴とするプロセス適応制御方法。
  6. 【請求項6】請求項1、2、3または4において、 前記サブプロセスモデルに対してカルマン・フィルタを
    構成し、このカルマン・フィルタで、前記状態量の誤差
    を推定すると共に、測定ができない変数の前記状態量を
    推定することを特徴とするプロセス適応制御方法。
  7. 【請求項7】プロセスに対する目標値及びプロセスの状
    態量に基づいて、プロセスに対する操作量を決定するプ
    ロセス適応制御システムにおいて、 プロセスのモデルを内蔵し、このモデルを使用して、プ
    ロセスの状態量を予測する状態量予測システムを備え、 プロセスは、少なくとも一つの分布定数系サブプロセス
    を含み、 モデルは、このサブプロセスの少なくとも一つを模擬す
    るための、物理式に基づく複数の集中定数化モデルから
    なる1組の集中定数化モデルを備えるサブプロセスモデ
    ルを有し、 当該状態量予測システムは、当該サブプロセスモデルを
    手段として有し、 当該サブプロセスモデルは、当該1組の集中定数化モデ
    ルの物理式を構成する変数を入力して、当該物理式によ
    る演算を実行し、当該サブプロセスの状態量を算出し
    て、当該状態量を出力するものであり、入力変数は、当
    該プロセスの操作量及び状態量であることを特徴とする
    プロセス適応制御システム。
  8. 【請求項8】請求項7において、 前記プロセスは、少なくとも1つの熱交換器を有する火
    力プラントの蒸気発生プロセスであり、 前記状態量予測システムは、蒸気温度予測システムであ
    り、 前記サブプロセスは、当該熱交換器での熱伝達プロセス
    であり、 前記サブプロセスモデルは、 当該熱交換器のそれぞれに対応するものであり、 当該熱交換器での少なくとも出口蒸気温度を計算するた
    めの、カスケード接続された複数の熱交換器モデルから
    構成される熱伝達モデルと、 当該熱交換器に熱を伝えるガスの温度を計算するための
    ガス温度計算モデルとを有することを特徴とするプロセ
    ス適応制御システム。
  9. 【請求項9】請求項8において、 前記プロセスが、前記熱交換器を複数有する場合、前記
    熱交換器のそれぞれについて、 前記ガス温度計算モデルは、当該プロセスでの燃料流
    量、空気流量、ガス再循環流量、および、当該熱交換器
    よりもガス側上流にあるすべての熱交換器での総熱吸収
    量に基づいて、当該熱交換器の入口におけるガス温度を
    計算し、 前記熱伝達モデルは、前記入口ガス温度、入口蒸気温
    度、および、入口蒸気流量に基づいて、当該熱交換器の
    出口における蒸気温度を計算することを特徴とするプロ
    セス適応制御システム。
  10. 【請求項10】請求項9において、 前記蒸気温度予測システムは、カルマン・フィルタをさ
    らに有し、 当該カルマン・フィルタは、前記熱伝達モデルで計算さ
    れる状態量の誤差推定を行うことを特徴とするプロセス
    適応制御システム。
  11. 【請求項11】請求項10において、 前記カルマン・フィルタは、前記熱伝達モデルを構成す
    る複数の熱交換器モデルの、それぞれにおけるメタル温
    度の推定をさらに行うことを特徴とするプロセス適応制
    御システム。
  12. 【請求項12】請求項11において、 前記カルマン・フィルタは、前記熱伝達モデルを構成す
    る複数の熱交換器モデルの、それぞれの出口蒸気温度の
    推定をさらに行うことを特徴とするプロセス適応制御シ
    ステム。
  13. 【請求項13】請求項12において、 前記ガス温度計算モデルは、前記メタル温度の推定値を
    用いて、前記熱伝達モデルが模擬している熱交換器より
    も、ガス側上流にあるすべての熱交換器での総熱吸収量
    を計算し、その結果を用いて当該熱交換器の入口におけ
    るガス温度を計算することを特徴とするプロセス適応制
    御システム。
  14. 【請求項14】請求項12において、 前記ガス温度計算モデルは、前記メタル温度の推定値を
    用いて、前記熱伝達モデルを構成する複数の熱交換器モ
    デルの、それぞれの出口ガス温度を、さらに計算するこ
    とを特徴とするプロセス適応制御システム。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103941584A (zh) * 2013-12-03 2014-07-23 西北农林科技大学 一种基于模糊自适应控制器的温度控制方法
JP2018055169A (ja) * 2016-09-26 2018-04-05 株式会社Ihi 状態予測装置
CN108508747A (zh) * 2018-01-12 2018-09-07 华润电力(贺州)有限公司 配置双进双出磨煤机制粉系统的直流炉机组模型建模方法
CN119847244A (zh) * 2025-03-20 2025-04-18 洛阳森德石化工程有限公司 一种用于空气预热器的温度控制方法及系统

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