JPH07320920A - ナノ結晶合金磁心およびナノ結晶合金磁心の熱処理方法 - Google Patents

ナノ結晶合金磁心およびナノ結晶合金磁心の熱処理方法

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JPH07320920A
JPH07320920A JP6115078A JP11507894A JPH07320920A JP H07320920 A JPH07320920 A JP H07320920A JP 6115078 A JP6115078 A JP 6115078A JP 11507894 A JP11507894 A JP 11507894A JP H07320920 A JPH07320920 A JP H07320920A
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nanocrystalline alloy
furnace
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克仁 吉沢
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    • H01F1/0036Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties showing low dimensional magnetism, i.e. spin rearrangements due to a restriction of dimensions, e.g. showing giant magnetoresistivity
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱処理する材料の量が多い場合、形状が大き
い場合、製品の数が多い場合でも、十分な軟磁気特性を
備えたナノ結晶合金からなる磁心を得る。 【構成】 平均結晶粒径が100nm以下である結晶粒が組
織の少なくとも一部を占めるナノ結晶軟磁性合金から構
成され、磁心の厚さが7.5mm以上高さが10mm以上であ
り、10000以上の比初透磁率を示すことを特徴とするナ
ノ結晶合金磁心。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、トランス、チョ−クコ
イル、可飽和リアクトル等の各種磁性部品に用いられる
優れた軟磁気特性を示すナノ結晶合金磁心、および大型
ナノ結晶合金磁心の熱処理方法、量産性に優ればらつき
を小さくすることが可能なナノ結晶合金磁心の熱処理方
法、および優れた軟磁気特性が得られるナノ結晶合金磁
心の熱処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ノイズフィルタやパルストランス等に用
いられる磁心材料としては、フェライトやアモルファス
合金等の高周波特性に優れた高透磁率材料が使用され
る。また、ノイズフィルタ(ラインフィルタ)に用いら
れるコモンモ−ドチョ−ク用磁心材料としては高透磁率
特性を示すだけでなく雷等により発生する高電圧パルス
状ノイズによる機器の誤動作を防止するために、パルス
減衰特性に優れるものが要求されている。このような要
求に対して、従来のフェライト材料では飽和磁束密度が
低く磁気的に飽和しやすいため小型の磁心では十分な性
能が得られない問題がある。したがって、従来のフェラ
イト材料を用い十分な性能を得るためには磁心を大型に
する必要がある。
【0003】また、Fe基アモルファス合金は飽和磁束密
度が高く、高電圧パルス性ノイズに対してはフェライト
よりも優れた減衰特性を示すが、透磁率がCo基アモルフ
ァス合金より低く、低電圧レベルのノイズに対する減衰
量が十分でない欠点がある。また、磁歪が著しく大きい
ために周波数によっては磁歪振動による共振が生じ特性
が変化する問題や、可聴周波数成分がある電流がコイル
に流れる場合に磁心にうなりが生ずる問題がある。一
方、Co基アモルファス合金は高透磁率であるため、低電
圧レベルのノイズに対する減衰量が大きく優れている
が、飽和磁束密度が1T以下と低くFe基アモルファス合金
に比べて高電圧パルスに対する減衰特性が劣っている。
また、高透磁率のCo基アモルファス合金は経時変化が特
に大きく、周囲温度が高い環境では特性劣化が大きく信
頼性の点でも問題がある。
【0004】また、ISDNインタ−フェイス用パルストラ
ンスに使用される磁心材料としては高透磁率で温度特性
に優れていることが要求される。透磁率は特に20kHz付
近の値が高いことが重要である。また、使用目的によっ
ては、角形比が低くフラットなB-Hル−プを示すものが
必要とされる。しかし、フェライト磁心やFe基アモルフ
ァス磁心では透磁率が低く小型化の要求に十分答えてい
る状況にはない。また、フェライトは温度特性が劣って
おり、特に室温以下で透磁率が急激に低下するという問
題もある。Co基のアモルファス合金は透磁率が高いもの
が得易いが、温度が高い場合の経時変化や価格が高い問
題がある。
【0005】また、スイッチング電源の出力電圧の制御
等に用いられるマグアンプ用可飽和リアクトル用磁心と
しては高角形比で磁心損失が低く制御磁化特性に優れて
いることが要求される。現在、数100kHz以上の駆動周波
数のスイッチング電源の可飽和リアクトルには主にCo基
アモルファス磁心が使用されている。しかし、Co基アモ
ルファス磁心は原料に高価なCoを使用しており、部品価
格が上昇するため使用範囲が限定されている。
【0006】最近開発された、ナノ結晶合金は優れた軟
磁気特性を示すため、コモンモ−ドチョ−クコイル、高
周波トランス、漏電警報器、パルストランスや磁気スイ
ッチ等の磁心に使用されている。代表的組成系は特公平
4-4393や特開平1ー242755に記載の合金系等が知られてい
る。これらのナノ結晶合金は、通常液相や気相から急冷
し非晶質合金とした後、これを熱処理により微結晶化す
ることにより作製されている。液相から急冷する方法と
しては単ロ−ル法、双ロ−ル法、遠心急冷法、回転液中
紡糸法、アトマイズ法やキャビテーション法等が知られ
ている。また、気相から急冷する方法としては、スパッ
タ法、蒸着法、イオンプレ−ティング法等が知られてい
る。ナノ結晶合金はこれらの方法により作製した非晶質
合金を微結晶化したもので、非晶質合金にみられるよう
な熱的不安定性がほとんどなく、高飽和磁束密度、低磁
歪で優れた軟磁気特性を示すことが知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ナノ結晶合金
からなる磁心を熱処理により製造する際、熱処理する材
料の量が多い場合、形状が大きい場合、製品の数が多い
場合には十分な軟磁気特性が得られないことがあること
が判明した。これは、通常のアモルファス合金の熱処理
では見られない現象であり、アモルファス合金を結晶化
し製造するナノ結晶合金に特有の問題である。我々はこ
の原因を調べた結果、熱処理する際結晶化が起こるため
磁心が発熱し、材料の温度が炉の設定温度より高くな
り、適正な熱処理条件をはずれるために起こる現象であ
ることが分った。この現象は、磁心のサイズが大きくな
ったり、個数が増える程顕著になり、量産においては大
きな問題となることが判明した。
【0008】本発明は、高透磁率を示す大型のナノ結晶
合金磁心を提供することを第1の目的とする。第2の本
発明の目的は、低磁心損失を示す大型のナノ結晶合金磁
心を提供することである。大型形状の磁心や多数の磁心
を製造するのに適する、量産性に優れ特性ばらつきの小
さいナノ結晶合金磁心の熱処理方法を提供することを第
3の目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに本発明者らは、平均結晶粒径が100nm以下である結
晶粒が組織の少なくとも一部を占めるナノ結晶合金磁心
をアモルファス合金の結晶化を目的とする熱処理により
製造する工程において、前記合金磁心表面温度を結晶化
温度+150゜C以下に保つことにより大型磁心でも優れた
軟磁気特性が得られ、多量の磁心を熱処理しても特性の
ばらつきが小さく、量産性に優れ、優れた軟磁気特性の
ナノ結晶合金磁心を製造することが可能であることを見
いだし本発明に想到した。
【0010】本熱処理により、平均結晶粒径が100nm以
下である結晶粒が組織の少なくとも一部を占めるナノ結
晶軟磁性合金から構成され、磁心の厚さが7.5mm以上高
さが10mm以上である大型のナノ結晶合金磁心でも優れた
軟磁気特性が得られる。ここで、磁心の形状はたとえば
リング状、角型やレーストラック形状等の場合がある。
従来の合金表面温度を考慮しない熱処理ではこのように
大型の形状の磁心では、保磁力の増大、比初透磁率の減
少や磁心損失の増加を招き、小型の磁心に比べて著しく
軟磁気特性が劣下するため本来の優れた軟磁気特性が実
現できなかった。
【0011】本発明の熱処理方法は磁心の厚さが7.5mm
以上、高さが10mm以上の大型の磁心の場合に効果があ
り、磁心の重量が1kg以上高さが15mm以上の大きい磁心
に適用する場合に特に効果が著しい。また、本発明の熱
処理方法は大型磁心だけでなく、小型の磁心においても
一度に多数の磁心を熱処理する場合には有効な方法であ
り、小型の磁心の熱処理においても本発明は適用でき
る。このような熱処理を行なうことにより、大型の磁心
でも容易に10000以上の比初透磁率や、100kHz,0.2Tにお
いて磁路方向の磁場中熱処理を行った場合は1500kW・m-1
以下の磁心損失、無磁場熱処理や磁路と垂直方向に磁場
を印加し熱処理した場合は500kW・m-1以下の磁心損失が
容易に得られる。本発明において比初透磁率は周波数10
0Hz,測定磁場0.05A・m-1で測定した値で示した。
【0012】本発明により得られる合金は、超微細なbc
c結晶粒を主体とする合金であるが、前述のように、結
晶化熱処理の際に発熱が起こり磁心の温度が上昇し、こ
れが大型の磁心や多数の磁心を熱処理する場合に磁気特
性に影響を与えていることが判明した。通常のアモルフ
ァス合金の熱処理では結晶化が生じない条件で熱処理す
るためにこのような磁心の温度上昇は起こらず大型磁心
でもこの原因による著しい特性劣化は起こらなかった。
しかし、ナノ結晶合金では被熱処理合金磁心の温度は、
形状や一度に熱処理する数、配置により、熱処理炉の設
定温度よりも高くなる場合があり、これが磁気特性のば
らつきの原因になっていることが判明した。
【0013】本発明者等が検討したところ、熱処理中の
試料の表面温度Taを結晶化温度Tx+150゜C以下にコント
ロ−ルすることにより、磁気特性のばらつきを小さくす
ることができることが分った。ここで、結晶化温度Tx
10゜C/minの昇温速度で示差走査熱量計(DSC)で測定
した場合の結晶化により発熱ピ−クが生じ始める温度で
ある。その1例を図1に示す。図中Txは結晶化温度、Tc
はアモルファス状態のキュリ−温度である。
【0014】ここで、TaをTx+150゜C以下と規定したの
は、合金磁心表面がTx+150゜Cを超える温度となった場
合、急激に磁気特性の劣化、特に比初透磁率の低下や磁
心損失の増加が起こるためである。この劣下は結晶粒径
の増加も関係するが、化合物相が形成することがより支
配的である。特に合金表面温度を結晶化温度+100゜C以
下に保つと更に大型磁心や多量に磁心を熱処理する場合
でも安定な高特性を実現できるためより好ましい結果が
得られる。
【0015】具体的には炉の設定温度と合金表面温度と
の温度差を50゜C以内となるように制御することにより容
易にナノ結晶合金磁心の磁気特性の劣化を防ぐことがで
きる。本発明において、Taを監視する方法として、磁心
表面に直接熱電対を接触させて設置する方法等が採用可
能である。
【0016】磁心の結晶化熱による温度上昇を制御する
方法としてはこの他に種々の方法が採用できる。結晶化
温度近傍の昇温速度を5゜C/min以下とすることにより単
位時間当たりの結晶化による発熱を押さえ温度上昇を制
御する方法、結晶化温度近傍の温度に保持する期間を設
け結晶化が始まった後あるいは結晶化完了後に昇温し、
発熱による最高到達温度を低く抑える方法、結晶化が始
まった後に炉に投入する単位時間あたりのパワ−を減少
させるあるいは炉に投入するパワ−を零とする期間を設
ける方法等が考えられる。更には、磁心表面、表面近
傍、あるいは内部に温度センサ−たとえば熱電対を配置
し、その信号により炉の温度を制御する方法である。
【0017】また炉内の雰囲気ガスを強制的に移動させ
ることは、磁心表面からの結晶化により発生する熱の放
熱を良くすることができるため、磁心内部の温度をより
低く保つことができ、より好ましい結果を得ることがで
きる。このような効果はアモルファス合金の熱処理では
認められず、アモルファス合金を熱処理により結晶化さ
せて製造するナノ結晶合金磁心の場合においてのみ顕著
に見いだされたものである。
【0018】炉外から炉内に雰囲気ガスを導入するとと
もに他の場所から炉内のガスを排出し、炉内の雰囲気ガ
スを強制的に移動させることも同様な効果を得ることが
できる。炉外から雰囲気ガスを導入することにより、よ
り磁心表面からの放熱を良好とし、大型形状の磁心でも
特性を劣下しにくくすることが可能である。炉外から雰
囲気ガスを導入する期間は全期間である必要はなく結晶
化のための熱処理の期間で十分である。炉内の雰囲気ガ
スをファン等で強制的に攪拌させ移動させることも磁心
表面からの放熱を良好にできるため同様な効果を得るこ
とができる。
【0019】雰囲気ガスは窒素、アルゴン、ヘリウムか
ら選ばれた少なくとも1種のガスが特に軟磁気特性の劣
化が小さく望ましいが、必要に応じてその他のガスある
いは大気中で熱処理しても良い。雰囲気ガスは水分の含
有が少ないドライなものが望ましく、酸素量も0.5%以下
が望ましい。より好ましい酸素量は0.1%以下である。特
に好ましくは0.01%以下である。
【0020】ナノ結晶合金表面温度と炉の設定温度の差
が50゜C以下になるように雰囲気ガスの炉内移動量を調整
する機構を設けることにより、形状が大きくなった場合
にも容易に対応可能となり特性劣下を防止できる。特に
ナノ結晶合金表面温度と炉の設定温度の差が10゜C以下で
ある場合は特性の劣化および特性のばらつきが非常に小
さく非常に好ましい結果が得られる。
【0021】ナノ結晶合金磁心の間に隙間をあけて熱処
理することにより各磁心の放熱が良くなり各磁心から発
生した熱による温度上昇を低く抑えることが可能とな
る。隙間は磁心1個ずつが最も良いがスペ−スを取るた
め生産性の観点から何個かおきに設けても良い。
【0022】アモルファス合金を熱処理により微結晶化
するナノ結晶合金磁心の製造方法において結晶化温度に
相当する温度での昇温速度を5゜C/min以下となるように
昇温し、少なくとも50%以上が結晶となった温度から冷
却することにより、大型磁心においても優れた軟磁気特
性が得られる。より好ましくは2゜C/min以下である。こ
の場合は特に大きな形状の磁心に対しても軟磁気特性の
劣下を抑えることができる。
【0023】熱処理期間の少なくとも一部の期間に磁場
を印加し、かつ磁場を印加する期間の少なくとも一部の
期間において前記合金中に結晶が部分的あるいは全部形
成しているような処理をした場合にはB-Hル−プの形状
を変えることができる。磁心の磁路方向に磁場を印加す
る場合は可飽和リアクトル等に適する高角形比の角形性
の良いB-Hル−プ、磁心の磁路と垂直方向に磁場を印加
する場合はパルストランス、カレントトランス等の各種
トランスやチョ−クコイルに適する角形比が低くフラッ
トなB-Hル−プが得られる。
【0024】特に高周波の用途に対しては板厚が1μmか
ら15μmの範囲にある薄帯であることを特徴とするナノ
結晶合金薄帯から構成された磁心が適している。板幅が
10mm以上の薄帯であるナノ結晶合金から構成された巻磁
心において特に本発明熱処理の効果が顕著に現れる。こ
の理由は、巻磁心においては磁心の側面から熱が逃げや
すいため幅の狭い薄帯を使用した場合は磁心の内部の温
度上昇を低く抑えられ本発明のような熱処理を行わなく
ても軟磁気特性の劣下が小さいためである。しかし、板
幅が10mm以上となってくると磁心内部の温度が上昇しや
すくなり本発明の熱処理方法が有効となる。
【0025】本発明磁心は必要に応じて層間絶縁が行わ
れる場合がある。層間絶縁はたとえばSiO2,MgO,Al2O3
粉末や膜を用いることができるがこれに限定されるもの
ではない。これは特に高周波における渦電流の影響を低
減し、透磁率や磁心損失を改善するのに有効である。
【0026】本発明磁心は使用に際しては、樹脂やセラ
ミック製のコアケ−スに入れて使用される場合が多い。
また、コ−ティングや含浸を行い使用する場合もある。
また、場合によってはギャップを形成したり、カットコ
アにして使用される場合もある。この場合、ギャップの
影響で前記磁気特性が得られない場合もあるが本発明熱
処理を行っている限り本発明磁心に含まれるのはもちろ
んである。
【0027】
【実施例】以下本発明を実施例にしたがって説明するが
本発明はこれらに限定されるものではない。
【0028】(実施例1)原子%でCu1%,Nb2.5%,Si13.5
%,B7.5%残部実質的にFeからなる合金溶湯を単ロ−ル法
により急冷し、幅6.5mm厚さ18μmのアモルファス合金を
得た。このアモルファス合金を外径25mm、内径10mmに巻
回し、トロイダル磁心を作製した。この合金の結晶化温
度Txを測定したところ480゜Cであった。
【0029】作製した磁心をアルゴン雰囲気、450゜Cの
熱処理炉に挿入し、10min保持した後、表1に示す昇温
速度で550゜Cまで昇温し、1時間保持後炉から取りだし空
冷した。 また、550゜Cに保持した炉に前記トロイダル
磁心を挿入し、1時間保持後炉から取りだし冷却する急
加熱のテストも行った。得られた昇温速度と試料表面温
度の関係を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】この表から分るように、急加熱の場合は炉
内温度を一定に保っても、試料の表面温度は上昇する。
このようにして得られた合金の組織は約10nmの平均粒径
の結晶粒により占められていた。
【0032】得られた磁心の比初透磁率μiを表1に示
す。表1から分るように、試料の表面温度TaがTx+150゜
C(すなわち、本実施例では630゜C)を超えたものは急激に
比初透磁率μiが低下することが分る。特に表面温度Ta
がTx+100゜C以下(580゜C以下)の場合は80000を越える比初
透磁率が得られており、特に優れた特性が得られること
が分かる。
【0033】(実施例2)実施例1と同じ組成のアモル
ファス合金で作製した実施例1と同形状の磁心を図2に
示すように磁心の厚み方向に25個接触するように並べ、
Arガス雰囲気、450゜Cの熱処理炉に挿入し、10min保持
後、2.5゜C/minで550゜Cまで昇温した。炉温が550゜Cに達
した後、磁路と垂直な方向に3000Oeの磁場を印加し、1
時間保持後450゜Cまで炉内冷却し、この時点で磁場を切
って炉外に取りだし空冷した。これら25個の磁心のう
ち、表面温度が最も上昇した厚み方向の中央に位置する
磁心の外周面の表面温度の変化を図2に示す。また、こ
の時の磁心の比初透磁率(以下μiと示す)を図4に示
す。
【0034】図4に示した測定点はそれぞれ25個の磁心
の位置を示している。これらの図より、このような熱処
理条件では磁心の温度上昇は小さく表面温度はTx+150゜
Cを超えず、μiの低下もほとんど起こらないことが分
る。比較として前記の熱処理条件のうち昇温速度だけを
10゜C/minに変更し熱処理を行った。これらの組織は実施
例1のものと同様であった。比較例の25個の磁心のう
ち、厚み方向中央に位置するものと端部に位置するもの
の外周面の表面温度の変化を図3に示す。またこの時の
μiを図5に示す。このように昇温速度の早いものでは
最も熱の拡散の遅れる中心部の磁心に表面温度の大きな
上昇がみられ、μiも低下することが分った。
【0035】(実施例3)実施例1と同じ組成のアモル
ファス合金で作製した実施例1と同形状の磁心を図6に
示すように磁心の厚み方向にそれぞれ5mmの間隔をあけ
て、25個並べ、窒素ガス雰囲気、450゜Cの熱処理炉に挿
入し、10min保持後、10゜C/minで550゜Cまで昇温した。炉
温が550゜Cに達した後、磁路と垂直方向に3000Oeの磁場
を印加し、1時間保持後、450゜Cまで炉内冷却し、この時
点で磁場を切って炉外に取りだし空冷した。それぞれの
磁心の最高表面温度とμiは実施例2の昇温速度2.5゜C/m
inの場合とほぼ同じとなり、昇温速度を上げても十分に
放熱できるような間隔をあけることによって、表面温度
の上昇を防ぎ、μiの低下を防ぐことができることが分
かった。
【0036】(実施例4)表2に示す組成の合金溶湯か
ら単ロ−ル法により幅25mm、厚さ19mmのアモルファス合
金を作製し、外径75mm、内径50mmに巻回しトロイダル磁
心とし熱処理を行った。各組成の合金の熱処理条件と比
初透磁率μiを表2に示す。
【0037】
【表2】
【0038】この表より他の組成の合金に対しても試料
の表面温度がTx+150゜C以下の場合はNo.8からNo.11に見
られるように実効透磁率の低下は少ないが、試料No.12
のようにTx+150゜Cを超えると実効透磁率が著しく低下
することが分かる。
【0039】(実施例5)原子%でCu1%、Nb3%、Si13.5
%、B9%残部実質的にFeからなる合金溶湯から単ロ−ル法
により幅15mm、厚さ18μmのアモルファス合金を作製し
た。この合金の結晶化温度Txは510゜Cであった。この合
金薄帯を巻回し、外径75mm、内径50mmのトロイダル磁心
を作製した。この磁心を530゜Cに保った炉に入れ8時間保
持後、室温まで空冷した。この際の最高表面温度は590゜
Cであった。次にこの磁心を550゜Cに保った炉内に導入
し、1時間後に取出し空冷した。この時の最高表面温度
は550゜Cであり、この2段急加熱によるμiは98000であっ
た。熱処理後の合金は平均粒径が100nm以下である結晶
粒が組織のほとんどを占めていた。
【0040】比較例として同様のアモルファス合金から
なるトロイダル磁心を550゜Cに保った炉に入れ、1時間保
持後空冷する1段急加熱を行った場合、μiは4000、最高
表面温度は665゜Cであり、本発明例よりも劣っていた。
このように低温で結晶化を行い、更に高温で熱処理を行
う2段の熱処理を行うことにより、磁心の温度上昇を低
減でき比初透磁率の低下を防止できることが分る。
【0041】(実施例6)原子%でCu1%、Nb3at%、Si15
%、B6.5%残部実質的にFeからなる合金溶湯を単ロ−ル法
により急冷し、幅5mm〜50mm、厚さ18μmのアモルファス
合金薄帯を作製した。この合金の結晶化温度Txは510゜C
であった。次に、この合金を外径500mm、内径400mmに巻
回し、トロイダル磁心を作製した。なお、その際薄帯の
片面にSiO2粉末を添付し層間絶縁を行った。次にこの磁
心を図7に示す本発明に係わる熱処理パタ−ンと図8に
示す従来の熱処理パタ−ンで熱処理した。熱処理後の合
金は粒径約12nmの微細な結晶粒が組織のほとんどを占め
ていた。表3に得られた磁気特性を示す。
【0042】
【表3】
【0043】磁心の高さが10mm以上の場合に従来熱処理
との特性差が顕著であり本発明熱処理が有効であること
が分かる。特に磁心高さが15mm以上ではその効果が著し
く大きい。
【0044】(実施例7)原子%でCu1%、Nb3at%、Si13.
5%、B7.5%残部実質的にFeからなる合金溶湯を単ロ−ル
法により急冷し、幅25mm、厚さ18μmのアモルファス合
金薄帯を作製した。次に、この合金を外形200mm、内径1
35mmに巻回し、トロイダル磁心を作製した。磁心の重量
は1.0kgであった。なお、その際薄帯の片面をSiO2で層
間絶縁した。次にこの磁心を図9に示すパタ−ンで窒素
ガス雰囲気中で熱処理した。一つは窒素ガスを炉内で強
制的に移動させず熱処理し、もうひとつは10 l/minの流
量で窒素ガスを外部から導入し、反対方向からガスを出
し、炉内のガスが強制的に移動できるようにした。更に
もうひとつは窒素ガスを炉内に導入し置換した後炉内に
ファンを設置し強制的に炉内の雰囲気ガスを移動させ
た。得られた結果を表4に示す。
【0045】
【表4】
【0046】炉内の雰囲気ガスを移動させる本発明熱処
理を適用することにより大型磁心においても優れた軟磁
気特性を実現することが可能である。
【0047】(実施例8)原子%でCu1%、Nb2at%、Ta0.5
at%、Si15.5%、B6%残部実質的にFeからなる合金溶湯を
単ロ−ル法により急冷し、幅15mm、厚さ18μmのアモル
ファス合金薄帯を作製した。次に、この合金を外形200m
m、内径150mmに巻回し、トロイダル磁心を作製した。な
お、その際薄帯の片面にSiO2を付けて層間絶縁を行っ
た。次にこの磁心をヘリウムガス雰囲気で図10に示す
熱処理パタ−ンで熱処理した。この際、磁心表面に熱電
対をつけその出力で炉のパワ−をコントロ−ルし、磁心
表面温度と炉の設定温度が50゜C以内になるようにコント
ロ−ルした。熱処理後の合金は粒径約12nmの微細な結晶
粒が組織のほとんどを占めていた。
【0048】熱処理後の磁心の比初透磁率および磁心損
失を測定した。制御を行った場合、μi=101000、100kH
z,0.2Tにおける磁心損失Pc=280kW・m-3が得られた。制
御を行わず急加熱した場合、μi=4500、100kHz,0.2Tに
おける磁心損失Pc=610kW・m-3が得られ、本発明の有効
性が確認された。また、磁路方向に400A・m-1の磁場を印
加し熱処理を行ったところ、本発明の場合角形比94%、
c=1000kW・m-3が得られたが、従来の熱処理では角形
比89%、Pc=1600kW・m-3しか得られず本発明が磁場中熱
処理した場合にも有効であることが確認された。
【0049】(実施例9)原子%でCu1%、Nb2.5%、Cr0.5
%、Si15.5%、B6.5%残部実質的にFeからなる合金溶湯を
単ロ−ル法により急冷し、幅12.5mm、厚さ16μmのアモ
ルファス合金薄帯を作製した。次にこの合金を外径35m
m、内径12mmに巻回し、トロイダル磁心を作製した。な
お、その際薄帯の片面にSiO2を付けて層間絶縁を行っ
た。次にこの磁心を実施例7と同様の熱処理パタ−ンで
炉外から炉内に雰囲気ガスを導入し反対側から排出し炉
内の雰囲気ガスを移動させながら熱処理を行った。この
際、導入する雰囲気ガスの流量を変えて検討を行った。
熱処理後の合金は粒径約12nmの微細な結晶粒が組織のほ
とんどを占めていた。得られた結果を表5に示す。
【0050】
【表5】
【0051】0.1リットル/min以上で特性が改善され、5
リットル/min以上で良好となることが分かる。特に10リ
ットル/min以上では著しく改善される。また、昇温中だ
け雰囲気ガスを流してもほぼ同等の特性が得られた。温
度を測定したところナノ結晶合金表面温度と炉の設定温
度の差は50゜C以下であった。
【0052】(実施例10)原子%でCu1%、Nb2.5%、Mo
0.5%、Si15.5%、B6.5%残部実質的にFeからなる合金溶湯
を単ロ−ル法により急冷し、幅12.5mm、厚さ16μmのア
モルファス合金薄帯を作製した。次にこの合金を外径32
mm、内径15mmに巻回し、トロイダル磁心を作製した。な
お、その際薄帯の片面にSiO2を付けて層間絶縁を行っ
た。次にこの磁心を図11の熱処理パタ−ンで昇温速度
sを変え窒素ガス雰囲気中で熱処理を行った。熱処理後
の合金は粒径約12nmの微細な結晶粒組織を有していた。
得られた結果を表6に示す。
【0053】
【表6】
【0054】昇温速度が5゜C/minを越えると著しい比初
透磁率μiの低下が起こり大型の磁心を熱処理する場合
は好ましくない。
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、各種磁性部品に用いら
れる優れた軟磁気特性を示す大型ナノ結晶合金磁心の熱
処理方法、量産性に優ればらつきを小さくすることが可
能なナノ結晶合金磁心の熱処理方法、および優れた軟磁
気特性を示す大型のナノ結晶合金磁心および量産レベル
の多数のナノ結晶合金磁心を提供することができるため
その効果は著しいものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】結晶化温度を説明するための示差走査熱量計(D
SC)で測定したDSC曲線を示す図。
【図2】ナノ結晶合金磁心の表面温度の変化を示す図。
【図3】比較例の表面温度の変化を示す図。
【図4】本発明の10kHzにおける実効透磁率のばらつき
を示す図。
【図5】比較例の10kHzにおける実効透磁率のばらつき
を示す図。
【図6】熱処理する磁心の配置の一例を示す図。
【図7】本発明に係わる熱処理パタ−ンの一例を示す
図。
【図8】従来の熱処理パタ−ンの一例を示す図。
【図9】実施例7で記載した熱処理パタ−ンを示す図。
【図10】実施例8で記載した熱処理パタ−ンを示す
図。
【図11】実施例9で記載した熱処理パタ−ンを示す
図。

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均結晶粒径が100nm以下である結晶粒
    が組織の少なくとも一部を占めるナノ結晶軟磁性合金か
    ら構成され、磁心の厚さが7.5mm以上高さが10mm以上で
    あり、10000以上の比初透磁率を示すことを特徴とする
    ナノ結晶合金磁心。
  2. 【請求項2】 重量が1kg以上高さが15mm以上であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載のナノ結晶合金磁心。
  3. 【請求項3】 初透磁率が20000以上であることを特徴
    とする請求項1乃至請求項2に記載のナノ結晶合金磁
    心。
  4. 【請求項4】 平均結晶粒径が100nm以下である結晶粒
    が組織の少なくとも一部を占めるナノ結晶軟磁性合金か
    ら構成され、磁心の厚さが7.5mm以上高さが10mm以上で
    あり、100kHz,0.2Tにおける磁心損失が1500kW・m-3以下
    であるナノ結晶合金磁心。
  5. 【請求項5】 100kHz,0.2Tにおける磁心損失が500kW・m
    -3以下である請求項4に記載のナノ結晶合金磁心。
  6. 【請求項6】 板厚が1μmから15μmの範囲にある薄帯
    から構成されたことを特徴とする請求項1乃至請求項5
    のいずれかに記載のナノ結晶合金磁心。
  7. 【請求項7】 平均結晶粒径が100nm以下である結晶粒
    が組織の少なくとも一部を占めるナノ結晶合金磁心をア
    モルファス合金の結晶化熱処理により製造する工程にお
    いて、前記合金磁心表面温度を結晶化温度+150゜C以下
    に保つことを特徴とするナノ結晶合金磁心の熱処理方
    法。
  8. 【請求項8】 合金表面温度を結晶化温度+100゜C以下
    に保つことを特徴とする請求項7に記載のナノ結晶合金
    磁心の熱処理方法。
  9. 【請求項9】 平均結晶粒径が100nm以下である結晶粒
    が組織の少なくとも一部を占めるナノ結晶合金の熱処理
    において、炉の設定温度と合金表面温度との温度差が50
    ゜C以内となるようにすることを特徴とするナノ結晶合金
    磁心の熱処理方法。
  10. 【請求項10】 平均結晶粒径が100nm以下である結晶
    粒が組織の少なくとも一部を占めるナノ結晶合金磁心の
    熱処理において、結晶化温度近傍の昇温速度を5゜C/min
    以下とすることを特徴とする請求項7乃至請求項9のい
    ずれかに記載のナノ結晶合金磁心の熱処理方法。
  11. 【請求項11】 平均結晶粒径が100nm以下である結晶
    粒が組織の少なくとも一部を占めるナノ結晶合金磁心の
    熱処理において、結晶化温度近傍の温度に保持する期間
    を設け結晶化が始まった後あるいは結晶化完了後に昇温
    し一定温度に保持あるいは保持なしで冷却することを特
    徴とする請求項7乃至請求項9のいずれかに記載のナノ
    結晶合金磁心の熱処理方法。
  12. 【請求項12】 平均結晶粒径が100nm以下である結晶
    粒が組織の少なくとも一部を占めるナノ結晶合金磁心の
    熱処理において、結晶化温度以上の温度に保持する期間
    を設け結晶化が始まった後に炉に投入する単位時間あた
    りのパワ−を減少させるあるいは炉に投入するパワ−を
    零とする期間を設けることを特徴とする請求項7乃至請
    求項9のいずれかに記載のナノ結晶合金磁心の熱処理方
    法。
  13. 【請求項13】 熱処理する磁心表面、磁心表面近傍、
    あるいは磁心内部に温度センサ−を配置し、その信号に
    より熱処理炉の温度を制御することを特徴とする請求項
    12に記載のナノ結晶合金磁心の熱処理方法。
  14. 【請求項14】 平均結晶粒径が100nm以下である結晶
    粒が組織の少なくとも一部を占めるナノ結晶合金磁心の
    熱処理において、炉内の雰囲気ガスを強制的に移動させ
    ることを特徴とする請求項7乃至請求項11のいずれか
    に記載のナノ結晶合金磁心の熱処理方法。
  15. 【請求項15】 炉外から炉内に雰囲気ガスを導入する
    とともに他の場所から炉内のガスを排出し、炉内の雰囲
    気ガスを強制的に移動させることを特徴とする請求項1
    4に記載のナノ結晶合金磁心の熱処理方法。
  16. 【請求項16】 炉内の雰囲気ガスを強制的に攪拌させ
    移動させることを特徴とする請求項14乃至請求項15
    に記載のナノ結晶合金磁心の熱処理方法。
  17. 【請求項17】 炉外から雰囲気ガスを導入する期間を
    結晶化のための熱処理の期間とする請求項15に記載の
    ナノ結晶合金磁心の熱処理方法。
  18. 【請求項18】 雰囲気ガスが窒素、アルゴン、ヘリウ
    ムから選ばれた少なくとも1種のガスである請求項14
    乃至請求項17のいずれかに記載のナノ結晶合金磁心の
    熱処理方法。
  19. 【請求項19】 ナノ結晶合金表面温度と炉の設定温度
    の差が50゜C以下になるように雰囲気ガスの炉内移動量を
    調整することを特徴とする請求項14乃至請求項18の
    いずれかに記載のナノ結晶合金磁心の熱処理方法。
  20. 【請求項20】 ナノ結晶合金磁心の間に隙間をあけ
    る、あるいはスペ−サとなる物を磁心間に配置し熱処理
    することを特徴とする請求項7乃至請求項20のいずれ
    かに記載のナノ結晶合金磁心の熱処理方法。
  21. 【請求項21】 アモルファス合金を熱処理により微結
    晶化するナノ結晶合金磁心の製造方法において結晶化温
    度に相当する温度での炉の昇温速度が5゜C/min以下とな
    るように昇温し、少なくとも50%以上が結晶となった温
    度から冷却することを特徴とするナノ結晶合金磁心の熱
    処理方法。
  22. 【請求項22】 熱処理期間の少なくとも一部の期間に
    磁場を印加し、かつ磁場を印加する期間の少なくとも一
    部の期間において前記合金中に結晶が部分的に形成ある
    いは実質的に結晶となっていることを特徴とする請求項
    7乃至請求項21のいずれかに記載のナノ結晶合金磁心
    の熱処理方法。
  23. 【請求項23】 磁場を印加する方向が磁心の高さ方向
    あるいは径方向であることを特徴とする請求項22記載
    のナノ結晶合金磁心の熱処理方法。
  24. 【請求項24】 磁場を印加する方向が磁心の磁路方向
    であることを特徴とする請求項22に記載のナノ結晶合
    金磁心の熱処理方法。
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