JPH07323486A - プラスチック成形品の製造方法 - Google Patents

プラスチック成形品の製造方法

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JPH07323486A
JPH07323486A JP12087294A JP12087294A JPH07323486A JP H07323486 A JPH07323486 A JP H07323486A JP 12087294 A JP12087294 A JP 12087294A JP 12087294 A JP12087294 A JP 12087294A JP H07323486 A JPH07323486 A JP H07323486A
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JP
Japan
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temperature
base material
plastic
plastic base
resin
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Pending
Application number
JP12087294A
Other languages
English (en)
Inventor
Hisaaki Oseko
久秋 小瀬古
Toshiharu Hatakeyama
寿治 畠山
Akio Hirano
彰士 平野
Jun Watabe
順 渡部
Kiyotaka Sawada
清孝 沢田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Publication date
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  • Processing And Handling Of Plastics And Other Materials For Molding In General (AREA)
  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 工程時間を長時間化することがなく、しかも
金型構造を複雑化することなく、内部歪を低減すること
ができるとともに、転写面の転写性を向上させることが
でき、内部歪がほとんどなく、かつ転写性に優れたプラ
スチック成形品を安定に、かつ容易に得ることができ
る。 【構成】 少なくとも1つの転写面を有し、かつ一定容
積を有するプラスチック成形用キャビティを備えた一対
の金型に、キャビティと形状及び容積が同じ若しくは略
同じに前加工された熱可塑性のプラスチック母材を挿入
し、大気圧下でのプラスチック母材の軟化温度以上に該
プラスチック母材を加熱して転写面に密着させるととも
に、キャビティ内にプラスチック母材の樹脂内圧を発生
させ、かつキャビティ内温度を均一化した後、キャビテ
ィ内温度の均一性を保持しつつ徐冷してプラスチック母
材の熱変形温度以下にてプラスチック成形品を取り出
す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プラスチック成形品の
製造方法に係り、詳しくは、レーザービームプリンタ
ー、複写機、ファクシミリ等の光走査系、カメラ、光デ
ィスク、コンパクトディスク、その他光学機器等に用い
られるレンズ、ミラー、プリズム、ディスク、回析格子
等の高精度プラスチック成形品の製造方法に適用するこ
とができ、特に、工程時間を長時間化することがなく、
しかも金型構造を複雑化することなく、内部歪がほとん
どなく、かつ転写性に優れたプラスチック成形品を安定
に得ることができるプラスチック成形品の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、大口径のプラスチックレンズの成
形方法については、例えば特開平3−30932号公報
で報告されたものがあり、ここでは、略最終形状に加工
したプラスチックレンズ部材の表面温度を、そのプラス
チックレンズ部材の材料の熱変形温度以下の温度まで加
熱する第1のプロセスと、第1のプロセスにて加熱した
プラスチックレンズ部材を、プラスチックレンズ部材の
材料のガラス転移温度以上の温度に加熱された一対の成
形金型間に搬入する第2のプロセスと、一対の成形金型
により、プラスチックレンズ部材を20kgf/cm2
以下の圧力を付加しつつ押圧成形した後、成形金型温度
を、プラスチックレンズ部材の材料のガラス転移点以下
まで徐冷する第3のプロセスと、成形金型温度を、ひき
つづきプラスチックレンズ部材の材料の熱変形温度付近
まで第3のプロセスにおける徐冷速度より速い速度で冷
却した後、プラスチックレンズ部材を離型する第4のプ
ロセスから成形するように構成する。
【0003】このため、予め略最終形状に加工されたプ
ラスチックレンズランクを素材として成形するので、厚
肉や偏肉の形状に対して、長い冷却時間を必要とせず、
レンズ内の温度分布による厚肉部の収縮による面精度劣
化を生じ難くできるという利点を有する。ここで、この
従来例の成形方法の概念説明を図11に示し、また、こ
の従来例の成形装置を図12に示す。なお、図12にお
いて、1001〜1004は各々搬送装置、アクチュエ
ータ、電気炉、成形室であり、1005〜1007は、
各々上金型、下金型、エアシリンダであり、1008〜
1010は温調装置である。
【0004】また、例えば特公平3−33494号公報
で報告された従来の厚肉樹脂成形方法では、金型内で樹
脂を溶融温度まで加熱し、ガラス転移温度付近から加圧
しながら徐冷するように構成することにより、樹脂の固
化過程中、加圧を続けることにより固化に伴う体積縮小
による面誤差を防ぐことができるという利点を有する。
なお、ここでの成形条件は、成形材料をPMMA(ガラ
ス転移温度102〜105℃、溶融温度165℃)と
し、射出成形時の金型温度を130℃(100℃を越え
150℃未満)とガラス転移温度以上とし、加熱温度を
溶融温度(PCで200℃以上)より高温とし、金型温
度をガラス転移温度直前で圧縮成形温度としている。
【0005】ここで、この従来例の成形方法の温度−圧
力制御工程を図13に示し、また、この従来例の成形装
置の構成を図14に示す。なお、図14において、10
21〜1023は各々射出シリンダ、ゲート、キャビテ
ィであり、1024〜1026は各々金型のコア、上金
型、下金型である。また、例えば特開平4−16311
9号公報で報告された従来のプラスチック成形品の製造
方法では、樹脂の熱変形温度以下の温度に保持された金
型に射出成形する射出成形工程と、樹脂の温度がそのガ
ラス転移温度以上になるように前記樹脂を充填した金型
を加熱して、ガラス転移温度以上の温度で所定時間保持
し、更にその熱変形温度以下になるまで徐冷するエージ
ング工程とからなるように構成することにより、金型温
度を樹脂の熱変形温度以下に設定することができるの
で、樹脂の射出充填後における金型内の樹脂温度を、そ
のガラス転移温度以下にならないように冷却する手間を
なくすことができ、射出充填に要する時間を短縮できる
という利点を有する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た特公平3−33494号公報で報告された従来の成形
方法では、加熱温度が溶融温度と高く、射出充填したも
のを再加熱し、かつ徐冷時に加圧成形しており、溶融温
度付近まで加熱しているため、工程時間がかかる他、ガ
ラス転移温度前後で圧縮(加圧)しているため、金型構
造が複雑となるという問題があった。また、急激な加圧
を行っているため、内部歪を発生させ易い他、一定方向
からの加圧圧縮を行っているため、特に厚肉・偏肉なも
のでは、圧力の不均一が生じて、内部歪を発生し易いと
いう問題があった。
【0007】また、上記した特開平3−30932号公
報で報告された従来の成形方法では、プラスチック母材
を使用しているが、一定方向からの押圧成形を行ってい
るため、上記と同様に特に厚肉・偏肉なものでは、圧力
の不均一が生じて内部歪が発生し易い他、押圧方向以外
はフリー(自由)であるため、押圧方向以外の方向には
高精度なものが得られ難いという問題があった。
【0008】また、上記した特開平4−163119号
公報で報告された従来の成形方法では、樹脂内圧を利用
して鏡面転写しているが、この公知例を含め従来の技術
では、ガラス転写温度そのものが非常に曖昧である。こ
のため、転写性と内部歪とガラス転移温度の関係が不明
確であるので、内部歪がほとんどなく、かつ転写性に優
れたプラスチック成形品を安定に得ることが困難である
という問題があった。
【0009】そこで、本発明は、工程時間を長時間化す
ることがなく、しかも金型構造を複雑化することなく、
内部歪を低減することができるとともに、転写面の転写
性を向上させることができ、内部歪がほとんどなく、か
つ転写性に優れたプラスチック成形品を安定に、かつ容
易に得ることができるプラスチック成形品の製造方法を
提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
少なくとも1つの転写面を有し、かつ一定容積を有する
プラスチック成形用キャビティを備えた一対の金型に、
該キャビティと形状及び容積が同じ若しくは略同じに前
加工された熱可塑性のプラスチック母材を挿入し、大気
圧下での該プラスチック母材の軟化温度以上に前記該プ
ラスチック母材を加熱して前記転写面に密着させるとと
もに、前記キャビティ内に前記プラスチック母材の樹脂
内圧を発生させ、かつ前記キャビティ内温度を均一化し
た後、前記キャビティ内温度の均一性を維持しつつ徐冷
して前記プラスチック母材の熱変形温度以下にてプラス
チック成形品を取り出すことを特徴とするものである。
【0011】請求項2記載の発明は、上記請求項1記載
の発明において、前記プラスチック母材の熱変形温度で
のキャビティ内樹脂内圧は、0kgf/cm2 以上50
kgf/cm2 以下であることを特徴とするものであ
る。請求項3記載の発明は、上記請求項1,2記載の発
明において、大気圧下での前記プラスチック母材の軟化
温度以上に前記プラスチック母材を加熱して金型を保持
する時間は、5秒以上であることを特徴とするものであ
る。
【0012】請求項4記載の発明は、上記請求項1乃至
3記載の発明において、大気圧下での前記プラスチック
母材の軟化温度以上に前記プラスチック母材を加熱する
温度の上限は、大気圧下での前記軟化温度+15℃であ
ることを特徴とするものである。請求項5記載の発明
は、上記請求項1乃至4記載の発明において、徐冷時の
冷却速度の上限は、樹脂内圧による圧力下での前記プラ
スチック母材の軟化温度までは、15℃/分であり、樹
脂内圧による圧力下での前記プラスチック母材の軟化温
度以下で、かつ大気圧下で前記プラスチック母材の軟化
温度までは12℃/分であり、大気圧下での前記プラス
チック母材の軟化温度から樹脂内圧による圧力下での前
記プラスチック母材の熱変形温度までは、10℃/分で
あることを特徴とするものである。
【0013】請求項6記載の発明は、上記請求項1乃至
5記載の発明において、大気圧下での前記プラスチック
母材の軟化温度以上に前記プラスチック母材を加熱する
温度は、樹脂内圧による圧力下での前記プラスチック母
材の軟化温度以上、樹脂内圧による前記プラスチック母
材の圧力下での軟化温度+15℃以下であることを特徴
とするものである。
【0014】請求項7記載の発明は、上記請求項1乃至
6記載の発明において、前記プラスチック母材は、その
軟化温度がガラス転移温度である非晶質樹脂からなるこ
とを特徴とするものである。請求項8記載の発明は、上
記請求項1乃至7記載の発明において、前記キャビティ
の転写面は、鏡面であることを特徴とするものである。
【0015】請求項9記載の発明は、上記請求項1乃至
7記載の発明において、前記キャビティの転写面は、微
細パターンであることを特徴とするものである。請求項
10記載の発明は、上記請求項1乃至9記載の発明にお
いて、前記金型に挿入する際の前記プラスチック母材の
温度は、その熱変形温度以下であることを特徴とするも
のである。
【0016】
【作用】まず、請求項1記載の発明の作用を説明する。
図1は非晶質樹脂であるポリカーボネイト(PC)のP
−V−T線図である。図1に示す如く、Tg1は圧力を考
慮した軟化温度、即ちガラス転移温度であり、高圧にな
る程高温側にずれる。例えば内圧が300kgf/cm
2 では、Tg1は164℃前後、あるいはほぼ164℃で
ある。Tg2は、従来の軟化温度、即ち、ガラス転移温度
(PCでは145〜150℃)であり、これは大気圧下
でのガラス転移温度である。従って、キャビティ内で圧
力変化が伴う現象を、大気圧下のガラス転移温度のみで
説明することは困難である。
【0017】そこで、本発明者等は、鋭意検討した結
果、Tg1が内部歪と密接に関係し、T g2が転写性と密接
に関係していることを見い出し、これに着目して内部歪
を低減するには、キャビティ内の樹脂をTg1以上にし、
高精度転写面を得るには、同様にキャビティ内の樹脂を
g2以上にすればよいことを見い出した。ここで、この
g1が内部歪と密接に関係し、Tg2(大気圧下での
g1)が転写性と密接に関係しているのは、以下の理由
によるものと推定される。
【0018】転写は、加熱時に起こり、歪は樹脂が一定
温度以上になった時に緩和する。このため、加熱して樹
脂を熱膨張させた場合は、キャビティとそのプラスチッ
ク母材との間には、まだ空隙が残っており、大気圧下に
あるといってよい。従って、キャビティのどこか一部に
空隙が残っている限り、樹脂が膨張して内圧を発生しよ
うとする力は、大気圧下でのこの空隙を埋める力に費や
される。Tg2は、大気圧下での軟化温度(これ以下の温
度では変形するが、転写できるだけの働きはない)であ
り、大気圧下でこの空隙を埋め、転写面に密着させるに
は、Tg2以上が必要である。
【0019】但し、密着時、即ち加熱時は、樹脂の働き
は局部的であり、温度分布もあれば、まだ歪は低減する
ことができない。そして、ある温度で密着が完了する
と、樹脂内圧が発生して、そのガラス転移温度は、高温
側にシフトしてしまう(圧力下でのTg1)。このため、
樹脂の内部歪を緩和させるには、更に高い温度にする必
要があり、Tg1以上の温度が必要になる。当然、冷却時
に温度分布が生じ、それに基づく圧力分布が生じると、
再び内部歪が発生したりするし、また転写面に引けが生
じたりする。また、成形品を金型から取り出す時にも、
同様の注意が必要であるが、その現象として、まず、密
着が起こり、その後、歪の低減が生じる。前者の密着
は、局部的(主に表面層)な樹脂の働きによるものであ
り、後者の歪の低減は、全体の働きによるものである。
従って、前者の密着は、大気圧下でのガラス転移温度
(軟化温度)に起因し、後者の歪は、圧力下でのガラス
転移温度(軟化温度)に起因する。
【0020】そこで、請求項1記載の発明では、少なく
とも1つの転写面を有し、かつ一定容積を有するプラス
チック成形用キャビティを備えた一対の金型に、キャビ
ティと形状及び容積が同じ若しくは略同じに前加工され
た熱可塑性のプラスチック母材を挿入し、大気圧下での
プラスチック母材の軟化温度以上にプラスチック母材を
加熱して転写面に密着させるとともに、キャビティ内に
樹脂内圧を発生させ、かつキャビティ内温度を均一化し
た後、そのキャビティ内温度の均一性を保持しつつ徐冷
してプラスチック母材の熱変形温度以下にてプラスチッ
ク成形品を取り出すように構成する。
【0021】このため、大気圧下での軟化温度以上に加
熱することにより、樹脂を膨張、流動化させることによ
ってキャビティの転写面を転写させることができるとと
もに、樹脂内圧を発生させることにより、樹脂を更に膨
張、流動化させてより転写性を向上させることができる
他、キャビティ内温度を均一化することにより、樹脂内
の内部歪を低減して樹脂内を均質にすることができる。
しかも、キャビティ内温度の均一性を保持しつつ徐冷す
ることにより、徐冷時の樹脂内の温度の均一性だけでな
く、この徐冷時の樹脂内の温度の均一性により樹脂内の
圧力分布も均一に保持することができるので、新たな内
部歪等の発生を抑えることができる。従って、内部歪が
ほとんどなく、かつ転写性に優れた高精度なプラスチッ
ク成形品を得ることができる。
【0022】次に、請求項2記載の発明の作用を説明す
る。熱変形温度でのキャビティ内樹脂内圧は、0kgf
/cm2 より小さくすると、キャビティ内圧が負圧にな
るため、局部的に樹脂に引け等が生じ易くなり好ましく
なく、また、キャビティ樹脂内圧を50kgf/cm2
より大きくすると、キャビティ内の残圧が大きくアスが
生じるため、成形品を取り出し難くなり好ましくない。
後者の残圧がある場合は、成形品の取り出しを容易にす
るにはより低温まで冷却すればよいが、冷却するのに時
間がかかるため、成形サイクルが長くなり好ましくない
(図1参照)。
【0023】そこで、熱変形温度でのキャビティ内樹脂
内圧は、0kgf/cm2 以上50kgf/cm2 以下
であることが好ましい。この場合、キャビティ内圧を正
圧にすることができるので、負圧に伴なう引けが生じる
のを防ぐことができるとともに、キャビティ内の残圧を
小さくすることができるため、アスが生じるのを防い
で、成形品の取り出しを容易にすることができる。従っ
て、このように、その熱変形温度での樹脂内圧を規定
し、一定キャビティ容積に一定重量のプラスチック母材
を用いることにより、引けやアス等が生じない高精度転
写したプラスチック成形品を歩留まりよく得ることがで
きる。なお、熱変形温度でのキャビティ内樹脂内圧は、
より高精度な転写を考慮すると、更に好ましくは0kg
f/cm2 以上20kgf/cm2 以下である。
【0024】次に、請求項3記載の発明の作用を説明す
る。大気圧下でのプラスチック母材の軟化温度以上で一
定時間保持して、転写面に密着させ、キャビティ内温度
を均一化させるのが望ましい。この保持時間は、図2,
3から判るように、成形品の形状及び加熱温度によって
変わる。大気圧下でのプラスチック母材の軟化温度以上
に加熱して金型を保持する時間は、特に、フレネルレン
ズ等の薄肉成形品を取り扱う場合、5秒より短くなる
と、内部歪等が生じ易くなり好ましくない。
【0025】また、大気圧下でのプラスチック母材の軟
化温度以上に加熱して金型を保持する時間は、特に、フ
レネルレンズ等の薄肉成形品を取り扱う場合を考慮する
と、5秒以上が好ましい。この場合、肉厚に応じて一定
時間以上(5秒以上)大気圧下での軟化温度以上に保持
することができるため、樹脂を確実にその大気圧下での
軟化温度以上にした状態で転写することができるので、
内部歪を効率良く低減することができ、高精度成形品を
生産性よく得ることができる。
【0026】次に、請求項4記載の発明の作用を説明す
る。大気圧下でのプラスチック母材の軟化温度以上に加
熱するプラスチック母材を加熱する温度を、大気圧下で
の軟化温度+15℃よりも高温になると、バリが発生し
易くなり、高精度転写面が得られ難くなる他、加熱温度
が高温になり過ぎるため、成形品取り出し時の冷却温度
との温度差が大きくなり、冷却時間がかかり過ぎて成形
サイクルが低下して好ましくない。
【0027】また、樹脂内圧が大きくなるため、型変形
が大きくなり、多数個取りが困難になる等、型設計の自
由度が低下して好ましくない。このため、以上の点を考
慮すると、軟化温度以上に加熱する温度の上限は、大気
圧下での軟化温度+15℃が好ましい。この場合、上記
した問題を解消することができるので、バリ等の発生の
ない転写性に優れた高精度成形品を得ることができる。
【0028】次に、請求項5記載の発明の作用を説明す
る。図1に示すように、Tg2までは急冷、Tg1〜Tg2
領域はやや急冷、Tg2〜熱変形温度(H.D.T)は徐
冷することにより転写性、内部歪が問題なく成形サイク
ルを向上させることができる。それ以上速くなると、温
度分布による内部歪が生じて残存し易くなり好ましくな
い。
【0029】そこで、徐冷時の徐冷速度の上限は、軟化
温度までは、15℃/分が好ましく、その軟化温度以下
でその大気圧下での軟化温度までは12℃/分が好まし
く、その大気圧下での軟化温度からその熱変形温度まで
は、10℃/分が好ましい。この場合、冷却速度を転写
性、内部及び成形時間を考慮して好ましい範囲に限定す
ることができるので、転写性に優れ、しかも内部歪等の
小さい高精度成形品を短時間で得ることができる。これ
は、特に、フレネルレンズ等の薄肉成形品に有効であ
る。
【0030】次に、請求項6記載の発明の作用を説明す
る。大気圧下でのプラスチック母材の軟化温度以上にプ
ラスチック母材を加熱する温度がキャビティ内の樹脂内
圧による圧力下での軟化温度よりも小さくなると、内部
歪が生じ易くなり好ましくなく、また、樹脂内圧による
圧力下での軟化温度よりも大きくなると、冷却時間がか
かり過ぎて成形サイクルが長くなったり、バリが発生し
易くなったりして好ましくない。
【0031】そこで、これらを考慮すると、大気圧下で
のプラスチック母材の軟化温度以上にプラスチック母材
を加熱する温度は、樹脂内圧による圧力下での軟化温度
以上樹脂内圧による圧力下での軟化温度+15℃以下が
好ましい(例えば、ポリカーボネイトでは、ほぼ179
℃以下)。この場合、加熱する温度を、その圧力下での
軟化温度から軟化温度+15℃とすることにより、ポリ
スチレンやポリカーボネイトのような内部歪を生じ易い
材料を用いても、内部歪の非常に小さい高精度成形品を
得ることができる他、冷却時間を短縮して成形サイクル
を短縮することができるとともに、高温に伴なうバリの
発生を生じ難くすることができる。
【0032】次に、請求項7記載の発明の作用を説明す
る。プラスチック母材は、その軟化温度がガラス転移温
度である非晶質樹脂を用いると、特に、レンズ、プリズ
ム、ミラー等の光学素子を成形する際、内部歪が低減さ
れ、かつ転写性に優れた高精度成形品を得ることができ
る。なお、非晶質樹脂には、ポリスチレン、アクリロニ
トリルースチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカ
ーボネイト、アモルファスポリオレフィン、ノルボルネ
ン系等の樹脂が挙げられる。
【0033】次に、請求項8記載の発明の作用を説明す
る。キャビティの転写面を平面、球面、非球面の鏡面に
して成形することにより、特に、プリズム、レンズ、ミ
ラー等の光学素子を高精度に成形することができる。な
お、レンズ、プリズムのようなその屈折率を利用したい
際は、内部歪の小さい材料を用いてその大気圧下での軟
化温度より少し高い温度に設定してもよいし、内部歪の
大きい材料でも樹脂内圧による圧力下での軟化温度以上
に設定してやればよい。ミラーの場合は、内部歪は緩和
して形状変形が生じない限り問題ないため、何の材料を
用いても問題ない。
【0034】次に、請求項9記載の発明の作用を説明す
る。キャビティの転写面を微細パターンで形成すること
により、光ディスク、コンパクトディスク、フレネルレ
ンズ、回析格子等の光学素子だけでなく、インクジェッ
トプリンターヘッドの流路等の微細加工素子を容易に得
ることができる。次に、請求項10記載の発明の作用を
説明する。挿入するプラスチック母材の温度が、その熱
変形温度よりも高温になると、樹脂が膨張変形等生じて
金型キャビティへの挿入が難しくなり好ましくなく、ま
た、型締時にその母材側面を削って挟み込んでしまい、
金型を傷めてしまい好ましくない。
【0035】そこで、これらを考慮すると、金型に挿入
する際のプラスチック母材の温度は、その熱変形温度以
下にするのが好ましい。この場合、金型に挿入する際の
プラスチック母材の温度をその熱変形温度以下にするこ
とにより、高温に伴なう樹脂の膨張、変形等を抑えるこ
とができるので、金型へのプラスチック母材の挿入を容
易に行うことができ、安定した成形を行うことができ
る。
【0036】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図4は本発明の一実施例に係るプラスチック成形
品の製造方法を示す図、図5は本発明に係る一実施例の
成形装置の構造を示す断面図である。図5において、1
はダイセットであり、2はダイセット1と加熱・冷却プ
レート3間に設けられた加熱・冷却プレートである。
4,5は各々上金型、下金型であり、6,7は各々入駒
ユニット、キャビティである。ここでは、図4に示す方
法に基づき本発明の実施例を説明する。本実施例では、
次の〜の3種類の形状の入駒を使用する。図6に示
す如く、として、外径50mm、中央部肉厚15m
m、端部肉厚5mm、球面半径60mmの凸レンズ形状
で、R1 の鏡面側球面精度がPV0.197μmの鏡面
入駒を使用する。
【0037】また、図7に示す如く、として外径50
mm、厚さ0.7mmの円板で、片側鏡面形状で、平面
精度PV0.143μmの鏡面入駒を使用する。また、
図8に示す如く、として、30mm角、厚さ3mmで
片側に深さ40μm、ピッチ100μmの溝を有するも
のを使用する。以上のような〜の3種類の形状の入
駒を使用する。次に、使用した材料は、ポリカーボネイ
ト(例えば帝人化成社製、商品名AD5503、軟化温
度145℃、熱変形温度135℃)、アモルファスポリ
オレフィン(例えば日本ゼオン社製、商品名ゼオネック
ス280S、軟化温度138℃、熱変形温度123
℃)、ノルボルネン系樹脂(例えば日本合成ゴム社製、
商品名ARTON F、軟化温度171℃、熱変形温度
162℃)、ポリアセタール(例えばポリプラスチック
ス社製、商品名ジュラコンM90、軟化温度155℃、
熱変形温度110℃)である。なお、ここでの熱変形温
度は、ASTMD648試験法による荷重が18.6k
gf/cm2 の時の値である。以下、各実施例及び各比
較例の成件条件と転写性の測定結果とを図9を用いて説
明する。
【0038】ここでは、各実施例及び各比較例共に図5
に示す成形用金型装置を用い、以下の手順で実施した。
まず、射出成形により略最終形状のプラスチック母材
(以後、ブランクと記す)を成形した。図8に示すの
溝形状用には、溝を有しないブランクを成形した。各々
の材料、形状によって、このブランク重量は変わるが、
基本的には、キャビティ7に入れ、加熱、保持後徐冷し
て、その熱変形温度通過時のキャビティ7内樹脂内圧が
0〜50kgf/cm2 となるような重量に調整してお
く。通常、この重量のばらつきは、±0.2%程度であ
り、精密射出成形機で充分収まる範囲である。
【0039】次に、このブランクを図5に示す加熱・冷
却プレート3を有する金型4,5のキャビティ7に入れ
た。この装置は、一定圧で型締めできる型開閉機構から
なるダイセット1と、そのダイセット1間に一定厚さ
(通常5〜10mm)の断熱板2を介して両端に加熱・
冷却プレート3を有する金型4,5を固定して構成され
ている。この加熱・冷却プレート3は、金型4,5に一
体的に取りつけて構成してもよいし、ダイプレート側に
断熱板2を介して取り付けて構成してもよい。加熱・冷
却プレート3は、材質的には特に制限はないが、熱伝導
性を考慮すると、銅合金、アルミ合金、タングステン合
金等の高熱伝導性材料が好適であり、この場合、加熱冷
却時の熱応答性を良好にすることができる他、金型4,
5内温度の均一性を向上させることができる。
【0040】加熱・冷却プレート3の加熱・冷却手段と
しては、特に限定されるものではないが、加熱には、加
熱効率等を考慮すると、電熱ヒーターや、油、熱水、加
圧熱水等の熱媒が好適であり、冷却には、冷却効率を考
慮すると、水・温水、油等の冷媒やヒートパイプ、ファ
ン等が好適である。金型4,5は、キャビティ7部が入
駒構造になっており、転写面駒のみ入駒で構成してもよ
いし、この駒を含めた入駒ユニット構造に構成してもよ
い。金型4,5の材質は、温度の均一性等を考慮する
と、加熱・冷却プレート3と同等の高熱伝導性材料が好
ましいが、入駒ユニット6または、その一部のみを高熱
伝導性材料で構成してもよい。当然、加熱及び冷却に時
間をかけて、成形サイクルを気にしない場合には、通常
の鉄系材料を用いて構成してもよい。
【0041】本実施例では、加熱・冷却プレート3は、
アルミ合金、例えばYH75(白銅)で構成し、金型
4,5ベースは、例えば、鋼材(S55C)で構成し、
入駒ユニット6は、銅合金(例えば神戸製鋼所社製、商
品名HR750)で構成した。なお、鏡面駒は、この銅
合金鏡面部に200μmの無電界Ni−Pメッキ層を形
成した後、研削により作製した。
【0042】まず、加熱により金型4,5温度をその樹
脂の熱変形温度より若干低く保持した。これは、取り出
し時の温度にするためである。例えばポリカーボネイト
の場合は130℃で保持する。次に、乾燥させたブラン
クを、この金型4,5を上下両サイドのダイセット1を
動かして型開きして挿入した。金型4,5へのブランク
挿入後、金型4,5を閉じ、一定圧で型締めし、その大
気圧下での軟化温度以上に加熱した。
【0043】この時、前もってその大気圧下での軟化温
度以上に加熱した金型4,5にブランクを挿入してもよ
いし、加熱下での金型4,5に挿入してもよい。加熱に
伴い、樹脂は、キャビティ7壁面側からその大気圧下で
の軟化温度以上となり(非晶質樹脂では、ガラス転移温
度とする)、軟化と樹脂の膨張による樹脂圧力によりキ
ャビティとブランクの空隙がなくなって、ブランクはキ
ャビティ面に密着する。密着後、更に温度を上げると、
樹脂内圧によりキャビティ7内圧力は、上昇して圧力下
での軟化温度Tg1以上に至る。
【0044】そして、密着時に一定時間保持して温度の
均一化、強いては圧力の均一化を図ると、内部歪は十分
に解放されないが、転写面への密着力は場所によらず一
定にすることができる。圧力下での軟化温度以上にした
後、一定時間保持して温度の均一化、圧力の均一化を行
うと、内部歪を低減することができる。この時、成形材
料としては、複屈折が小さく内部歪が生じ難いアモルフ
ァスポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂、ポリメチル
メタクリレート等を用いれば、大気圧下でのガラス転移
温度以上で大気圧下でのガラス転移温度+15℃に加熱
して密着させるだけでよいから、成形サイクルを大幅に
短縮することができる。例えばポリカーボネイトの場合
は、その転写面を得るだけなら145〜160℃に加熱
すればよいが、内部歪を低減するには、157℃以上に
加熱するのが望ましい。
【0045】なお、前者は、精密なレンズ等内部歪が問
題になる用途には使用するのが困難である。この樹脂と
してポリメチルメタクリレートを用いた場合は、その大
気圧下でのガラス転移温度(Tg2=105℃)以上の1
10℃まで加熱するだけで、内部歪の小さい転写精度に
優れた成形品を得ることができる。これは、内部歪が小
さいアモルファスポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂
等についても適用させることができる。
【0046】また、軟化温度以上への加熱による内部歪
の低減は、単に高温になって高分子鎖が動き易くなった
だけで生じるわけではない。ブランクは、通常その樹脂
の熱変形温度以下に保たれた金型4,5に高圧にて成形
される。従って、ブランク表面から内部に温度が高い温
度勾配下で急冷固化するため、この温度勾配による歪が
残存する。
【0047】それに対し、本実施例では、このブランク
を表面から内部にかけて温度が低くなる逆の温度勾配で
歪を低減するものである。この方法は、単に高温にて温
度を均一化して一定時間保持することによる歪の低減方
法に比べて非常に効果的である。また、内部歪をベクト
ルで考えれば、温度均一下で保持する方法は、方向は変
わらず大きさのみを低減するだけであるが、この方法
は、逆方向のベクトルで打ち消す方法と言える。
【0048】ここでは、ポリカーボネイトを170℃ま
で加熱した実施例1と、150℃まで加熱した実施例2
と、後者の大気圧下でのガラス転移温度以上の例とし
て、アモルファスポリオレフィオンを145℃に加熱し
た実施例5と、ノルボルネン系樹脂を190℃に加熱し
た実施例6について示している。この場合、転写面は鏡
面であり、外周厚5mm、中心厚15mmという厚肉・
偏肉なレンズ形状での実施例である。この形状でポリカ
ーボネイトを用い、190℃まで加熱した比較例1で
は、内部歪は著しく低減したが、樹脂内圧の増加と粘度
低下により金型4,5にバリが発生してキャビティ7か
ら樹脂が流出し、徐冷後、取り出したものは一部引けが
生じ、転写面の面精度がPV2.26μmと大きなもの
であった。
【0049】これに対し、ポリカーボネイト樹脂を用
い、厚さ0.7mmの薄肉円板で成形した実施例3で
は、大気圧下での軟化温度以上での保持時間は10秒と
短いが、薄肉形状であるため、面精度としては、PV
0.38μmと非常に良いものを得ることができた。一
方、同様の形状で、その保持時間が3秒と小さい比較例
2では、加熱温度もやや低いことと、成形品中心部の温
度が完全にその大気圧下での軟化温度以上になっていな
いこともあって、面精度としては測定することができな
かった。以上の加熱、保持後、冷却する。なお、冷却
は、自然冷却でもよいが、成形サイクル、即ち生産性の
向上を考慮すると、面精度を著しく低下させたり、内部
歪を新たに発生させない限り、速い方が好ましい。
【0050】冷却速度は、前述した図4に示す如く、
(イ)圧力下での軟化温度以上、(ロ)圧力下での軟化
温度〜大気圧下での軟化温度、(ハ)大気圧下での軟化
温度〜熱変形温度の各温度域と、その成形品の肉厚・偏
肉度によって異なる。最も影響が小さい直径60mm、
長さ0.7mmの円板では、加熱温度155℃にて、冷
却速度が(ロ)の領域で9℃/分のものは、面精度に優
れた鏡面転写品を得ることができる(実施例2)が、そ
の領域の冷却速度を20℃/分としたものは、測定する
ことができない転写性の悪いものであった。
【0051】実施例4は、ポリアセタール樹脂を用いて
成形した例であり、この樹脂は、結晶性樹脂で、大気圧
下での軟化温度(ビカット軟化温度)は、155℃であ
る。この樹脂は、170℃以上に溶融温度を有し、その
温度域で結晶化が著しく変化するため、比容積変化が著
しく、これが成形品の精度低下を齎す。従って、本実施
例では、その大気圧下での軟化温度以上で溶融温度以下
(圧力下では溶融温度も更に上昇する)である165℃
に加熱して、比容積変化の小さい領域で成形したとこ
ろ、従来の射出成形法では得られない高精度な溝部転写
成形品を得ることができた。図10に示す如く、従来の
成形方法では、冷却時結晶化域(高収縮域)を通過する
ため、引けが生じる他、結晶化が不均一となるのに対
し、本実施例では、溶融温度近くの比容積変化が著しい
ところを避けて成形することができるため、高精度成形
品が結晶性樹脂でも得ることができた。
【0052】このように、本実施例(請求項1)では、
転写面を有し、かつ一定容積を有するプラスチック成形
用キャビティを備えた一対の金型4,5に、キャビティ
と形状及び容積が同じ(若しくは略同じ)に前加工され
た熱可塑性のブランクを挿入し、大気圧下でのプラスチ
ック母材の軟化温度以上にブランクを加熱して転写面に
密着させるとともに、かつキャビティ内に樹脂内圧を発
生させ、かつキャビティ温度を均一化した後、そのキャ
ビティ内温度の均一性を保持しつつ徐冷してブランクの
熱変形温度以下にてプラスチック成形品を取り出すよう
に構成している。
【0053】このため、大気圧下での軟化温度以上に加
熱することにより、樹脂を膨張、流動化させることによ
ってキャビティの転写面を転写することができるととも
に、樹脂内圧を発生させることにより、より転写性を向
上させることができる。しかも、キャビティ内温度を均
一化することにより、樹脂内の内部歪を低減することが
できるうえ、キャビティ内温度の均一性を保持しつつ徐
冷することにより、徐冷時の樹脂内の圧力分布も均一に
保持することができるので、新たな内部歪等の発生を抑
えることができる。従って、内部歪と転写性に優れた高
精度なプラスチック成形品を得ることができる。本実施
例(請求項2)では、熱変形温度でのキャビティ内樹脂
内圧は、0kgf/cm2 以上50kgf/cm2 以下
が好ましい。この場合、キャビティ内を負圧にして、引
けが生じるのを防ぐことができるとともに、残圧を大き
くしてアスが生じるのを防ぐことができる。
【0054】なお、熱変形温度でのキャビティ内樹脂内
圧は、より高精度な転写を考慮すると、更に好ましく
は、0kgf/cm2 以上20kgf/cm2 以下であ
る。本実施例(請求項3)では、大気圧下でのブランク
の軟化温度以上に加熱して金型を保持する時間は、樹脂
を確実にその軟化温度以上にすることを考慮すると、5
秒以上が好ましい。
【0055】本実施例(請求項4)では、大気圧下での
ブランクの軟化温度以上に加熱する温度の上限は、高温
になり過ぎることによるバリの発生と成形サイクルの長
時間化を考慮すると、大気圧下での軟化温度+15℃が
好ましい。本実施例(請求項5)では、徐冷時の冷却速
度の上限は、内部歪等の発生と成形サイクルの長時間化
を考慮すると、軟化温度までは、15℃/分が好まし
く、その軟化温度以下でその大気圧下での軟化温度まで
は、12℃/分が好ましく、その大気圧下での軟化温度
からその熱変形温度までは、10℃/分が好ましい。本
実施例(請求項6)では、内部歪の発生と成形サイクル
の長時間化を考慮すると大気圧下でのブランクの軟化温
度以上に加熱する温度は、樹脂内圧による圧力下での軟
化温度以上樹脂内圧による圧力下での軟化温度+15℃
以下が好ましい。
【0056】本実施例(請求項7)では、プラスチック
母材は、特に、レンズ等の光学素子を成形する際は、そ
の軟化温度がガラス転移温度である非晶質樹脂が好適で
ある。なお、非晶質樹脂には、ポリスチレン、アクリロ
ニトリルースチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ
カーボネイト、アモルファスポリオレフィン、ノルボル
ネン系等の樹脂が挙げられる。
【0057】本実施例(請求項8)では、キャビティの
転写面は、レンズ、プリズム、ミラー等の光学素子を成
形する際は、鏡面であることが好ましい。本実施例(請
求項9)では、キャビティの転写面は、光ディスク、フ
レネルレンズ、回析格子等の光学素子等を成形する際
は、微細パターンであることが好ましい。本実施例(請
求項10)では、金型へのブランクの挿入し易さを考慮
すると、金型に挿入する際のブランクの温度は、その熱
変形温度以下であることが好ましい。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、工程時間を長時間化す
ることがなく、しかも金型構造を複雑化することなく、
内部歪を低減することができるとともに、転写面の転写
性を向上させることができ、内部歪と転写性に優れたプ
ラスチック成形品を安定に得ることができるという効果
がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリカーボネイトのP−V−T線図である。
【図2】加熱温度によって金型保持時間が変化する様子
を示す図である。
【図3】成形品の厚さによって金型保持時間が変化する
様子を示す図である。
【図4】本発明に係る一実施例のプラスチック成形品の
製造方法を示す図である。
【図5】本発明に係る一実施例の成形用金型装置の構造
を示す断面図である。
【図6】プラスチック母材の成形形状を示す図である。
【図7】プラスチック母材の成形形状を示す図である。
【図8】プラスチック母材の成形形状を示す図である。
【図9】各実施例及び各比較例の成形条件と転写性の測
定結果を示す図である。
【図10】本発明と従来の成形法におけるP−V−T線
図である。
【図11】従来例の成形方法の概念説明図である。
【図12】従来例の成形装置の構成を示す図である。
【図13】従来例の成形方法の温度−圧力制御工程を示
す図である。
【図14】従来例の成形装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 ダイセット 2 断熱板 3 加熱・冷却プレート 4 上金型 5 下金型 6 入駒ユニット 7 キャビティ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡部 順 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 沢田 清孝 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも1つの転写面を有し、かつ一定
    容積を有するプラスチック成形用キャビティを備えた一
    対の金型に、該キャビティと形状及び容積が同じ若しく
    は略同じに前加工された熱可塑性のプラスチック母材を
    挿入し、大気圧下での該プラスチック母材の軟化温度以
    上に前記該プラスチック母材を加熱して前記転写面に密
    着させるとともに、前記キャビティ内に前記プラスチッ
    ク母材の樹脂内圧を発生させ、かつ前記キャビティ内温
    度を均一化した後、前記キャビティ内温度の均一性を保
    持しつつ徐冷して前記プラスチック母材の熱変形温度以
    下にてプラスチック成形品を取り出すことを特徴とする
    プラスチック成形品の製造方法。
  2. 【請求項2】前記プラスチック母材の熱変形温度でのキ
    ャビティ内樹脂内圧は、0kgf/cm2 以上50kg
    f/cm2 以下であることを特徴とする請求項1記載の
    プラスチック成形品の製造方法。
  3. 【請求項3】大気圧下での前記プラスチック母材の軟化
    温度以上に前記プラスチック母材を加熱して金型を保持
    する時間は、5秒以上であることを特徴とする請求項
    1,2記載のプラスチック成形品の製造方法。
  4. 【請求項4】大気圧下での前記プラスチック母材の軟化
    温度以上に前記プラスチック母材を加熱する温度の上限
    は、大気圧下での前記軟化温度+15℃であることを特
    徴とする請求項1乃至3記載のプラスチック成形品の製
    造方法。
  5. 【請求項5】徐冷時の冷却速度の上限は、樹脂内圧によ
    る圧力下での前記プラスチック母材の軟化温度までは、
    15℃/分であり、樹脂内圧による圧力下での前記プラ
    スチック母材の軟化温度以下で、かつ大気圧下で前記プ
    ラスチック母材の軟化温度までは、12℃/分であり、
    大気圧下での前記プラスチック母材の軟化温度から樹脂
    内圧による圧力下での前記プラスチック母材の熱変形温
    度までは、10℃/分であることを特徴とする請求項1
    乃至4記載のプラスチック成形品の製造方法。
  6. 【請求項6】大気圧下での前記プラスチック母材の軟化
    温度以上に前記プラスチック母材を加熱する温度は、樹
    脂内圧による圧力下での前記プラスチック母材の軟化温
    度以上、樹脂内圧による前記プラスチック母材の圧力下
    での軟化温度+15℃以下であることを特徴とする請求
    項1乃至5記載のプラスチック成形品の製造方法。
  7. 【請求項7】前記プラスチック母材は、その軟化温度が
    ガラス転移温度である非晶質樹脂からなることを特徴と
    する請求項1乃至6記載のプラスチック成形品の製造方
    法。
  8. 【請求項8】前記キャビティの転写面は、鏡面であるこ
    とを特徴とする請求項1乃至7記載のプラスチック成形
    品の製造方法。
  9. 【請求項9】前記キャビティの転写面は、微細パターン
    であることを特徴とする請求項1乃至7記載のプラスチ
    ック成形品の製造方法。
  10. 【請求項10】前記金型に挿入する際の前記プラスチッ
    ク母材の温度は、その熱変形温度以下であることを特徴
    とする請求項1乃至9記載のプラスチック成形品の製造
    方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002273534A (ja) * 2001-03-19 2002-09-25 Ricoh Co Ltd 複合部品の製造方法
JPWO2017126599A1 (ja) * 2016-01-22 2018-11-08 日本ゼオン株式会社 光学レンズの製造方法
CN116330555A (zh) * 2023-03-16 2023-06-27 广东募恩能源技术有限公司 一种高压储氢瓶高温塑料内胆的生产方法

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