JPH07329538A - 車両用空調制御装置 - Google Patents

車両用空調制御装置

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JPH07329538A
JPH07329538A JP14876094A JP14876094A JPH07329538A JP H07329538 A JPH07329538 A JP H07329538A JP 14876094 A JP14876094 A JP 14876094A JP 14876094 A JP14876094 A JP 14876094A JP H07329538 A JPH07329538 A JP H07329538A
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光明 萩野
Junichiro Hara
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 使用者の操作特性に応じて,目標条件の補正
量を演算することにより,室温非定常時あるいは操作直
後の快適感を向上させる。 【構成】 手動設定手段CL2により目標環境条件が変
更されたときの変更状態を,変更時の操作量,熱環境お
よび経過時間に対応させて手動設定情報記憶手段CL6
に記憶し,熱環境検出手段CL1により検出された熱環
境状態,計測手段CL5により計測された経過時間およ
び手動設定情報記憶手段CL6に記憶されている変更状
態に基づいて目標空調条件補正手段CL7により目標空
調条件を補正する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は,自動的に車両室内に
おける空調を制御する車両用空調制御装置に関し,より
詳細には,乗員の感覚特性に適合した制御特性を得る車
両用空調制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般的に,人間の温熱感覚は,環境に順
応した状態と順応していない状態では感覚の敏感さに差
がある。温熱環境指標として広く用いられている有効温
度の創始者の1人であるYaglou,C.P.によれ
ば,熱環境の異なる二室間を移動した直後にあっては,
0.3度程度の温度差も区別することができるが,熱環
境に順応した後では1.5度の温度差も区別できなくな
る(温熱生理学(1981)中山昭雄編,理工学社,第
561頁)。特に,不快な環境から快適な環境へ,反対
に,快適な環境から不快な環境へと熱環境が変化する場
合にあっては,この傾向が顕著となる。例えば,夏季に
炎天下から冷房下の屋内へ入った場合には非常に快適に
感じるが,時間が経つにつれてそれほど快適とは感じな
くなる。したがって,室温が安定していない起動初期に
一定期間強めの空調制御を実行することは,乗員の快適
感を高める手段として非常に有効なものとなる。
【0003】このような考え方を反映させた空調制御装
置としては,例えば,特開昭62−276351号公報
に開示された「空気調和機」があった。この従来例で
は,使用者の温冷感覚の申告操作に見合う量だけ設定温
度を増減させるもので,申告操作がなされた直後には,
操作の方向(暑い側か,寒い側か)に応じて所定の設定
温度増減量を,さらに上乗せすることにより,使用者に
熱的な刺激を与えて快適性向上や操作量の低減を実現す
るものである。
【0004】図25(a)にその構成を示す(図25
(b)は,図25(a)に示したスイッチ入力部の拡大
図である。図25(a),(b)において,この空気調
和機は,室温を検出する感温抵抗素子251と,オペレ
ータが“暑い”と感じたときに入力する“暑いとき”ス
イッチ252aと,反対に,“寒い”と感じたときに入
力する“寒いとき”スイッチ252bとがある温熱感覚
を表すスイッチ入力部252と,上記感温抵抗素子25
1とスイッチ入力部252からの入力に応じて設定温度
を決定する(圧縮器255を制御する)マイクロコンピ
ュータ253とから構成されている。
【0005】次に,動作について説明すると,上記マイ
クロコンピュータ253は,“暑いとき”スイッチ25
2aが入力されたときには,設定温度をそのときの室温
を基準に一定値低い温度に変更し,設定温度到達後,若
干設定温度を上げ,反対に,“寒いとき”スイッチ25
2bが入力されたときには,設定温度をそのときの室温
を基準に一定値高い温度に変更し,設定温度到達後,若
干設定温度を下げる動作を行うものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,上記従
来例に示したような空調制御装置は,上乗せする増減量
が一定値であり,使用者によってはかえって,それが嫌
みに感じたり,物足りなく感じたりして,かえって熱環
境を変更させるための操作量が増加してしまうという問
題点があった。また,空調装置の起動直後で室温がまだ
安定していない状態では,操作をしなくても安定時の設
定よりも強めの制御をした方が快適感が高まる。また,
制御の強さも個人によって好みの分かれるところであっ
た。すなわち,乗員の温熱感覚に応じた空調制御ができ
ないという問題点があった。
【0007】本発明は,上記に鑑みてなされたものであ
って,使用者の操作特性に応じて,目標条件の補正量を
演算することにより,室温非定常時あるいは操作直後の
快適感を向上させ,乗員の温熱感覚に応じた空調制御を
実現することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに,請求項1に係る車両用空調制御装置は,図1に示
すように,車室内における熱環境状態を検出する熱環境
検出手段CL1と,車室内における目標環境条件を手動
操作により設定する手動設定手段CL2と,車室内にお
ける熱負荷を調整する熱負荷調整手段CL3と,前記熱
環境検出手段CL1により検出された熱環境状態と前記
手動設定手段CL2により設定された目標環境条件に基
づいて前記熱負荷調整手段CL3の目標空調条件を演算
し,該演算された目標空調条件および前記手動設定手段
CL2により設定された目標環境条件に応じて予め定め
られた制御特性から前記熱負荷調整手段CL3を制御す
る空調制御手段CL4とを有する車両用空調制御装置に
おいて,前記熱負荷調整手段CL3の稼働時間を計測す
る計測手段CL5を備え,前記手動設定手段CL2によ
り目標環境条件が変更されたときの変更状態を,変更時
の操作量,熱環境および稼動時間に対応させて記憶する
手動設定情報記憶手段CL6と,前記熱環境検出手段C
L1により検出された熱環境状態,前記計測手段CL5
により計測された稼動時間および前記手動設定情報記憶
手段CL6に記憶されている変更状態に基づいて前記目
標空調条件を補正する目標空調条件補正手段CL7とを
具備するものである。
【0009】また,請求項2に係る車両用空調制御装置
は,前記計測手段が,前記熱負荷調整手段の稼働開始か
らの経過時間を計測するものである。
【0010】また,請求項3に係る車両用空調制御装置
は,前記目標空調条件補正手段CL7が,前記手動設定
情報記憶手段CL6に記憶されている操作量と個々の操
作の経過時間とから演算される操作量に基づき,前記目
標空調条件補正手段CL7により補正される目標空調条
件の補正量を所定量増減させるものである。
【0011】また,請求項4に係る車両用空調制御装置
は,前記目標空調条件補正手段CL7が,前記手動設定
情報記憶手段CL6に記憶されている操作量と個々の操
作の経過時間とから演算される操作量に基づき,該操作
量が多いほど前記目標空調条件補正手段CL7により補
正される目標空調条件の補正量の増減幅を大きくするも
のである。
【0012】また,請求項5に係る車両用空調制御装置
は,前記目標空調条件補正手段CL7が,前記演算され
た補正量により前記目標空調条件を補正した後の経過時
間と,前記手動設定手段CL2の操作量および操作の方
向とから演算される補正量に基づいて前記演算された補
正量を再補正するものである。
【0013】また,請求項6に係る車両用空調制御装置
は,前記目標空調条件補正手段CL7が,前記演算され
た補正量により前記目標空調条件を補正した後の経過時
間と,前記手動設定手段CL2の操作量および操作の方
向とから演算される補正量に基づいて前記演算されたオ
ーバーシュートの補正量を再補正するものである。
【0014】また,請求項7に係る車両用空調制御装置
は,前記目標空調条件補正手段CL7が,補正期間,非
補正期間における遷移状態を検出する遷移状態検出手段
CL8を有し,前記遷移状態検出手段CL8により判定
された遷移状態の開始条件および期間長を前記手動設定
情報記憶手段CL6に記憶されている熱環境あるいは経
過時間に応じて演算するものである。
【0015】また,請求項8に係る車両用空調制御装置
は,前記目標空調条件補正手段CL7により演算された
補正量に応じて前記空調制御手段CL4が,前記熱負荷
調整手段CL3に対する出力値を補正する出力値補正手
段CL9を有するものである。
【0016】また,請求項9に係る車両用空調制御装置
は,前記目標空調条件補正手段CL7により演算される
補正量が,前記手動設定情報記憶手段CL6に記憶され
ている操作量の所定基準値との偏差と個々の操作の経過
時間とから演算される所定時間当たりの操作量に基づい
て演算されるものである。
【0017】
【作用】この発明に係る車両用空調制御装置(請求項
1)は,手動設定手段CL2により目標環境条件が変更
されたときの変更状態を,変更時の操作量,熱環境およ
び稼働時間に対応させて手動設定情報記憶手段CL6に
記憶し,熱環境検出手段CL1により検出された熱環境
状態,計測手段CL5により計測された稼働時間および
手動設定情報記憶手段CL6に記憶されている変更状態
に基づいて目標空調条件補正手段CL7により目標空調
条件を補正する,すなわち,過去の乗員の操作特性を記
憶し,該記憶された操作量に応じて目標条件の補正量の
大きさを演算することにより,室温非安定時あるいは操
作直後の快適感を向上させる。
【0018】この発明に係る車両用空調制御装置(請求
項2)は,計測手段CL5により熱負荷調整手段CL3
の稼働開始からの経過時間を計測することにより,室温
非安定時あるいは操作直後の快適感をより向上させる。
【0019】この発明に係る車両用空調制御装置(請求
項3)は,手動設定情報記憶手段CL6に記憶されてい
る操作量と個々の操作の経過時間とから演算される操作
量に基づき,目標空調条件補正手段CL7により補正さ
れる補正量を所定量増減させる,すなわち,過去の乗員
の操作特性を単位時間当たりの操作量の大きさにより,
空調目標条件の補正量を修正するので,乗員の操作量に
応じた補正が精度よく実現し,乗員の快適感を向上させ
る。
【0020】この発明に係る車両用空調制御装置(請求
項4)は,手動設定情報記憶手段CL6に記憶されてい
る操作量と個々の操作の経過時間とから演算される操作
量に基づき,該操作量が多いほど目標空調条件補正手段
CL7により補正される補正量の増減幅を大きくする,
すなわち,過去の乗員の操作特性を単位時間当たりの操
作量により,空調目標条件の補正量を修正するので,乗
員の操作量に応じた補正がより精度よく実現し,乗員の
快適感をより向上させる。
【0021】この発明に係る車両用空調制御装置(請求
項5)は,目標空調条件補正手段CL7が演算された補
正量により前記目標空調条件を補正した後の経過時間
と,手動設定手段CL2の操作量および操作の方向とか
ら演算される補正量に基づいて上記演算された補正量を
再補正する,すなわち,目標空調条件補正後の乗員の操
作特性によって,目標空調条件の補正量を再修正するの
で,乗員の環境変化に対する感覚特性をより精度良く予
測可能となり,したがって,乗員の感覚に適合した制御
が可能となり,快適感を向上させる。
【0022】この発明に係る車両用空調制御装置(請求
項6)は,目標空調条件補正手段CL7が演算された補
正量により前記目標空調条件を補正した後の経過時間
と,手動設定手段CL2の操作量および操作の方向とか
ら演算される補正量に基づいて上記演算されたオーバシ
ュートの補正量を再補正する,すなわち,目標空調条件
補正後の乗員の操作特性によって,目標空調条件におけ
るオーバシュートの補正量を再修正するので,乗員の環
境変化に対する感覚特性をより精度良く予測可能とな
り,したがって,乗員の感覚に適合した制御が可能とな
り,より快適感を向上させる。
【0023】この発明に係る車両用空調制御装置(請求
項7)は,目標空調条件補正手段CL7が,補正期間,
非補正期間における遷移状態を検出する遷移状態検出手
段CL8を有し,該遷移状態検出手段CL8により判定
された遷移状態の開始条件および期間長を手動設定情報
記憶手段CL6に記憶されている熱環境あるいは経過時
間に応じて演算するので,熱環境の変化に応じた乗員の
手動変更パターンにより近いパターンが予測可能とな
る。
【0024】この発明に係る車両用空調制御装置(請求
項8)は,目標空調条件補正手段CL7により演算され
た補正量に応じて空調制御手段CL4が,熱負荷調整手
段CL3に対する出力値を出力補正手段CL9により補
正するので,熱負荷調整手段CL3に対する正確な補正
が実現する。
【0025】この発明に係る車両用空調制御装置(請求
項9)は,目標空調条件補正手段CL7により演算され
る補正量が,手動設定情報記憶手段CL6に記憶されて
いる操作量の所定基準値との偏差と個々の操作の経過時
間とから演算される所定時間当たりの操作量に基づいて
演算されるので,より乗員の温熱感覚に適合した制御が
可能となり,より快適感を向上させる。
【0026】
【実施例】
〔実施例1〕以下,この発明に係る車両用空調制御装置
の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。 〔車両用空調装置の概略構成〕図2は,車両用空調装置
の概略構成を示す説明図であり,(1)空調装置(特許
請求の範囲における熱負荷調整手段CL3に該当する)
本体1は, ブロアユニット2 クーリングユニット3 ヒータユニット4 により構成されており,(2)コントローラ(特許請求
の範囲における空調制御手段CL4(出力値補正手段C
L9),計測手段CL5,手動設定情報記憶手段CL
6,目標空調条件補正手段CL7(補正状態判定手段C
L8)に該当する)30により制御される。
【0027】(1)空調装置本体 ブロアユニット ブロアユニット2には外気導入口5と内気導入口6とが
成形されているとともに,この両導入口5,6を開閉す
るインテークドア7,該インテークドア7を回動するた
めのアクチュエータ8,空調風を発生させるためのブロ
アファン9,該ファン9を回転せるためのブロアファン
モータ10が配置されている。
【0028】 クーリングユニット クーリングユニット3にはエバポレータ11が配置さ
れ,配管12により冷凍サイクルと連結構成する膨張弁
12aからの低温冷媒がエバポレータ11に供給され,
空調風を冷却後,冷媒はコンプレッサ12bに戻る。
【0029】 ヒータユニット ヒータユニット4にはエアミックスドア13が枢設さ
れ,さらにそのエアミックスドア13を回動するための
アクチュエータ14が配設されるとともにヒータコア1
5が配設されている。ヒータコア15には配管27によ
り図示しない車両用エンジンの温水である冷却水が供
給,循環され,ヒータコア15を通過する空調風を加熱
する。ヒータユニット4の下流端部にはデフロスタダク
ト16,ベントダクト17,フットダクト18が連通さ
れており,各ダクト16,17,18の基端部には開閉
ドア19,20,21が枢支され,さらに,各開閉ドア
用のアクチュエータ22,23,24が配設されてい
る。ベントダクト17の端部にはベントグリル25が設
けられ,所望の風向を設定するルーバーフィン26が配
設されている。
【0030】(2)コントローラ また,車両用空調装置は,空調のインテークモード,風
量,吹出モードおよび温度制御を実行するコントローラ
30が設けられ,室温設定器31(特許請求の範囲にお
ける手動設定手段CL2に該当する),室温センサ3
2,外気温センサ33,日射量センサ34(32,3
3,34の各センサは特許請求の範囲における熱環境検
出手段CL1に該当する),室温,後述する吹出口モー
ド,内外気導入切換モード,風量設定の自動制御を行う
オートエアコン稼働スイッチ35,エアコン停止スイッ
チ36,風量設定器37,空調風の導入を室内あるいは
室外あるいはその両方に切り換える内外気導入切換スイ
ッチ38,車両フロントウィンドウの窓曇りを除去する
ためのフロントウィンドウデフロスタスイッチ39,車
両リアウィンドウの窓曇りを除去するためのリアウィン
ドウデフロスタスイッチ40(35,36,38,3
9,40のスイッチおよび37の設定器は特許請求の範
囲における手動設定手段CL2に該当する)が設けられ
ている。
【0031】さらに,空調風を室内に吹き出す際,前席
乗員の胸元付近へ吹き出すベント吹出モード,前席乗員
の足元付近へ吹き出すフット吹出モード,その両方から
吹き出すバイレベル吹出モードを切り換える吹出口モー
ドスイッチ41(特許請求の範囲における手動設定手段
CL2に該当する)の出力値が入力され,演算後,イン
テークモードの設定としてアクチュエータ8に開閉の指
示がなされ,風量設定としてブロアファンモータ10へ
電圧が出力され,吹出モードとしてドアアクチュエータ
22,23,24にそれぞれ開閉の指示がなされ,さら
に吹出温制御として,エアミックスドアアクチュエータ
14に開度の指示が行われる。なお,42は空調表示部
であり,目標室温,吹出口モード,リアデフロスタ,風
量などの各種情報が表示されている。
【0032】〔空調装置の制御動作〕図3は,空調装置
全体の制御動作を示すフローチャートである。すなわ
ち,空調装置1の起動スイッチであるオートエアコン稼
働スイッチ35が押下されると,後述する各ステップの
演算に用いる予め定められた定数A〜Uの値と乗員の設
定変更情報を,コントローラ30内に内蔵されたメモリ
から読み込む初期化処理を実行し(S201),次に,
熱環境検出手段としての各センサの出力信号と,乗員の
設定室温,各スイッチの状態を読み込むデータ入力処理
を実行し(S202),エバポレータ通過後における冷
風のヒータコア通過量を制御するエアミックスドアの開
度Xを求める(S203)。すなわち,現在の熱負荷状
態下における設定室温にするために必要な目標吹出温度
Tofを求め,吹出温度をTofにするためのエアミッ
クス開度Xを算出する。
【0033】続いて,目標吹出温度がTofの時に最適
な吹出口モードを決定する吹出口モード処理を実行し
(S204),吸込口の状態を決定する吸込口処理を実
行する(S205)。さらに,目標吹出温度Tofに応
じた風量を吹き出すように予め定められているブロアフ
ァン印加電圧特性によって,ブロアファン電圧Vfan
を決定する風量処理を実行する(S206)。
【0034】その後,上記ステップS204〜S206
において演算した制御量になるように各アクチュエータ
に対して制御信号を出力する出力処理を実行し(S20
7),ステップS202へ戻ってオフスイッチが押下さ
れるまで,上記ステップS202〜S207の処理を繰
り返し実行する。以下,各ステップの詳細について説明
する。
【0035】本発明の特徴となるのは,上記フローチャ
ートにおいて,ステップS202のデータ入力処理にお
ける学習処理,すなわち,手動設定手段の操作量からオ
ーバーシュート量を学習する部分である。
【0036】 初期化処理 図4は,図3に示した初期化処理の詳細を示している。
ここでは,まず,ステップS203における標吹出温度
Tof演算において用いられる定数A〜F,エアミック
ス開度を算出する際に用いられる定数F,G,H,ステ
ップS204における吹出口モードの決定に必要な定数
I〜L,ステップS205における吸込口モードの決定
に必要な定数M〜Q,ステップS206におけるブロア
ファン電圧の決定に必要なR〜Uの各定数をセットする
(S301)。
【0037】続いて,外気温から決定される季節毎の対
象乗員の使用平均設定温度を記憶した設定室温設定マッ
プの値を読み込み,制御時に使用する設定室温補正値T
pyc,corを平滑化処理する(S302)。すなわ
ち,各外気温区間にステップ上に記憶されている補正値
を,外気温の変化に対して滑らかに変化するように修正
する。これは,外気温の変化に対して補正値が急変し,
制御量が不安定になることを防止するための処理であ
る。該平滑化処理終了後,メインフローに戻る。
【0038】 データ入力処理 図5は,図3に示したデータ入力処理の詳細を示してい
る。ここでは,各センサからの入力信号および手動設定
スイッチの設定状態を入力し,それぞれに相当する変数
にセットする。
【0039】すなわち,検出室温をTic,検出外気温
をTamb,検出日射量をQsun,乗員の設定室温を
Tptc,手動設定のブロアファン電圧設定値をVfa
n,mにそれぞれセットし,吹出口モードスイッチ,吸
込口スイッチの選択状態を入力する(S401)。
【0040】次に,空調装置1のメインスイッチである
オートエアコンスイッチがオフされるか,車両のエンジ
ン始動のためのメインスイッチであるイグニションキー
がオフされるかして,今回の空調装置の使用が終了した
か否かを判断し,使用が終了したと判断した場合には,
ステップS404の学習処理処理へ移行し,反対に,使
用が終了していないと判断した場合には,ステップS4
03へ処理が移行する(S402)。
【0041】ステップS403では,設定室温を操作す
ることにより変更があったか否かを判断し,変更があっ
たと判断した場合には,ステップS405へ処理が移行
し,反対に,変更が無いと判断した場合には,そのまま
メインルーチンへ戻る。ステップS405では,設定室
温が変更されてから十分時間が経過し,該設定室温変更
が収束したか否かか判断し,設定室温変更が収束してい
ないと判断した場合には,何ら処理を実行せずにメイン
ルーチンへ戻る。
【0042】反対に,設定室温変更が収束したと判断し
た場合には,ステップS406において,上記ステップ
S404の学習処理において用いる設定室温の変更情報
として,図12に示す設定室温変更時の時刻(空調装置
使用開始からの経過時間),変更後の設定室温,室温,
外気温を設定室温変更情報記憶(オーバシュート学習処
理用記憶)バッファに記憶し,その後,ステップS40
7において,設定室温補正マップに設定室温情報記憶,
平均値演算を記憶してメインルーチンへ戻る。
【0043】上記図12は,i回目の変更時における設
定温度Tptc(i),室温Tic(i),開始からの
時間t(i)を示している。したがって,カウンタiの
値が小さいほど使用開始に近いデータとなる。
【0044】 エアミックスドア処理 図6は,図3に示したエアミックス開度処理の詳細を示
している。まず,ステップS501では,図3に示した
ステップS202において求めた平滑化処理後の設定室
温補正マップから,当該外気温の設定室温補正値Tpt
c,corを読み込む。その後,ステップS502で
は,次式によって設定室温を補正する。 Tptc1=ΔTptc+Tptc,cor (Tptc1:補正後設定室温,Tptc:現設定室
温) ここで,ΔTptcは空調装置1の起動後,乗員によっ
て操作された設定温度操作量を示しており,起動直後の
初期値は0であり,乗員が設定室温スイッチを押す度に
1回毎の増分に相当する量が累積される。Tptc,c
orの値は,使用回数が0の場合の初期値が25度であ
り,使用回数が進むにつれて寒めが好きな乗員なら低い
値に,暖かめが好きな乗員なら高い値へと収束する。し
たがって,Tptc1はそれぞれの外気温で,乗員の好
みの設定温度となる。
【0045】ステップS503では,この処理が空調装
置1が起動されてから1回目の処理か否かを判断し,1
回目の処理であると判断した場合には,ステップS50
4〜S507に処理が移行し,2回目以降であると判断
した場合には,ステップS508〜S511へ処理が移
行する。
【0046】ステップS504では,設定室温Tptc
1と最初の室温Tic(この値を初期室温Tic0とし
てセットする)との差が所定値T1より大きいか否かを
判断する。すなわち, |Tptc1−Tic|>T1 が成立するか否かを判断し,大きいと判断した場合に
は,ステップS505へ,反対に,小さいと判断した場
合には,そのままステップS507(Tptc’=Tp
tc1)へ処理が移行する。ここでは,初期室温が設定
室温との差が大きく,使用開始直後の熱負荷が高い場合
の制御(以下,非定常制御という)を実行する必要があ
るか否かを判断する。
【0047】上記ステップS505では,2回目以降の
処理に,非定常制御を実行するか否かを判断するための
非定常制御フラグをONする。その後,ステップS50
6では,下記の数1に示すように,設定室温をオーバシ
ュート量であるΔTosにより補正して非定常制御用の
設定温度とした後,ステップS512へ処理を移行す
る。
【0048】
【数1】
【0049】上記Ktは,初期条件が冷房時と暖房時で
あったかによって切り換えられる定数である。すなわ
ち,冷房時における非定常時には設定室温を低めにする
ためにΔTosを定常時の設定室温から差し引き,暖房
時における非定常時には,逆にΔTosを加えて設定室
温を高めに設定する。
【0050】ここで,ΔTosは,図13に示す対応図
によって,空調装置1の使用開始時の熱環境条件として
の初期室温Tic0と,後述する乗員の操作量分散Vo
p,cから決定する。すなわち,ΔTosは,初期室温
Tic0が高く初期熱負荷が高いほど大きく,分散Vo
p,cが大きいほど大きくなる。
【0051】2回目以降の処理であると判断され,ステ
ップS508に移行した場合には,非定常制御フラグが
ONか否かを判断し,ONであると判断した場合には,
ステップS509へ移行し,OFFであると判断した場
合にはステップS512へ移行する。
【0052】次に,ステップS509では,室温が設定
温度に近づき所定値T2以内か否かを判断する。すなわ
ち, |Tptc,pre−Tic|<T2 が成立するか否かを判断し,上記式が成立すると判断し
た場合には,非定常時用の制御を終了するために設定温
度は,上記ステップS502において補正したTptc
1のままステップS511へ移行し,反対に,上記式が
成立しないと判断した場合には,ステップS510にお
いて,非定常時用の設定室温としてΔTosをステップ
S506と同様に,係数Ktによって冷房側と暖房側で
符号を換えて加える。すなわち, Tptc’←Tptc1+Kt×ΔTos deari,その後,ステップS511へ移行する。
【0053】ステップS511では,前サイクルにおい
て使用した設定室温Tptc,preと,これまでのス
テップにおいて決定された補正後の設定温度Tptc1
と所定の重みWt(0<Wt<1)から, Tptc’=(1−Wt)・Tptc,pre+Wt・
Tptc1 によって,これまでのステップにおいて決定された設定
室温をそのまま用いるのではなく,一次遅れを持たせる
ことによって,室温が非定常状態から安定状態へ切り替
わって補正量Tptc1がステップ状に変化し,乗員に
違和感を与えてしまうことを防止している。
【0054】次に,ステップS512では,後述する各
制御量演算に用いられる目標吹出温度Tofを演算す
る。すなわち, Tof=A×Tptc’+B×Tamb+C×Qsun
+D×Tic+E である。その後,ステップS513では,上記ステップ
S512において演算したTofの値から,エアミック
スドアの開度Xを決定する。すなわち, X=F×Tof2 +G×Tof+H により決定する。
【0055】 吹出口モード処理 図7は,図3に示した吹出口モード処理の詳細を示して
いる。まず,目標吹出温度Tofに応じて,予め定めら
れた吹出口モードマップを用いて吹出口を選択する(S
601)。ここで,各モードの吹き出し状態を下記に示
す。 ベントモード:インストパネルに配置されたベンチレー
タグリルのみから吹き出す。 バイレベルモード:ベンチレータグリルと足元吹出口の
双方から吹き出す。 フットモード:足元吹出口およびインスト上面に開口し
フロントウィンドウ内面へ吹き出すデフロスタ吹出口か
ら吹き出す。
【0056】次に,吹出口モードスイッチ41が押され
ているか否かを判断し(S602),押されていると判
断した場合には,ベントモード(S603),バイレベ
ルモード(S604),フットモード(S605),デ
フロスタモード(S606)においてそれぞれに相当す
る吹出口モードを選択する。
【0057】 吸込口処理 図8は,図3に示した吸込口処理の詳細を示している。
まず,目標吹出温度Tofに応じて,予め定められた吸
込口マップを用いて吸込口の状態を選択する(S70
1)。ここで,各状態とは, REC:100% 20%FRE:20%外気導入,80%内気循環 FRE:100%外気導入 である。
【0058】次に,吸込口スイッチが押されているか否
かを判断し(S702),押されていると判断した場合
には,外気導入(S703),内気循環(S704)に
おいて,それぞれに相当する吸込口を選択する。
【0059】 風量処理 図9は,図3に示した風量処理の詳細を示している。ま
ず,目標吹出温度Tofに応じて,予め定められたブロ
アファン印加電圧マップを用いてブロアファン印加電圧
Vfanを選択する(S801)。次に,ブロアファン
電圧設定スイッチが押されているか否かを判断し(S8
02),押されていると判断した場合には,ブロアファ
ンモータへの出力値Vfan’値を選択された電圧Vf
an,mに設定し(S803),反対に,押されていな
いと判断した場合には,Vfan’を上記ステップS7
01において決定したブロアファン電圧Vfanに設定
する(S804)。
【0060】 出力処理 図10は,図3に示した出力処理の詳細を示している。
まず,上記ステップS203〜205において設定され
たエアミックス開度X,吹出口モード,吸込口となるよ
うに,エアミックスドア,吹出口モードドア,吸込口モ
ードドアの各アクチュエータに対して駆動信号を出力す
る(S901)。次に,上記ステップS106において
設定したブロアファン電圧Vfan’となるようにブロ
アファンモータに対して駆動信号を出力する(S90
2)。
【0061】〔学習処理〕図11は,図5に示したステ
ップS404の学習処理の詳細を示している。ステップ
S1001では,今回の使用における定常時の平均設定
温度Tptc0を演算する。具体的には,設定室温変更
情報記憶バッファに記憶されている情報の内,室温安定
時のものについて各設定温度の維持時間によって荷重平
均をとることによってTptc0を算出する。
【0062】ステップS1002では,Tptc0を,
図14に示す設定室温補正マップの現在の外気温に相当
する領域に記憶する。該設定室温補正マップは,図14
に示したように,Tambで分割した各領域について過
去N回分の設定室温とそれらの平均値を記憶している。
記憶する設定室温の回数Nは既定値に制限し,同一の領
域でそれ以上の回数変更が行われた場合には,逐次最も
古い設定と入れ換えていき,常に最新の情報を記憶でき
るようにしてある。
【0063】ステップS1003では,設定室温変更記
憶情報バッファに記憶されている設定室温の変更履歴か
ら,今回行われた単位時間当たりの操作分散Vopを下
記の数2の定義によって求める。
【0064】
【数2】
【0065】すなわち,Vopは,各設定温の変更が最
終的に安定して設定温度Tptc0からどの程度離れた
操作かを判定するための尺度となる。したがって,Vo
pが大きいほど,平均Tptc0から離れた操作を多く
行ったことになる。次に,ステップS1004では,過
去数回の操作分散Vopの平均値Vop,mを求める。
さらに,ステップS1005では,ステップS1004
において演算したVop,mの値が使用回数が増すにつ
れてどのように変化するかを判定するための操作量変化
率累積Svopを,過去N回分のVop,mを用いて下
記の数3に示すように演算する。
【0066】
【数3】
【0067】上記数3において,N1は現在使用してい
る操作分散特性Vop,cを更新した時の使用回数で,
N2は現在の使用回数,nは既定の正の整数である。
【0068】ステップS1006では,Svopの値が
既定値So1を下回っているか否かを判断する。すなわ
ち, Svop<So1 が成立するか否かを判断する。その結果,下回っている
と判断した場合には,操作量が減少しているものと判断
し,補正特性をその時点の特性に維持したままメインフ
ローへ戻る。反対に,上回っていると判断した場合に
は,ステップS1007へ処理を移行させて,図6に示
したステップS504でΔTosを決定する際に用いる
操作分散特性Vop,cの値を現在のVop,mに修正
してメインフローへ戻る。
【0069】上記のフローチャートに従えば,設定室温
補正メモリに記憶された過去の乗員の操作特性から単位
時間当たりの操作量の大きさを計算し,それによって次
回制御時における非定常状態の設定室温を修正するの
で,非定常時における制御特性が乗員の操作特性を反映
したものに変更され,乗員の快適感をより向上させるこ
とができる。
【0070】例えば,夏期に車両を炎天下に放置した後
乗車した場合には,初期室温が高い状態から始まるた
め,非定常制御が実行される。ここで,過去の操作量分
散Vop,cが大きい乗員は,図22(a)に示すよう
に設定室温の補正幅ΔTosが大きくなるため,定常状
態に至るまで通常よりも強めの制御が行われる。これに
より,室温Ticは一端定常時の設定室温よりも低下し
て,非定常制御用の設定室温に近づいた後,定常時の設
定室温に安定することになり,乗員に対して非定常時に
室温の変化感を増大させることができるため,制御を強
める方向の設定室温操作を減少させ,快適感を増加させ
ることができる。また,操作量分散Vop,cの小さい
乗員については,図22(b)に示すように,ΔTos
は0となって定常時に好みの設定室温に漸近する。この
ように,定常時には同じ設定室温が好みの乗員であって
も,操作特性によって非定常時の制御を変更することに
より操作量減少と快適感向上が可能となる。
【0071】〔実施例2〕次に,実施例2について説明
する。実施例2では,上記実施例1のフローチャートと
図6におけるステップS506,S510と,図11に
おける学習処理の制御の部分のみ異なる。まず,図6に
示したステップS506,S510において,オーバシ
ュート量ΔTosの計算方法が異なり,実施例2におい
ては次式による。 ΔTos=f(Vop,c,Tic0)+Ke×Ese
t (Ke=定数) ここで,f(Vop,c,Tic0)は,図13に表さ
れたΔTosを算出する関数を示しており,Esetは
非定常制御の設定室温変化パターンの修正操作を評価す
るために実設定値と演算値との誤差を累積して演算され
る値で,図15に示すフローチャートに基づいて演算さ
れる。
【0072】次に,図11に示した動作と異なる部分を
図15のフローチャートを用いて説明する。図15にお
いて,ステップS1401〜S1406までは図10に
示したステップS1001〜S1006と同じである。
ステップS1407では,操作量変化率累積Svopが
既定値So2を上回っているか否かを判断する。すなわ
ち, Svop>So2 が成立するか否かを判断する。その結果,Svop>S
o2が成立すると判断した場合には,ステップS140
8へ,成立しないと判断した場合には,ステップS14
09へそれぞれ処理が移行する。ここで,So2は正の
所定値であり,このステップにおいてSvop>So2
が成立するということは操作量の増加速度が大きいこと
を意味している。
【0073】ステップS1408では,今回の設定温度
の変更パターンが乗員の好みにどの程度合致しているか
を判断するための測度Esetを演算し,設定室温補正
メモリに記憶する。ここで,Esetは,図16に示し
た乗員の設定温度変更後の設定温度Tptc’と,もし
変更がなかったと仮定した場合における設定温度Tpt
c2(=Tptc+ΔTos)との差を,非定常制御域
について積分して単位時間当たりに平均したものであ
り,下記の数4により表される。また,ステップS14
09は,図11に示したステップS1007と同じ内容
である。
【0074】
【数4】
【0075】以上のフローチャートに従えば,一旦オー
バシュート量ΔTosが変更された後における設定温度
変更パターンと乗員の修正操作特性を比較することによ
って,補正量としてのΔTosを再修正するので,乗員
の操作特性をより精度良く予測可能となり,乗員の感覚
に見合った制御が可能となり,快適感をより向上させる
ことができる。
【0076】〔実施例3〕次に,実施例3について説明
する。実施例3では,上記実施例1に示した図6に示し
たエアミックスドア開度処理と,図11に示した学習処
理の制御の部分が異なる。異なる部分をそれぞれ図1
7,図18を用いて説明する。まず,図17におけるス
テップS1601は,図6に示したステップS501と
同様であり,今回の外気温に相当する区間に記憶された
補正量Tptc,corを読み込む。次に,ステップS
1602では,初期室温Tic0とTptc,corの
偏差が所定値T3より大きいか否かを判断する。すなわ
ち, |Tic0−Tptc,cor|>T3 が成立するか否かを判断する。ここで,|Tic0−T
ptc,cor|>T3が成立すると判断した場合に
は,ステップS1603へ,反対に,|Tic0−Tp
tc,cor|>T3が成立しないと判断した場合に
は,ステップS1604へと処理が移行する。
【0077】ステップS1603では,非定常制御パラ
メータ記憶メモリからオーバシュート量ΔTos,オー
バシュート終了条件To,安定制御以降時定数tcの各
パラメータを読み込む。ここで,初期室温が冷房条件の
場合には,冷房用パラメータΔTos_c,to_c,
tc_cを用い,暖房条件の場合には,ΔTos_w,
tc_wを用いる。図20は,これらのパラメータを表
したグラフである。ステップS1604では,非定常制
御パラメータをステップ全て0にリセットする。
【0078】その後,ステップS1605では,次式か
ら開始からの時刻tによって設定温度Tptc’を決定
する。すなわち,設定室温Tptc’と室温Ticの差
がToとなった時刻をtoとすると,下記の数5が成立
する。
【0079】
【数5】
【0080】ここで,ステップS1602において室温
が安定状態と判定され,ステップS1604でパラメー
タが全て初期値のままの場合には,上記数5のうち,第
3式を用いる。ステップS1606,S1607は,図
6に示したステップS506,S507の内容と同じで
ある。
【0081】次に,図18に示した学習処理では,ステ
ップS1701〜S1706は,上記実施例1の図11
の内容と同じであるが,ステップS1707の非定常制
御パラメータ演算部分のみが異なる。ステップS170
7では,図17に示したステップS1605において用
いる各パラメータΔTos,to,tcを図19に示す
フローチャートに従って決定する。
【0082】図19において,ステップS1801で
は,設定室温変更情報記憶バッファに記憶されている変
更情報をカウントするためのカウンタiの初期値として
1をセットする(i=1)。次に,ステップS1802
では,カウンタiの値を1だけインクリメントする(i
←i+1)。ステップS1803で,今回の使用環境が
冷房条件か暖房条件かを判断するため,初期室温と最終
設定温度Tptc0の差が負の所定値より小さい場合に
は冷房条件,正の所定値より大きい場合には暖房条件と
する。
【0083】ステップS1804〜S1811は,冷房
条件での設定温度変更操作のデータから各バラメータを
算出するための処理であり,ステップS1812〜S1
829は,暖房条件での設定温度変更操作のデータから
各パラメータを算出するための処理であり,各ステップ
の機能は冷房,暖房とも共通である。
【0084】ステップS1804,S1812では,カ
ウンタiが変更情報記憶バッファの記憶値を越えてデー
タが終了したか否かを判断し,終了したと判断した場合
には,それぞれステップS1811,S1819の処理
へ移行し,反対に,終了していないと判断した場合に
は,それぞれステップS1805,S1813の処理へ
移行する。
【0085】ステップS1805,S1813では,i
番目の記憶データの変更後の設定温度Tptc(i)
が,ステップS1805ではTminより小さいか,ス
テップS1813ではTmaxより大きいか否かを判断
する。すなわち, Tptc(i)<Tmin(S1805) Tptc(i)>Tmax(S1813) が成立するか否かを判断する。その結果,成立すると判
断した場合には,それぞれステップS1806,S18
14へ処理が移行し,反対に,成立しないと判断した場
合には,それぞれステップS1809,1817へ処理
が移行する。
【0086】ステップS1806,S1814では,T
ptc(i)をそれぞれTmin,Tmaxへ設定す
る。すなわち, Tmin←Tptc(i)(S1806) Tmax←Tptc(i)(S1814) であり,その後,それぞれステップS1807,S18
15へ処理が移行する。
【0087】ステップS1807,S1815では,遷
移時間パラメータtc演算用の累積時間Stの値を0に
リセットする。その後,ステップS1808,S181
6では,オーバシュート操作の終了時間を記憶する。こ
こでは,非定常制御の終了条件Tic,limにi+1
番目の設定室温Tptc(i+1)と室温Tic(i+
1)の差をセットする。すなわち, Tic,lim←Tptc(i+1)−Tic(i+
1) とする。
【0088】一方,上記ステップS1805/S181
3において,それぞれTptc(i)<Tmin(S1
805)/Tptc(i)>Tmax(S1813)が
成立しないと判断した場合には,それぞれステップS1
809,S1817に処理が移行し,累積時間Stに区
間の時間ΔTic(i)を加える。すなわち, St=St+ΔTic(i) とする。
【0089】その後,処理はステップS1810/S1
818に移行し,Tptc(i)が平均設定温度Tpt
c0よりも大きいか否か/あるいは,Tptc(i)が
平均設定温度Tptc0よりも小さいか否かを判断す
る。すなわち, Tptc(i)>Tptc0(S1810) Tptc(i)<Tptc0(S1818) が成立するか否かを判断する。上記式が成立しないと判
断した場合には,上記ステップS1802に戻る。反対
に,成立すると判断した場合には,ステップS181
1,S1819へ処理が移行する。
【0090】ステップS1811,S1819では,記
憶メモリのオーバシュート量ΔTosの記憶部にステッ
プS1811ではTminを,ステップS1819では
Tmaxを記憶し,オーバシュート終了条件Toの記憶
部にTic,limを,安定制御移行時間tcの記憶部
にStをそれぞれ記憶する。記憶メモリの記憶形態は図
21に示すように,過去数回分の各パラメータ量とその
平均値を冷房,暖房それぞれ独立に記憶するものであ
る。
【0091】次に,ステップS1820では,ΔTo
s,To,tcをメモリに記憶する。その後,ステップ
S1821では,記憶更新されたデータを平均してから
冷房または暖房時の非定常制御パラメータΔTos_
c,To_c,tc_cまたはΔTos_w,to_
w,tc_wを算出して記憶する。
【0092】上記のフローチャートに従えば,非定常制
御の補正量ΔTos,非定常制御の終了条件To,非定
常制御から定常制御への遷移帰還の長さtcを,乗員の
設定室温変更パターンから演算し,その過去の履歴を平
均するので,熱環境の変化に応じた乗員の手動変更パタ
ーンにより近いパターンが予測可能となる。
【0093】〔実施例4〕次に,実施例4について説明
する。実施例4は,上記実施例1の操作分散Vopに相
当する量を他の量に置き換えたものである。すなわち,
数2により算出するVopの代わりに,下記の数6で表
される操作量Iopを用いる。
【0094】
【数6】
【0095】Iopは,最終的に設定した設定温Tpt
c0(実施例1と同様)と各設定温度との差を維持時間
で荷重平均した値である。この値を,図11のフローチ
ャートに相当する図23に示すフローチャートにより演
算して用いることにより実施例1と同様の効果を得るこ
とができる。図23において,ステップS2201,S
2202は,図11に示したステップS1001,S1
002と同じ内容である。
【0096】次に,ステップS2203では,設定室温
変更情報記憶バッファに記憶された設定情報からIop
を上記数6に基づいて演算する。続いて,ステップS2
204では,過去N回分のIopを平均した操作量平均
値Iop,mを求める。ステップS2205では,図1
1に示したステップS1005のVopをIopに換え
た数7によりSvopを求める。
【0097】
【数7】
【0098】ステップS2206,S2207ではSv
opを用いて,図11に示したステップS1006,S
1007と同様の処理で制御時に使用する操作量Io
p,cを決定する。
【0099】本実施例でも,上記実施例1の図6を用い
て設定室温を決定するが,ステップS506やS510
でTosを算出する場合には,図24のIop,cとの
相関図を用いる。本実施例によれば,実施例1と同様の
効果があるだけでなく,IopはVopに比して,数値
の桁数が小さいため,記憶量を節約できるという特有の
効果もある。また,本実施例では,上記実施例1のみと
対比して説明したが,実施例1に対する実施例2の対応
と全く同様の変更も可能である。
【0100】〔実施例5〕次に,実施例5について説明
する。これまでは,設定室温スイッチの操作についての
み説明してきたが,他のスイッチについても同様の処理
が適用できる。例えば,設定室温と代替するスイッチと
して室温ではなく温度感覚を入力するスイッチについて
説明する。このようなスイッチは,入力を感覚的な言葉
で行うが,実際の制御時には言葉の表す方向に対応する
設定室温の増分を操作回数分だけ変更する。すなわち,
温度感覚スイッチが「暑い」,「寒い」という言葉であ
る場合には,「暑い」という言葉が操作された場合に
は,例えば,1操作について−0.5度,「寒い」とい
う言葉が操作された場合には,1操作について+0.5
度だけ,それまでの設定室温に対して増加させる。
【0101】ここで,感覚スイッチの操作回数をNse
ns,1操作当たりの増分をTsensとすれば,設定
室温Tptcは, Tptc=Tptc,o+Nsnes×ΔTsens により求められる。ここで,Tptc,oは基準設定温
度であり,通常25度に設定する。すなわち,温感スイ
ッチを用いる場合でも,上記の各実施例のTptcを上
記式(Tptx=Tptc,o+Nsnes×ΔTse
ns)により置き換えるだけで,同様の作用を奏するこ
とができる。
【0102】
【発明の効果】この発明に係る車両用空調制御装置(請
求項1)は,過去の乗員の操作特性を記憶し,該記憶さ
れた操作量に応じて目標条件の補正量の大きさを演算す
ることにより,室温非安定時あるいは操作直後における
乗員の快適感を向上させることができる。
【0103】この発明に係る車両用空調制御装置(請求
項2)は,過去の乗員の操作特性を記憶し,該記憶され
た操作量に応じて目標条件の補正量の大きさを演算する
ことにより,室温非安定時あるいは操作直後における乗
員の快適感をより向上させることができる。
【0104】この発明に係る車両用空調制御装置(請求
項3)は,過去の乗員の操作特性を単位時間当たりの操
作量の大きさにより,空調目標条件の補正量を修正する
ため,乗員の操作量に応じた補正が精度よく実現し,乗
員の快適感を向上させることができる。
【0105】この発明に係る車両用空調制御装置(請求
項4)は,過去の乗員の操作特性を単位時間当たりの操
作量の大きさにより,空調目標条件の補正量を修正する
ため,より精度良く補正が可能となり,乗員の操作量に
応じた補正がより精度よく実現し,乗員の快適感を一層
向上させることができる。
【0106】この発明に係る車両用空調制御装置(請求
項5)は,目標空調条件補正後の乗員の操作特性によっ
て,目標空調条件の補正量を再修正するため,乗員の環
境変化に対する感覚特性をより精度良く予測可能とな
り,したがって,乗員の感覚に適合した制御が可能とな
り,快適感を向上させることができる。
【0107】この発明に係る車両用空調制御装置(請求
項6)は,目標空調条件補正後の乗員の操作特性によっ
て,目標空調条件におけるオーバシュートの補正量を再
修正するため,乗員の環境変化に対する感覚特性をより
精度良く予測可能となり,したがって,乗員の感覚に適
合した制御が可能となり,より快適感を向上させること
ができる。
【0108】この発明に係る車両用空調制御装置(請求
項7)は,目標空調条件補正手段CL7が,補正期間,
非補正期間における遷移状態を検出する遷移状態検出手
段CL8を有し,該遷移状態検出手段CL8により判定
された遷移状態の開始条件および期間長を手動設定情報
記憶手段CL6に記憶されている熱環境あるいは経過時
間に応じて演算するため,熱環境の変化に応じた乗員の
手動変更パターンにより近いパターンが予測可能とな
る。
【0109】この発明に係る車両用空調制御装置(請求
項8)は,目標空調条件補正手段CL7により演算され
た補正量に応じて空調制御手段CL4が,熱負荷調整手
段CL3に対する出力値を出力値補正手段9により補正
するため,熱負荷調整手段CL3に対する正確な補正が
実現する。
【0110】この発明に係る車両用空調制御装置(請求
項9)は,目標空調条件補正手段CL7により演算され
る補正量が,手動設定情報記憶手段CL6に記憶されて
いる操作量の所定基準値との偏差と個々の操作の経過時
間とから演算される所定時間当たりの操作量に基づいて
演算されるため,より乗員の温熱感覚に適合した制御が
可能となり,より快適感を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車両用空調制御装置の概略構成を
示すブロック(クレーム対応)図である。
【図2】車両用空調装置の概略構成を示す説明図であ
る。
【図3】空調装置全体の制御動作を示すフローチャート
である。
【図4】図3に示した初期化処理の動作を示すフローチ
ャートである。
【図5】図3に示したデータ入力処理の動作を示すフロ
ーチャートである。
【図6】図3に示したエアミックス開度処理の動作を示
すフローチャートである。
【図7】図3に示した吹出口モード処理の動作を示すフ
ローチャートである。
【図8】図3に示した吸込口処理の動作を示すフローチ
ャートである。
【図9】図3に示した風量処理の動作を示すフローチャ
ートである。
【図10】図3に示した出力処理の動作を示すフローチ
ャートである。
【図11】学習処理の動作を示すフローチャートであ
る。
【図12】設定室温変更時の時刻(空調装置使用開始か
らの経過時間),変更後の設定室温,室温,外気温を示
すグラフである。
【図13】オーバシュート量と操作量分散との関係を示
すグラフである。
【図14】設定室温補正マップの構成を示す説明図であ
る。
【図15】学習処理の他の動作を示すフローチャートで
ある。
【図16】乗員の設定温度変更後の設定温度Tptc’
と,もし変更がなかったと仮定した場合における設定温
度Tptc2(=Tptc+ΔTos)とを示すグラフ
である。
【図17】図3に示したエアミックス開度処理の他の動
作を示すフローチャートである。
【図18】学習処理の他の動作を示すフローチャートで
ある。
【図19】図18に示した操作パターンの各パラメータ
演算の処理を示すフローチャートである。
【図20】オーバシュート量ΔTos,オーバシュート
終了条件To,安定制御以降時定数tcの各パラメータ
を表したグラフである。
【図21】記憶メモリの記憶形態(過去数回分の各パラ
メータ量とその平均値を冷房,暖房それぞれ独立に記憶
する)を示す説明図である。
【図22】設定室温の補正幅ΔTosを示す説明図であ
る。
【図23】学習処理の他の動作を示すフローチャートで
ある。
【図24】オーバシュート量と操作量の関係を示すグラ
フである。
【図25】従来における空調制御装置の構成を示す説明
図である。
【符号の説明】
CL1 熱環境検出手段 CL2 手動設定手段 CL3 熱負荷調整手段 CL4 空調制御手段 CL5 計測手段 CL6 手動設定情報記憶手段 CL7 目標空調条件補正手段 CL8 補正状態判定手段 CL9 出力値補正手段

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車室内における熱環境状態を検出する熱
    環境検出手段と,車室内における目標環境条件を手動操
    作により設定する手動設定手段と,車室内における熱負
    荷を調整する熱負荷調整手段と,前記熱環境検出手段に
    より検出された熱環境状態と前記手動設定手段により設
    定された目標環境条件に基づいて前記熱負荷調整手段の
    目標空調条件を演算し,該演算された目標空調条件およ
    び前記手動設定手段により設定された目標環境条件に応
    じて予め定められた制御特性から前記熱負荷調整手段を
    制御する空調制御手段とを有する車両用空調制御装置に
    おいて,前記熱負荷調整手段の稼働時間を計測する計測
    手段を備え,前記手動設定手段により目標環境条件が変
    更されたときの変更状態を,変更時の操作量,熱環境お
    よび稼動時間に対応させて記憶する手動設定情報記憶手
    段と,前記熱環境検出手段により検出された熱環境状
    態,前記計測手段により計測された稼動時間および前記
    手動設定情報記憶手段に記憶されている変更状態に基づ
    いて前記目標空調条件を補正する目標空調条件補正手段
    とを具備することを特徴とする車両用空調制御装置。
  2. 【請求項2】 前記計測手段が,前記熱負荷調整手段の
    稼働開始からの経過時間を計測することを特徴とする請
    求項1記載の車両用空調制御装置。
  3. 【請求項3】 前記目標空調条件補正手段は,前記手動
    設定情報記憶手段に記憶されている操作量と個々の操作
    の経過時間とから演算される操作量に基づき,前記目標
    空調条件補正手段により補正される目標空調条件の補正
    量を所定量増減させることを特徴とする請求項1記載の
    車両用空調制御装置。
  4. 【請求項4】 前記目標空調条件補正手段は,前記手動
    設定情報記憶手段に記憶されている操作量と個々の操作
    の経過時間とから演算される操作量に基づき,該操作量
    が多いほど前記目標空調条件補正手段により補正される
    目標空調条件の補正量の増減幅を大きくすることを特徴
    とする請求項1記載の車両用空調制御装置。
  5. 【請求項5】 前記目標空調条件補正手段は,前記演算
    された補正量により前記目標空調条件を補正した後の経
    過時間と,前記手動設定手段の操作量および操作の方向
    とから演算される補正量に基づいて前記演算された補正
    量を再補正することを特徴とする請求項1記載の車両用
    空調制御装置。
  6. 【請求項6】 前記目標空調条件補正手段は,前記演算
    された補正量により前記目標空調条件を補正した後の経
    過時間と,前記手動設定手段の操作量および操作の方向
    とから演算される補正量に基づいて前記演算されたオー
    バーシュートの補正量を再補正することを特徴とする請
    求項1記載の車両用空調制御装置。
  7. 【請求項7】 前記目標空調条件補正手段は,補正期
    間,非補正期間における遷移状態を検出する検出手段を
    有し,前記検出手段により判定された遷移状態の開始条
    件および期間長を前記手動設定情報記憶手段に記憶され
    ている熱環境あるいは経過時間に応じて演算することを
    特徴とする請求項1記載の車両用空調制御装置。
  8. 【請求項8】 前記目標空調条件補正手段により演算さ
    れた補正量に応じて前記空調制御手段は,前記熱負荷調
    整手段に対する出力値を補正する出力値補正手段を有す
    ることを特徴とする請求項1記載の車両用空調制御装
    置。
  9. 【請求項9】 前記目標空調条件補正手段により演算さ
    れる補正量は,前記手動設定情報記憶手段に記憶されて
    いる操作量の所定基準値との偏差と個々の操作の経過時
    間とから演算される所定時間当たりの操作量に基づいて
    演算されることを特徴とする請求項1記載の車両用空調
    制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014092139A (ja) * 2012-11-06 2014-05-19 Aisin Seiki Co Ltd エンジン温推定システム
JP2017172830A (ja) * 2016-03-22 2017-09-28 三菱電機株式会社 空気調和装置

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