JPH0734329A - リン酸カルシウム系長繊維の製造方法。 - Google Patents
リン酸カルシウム系長繊維の製造方法。Info
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- JPH0734329A JPH0734329A JP5200393A JP20039393A JPH0734329A JP H0734329 A JPH0734329 A JP H0734329A JP 5200393 A JP5200393 A JP 5200393A JP 20039393 A JP20039393 A JP 20039393A JP H0734329 A JPH0734329 A JP H0734329A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】生体親和性に優れたリン酸カルシウム化合物の
連続した長繊維及びそれによるリン酸カルシウム系多孔
体を提供する。 【構成】リンP及びカルシウムCaをそれぞれ含む塩お
よびキレート化剤を、一の溶媒に溶かして沈澱の無い溶
液を調製する工程と、この溶液を粘度100ポイズ以上
の曳糸性物質に濃縮する濃縮工程と、その曳糸性物質を
紡糸する紡糸工程と、焼成する工程とを経ることを特徴
とするリン酸カルシウム系長繊維の製造方法。
連続した長繊維及びそれによるリン酸カルシウム系多孔
体を提供する。 【構成】リンP及びカルシウムCaをそれぞれ含む塩お
よびキレート化剤を、一の溶媒に溶かして沈澱の無い溶
液を調製する工程と、この溶液を粘度100ポイズ以上
の曳糸性物質に濃縮する濃縮工程と、その曳糸性物質を
紡糸する紡糸工程と、焼成する工程とを経ることを特徴
とするリン酸カルシウム系長繊維の製造方法。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、リン酸カルシウム系長
繊維の製造方法及びリン酸カルシウム系多孔体の製造方
法に関する。この長繊維及び多孔体は、整形外科、形成
外科、脳外科、口腔外科、歯科等の医療分野に於いて骨
補填部材として好適に利用され得る。
繊維の製造方法及びリン酸カルシウム系多孔体の製造方
法に関する。この長繊維及び多孔体は、整形外科、形成
外科、脳外科、口腔外科、歯科等の医療分野に於いて骨
補填部材として好適に利用され得る。
【0002】
【従来の技術】リン酸カルシウム化合物は生体親和性に
優れ、その焼結体は骨と化学的に結合あるいは骨に置換
される材料であることが知られている。
優れ、その焼結体は骨と化学的に結合あるいは骨に置換
される材料であることが知られている。
【0003】本発明者らは既に生体親和性が高く且つ高
強度なリン酸カルシウム焼成体の製造方法として、特公
昭60−50744号公報において、カルシウム/リン
原子比1.4〜1.75のリン酸カルシウム塩を主体とす
る粉末に、焼成後のリン酸カルシウム焼成体に対し0.
5〜15重量%のアルカリ土類金属酸化物−リン酸系フ
リットを含有せしめ焼成する方法を発案した。この方法
により生体親和性に優れ且つ機械的強度の高い人工骨材
料が得られた。これらの人工骨材料を生体に移植すると
骨組織と化学的に結合し、高強度のため容易に破損する
ことなく、良好な結果を示した。
強度なリン酸カルシウム焼成体の製造方法として、特公
昭60−50744号公報において、カルシウム/リン
原子比1.4〜1.75のリン酸カルシウム塩を主体とす
る粉末に、焼成後のリン酸カルシウム焼成体に対し0.
5〜15重量%のアルカリ土類金属酸化物−リン酸系フ
リットを含有せしめ焼成する方法を発案した。この方法
により生体親和性に優れ且つ機械的強度の高い人工骨材
料が得られた。これらの人工骨材料を生体に移植すると
骨組織と化学的に結合し、高強度のため容易に破損する
ことなく、良好な結果を示した。
【0004】また一般に、数十〜数百μmの気孔を有す
るリン酸カルシウム化合物は、緻密なリン酸カルシウム
化合物に比較して生体骨が侵入し易いことが古くより知
られている。セラミックス中に気孔を形成させる方法と
しては、古くより煉瓦を始めとした各種セラミックスの
多孔体製造方法が知られており、例えば原料中に有機物
やカーボンの可燃性気孔形成剤を導入する方法や、発泡
剤等を混入する方法が行われてきている。これらの方法
はそのままリン酸カルシウム系に適用可能であり、数十
〜数百μmの気孔を有する多孔体を調製できる。
るリン酸カルシウム化合物は、緻密なリン酸カルシウム
化合物に比較して生体骨が侵入し易いことが古くより知
られている。セラミックス中に気孔を形成させる方法と
しては、古くより煉瓦を始めとした各種セラミックスの
多孔体製造方法が知られており、例えば原料中に有機物
やカーボンの可燃性気孔形成剤を導入する方法や、発泡
剤等を混入する方法が行われてきている。これらの方法
はそのままリン酸カルシウム系に適用可能であり、数十
〜数百μmの気孔を有する多孔体を調製できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらこれらの
通常の多孔体の製造方法では、形成される気孔は連続し
た開気孔と成り難い。また部分的に連続した気孔が形成
されても、その気孔径が不連続、即ち気孔径の著しく狭
い部分が存在し、生体骨の増殖を妨げる結果となる。生
体材料の気孔としては、数十〜数百μmの径を有するだ
けでなく、各気孔が連続した一定の気孔径であることが
重要である。
通常の多孔体の製造方法では、形成される気孔は連続し
た開気孔と成り難い。また部分的に連続した気孔が形成
されても、その気孔径が不連続、即ち気孔径の著しく狭
い部分が存在し、生体骨の増殖を妨げる結果となる。生
体材料の気孔としては、数十〜数百μmの径を有するだ
けでなく、各気孔が連続した一定の気孔径であることが
重要である。
【0006】ところで、もし、リン酸カルシウム化合物
の連続長繊維が得られる様になれば、この様な多孔体が
調製できる可能性がある。例えば、リン酸カルシウム系
でもCa/P原子比<0.64ではガラス化が可能であ
るため、溶融ガラスをノズルから吹き出す製造方法によ
りガラス長繊維の製造が不可能ではない。しかし、リン
酸カルシウム系化合物で生体材料として有用な水酸アパ
タイト(Ca/P=1.67)や第三リン酸カルシウム
組成(1.5)では融点が高いので、溶融させてノズル
から吹き出させることは不可能である。
の連続長繊維が得られる様になれば、この様な多孔体が
調製できる可能性がある。例えば、リン酸カルシウム系
でもCa/P原子比<0.64ではガラス化が可能であ
るため、溶融ガラスをノズルから吹き出す製造方法によ
りガラス長繊維の製造が不可能ではない。しかし、リン
酸カルシウム系化合物で生体材料として有用な水酸アパ
タイト(Ca/P=1.67)や第三リン酸カルシウム
組成(1.5)では融点が高いので、溶融させてノズル
から吹き出させることは不可能である。
【0007】また原料粉末を含んだスラリーに有機バイ
ンダを添加して曵糸性を発現させ、紡糸し、焼成して長
繊維を調製する方法も知られているが、微細な原料粉末
を調製する必要があって複雑な製造プロセスが必要とな
り、更に水酸アパタイトや第三リン酸カルシウム系など
の緻密化が困難な組成系では更に困難である。
ンダを添加して曵糸性を発現させ、紡糸し、焼成して長
繊維を調製する方法も知られているが、微細な原料粉末
を調製する必要があって複雑な製造プロセスが必要とな
り、更に水酸アパタイトや第三リン酸カルシウム系など
の緻密化が困難な組成系では更に困難である。
【0008】従って、生体新和性に優れたリン酸カルシ
ウム化合物の連続した長繊維の製造は極めて困難であっ
た。本発明の目的は、このような課題を解決し、生体親
和性に優れたリン酸カルシウム化合物の連続した長繊維
及びそれによるリン酸カルシウム系多孔体を提供するこ
とにある。
ウム化合物の連続した長繊維の製造は極めて困難であっ
た。本発明の目的は、このような課題を解決し、生体親
和性に優れたリン酸カルシウム化合物の連続した長繊維
及びそれによるリン酸カルシウム系多孔体を提供するこ
とにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明リン酸カルシウム系長繊維の製造方法は、リン
P及びカルシウムCaをそれぞれ含む塩およびキレート
化剤を、一の溶媒に溶かして沈澱の無い溶液を調製する
工程と、この溶液を粘度100ポイズ以上の曳糸性物質
に濃縮する濃縮工程と、その曳糸性物質を紡糸する紡糸
工程と、焼成する工程とを経ることを特徴とする。以
下、本発明を詳細に記述する。
に本発明リン酸カルシウム系長繊維の製造方法は、リン
P及びカルシウムCaをそれぞれ含む塩およびキレート
化剤を、一の溶媒に溶かして沈澱の無い溶液を調製する
工程と、この溶液を粘度100ポイズ以上の曳糸性物質
に濃縮する濃縮工程と、その曳糸性物質を紡糸する紡糸
工程と、焼成する工程とを経ることを特徴とする。以
下、本発明を詳細に記述する。
【0010】[原料]本発明では、出発原料としてCa
及びPの塩とキレート化剤が用いられる。Ca及びPの
塩としては特に制限はなく各種の無機塩や有機塩が用い
られる。例えば無機塩としては、硝酸塩、塩化物、臭化
物、ヨウ化物、塩素酸塩、亜塩素酸塩、亜硝酸塩、亜硫
酸塩などが使用可能であり、有機塩としては、酢酸塩、
蓚酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、
イソ酪酸塩、マレイン酸塩などが使用可能である。ただ
し、沈澱の無い溶液を調製するためには、反応溶媒(水
あるいは有機溶媒)に充分な溶解性を持つものが高濃度
で操作できる点で好ましく、炭酸塩や硫酸塩では反応が
遅く好ましくない。
及びPの塩とキレート化剤が用いられる。Ca及びPの
塩としては特に制限はなく各種の無機塩や有機塩が用い
られる。例えば無機塩としては、硝酸塩、塩化物、臭化
物、ヨウ化物、塩素酸塩、亜塩素酸塩、亜硝酸塩、亜硫
酸塩などが使用可能であり、有機塩としては、酢酸塩、
蓚酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、
イソ酪酸塩、マレイン酸塩などが使用可能である。ただ
し、沈澱の無い溶液を調製するためには、反応溶媒(水
あるいは有機溶媒)に充分な溶解性を持つものが高濃度
で操作できる点で好ましく、炭酸塩や硫酸塩では反応が
遅く好ましくない。
【0011】本発明でのキレート化剤とは金属イオンに
配位してキレート化合物をつくる多座配位子をいう。ジ
メチルグリオキシム、ジチゾン、オキシン、アセチルア
セトン、グリシン、EDTA、NTAなどが用いられる
が、高い溶解度・反応性、及び特に良好な曵糸性を示す
点から特に好ましいのはEDTA(エチレンジアミン四
酢酸)であった。
配位してキレート化合物をつくる多座配位子をいう。ジ
メチルグリオキシム、ジチゾン、オキシン、アセチルア
セトン、グリシン、EDTA、NTAなどが用いられる
が、高い溶解度・反応性、及び特に良好な曵糸性を示す
点から特に好ましいのはEDTA(エチレンジアミン四
酢酸)であった。
【0012】[溶液調製工程]これらの出発原料を用い
て、曳糸性物質の前駆体となる沈澱の無い溶液を調製す
る。例えば、溶媒となる水にエチレンジアミン四酢酸ア
ンモニウム塩(EDTA)を溶解させた後、硝酸カルシ
ウム塩を加え充分に攪拌し反応させる。次にリン酸アン
モニウム塩を加え、再度充分に攪拌して反応させること
により、透明な沈澱の無い溶液を調製する。この際に沈
澱が残存すると、曵糸性が発現しない場合が多く、また
曵糸性が得られても糸切れを生じ易く好ましくない。
て、曳糸性物質の前駆体となる沈澱の無い溶液を調製す
る。例えば、溶媒となる水にエチレンジアミン四酢酸ア
ンモニウム塩(EDTA)を溶解させた後、硝酸カルシ
ウム塩を加え充分に攪拌し反応させる。次にリン酸アン
モニウム塩を加え、再度充分に攪拌して反応させること
により、透明な沈澱の無い溶液を調製する。この際に沈
澱が残存すると、曵糸性が発現しない場合が多く、また
曵糸性が得られても糸切れを生じ易く好ましくない。
【0013】またこの場合に、Ca及びPの塩だけを用
い、キレート化剤を用いない場合には、混合と同時に沈
澱が生じてしまい、曵糸性の透明溶液は得られなかっ
た。従ってキレート化剤が必須成分である。但し、カル
シウムCaを含む塩およびキレート化剤に代えて、カル
シウムCaイオンと多座配位子とが結合してなるキレー
ト化合物として市販されているものがあれば、それを用
いてもよい。
い、キレート化剤を用いない場合には、混合と同時に沈
澱が生じてしまい、曵糸性の透明溶液は得られなかっ
た。従ってキレート化剤が必須成分である。但し、カル
シウムCaを含む塩およびキレート化剤に代えて、カル
シウムCaイオンと多座配位子とが結合してなるキレー
ト化合物として市販されているものがあれば、それを用
いてもよい。
【0014】[曵糸性物質への濃縮及び紡糸工程]この
透明なCa−P系反応溶液を、100〜150℃で加
熱、あるいは40〜90℃で加熱と同時に減圧すること
により溶媒を徐々に除去する。すると溶液は濃縮しても
沈澱を生ずることなく、粘度が上昇し、粘調な透明溶液
が得られる。この溶液は曵糸性を示す。すなわち、この
溶液にガラス棒を付けて引き上げると連続した糸にな
る。
透明なCa−P系反応溶液を、100〜150℃で加
熱、あるいは40〜90℃で加熱と同時に減圧すること
により溶媒を徐々に除去する。すると溶液は濃縮しても
沈澱を生ずることなく、粘度が上昇し、粘調な透明溶液
が得られる。この溶液は曵糸性を示す。すなわち、この
溶液にガラス棒を付けて引き上げると連続した糸にな
る。
【0015】しかしながら、曵糸性が発現し長繊維が得
られても、曵糸性溶液の室温粘度が100ポイズに達し
ない場合には、得られた長繊維を加熱・乾燥した場合に
軟化して形状を保持できない。良好な長繊維が得られる
のは、曵糸性溶液の粘度が100ポイズ以上、更に好ま
しくは1000ポイズ以上である。この成形した長繊維
は、潮解性が高く、空気中の水分を吸って軟化して形状
が崩れ易いので、グローブボックス等の乾燥した雰囲気
中で操作するのが好ましい。また最も好ましい長繊維の
成形方法としては、曵糸性溶液を更に加熱・減圧して溶
媒の除去を進行させ、室温では透明な非晶質のほぼ固体
とする方法である(粘度測定不可能)。この透明ゲル状
固体は、40〜300℃程度に加熱すると軟化して粘調
な液体となって良好な曵糸性を示し、長繊維の製造が可
能となる。この方法で調製した長繊維は、更に高温で乾
燥・焼成しても形状がだれることなく、良好な焼成繊維
が得られ最も好ましい。
られても、曵糸性溶液の室温粘度が100ポイズに達し
ない場合には、得られた長繊維を加熱・乾燥した場合に
軟化して形状を保持できない。良好な長繊維が得られる
のは、曵糸性溶液の粘度が100ポイズ以上、更に好ま
しくは1000ポイズ以上である。この成形した長繊維
は、潮解性が高く、空気中の水分を吸って軟化して形状
が崩れ易いので、グローブボックス等の乾燥した雰囲気
中で操作するのが好ましい。また最も好ましい長繊維の
成形方法としては、曵糸性溶液を更に加熱・減圧して溶
媒の除去を進行させ、室温では透明な非晶質のほぼ固体
とする方法である(粘度測定不可能)。この透明ゲル状
固体は、40〜300℃程度に加熱すると軟化して粘調
な液体となって良好な曵糸性を示し、長繊維の製造が可
能となる。この方法で調製した長繊維は、更に高温で乾
燥・焼成しても形状がだれることなく、良好な焼成繊維
が得られ最も好ましい。
【0016】[焼成工程]成形した長繊維を電気炉にて
700〜1300℃程度の温度まで焼成すると焼結した
リン酸カルシウム化合物繊維が得られる。この焼成によ
り、有機物の燃焼除去及び非晶質相の結晶化が行われ
て、曵糸された非晶質体が、リン酸カルシウム系の結晶
質体の長繊維となる。
700〜1300℃程度の温度まで焼成すると焼結した
リン酸カルシウム化合物繊維が得られる。この焼成によ
り、有機物の燃焼除去及び非晶質相の結晶化が行われ
て、曵糸された非晶質体が、リン酸カルシウム系の結晶
質体の長繊維となる。
【0017】[組成]ここでリン酸カルシウム系化合物
中のカルシウム/リン(Ca/P)原子比は1.4〜1.
75であることが好ましく、その場合には700〜13
00℃の焼成により生体親和性に優れた水酸化アパタイ
ト相(以下、HAPともいう。HAP:Ca/P=1.
67)や第三リン酸カルシウム相(以下、TCPともい
う。TCP:Ca/P=1.5)とすることができる。
またHAP相とTCP相との混合結晶相となることが特
に好ましい。混合結晶相を生体内に補填すると第三リン
酸カルシウムが生体内に溶出して骨組織の成長を促進
し、更にこのTCPの溶出により新たに気孔が形成され
骨組織の侵入成長を容易なものとするからである。HA
PとTCPの構成比率は出発原料の調合割合のCa/P
比で制御できる。
中のカルシウム/リン(Ca/P)原子比は1.4〜1.
75であることが好ましく、その場合には700〜13
00℃の焼成により生体親和性に優れた水酸化アパタイ
ト相(以下、HAPともいう。HAP:Ca/P=1.
67)や第三リン酸カルシウム相(以下、TCPともい
う。TCP:Ca/P=1.5)とすることができる。
またHAP相とTCP相との混合結晶相となることが特
に好ましい。混合結晶相を生体内に補填すると第三リン
酸カルシウムが生体内に溶出して骨組織の成長を促進
し、更にこのTCPの溶出により新たに気孔が形成され
骨組織の侵入成長を容易なものとするからである。HA
PとTCPの構成比率は出発原料の調合割合のCa/P
比で制御できる。
【0018】尚、水酸アパタイトと第三リン酸カルシウ
ムとの結晶相構成比率は公知のX線回折法により求めら
れる。具体的には、CuKα線を用い、水酸アパタイト
の(2,1,1)面のピーク高さIHAPと第三リン酸カ
ルシウムの(0,2,10)面及び(2,1,7)面の
ピーク高さITCPとから次式により求めることができ
る。 CTCP={ITCP/(IHAP+ITCP)}×100 (%) CTCP:第三リン酸カルシウムの含有率 [多孔体の製造]こうして得られた長繊維を金型プレス
で成形し、更にその成形体を前記の曵糸性物質に漬けて
引き上げると、成形体中の繊維の重なり部分に曵糸性物
質が溜まる。続いて、再焼成することにより、曵糸性物
質が結合剤となって繊維同士が結合し、連続した数十〜
数百μmの気孔を有したリン酸カルシウム化合物の多孔
体が得られる。
ムとの結晶相構成比率は公知のX線回折法により求めら
れる。具体的には、CuKα線を用い、水酸アパタイト
の(2,1,1)面のピーク高さIHAPと第三リン酸カ
ルシウムの(0,2,10)面及び(2,1,7)面の
ピーク高さITCPとから次式により求めることができ
る。 CTCP={ITCP/(IHAP+ITCP)}×100 (%) CTCP:第三リン酸カルシウムの含有率 [多孔体の製造]こうして得られた長繊維を金型プレス
で成形し、更にその成形体を前記の曵糸性物質に漬けて
引き上げると、成形体中の繊維の重なり部分に曵糸性物
質が溜まる。続いて、再焼成することにより、曵糸性物
質が結合剤となって繊維同士が結合し、連続した数十〜
数百μmの気孔を有したリン酸カルシウム化合物の多孔
体が得られる。
【0019】また各単繊維を寄り合わせた複繊維、ある
いは布が調製可能となり、整形外科、形成外科等の医療
分野に極めて有効と考えられる。これらは、手術後の再
度の摘出手術が不要と考えられる。
いは布が調製可能となり、整形外科、形成外科等の医療
分野に極めて有効と考えられる。これらは、手術後の再
度の摘出手術が不要と考えられる。
【0020】
【作用】本発明において曵糸性の発現現象は、キレート
化剤またはこれに代わるキレート化合物を用いた場合に
のみ観察された特異な現象であり、直径数十〜数百μm
の長繊維が成形可能となった。
化剤またはこれに代わるキレート化合物を用いた場合に
のみ観察された特異な現象であり、直径数十〜数百μm
の長繊維が成形可能となった。
【0021】本発明でなぜ曵糸性が発現し長繊維が製造
されるのか現時点では定かではないが、リンとカルシウ
ムを含んだキレート系の有機・金属化合物が合成され曵
糸性を示したものと推察される。そして成形された長繊
維は、焼成により有機成分が燃焼分解し、リンとカルシ
ウムの無機物が水酸アパタイト(HAP)や第三リン酸
カルシウム(TCP)に結晶化したと思われる。
されるのか現時点では定かではないが、リンとカルシウ
ムを含んだキレート系の有機・金属化合物が合成され曵
糸性を示したものと推察される。そして成形された長繊
維は、焼成により有機成分が燃焼分解し、リンとカルシ
ウムの無機物が水酸アパタイト(HAP)や第三リン酸
カルシウム(TCP)に結晶化したと思われる。
【0022】
−実施例1− 蒸留水1l中に硝酸カルシウム0.040molを溶解
した。この溶液にエチレンジアミン四酢酸アンモニウム
塩(EDTA)0.064molを加えて1時間攪拌し
反応させた。この反応溶液にリン酸アンモニウムを0.
024mol加えて更に透明溶液となるまで攪拌した
後、120℃で乾燥し室温まで冷却すると透明な非晶質
体の固体が得られた。この段階でのCa/P原子比は、
1.67である。
した。この溶液にエチレンジアミン四酢酸アンモニウム
塩(EDTA)0.064molを加えて1時間攪拌し
反応させた。この反応溶液にリン酸アンモニウムを0.
024mol加えて更に透明溶液となるまで攪拌した
後、120℃で乾燥し室温まで冷却すると透明な非晶質
体の固体が得られた。この段階でのCa/P原子比は、
1.67である。
【0023】この透明な固体を再度200℃の乾燥器に
入れると軟化し、ガラス棒を漬けて引き上げると直径約
100μm前後の長繊維が成形できた。この長繊維の形
状を電子顕微鏡で50倍に拡大して観察した結果を図1
に示す。そのまま電気炉に入れて昇温速度5℃/分、1
100℃・1時間保持の条件で焼成すると、その結晶相
が水酸アパタイトである長繊維が得られた。
入れると軟化し、ガラス棒を漬けて引き上げると直径約
100μm前後の長繊維が成形できた。この長繊維の形
状を電子顕微鏡で50倍に拡大して観察した結果を図1
に示す。そのまま電気炉に入れて昇温速度5℃/分、1
100℃・1時間保持の条件で焼成すると、その結晶相
が水酸アパタイトである長繊維が得られた。
【0024】−実施例2− 蒸留水1l中に硝酸カルシウム0.039molを溶解
した。この溶液にエチレンジアミン四酢酸アンモニウム
塩(EDTA)0.039molを加えて1時間攪拌し
反応させた。この反応溶液にリン酸アンモニウムを0.
026mol加えて更に透明溶液となるまで攪拌した
後、120℃で乾燥し室温まで冷却すると透明な非晶質
体の固体が得られた。この段階でのCa/P原子比は、
1.50である。
した。この溶液にエチレンジアミン四酢酸アンモニウム
塩(EDTA)0.039molを加えて1時間攪拌し
反応させた。この反応溶液にリン酸アンモニウムを0.
026mol加えて更に透明溶液となるまで攪拌した
後、120℃で乾燥し室温まで冷却すると透明な非晶質
体の固体が得られた。この段階でのCa/P原子比は、
1.50である。
【0025】この透明な固体を再度200℃の乾燥器に
入れると軟化し、ガラス棒を漬けて引き上げると直径約
100μm前後の長繊維が成形できた。そのまま電気炉
に入れて昇温速度5℃/分、1100℃・1時間保持の
条件で焼成すると、その結晶相が第三リン酸カルシウム
である長繊維が得られた。
入れると軟化し、ガラス棒を漬けて引き上げると直径約
100μm前後の長繊維が成形できた。そのまま電気炉
に入れて昇温速度5℃/分、1100℃・1時間保持の
条件で焼成すると、その結晶相が第三リン酸カルシウム
である長繊維が得られた。
【0026】−実施例3− 蒸留水1l中に硝酸カルシウム0.40molを溶解し
た後、この溶液にエチレンジアミン四酢酸アンモニウム
塩(EDTA)0.65molを加えて1時間攪拌し反
応させた。この反応溶液にリン酸アンモニウムを0.2
5mol加えて更に透明溶液となるまで攪拌した後、1
20℃で乾燥・濃縮して透明な非晶質体の固体を得た。
この段階でのCa/P原子比は、1.60である。
た後、この溶液にエチレンジアミン四酢酸アンモニウム
塩(EDTA)0.65molを加えて1時間攪拌し反
応させた。この反応溶液にリン酸アンモニウムを0.2
5mol加えて更に透明溶液となるまで攪拌した後、1
20℃で乾燥・濃縮して透明な非晶質体の固体を得た。
この段階でのCa/P原子比は、1.60である。
【0027】この透明な固体を再度200℃の乾燥器に
入れると軟化し、ガラス棒を漬けて引き上げると直径約
100μm前後の長繊維が成形できた。そのまま電気炉
に入れて昇温速度5℃/分、1100℃・1時間の条件
で焼成すると、その結晶相が70%水酸化アパタイト相
−30%第三リン酸カルシウム相である長繊維が得られ
た。
入れると軟化し、ガラス棒を漬けて引き上げると直径約
100μm前後の長繊維が成形できた。そのまま電気炉
に入れて昇温速度5℃/分、1100℃・1時間の条件
で焼成すると、その結晶相が70%水酸化アパタイト相
−30%第三リン酸カルシウム相である長繊維が得られ
た。
【0028】−比較例1− 蒸留水1l中に硝酸カルシウムを0.040molを溶
解した後にエチレンジアミン四酢酸アンモニウム塩(E
DTA)を加えず、そのままリン酸アンモニウムを0.
024mol加えた以外は、実施例1と同じ条件で反応
させた。瞬時に白色沈澱が生じてしまい、濃縮しても曵
糸性は発現せず長繊維は成形できなかった。
解した後にエチレンジアミン四酢酸アンモニウム塩(E
DTA)を加えず、そのままリン酸アンモニウムを0.
024mol加えた以外は、実施例1と同じ条件で反応
させた。瞬時に白色沈澱が生じてしまい、濃縮しても曵
糸性は発現せず長繊維は成形できなかった。
【0029】
【発明の効果】本発明の長繊維及び多孔体は、上記の構
成を備えるので、生体親和性の良好な生体人工骨材料と
して有用である。特にこの繊維の凝集体は数十〜数百μ
mの気孔を有したリン酸カルシウム系人工骨材料とな
る。
成を備えるので、生体親和性の良好な生体人工骨材料と
して有用である。特にこの繊維の凝集体は数十〜数百μ
mの気孔を有したリン酸カルシウム系人工骨材料とな
る。
【0030】またこれらの各単繊維を寄り合わせたリン
酸カルシウム化合物の複繊維、更にはリン酸カルシウム
化合物の布が調製可能となり、整形外科、形成外科等の
医療分野に極めて有効と考えられる。これらは生体親和
性が高く、手術後の再度の摘出手術が不要となると考え
られる。
酸カルシウム化合物の複繊維、更にはリン酸カルシウム
化合物の布が調製可能となり、整形外科、形成外科等の
医療分野に極めて有効と考えられる。これらは生体親和
性が高く、手術後の再度の摘出手術が不要となると考え
られる。
【図1】実施例1のリン酸カルシウム系長繊維の電子顕
微鏡写真である。
微鏡写真である。
Claims (7)
- 【請求項1】 リンP及びカルシウムCaをそれぞれ含
む塩およびキレート化剤を、一の溶媒に溶かして沈澱の
無い溶液を調製する工程と、この溶液を粘度100ポイ
ズ以上の曳糸性物質に濃縮する濃縮工程と、その曳糸性
物質を紡糸する紡糸工程と、焼成する工程とを経ること
を特徴とするリン酸カルシウム系長繊維の製造方法。 - 【請求項2】 溶媒に溶かす順序が、第1番にカルシウ
ムCaを含む塩、第2番にキレート化剤、第3番にリン
Pを含む塩である請求項1に記載のリン酸カルシウム系
長繊維の製造方法。 - 【請求項3】 濃縮工程と紡糸工程との間に、曳糸性物
質を40〜300℃に加熱する工程を介在させる請求項
1又は2に記載のリン酸カルシウム系長繊維の製造方
法。 - 【請求項4】 キレート化剤がエチレンジアミン四酢酸
化合物である請求項1〜3のいずれかに記載のリン酸カ
ルシウム系長繊維の製造方法。 - 【請求項5】 リン及びカルシウムの原子比(Ca/
P)が1.4〜1.75である請求項1〜4のいずれかに
記載のリン酸カルシウム系長繊維の製造方法。 - 【請求項6】 カルシウムCaを含む塩およびキレート
化剤に代えて、カルシウムCaイオンと多座配位子とが
結合してなるキレート化合物を用いる請求項1〜5のい
ずれかに記載のリン酸カルシウム系長繊維の製造方法。 - 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の方法に
よりリン酸カルシウム系長繊維を製造し、それを加圧成
形し、その成形体を曳糸性物質に浸漬し、再焼成するこ
とを特徴とするリン酸カルシウム系多孔体の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP20039393A JP3269589B2 (ja) | 1993-07-19 | 1993-07-19 | リン酸カルシウム系長繊維の製造方法。 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP20039393A JP3269589B2 (ja) | 1993-07-19 | 1993-07-19 | リン酸カルシウム系長繊維の製造方法。 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0734329A true JPH0734329A (ja) | 1995-02-03 |
| JP3269589B2 JP3269589B2 (ja) | 2002-03-25 |
Family
ID=16423582
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP20039393A Expired - Fee Related JP3269589B2 (ja) | 1993-07-19 | 1993-07-19 | リン酸カルシウム系長繊維の製造方法。 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3269589B2 (ja) |
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2004284933A (ja) * | 2003-03-25 | 2004-10-14 | Mamoru Aizawa | 繊維状リン酸カルシウム |
| JP2007246299A (ja) * | 2006-03-13 | 2007-09-27 | Japan Science & Technology Agency | リン酸カルシウム透明体およびその製造方法 |
| CN104411869A (zh) * | 2012-06-20 | 2015-03-11 | 捷恩智株式会社 | 磷酸钙多孔体的制造方法、及利用所述制造方法获得的磷酸钙多孔体 |
| CN114395521A (zh) * | 2022-02-18 | 2022-04-26 | 南充市中心医院 | 一种空心磁性磷酸钙细胞微载体及其制备方法 |
-
1993
- 1993-07-19 JP JP20039393A patent/JP3269589B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (7)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2004284933A (ja) * | 2003-03-25 | 2004-10-14 | Mamoru Aizawa | 繊維状リン酸カルシウム |
| JP2007246299A (ja) * | 2006-03-13 | 2007-09-27 | Japan Science & Technology Agency | リン酸カルシウム透明体およびその製造方法 |
| CN104411869A (zh) * | 2012-06-20 | 2015-03-11 | 捷恩智株式会社 | 磷酸钙多孔体的制造方法、及利用所述制造方法获得的磷酸钙多孔体 |
| US9896782B2 (en) | 2012-06-20 | 2018-02-20 | Jnc Corporation | Method for producing porous calcium phosphate body |
| CN110042502A (zh) * | 2012-06-20 | 2019-07-23 | 捷恩智株式会社 | 羟磷灰石多孔体的制造方法、及利用所述制造方法获得的羟磷灰石多孔体 |
| CN114395521A (zh) * | 2022-02-18 | 2022-04-26 | 南充市中心医院 | 一种空心磁性磷酸钙细胞微载体及其制备方法 |
| CN114395521B (zh) * | 2022-02-18 | 2024-06-04 | 南充市中心医院 | 一种空心磁性磷酸钙细胞微载体及其制备方法 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP3269589B2 (ja) | 2002-03-25 |
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