JPH0740926B2 - 形質転換体およびペプチド前駆体タンパク質の製造方法 - Google Patents

形質転換体およびペプチド前駆体タンパク質の製造方法

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JPH0740926B2
JPH0740926B2 JP2271881A JP27188190A JPH0740926B2 JP H0740926 B2 JPH0740926 B2 JP H0740926B2 JP 2271881 A JP2271881 A JP 2271881A JP 27188190 A JP27188190 A JP 27188190A JP H0740926 B2 JPH0740926 B2 JP H0740926B2
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邦彦 山下
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、組換えDNA技術を利用して、複数のペプチド
を含むペプチド前駆体を得る上で有用な形質転換体およ
びペプチドを前駆体タンパク質の製造方法に関する。
[従来の技術と発明が解決しようとする課題] 現在、生理活性を有する数多くのペプチドホルモンが知
られ、またその医薬品又は試薬としてのニーズが高まっ
ている。近年、組換えDNA技術を用いて、ペプチドを微
生物により生産させることが可能となりつつある。この
組換えDNA技術では、通常、ペプチドをコードする遺伝
子と、他のタンパク質をコードする遺伝子とを連結した
ペプチド前駆体遺伝子を、宿主である大腸菌内で発現さ
せ、生成したペプチド前駆体に酵素又は薬剤を作用させ
て、目的ペプチドを切り出している。
しかしながら、大腸菌を宿主としてペプチド前駆体を製
造する場合には、次のような問題がある。
(1)大腸菌を宿主として使用する場合には、エンドト
キシンを生産するので、生産物からエンドトキシンを除
去しなければならない。
(2)大腸菌菌体内に生産したペプチド前駆体は、通
常、インクルージョンボディ(inclusion body)と称さ
れる不溶性の塊となる場合が多く、このインクルージョ
ンボディからペプチド前駆体を回収するには、尿素など
の可溶化剤で可溶化させる工程が必要である。ペプチド
前駆体からペプチドを酵素的作用などにより切り出す場
合、特に前記可溶化が重要である。しかしながら、この
工程はかなり煩雑であり、しかも可溶化効率が低い。例
えば、大腸菌により牛成長ホルモンを生産させ、生成し
たインクルージョンボディを、尿素を用いて可溶化させ
ると、可溶化率が10%であり、残りはインクルージョン
ボディを形成したままであることが報告されている[Sc
honer,R.G.,et al.,BIO/TECHNOLOGY,3,151-154(198
5)]。
(3)菌体内でペプチド前駆体を生産させると、菌体破
砕物から目的とするペプチド前駆体を精製する必要があ
る。この場合、大腸菌菌体中に存在する多種類の宿主由
来のタンパク質から目的とするペプチド前駆体を分離す
るためには、多くの精製工程を必要とする。
一方、菌体外にペプチド前駆体を分泌生産させる場合に
は、菌体内で生産させる場合よりも、宿主由来の夾雑タ
ンパク質が少ないため、目的とするペプチド前駆体の製
造に有利である。そこで、分泌タンパク質を多量に分泌
する性質を有し、病原性がなく、酵素、アミノ酸などの
工業的生産に広く利用されてきたバチルス属細菌を宿主
として、ペプチド前駆体を菌体外に分泌生産させること
が検討されている。特にバチルス属細菌の中でもバチル
ス・ズブチリスは、遺伝学的、生化学的な知見が多い。
また、その分泌能を利用し、バチルス・ズブチリスを宿
主として、多くの異種遺伝子産物を分泌生産させること
が報告されている。例えば、バチルス・ズブチリスのα
−アミラーゼ遺伝子を利用したマウス−β−インターフ
ェロンの分泌[Yamane,K.et al.,In J.A.Hoch and P.Se
tlow(ed.),Molecular biology of microbaial differ
entiation ,American Society for Microbiology,Washi
ngton,D.C.117-123(1985)]、バチルス・アミロリキ
ファシエンスのα−アミラーゼ遺伝子を利用した、スタ
フィロコッカス・アウレウスのプロティンAの分泌[St
ephen R.Fahnestock,et al.,Applied and Euvironmenta
l Microbiology,Feb.379−384(1987)]、ズブチリシ
ン遺伝子を利用した、大腸菌のβ−ラクタマーゼの分泌
[Sui−Lam Wang.,et al.,Journal of Bacteriology,Vo
l.168,No.2,Nov.1005−1009(1986)]およびヒト−α
−インターフェロンの分泌[Palva.I.et al.,Gene,22,2
29−235(1983)]などが報告されている。これらの報
告に見られるように、バチルス・ズブチリスを宿主とし
て、或る種の原核生物由来のタンパク質は効率よく分泌
生産される。例えば、スタフィロコッカス・アウレウス
のプロテインAの場合には、約1g/の分泌生産が認め
られる。
しかしながら、真核生物由来のマウス−β−インターフ
ェロンやヒト−α−インターフェロンの分泌の場合に
は、その分泌生産量は僅かである。例えば、ヒト−α−
インターフェロンの場合には、その分泌生産量が500μg
/程度である。
また、アミノ酸数の少ないペプチド若しくはその前駆体
の分泌生産に関して、バチルス・ズブチリスのズブチリ
シン遺伝子を用いた25アミノ酸からなる心房性利尿ホル
モン[human atrial natriuretic α−factor(hAN
F)]の分泌生産が報告されている[Lin−Fa Wang.,et
al.,Gene,69,39−47(1988)]。しかしながら、この場
合にも、分泌生産量が500μg/程度と低い。この主な
原因として、ペプチドの分泌阻害および枯草菌が分泌す
るプロテアーゼによる分解が考えられる。
これらのことは、バチルス・ズブチリスを宿主とする場
合には、真核生物由来のタンパク質又はペプチドなどを
菌体外に分泌生産させることが容易でないことを意味す
る。また、分泌生産されたタンパク質、ペプチド分子の
一部、若しくは全てのC−末端側が、宿主由来のプロテ
アーゼにより分解する可能性がある。従って、バチルス
・ズブチリスなどの微生物により、完全なアミノ酸配列
を有するペプチドを分泌生産させることは困難である。
本発明の目的は、真核生物由来のペプチドであっても、
完全なアミノ酸配列を有するペプチドを菌体外に効率よ
く多量に分泌生産する上で有用な形質転換体を提供する
ことにある。
本発明の他の目的は、完全なアミノ酸配列を有するペプ
チドをペプチド前駆体として効率よく多量に得ることが
できるペプチド前駆体タンパク質の製造方法を提供する
ことにある。
[発明の構成] 本発明者らは、上記目的を達成するため、鋭意検討の結
果、宿主微生物により菌体外に分泌されるタンパク質を
コードする遺伝子に、ペプチドをコードする遺伝子を複
数連結した遺伝子断片と、ベクターDNAとを連結し、得
られたプラスミドによりプロテアーゼ生産性の低い特定
の宿主微生物を形質転換する場合には、形質転換株の培
養により、完全なアミノ酸配列を有する複数のペプチド
を含むペプチド前駆体タンパク質が菌体外に効率よく多
量に生産することを見いだし、本発明を完成した。すな
わち、本発明は、宿主微生物により菌体外に分泌される
タンパク質をコードする遺伝子に、ペプチドをコードす
る遺伝子が複数連結した遺伝子断片と、ベクターDNAと
が連結しているプラスミドにより、宿主微生物が形質転
換された形質転換体であって、宿主微生物が、アルカリ
プロテアーゼ及び中性プロテアーゼの生産能を欠き、か
つプロテアーゼ活性が野生株の3%以下である枯草菌に
spoOA△677変異遺伝子を導入した宿主微生物である、形
質転換体を提供する。
また、本発明は、前記形質転換体を培養し、複数のペプ
チドを含むペプチド前駆体タンパク質を菌体外に分泌さ
せるペプチド前駆体タンパク質の製造方法を提供する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いるプラスミドは、宿主微生物により菌体外
に分泌されるタンパク質をコードする遺伝子を含んでい
る。前記タンパク質は、キャリアーとして機能し、宿主
微生物により菌体外に分泌されるタンパク質であればよ
い。好ましいタンパク質は、バチルス(Bacillus)属細
菌、特にバチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)
により分泌されるタンパク質である。バチルス・ズブチ
リスは、安全性が高く、菌体外にタンパク質を多量に分
泌する。
バチルス属細菌が菌体外に分泌するタンパク質には、バ
チルス属細菌が本来分泌するタンパク質、例えば、α−
アミラーゼ、中性又はアルカリ性プロテアーゼ、ペニシ
リナーゼ、セルラーゼなどに限らず、異種生物のタンパ
ク質、例えば、黄色ブドウ状球菌[スタフィロコッカス
・アウレウス(Staphylococcus aureus)]由来のプロ
テインAなども含まれる。好ましいタンパク質には、前
記プロテインAが含まれる。
以下、プロテインAについて説明する。
プロテインAは、遺伝子の発現に関与するプロモーター
領域とリボソーム結合部位とを有している。プロモータ
ー領域は、例えば、黄色ブドウ状球菌8325−4株[ウー
レンら、J.Biol.Chem.,259.1695(1984)]に由来し、
−131〜−120番目のヘアピン構造と−151〜−138番目の
パリンドローム配列とを有するプロモーターであっても
よいが、好ましいプロモーター領域は、本出願人が特開
昭63-245677号公報において提案した塩基配列で表され
る領域である。このプロモーター領域は、−300〜−番
目の配列に対応し、その特徴は、前記黄色ブドウ状球菌
8325−4株に由来するプロモーター領域となり、前記ヘ
アピン構造及びパリンドローム配列が存在しない点にあ
る。
プロモーター領域の下流(1〜108番目の塩基配列)に
は、分泌に関与するS領域をコードする遺伝子が存在
し、この分泌シグワル領域の下流(109〜1524番目の塩
基配列)には構造遺伝子が存在する。プロテインAの構
造遺伝子は、E(109〜276番目の塩基配列)、D(277
〜459番目の塩基配列)、A(460〜633番目の塩基配
列)、B(634〜807番目の塩基配列)、C(808〜981番
目の塩基配列)、およびX(982〜1524番目の塩基配
列)からなる6つのユニットで構成され、N末端から、
上記の順序に結合している。また、1525〜1552番目の塩
基配列はノンコーディング部分であり、1525〜1527番目
には終始コドンTAAが存在する。E領域は、プロテイン
AのN末端に存在するユニットであり、免疫グロブリン
G(IgG)との結合能力が比較的小さい。D、A、B、
及びC領域は、それぞれ1gGのFc部分との強い結合能力
を有し、X領域は、プロテインA分子を黄色ブドウ状球
菌の細胞壁に結合させる機能を有するユニットである。
このように、プロテインAは、IgGのFc領域と特異的に
結合する5つの繰返し領域と、細胞壁と結合する領域と
を有している。このことを利用して、Fc領域と特異的に
結合する領域の後に、目的とするペプチドを連結し、融
合タンパク質として発現させた後、アフィニティークロ
マトグラフィーで簡単に精製することができる。従っ
て、タンパク質をコードする遺伝子は、前記プロテイン
A中のIgGのFc部分に対して結合能を有する領域、特
に、プロテインAの成熱タンパク質中の440番目のアミ
ノ酸まで、すなわち、プロテインAの構造遺伝子中の44
0番目のアミノ酸(シグナルペプチドを除いて)であるA
spまでの領域が好ましい。また、タンパク質は、プロテ
インAの成熱タンパク質中の187番目のアミノ酸まで、
すなわち、プロテインAの構造遺伝子中の187番目のア
ミノ酸(シグナルペプチドを除いて)であるLeuまでの
領域が好ましい。
また、前記のように、黄色ブドウ状球菌のプロテインA
には、遺伝子の発現に関与するプロモーター、リボソー
ム結合部位、分泌シグナル及びタンパク質をコードする
領域が含まれている。従って、プロテインAを導入した
プラスミドは、分泌発現能を有し、タンパク質をコード
する領域の後に、ペプチドをコードする遺伝子を連結す
ると、タンパク質とペプチドを前駆体とからなるペプチ
ドを前駆体タンパク質を分泌発現する。
なお、タンパク質の大きさは、キャリアーとして機能す
る限り、タンパク質分子全体であってもよく、その一部
であってもよい。
また、前記タンパク質をコードする遺伝子は、生物由来
であってもよく、化学合成したものであってもよい。前
記遺伝子は、前記タンパク質の大きさに対応して、タン
パク質全体をコードしていてもよく、その一部をコード
していてもよい。
本発明で用いるプラスミドの特徴は、前記タンパク質を
コードする遺伝子に、目的ペプチドをコードする遺伝子
が複数連結したタンデム型遺伝子を含んでいる点にあ
る。
ペプチドは、天然のアミノ酸で構成される限り特に限定
されない。ペプチドの具体例としては、例えば、バソア
クティブ・インテスティナル・ポリペプチド[Vasoacti
ve Intestinal Polypeptide(VIP)]、必房性利尿ホル
モン(ANP)、インスリン、ガストリン、各種オピオイ
ドペプチド、上皮細胞成長因子、エンドセリン、サブス
タンスP、カルシトニン、インスリン様成長因子I,II、
ガラニン、モチリン、バソプレッシンなどの生理活性ペ
プチド、ヒルジン、エグリンC、分泌性白血球由来プロ
テア−ゼインヒビターなどの阻害剤などが挙げられる。
また、ペプチドには、ヒトアルブミン、血液凝固因子、
リンフォカイン、神経細胞成長因子、肝細胞再生因子な
どの各種の分化誘導因子、成長因子などのタンパク質も
ふくまれる。
好ましいペプチドには、VIPが含まれ、このVIPは28個の
アミノ酸残基からなり、血管拡張作用や血流増加作用な
どの薬理作用を有する[Science 169,1217(1970)]。
VIPは、下記のアミノ酸配列で表される。
H−His−Ser−Asp−Ala−Val−Phe−Thr−Asp−Asn−T
yr−Thr−Arg−Leu−Arg−Lys−Gln−Met−Ala−Val−L
ys−Lys−Tyr−Leu−Asn−Ser−Ile−Leu−Asn−OH このアミノ酸配列で表されるVIPは、17番目のアミノ酸
がLeuではなくMetである点で、先行技術文献[特開平1-
296996号公報およびEur.J.Biochem.178,343-350(198
8)]に記載のVIPと異なる。
また、VIPは、C末端にGly−X(式中、Xは、OH、Lys
−OH、Arg−OH、Lys−Arg−OH、またはArg−Lys−OHを
示す)が付加したVIP前駆体として使用するのが好まし
い。
複数のペプチドをコードする遺伝子は、生物から抽出し
てもよく、化学合成してもよい。なお、同種のペプチド
を連続した配列で、複数コードするような遺伝子は、一
般に知られていない。従って、複数個のペプチドをコー
ドする遺伝子として、化学合成した遺伝子を複数用いる
のが好ましい。また、複数のペプチドは、同種の複数の
ペプチドで構成されていてもよく、異種の複数のペプチ
ドで構成されていてもよい。
前記タンパク質をコードする遺伝子に連結される、ペプ
チドをコードする遺伝子の数は、2以上であればよい
が、通常、2〜20程度である。
前記ペプチドをコードする複数の遺伝子間には、酵素的
又は化学的に切断可能なスペーサー配列(アミノ酸配
列)が存在するのが好ましい。前記切断可能なスペーサ
ー配列を利用して、ペプチド前駆体からペプチド又はペ
プチドを含む断片を容易に切り出し、分離することがで
きる。なお、ペプチドを単離する際に、切断のためのス
ペーサー配列が必要でない場合には、スペーサー配列を
複数の遺伝子間に介在させる必要はない。
化学的に切断可能なスペーサー配列としては、例えば、
臭化シアンにより切断されるMet[C末端側が切断され
る。D.V.Goeddel,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA76,10
6−110(1979)]、BNPS−スカトール(Skatol)やN−
クロロスクシンイミド(NCS)により切断されるTrp[C
末端側が切断される。Y.Saito,et al.,J.Biochem.101,1
23−134(1987)]、70%ギ酸などの酸により切断され
るAsp−Pro[Asp−Pro間が切断される。Biochem.Biophy
s.Res.Commun.,40,1173(1970)]、ヒドロキシアミン
により切断されるAsn−Gly[Asn−Gly間が切断される]
などが挙げられる。
酵素的に切断可能なスペーサー配列には、例えば、トリ
プシン、エンドプロテイナーゼなどのトリプシン様酵素
により切断されるArg、Lys[Arg、LysのC末端側が切断
される。J.Shine,et al.,Nature,285,456−461(198
0)]、リジルエンドペプチダーゼ、エンドプロテイナ
ーゼLys−Cなどにより切断されるLys(LysのC末端側
が切断される。特開昭61−275222号公報)、V8プロテア
ーゼなどの酸性アミノ酸に特異的な酵素により切断され
るGlu、Asp(Glu、AspのC末端側が切断される。特公表
昭60−501391号公報)、血液凝固因子Xaにより切断され
るIle−Glu−Gly−Arg(C末端側が切断される。特開昭
61−135591号公報)、トロンビン(Thrombin)により切
断されるGly−Pro−Argなど(C末端側が切断される。
特開昭62−135500号公報)、カリクレイン(Kallikrei
n)により切断されるPhe−Arg[C末端側が切断され
る。特開昭62−248489H号公報]、プロリルエンドペプ
チダーゼにより切断されるPro[C末端側が切断され
る。Biochemistry,16,2942(1977)]、ウロキナーゼ
(urokinase)により切断されるGlu−Gly−Arg(C末端
側が切断される。特開平2-100685号公報)などが含まれ
る。
さらに、酵素的に切断可能なスペーサー配列には、ジペ
プチドLys−Arg、Arg−Arg、Arg−Lys、Lys−Lysが含ま
れる。これらのアミノ酸間を特異的に加水分解するプロ
テアーゼとしては、大腸菌(Escherichia coli)由来の
OmpTプロテアーゼ[プロテアーゼVII,K.Sugimoto,et a
l.,J.Bacteriol.170,5625−5632(1988)]、サルモネ
ラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)由来
のE−Protein[J.Grodberg and J.J.Dunn,J.Bacterio
l.171,2903-2905(1989)]、鎮痛ペプチドの生合成に
関与するプロテアーゼ[W.Demmer and K.Brand,Bioche
m.Biophys.Res.Commun.,138,356−362(1986)]などが
挙げられる。
前記スペーサー配列Arg−Lys、Arg−ArgのN末端側を特
異的に加水分解するプロテアーゼとしては、例えば、ソ
マトスタチンの成熟に関与するプロテアーゼ[P.Glusch
ankof,et al.,J.Biol.Chem.262,9615−9620(1987)]
などが挙げられる。
さらに、スペーサー配列Lys−Arg、Arg−ArgのC末端側
を特異的に加水分解するプロテアーゼとしては、例え
ば、IRCM−セリンプロテアーゼ(Serine Protease)1
[J.A.Cromlish,et al.,J.Biol.Chem,261,10850−10858
(1986)]、POMC−コンバーティングエンザイム(Conv
erting enzyme)[Y.P.Loh,et al.,J.Biol.Chem.260,71
94−7205(1985)]、酵母サッカロマイセス属[Saccha
romyces,K.Mizuno,et al.,Biochem.Biophys.Res.Commu
n.144,807−814(1987)]、クライベロマイセス属(Kl
uyveromyces)、スポロボロマイセス属(Sporobolomyce
s)、フィロバジジウム属(Filobasidium)、ハンゼヌ
ラ属(Hansenula)、イサチェンキア属(Issatchenki
a)、ピキア属(Pichia)、ロゾスポリジウム属(Rhodo
sporidium)、サッカロミコプシス属(Saccharomycopsi
s)由来のプロテアーゼ(特開平1−191683号公報、特
開平2−49585号公報)などが挙げられる。
これらのスペーサー配列の中で、前記酵母由来の塩基性
アミノ酸残基対特異的プロテアーゼによりC末端側を特
異的に加水分解できるLys−Arg、Arg−Arg、又はPro−A
rgが好ましい。
ペプチド前駆体を分泌させるために遺伝子が組込まれる
ベクターDNAは、宿主微生物により複製可能なDNAであれ
ばよいが、バチルス属細菌で複製可能なプラスミドのDN
Aであるのが好ましい。ベクターとしては、菌体外にタ
ンパク質を分泌する宿主に応じて、慣用のベクター、例
えば、スタフィロコッカス属由来のプラスミドpUB110、
pC194、pBD64、pE194、pSAO501、pT127およびこれらの
誘導体が挙げられる。好ましいベクターDNAは、プラス
ミドpUB110のDNAである。これらのプラスミドを有する
バチルス・ズブチリスは、いずれもオハイオ大学バチル
スストックセンター(住所:484,West 12th Avenue,Colu
mus Ohaio,43210U.S.A.)から入手できる。
本発明のプラスミドは、通常の連結技術、例えば制限酵
素を用いて切断したDNAとベクターDNAとをリガーゼを用
いて連結する制限酵素法、リンカー法などにより構築で
きる。すなわち、前記タンパク質をコードする遺伝子
と、ペプチドをコードする複数の遺伝子とが連結した遺
伝子断片に、発現のための制御部位である。プロモータ
ー、リボソーム結合部位及び分泌シグナルを結合し、得
られたDNA断片を、ベクターDNAに結合することにより、
プラスミドを構築できる。なお、プロモーター、リボソ
ーム結合部位、分泌シグナル及びタンパク質をコードす
る領域を含む前記プロテインAなどを用いる場合には、
プロモーター、リボソーム結合部位、分泌シグナル及び
タンパク質をコードする遺伝子を、ベクターに導入する
必要はない。
複数のペプチドをコードする遺伝子の構築、各遺伝子断
片の連結には、慣用の遺伝子操作法が利用できる。その
際、大腸菌の宿主ベクターなどを利用することもでき
る。例えば、タンデム型遺伝子の構築をVIPを例にとっ
て説明すると、次の通りである。複数のVIPをコードす
る遺伝子の構築には、VIP遺伝子の5′側に、制限酵素T
th111Iの切断認識塩基配列であるGACNNNGTCが存在する
ことを利用できる。前記制御酵素Tth111Iによる切断片
は、突出末端であるが、対称構造を有していないので、
制限酵素Tth111Iによる切断部位を利用して、ペプチド
をコードする複数の遺伝子を目的の方向に導入する切断
点として極めて有用である。すなわち、挿入するVIP遺
伝子として、5′側に制限酵素Tth111Iの切断部位を有
し、3′側に前記制限酵素の切断部位を有しない遺伝子
を合成する。一方、VIP遺伝子が導入されたプラスミド
を制限酵素Tth111Iで切断すると共に、5′側のリン酸
残基をアルカリホスファターゼにより除去し、前記挿入
するVIP遺伝子をDNAリガーゼにより連結する。得られた
ベクターにより大腸菌を形質転換すると共に、形質転換
株を培養し、2つのVIP遺伝子が導入されたプラスミド
を調製する。上記操作を繰返し行なうことにより、この
Tth111I切断部位を利用して、理論的には、何回でも、V
IP遺伝子のタンデム化が可能であり、複数のVIP遺伝子
が連結されたプラスミドを調製できる。
なお、制限酵素Tth111Iが認識する切断部位を、他のペ
プチドをコードする遺伝子の5′側に付加し、前記と同
様にして順次連結することにより、他のペプチドをコー
ドする遺伝子をタンデム化できる。
本発明の形質転換体は、前記プラスミドを宿主微生物に
移入し、宿主微生物を形質転換することにより得られ
る。宿主微生物としては、菌体外にタンパク質を分泌
し、遺伝学、生化学的な知見が多く蓄積され、かつ安全
性の高いバチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)
のうち、菌体外へのプロテアーゼ生産性を低下させた微
生物を用いる。このような菌株を前記プラスミドにより
形質転換する場合には、宿主に由来するプロテアーゼに
よる分解を著しく抑制でき、ペプチド前駆体を効率よく
多量に得ることができる。
プロテアーゼ生産性の低い枯草菌としては、アルカリプ
ロテアーゼ及び中性プロテアーゼの生産能を欠き、かつ
プロテアーゼ活性が野生株の3%以下である枯草菌バチ
ルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)に、spoOA△67
7変異遺伝子を導入した宿主微生物を用いる。このよう
な菌株には、例えば、特願平1−281440号において、本
発明者らが提案したように、バチルス・ズブチリス104H
L株[Biochem.Biophys.Res.Commun.,128;601−606,(19
85)]にspoOA△677変異遺伝子を導入したバチルス・ズ
ブチリスSP011株(微工研菌寄第10987号)、バチルス・
ズブチリスDY−16株(微工研菌寄9488号)にspoOA△677
変異遺伝子を導入したバチルス・ズブチリスSPL14株
(微工研菌寄第10988号)などが含まれる。
前記プラスミドによる宿主微生物の形質転換は、慣用の
方法、後えば、チャン(Chang)らのプロトプラスト化
法[Chang,S.,et al.,mol.Gen.Genet.,168,111-115(19
79)]などを利用して行なうことができる。
さらに、本発明の製造方法においては、前記形質転換体
を培養し、菌体外に、複数のペプチドを含むペプチド前
駆体タンパク質を分泌させる。形質転換体の培養は、ペ
プチド前駆体が分泌発現可能である限り、慣用の液体培
養に準じて行なうことができる。すなわち、形質転換体
の培養は、慣用の成分、例えば、無機塩、炭素源、窒素
源、増殖因子成分などを含む液体培地で、振盪培養又は
通気撹拌培養法により行なうことができる。培地のpH
は、例えば、7〜8程度である。培養は、微生物の培養
に採用される通常の条件、例えば、温度15〜45℃、好ま
しくは25〜40℃、培養時間6〜60時間程度の条件で行な
うことができる。より具体的には、例えば、500mlのヒ
ダ付き3角フラスコに100mlのMedium A培地[Stephen
R.Fahnestock.et al.,Applied and Environmental Mic
robiology,Feb.379−384(1987)]を入れ、前記形質転
換体を植菌し、37℃で15時間程度培養することにより、
複数のペプチドを含むペプチド前駆体タンパク質を菌体
外に多量に分泌させることができる。
培養上清を、分離精製手段、例えばアフィニティークロ
マトグラフィーに供することにより、培養液からペプチ
ド前駆体タンパク質を分離精製し、回収できる。回収し
たペプチド前駆体タンパク質に含まれるペプチドは、分
解されることなく、完全なアミノ酸配列を有している。
目的とするペプチドは、ペプチド前駆体タンパク質のス
ペーサー配列を化学的又は酵素的作用により切断するこ
とにより得ることができる。スペーサー配列を切断する
場合には、スペーサー配列のC末端側を切断するのが好
ましい。特に、酵母由来の塩基性アミノ酸残基対特異的
プロテアーゼによりスペーサー配列のC末端側を特異的
に加水分解するのが好ましい。なお、上記プロテアーゼ
は、スペーサー配列Arg−Lys、Lys−Lys配列を切断しな
いこと、酵母起源であるため大量に調製することが比較
的容易であること、一般に安全性が高いことなどの理由
から、特に好ましい。
プロテアーゼが、スペーサー配列を特異的に認識し、か
つスペーサー配列のC末端を特異的に加水分解する場合
には単独で使用できる。
また、(a)プロテアーゼが、スペーサー配列を特異的
に認識し、かつスペーサー配列のN末端又はスペーサー
配列間を特異的に加水分解する場合には、(b)スペー
サー配列のN末端から塩基性アミノ酸を遊離するアミノ
ペプチダーゼ及び/又はC末端から塩基性アミノ酸を遊
離するカルボキシペプチダーゼと組合せて、前記融合蛋
白質を処理することにより、ペプチドを得ることができ
る。
塩基性アミノ酸を特異的に認識し、スペーサー配列のC
末端側又はN末端側から塩基性アミノ酸を遊離するカル
ボキシペプチダーゼ又はアミノペプチダーゼは、このよ
うな特異性を有する酵素であれば、その起源を問わず使
用可能である。カルボキシペプチダーゼ、アミノペプチ
ダーゼとしては、例えば、カルボキシペプチダーゼB
(E.C.3.4.17.2)、カルボキシペプチダーゼE(エンケ
ファリン・コンベルターゼ)、カルボキシペプチダーゼ
N(E.C.3.4.17.3)、yscα[サッカロマイセス・セレ
ビジアエ由来のKEX1遺伝子産物;A.Dmochowska,et al.,C
ell,50,573−584(1987)]、アミノペプチダーゼB
(E.C.3.4.11.6)などが挙げられる。
得られたペプチドの分子量は、慣用の方法、例えば、ア
ガロースゲル電気泳動法、SDS−ポリアクリルアミドゲ
ル電気泳動法などにより測定でき、ペプチドの同定は、
そのアミノ酸配列を解析することにより行なうことがで
きる。
[発明の効果] 本発明のプラスミド、および該プラスミドで形質転換さ
れた形質転換株は、真核生物由来のペプチドであって
も、完全なアミノ酸配列を有するペプチドを効率よく多
量に分泌生産する。
本発明の製造方法では、完全なアミノ酸配列を有するペ
プチドをペプチド前駆体として効率よく多量に得ること
ができる。
[実施例] 以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。なお、実施例で用いた酵素は、いずれも寶酒造
(株)製の酵素であり、それらの仕様に記載されている
条件で反応を行った。
実施例1 バチルス・スブチリスを宿主としたペプチド前記駆体タ
ンパク質の生産 (1)プラスミドpMD200の構築 バチルス・ズブチリスを宿主とし、スタフィロコッカス
・アウレウスのプロテインA遺伝子を発現し、培養上清
中にプロテインAを分泌生産するプラスミドpMD200の構
築図を第1図に示す。
プロテインA遺伝子を含むプラスミドpDCP2411(特開昭
63-245677号公報参照)は、スタフィロコッカス・アウ
レウスの1菌株からクローニングしたプロテインA遺伝
子を、大腸菌で複製可能なプラスミドpUC118に連結した
プラスミドである。pDCP2411の取得法、およびpDCP2411
に含まれるプロテインA遺伝子の全塩基配列は、前記特
開昭63-245677号公報に詳細に記載されている。
このプラスミドを含む大腸菌形質転換株から、アルカリ
法[Sambrook.,et al.,Moleculer Cloning.,1,33(198
9)]によりpDCP2411を調製した。
pDCP2411を制限酵素EcoRIとBamHIとで切断し、生成した
プロテインA遺伝子を含む約1.9kbのDNA断片(以下、プ
ロテインA遺伝子断片という)をアガロースゲル電気泳
動法を用いて分離した後、電気溶出法を用いて溶出し、
精製した[Sambrook.et al.,Molecular Cloning,6,28
(1989)]。電気プロテインA遺伝子断片は、プロテイ
ンA遺伝子のプロモーター、リボソーム結合部位、分泌
のためのシグナル配列、およびプロテインAの構造遺伝
子を含んでいる。
次いで、ベクターとなるpUB110を制限酵素EcoRIとBamHI
とで切断し、生じた約3.7KbkbのDNA断片(以下、pUB110
ベクター遺伝子断片という)を、上記と同様にして、ア
ガロースゲル電気泳動法を用いて分離した後、電気溶出
法を用いて溶出し、精製した。
プロテインA遺伝子断片と、pUB110ベクター遺伝子断片
とを、T4DNAリガーゼを用いて連結し、プラスミドpMD20
0を構築した。
(2)VIPをコードする遺伝子を含むプラスミドの構築 VIP遺伝子を構築するため、VIPのアミノ酸配列に従っ
て、対応する遺伝子コドンを枯草菌のコドン使用頻度に
合せ、下記の8種類の遺伝子を、ABI430A DNA合成装置
で作製した。
T4−DNAキナーゼを用いて、それぞれの合成DNAの5′末
端にリン酸を付加した。また、プラスミドpUC19を制限
酵素Xba IとSph Iとで切断し、DNAリガーゼにより、
5′末端にリン酸を付加したそれぞれの合成DNAを、pUC
196Xba I−Sph I間に挿入し、VIP−Gly遺伝子を含むプ
ラスミドpMD321aを構築した。第2図にプラスミドpMD32
1aの構築図を示す。
得られたpMD321aにおける合成遺伝子部分の塩基配列お
よびアミノ酸配列を以下に示す。
この合成遺伝子部分は、VIP−Glyをコードする塩基配列
の前に存在する、血液凝固因子Xaの認識配列I1eGluGlyA
rg、BrCNにより切断されるMet、およびプロテインCの
認識配列ThrIlepheThrPheArgをコードする遺伝子より構
築されている。
また、VIP−Gly遺伝子の下流には、2つの終始コドン
(TAATAG)の後に、枯草菌のズブチリシンのターミネー
タ[M.Honjo.et al.,J.Biotechnology,2,75−85(198
5)]が存在する。
(3)5分子のVIPをコードする遺伝子を含むプラスミ
ドの構築 5分子のVIPをコードする遺伝子(以下、タンデム型VIP
遺伝子という)を含むプラスミドpMD321R5aの構築図を
第3図に示す。
pMD321aのVIP−Gly遺伝子の5′側には、制限酵素Tth11
1Iの切断認識塩基配列であるGACGCAGTCが存在する。一
方、第3図に示されるように、挿入するVIP遺伝子の
5′側にTth111I切断部位を残し、3′側が切断不能な
遺伝子を合成した。
また、タンデム化したVIP−Glyを切断して回収するた
め、塩基性残基対特異的プロテアーゼ(特開平2−4958
5号公報)による切断の認識配列であるLys−Argに対応
する遺伝子を導入し、第3図に示すように、タンデム化
のためのVIP−Gly−Lys−Arg遺伝子を合成した。
次いで、pMD321aをTth111Iで完全に切断し、アルカリホ
スファターゼにより、この5′側リン酸基を除去した。
そして、作製したタンデム化のためのVIP−Gly−Lys−A
rg遺伝子を混合し、DNAリガーゼにより連結した後、大
腸菌JM109株を形質転換した。
得られたアンピシリン耐性の形質転換株からプラスミド
遺伝子を調製し、目的通りVIP−Gly遺伝子が2個タンデ
ムに連結されたプラスミドpMD321R2aを構築した。
得られたpMD321R2aは、2個のタンデムに繁ったVIP−Gl
y遺伝子の5′領域付近にTth111Iによる切断点を唯一有
している。
そして、pMD321R2aをTth111Iで切断し、アルカリホスフ
ァターゼにより5′領域を脱リン酸化した後、タンデム
化のためのVIP−Gly−Lys−Arg遺伝子と混合し、DNAリ
ガーゼにより連結した後、大腸菌JM109株を形質転換し
た。得られたアンピシリン耐性形質転換株からプラスミ
ドを調製し、目的の遺伝子が3個タンデムに導入された
プラスミドpMD321R3aを得た。同様の操作をさらに繰返
し、5個のVIP−Gly遺伝子が、Lys−Argを介して、タン
デムに連結されたpMD321R5aを作製した。
(4)プラスミドpMD500R5の構築 バチルス・ズブチリスを宿主とし、5分子のVIPを含む
ペプチド前駆体(以下、ペプチド前駆体)という)を分
泌するプラスミドpMD500R5の構築を第4図に示す。
前記プラスミドpMD200を制限酵素Pst Iで切断した後、D
NAブランチングキット(Blunting Kit)を用いて末端を
平滑化し、さらに制限酵素Sph Iで切断し、約5.5Kbの断
片をアガロースゲル電気泳動法により精製し、タンデム
型VIP遺伝子を組込むためのベクターとした。
ベクターに組込むタンデム型VIP遺伝子は、前記プラス
ミドpMD321R5aを制限酵素Kpn Iで切断した後、DNAブラ
ンチングキットを用いて末端を平滑化し、さらに制限酵
素Sph Iで切断し、約0.5Kbの断片をポリアクリルアミド
ゲル電気泳動法により精製することにより取得した。こ
のDNA断片は、血液凝固因子Xa、及びプロテインCの認
識するアミノ酸配列をコードする遺伝子の下流に、タン
デム型VIP遺伝子が連結した構造を有している。また、
各VIP遺伝子のC末端には、VIPをアミド化するため、Gl
yをコードする遺伝子を連結している。さらに、VIP−Gl
yをコードする遺伝子の間には、ペプチドを前駆体タン
パク質からVIP−Glyを切断して回収するため、塩基性ア
ミノ酸残基特異的プロテアーゼの一種であるPBRS−プロ
テアーゼの認識配列Lys−Argをコードする遺伝子が挿入
されている。
次いで、ベクターDNAとタンデム型VIP遺伝子断片とをT4
リガーゼを用いて連結し、ペプチド前駆体タンパク質分
泌プラスミドpMD500R5を構築した。このpMD500R5は、バ
チルス・ズブチリスを宿主とし、プロテインAの1位か
ら402位、スペーサーとして血液凝固因子Xa及びプロテ
インCの認識配列に相当するアミノ酸配列を含むArg−G
ly−Ser−Ser−Arg−Val−Asp−Val−Ile−Glu−Gly−A
rg−Met−The−Ile−Phe−Thr−Phe−Arg、目的ペプチ
ドとしてVIPの生合成前駆体VIP−Glyを、Lys−Argを介
して、5分子結合した構造を有するプラスミドである。
(5)バチルス・ズブチリスを宿主としたペプチド前駆
体の生産 チャン(Chang)らの方法[Chang,S.,et al.,Mol.Gen.G
enet.,168,111−115(1979)]に従って、pMD500R5によ
りバチルス・ズブチリスSPL14(FERM P−10988)を形
質転換した。得られた形質転換株バチルス・ズブチリス
SPL14(pMD500R5)(微工研菌寄第11742号)により分泌
されるペプチド前駆体タンパク質中のVIP量を、次に示
す方法で測定した。
先ず、0.5Mコハク酸を含むメデァム(Medium)A倍地10
0mlを用いて、SPL14(pMD500R5)を37℃で16時間振盪培
養した。培養停止後、濃度が10mMになるようにプロテア
ーゼ阻害剤であるフェニルメチルスルホニルフルオライ
ド(PMSF)、EDTAを添加し、温度4℃、15000rpmの条件
で10分間遠心分離し、菌体を除いた。
培養上清を0.22μmのフィルターで濾過した後、2mlのI
gG−セファロース(Sepharose)ゲル(ファルマシア
(株)製)を充填したカラムに、5ml容量のシリンジを
用いて、得られた培養を上清2mlを注入し、ペプチド前
駆体タンパク質を精製した。カラムを20mlのTSTブァッ
フアー[50mMのトリス塩酸(pH7.6)、150mMのNaCl、0.
05%のツイーン(Tween)20]で洗浄した後、0.1M酢酸1
0ml(pH3.0)を用いてペプチド前駆体タンパク質を溶出
した。溶出液は、1/2倍量の0.2M重炭酸アンモニウム溶
液を用いて直ちに中和した。得られたペプチド前駆体タ
ンパク質溶出液を、限外濾過(分子量カット10000)の
フィルターを用いて濃縮した後、下記の条件で、逆相高
速液体クロマトグラフィーを用いて分取した。
カラム TSK ゲル Phenyl 5pPW−RP 内径4.6mm×7.5cm 流速 1.0ml/分 溶媒 A:0.05%トリフルオロ酢酸 B:0.044%トリフルオロ酢酸/60%アセトニトリル 傾斜 15.0〜38%/46分、2ml/% 次いで、VIP−Glyの酵素免疫測定法による定量は、「酵
素免疫測定法」(石川栄治他編集、医学書院)記載の方
法により行った。
先ず、VIPを用いてウサギを免疫し、抗VIP血清を得た。
この抗VIP血清より「酵素免疫測定法」の第83−92頁記
載のマレイミド−ヒンジ法により抗VIP−IgG、抗VIP−
F(ab′)、抗VIP−ペルオキシダーゼ標識−Fab′を
調製した。
酵素免疫測定法によるVIP−Glyの測定は、以下の手順で
行った。
ELISAプレート(96穴)に抗VIP−F(ab′)を吸着さ
せ、1%牛血清アルブミンでブロッキングした。このプ
レートに被試験液を添加したVIP−Glyを、固相に吸着し
た抗VIP−F(ab′)に結合させた後、洗浄し、更に
抗VIP−ペルオキシダーゼ標識−Fab2を添加し、固相に
結合したVIP−Glyをサンドイッチした。遊離の標識抗体
を除去した後、10mMオルト−フェニレンジアミン(OP
D)、0.025%過酸化水素、50mM酢酸ナトリウム緩衝液
(pH5.0)を含む反応液を添加し、ペルオキシダーゼの
反応により生成する色素を波長490nmの吸収で測定し
た。
標準物質として、アプライド・バイオシステムズ(AB
I)社勢のペプチド合成装置により固相合成し、逆相高
速液体クロマトグラフィーにより精製し、アミノ酸組成
を確認したVIP−Glyを用いた。
その結果、目的とするペプチド前駆体タンパク室が分泌
生産されており、ELISAにおいて、VIP活性を示したピー
クの波長214nmの吸収からタンパク質量を算出したとこ
ろ、塩基配列から予想されるVIP部分の分子量から、分
泌されたペプチド前駆体タンパク質に含まれるVIPは、
3.2mg/であった。
実施例2 バチルス・ズブチリスを宿主としたペプチド前駆体の生
産 pMD500R5により、前記バチルス・ズブチリスSPL14を実
施例と同様にして計質転換した。得られた形質転換株SP
L14(pMD500R5)により分泌されるペプチド前駆体タン
パク質を、以下のようにして精製した。
先ず、0.5Mコハク酸を含むMedium A倍地4を用い
て、SPL14(pMD500R5)を37℃で16時間浸透培養した。
培養停止後、濃度を10mMになるようにPMSF、EDTAを添加
し、4℃、5000rpmの条件で、30分間遠心分離し、菌体
を除いた。得られた培養上清を0.22μmのフィルターで
濾過した後、培養上清3.61mlを、300mlのIgG−セファロ
ースゲル(ファルマシア(株)製)を充填したカラムに
約6ml/分の流速で注入し、ペプチド前駆体タンパク質を
精製した。カラムを、実施例1と同様な組成のTSTブァ
ッフアー2.88を用い、流速4ml/分の条件で洗浄した
後、0.1M酢酸(pH3.0)を用いて、流速4ml/分の条件で
ペプチド前駆体タンパク質を溶出した。この時溶出液
は、1/2倍量の0.2M重炭酸アンモニウム溶液を用いて直
ちに中和した。得られたペプチド前駆体タンパク質溶出
液を、限外濾過(分子量カット10000)のフィルターを
用いて濃縮した後、ペプチド前駆体を以下の条件で分取
した。
カラム Phenyl−5PWRP 内径21.5mm×15cm 流速 6ml/分 溶媒 A:0.05%トリフルオロ酢酸 B:0.044%トリフルオロ酢酸/60%アセトニトリル 傾斜 27.5〜30%/50分、120ml/% そして、分取した成分を凍結乾燥することにより、目的
とする分子量64000のペプチド前駆体タンパク質を得
た。また、前記実施例1同様にして、波長214nmの吸収
からタンパク質量を算出したところ、4の培養液か
ら、約37mgのペプチド前駆体タンパク質が得られた。
参考例1 ペプチド前駆体タンパク質からのVIP−Gly−Lys−Argの
切り出し 分取したペプチド前駆体タンパク質100μgを、塩基性
アミノ酸残基対特異的プロテアーゼ(特開平2−49585
号公報)0.1mU[1Uは、30℃、50mMのトリス塩酸(pH7.
0)、0.1%のルブロール(Lubrol)PX、0.5mMのCaCl2
において、0.1mMのBoc−Gln−Arg−Arg−MCA(Bocはt
−ブトキシカルボニル基、MCAは4−メチルクマリル−
7−アミドを示す)と反応させる条件において、1分間
に1μモルのAMC(7−アミノ−4−メチル−クマリ
ン)を遊離する活性とした]と、50mMのトリス塩酸(pH
7.0)、1mMのCaCl2中で37℃で反応させた。反応時間6
時間における反応液を逆相高速液体クロマトグラフィー
を用いて分析し、出現した2つのピークを分取し、プロ
テインシ−クエンサーを用いてそのアミノ酸配列を解析
したところ、VIP−Gly−Lys−Arg、及びVIP−Glyと完全
に一致した。このことから、完全なアミノ酸配列を持つ
VIPを含むペプチド前駆体が、分泌生産されたことが判
明した。
参考例2 ペプチド前駆体タンパク質からVIP−Glyの切り出し 分取したペプチド前駆体タンパク質100μgを、塩基性
アミノ酸残基対特異的プロテアーゼ(特開平2−4958
5)0.1mU(1Uは、前記と同様な活性を意味する)と、カ
ルボキシペプチダーゼB(シグマ社製)10mU[1Uは、25
mMトリス塩酸(pH8.0)中において、1mMのBz−Gly−Arg
(Bzはベンジルオキシカルボニル基を示す)と25℃で反
応させる条件下において、1分間に1μモルのArgを遊
離する酵素活性とした]と、50mMのトリス塩酸(pH7.
0)、1mMのCaCl2中で37℃で反応させた。反応時間6時
間における反応液を逆相高速液体クロマトグラフィーを
用いて分析し、出現した2つのピークを逆相高速液体ク
ロマトグラフィーにより分取し、プロテインシークエン
サーを用いてそのアミノ酸配列を解析したところ、VIP
−Glyを完全に一致した。このことから、完全なアミノ
酸配列を持つVIPを含むペプチド前駆体が、分泌生産さ
れたことが判明した。
【図面の簡単な説明】
第1図はプラスミドpMD200の構築図、第2図はプラスミ
ドpMD321aの構築図、第3図はプラスミドpMD321R5aの構
築図、第4図はプラスミドpMD500R5の構築図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:125) (C12P 21/02 C12R 1:125) (56)参考文献 特開 昭60−500480(JP,A) 特開 平1−95798(JP,A) 特開 昭63−71195(JP,A) 特開 昭59−205996(JP,A) 実開 昭63−245677(JP,U) 国際公開89/5857(WO,A)

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】宿主微生物により菌体外に分泌されるタン
    パク質をコードする遺伝子に、ペプチドをコードする遺
    伝子が複数連結した遺伝子断片と、ベクターDNAとが連
    結しているプラスミドにより、宿主微生物が形質転換さ
    れた形質転換体であって、宿主微生物が、アルカリプロ
    テアーゼ及び中性プロテアーゼの生産能を欠き、かつプ
    ロテアーゼ活性が野生株の3%以下である枯草菌に、sp
    oOA△677変異遺伝子を導入した宿主微生物である、形質
    転換体。
  2. 【請求項2】タンパク質が、バチルス(Bacillus)属細
    菌により分泌されるタンパク質である請求項1記載の形
    質転換体。
  3. 【請求項3】バチルス属細菌により分泌されるタンパク
    質が、スタフィロコッカス・アウレス(Staphylococcus
    aureus)のプロテインAである請求項2記載の形質転
    換体。
  4. 【請求項4】ペプチドをコードする遺伝子が、バソアク
    ティブ・インテスティナル・ポリペプチド(Vasoctive
    Intestinal Polypeptide)をコードする塩基配列を含む
    請求項1記載の形質転換体。
  5. 【請求項5】ベクターDNAが、バチルス(Bacillus)属
    細菌で複製可能なプラスミドのDNAである請求項1記載
    の形質転換体。
  6. 【請求項6】バチルス属細菌で複製可能なプラスミド
    が、pUB110である請求項5記載の形質転換体。
  7. 【請求項7】宿主微生物が、バチルス・ズブチリス104H
    L株にspoOA△677変異遺伝子を導入したバチルス・ズブ
    チリスSP011株(微工研菌寄第10987号)、バチルス・ズ
    ブチリスDY−16株にspoOA△677変異遺伝子を導入したバ
    チルス・ズブチリスSPL14株(微工研菌寄第10988号)で
    ある請求項1記載の形質転換体。
  8. 【請求項8】形質転換体が、バチルス・ズブチリス(Ba
    cillus subtilis)SPL−14(PMD500R5)(微工研菌寄第
    11742号)である請求項1記載の形質転換体。
  9. 【請求項9】請求項1記載の形質転換体を培養し、複数
    のペプチドを含むペプチド前駆体タンパク質を菌体外に
    分泌させるペプチド前駆体タンパク質の製造方法。
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