JPH0741318A - 低ソーダアルミナの製造方法 - Google Patents

低ソーダアルミナの製造方法

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JPH0741318A
JPH0741318A JP5186281A JP18628193A JPH0741318A JP H0741318 A JPH0741318 A JP H0741318A JP 5186281 A JP5186281 A JP 5186281A JP 18628193 A JP18628193 A JP 18628193A JP H0741318 A JPH0741318 A JP H0741318A
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安人 浅野
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  • Compounds Of Alkaline-Earth Elements, Aluminum Or Rare-Earth Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 焼成温度が1,500℃以下であって、しか
も、得られる製品特性として、低温での焼結性が良好で
あり、かつ、この焼結時の収縮率が小さくて焼成温度の
変動に対して安定しており、高い寸法精度で種々のセラ
ミックス製品を製造することができる低ソーダアルミナ
の製造方法を提供する。 【構成】 バイヤー法で得られた水酸化アルミニウム及
び/又は遷移アルミナからなる原料アルミナ源に、弗化
物系鉱化剤を弗素として0.02〜0.3重量%及び平
均粒径1μm以下のα−アルミナ粉末を0.5〜10重
量%の割合でそれぞれ添加し、1,500℃以下の温度
で焼成する低ソーダアルミナの製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、低ソーダのアルミナ
を製造する方法に係り、更に詳細には、ソーダ分の含有
率が低く、焼成後の解砕が容易であり、また、比較的低
い温度で焼結し、しかも、焼結時の収縮率が広い温度領
域で安定的に低いアルミナを得ることができる低ソーダ
アルミナの製造方法に関するもので、特に、所望の粒径
範囲に制御された低ソーダアルミナの製造を可能とする
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミナはその化学的安定性や、優れた
機械的強度及び熱的安定性に基づく物理的特性に優れて
いるため、各種の機械部品や電気部品等に利用されてい
る。そして、このような工業的に使用されるアルミナ
は、その大半がバイヤー法により水酸化アルミニウムを
焼成して大量に生産されている。
【0003】しかるに、バイヤー法によって製造される
水酸化アルミニウムには、通常、ソーダ分がアルミナ換
算でNa2 Oとして0.2〜0.7重量%程度は不可避
的に含まれており、これが焼成アルミナにそのまま持ち
込まれると、たとえこの程度ではあっても、セラミック
ス原料としてスパークプラグやIC基板等の電気絶縁材
料等に使用された場合、絶縁不良や耐火性が低下する要
因となり好ましくない。そこで、従来においても、アル
ミナ中のソーダ分を除去する方法が種々検討され、この
ソーダ分の除去に伴ってアルミナ粉末の低ソーダ化に一
定の成果が得られている。
【0004】しかしながら、近年、このような低ソーダ
アルミナが用いられるIC基板やパッケージ等の電子材
料セラミックスの分野においては、その技術進歩が著し
く、単に低ソーダというだけでなく、アルミナ粒子の粒
径やその分布、低温焼結性、焼結時の低収縮率等の点に
おいても、高水準の特性を有するアルミナの開発が要請
されるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、バイヤー法で得られた水酸化アルミニウム及び/又
は遷移アルミナからなる原料アルミナ源を焼成して低ソ
ーダアルミナを製造するに際し、その焼成温度が1,5
00℃以下であって、しかも、得られる製品特性とし
て、低温での焼結性が良好であり、かつ、この焼結時の
収縮率が小さくて焼結温度の変動に対して安定してお
り、高い寸法精度で種々のセラミックス製品を製造する
ことができる低ソーダアルミナを製造する方法について
検討を進めた。すなわち、焼成温度を1,500℃以下
の低温にしてその製造コストの削減を可能とし、かつ、
生成するα−アルミナの適度の粒子成長を可能とし、更
に、焼成後の解砕処理が容易であるような低ソーダアル
ミナの製造方法の開発を目標とした。
【0006】しかるに、一般的に、焼成温度を1,55
0℃以下の低温にした場合、α結晶が充分に成長しない
ことが多く、これを解砕すると1μm以下の微粒粉末状
になり、このようにして得られた微粒粉末状のα−アル
ミナは、これを用いて所望の形状に成形し、焼結して種
々のセラミックス製品を製造する際における焼結時の収
縮率が大きく、高い寸法精度が要求されるようなセラミ
ックス製品、例えばIC基板等の製造には不向きである
とされている。
【0007】一方、原料アルミナ源を焼成する際に、鉱
化剤を添加するとα結晶の成長が促進され、この鉱化剤
の添加量を工夫することによって、1,500℃以下の
焼成温度でも充分にα−アルミナの結晶の成長を発現さ
せることは可能である。しかしながら、焼成時にこのよ
うな鉱化剤を添加すると、焼成炉内の僅かな温度分布等
の焼成条件により大きな影響を受け、高温帯域で粗大な
結晶が生成したり、一次粒子同士が融着して異形粒子が
生成する等、均一な粒子の成長を発現させることが困難
になり、粒度分布が2か所に偏在するいわゆる二山状の
粒度分布のものになり易いという問題が生じる。
【0008】更に、高アルミナ質焼結体を製造するのに
適したα−アルミナの1次粒子の粒径については、通
常、1.5〜5μmの範囲であるとされている。しかし
ながら、1,550℃以下の温度で鉱化剤を添加するこ
となく焼成しても、粒子の成長が遅くて1.5μm以上
のα−アルミナを得ることは困難であり、そこで一般的
には、焼成温度や、鉱化剤の添加又は無添加更にはその
添加量を調整し、これによって小さいものは1μmから
大きいものは10μm程度までの1次粒子で構成された
凝集粒子として製造されている。
【0009】また、ギプサイトのような水酸化アルミニ
ウムを焼成してα−アルミナを製造する際に、結晶化の
種子としてα−アルミナを添加し、低温焼結性の良好な
α−アルミナを得る方法も提案されている。しかしなが
ら、従来のこの種の方法で得られるα−アルミナは、そ
の粒子が微粒であって低温焼結性に優れているが、焼結
時における収縮率が大きく、焼結温度の変動や不均一に
よる寸法安定性に問題があって高い寸法精度が要求され
るようなセラミックス製品の製造には不向きである。
【0010】同様に、特開昭62−23061号公報に
は、バイヤー法における水酸化アルミニウムの溶解した
アルミン酸ナトリウム溶液に種子としてα−アルミナ粉
末を添加し、それにより析出して得られた水酸化アルミ
ニウムを焼成する方法が開示されており、また、特開昭
62−230615号公報には、上記方法により得られ
た水酸化アルミニウムを水熱処理してベーマイトに転化
し、これを焼成する方法が開示されている。しかしなが
ら、これら何れの方法も、得られるα−アルミナが微細
粒子であって上記特開昭62−128918号公報記載
の場合と同様の問題がある。
【0011】更に、特公昭63−35573号公報に
は、水酸化アルミニウム又はアルミナ粒子を原料とし、
これに弗化物系鉱化剤と酸化珪素含有粒子を添加する方
法が開示されている。しかしながら、弗素化合物を使用
した場合、比較的低温でα−アルミナに転移し、α結晶
粒子を成長させることができるので、粒子同士の独立性
が比較的良好になり、その結果として粉砕性が良好にな
るが、その添加量がある水準以上になると、急激な粒子
の成長が起こり、ソーダ分含有量が0.1重量%以下の
低ソーダアルミナ中でも5μm以上の大きな六角板状の
結晶が生成する。そして、この大きな六角板状結晶は、
α−アルミナ中に多量に存在すると、製品の焼結密度や
機械的強度が低下するので好ましくない。
【0012】以上のように、従来より提案されている弗
素化合物、塩素化合物、硼素化合物等の添加物の使用
は、水酸化アルミニウムあるいはアルミナ中に不可避的
に存在するソーダ分の除去には顕著な効果を発揮する
が、これら弗素化合物、塩素化合物、硼素化合物等がそ
れ自体で鉱化剤としての作用を有するが、前述のような
問題があり、これらの添加物の使用のみによっては本発
明が目標とする、焼成温度が1,500℃以下であっ
て、得られた製品特性として、低温での焼結性が良好で
あり、かつ、この焼結時の収縮率が小さくて安定してお
り、高い寸法精度で種々のセラミックス製品を製造する
のに適した低ソーダアルミナを製造することは困難であ
る。
【0013】そこで、本発明者らは、かかる観点に鑑み
て、上記目標の達成のために鋭意検討を重ねた結果、原
料アルミナ源中に弗化物系鉱化剤と所定のα−アルミナ
粉末とを同時に所定の割合でバランス良く添加して焼成
することで、良好な結果が得られることを見出し、本発
明を完成した。従って、本発明の目的は、焼成温度が
1,500℃以下であって、しかも、得られた製品特性
として、低温での焼結性が良好であり、かつ、この焼結
時の収縮率が小さくて安定しており、高い寸法精度で種
々のセラミックス製品を製造することができる低ソーダ
アルミナの製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、バ
イヤー法で得られた水酸化アルミニウム及び/又は遷移
アルミナからなる原料アルミナ源に、アルミナ換算の原
料アルミナ源に対して弗化物系鉱化剤を弗素として0.
02〜0.3重量%及び平均粒径1μm以下のα−アル
ミナ粉末を0.5〜10重量%の割合でそれぞれ添加
し、1,500℃以下の温度で焼成する低ソーダアルミ
ナの製造方法である。
【0015】本発明方法において使用する原料アルミナ
源は、バイヤー法で得られた水酸化アルミニウム及び/
又は遷移アルミナである。ここで、水酸化アルミニウム
としては、工業的に大量生産され安価に入手可能なバイ
ヤー法によって製造されるギブサイト型水酸化アルミニ
ウムを用いることが経済的に有利であり、通常の市販品
をそのまま、又は、予め酸洗浄等により脱ソーダ処理し
たものを供することができる。また、原料の遷移アルミ
ナについては、それを500〜1,000℃で焼成して
得られたα−アルミナを含まないものが用いられる(な
お、このものは「中間アルミナ」と称せられる場合もあ
る)。これらの水酸化アルミニウムと遷移アルミナと
は、そのいずれか一方を単独で使用できることは勿論、
その両者を適当な割合で混合して使用することもでき
る。これらは、その平均粒径が5〜150μmのものが
汎用的であり、アルミナ換算純度が99.6重量%以上
であって、全ソーダ含有量がNa2 O換算で0.05〜
0.4重量%のものが好ましい。
【0016】本発明方法においては、このような原料ア
ルミナ源に、アルミナ換算の原料アルミナ源に対して弗
化物系鉱化剤を弗素として0.02〜0.3重量%及び
平均粒径1μm以下のα−アルミナ粉末を0.5〜10
重量%の割合でそれぞれ添加して焼成する。ここで使用
する弗化物系鉱化剤としては、例えば、弗化アルミニウ
ム、弗化ナトリウム、氷晶石あるいは弗化マグネシウム
等の弗化物を挙げることができ、好ましくはその平均粒
径が100μm以下、より好ましくは60〜100μm
のものである。平均粒径が100μmより大きいときに
は、粉砕してから使用しないと、添加効果が十分に発揮
されない。また、これら弗化物系鉱化剤の添加量は、原
料アルミナ源のアルミナ換算量に対して、弗素として
0.02〜0.3重量%、好ましくは0.05〜0.2
重量%がよい。弗化物系鉱化剤の添加量が多すぎると、
六角板状の結晶ができやすくなり、製品アルミナの焼結
特性が損なわれる。反対に、その添加量が少なすぎる
と、焼成時に原料アルミナ源からα−アルミナ粒子への
成長を促進する効果が不足する。
【0017】また、上記弗化物系鉱化剤と共に使用する
α−アルミナ粉末については、その平均粒径が1μm以
下、好ましくは0.3〜1.0μmであることが必要で
ある。この平均粒径が小さければ小さいほど、同じ添加
量(重量)中における粒子の個数が多くなり、添加効果
が向上する。また、この平均粒径が1μmを越えると、
添加量を増やさないと所望の効果が得られないと共に、
均一に混合され難いという問題が生じる。一方、余りに
も細かくするとコスト上昇を招くので好ましくない。こ
のα−アルミナ粉末の添加量は、0.5〜10重量%の
範囲が好ましく、0.5重量%以下では添加効果が不十
分であると共に、10重量%を越えて添加すると望まし
い粒子の成長が発現し難くなるので好ましくない。な
お、ここで用いるα−アルミナ粉末は、例えば、バイヤ
ー法で得られた水酸化アルミニウムを、静置炉を用いて
1,150〜1,200℃、約5時間の条件で焼成する
ことにより得ることができる。
【0018】上記原料アルミナ源中にα−アルミナ粉末
を添加する方法については、全体を均一に混合できるも
のであれば特に制限されるものではなく、例えば、全
体を粉末の状態でドライブレンドする方法、α−アル
ミナ粉末をスラリーにして原料アルミナ源中に均一に分
散させる方法、原料アルミナ源及びα−アルミナ粉末
を水又は有機溶媒中でスラリー状に混合してこれを濾過
脱液する方法等が挙げられる。そして、上記のα−ア
ルミナ粉末をスラリーにして原料アルミナ源中に分散さ
せる場合、使用するスラリー媒体は水でも有機溶媒(エ
チルアルコール、トルエン、アセトン等)でもよく、ま
た、必要に応じて適当な分散剤(クエン酸等)を使用し
てもよい。このスラリーの添加に際しては、ノズル等で
霧状にして添加してもよいし、スクリュウフィーダー等
で原料アルミナ源を切り出しながら添加してもよい。
【0019】このように原料アルミナ源中にα−アルミ
ナ粉末を均一に分散させるために用いる装置について
も、粉末をままこの状態にしないように混合できる装置
であればよく、例えば、モルタルミキサー、ミックスマ
ラー(新東工業)、ロッキングミキサー(愛知電機)、
ヘンシェルミキサー(三井三池工業)等の混合機を使用
することができる。なお、上記弗化物系鉱化剤の添加
は、原料アルミナ源とα−アルミナ粉末の混合前に添加
しても、混合後に添加してもその効果は変わらないが、
より均一に混合するためにはα−アルミナ粉末の上記ス
ラリー中に添加するのがよい。
【0020】ところで、本発明方法で使用する原料アル
ミナ源が、もしソーダ分をアルミナ換算でNa2 Oとし
て0.1重量%以上含有する場合には、この原料アルミ
ナ源中に塩素換算量として2重量%以下、好ましくは
0.1〜1.0重量%の割合で塩化物系脱ソーダ剤を添
加して焼成する。ここで用いる塩化物系脱ソーダ剤とし
ては、それが加熱された際にソーダ分と反応してこのソ
ーダ分を補足し除去できるものであればよく、例えば、
塩酸、塩化アルミニウム、塩化マグネシウム等の塩化物
が挙げられ、これらはその1種のみを単独で用いてもよ
いほか、2種以上の混合物として用いてもよい。また、
この塩化物系脱ソーダ剤の添加量については、2重量%
より多く添加してもよいが、多量に添加する効果が得ら
れないばかりでなく、焼成時に廃ガス中の塩化水素濃度
が高くなり、使用設備を腐食する場合があるので好まし
くない。
【0021】なお、これらの塩化物系脱ソーダ剤は、脱
ソーダ剤としての機能のほかに、例えばトンネル炉、シ
ャトル炉、電気炉、その他の静置炉(以下、これらを
「静置炉」と称する)中で生じる原料アルミナ源の焼成
時においてその吹きこぼれ防止剤としての機能も発揮す
る。また、塩化物系脱ソーダ剤の添加混合は、原料アル
ミナ源とα−アルミナ粉末の混合前でも、混合後でもよ
く、また、弗化物系鉱化剤の添加後前のいずれでもよ
く、これによってその効果に変わりはない。この塩化物
系脱ソーダ剤は、上記スラリー中に添加してもよいが、
この場合はスラリーのpHが酸性になる場合があるの
で、それに適した分散剤を選択しなければならない。更
に、その他の脱ソーダ剤としてシリカ系の物質を共存さ
せることも有効であるが、これらの脱ソーダ剤の使用に
よっては、上記静置炉中での原料アルミナ源の焼成時の
吹きこぼれ防止剤としての効果は得られない。
【0022】本発明方法においては、上記原料アルミナ
源、弗化物系鉱化剤及びα−アルミナ粉末を均一に混合
して得られた混合物あるいはこれらに更に塩化物系脱ソ
ーダ剤を均一に混合して得られた混合物を通常1,50
0℃以下、好ましくは1,100〜1,500℃で焼成
する。この焼成温度が1,500℃を越えて高くなる
と、逆に生成粒子が大きくなりすぎて粉砕性が悪くなり
好ましくない。なお、焼成温度が1,100〜1,50
0℃の範囲であれば、弗化物系鉱化剤の蒸気圧が適正に
維持されてα−アルミナ粒子の成長が促進され、粒子が
微細になりすぎるという問題も発生しない。この焼成に
は、例えば、ロータリーキルン、流動層焼成炉、気流焼
成炉又は静置炉等を用いることができ、また、炉中焼成
容器に充填して焼成する方法も適用できる。これらの炉
が冷却されることなく連続して焼成できる構造であれば
適宜組み合わせて使用することもできる。この焼成炉中
での最高温度域での保持時間は、焼成炉の形態と伝熱速
度の関係で異なるが、通常は数分から15時間が好まし
い。
【0023】このようにして得られた生成アルミナを解
砕する方法については、特に制限されるものではなく、
通常使用されている粉砕機、例えばボールミル、振動ミ
ル、ジェットミル等を用いて行うことができ、これによ
って目的とする低ソーダアルミナを得ることができる。
この場合、例えば同一のボールミルによる解砕処理を行
うとき、後述の実施例1〜3の場合には解砕処理時間が
60分程度でほぼ一定の平均粒径になるが、比較例2の
場合にはほぼ一定の平均粒径になるまでに240分以上
でないと一定にならない。
【0024】本発明方法により得られる低ソーダアルミ
ナは、6μm以上の粗大な粒子や異形な粒子を含まず、
平均粒径が0.5〜3.0μmの範囲内にあり、しか
も、大部分の粒子が目標とする粒子径を中心として±
1.5μmの範囲内に属し、かつ、その範囲内でほぼ均
等に分布している。そして、この結果、本発明方法で得
られた低ソーダアルミナは、高い密度で成形体を得るこ
とができ、低温での焼結性が良好であり、かつ、この焼
結時の収縮率が小さくて安定しており、高い寸法精度で
種々のセラミックス製品を製造するための低ソーダアル
ミナとして最適である。また、得られるアルミナは、ソ
ーダ濃度が0.02〜0.06重量%であり、十分に低
レベルのものである。
【0025】
【作用】本発明方法において、かかる特性を有する低ソ
ーダアルミナが得られる理由は明確ではないが、以下の
通りであると考えられる。すなわち、バイヤー法による
水酸化アルミニウム及び/又は遷移アルミナと平均粒径
が1μm以下のα−アルミナ粉末を共存させた状態で、
900℃以上の温度の下で弗化物系鉱化剤を作用させる
と、遷移アルミナ(水酸化アルミニウムが昇温中に変化
したものを含む)がα−アルミナに転移す過程で、共存
している添加α−アルミナ粉末の表面に選択的に物質移
動が起こり、この添加α−アルミナの粒子が成長する。
そして、この作用は、弗化物系鉱化剤の添加量が多い程
著しく、焼成温度が高い程著しい。また、共存させたα
−アルミナ粉末の個数が多い程成長するα−アルミナの
粒子径が小さくなる傾向がある。ここで、図1はシャト
ル炉での焼成におけるこのような関係を示しており、弗
化物(ここでは、弗化アルミニウム)と平均粒径が1μ
m以下のα−アルミナ粉末のそれぞれの添加量(重量
%)、及び焼成温度と時間を適宜に選択することによ
り、目標とする平均粒径(Dp 50)と一次粒子の粒度
分布を有する所望のα−アルミナを得ることができるこ
とを示している。
【0026】また、本発明方法で得られた上記特徴を有
する低ソーダアルミナをセラミックス原料として使用す
ると、その焼結温度が低く、このために高い焼結密度が
得られ、かつ、焼結による収縮率が焼結炉中での焼結温
度の変動や不均一に左右されずに安定的に低収縮率の焼
結体が得られる。この理由は、定かではないが、次のよ
うに考えることができる。すなわち、焼結時に焼結体の
全体で焼結の進行に伴う気孔の消滅と焼結粒子の成長に
よる粒界歪みの発生とが同時平行的に生じ、これによっ
て焼結時の収縮が抑制され、部分的な異常粒成長の発生
がなくて広い焼結温度範囲で収縮の安定性が保たれるも
のと考えられる。
【0027】なお、図4に示すとおり、成型したシート
の焼結による収縮率の差異は電気炉の焼結温度の155
0℃と1650℃の間で0.2%以下と低くなってお
り、α−アルミナ粉末を添加しないで、弗化物のみを添
加した場合は0.4〜0.6%と顕著な差異が認められ
る。また、焼成温度が1,500℃以下であるので、生
成するα−アルミナ同士の融着がほとんどみられず、容
易に解砕されて一次粒子状態になる。
【0028】
【実施例】以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明
を具体的説明する。なお、本発明は、これらの実施例及
び比較例によって何ら限定されるものではない。以下の
実施例及び比較例において使用した試料は何れも下記
(1)試料調製の方法により調製し、得られたα−アル
ミナの粒度分布をセディグラフにより測定した。結果を
図2に示す。次に、これら実施例及び比較例で得られた
低ソーダアルミナの焼結特性の測定は、何れも下記
(2)焼結試験及び(3)特性測定の方法に従って行っ
た。この(3)特性測定の結果を図3及び図4に示す。
【0029】 (1)試料調製 原料アルミナ源(バイヤー法による水酸化アルミニウム) (A) (B) 全ソーダ(Na2 O換算、重量%) :0.20 0.10 その他金属不純物(酸化物換算、重量%):0.05 0.05 付着水分(重量%) :0.1 0.1 平均粒径(篩粒度、μm) :70 70 α−アルミナ粉末 全ソーダ(Na2 O換算、重量%) :0.05 その他金属不純物(酸化物換算、重量%):0.05 平均粒径(セディグラフ法、μm) :0.5 真比重 :3.92
【0030】平均粒径1μm以下のα−アルミナ粉末の
スラリーは次のような手順で調合した。上記平均粒径
0.5μmのα−アルミナ粉末100重量部と純粋水5
0重量部の混合物にクエン酸0.4重量部を加え、これ
に弗化物系鉱化剤として弗化アルミニウムの所定量を添
加した。原料の水酸化アルミニウム及び/又は遷移アル
ミナ中に含有されるソーダ分がNa2 O換算量として
0.1重量%以上の場合には、更に塩化物系脱ソーダ剤
として塩化アルミニウムの所定量を添加した後、ナイロ
ンコーティングした鋼球を使用して、ナイロン製の回転
ミル中で20時間混合してスラリーを得た。
【0031】次に、このようにして得られたα−アルミ
ナ粉末のスラリーを上記原料アルミナ源と共にミックス
マラーに投入し、15分間混合した後、得られた混合物
を焼成炉に移し、所定の温度で焼成して焼成α−アルミ
ナを得た。この焼成α−アルミナ各1kgを分取したも
のを内容積5.4リットルのポットを有する振動ボール
ミルに入れ、20mmφのアルミナボール7,500k
gを入れて4時間解砕処理し、特性測定用試料の低ソー
ダアルミナを得た。なお、上記弗化物系鉱化剤及び塩化
物系脱ソーダ剤の添加は、このミックスマラー中で行っ
てもよく、また、焼成については、混合物をシャモット
質等の容器に充填して焼成することも有効な方法であ
る。
【0032】(2)焼結試験 次に、このようにして得られた低ソーダアルミナを使用
し、次のようにしてこれを成形し、焼成して焼結体を調
製した。解砕して得られたα−アルミナ480重量部、
シリカ12重量部、マグネシア2重量部、及びカルシア
6重量部をポットミル中に投入し、これに通常使用され
る分散剤や有機溶媒を加えて約16時間回転混合した
後、可塑剤、結合剤あるいは有機溶媒を加えて更に5時
間混合した。得られたスラリーを脱泡し、津川精機製作
所のDP−150型シート成形機を用いて、ゲート高1
mm、フィルム速度178mm/分でシートを成形し
た。成形されたシートを昼夜自然乾燥した後に50×4
0mmの寸法に打ち抜き、更にこれを90℃で約2時間
乾燥させて生シートを得た。得られた生シートを適当な
枚数重ね合わせてセッターの上に置き、ケラマックス発
熱体電気炉中で所定の温度にまで昇温し、約2時間保持
して焼結シートを得た。
【0033】(3)特性測定 上記(1)試料調製で得られた低ソーダアルミナについ
て下記の方法によりその加圧かさ密度(成形密度)を測
定すると共に、上記焼結シートについて下記の方法によ
りその焼結特性を測定した。 加圧かさ密度:解砕処理して得られた低ソーダアル
ミナの粉末を、成形圧力1,000kg/cm2 で20
mm×40mm×8mmの大きさの板状に成形し、寸法
法により成形密度(加圧かさ密度)を測定した。 焼結密度:上記生シートを所定の温度で焼成し、得
られた焼結シートについて、その密度をアルキメデス法
で測定した。 収縮率:上記生シートの長さ(L0 )と所定の温度
で焼成して得られた焼結シートの長さ(LS )とから次
式により線収縮率を算出して求めた。 線収縮率(%)={(L0 −LS )/L0 }×100
【0034】実施例1 ソーダ分をNa2 Oとして0.2重量%含有するバイヤ
ー法による水酸化アルミニウム150kgに、平均粒径
0.5μmのα−アルミナ粉末5重量%を含有するスラ
リー7.4kgと、弗化アルミニウム(平均粒径60μ
m、純度99重量%)0.1kgと、塩素換算で19重
量%を含有する塩化アルミニウム水溶液5.2kgと
を、上記(1)試料調製の処方に従って添加し混合した
後、得られた混合物をシャモット質容器に充填し、天然
ガスを熱源とするシャトル炉中で1,350℃、10時
間の条件で焼成し、得られた焼成α−アルミナを解砕し
て平均粒径2.1μmでソーダ(Na2 O)濃度0.0
3重量%のα−アルミナを得た。得られたα−アルミナ
の粒度分布を測定した。結果を図2に示す。
【0035】このα−アルミナについて、上記の(2)
焼結試験及び(3)特性測定に従って生シートを作成
し、これを焼結して焼結シートとし、加圧かさ密度、焼
結密度及び収縮率を測定した。結果は、図4及び図5に
示す通りであり、成形体の加圧かさ密度は2.29g/
cm3 、焼結シートの焼結密度は3.73g/cm
3 (1,550℃)及び焼結による線収縮率は14.9
%(1,550℃)であった。
【0036】実施例2 この実施例2では、焼成炉として重油を熱源としたトン
ネルキルン炉を使用して焼成したこと、及び、同炉中
1,350℃で10時間焼成処理したこと以外は、全て
上記実施例1と同じ手順に従って実施した。得られたα
−アルミナの粒度分布は図2に示す通りであり、ソーダ
(Na2 O)濃度は0.03重量%であった。また、そ
の焼結特性は図4及び図5に示す通りであった。加圧か
さ密度は2.32g/cm3 、焼結体の密度は3.74
g/cm3 (1,550℃)及び焼結による線収縮率は
14.6%(1,550℃)であった。
【0037】実施例3 ソーダ分をNa2 Oとして0.1重量%含有するバイヤ
ー法による水酸化アルミニウム150kgに、平均粒径
0.5μmのα−アルミナ粉末5重量%を含有するスラ
リー7.4kgと弗化アルミニウム0.1kgとを上記
(1)試料調製の手順によって添加し混合した後、灯油
を熱源とする1段の気流加熱装置を備えたロータリー炉
を使用し、焦点部のアルミナ温度1,500℃で0.5
時間焼成処理し、得られた焼成α−アルミナを解砕して
α−アルミナを得た。得られたα−アルミナ(低ソーダ
アルミナ)はソーダ(Na2 O)濃度が0.02重量%
であり、また、その粒度分布の測定結果を図2に示す。
【0038】このα−アルミナについて、上記(2)焼
結試験及び(3)特性測定に従って生シートを作成し、
これを焼結して焼結シートとし、加圧かさ密度、焼結密
度及び収縮率を測定した。結果は、図4及び図5に示す
通りであり、加圧かさ密度は2.27g/cm3 、焼結
体の密度は3.75g/cm3 (1,550℃)及び焼
結による線収縮率は14.6%(1,550℃)であっ
た。
【0039】比較例1 ソーダ分をNa2 Oとして0.2重量%含有するバイヤ
ー法による水酸化アルミニウム150kgに、弗化アル
ミニウム0.07kgと、塩素換算量として19重量%
含有する塩化アルミニウム水溶液5.2kgとを、上記
(1)試料調製の手順に従って添加し混合した後、得ら
れた混合物をシャモット質容器に充填し、重油を熱源と
したトンネル炉中にて1,400℃で10時間焼成処理
し、得られた焼成α−アルミナを解砕してα−アルミナ
を得た。得られたα−アルミナは、ソーダ(Na2 O)
濃度が0.06重量%であり、また、その粒度分布の測
定結果を図3に示す。
【0040】このα−アルミナについて、上記(2)焼
結試験及び(3)特性測定に従って生シートを作成し、
これを焼結して焼結シートとし、加圧かさ密度、焼結密
度及び収縮率を測定した。結果は、その焼結特性を図4
及び図5に示す通りであり、加圧かさ密度は2.23g
/cm3 、焼結体の密度は3.69g/cm3 (1,5
50℃)及び焼結による線収縮率は15.3%(1,5
50℃)であった。
【0041】比較例2 ソーダ分をNa2 Oとして0.1重量%含有するバイヤ
ー法による水酸化アルミニウムに、弗化物系鉱化剤ある
いは塩化物系脱ソーダ剤を添加せず、そのまま灯油を熱
源とした1段に気流加熱装置を備えたロータリー炉によ
り焦点部のアルミナ温度1,650℃で0.5時間焼成
処理し、得られた焼成α−アルミナを解砕してα−アル
ミナを得た。得られたα−アルミナは、ソーダ(Na2
O)濃度が0.06重量%であり、また、その粒度分布
の測定結果を図3に示す。
【0042】このα−アルミナについて、上記(2)焼
結試験及び(3)特性測定に従って生シートを作成し、
これを焼結して焼結シートとし、加圧かさ密度、焼結密
度及び収縮率を測定した。結果は、その焼結特性を図4
及び図5に示す通りであり、加圧かさ密度は2.24g
/cm3 、焼結体の密度は3.69g/cm3 (1,5
50℃)及び焼成による線収縮率は15.8%(1,5
50℃)であった。
【0043】
【発明の効果】本発明方法によれば、焼成温度が1,5
00℃以下であって、しかも、製品特性として、低温で
の焼結性が良好であり、かつ、この焼結時の収縮率が小
さくて焼結温度の変動に対して安定しており、高い寸法
精度で種々のセラミックス製品を製造することができる
低ソーダアルミナを容易に製造することができ、省エネ
ルギー化も達成されてその工業的価値の高いものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、目標とする平均粒径を持つ低ソーダ
アルミナを得るための1μm以下のα−アルミナ粉末の
添加量と弗化アルミニウムの添加量との関係を示すグラ
フ図である。
【図2】 図2は、各実施例で得られたα−アルミナの
粒度分布を示すグラフ図である。
【図3】 図3は、各比較例で得られたα−アルミナの
粒度分布を示すグラフ図である。
【図4】 図4は、各実施例及び比較例で得られたα−
アルミナの焼結温度(℃)−焼結密度(g/cm2 )の
関係を示すグラフ図である。
【図5】 図5は、各実施例及び比較例で得られたα−
アルミナの焼結温度(℃)−線収縮率(%)の関係を示
すグラフ図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バイヤー法で得られた水酸化アルミニウ
    ム及び/又は遷移アルミナからなる原料アルミナ源に、
    アルミナ換算の原料アルミナ源に対して弗化物系鉱化剤
    を弗素として0.02〜0.3重量%及び平均粒径1μ
    m以下のα−アルミナ粉末を0.5〜10重量%の割合
    でそれぞれ添加し、1,500℃以下の温度で焼成する
    ことを特徴とする低ソーダアルミナの製造方法。
  2. 【請求項2】 弗化物系鉱化剤が、弗化アルミニウム、
    弗化ナトリウム、氷晶石及び弗化マグネシウムから選ば
    れた1種又は2種以上の混合物である請求項1記載の低
    ソーダアルミナの製造方法。
  3. 【請求項3】 原料アルミナ源中のソーダ分がアルミナ
    換算でNa2 Oとして0.1重量%以上である場合に、
    この原料アルミナ源中に塩素換算量として2重量%以下
    の割合で塩化物系脱ソーダ剤を更に添加する請求項1記
    載の低ソーダアルミナの製造方法。
  4. 【請求項4】 塩化物系脱ソーダ剤が、塩酸、塩化アル
    ミニウム及び塩化マグネシウムから選ばれた1種又は2
    種以上の混合物である請求項3記載の低ソーダアルミナ
    の製造方法。
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