JPH0742324B2 - N―アセチルカルボキシメチルキトサン誘導体及びその製法 - Google Patents

N―アセチルカルボキシメチルキトサン誘導体及びその製法

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JPH0742324B2
JPH0742324B2 JP3-513498A JP51349891A JPH0742324B2 JP H0742324 B2 JPH0742324 B2 JP H0742324B2 JP 51349891 A JP51349891 A JP 51349891A JP H0742324 B2 JPH0742324 B2 JP H0742324B2
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哲 奥野
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
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    • C08B37/0024Homoglycans, i.e. polysaccharides having a main chain consisting of one single sugar, e.g. colominic acid beta-D-Glucans; (beta-1,3)-D-Glucans, e.g. paramylon, coriolan, sclerotan, pachyman, callose, scleroglucan, schizophyllan, laminaran, lentinan or curdlan; (beta-1,6)-D-Glucans, e.g. pustulan; (beta-1,4)-D-Glucans; (beta-1,3)(beta-1,4)-D-Glucans, e.g. lichenan; Derivatives thereof
    • C08B37/00272-Acetamido-2-deoxy-beta-glucans; Derivatives thereof
    • C08B37/003Chitin, i.e. 2-acetamido-2-deoxy-(beta-1,4)-D-glucan or N-acetyl-beta-1,4-D-glucosamine; Chitosan, i.e. deacetylated product of chitin or (beta-1,4)-D-glucosamine; Derivatives thereof

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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は新規なN−アセチルカルボキシメチルキトサン
誘導体及びその製法に関する。更に詳しくは、本発明
は、医薬化合物の生体内ターゲティングの技術に関する
ものであり、該医薬化合物の血液中での安定性、臓器へ
の標的指向性並びに体内での被代謝性を高める上で有用
な多糖型高分子担体としての新規なN−アセチルカルボ
キシメチルキトサン誘導体に関する。また、本発明は該
医薬化合物と結合した複合体の形としての新規なN−ア
セチルカルボキシメチルキトサン誘導体に関する。
背景技術 水溶性高分子物質を薬物すなわち医薬化合物の担体とし
て使用することは、従来からとりわけ医薬品製剤の分野
において試みられ、関連する多数の技術が提供されてき
た。それら薬物担体用の水溶性高分子物質はすでに一般
に公知であり、多くの場合においてカルボキシメチルセ
ルローズ、ヒドロキシプロピルセルローズ、ヒドロキシ
プロピルメチルセルローズ等のセルローズ誘導体が使用
されている。しかしこれらの従来技術は薬物のいわゆる
徐放に関するものであり、薬物の送達、すなわち薬物を
薬物が必要とされる組織に必要な時に必要な量だけ送達
する技術には至っておらず、水溶性高分子を薬物送達の
担体として使用する技術は末だ十分に開発されていない
のが実状である。例えば下記文献1)2)があり、文献
1)にはカルボキシメチルキチンを体内埋め込み型の微
粒子性担体として使用する技術が、また文献2)にはカ
ルボキシル化デキストランを薬物との複合体のための担
体として使用する技術が開示されている。
1)Watanabe,K.et al.,Chem.Pharm.Bull.,38.506−50
9,(1990) 2)瀬崎 仁、薬学雑誌、109,611−621,(1989) しかしながら、文献1)記載の技術はカルボキシメチル
キチンのゲル化能と生体内被分解性とに着目してそれら
の性質を利用したものではあるものの、体内局所への埋
め込み型であって、機能としては薬物の放出制御の範囲
を出ておらず、癌組織や臓器への薬物の標的指向性を高
めることは期待できない。また文献2)記載の薬物複合
体は、優れた薬物送達の可能性を示しているが、薬物送
達を計るための薬物複合体の分子の修飾に利用できる官
能基はアルコール性水酸基に限定される。
制癌剤あるいは脳疾患治療剤等が次第に開発されるのに
伴い、水溶性高分子を利用したこれら薬物のターゲティ
ング技術の完成が急がれているのにもかかわらず、従来
技術は十分なる解決を与えていない。
水溶性高分子担体を利用した薬物すなわち医薬化合物の
ターゲティング技術が完成されるためには、その前提条
件として、第一に担体と薬物との複合体が静注投与後に
標的臓器に到達するまでの時間内において血中で安定で
あること、換言すれば血中で必要な薬物濃度を持続でき
ること、また第二に該担体が生体内で徐々に分解を受
け、その結果その担体が長時間の体内残留を起こさない
こと、第三に薬物との複合体の形で結合している該担体
それ自体が臓器指向の傾向を示すことが必要であり、従
って担体はまずこれらの条件を同時に満足するものとし
て提供されなければならない。
発明の開示 かかる課題の解決を目的として、本発明者等は種々の検
討を繰り返した。その結果、前記のカルボキシメチルキ
チンを酵素処理およびアルカリ処理して得られた低分子
化カルボキシメチルキトサンにこれのアミノ基の所でN
−ペプチド鎖およびN−アセチル基を導入することによ
り本発明者らは、新規な物質として、N−アセチルカル
ボキシメチルキトサン誘導体を今回合成することに成功
すると共に、この誘導体が意外にも前記の諸条件を満足
する担体として有用であること、またこれを利用すると
該目的を達成できるものであることを見出だした。しか
も、上記の導入されるN−ペプチド鎖は、適切なペプチ
ド鎖を選択することによって、適用可能な医薬化合物の
範囲がカルボン酸化合物、アミノ化合物、アルコール化
合物の広い範囲に及ぶことを可能にし、かつ複合体にあ
る特定の臓器に対する臓器指向の傾向をもたらすことも
見出した。これらの知見に基づいて本発明を完成するに
至った。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の新規物質は、後記の一般式(I)で示されるN
−アセチルカルボキシメチルキトサン誘導体であり、そ
れのキトサンの構成糖単位であるグルコサミンの6位及
び/または3位の水酸基の一部のHがカルボキシメチル
基で置換され、また一部の糖単位においては2位のアミ
ノ基のHがアセチル基で置換されていること並びに他の
部分の糖単位の2位アミノ基のHがペプチド鎖又は1個
のアミノ酸で置換されていることが一つの特徴である。
第1の本発明による新規なN−アセチルカルボキシメチ
ルキトサン誘導体は、下記式(I)によって示される。
式(I)においてR1およびR2は夫々にHまたはカルボキ
シメチル基を表すが、ともにHであることはない。
また、ここにPはR3CO基、R4NH基またはR5O基を表す。
ここでPは、XをなすN−ペプチド鎖のN末端側アミノ
酸に連結する場合があり、このときはPはR3CO基であ
り、更にPがXをなすN−ペプチド鎖のC末端側アミノ
酸に連結する場合もあり、このときのPはR4NH基または
R5O基である。なおここにR3COOHはカルボン酸化合物、R
4NH2はアミノ化合物、R5OHはアルコール化合物を意味す
る。
前記のR3CO基は、多くの場合において、具体的には、ア
ミノ基の保護基であるか、あるいはカルボン酸系医薬化
合物由来のアシル基であり、例えばアミノ保護基として
はtert−ブトキシカルボニル基の如きアルコキシカルボ
ニル基あるいはp−メトキシベンジルオキシカルボニル
基の如きアラルキルオキシカルボニル基であり、あるい
は更にそのR3CO基に対応するR3COOHがカルボン酸型の医
薬化合物、例えばメトトレキサートとなるものであるこ
ともできる。
R5O基はカルボニル基の保護基としての低級アルコキシ
基、例えばtert−ブチルオキシ基あるいはアラルキルオ
キシ基例えばベンジルオキシ基を挙げることができる。
あるいは、また、R5O基は、アルコール型の医薬化合物R
5OHのアルコール性水酸基からHを除いた残基であるこ
とができる。
R4NH基は、カルボキシル基を保護するアミド型の保護
基、例えばメチルイミノ基の如き低級アルキルイミノ基
であることができる。あるいは、またR4NH基に対応する
R4NH2がアミノ化合物型の医薬化合物、例えばダウノル
ビシンまたはトリプロリジンを表わすことができる。
QはHまたはOH基を表す。ここにQがXをなすN−ペプ
チド鎖のN末端側アミノ酸に連結する場合があり、この
ときはQはHであり、反対にQがHをなすN−ペプチド
鎖のC末端側アミノ酸に連結する場合もあり、このとき
はQはOH基である。
更に、式(I)においてXは1〜10個の同一または異な
るアミノ酸を含むペプチド鎖(但しアミノ酸1個の場合
も、本明細書ではペプチドに包含して意味する)を意味
するが、このペプチド鎖はアミノ酸のみから構成される
場合のペプチド鎖はもちろん、鎖中の一部にアミノ酸以
外の化合物を含む場合のペプチド鎖も包含して意味して
おり、後者の場合には例えばコハク酸のごとき二塩基性
酸、特に二塩基性カルボン酸がペプチド鎖中の中間又は
末端のアミノ酸に連結し、その結果全体として同一また
は異なるアミノ酸を含むペプチド鎖を構成してもよい。
更に、式(I)によるN−アセチルカルボキシメチルキ
トサン誘導体は、これの塩、特に該誘導体のカルボキシ
メチル基のアルカリ金属塩、例えばナトリウム塩又はカ
リウム塩あるいはアンモニウム塩等であることを含む。
なお、第1の本発明による式(I)の誘導体化合物にお
いて、ペプチド鎖Xを構成するアミノ酸の数は薬物放出
や抗原性を考慮し、通常は1〜4個、殊に3〜4個が好
ましい。XPにおけるペプチド鎖Xが1〜4個のアミノ酸
のみから構成されるペプチド鎖であり、そのN末端側ア
ミノ酸にPが結合する場合のXPの例を示せば以下のごと
くである。このような場合のX中のペプチド結合はキト
サン側より−NHCO−である。
P−Phe−Phe−Gly− P−Gly−Phe−Gly−Gly− P−Phe−Gly−Phe−Gly− P−Gly−Phe−Gly−Phe− P−Gly−Gly−Gly− P−Ala−Gly−Gly−Gly− またXPにおけるペプチド鎖Xが二塩基酸を含み、かつ1
〜4個のアミノ酸をふくむペプチド鎖であり、そのC末
端側アミノ酸にPが結合する場合のXPの例を示せば次の
ごとくであり、このような場合のX中のペプチド結合は
キトサン側より−CONH−である。なお配列中Sucはコハ
ク酸残基を示す。
−Suc−Ala−Ala−Ala−P −Suc−Ala−Ala−Val−Ala−P また、本発明で利用できるペプチド鎖Xについてのアミ
ノ酸配列の別の例には、下記のものがある。
(i) H−Gly−Gly−Gly−Val−Ala−OH, −Gly−Gly−Gly−Leu−Ala−, −Gly−Gly−Phe−Leu−Gly−, −Gly−Gly−Phe−Tyr−Ala−, −Gly−Gly−Gly−Gly−Gly−, (ii) −Gly−Gly−Gly−Phe−Leu−Gly−, −Gly−Gly−Gly−Gly−Leu−Ala−, −Gly−Gly−Gly−Gly−Gly−Gly−, (iii) −Gly−Gly−Gly−Gly−Phe−Leu−Gly−, −(Gly)−,−(Gly)−Leu−Ala−, (iv) −(Gly)−Phe−Leu−Gly−, −(Gly)−, (v) −(Gly)−, (vi) −(Gly)10− なお、本発明で利用できる医薬化合物の残基(P−)を
誘導する母体の化合物の例には、下記のものがある。
メトトレキサート、レポドパ、ブメタニド、フロセミ
ド、ジノプロスト、ダウノルビシン、ドキソルビシン、
マイトマイシン−C、トリプロリジン及びアクリフラビ
ン等。
更に、第1の本発明による式(I)の物質はカルボキシ
メチル化度、分子量(ゲル濾過法)、a/(a+b)値お
よびP/Xのモル比によって特定される。
カルボキシメチル化度は、本発明においてコロイド滴定
またはアルカリ滴定により求められる。コロイド滴定で
は下記文献3)が参照される。
3)沖増 哲、農芸化学雑誌、32,303−308(1958) 本発明の式(I)の化合物の分子量は、本発明において
デキストランを標準物質とするゲル濾過法により求めら
れる。後記実施例においてはTSK−gel G4000PWXLをカラ
ムとして使用し、溶出液:0.1M NaCl、流速:0.8ml/min、
カラム温度:40℃、検出:示差屈折計で測定した。
a/(a+b)値はいわばペプチド化度とも称すべき値で
あり、ここでaは−XP置換された糖単位の数a1と−XQ置
換された糖単位の数a2との合計を表し、bはアセチル置
換されている糖単位の数を表す。式(I)で示される物
質の糖単位はすべて−XP置換されているか、−XQ置換さ
れているか、またはアセチル置換されているかのいづれ
かであるので、a+bは分子中の糖単位の合計の総数を
示す。
なおa/(a+b)は次式(1)によって求められる。
ここでAは式(I)におけるPの含量(重量%)、Mm
Pの分子量、MsはN−アセチルカルボキシメチルキトサ
ンの糖単位の平均分子量、Cは式(I)においてa2=0
であるときのXの含量(重量%)を表す。なおCは次式
(2)によって算出される。
C=B(100−A)×10-2 (2) ここでBは式(I)においてa1=0であるときのXの含
量(重量%)を表し、例えばペプチド化した後、Pを導
入する前にあるいは式(I)の物質からPを脱離せしめ
てから、それぞれペプチド含量を測定して求めることが
できる。BはX中のアミノ酸に特性吸収があればこれを
利用して吸光度測定法により直接に求めることができ
る。しかしX中のアミノ酸に特性吸収がないときはBは
次式(3)によって求めてもよい。
ここでDは式(I)においてa2=0であるときのXPの含
量(重量%)を表し、Pに特性吸収があればこれを利用
して吸光度測定法により求めることができる。またrは
次式(4)によって求められる値を示す。
r=MPX/MX (4) ここで、MPXおよびMXはそれぞれXPおよびXの分子量を
あらわす。
次にP/Xのモル比はペプチドに対するP化度(またはP
置換度)とも称すべき値、すなわちa1/(a1+a2)であ
り、次式(5)によってそのモル比を求めることができ
る。
第1の本発明による式(I)で示される物質は、前記の
如く算定されるカルボキシメチル化度、分子量(ゲル濾
過法)、a/(a+b)値およびP/X値がそれぞれ0.5〜1.
2、3,000〜300,000、0.01〜1および0.1〜1の各範囲に
あるものである。
なお本明細書において、前記の式(I)の記載は、式
(I)で示される物質の分子において−XP置換された糖
単位(すなわちグルコサミン糖単位)がa1個、−XQ置換
された糖単位がa2個、−COCH3置換された糖単位がb個
だけそれぞれ存在していることを示すに止まっており、
同一種類の糖単位がそれぞれの個数だけ連続して結合し
ているとか、あるいはこれら3種類の糖単位が式(I)
に記載の配列順序で結合しているとかいうことを意味し
ない。
更に、第1の本発明による式(I)の化合物におけるそ
れのN−アセチル基の一部が欠除している部分的N−ア
セチルカルボキシメチルキトサン誘導体も新規な物質で
あり、そして後述される有用性を有する。従って、第2
の本発明によると、式(II) によって示される部分的N−アセチルカルボキシメチル
キトサン誘導体が提供される。式(II)においてR1
R2、Xは式(I)におけると同一の意味を表すが、ここ
でPは式(I)におけるより意味が多少とも拡大されて
おり、H、OH基、R3CO基、R4NH基またはR5O基を表す。
PがXをなすペプチド鎖のN末端側アミノ酸に連結する
場合があり、このときはPはHまたはR3CO基であり、P
がXをなすペプチド鎖のC末端側アミノ酸に連結する場
合もあり、このときのPはOH基、R4NH基またはR5O基で
ある。a、b1、b2は正の整数を表す。
また式(II)の物質は式(I)におけると同一の方法に
よって求められるカルボキシメチル化度、分子量(ゲル
濾過法)、a/(a+b)値およびP/Xモル比によって特
定される。ただし、式(II)では、a/(a+b)値にお
けるbは式(I)で示される物質におけるbとは意味が
多少異なり、アセチル置換されている糖単位の数b1と2
位アミノ基が置換されずに遊離のままである糖単位の数
b2との合計を表す。式(II)で示される物質における特
性値は式(I)で示される物質におけるそれらと同一で
ある。
なお、本明細書での上記の式(II)の記載は、式(II)
で示される物質の分子において−XP置換された糖単位が
a個、−COCH3置換された糖単位がb1個、2位アミノ基
が置換されずに遊離のままである糖単位がb2個だけそれ
ぞれ存在していることを示すに止まっており、同一種類
の糖単位がそれぞれの個数だけ連続して結合していると
か、あるいはこれら3種類の糖単位が式(II)の記載の
配列順序で結合しているとかいうことを意味しない。
式(II)で示される物質は式(I)で示される物質を製
造するための合成中間体であり、従って式(I)で示さ
れる物質とは産業上の利用分野が同一であり、かつ構成
の主要部が同一である。
例えば、上記の式(II)の化合物において、Pが医薬化
合物に由来する残基R3CO基、またはR4NH基またはR5O基
を示す場合の式(II)の化合物は、これのアミノ基を無
水酢酸、あるいはアセチルクロリドの如き他の適当なア
セチル化剤で適当な溶剤、例えばピリジン中でアセチル
化すれば、医薬化合物の結合している場合の複合体の形
の式(I)の本発明化合物を与える。また、式(II)の
化合物において、Pが保護基である場合の式(II)の化
合物から保護基を脱離した後に、若しくはPがHまたは
OH基である場合の式(II)の化合物に対して、医薬化合
物としてのR3COOH、R4NH2またはR5OHを結合させ、次い
で上記と同様に残余のアミノ基をアセチル化すると、式
(I)の本発明化合物を生成することが可能である。
発明を実施するための最良の形態 次に第1の本発明による式(I)の化合物の製造につい
て述べると、その概略は以下のごとくであるが、本発明
はこれに限定されない。
本発明物質の原料であるカルボキシメチルキチンは、カ
ニ、エビ等の甲殻類や昆虫の外皮、菌類の細胞壁等に広
く存在するキチン(β−1,4−ポリ−N−アセチルグル
コサミン)にアルカリ存在下、モノクロル酢酸を反応さ
せて容易に調製できる。その反応条件を変えることによ
り、カルボキシメチル化度の異なるカルボキシメチルキ
チンが得られるが、市販品の利用も可能である。
次にカルボキシメチルキチンを低分子化するが、この低
分子化にあたり、例えば市販のカルボキシメチルキチン
に卵白リゾチームを作用させ、その反応条件を制御する
ことにより、得られるカルボキシメチルキチンの分子量
を調節することができる。その反応条件は、用いるカル
ボキシメチルキチンのカルボキシメチル化度(ds:糖残
基当りのカルボキシメチル化度)によっても異なり、例
えば、ds=1.0の場合、分子量が約1×105に低減された
低分子化カルボキシメチルキチンは、分子量が1×106
程度のカルボキシメチルキチンに、その約1/400量の卵
白リゾチームをpH6.0、37℃で約2時間作用させること
により得られる。
更に低分子化カルボキシメチルキチンの脱N−アセチル
化を行うが、これはアルカリ処理により達成される。低
分子化カルボキシメチルキチンを例えば、1N NaOHに溶
解後、100℃で数時間〜数十時間、好ましくは3〜8時
間加熱還流することにより、N−アセチル基の一部を除
去し、部分的にN−アセチル基が残っているカルボキシ
メチルキトサンが得られる。これを部分的N−アセチル
カルボキシメチルキトサンと呼ぶ。
次に部分的N−アセチルカルボキシメチルキトサンを、
例えばジメチルホルムアミドと0.5%NaHCO3水溶液の混
合溶媒に溶解後、その溶液に対して、ペプチド鎖の末端
アミノ酸のアミノ基に保護基を導入した本発明に係るペ
プチド〔以下単に保護ペプチドと呼ぶ;式「HO−X−保
護基」で表示できる〕のN−ヒドロキシスクシンイミド
エステル(保護ペプチドの活性エステル)を加えて反応
させることにより、部分的N−アセチルカルボキシメチ
ルキトサンの遊離アミノ基に保護ペプチドを結合させ
る。保護ペプチドの活性エステルの加える量を変えるこ
とにより、保護ペプチドの結合量の異なる「部分的N−
アセチルカルボキシメチルキトサン−保護ペプチド」複
合体が得られる。保護ペプチドの活性エステルの大過剰
を反応させれば、遊離アミノ基が殆ど存在しない複合体
を得ることも可能である。なお保護ペプチドの活性エス
テルは、保護ペプチドをペプチド合成の常法により例え
ば、ジメチルホルムアミドに溶解後、これにN−ヒドロ
キシスクシンイミドとN,N′−ジシクロヘキシルカルボ
ジイミドを加えて反応させることにより得ることができ
る。
上記のように、保護ペプチドの活性エステルとの結合反
応に用いる部分的N−アセチルカルボキシメチルキトサ
ンの濃度は0.1〜5%(重量%)が適当であり、多糖の
糖残基と保護ペプチドの活性エステルのモル比は、20:1
〜1:10が適当である。また、保護ペプチド巾のアミノ酸
の数は、1〜10の範囲である。
なお上記において保護基の代わりに薬物を使用し、薬物
を導入した本発明に係るペプチド〔式HO−X−P(但し
Pは医薬化合物由来のR3CO基、R4NH基又はR5O基)で表
示できる〕のN−ヒドロキシスクシンイミドエステルを
加えれば、「部分的N−アセチルカルボキシメチルキト
サン−ペプチド−薬物」複合体が得られる。
また上記のようにして得られた複合体から、それぞれ保
護基あるいは薬物残基(P)を脱離せしめれば「部分的
N−アセチルカルボキシメチルキトサン−ペプチド」複
合体が得られる。
式(II)で示される本発明物質は、上記のようにして得
られる「部分的N−アセチルカルボキシメチルキトサン
−保護ペプチド」複合体、「部分的N−アセチルカルボ
キシメチルキトサン−ペプチド−薬物」複合体および
「部分的N−アセチルカルボキシメチルキトサン−ペプ
チド」複合体という3種の物質を包含する。
式(II)で示される本発明物質は、これを飽和NaHCO3
溶液に溶解後、無水酢酸又は他の適当なアセチル化剤、
例えば塩化アセチルを反応させて式(II)の複合体物質
中に残存する遊離アミノ基をアセチル化することによ
り、対応する式(I)で示される本発明物質を得る。た
だしここで得られる物質は式(I)においてa=a1、a2
=0またはa=a2、a1=0である場合の物質であり、例
えば上記の3種の物質に夫々に対応してそれぞれ「N−
アセチルカルボキシメチルキトサン−保護ペプチド」複
合体、「N−アセチルカルボキシメチルキトサン−ペプ
チド−薬物」複合体および「N−アセチルカルボキシメ
チルキトサン−ペプチド」複合体を得ることができる
が、前二者はa=a1、a2=0に対応する物質であり、後
一者はa=a2、a1=0に対応する物質である。また前二
者から後一者への変換は通常は酸処理によって行うこと
ができる。例えば「N−アセチルカルボキシメチルキト
サン−保護ペプチド」複合体を弱酸処理、例えば、0.5N
HCl中、30℃で16時間処理することにより、「N−アセ
チルカルボキシメチルキトサン−ペプチド」複合体を得
ることができる。
次にこの「N−アセチルカルボキシメチルキトサン−ペ
プチド」複合体を、例えば1%NaHCO3水溶液に溶解後、
カルボン酸型の医薬化合物、すなわちカルボキシル基を
有する薬物のN−ヒドロキシスクシンイミドエステル
(活性エステル)を前記複合体中のペプチド鎖のN末端
に反応させることにより「N−アセチルカルボキシメチ
ルキトサン−ペプチド−薬物」複合体を得ることができ
る。ただしここで得られる物質は、必ずしも式(I)に
おいてa=a1、a2=0である場合の物質に限定されるも
のではなく、実際にはa=a1+a2、a2≠0である場合の
物質として示される。すなわちここで薬物として例えば
メトトレキサート(MTX)を選択すれば「N−アセチル
カルボキシメチルキトサン−ペプチN−MTX」複合体が
得られるが、通常は該複合体におけるMTX含量はペプチ
ド含量より小さくなる。
従って、第3の本発明によると、式(III) 〔式中、R1およびR2は夫々にHまたはカルボキシメチル
基を表わす〕 によって示され、下記の特性値(1)〜(2):− (1)カルボキシメチル化度:0.5〜1.2 (2)分子量(ゲル濾過法):3,000〜300,000 を有する部分的N−アセチルカルボキシメチルキトサン
に次式 PX−OH (IV) 〔式中、ここでPはH、OH基、R3CO基、R4NH基またはR5
O基、Xは1〜10個の同一または異なるアミノ酸を含む
ペプチド鎖を意味する。なおR3COOHはカルボン酸化合
物、R4NH2はアミノ化合物、R5OHはアルコール化合物を
意味する。〕 で示される化合物を反応せしめることを特徴とする、式
(II) 〔式中、R1、R2、P、Xは(III)式における前記と同
じ意味を示す。a、b1、b2は正の整数を示す。〕によっ
て示され、下記の特性値(1)〜(4):− (1)カルボキシメチル化度:0.5〜1.2 (2)分子量(ゲル濾過法):3,000〜300,000 (3)a/(a+b):0.01〜1 (ただしb=b1+b2) (4)P/X(モル比):0.1〜1 を有する部分的N−アセチルカルボキシメチルキトサン
誘導体の製法が提供される。
また、第4の本発明によると、式(II′) 〔式中、R1およびR2は夫々にHまたはカルボキシメチル
基、P1はHまたはOH基、もしくはR3′CO基、R4′NH基ま
たはR5′O基、Xは1〜10個の同一または異なるアミノ
酸を含むペプチド鎖を意味する。なおR3′COOHはカルボ
ン酸化合物、R4′NH2はアミノ化合物、R5′OHはアルコ
ール化合物を意味する。a、b1、b2は正の整数を示
す。〕 によって示され、下記の特性値(1)〜(4):− (1)カルボキシメチル化度:0.5〜1.2 (2)分子量(ゲル濾過法):3,000〜300,000 (3)a/(a+b):0.01〜1 (ただしb=b1+b2) (4)P/X(モル比):0.1〜1 を有する部分的N−アセチルカルボキシメチルキトサン
誘導体をアセチル化し、P1基がHまたはOH基以外のとき
は、さらにP1基を脱離せしめ、最後に次式 P−H またはP−OH (V) 〔式中、PはR3CO基、R4NH基またはR5O基を表す。〕で
示される化合物を反応せしめることを特徴とする、式
(I) 〔式中、R1、R2、P、Xは前記と同じ意味を示し、Qは
HまたはOH基を意味する。a1、a2は0または正の整数を
示すが、共に0となる場合を除く。bは正の整数を示
す。〕 によって示され、下記の特性値(1)〜(4):− (1)カルボキシメチル化度:0.5〜1.2 (2)分子量(ゲル濾過法):3,000〜300,000 (3)a/(a+b):0.01〜1 (ただしa=a1+a2) (4)P/X(モル比):0.1〜1 を有するN−アセチルカルボキシメチルキトサン誘導体
の製法が提供される。
更に、本発明者は、第1の本発明に係る式(I)のN−
アセチルカルボキシメチルキトサン誘導体の性質を一層
改善する研究を進めた。その結果、式(I)の誘導体の
構成糖であるN−アセチルカルボキシメチルグルコサミ
ン単位のうちの複数個を、ポリエチレングリコール鎖を
含む基(以下、単にPEGと略記することがある)を2−
アミノ基上に置換基として有するカルボキシメチルグル
コサミン単位、詳しくは次式(A) 〔式中、R1及びR2は前記の意味をもち、PEGは次式(V
I)、(VII)、(VIII)又は(IX):− −CO−CH2CH2−CO−O−(CH2CH2O)−CH3 (VII) −CO−O−(CH2CH2O)−CH3 (VIII) −CO−CH2−O−(CH2CH2O)−CH3 (IX) で示される基を表わし、nはポリエチレングリコール鎖
の平均重合度を示す〕で表されるカルボキシメチルグル
コサミンのポリエチレングリコール置換単位の複数個と
取り代えることによって、次式(X) 〔式中、R1、R2、P、Q、Xは夫々に前記の式(I)に
おけると同じ意味をもち、PEGは上記の意味をもち、a1
およびa2は夫々に0または正の整数を示すが、共に0と
なる場合がなく、bおよびcは夫々に正の整数を示
す。〕で示されて且つ下記の特性値(1)〜(4):− (1)カルボキシメチル化度:0.5〜1.2 (2)分子量(ゲル濾過法):3,000〜300,000 (3)a/(a+b+c):0.01〜1 (ただしa=a1+a2) (4)P/X(モル比):0.1〜1 を有するN−アセチルカルボキシメチルキトサン誘導体
を新規な物質として合成することに成功した。しかも、
この新規な式(X)で示されるN−アセチルカルボキシ
メチルキトサン誘導体が式(I)のN−アセチルカルボ
キシメチルキトサン誘導体それ自体に比べると増強され
た水溶液をもち且つ薬物の運搬用の担体として利用で
き、生体内に投与した後に血中に長時間滞留できること
を見い出した。
更にまた、本発明者らは、式(I)の誘導体の構成糖で
あるN−アセチルカルボキシメチルグルコサミン単位の
うちの複数個を、次式(B) 〔式中、R1は前記と同じく水素またはカルボキシメチル
基を表わす〕で示されるポリオール単位の複数個と取り
代えることによって、次式(XI) 〔式中、R1、R2、P、Q、Xは夫々に前記の式(I)に
おけると同じ意味をもち、a1およびa2は夫々に0または
正の整数を示すが、共に0となる場合がなく、bおよび
cは夫々に正の整数を示す〕で示されて且つ下記の特性
値(1)〜(4):− (1)カルボキシメチル化度:0.5〜1.2 (2)分子量(ゲル濾過法):3,000〜300,000 (3)a/(a+b+c):0.01〜1 (ただしa=a1+a2) (4)P/X(モル比):0.1〜1 を有するN−アセチルカルボキシメチルキトサン誘導体
を新規な物質として合成することに成功した。しかも、
新規な式(XI)で示されるN−アセチルカルボキシメチ
ルキトサン誘導体が式(I)のN−アセチルカルボキシ
メチルキトサン誘導体それ自体に比べると増強された水
溶性をもち且つ薬物の運搬用の担体として利用でき、生
体内に投与した後に血中に長時間滞留できることを見い
出した。
従って、第5の本発明においては、式(X)又は式(X
I) 〔式中、R1およびR2は夫々にHまたはカルボキシメチル
基、PはR2CO基、R4NH基またはR5O基、QはHまたはOH
基、Xは1〜10個の同一または異なるアミノ酸を含むペ
プチド鎖を意味する。なおR3COOHはカルボン酸合物、R4
NH2はアミノ化合物、R5OHはアルコール化合物を意味す
る。a1、a2は0または正の整数を示すが、共に0となる
場合を除く。bおよびcは正の整数を示す。
また式(X)中で−PEGは下記の式(VI)、(VII)、
(VIII)又は(IX) −CO−CH2CH2−CO−O−(CH2CH2O)−CH3 (VII) −CO−O−(CH2CH2O)−CH3 (VIII) −CO−CH2−O−(CH2CH2O)−CH3 (IX) の基を表わし、nはポリエチレングリコール鎖の平均重
合度を示す〕によって示され且つ下記の特性値(1)〜
(4): (1)カルボキシメチル化度:0.5〜1.2 (2)分子量(ゲル濾過法):3,000〜300,000 (3)a/(a+b+c):0.01〜1 (ただしa=a1+a2) (4)P/X(モル比):0.1〜1 を有するN−アセチルカルボキシメチルキトサン誘導体
が提供されるものである。
第5の本発明による式(X)の誘導体は式(I)におい
て一部の糖単位が下記の式(A)の糖単位によって取代
えられたN−アセチルカルボキシメチルキトサン誘導体
であり、また第5の本発明による式(XI)の誘導体は同
様に下記の式(B)のポリオール単位によって取代えら
れたN−アセチルカルボキシメチルキトサン誘導体であ
る。後記の実施例17〜21は式(X)の化合物の例を、ま
た実施例22〜23は式(XI)の化合物の例を示す。
式(A)の糖誘導体はカルボキシメチルグルコサミン単
位の2−アミノ基がPEGによって置換された糖単位であ
り、ここでPEGとは具体的にはポリエチレングリコール
鎖を含む下記の式(VI)〜(IX)の基を表わす。
−CO−CH2CH2−CO−O−(CH2CH2O)−CH3 (VII) −CO−O−(CH2CH2O)−CH3 (VIII) −CO−CH2−O−(CH2CH2O)−CH3 (IX) 上記式(VI)〜式(IX)に示す基に存在するポリエチレ
ングリコール鎖は種々の分子量をもつものであることが
できるが、一般に入手しやすい点で好ましいポリエチレ
ングリコール鎖は平均分子量が約5000のものであり、従
って、式(VI)〜式(IX)の基におけるポリエチレング
リコール鎖の好ましい平均重合度nは約100〜120である
が、本発明はこれに限定されない。また式(X)の誘導
体の中のポリエチレングリコール含量はNMR法を用いて
鎖中のメチレンプロトンに基づくピーク面積の測定から
求めることができ、この含量は大きいほど好ましく、例
えば1%(重量)以上であればよいが、本発明において
特に限定はない。
他方、第5の本発明による式(XI)の誘導体における式
(B)のポリオール単位はカルボキシメチルグルコサミ
ン単位の2位炭素と3位炭素の間の結合が酸化によって
開裂されて、その開裂後に還元によりポリアルコールの
形に転化している点において化学構造上の特徴がある。
なお、第5の本発明の式(X)及び式(XI)の誘導体に
おけるa/(a+b+c)値は式(I)におけるa/(a+
b)値に対応して定義されるペプチド化度であり、従っ
てその求め方は前出の式(1)をそのまま用いて行えば
よく、実際上は式(2)〜(5)を準用しながら式
(I)におけると全く同じ要領によって算出する。その
値の範囲もまた式(I)におけると同一である。同様に
カルボキシメチル化度、分子量(ゲル濾過法)の範囲に
ついても式(I)におけると同一である。
第5の本発明による式(X)の物質の製造は、式(II)
によって表される「部分的N−アセチルカルボキシメチ
ルキトサン−保護ペプチド」複合体を原料として用意し
て以下のごどくに処理することによって行う。まず、こ
の式(II)の複合体中のN−アセチル化してない遊離カ
ルボキシメチルグルコサミン単位に対しPEG活性誘導体
を反応せしめてその遊離の2−アミノ基に式(VI)〜
(IX)のPEG基を置換基として導入し、更に残余の遊離
のカルボキシメチルグルコサミン単位はN−アセチル化
し、次に複合体中の保護ペプチド部分から保護基を脱離
して脱保護し、そのペプチド部分の末端へ薬物の反応活
性誘導体を反応せしめて、ペプチド末端に薬物(P)を
結合する。
以上の反応工程においてN−アセチル化後の諸中間体お
よび最終物は式(X)によって示される。
上記のPEG活性誘導体とは、例えば2−O−モノメトキ
シポリエチレングリコール−3,5−ジクロロ−s−トリ
アジン又はメトキシポリオキシエチレンカルボン酸の活
性エステル(例えばN−サクシンイミドエステル)であ
りうる。
第5の本発明による式(XI)の物質の製造は、式(X)
の物質の製造と同様に式(II)によって表される「部分
的N−アセチルカルボキシメチルキトサン−保護ペプチ
ド」複合体を原料として用意するが、その後に下記の如
き処理することによって行う。まずこの原料複合体中の
アセチル化していない遊離カルボキシメチルグルコサミ
ン単位に対し、例えば過ヨウ素酸を作用させて酸化によ
って環の開裂を行い、更に開裂で生じたアルデヒドを例
えば水素化ホウ素ナトリウムによって還元してポリオー
ルの形に転化し、次に複合体中の保護ペプチドから保護
基を脱離して脱保護し、そのペプチド部分の末端へ薬物
の反応活性誘導体を反応せしめて、ペプチド末端に薬物
(P)を結合する。以上の反応工程においてポリオール
への転化後の諸中間体および最終物は式(XI)によって
示される。
第5の本発明による式(X)および式(XI)の物質は水
溶性が高く、従って第5の本発明によっては水溶性の改
善された薬物運搬担体および薬物運搬体が提供される。
後記の実験例4によれば、例えば式(X)の物質は血中
滞留性に優れ、また薬物として制癌剤を担持した場合に
癌選択性が向上している。
本発明による式(I)の誘導体並びに式(X)および式
(XI)の誘導体は下記の通り有利な性質を有する。
すなわち、後記実験例によって示されるごとく、本発明
による式(I)および式(X)の誘導体は静脈注射によ
る投与後で臓器に到達するまでの時間内において血中で
安定であり、すなわち、これらの本発明物質の必要な血
中濃度を持続できるのであり、他方、生体内で徐々に酵
素分解を受けるので本物質のN−アセチルカルボキシメ
チルキトサン部分が長時間にわたりの体内に残留する懸
念はない。また更に式(I)の本発明誘導体並びに式
(X)および式(XI)の本発明誘導体が生体内で臓器指
向の傾向をもつことも観察することができる。
なお、ここで式(I)並びに式(X)および式(XI)の
本発明化合物が標的臓器に指向する傾向をもつとは、該
化合物は、本発明の手段を加えなかった場合に比べて、
ある特定の標的臓器での該化合物の濃度において増加の
傾向を示すことを意味するに止まっており、該特定臓器
のみに選択的に集中することまで意味するものではな
い。
以下に記載する実施例によって本発明をさらに具体的に
説明する。
第1〜第4の本発明は実施例1〜16によって例示され、
第5の本発明は実施例17〜23によって例示される。
なお各実施例においてゲル濾過はいづれも次の条件で行
なった。すなわちカラム:TSK−gel G4000PWXL、溶出液:
0.1M NaCl、流速:0.8ml/min、カラム温度:40℃、試料の
注入量:約75μg 実施例1 市販(フナコシ薬品株式会社)のカルボキシメチルキチ
ン(カルボキシメチル化度:糖残基当り1.0)の5.0gをp
H6.0の0.05M酢酸緩衝液(500ml)に溶解後、卵白リゾチ
ーム(12.5mg)を加え、37℃で2時間反応させた。反応
液をエタノール(2)中に加えて析出した沈殿物を集
め、真空乾燥して、4.25gの低分子化カルボキシメチル
キチンを得た。この物質(3.9g)を1N NaOH水溶液(390
ml)に溶解後、100℃で6時間加熱還流した。反応液のp
Hを8に調整した後、遠心分離して得られる上清をメタ
ノール(1.9)中に加えて析出した沈殿物を集め、真
空乾燥して、式(III)の物質の一例としての1.91gの部
分的N−アセチルカルボキシメチルキトサン(以下、単
に多糖と言うこともある)を得た。この多糖物質の分子
量は、デキストランを標準物質としたゲル濾過法(G400
0PWXLカラム)で約1×105であった。
上記の多糖物質(200mg)を0.5%、NaHCO3水溶液(20m
l)に溶解後、ジメチルホルムアミド(17.5ml)を加え
て均一な多糖溶液とした。他方、tert−ブトキシカルボ
ニル基(Boc)で保護されたペプチド、N−Boc−Phe−P
he−Gly−OH(94mg)を1.5mlのジメチルホルムアミドに
溶解後、N−ヒドロキシスクシンイミド(23mg)と、N,
N′−ジシクロヘキシルカルボジイミド(37mg)を加
え、4℃で24時間反応させて活性エステルとした。この
反応液の全量を上記の多糖溶液に加え、4℃で16時間反
応させた。反応液をエタノール(160ml)中に加えて析
出した沈殿物を集め、真空乾燥して、200mgの部分的N
−アセチルカルボキシメチルキトサン−Gly−Phe−Phe
−Boc複合体〔式(II)の誘導体の一例である〕を得
た。
本複合体(150mg)を飽和NaHCO3水溶液(15ml)に溶解
後、無水酢酸(0.6ml)を加えて、室温で17時間N−ア
セチル化反応を行った。反応液を中和後、エタノール
(80ml)中に加えて析出した沈殿物を集め、真空乾燥し
て、154mgのN−アセチルカルボキシメチルキトサン−G
ly−Phe−Phe−Boc複合体〔式(I)の誘導体の一例で
ある〕を得た。本複合体の紫外部吸収スペクトルとゲル
濾過溶出パターンを各々、添付図面の第1図と第2図に
示す。本複合体のN−Bocペプチド含量は、紫外部(258
nm)の吸光度分析から、14.1%(重量%)であった。
本複合体(130mg)を0.5N HCl(13ml)に溶解後、30℃
で17時間反応させてBocの脱離のための脱保護処理し
た。反応液を中和後、エタノール(70ml)中に加えて析
出した沈殿物を集め、真空乾燥して、121mgのN−アセ
チルカルボキシメチルキトサン−Gly−Phe−Phe−H複
合体〔式(I)の誘導体の別例である〕を得た。本複合
体の紫外部吸収スペクトルとゲル濾過溶出パターンを各
々、添付図面の第3図と第4図に示す。本複合体のペプ
チド含量は、紫外部(258nm)の吸光度分析から、11.3
%(重量%)であった。
カルボン酸型の医薬化合物としての182mgのメトトレキ
サート(MTX)をジメチルホルムアミド(4ml)に溶解
後、N,N′−ジシクロヘキシルカルボジイミド(82mg)
を加え、4℃で17時間反応させ、その反応液にN−ヒド
ロキシスクシンイミド(46mg)とピリジン(63μ)を
加え、室温で5時間反応させてMTXの活性エステルを調
製した。他方、上記のN−アセチルカルボキシメチルキ
トサン−Gly−Phe−Phe−H複合体(50mg)を0.5%NaHO
H3水溶液(10ml)に溶解後、上記のMTXの活性エステル
を含む反応液の0.5mlを加えて、4℃で15時間反応させ
て該複合体のペプチド鎖のN末端へMTXを結合させた。
得られた反応液をエタノール(40ml)中に加えて析出し
た沈殿物を集め、真空乾燥して、53mgのN−アセチルカ
ルボキシメチルキトサン−Gly−Phe−Phe−MTX複合体
〔式(I)の複合体の更に別の一例である〕を黄色粉末
として得た。本複合体の紫外・可視部吸収スペクトルと
ゲル濾過溶出パターンを各々、添付図面の第5図と第6
図に示す。本複合体のMTX含量は、紫外部(307nm)の吸
光度分析から、11.5%(重量%)であった。また、本複
合体におけるP/Xのモル比、すなわち具体的にはMTX/ペ
プチド(モル比)は、前出の計算式の(5)式に従っ
て、0.93と算出された。
また、本複合体について、式(I)におけるa/(a+
b)値は、前出の計算式の(1)式に従って、0.09と概
算された。
実施例2 実施例1で得た部分的N−アセチルカルボキシメチルキ
トサン(100mg)を1%NaHCO3水溶液(10ml)に溶解
後、ジメチルホルムアミド(6ml)を加えて均一な多糖
溶液とした。p−メトキシベンジルオキシカルボニル基
(pMZ)で保護されたペプチドpMZ−Gly−Gly−Gly−OH
(141mg)を4mlのジメチルホルムアミドに溶解後、N−
ヒドロキシスクシンイミド(46mg)とN,N′−ジシクロ
ヘキシルカルボジイミド(74mg)を加え、室温で3時間
反応させて活性エステルとした。この活性エステルを含
む反応液の全量を上記の多糖溶液に加え、10mlのジメチ
ルホルムアミドを追加した後、4℃で23時間反応させ
た。反応液に5mlの水を加えた後、遠心分離した得られ
る上清をエタノール(150ml)中に加えて析出した沈殿
物を集め、真空乾燥して、120mgの部分的N−アセチル
カルボキシメチルキトサン−Gly−Gly−Gly−pMZ複合体
〔式(II)の誘導体の一例である〕を得た。
この複合体(100mg)を実施例1に準じて、無水酢酸で
N−アセチル化を行い、N−アセチルカルボキシメチル
キトサン−Gly−Gly−Gly−pMZ複合体(97mg)を得た。
本複合体の紫外部吸収スペクトルとゲル濾過溶出パター
ンを各々、第7図と第8図に示す。本複合体のpMZ−ペ
プチド含量は、紫外部(272nm)の吸光度分析から、20.
1%(重量%)であった。
本複合体(89mg)を実施例1に準じて酸処理により保護
基pMZの脱離を行って、78mgのN−アセチルカルボキシ
メチルキトサン−Gly−Gly−Gly−H複合体を得た。こ
の複合体の紫外部吸収スペクトルを第9図に示す。本複
合体のペプチド含量(B)は、(3)式に従って、11.3
%と算出された。
本複合体(50mg)を1%NaHCO3水溶液(5ml)に溶解
後、その溶液に実施例1と同様にして作成したMTXの活
性エステル溶液(1ml)を加え、4℃で21時間反応させ
た。反応液をエタノール(25ml)中に加えて析出した沈
殿物を集め、真空乾燥して、式(I)の複合体の一例と
して、52mgのN−アセチルカルボキシメチルキトサン−
Gly−Gly−Gly−MTX複合体を黄色粉末として得た。本複
合体の紫外・可視部吸収スペクトルとゲル濾過溶出パタ
ーンを各々、第10図と第11図に示す。本複合体のMTX含
量は、紫外部(307nm)の吸光度分析から、21.4%(重
量%)であった。また、本複合体におけるP/Xモル比、
すなわち具体的にはMTX/ペプチド(モル比)は、(5)
式に従って、1.0と算出された本複合体について、式
(I)におけるa/(a+b)値は、(1)式に従って、
0.2と算出された。
実施例3 実施例1と同様に、カルボキシメチルキチン(カルボキ
シメチル化度:糖残基当り1.0)の5.0gに卵白リゾチー
ムを作用させて得られた低分子化カルボキシメチルキチ
ン(4.28g)の4.1gをアルカリ処理して、分子量が約1
×105の部分的N−アセチルカルボキシメチルキトサン
(2.22g)を得た。
本物質(200mg)に、実施例1と同様の方法で、N−Boc
−Gly−Phe−Gly−Gly−OH(90mg)の活性エステルを作
用させ、部分的N−アセチルカルボキシメチルキトサン
−Gly−Gly−Phe−Gly−Boc複合体(210mg)を得た後、
この200mgをN−アセチル化して、N−アセチルカルボ
キシメチルキトサン−Gly−Gly−Phe−Gly−Boc複合体
(190mg)を得た。本複合体のN−Boc−ペプチド含量
は、紫外部(258mn)の吸光度分析から、9.8%(重量
%)であった。
実施例1と同様の方法で、この複合体(160mg)を脱保
護のため酸処理して、N−アセチルカルボキシメチルキ
トサン−Gly−Gly−Phe−Gly−H複合体(144mg、ペプ
チド含量:7.6%)を得た。
この120mgにMTX(55mg)の活性エステルを作用させて、
N−アセチルカルボキシメチルキトサン−Gly−Gly−Ph
e−Gly−MTX複合体(127mg、MTX含量:9.5%)を得た。
本複合体のMTX/ペプチド(モル比)と式(I)における
a/(a+b)は、各々、(5)式と(1)式から、1.
0、0.07と算出された。
実施例4 実施例3で得た部分的N−アセチルカルボキシメチルキ
トサン(200mg)に、実施例1と同様の方法で、N−Boc
−Gly−Phe−Gly−Phe−OH(105mg)の活性エステルを
作用させ、部分的N−アセチルカルボキシメチルキトサ
ン−Phe−Gly−Phe−Gly−Boc複合体(199mg)を得た。
この188mgをN−アセチル化して、N−アセチルカルボ
キシメチルキトサン−Phe−Gly−Phe−Gly−Boc複合体
(191mg)を得た。本複合体のN−Boc−ペプチド含量
は、紫外部(258nm)の吸光度分析から、4.9%(重量
%)であった。実施例1と同様の方法で、この複合体
(160mg)を酸処理により脱保護して、N−アセチルカ
ルボキシメチルキトサン−Phe−Gly−Phe−Gly−H複合
体(150mg、ペプチド含量:4.0%)を得た後、この50mg
にMTX(23mg)の活性エステルを作用させて、N−アセ
チルカルボキシメチルキトサン−Phe−Gly−Phe−Gly−
MTX複合体(46mg、MTX含量:4.5%)を得た。本複合体の
MTX/ペプチド(モル比)と式(I)におけるa/(a+
b)値は、各々、各(5)式と(1)式から1.1、0.03
と算出された。
実施例5 実施例3で得た部分的N−アセチルカルボキシメチルキ
トサン(100mg)に、実施例1と同様の方法で、N−Boc
−Phe−Gly−Phe−Gly−OH(54mg)の活性エステルを作
用させ、部分的N−アセチルカルボキシメチルキトサン
−Gly−Phe−Gly−Phe−Boc複合体(109mg)を得た。
この90mgをN−アセチル化して、N−アセチルカルボキ
シメチルキトサン−Gly−Phe−Gly−Phe−Boc複合体(8
5mg)を得た。本複合体のN−Boc−ペプチド含量は、紫
外部(258nm)の吸光度分析から、12.7%(重量%)で
あった。実施例1と同様の方法で、この複合体(72mg)
を酸処理により脱保護して、N−アセチルカルボキシメ
チルキトサン−Gly−Phe−Gly−Phe−H複合体(63mg、
ペプチド含量:10.4%)を得た。
この50mgにMTX(23mg)の活性エステルを作用させて、
N−アセチルカルボキシメチルキトサン−Gly−Phe−Gl
y−Phe−MTX複合体(49mg、MTX含量:9.4%)を得た。本
複合体のMTX/ペプチド(モル比)と式(I)におけるa/
(a+b)は、各々、(5)式と(1)式から0.94、0.
07と算出された。
実施例6 実施例3で得た部分的N−アセチルカルボキシメチルキ
トサン(200mg)に、実施例1と同様の方法で、N−Boc
−Ala−Gly−Gly−Gly−OH(180mg)の活性エステルを
作用させ、部分的N−アセチルカルボキシメチルキトサ
ン−Gly−Gly−Gly−Ala−Boc複合体(218mg)を得た
後、この150mgをN−アセチル化して、N−アセチルカ
ルボキシメチルキトサン−Gly−Gly−Gly−Ala−Boc複
合体(143mg)を得た。実施例1と同様の方法で、この
複合体(130mg)を酸処理して、N−アセチルカルボキ
シメチルキトサン−Gly−Gly−Gly−Ala−H複合体(12
0mg)を得た。
この50mgにMTX(46mg)の活性エステルを作用させて、
N−アセチルカルボキシメチルキトサン−Gly−Gly−Gl
y−Ala−MTX複合体(55mg、MTX含量:21.5%)を得た。
本複合体の紫外・可視部吸収スペクトルとゲル濾過溶出
パターンを各々、第12図、第13図に示す。
実施例7 カルボキシメチルキチン(カルボキシメチル化度:糖残
基当り0.7)を用いて、実施例1に準じて調製した、分
子量が約1×105の部分的N−アセチルカルボキシメチ
ルキトサン(45mg)を、0.1Mほう酸緩衝液(pH8.0)(2
ml)に溶かして多糖の溶液を作る。他方N−スクシニル
−Ala−Ala−Ala−p−ニトロアニリド(45mg)をジメ
チルホルムアミド(2ml)に溶解後、N−ヒドロキシス
クシンイミド(12mg)、N,N′−ジシクロヘキシルカル
ボジイミド(41mg)を加え、室温で1時間、その後4℃
で18時間反応させてニトロアニリド成分と結合されたペ
プチドの活性エステルを調製した。この反応液の溶媒を
減圧留去し、残渣をイソプロパノールで洗った後、ジメ
チルホルムアミド(0.8ml)に溶かした。これを上記の
多糖溶液に加え、室温にて40時間反応させた。反応液に
エタノールを加えて、析出した沈殿物を集め、真空乾燥
して、46mgの部分的N−アセチルカルボキシメチルキト
サン−Suc−Ala−Ala−Ala−p−ニトロアニリド複合体
を得た。
さらに本複合体(26mg)を取り、飽和NaHCO3水溶液3m
l)に溶解後、無水酢酸(0.14ml)を加えて、4℃で24
時間反応させてN−アセチル化した。反応液を外液を水
として透析した後、エタノール中に加えて、析出した沈
殿物を真空乾燥し、N−アセチルカルボキシメチルキト
サン−Suc−Ala−Ala−Ala−p−ニトロアニリド複合体
(25mg)を得た。本複合体の紫外部吸収スペクトルとゲ
ル濾過溶出パターンを各々、第14図と第15図に示す。本
複合体の−Suc−Ala−Ala−Ala−p−ニトロアニリド含
量は、315nmの吸光度分析から、3.9%(重量%)であっ
た。
実施例8 実施例7と同様の方法で、部分的N−アセチルカルボキ
シメチルキトサン(45mg)にN−スクシニル−Ala−Ala
−Val−Ala−p−ニトロアニリド(55mg)の活性エステ
ルを作用させ、部分的N−アセチルカルボキシメチルキ
トサン−Suc−Ala−Ala−Val−Ala−p−ニトロアニリ
ド複合体(44mg)を得た。
さらに、この30mgを用いて、実施例7と同様の方法でN
−アセチル化を行ない、N−アセチルカルボキシメチル
キトサン−Suc−Ala−Ala−Val−Ala−p−ニトロアニ
リド複合体(22mg)を得た。本複合体の−Suc−Ala−Al
a−Val−Ala−p−ニトロアニリド含量は、315nmの吸光
度から、4.5%(重量%)であった。
実施例9 実施例1で得た部分的N−アセチルカルボキシメチルキ
トサン(50mg)を0.25%NaHCO3水溶液(7ml)に溶解
後、ジメチルホルムアミド(6ml)を加えて均一な多糖
の溶液とした。別に、保護基Bocで保護されたフェニル
アラニンN−Boc−Phe−OH(265mg)を3mlのジメチルホ
ルムアミドに溶解後、N−ヒドロキシスクシンイミド
(115mg)とN,N′−ジシクロヘキシルカルボジイミド
(190mg)を加え、4℃で20時間反応させて活性エステ
ルとした。この活性エステルを含む反応液の1mlを上記
の多糖溶液に加え、室温で20時間反応させた。反応液を
エタノール(35ml)中に加えて析出した沈殿物を集め、
真空乾燥して51mgの部分的N−アセチルカルボキシメチ
ルキトサン−Phe−Boc複合体を得た。本複合体のN−Bo
c−フェニルアラニン(Phe−Boc)含量は紫外部(258n
m)の吸光度測定から14.4%(重量%)であった。
実施例10 実施例3に示した低分子化カルボキシメチルキチン(4.
1g)をアルカリ処理して得た反応液をpH8.5に調整し
た。その後、その反応液を遠心分離して得られる上清を
4.4倍量のメタノール中に加え、析出した沈殿物と上清
に分離した。この上清にエタノール(300ml)を加えて
析出した沈殿物を集め、真空乾燥して、分子量が約2×
104の部分的N−アセチルカルボキシメチルキトサン
(0.54g)を得た。
本物質(100mg)に、実施例1と同様の方法で、保護ペ
プチドN−Boc−Phe−Gly−Phe−Gly−OH(217mg)を作
用させ、次いで無水酢酸でN−アセチル化して、N−ア
セチルカルボキシメチルキトサン−Gly−Phe−Gly−Phe
−Boc複合体(98mg、N−Boc−ペプチド含量:28%)を
得た。この複合体(80mg)を実施例1と同様の方法で酸
処理により脱保護して、N−アセチルカルボキシメチル
キトサン−Gly−Phe−Gly−Phe−H複合体(46mg、ペプ
チド含量:24%)を得た。
この複合体の35mgにメトトレキサート(MTX)(69mg)
の活性エステルを実施例1と同様に作用させて、N−ア
セチルカルボキシメチルキトサン−Gly−Phe−Gly−Phe
−MTX複合体(35mg、MTX含量:19%)を得た。本複合体
のMTX/ペプチド(モル比)と式(I)におけるa/(a+
b)は、各々、前出の計算式の(5)式と(1)式から
0.92、0.19と算出された。
実施例11 実施例10に示した、分子量が約2×104の部分的N−ア
セチルカルボキシメチルキトサン(50mg)を水(1.25m
l)−ジメチルスルホキシド(1.25ml)−ジメチルホル
ムアミド(8ml)の混液に溶解後、実施例1と同様の方
法で、N−Succinyl−Gly−Phe−Gly−Lys(ε−N−Bo
c)−O−tBu(169mg)の活性エステルを作用させて部
分的N−アセチルカルボキシメチルキトサン−Suc−Gly
−Phe−Gly−Lys(ε−N−Boc)−O−tBu複合体を得
た。次いでN−アセチル化と酸処理による脱保護を行な
い、N−アセチルカルボキシメチルキトサン−Suc−Gly
−Phe−Gly−Lys−H複合体(47mg)を得た。
この複合体(35mg)に、メトトレキサート(MTX)(23m
g)の活性エステルを作用させて、N−アセチルカルボ
キシメチルキトサン−Suc−Gly−Phe−Gly−Lys−MTX複
合体(29mg、MTX含量:1.5%)を得た。本複合体の紫外
・可視部吸収スペクトルとゲル濾過溶出パターンを各
々、第20図、第21図に示す。
実施例12 実施例1と同様の方法で、カルボキシメチルキチン(カ
ルボキシメチル化度:糖残基当たり0.7)5.0gに卵白リ
ゾチーム25mgを作用させて低分子化カルボキシメチルキ
チン(4.37g)を得た。この3.7gをアルカリ処理により
部分的に脱アセチル化して、分子量約1×105(デキス
トラン標準)の部分的N−アセチルカルボキシメチルキ
トサン(2.58g)を得た。
この部分的N−アセチルカルボキシメチルキトサン(30
0mg)に、実施例1と同様の方法で、N−Boc−Phe−Gly
−OH(141mg)の活性エステル(N−ヒドロキシスクシ
ンイミドエステル)を作用させて、部分的N−アセチル
カルボキシメチルキトサン−Gly−Phe−Phe−Boc複合体
(340mg)を得た。この300mgを無水酢酸でN−アセチル
化して、N−アセチルカルボキシメチルキトサン−Gly
−Phe−Phe−Boc複合体(298mg、N−Boc−ペプチド含
量:12.0%)得た。
この複合体(100mg)を、実施例1と同様の方法で、酸
処理により脱保護(Boc基の脱離)し、N−アセチルカ
ルボキシメチルキトサン−Gly−Phe−Phe−H複合体(8
9mg)を得た。
この複合体(75mg)を1% NaHCO3水溶液(7.5ml)に溶
解し、メトトレキサート(MTX)(75mg)の活性エステ
ルを加えて、4℃で24時間反応して複合体のペプチドの
N末端へMTXを結合させた。反応液をエタノール(40m
l)中に加えて析出した沈殿物を集め、真空乾燥して、
N−アセチルカルボキシメチルキトサン−Gly−Phe−Ph
e−MTX複合体(75mg、MTX含量:10.1重量%)を黄色粉末
として得た。本複合体の紫外・可視部吸収スペクトルと
ゲル濾過溶出パターンを各々、第22図、第23図に示す。
実施例13 カルボキシメチルキチン(カルボキシメチル化度:0.7)
2.0gをpH6.0の0.05M酢酸緩衝液(200ml)に溶解し、卵
白リゾチーム(2.5mg)を加えて、37℃で1時間30分反
応して低分子化させ、更に実施例1と同様に1N NaOHで
処理して、分子量約3×105(デキストラン標準)の部
分的N−アセチルカルボキシメチルキトサン(1.72g)
を得た。本物質(150mg)を0.5% NaHCO3水溶液(15m
l)に溶解し、実施例1と同様の方法で、N−Boc−Ala
−Gly−Gly−Gly−OH(135mg)の活性エステルを作用さ
せて部分的N−アセチルカルボキシメチルキトサン−Gl
y−Gly−Gly−Ala−Boc複合体(150mg)を得た。その14
0mgを無水酢酸でN−アセチル化して、N−アセチルカ
ルボキシメチルキトサン−Gly−Gly−Gly−Ala−Boc複
合体(154mg)を得た。更に、その130mgを酸処理により
Boc基を脱保護し、N−アセチルカルボキシメチルキト
サン−Gly−Gly−Gly−Ala−H複合体(106mg)を得
た。この複合体(95mg)を1%NaHCO3水溶液(4.8ml)
に溶解し、MTX(86mg)の活性エステルを作用させて、
N−アセチルカルボキシメチルキトサン−Gly−Gly−Gl
y−Ala−MTX複合体(88mg、MTX含量:13.7%)を得た。
実施例14 実施例12で得た部分的N−アセチルカルボキシメチルキ
トサン(150mg)に、実施例1と同様の方法で、N−Boc
−Gly−Gly−Gly−OH(109mg)の活性エステルを作用さ
せて、部分的N−アセチルカルボキシメチルキトサン−
Gly−Gly−Gly−Boc複合体(167mg)を得た。この150mg
を無水酢酸でN−アセチル化して、N−アセチルカルボ
キシメチルキトサン−Gly−Gly−Gly−Boc複合体(153m
g)を得た。更に、その130mgを酸処理によりBoc基を脱
離して、N−アセチルカルボキシメチルキトサン−Gly
−Gly−Gly−H複合体(110mg)を得た。この100mgにMT
X(90mg)の活性エステルを作用させて、N−アセチル
カルボキシメチルキトサン−Gly−Gly−Gly−MTX複合体
(111mg、MTX含量:17.4重量%)を得た。
実施例15 実施例12で得た部分的N−アセチルカルボキシメチルキ
トサン(150mg)に、実施例1と同様の方法で、N−Boc
−Ala−Gly−Gly−Gly−OH(135mg)の活性エステルを
作用させて、部分的N−アセチルカルボキシメチルキト
サン−Gly−Gly−Gly−Ala−Boc複合体(162mg)を得
た。この150mgを無水酢酸でN−アセチル化して、N−
アセチルカルボキシメチルキトサン−Gly−Gly−Gly−A
la−Boc複合体(157mg)を得た。更に、その130mgを酸
処理によりBoc基を脱離して、N−アセチルカルボキシ
メチルキトサン−Gly−Gly−Gly−Ala−H複合体(114m
g)を得た。この100mgにMTX(90mg)の活性エステルを
作用させて、N−アセチルカルボキシメチルキトサン−
Gly−Gly−Gly−Ala−MTX複合体(111mg、MTX含量:17.4
重量%)を得た。
実施例16 実施例12で得た部分的N−アセチルカルボキシメチルキ
トサン(200mg)に、実施例1と同様の方法で、N−Boc
−Gly−Phe−Gly−Gly−OH(87mg)の活性エステルを作
用させて、部分的N−アセチルカルボキシメチルキトサ
ン−Gly−Gly−Phe−Gly−Boc複合体(206mg)を得た。
この100mgを無水酢酸でN−アセチル化して、N−アセ
チルカルボキシメチルキトサン−Gly−Gly−Phe−Gly−
Boc複合体(92mg、N−Boc−ペプチド含量:7.4%)を得
た。更に、その80mgを酸処理によりBoc基を脱離して、
N−アセチルカルボキシメチルキトサン−Gly−Gly−Ph
e−Gly−H複合体(71mg)を得た。この50mgにMTX(45m
g)の活性エステルを作用させて、N−アセチルカルボ
キシメチルキトサン−Gly−Gly−Phe−Gly−MTX複合体
(50mg、MTX含量:7.0%)を得た。
実施例17 実施例12で得た部分的N−アセチルカルボキシメチルキ
トサン−Gly−Phe−Phe−Boc複合体(カルボキシメチル
化度:0.7、N−Boc−ペプチド含量:13.2%)の50mgを0.
1% NaHCO3水溶液(2.5ml)に溶解し、2−O−モノメ
トキシポリエチレングリコール−3,5−ジクロロ−s−
トリアジン(分子量5000、シグマ社製)(以下、PEG1
略記)(80mg)を加えて、0℃で4時間反応した。生成
された部分的N−アセチルカルボキシメチルキトサン−
PEG1−Gly−Phe−Phe−Boc複合体を含む反応液に水(2.
5ml)、炭酸水素ナトリウム(500mg)、無水酢酸(200
μ)を加え、4℃で18時間反応してN−アセチル化し
た。反応液を水に対して透析し、透析内液を3mlに濃縮
し、アセトン(90ml)を加えて析出した沈殿物を集め、
塩化メチレンで洗浄し、真空乾燥して、N−アセチルカ
ルボキシメチルキトサン−PEG1−Gly−Phe−Phe−Boc複
合体(72mg、PEG含量:37%)を得た。
この複合体(60mg)を0.5N HCl(3.5ml)に溶解し、30
℃で16時間反応してBoc基を脱離し、反応液をエタノー
ル−エーテル(1:2)の混合溶媒(60ml)中に加えて析
出した沈殿物を集め、塩化メチレンで洗浄し、真空乾燥
して、N−アセチルカルボキシメチルキトサン−PEG1
Gly−Phe−Phe−H複合体(44mg、PEG含量:26%)を得
た。本複合体のゲル濾過溶出パターンを第24図に示す。
N−アセチルカルボキシメチルキトサン−PEG1−Gly−P
he−Phe−H複合体(35mg)を1% NaHCO3水溶液(1.75
ml)に溶解し、MTX(16mg)の活性エステルを加え、4
℃で18時間反応した。反応液を水に対して透析し、透析
内液を3mlに濃縮し、アセトン(60ml)を加えて析出し
た沈殿物を集め、塩化メチレンで洗浄し、真空乾燥し
て、式(X)の誘導体の一例として、N−アセチルカル
ボキシメチルキトサン−PEG1−Gly−Phe−Phe−MTX複合
体(29mg、PEG含量:21%、MTX含量:7.9%)を黄色粉末
として得た。本複合体の紫外・可視吸収スペクトルとゲ
ル濾過溶出パターンを各々第25図、第26図に示す。
実施例18 実施例12で得た部分的N−アセチルカルボキシメチルキ
トサン−Gly−Phe−Phe−Boc複合体(カルボキシメチル
化度:0.7、N−Boc−ペプチド含量:13.2%)の50mgを0.
1% NaHCO3水溶液(2.5ml)に溶解し、実施例17で用い
たPEG1(12mg)を加えて、実施例17と同様の方法で、N
−アセチルカルボキシメチルキトサン−PEG1−Gly−Phe
−Phe−Boc複合体(49mg、PEG含量:8.0%)を得、この4
0mgを用い、Boc基を脱保護して、N−アセチルカルボキ
シメチルキトサン−PEG1−Gly−Phe−Phe−H複合体(3
3mg)を得た。N−アセチルカルボキシメチルキトサン
−PEG1−Gly−Phe−Phe−H複合体(21mg)を1% NaHC
O3水溶液(1.1ml)に溶解し、MTX(9.5mg)の活性エス
テルを加えて、4℃で18時間反応した。反応液をエタノ
ール(11ml)中に加えて析出した沈殿物を集め、塩化メ
チレンで洗浄し、真空乾燥して、N−アセチルカルボキ
シメチルキトサン−PEG1−Gly−Phe−Phe−MTX複合体
(17mg、PEG含量:6.1%、MTX含量:8.5%)を得た。
実施例19 実施例12に準じて合成した部分的N−アセチルカルボキ
シメチルキトサン−Gly−Phe−Phe−Boc複合体(カルボ
キシメチル化度:0.7、N−Boc−ペプチド含量:14.8%)
の50mgを0.1% NaHCO3水溶液(5ml)に溶解し、PEG1(2
00mg)を加えて、実施例17と同様の方法で、N−アセチ
ルカルボキシメチルキトサン−PEG1−Gly−Phe−Phe−B
oc複合体(100mg、PEG含量:58%)を得た。この90mgを
用いて、そのBoc基を脱離して、N−アセチルカルボキ
シメチルキトサン−PEG1−Gly−Phe−Phe−H複合体(6
7mg、PEG含量:45%)を得た。N−アセチルカルボキシ
メチルキトサン−PEG1−Gly−Phe−Phe−H複合体(50m
g)を用いて、実施例17と同様にしてMTXの活性エステル
と反応させて、N−アセチルカルボキシメチルキトサン
−PEG1−Gly−Phe−Phe−MTX複合体(42mg、PEG含量:43
%、MTX含量:6.3%)を得た。
実施例20 実施例16に準じて合成した部分的N−アセチルカルボキ
シメチルキトサン−Gly−Gly−Phe−Gly−Boc複合体
(カルボキシメチル化度:0.7、N−Boc−ペプチド含量:
7.9%)の25mgを0.1% NaHCO3水溶液(1.25ml)に溶解
し、PEG1(50mg)を加えて、実施例17と同様の方法で、
N−アセチルカルボキシメチルキトサン−PEG1−Gly−G
ly−Phe−Gly−Boc複合体(42mg、PEG含量:42%)を得
た。この30mgを用いて、そのBoc基を脱離して、N−ア
セチルカルボキシメチルキトサン−PEG1−Gly−Gly−Ph
e−Gly−H複合体(20mg)を得た。N−アセチルカルボ
キシメチルキトサン−PEG1−Gly−Gly−Phe−Gly−H複
合体(15mg)を用いて、実施例17と同様にしてMTXの活
性エステルと反応させ、N−アセチルカルボキシメチル
キトサン−PEG1−Gly−Gly−Phe−Gly−MTX複合体(11m
g、PEG含量:27%、MTX含量:6.1%)を得た。
実施例21 実施例12に準じて合成した部分的N−アセチルカルボキ
シメチルキトサン−Gly−Phe−Phe−Boc複合体(カルボ
キシメチル化度:0.7、N−Boc−ペプチド含量:14.8%)
の100mgを0.5% NaHCO3水溶液(10ml)に溶解し、ジメ
チルホルムアミド(8.5ml)を加えて均一な溶液とし
た。この溶液に、メトキシポリオキシエチレンカルボン
酸(分子量:5000、シグマ社製)(以下、PEGCOと略記)
の100mgの活性エステルを加えて、4℃で18時間反応さ
せて前記の複合体の糖単位のN−アセチル化されていな
いアミノ基へPEGCOを結合させた。反応液を水に対して
透析し、透析内液(27ml)に炭酸水素ナトリウム(3.6
g)、無水酢酸(2.1ml)を加えて、4℃で20時間反応し
て部分的N−アセチルカルボキシメチルキトサン−PEG
CO−Gly−Phe−Phe−Boc複合体をN−アセチル化した。
反応液を水に対して透析し、透析内液を6mlに濃縮し、
アセトン(120ml)を加えて析出した沈殿物を集め、塩
化メチレンで洗浄し、真空乾燥して、N−アセチルカル
ボキシメチルキトサン−PEGCO−Gly−Phe−Phe−Boc複
合体(109mg、PEG含量:9.0%)を得た。この50mgを用
い、酸処理によりそれのBoc基を脱離して、N−アセチ
ルカルボキシメチルキトサン−PEGCO−Gly−Phe−Phe−
H複合体(35mg、PEG含量:4.7%)を得た。N−アセチ
ルカルボキシメチルキトサン−PEGCO−Gly−Phe−Phe−
H複合体(25mg)を用いて、実施例18と同様にして、MT
Xの活性エステルを反応させ、N−アセチルカルボキシ
メチルキトサン−PEGCO−Gly−Phe−Phe−MTX複合体(2
5mg、PEG含量:4.5%、MTX含量:9.1%)を得た。
実施例22 実施例1と同様の方法で調製した部分的N−アセチルカ
ルボキシメチルキトサン(300mg)に、実施例1と同様
の方法でN−Boc−Gly−Gly−Gly−OH(289mg)の活性
エステルを作用させて部分的N−アセチルカルボキシメ
チルキトサン−Gly−Gly−Gly−Boc複合体(334mg)を
得た。
この125mgを水(12ml)に溶解し、3.3%メタ過ヨウ素酸
ナトリウム水溶液(5ml)を加えて、遮光下、室温で4
時間反応させた。この反応液を水に対して透析後、透析
内液を約12mlまで濃縮し、水素化ホウ素ナトリウム(30
mg)を加えて、一晩反応させた。この反応液のpHを4.5
に下げた後、8.0に上げ、次いでエタノール(60ml)中
に加えて析出した沈殿物を集め、真空乾燥して、一部の
ピラノース環が開環してポリオール化したN−アセチル
カルボキシメチルキトサン−Gly−Gly−Gly−Boc複合体
(77mg)を得た。
この複合体(60mg)を実施例1と同様の方法で酸処理し
て、Boc基を脱離させ、ポリオール化N−アセチルカル
ボキシメチルキトサン−Gly−Gly−Gly−H複合体(46m
g)を得た。この複合体(35mg)にMTX(46mg)の活性エ
ステルを作用させて、ポリオール化N−アセチルカルボ
キシメチルキトサン−Gly−Gly−Gly−MTX複合体(42m
g、MTX含量:29%)を得た。本複合体の紫外・可視部吸
収スペクトルとゲル濾過溶出パターンを各々、第27図、
第28図に示す。
実施例23 実施例1と同様の方法で調製した部分的N−アセチルカ
ルボキシメチルキトサン(250mg)に、実施例1と同様
の方法でN−Boc−Gly−Phe−Phe−Gly−OH(527mg)の
活性エステルを作用させて部分的N−アセチルカルボキ
シメチルキトサン−Gly−Phe−Phe−Gly−Boc複合体(3
27mg)を得た。この複合体(200mg)を実施例22と同様
の方法で、過ヨウ素酸で酸化し、次いで還元して、ポリ
オール化N−アセチルカルボキシメチルキトサン−Gly
−Phe−Phe−Gly−Boc複合体(113mg、N−Boc−ペプチ
ド含量:28%)を得た。
この複合体(60mg)を実施例1と同様の方法で酸処理し
て、Boc基を脱離し、ポリオール化N−アセチルカルボ
キシメチルキトサン−Gly−Phe−Phe−Gly−H複合体
(36mg、ペプチド含量:24%)を得た。この30mgにMTX
(55mg)の活性エステルを作用させて、ポリオール化N
−アセチルカルボキシメチルキトサン−Gly−Phe−Phe
−Gly−MTX複合体(22mg、MTX含量:19%)を得た。本複
合体のMTX/ペプチド(モル比)と式(XI)におけるa/
(a+b+c)は、各々、前出の計算式の(5)式と
(1)式から0.93、0.19と算出された。
以下に記載する実験例1〜4によって本発明の式
(I)、式(X)および式(XI)の誘導体の諸性質を試
験した。
実験例1 〔試料と方法〕 実施例1で得られたN−アセチルカルボキシメチルキト
サン−Gly−Phe−Phe−MTX複合体と実施例2で得られた
N−アセチルカルボキシメチルキトサン−Gly−Gly−Gl
y−MTX複合体を夫々に生理食塩水に溶解して、400μg/m
lの試料溶液2種を準備した。マウス数匹より採取した
血液を遠心分離して得られた血漿(190μ)に上記の
各試料溶液(10μ)を加え、37℃で反応させた。経時
的に反応液を取り、除蛋白した後、ゲル濾過法(カラ
ム:TSK−gel G4000PWXL、溶出液:0.1M NaCl、流速:0.8m
l/min、カラム温度:40℃、検出:307nmにおける紫外部吸
収)で分析することにより、複合体として存在している
MTXの血漿中での残存%を求めた。
〔結 果〕
結果を第16図に示す。第16図は式(I)で表わされる複
合体として存在しているMTXの血漿中での残存パーセン
トの経時変化を示すグラフである。図中で●印線はN−
アセチルカルボキシメチルキトサン−Gly−Phe−Phe−M
TX複合体、□印線はN−アセチルカルボキシメチルキト
サン−Gly−Gly−Gly−MTX複合体についての結果を示
す。
第16図より、上記2種のいずれの複合体も血液中で殆ど
分解を受けず、安定であることが認められる。
実験例2 〔試料と方法〕 実施例1で得られたN−アセチルカルボキシメチルキト
サン−Gly−Phe−Phe−MTX複合体(1mg)と実施例2で
得られたN−アセチルカルボキシメチルキトサン−Gly
−Gly−Gly−MTX複合体(1mg)を夫々に卵白リゾチーム
(10μg)の存在下および非存在下で0.1M酢酸緩衝液
(pH6.0、1ml)中37℃で反応させ、1、3、6および23
時間後の反応液を実験例1記載と同じゲル濾過法により
分析することにより、N−アセチルカルボキシメチルキ
トサンが分解を受けて複合体が低分子化する結果として
の溶出時間(ゲル濾過における)の延長を求めた。
〔結 果〕
結果を第17図に示す。第17図は反応時間とその反応時間
での反応液においてピークの溶出が現われる溶出時間と
の関係を示すグラフである。図中で○印線および●印線
はN−アセチルカルボキシメチルキトサン−Gly−Phe−
Phe−MTX複合体についてリゾチームが存在しない場合お
よびリゾチームが存在する場合におけるそれぞれの結果
を示し、また□印線および■印線はN−アセチルカルボ
キシメチルキトサン−Gly−Gly−Gly−MTX複合体につい
てリゾチームが存在しない場合およびリゾチームが存在
する場合におけるそれぞれの結果を示す。
第17図より、リゾチームの作用により上記の複合体のN
−アセチルカルボキシメチルキトサン部分が分解を受
け、その結果、いずれの複合体も低分子化することが認
められるので、複合体が長時間にわたり体内に残留する
ことは起らないことが期待される。
実験例3 〔試 料〕 MTX部分が3Hラベルしている実施例2のN−アセチルカ
ルボキシメチルキトサン−Gly−Gly−Gly−MTX複合体を
検体試料の化合物とした。別にH3ラベルした実施例1の
工程途中で得られた部分的N−アセチルカルボキシメチ
ルキトサンを対照試料として用意した。
〔方 法〕
ICR系の雄性マウスにsarcoma180を皮下に植え込み、10
日後の担癌マウスを実験に用いた。試料を生理食塩水に
溶解し、各3群匹のマウスを用い、尾静脈より20mg/kg
を投与した。投与後15分、30分、1時間、2時間、6時
間および24時間に大腿動脈および静脈を切断し、血液を
採取した。血液を遠心分離して得られた血清と癌組織の
放射活性を燃焼法により測定し、血清と癌組織中での試
料化合物濃度を求めた。
〔結 果〕
結果を第18図、第19図に示す。第18図は試料化合物の血
清中濃度を経時変化を示すグラフであり、第19図は癌組
織での試料化合物の濃度の経時変化を示すグラフであ
る。共に図中の□印線は対照試料についての結果を、●
印線は上記の検体試料についての結果を表す。
第18図により、上記検体試料はペプチド鎖を介してMTX
を多糖体(N−アセチルカルボキシメチルキトサン)に
結合した複合体であり、従ってこのような複合体は血中
消失が速いと予想されるにもかかわらず、実際には結合
させる以前の単なる多糖体すなわちN−アセチルカルボ
キシメチルキトサンとそれ自体と比較しても上記の複合
体の形の検体試料化合物の血中滞留性は同程度またはそ
れ以上に増加していることが認められる。また第19図よ
り、上記検体試料は上記の単なる多糖体と比較してみる
とペプチド鎖を具有することにより癌組織に集合しやす
い性質を新たに獲得していることが認められる。従っ
て、式(I)の本発明物質において適切なペプチド鎖
(−X−)を選択することにより式(I)の本発明物質
に臓器指向の傾向を具備させることができる。
実験例4 本実験例では、式(X)の本発明物質の数例を試料とし
て用いて、下記の実験を行った。
すなわち、MTX部分が3Hラベルしている実施例18、実施
例17、実施例19の最終生成物としての複合体(それぞれ
の複合体のポリエチレングリコール(PEG)含量が6
%、21%、43%)を検体1、検体2、検体3のためのラ
ベル化合物として用意した。別に、PEGを欠除された形
の但しMTX部分を3Hラベルした複合体を対照のためのラ
ベル化合物として用意した。検体1、検体2、検体3の
複合体及び対照の複合体の全てにおいて、複合体のカル
ボキシメチルグルコサミン単位の2−アミノ基に結合さ
れたペプチド鎖はいずれもGly−Phe−Pheであり、検体
1、検体2、検体3におけるPEGはいずれも実施例17に
記載されたPEG1(分子量5000)である。
(試験方法) ウィスター系の雌性ラットに癌細胞ウォーカー256を鼠
径部皮下に移植し、移植6日後の担癌ラットを実験に用
いた。試料投与液は3Hラベルした複合体を、対応する非
放射性の複合体を溶解した生理食塩水溶液で適宜希釈し
て用意し、複合体として10mg/kgの投与量となるように
1群3匹のラットの頚静脈内に試料を投与した。
エーテル麻酔下に頚静脈より経時的(30分、1時間、2
時間、4時間および6時間)に採血を行い血漿を分離し
た。投与後24時間にエ一テル麻酔下に採血を行い、放血
死させた。組織および臓器を採取し、全体あるいは一部
を秤量後、放射能を測定した。
なお、採取された測定組織中の放射能は、コンバストコ
ーンに採取したサンプルを乾燥後、自動試料燃焼装置
(ASC−113、ALOKA)にて燃焼させた後、シンチレータ
ー(AQUASOL−2,NEN)を加えて、液体シンチレーション
カウンター(LSC−3600,ALOKA)にて測定し、外部標準
線源法により補正した。
(試験結果) 試験結果を添付図面の第29図、第30図および後記の表1
に示す。第29図は投与後24時間までの各試料についての
血漿中濃度の経時変化を示すグラフであり、第30図は各
試料について投与量に対する組織中濃度の体内分布を示
すグラフであり、表1は各試料について第29図に基ずい
て求めたAUC値および各試料についての投与量に対する
腫瘍中濃度を示す表である。
第29図より示されるごとく、PEGの導入量が多い程複合
体の血中滞留性は優れており、これを表1のAUC値によ
って示すと、対照に対して検体1(PEG導入量6%)は
約1.3倍、検体2(PEG導入量21%)および検体3(PEG
導入量43%)は約3倍にも増大していることが判る。
また第30図より示されるごとく、腫瘍組織以外の臓器で
はPEG導入量による顕著な差は認められないのに対し、
腫瘍組織ではPEG導入量によって腫瘍中濃度が着実に高
くなっているのが認められ、具体的には表1の腫瘍中濃
度の値によって示されるごとくである。すなわちN−ア
セチルカルボキシメチルキトサン誘導体においてPEGが
導入された場合には、癌組織を認識する傾向が現われる
ようになり、従って制癌剤の必要投与量を少量化するこ
とができ、その結果、他の臓器への好ましくない影響を
低減することが可能となる。
図面の簡単な説明 添付図面について、 第1図:本発明の実施例1で得られたN−アセチルカル
ボキシメチルキトサン−Gly−Phe−Phe−Boc複合体の紫
外部吸収スペクトル(濃度:1900μg/ml、溶媒:30%EtO
H)を示す。
第2図:本発明の実施例1で得られたN−アセチルカル
ボキシメチルキトサン−Gly−Phe−Phe−Boc複合体のゲ
ル濾過溶出パターン(検出:258nmにおける紫外部吸収)
を示す。
第3図:本発明の実施例1で得られたN−アセチルカル
ボキシメチルキトサン−Gly−Phe−Phe−H複合体の紫
外部吸収スペクトル(濃度:1900μg/ml、溶媒:30%EtO
H)を示す。
第4図:本発明の実施例1で得られたN−アセチルカル
ボキシメチルキトサン−Gly−Phe−Phe−H複合体のゲ
ル濾過溶出パターン(検出:258nmにおける紫外部吸収)
を示す。
第5図:本発明の実施例1で最終生成物として得られた
N−アセチルカルボキシメチルキトサン−Gly−Phe−Ph
e−MTX複合体の紫外・可視部吸収スペクトル(濃度:100
μg/ml、溶液:0.1%NaHCO3)を示す。
第6図:本発明の実施例1で最終生成物として得られた
N−アセチルカルボキシメチルキトサン−Gly−Phe−Ph
e−MTX複合体のゲル濾過溶出パターン(検出:307nmにお
ける紫外部吸収)を示す。
第7図:本発明の実施例2で得られたN−アセチルカル
ボキシメチルキトサン−Gly−Gly−Gly−pMZ複合体の紫
外部吸収スペクトル(濃度:500μg/ml、溶媒:水)を示
す。
第8図:本発明の実施例2で得られたN−アセチルカル
ボキシメチルキトサン−Gly−Gly−Gly−pMZ複合体のゲ
ル濾過溶出パターン(検出:272nmにおける紫外部吸収)
を示す。
第9図:本発明の実施例2で得られたN−アセチルカル
ボキシメチルキトサン−Gly−Gly−Gly−H複合体の紫
外部吸収スペクトル(濃度:1000μg/ml、溶媒:水)を
示す。
第10図:本発明の実施例2で最終生成物として得られた
N−アセチルカルボキシメチルキトサン−Gly−Gly−Gl
y−MTX複合体の紫外・可視部吸収スペクトル(濃度:48
μg/ml、溶媒:0.1%NaHCO3)を示す。
第11図:本発明の実施例2で最終生成物として得られた
N−アセチルカルボキシメチルキトサン−Gly−Gly−Gl
y−MTX複合体のゲル濾過溶出パターン(検出:307nmにお
ける紫外部吸収)を示す。
第12図:本発明の実施例6で得られたN−アセチルカル
ボキシメチルキトサン−Gly−Gly−Gly−Ala−MTX複合
体の紫外・可視部吸収スペクトル(濃度:50μg/ml、溶
媒:0.1%NaHCO3)を示す。
第13図:本発明の実施例6で得られたN−アセチルカル
ボキシメチルキトサン−Gly−Gly−Gly−Ala−MTX複合
体のゲル濾過溶出パターン(検出:307nmにおける紫外部
吸収)を示す。
第14図:本発明の実施例7で最終生成物として得られた
N−アセチルカルボキシメチルキトサン−Suc−Ala−Al
a−Ala−p−ニトロアニリド複合体の紫外部吸収スペク
トル(濃度:500μg/ml、溶媒:水)を示す。
第15図:本発明の実施例7で最終生成物として得られた
N−アセチルカルボキシメチルキトサン−Suc−Ala−Al
a−Ala−p−ニトロアニリドのゲル濾過溶出パターン
(検出:315nmにおける紫外部吸収)を示す。
第16図:本発明による実験例1において測定されて、キ
トサンとの複合体として存在している医薬化合物メトト
レキサート(MTX)の血漿中での残存パーセントの経時
変化(in vitro)を示すグラフである。
第17図:本発明による実験例2において測定されて、本
発明の複合体を酢酸緩衝液で分解させる反応に当って、
反応時間とその反応時間での反応液においてピークの溶
出が現われる溶出時間との関係を示すグラフを示す。
第18図:本発明による実験例3で測定されて、試料化合
物の血清中濃度の経時変化(in vivo)を示すグラフで
ある。
第19図:本発明による実験例3で測定されて、試料化合
物の癌組織での濃度の経時変化を示すグラフである。
第20図:本発明の実施例11で得られたN−アセチルカル
ボキシメチルキトサン−Suc−Gly−Phe−Gly−Lys−MTX
複合体の紫外・可視部吸収スペクトル(濃度:490μg/m
l、溶媒:0.1%NaHCO3)を示す。
第21図:本発明の実施例11で得られたN−アセチルカル
ボキシメチルキトサン−Suc−Gly−Phe−Gly−Lys−MTX
複合体のゲル濾過溶出パターン(検出:307nmにおける紫
外部吸収)を示す。
第22図:本発明の実施例12で得られたN−アセチルカル
ボキシメチルキトサン−Gly−Phe−Phe−MTX複合体(カ
ルボキシメチル化度:0.7)の紫外・可視部吸収スペクト
ル(濃度:100μg/ml、溶媒:0.1%NaHCO3)を示す。
第23図:本発明の実施例12で得られたN−アセチルカル
ボキシメチルキトサン−Gly−Phe−Phe−MTX複合体(カ
ルボキシメチル化度:0.7)のゲル濾過溶出パターン(検
出:307nmにおける紫外部吸収)を示す。
第24図:本発明の実施例17で生成されたN−アセチルカ
ルボキシメチルキトサン−PEG1−Gly−Phe−Phe−H複
合体のゲル濾過溶出パターン(検出:258nmにおける紫外
部吸収)を示す。
第25図:本発明の実施例17で最終生成物として得られた
N−アセチルカルボキシメチルキトサン−PEG1−Gly−P
he−Phe−MTX複合体の紫外・可視部吸収スペクトル(濃
度:100μg/ml、溶媒:0.1%NaHCO3)を示す。
第26図:本発明の実施例17で最終生成物として得られた
N−アセチルカルボキシメチルキトサン−PEG1−Gly−P
he−Phe−MTX複合体のゲル濾過溶出パターン(検出:307
nmにおける紫外部吸収)を示す。
第27図:本発明の実施例22で得られたポリオール化N−
アセチルカルボキシメチルキトサン−Gly−Gly−Gly−M
TX複合体の紫外・可視部吸収スペクトル(濃度:40μg/m
l、溶媒:0.1%NaHCO3)を示す。
第28図:本発明の実施例22で得られたポリオール化N−
アセチルカルボキシメチルキトサン−Gly−Gly−Gly−M
TX複合体のゲル濾過溶出パターン(検出:307nmにおける
紫外部吸収)を示す。
第29図:本発明の実験例4で測定されて、投与後24時間
までの各試料についての血漿中濃度の経時変化を示すグ
ラフである。
第30図:各試料について投与量に対する組織中濃度の体
内分布を示すグラフである。
産業上の利用可能性 本発明による新規なN−アセチルカルボキシメチルキト
サン誘導体は医薬化合物の生体内ターゲティングを目標
としており、医薬化合物の血液中での安定性、臓器への
標的指向性並びに体内での被代謝性を高める点で医薬化
合物のための多糖型高分子担体として有用である。ま
た、本発明により医薬化合物と結合した複合体の形とし
ての新規なN−アセチルカルボキシメチルキトサン誘導
体は、臓器への標的指向性及びその他の有利な性質を有
し、医薬として有用である。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式(I) 〔式中、R1およびR2は夫々にHまたはカルボキシメチル
    基、PはR3CO基、R4NH基またはR5O基、QはHまたはOH
    基、Xは1〜10個の同一または異なるアミノ酸を含むペ
    プチド鎖を意味する。なおR3COOHはカルボン酸化合物、
    R4NH2はアミノ化合物、R5OHはアルコール化合物を意味
    する。a1、a2は0または正の整数を示すが、共に0とな
    る場合を除く。bは正の整数を示す。〕 によって示され、下記の特性値(1)〜(4):− (1)カルボキシメチル化度:0.5〜1.2 (2)分子量(ゲル濾過法):3,000〜300,000 (3)a/(a+b):0.01〜1 (ただしa=a1+a2) (4)P/X(モル比):0.1〜1 を有するN−アセチルカルボキシメチルキトサン誘導
    体。
  2. 【請求項2】XPにおけるXが1〜4個の同一または異な
    るアミノ酸からなるペプチド鎖であり、そのN末端側ア
    ミノ酸にPが結合する請求の範囲1記載のN−アセチル
    カルボキシメチルキトサン誘導体。
  3. 【請求項3】XPが下記のいづれかである請求の範囲2記
    載のN−アセチルカルボキシメチルキトサン誘導体。 P−Phe−Phe−Gly− P−Gly−Phe−Gly−Gly− P−Phe−Gly−Phe−Gly− P−Gly−Phe−Gly−Phe− P−Gly−Gly−Gly− P−Ala−Gly−Gly−Gly−
  4. 【請求項4】XPにおけるXが、二塩基性酸を含み、かつ
    1〜4個の同一または異なるアミノ酸からなるペプチド
    鎖であり、そのC末端側アミノ酸にPが結合する請求の
    範囲第1記載のN−アセチルカルボキシメチルキトサン
    誘導体。
  5. 【請求項5】XPが下記のいづれかである請求の範囲4記
    載のN−アセチルカルボキシメチルキトサン誘導体。 −Suc−Ala−Ala−Ala−P −Suc−Ala−Ala−Val−Ala−P (Sucはコハク酸残基を示す)
  6. 【請求項6】R3CO基とR5O基が保護基である請求の範囲
    1〜5のいづれかの項に記載のN−アセチルカルボキシ
    メチルキトサン誘導体。
  7. 【請求項7】R3CO基がtert−ブトキシカルボニル基また
    はp−メトキシベンジルオキシカルボニル基であり、ま
    たR5O基がtert−ブチルオキシ基である請求の範囲6記
    載のN−アセチルカルボキシメチルキトサン誘導体。
  8. 【請求項8】R3COOHがメトトレキサートである請求の範
    囲1〜5のいづれかの項に記載のN−アセチルカルボキ
    シメチルキトサン誘導体。
  9. 【請求項9】式(II) 〔式中、R1およびR2は夫々にHまたはカルボキシメチル
    基、ここでPはH、OH基、R3CO基、R4NH基またはR5O
    基、Xは1〜10個の同一または異なるアミノ酸を含むペ
    プチド鎖を意味する。なおR3COOHはカルボン酸化合物、
    R4NH2はアミノ化合物、R5OHはアルコール化合物を意味
    する。a、b1、b2は0または正の整数を示す。〕 によって示され、下記の特性値(1)〜(4):− (1)カルボキシメチル化度:0.5〜1.2 (2)分子量(ゲル濾過法):3,000〜300,000 (3)a/(a+b):0.01〜1 (ただしb=b1+b2) (4)P/X(モル比):0.1〜1 を有する部分的N−アセチルカルボキシメチルキトサン
    誘導体。
  10. 【請求項10】式(III) 〔式中、R1およびR2は夫々にHまたはカルボキシメチル
    基を表わす〕 によって示され、下記の特性値(1)〜(2):− (1)カルボキシメチル化度:0.5〜1.2 (2)分子量(ゲル濾過法):3,000〜300,000 を有する部分的N−アセチルカルボキシメチルキトサン
    に次式 PX−OH (IV) 〔式中、ここでPはH、OH基、R3CO基、R4NH基またはR5
    O基、Xは1〜10個の同一または異なるアミノ酸を含む
    ペプチド鎖を意味する。なおR3COOHはカルボン酸化合
    物、R4NH2はアミノ化合物、R5OHはアルコール化合物を
    意味する。〕 で示される化合物を反応せしめることを特徴とする、式
    (II) 〔式中、R1、R2、P、Xは(III)式における前記と同
    じ意味を示す。a、b1、b2は正の整数を示す。〕 によって示され、下記の特性値(1)〜(4):− (1)カルボキシメチル化度:0.5〜1.2 (2)分子量(ゲル濾過法):3,000〜300,000 (3)a/(a+b):0.01〜1 (ただしb=b1+b2) (4)P/X(モル比):0.1〜1 を有する部分的N−アセチルカルボキシメチルキトサン
    誘導体の製法。
  11. 【請求項11】式(II′) 〔式中、R1およびR2は夫々にHまたはカルボキシメチル
    基、P1はHまたはOH基、もしくはR3′CO基、R4′NH基ま
    たはR5′O基、Xは1〜10個の同一または異なるアミノ
    酸を含むペプチド鎖を意味する。なおR3′COOHはカルボ
    ン酸化合物、R4′NH2はアミノ化合物、R5′OHはアルコ
    ール化合物を意味する。a、b1、b2は正の整数を示
    す。〕によって示され、下記の特性値(1)〜(4):
    − (1)カルボキシメチル化度:0.5〜1.2 (2)分子量(ゲル濾過法):3,000〜300,000 (3)a/(a+b):0.01〜1 (ただしb=b1+b2) (4)P/X(モル比):0.1〜1 を有する部分的N−アセチルカルボキシメチルキトサン
    誘導体をアセチル化し、P1基がHまたはOH基以外のとき
    は、さらにP1基を脱離せしめ、最後に次式 P−H または P−OH (V) 〔式中、PはR3CO基、R4NH基またはR5O基を表す。〕 で示される化合物を反応せしめることを特徴とする、式
    (I) 〔式中、R1、R2、P、Xは前記と同じ意味を示し、Qは
    HまたはOH基を意味する。a1、a2は0または正の整数を
    示すが、共に0となる場合を除く。bは正の整数を示
    す。〕 によって示され、下記の特性値(1)〜(4):− (1)カルボキシメチル化度:0.5〜1.2 (2)分子量(ゲル濾過法):3,000〜300,000 (3)a/(a+b):0.01〜1 (ただしa=a1+a2) (4)P/X(モル比):0.1〜1 を有するN−アセチルカルボキシメチルキトサン誘導体
    の製法。
  12. 【請求項12】式(X)又は式(XI) 〔式中、R1およびR2は夫々にHまたはカルボキシメチル
    基、PはR3CO基、R4NH基またはR5O基、QはHまたはOH
    基、Xは1〜10個の同一または異なるアミノ酸を含むペ
    プチド鎖を意味する。なおR3COOHはカルボン酸化合物、
    R4NH2はアミノ化合物、R5OHはアルコール化合物を意味
    する。a1、a2は0または正の整数を示すが、共に0とな
    る場合を除く。bおよびcは正の整数を示す。 また式中、−PEGは下記の式(VI),(VII),(VIII)
    又は(IX) −CO−CH2CH2−CO−O−(CH2CH2O)−CH3 (VII) −CO−O−(CH2CH2O)−CH3 (VIII) −CO−CH2−O−(CH2CH2O)−CH3 (IX) の基を表わし、nはポリエチレングリコール鎖の平均重
    合度を示す〕 によって示され且つ下記の特性値(1)〜(4):− (1)カルボキシメチル化度:0.5〜1.2 (2)分子量(ゲル濾過法):3,000〜300,000 (3)a/(a+b+c):0.01〜1 (ただしa=a1+a2) (4)P/X(モル比):0.1〜1 を有するN−アセチルカルボキシメチルキトサン誘導
    体。
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