JPH0745874A - 異方性超伝導素子とその作製方法及びこれを用いたフラクソンデバイス - Google Patents
異方性超伝導素子とその作製方法及びこれを用いたフラクソンデバイスInfo
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- JPH0745874A JPH0745874A JP5208989A JP20898993A JPH0745874A JP H0745874 A JPH0745874 A JP H0745874A JP 5208989 A JP5208989 A JP 5208989A JP 20898993 A JP20898993 A JP 20898993A JP H0745874 A JPH0745874 A JP H0745874A
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- H10—SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- H10N—ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
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- H10N60/12—Josephson-effect devices
- H10N60/124—Josephson-effect devices comprising high-Tc ceramic materials
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- Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)
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- Containers, Films, And Cooling For Superconductive Devices (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 異方的なジョゼフソン特性を示す接合型超伝
導素子を提供する。 【構成】 下部超伝導膜12と上部超伝導膜14との間にバ
リア膜13を挟んだ接合型超伝導素子10を作製する。これ
ら下部超伝導膜12、バリア膜13、上部超伝導膜14は、共
に (103)結晶背向でc軸が接合面に対し同方向に45度の
傾斜を成すようにする。
導素子を提供する。 【構成】 下部超伝導膜12と上部超伝導膜14との間にバ
リア膜13を挟んだ接合型超伝導素子10を作製する。これ
ら下部超伝導膜12、バリア膜13、上部超伝導膜14は、共
に (103)結晶背向でc軸が接合面に対し同方向に45度の
傾斜を成すようにする。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は超伝導素子に関し、特に
液体窒素温度を越える高い超伝導臨界温度を持つ酸化物
超伝導体を用いた異方性超伝導素子に関する。
液体窒素温度を越える高い超伝導臨界温度を持つ酸化物
超伝導体を用いた異方性超伝導素子に関する。
【0002】
【従来の技術】上記のような高い超伝導臨界温度を持
つ、いわゆる高温超伝導体と呼ばれる範疇の酸化物超伝
導体を用いた電子素子の研究も、薄膜作製技術の高度
化、微細加工技術の高精度化により急速な発展を遂げて
いるが、コンピュータ素子等、特にデジタル応用が主と
なる電子素子については、未だ模索状態にある。一対の
超伝導体でバリア膜を挟んだ積層型ないし接合型の素子
としても、極低温下の使用を前提とした鉛系やニオブ系
のジョゼフソンスイッチング素子のように、安定で信頼
性の高いものは得られていない。
つ、いわゆる高温超伝導体と呼ばれる範疇の酸化物超伝
導体を用いた電子素子の研究も、薄膜作製技術の高度
化、微細加工技術の高精度化により急速な発展を遂げて
いるが、コンピュータ素子等、特にデジタル応用が主と
なる電子素子については、未だ模索状態にある。一対の
超伝導体でバリア膜を挟んだ積層型ないし接合型の素子
としても、極低温下の使用を前提とした鉛系やニオブ系
のジョゼフソンスイッチング素子のように、安定で信頼
性の高いものは得られていない。
【0003】例えば、高温超伝導体を用いた接合型素子
でも、一般的には超伝導体−常伝導体(通常、金属等の
導電体)−超伝導体の接合構造から成るいわゆるSNS
接合素子や、超伝導体−絶縁体−超伝導体の接合構造か
ら成るいわゆるSIS素子等が考えられてはいる。しか
し、高温超伝導体は一般に金属系超伝導体と異なり、結
晶配向に起因する超伝導特性(例えばコヒーレンス長、
磁場侵入長、エネルギギャップ等)における異方性の問
題がある。例えば高温酸化物超伝導体の一つであるYBaC
uO膜のコヒーレンス長は、c軸方向に対しては十分の数
nmであり、超伝導電子が主として通るCu-O面内方向に対
しては数nmである。このように、金属系の超伝導体に比
すと高温超伝導体がかなり短く、しかも異方性のあるコ
ヒーレンス長を持つことが、これまでの常識的な考え方
では障害となり、特にSIS型の素子は実現できていな
かった。
でも、一般的には超伝導体−常伝導体(通常、金属等の
導電体)−超伝導体の接合構造から成るいわゆるSNS
接合素子や、超伝導体−絶縁体−超伝導体の接合構造か
ら成るいわゆるSIS素子等が考えられてはいる。しか
し、高温超伝導体は一般に金属系超伝導体と異なり、結
晶配向に起因する超伝導特性(例えばコヒーレンス長、
磁場侵入長、エネルギギャップ等)における異方性の問
題がある。例えば高温酸化物超伝導体の一つであるYBaC
uO膜のコヒーレンス長は、c軸方向に対しては十分の数
nmであり、超伝導電子が主として通るCu-O面内方向に対
しては数nmである。このように、金属系の超伝導体に比
すと高温超伝導体がかなり短く、しかも異方性のあるコ
ヒーレンス長を持つことが、これまでの常識的な考え方
では障害となり、特にSIS型の素子は実現できていな
かった。
【0004】一方、SNS型の素子であるならば、極低
温下でも絶縁体となることなく半導体の性質を保つ PrB
aCuO膜をバリア膜として用い、これを挟む一対の超伝導
体、すなわち下部超伝導膜と上部超伝導膜とに上記のYB
aCuO膜を用いた素子が試作されていた。ただし、この素
子では、例えば外部印加磁界に対して異方性が出ないよ
うに、接合面に対してCu-O面が垂直な関係となるよう、
a軸配向したYBaCuO膜を用いている。
温下でも絶縁体となることなく半導体の性質を保つ PrB
aCuO膜をバリア膜として用い、これを挟む一対の超伝導
体、すなわち下部超伝導膜と上部超伝導膜とに上記のYB
aCuO膜を用いた素子が試作されていた。ただし、この素
子では、例えば外部印加磁界に対して異方性が出ないよ
うに、接合面に対してCu-O面が垂直な関係となるよう、
a軸配向したYBaCuO膜を用いている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のようにa軸配向
した YBaCuO/PrBaCuO/YBaCuO接合素子は、極低温下にお
いてラッチングモードで動作するジョゼフソンスイッチ
ング素子と異なり、マイクロブリッジ型接合に類似のジ
ョゼフソン弱結合型素子に認められるノンラッチングモ
ードで動作する(すなわち原則としてヒステリシス特性
を持たない)ものの、それでも一応、電子機能素子とし
て用いることができる。しかし、冷却系の負担が軽くな
る等、高温超伝導体を用いたことの有利性はあっても、
既存の極低温ジョゼフソン素子に比し、動作上ないし特
性上、大きな利点を持つものではなく、絶対値における
臨界電流値の大きさ等には不満が残った。
した YBaCuO/PrBaCuO/YBaCuO接合素子は、極低温下にお
いてラッチングモードで動作するジョゼフソンスイッチ
ング素子と異なり、マイクロブリッジ型接合に類似のジ
ョゼフソン弱結合型素子に認められるノンラッチングモ
ードで動作する(すなわち原則としてヒステリシス特性
を持たない)ものの、それでも一応、電子機能素子とし
て用いることができる。しかし、冷却系の負担が軽くな
る等、高温超伝導体を用いたことの有利性はあっても、
既存の極低温ジョゼフソン素子に比し、動作上ないし特
性上、大きな利点を持つものではなく、絶対値における
臨界電流値の大きさ等には不満が残った。
【0006】本発明は、基本的にこのような実情の下に
成されたもので、これまでの常識的な考え方のように、
高温超伝導体の持つ上述の異方性を、素子作製の上で不
利な性質としてのみ理解するのではなく、むしろこれを
積極的に活用することで、これまでにない種々新たな機
能を展開できるか、あるいはまた、動作原理や機能こそ
公知となっている既存のデバイスに対しても、その改良
や小型化に寄与し得る異方性超伝導素子を提供せんとす
るものである。
成されたもので、これまでの常識的な考え方のように、
高温超伝導体の持つ上述の異方性を、素子作製の上で不
利な性質としてのみ理解するのではなく、むしろこれを
積極的に活用することで、これまでにない種々新たな機
能を展開できるか、あるいはまた、動作原理や機能こそ
公知となっている既存のデバイスに対しても、その改良
や小型化に寄与し得る異方性超伝導素子を提供せんとす
るものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、下部超伝導膜(下部電極)と上部超伝導膜
(上部電極)とによりバリア膜を挟んだ接合型超伝導素
子として、当該下部超伝導膜と上部超伝導膜には (103)
結晶配向でc軸が接合面に対し共に同方向に45度の傾き
を持つYBaCuO膜を用い、バリア膜としては極低温下にお
いてもなお半導体的特性を持ち、同様に (103)結晶配向
でc軸が上記と同方向に45度の傾きを持つ PrBaCuO膜を
用いた素子を提案する。c軸が接合面に対して45度の傾
きを有することは、それらの膜中にあってc軸に直交す
る方向に沿って面を有するCu-O面も、当該接合面に対し
45度の傾きを示すことになる。
するために、下部超伝導膜(下部電極)と上部超伝導膜
(上部電極)とによりバリア膜を挟んだ接合型超伝導素
子として、当該下部超伝導膜と上部超伝導膜には (103)
結晶配向でc軸が接合面に対し共に同方向に45度の傾き
を持つYBaCuO膜を用い、バリア膜としては極低温下にお
いてもなお半導体的特性を持ち、同様に (103)結晶配向
でc軸が上記と同方向に45度の傾きを持つ PrBaCuO膜を
用いた素子を提案する。c軸が接合面に対して45度の傾
きを有することは、それらの膜中にあってc軸に直交す
る方向に沿って面を有するCu-O面も、当該接合面に対し
45度の傾きを示すことになる。
【0008】また本発明は、上述の構造の異方性超伝導
素子の作製方法として、基板そのものであるか、あるい
は適当なる基板の上に形成された層であっても良いSrTi
O3基層を用い、当該SrTiO3基層の (110)主面上に、反応
性同時蒸着法により下部超伝導膜となるべきYBaCuO膜を
エピタキシャル成長させ、次いでバリア膜となるべきPr
BaCuO膜、上部超伝導膜となるべきYBaCuO膜を同様に反
応性同時蒸着法によりエピタキシャル成長させる工程を
含む作製方法を提案する。この手法に従えば、SrTiO3基
層の (110)主面上に連続形成される下部超伝導膜、バリ
ア膜、上部超伝導膜は、いずれも自動的に (103)結晶配
向の膜となる。また、望ましくは、上記各工程を真空を
破ることなく連続的に行うことを提案する。
素子の作製方法として、基板そのものであるか、あるい
は適当なる基板の上に形成された層であっても良いSrTi
O3基層を用い、当該SrTiO3基層の (110)主面上に、反応
性同時蒸着法により下部超伝導膜となるべきYBaCuO膜を
エピタキシャル成長させ、次いでバリア膜となるべきPr
BaCuO膜、上部超伝導膜となるべきYBaCuO膜を同様に反
応性同時蒸着法によりエピタキシャル成長させる工程を
含む作製方法を提案する。この手法に従えば、SrTiO3基
層の (110)主面上に連続形成される下部超伝導膜、バリ
ア膜、上部超伝導膜は、いずれも自動的に (103)結晶配
向の膜となる。また、望ましくは、上記各工程を真空を
破ることなく連続的に行うことを提案する。
【0009】これに対し、本発明ではさらに、異なる作
製手法として、スパッタ法による手法も開示する。すな
わち、この場合には原則として基層の材質に限定がな
く、上記のSrTiO3基層でも、あるいはこの種の分野で良
く使われている MgO基層でも、さらには他の適当なる材
質でも良い絶縁基層(この絶縁基層は、上記と同様、基
板そのものであっても良いし、適当なる基板の上に形成
された絶縁層であっても良い)の一主面上に、(103)結晶
配向でc軸が当該絶縁基層の一主面に対し所定の一方向
に45度の傾きを持つように、基層温度を制御しながらス
パッタ法により下部超伝導膜となるYBaCuO膜を形成した
後、次いで (103)結晶配向でc軸が上記下部超伝導膜に
おけると同じ方向に45度の傾きを持つように、基層温度
を制御しながらスパッタ法によりバリア膜となるべき P
rBaCuO膜を形成し、さらに続いて、これも同様に (103)
結晶配向でc軸が上記したと同方向に45度の傾きを持つ
ように、基層温度を制御しながらスパッタ法により上部
超伝導膜となるべきYBaCuO膜を形成する。この場合に
も、望ましくは上記各工程を真空を破ることなく連続的
に行うことを提案する。なお、本書では、「真空を破る
ことなく」と言う意は、「大気に晒すことなく」と言う
意と同義に用いることができ、特に真空の程度を云々す
るものではない。
製手法として、スパッタ法による手法も開示する。すな
わち、この場合には原則として基層の材質に限定がな
く、上記のSrTiO3基層でも、あるいはこの種の分野で良
く使われている MgO基層でも、さらには他の適当なる材
質でも良い絶縁基層(この絶縁基層は、上記と同様、基
板そのものであっても良いし、適当なる基板の上に形成
された絶縁層であっても良い)の一主面上に、(103)結晶
配向でc軸が当該絶縁基層の一主面に対し所定の一方向
に45度の傾きを持つように、基層温度を制御しながらス
パッタ法により下部超伝導膜となるYBaCuO膜を形成した
後、次いで (103)結晶配向でc軸が上記下部超伝導膜に
おけると同じ方向に45度の傾きを持つように、基層温度
を制御しながらスパッタ法によりバリア膜となるべき P
rBaCuO膜を形成し、さらに続いて、これも同様に (103)
結晶配向でc軸が上記したと同方向に45度の傾きを持つ
ように、基層温度を制御しながらスパッタ法により上部
超伝導膜となるべきYBaCuO膜を形成する。この場合に
も、望ましくは上記各工程を真空を破ることなく連続的
に行うことを提案する。なお、本書では、「真空を破る
ことなく」と言う意は、「大気に晒すことなく」と言う
意と同義に用いることができ、特に真空の程度を云々す
るものではない。
【0010】さらに、本発明では上記のような構造また
は上記のような作製方法に従って作製される異方性超伝
導素子を、フラクソンの挙動を利用するフラクソンデバ
イスのフラクソン走行用ジョゼフソン線路として用い、
上部、下部の各YBaCuO超伝導膜及び PrBaCuOバリア膜中
のCu-O面に平行で、かつ上記接合の上記接合面にも平行
な方向を当該フラクソンの走行方向とするフラクソンデ
バイスも提案する。これにより、後に詳しいように、フ
ラクソン走行方向に沿う寸法であるジョゼフソン線路の
長さを、従来デバイスにおける場合に比し十分に短くす
ることができ、結局はデバイス寸法の小型化や、ジョゼ
フソン線路を多数本集積する際の集積密度の向上が図れ
る。
は上記のような作製方法に従って作製される異方性超伝
導素子を、フラクソンの挙動を利用するフラクソンデバ
イスのフラクソン走行用ジョゼフソン線路として用い、
上部、下部の各YBaCuO超伝導膜及び PrBaCuOバリア膜中
のCu-O面に平行で、かつ上記接合の上記接合面にも平行
な方向を当該フラクソンの走行方向とするフラクソンデ
バイスも提案する。これにより、後に詳しいように、フ
ラクソン走行方向に沿う寸法であるジョゼフソン線路の
長さを、従来デバイスにおける場合に比し十分に短くす
ることができ、結局はデバイス寸法の小型化や、ジョゼ
フソン線路を多数本集積する際の集積密度の向上が図れ
る。
【0011】
【実施例】図1には、本発明に従って作製された異方性
超伝導素子10の一例の構造が模式的に示されている。素
子構築の基層となる部材は、この実施例の場合、SrTiO3
基板11である。本素子10の具体的な作製例と共に説明す
ると、まずSrTiO3基板11の(110)主面上に、反応性同時
蒸着法を用いて 140nmの厚さにYBaCuO下部超伝導膜12を
エピタキシャル成長させる。このようにすると、成長し
たYBaCuO膜12の結晶配向は自動的に(103) となり、c軸
が成長基層に対して45度の傾きを持つ。その様子を表す
ため、当該YBaCuO下部超伝導膜12中におけるCu-O面15
(その面内方向がc軸に直交する)は図1中、斜めの面
で示している。
超伝導素子10の一例の構造が模式的に示されている。素
子構築の基層となる部材は、この実施例の場合、SrTiO3
基板11である。本素子10の具体的な作製例と共に説明す
ると、まずSrTiO3基板11の(110)主面上に、反応性同時
蒸着法を用いて 140nmの厚さにYBaCuO下部超伝導膜12を
エピタキシャル成長させる。このようにすると、成長し
たYBaCuO膜12の結晶配向は自動的に(103) となり、c軸
が成長基層に対して45度の傾きを持つ。その様子を表す
ため、当該YBaCuO下部超伝導膜12中におけるCu-O面15
(その面内方向がc軸に直交する)は図1中、斜めの面
で示している。
【0012】YBaCuO下部超伝導膜12の形成に引き続き、
真空を破ることなく、ジョゼフソン接合のバリア層を形
成するためのバリア膜13として、同様に反応性同時蒸着
法により、45nm程度の厚さに PrBaCuO膜13をエピタキシ
ャル成長させる。このようにして成長させられた当該 P
rBaCuOバリア膜13もまた、そのCu-O面16を図中において
傾斜面で模式的に示すように、(103)結晶配向の膜とな
る。
真空を破ることなく、ジョゼフソン接合のバリア層を形
成するためのバリア膜13として、同様に反応性同時蒸着
法により、45nm程度の厚さに PrBaCuO膜13をエピタキシ
ャル成長させる。このようにして成長させられた当該 P
rBaCuOバリア膜13もまた、そのCu-O面16を図中において
傾斜面で模式的に示すように、(103)結晶配向の膜とな
る。
【0013】全く同様に、上記工程に引き続き真空を破
ることなく、反応性同時蒸着法により、概ね70nm程度の
厚さにYBaCuO上部超伝導膜14をエピタキシャル成長させ
る。これにより形成される当該膜14もまた、そのCu-O面
17を模式的に傾斜面で示すように、(103)結晶配向の膜と
なる。
ることなく、反応性同時蒸着法により、概ね70nm程度の
厚さにYBaCuO上部超伝導膜14をエピタキシャル成長させ
る。これにより形成される当該膜14もまた、そのCu-O面
17を模式的に傾斜面で示すように、(103)結晶配向の膜と
なる。
【0014】このようにして真空を破ることなく連続工
程で作製された積層膜構造は、大気や水分、異物に触れ
る恐れを十分に低減できるので、後の特性例にて実証さ
れるように、良好なジョゼフソン接合を構成することが
できる。
程で作製された積層膜構造は、大気や水分、異物に触れ
る恐れを十分に低減できるので、後の特性例にて実証さ
れるように、良好なジョゼフソン接合を構成することが
できる。
【0015】このような積層膜構造を構築した後は、こ
れ自体は公知既存の手法で良い適当なる切りだし法、好
ましくはエッチング損傷の少ない液体窒素冷却ドライエ
ッチング法等の微細加工技術を援用して、素子を所定の
平面寸法(幅W,長さL)に切り出し、その後、これも
公知のジョゼフソン素子加工技術により、必要に応じ層
間絶縁膜(図示せず)や上部、下部超伝導膜12,14に対
し導電性配線層(同じく図示せず)を付せば、本発明に
従う単位の素子10が作製できる。なお、図1中では上部
超伝導膜14とその下のバリア膜13のみを所定の平面寸法
(W×L)に切り出し、下部超伝導膜12は大面積のまま
に残して配線層ないしはグラウンド層等を兼ね得る状態
になっており、この方が実際的でもあるが、図2に本素
子の要部の単位構造のみを取り出して示しているよう
に、必要に応じもちろん、下部超伝導膜12も同寸法に切
り出して良い。
れ自体は公知既存の手法で良い適当なる切りだし法、好
ましくはエッチング損傷の少ない液体窒素冷却ドライエ
ッチング法等の微細加工技術を援用して、素子を所定の
平面寸法(幅W,長さL)に切り出し、その後、これも
公知のジョゼフソン素子加工技術により、必要に応じ層
間絶縁膜(図示せず)や上部、下部超伝導膜12,14に対
し導電性配線層(同じく図示せず)を付せば、本発明に
従う単位の素子10が作製できる。なお、図1中では上部
超伝導膜14とその下のバリア膜13のみを所定の平面寸法
(W×L)に切り出し、下部超伝導膜12は大面積のまま
に残して配線層ないしはグラウンド層等を兼ね得る状態
になっており、この方が実際的でもあるが、図2に本素
子の要部の単位構造のみを取り出して示しているよう
に、必要に応じもちろん、下部超伝導膜12も同寸法に切
り出して良い。
【0016】このようにして作製された本素子10は、異
方性のあるジョゼフソン効果を有する。これを実証する
ため、種々の寸法に切り出した実験素子の中から、代表
的に幅W,長さLが共に30μmの素子を取り上げ、その
特性を取った。まず、完成した素子10の超伝導臨界温度
Tcは79Kであった。素子作製前のYBaCuO膜自体の臨界温
度Tcが80〜85Kであるので、本素子の上述した作製プロ
セスは、超伝導特性の劣化を少なく抑え得るものである
ことが分かった。次に、電流対電圧特性を取った所、絶
対温度T=45Kでは図3(A) に示すように非ラッチング
モードの特性を示したが、4.2Kでは図3(B) に示すよう
に履歴特性を伴ったラッチングモード動作素子となっ
た。その理由は今のところ定かではないが、少なくとも
いずれも、ジョセフソン機能素子として十分に使用可能
な特性を示している。また、非ラッチングモード特性
は、さらに多くの実験の結果、より高温の領域でも同様
に現れた。
方性のあるジョゼフソン効果を有する。これを実証する
ため、種々の寸法に切り出した実験素子の中から、代表
的に幅W,長さLが共に30μmの素子を取り上げ、その
特性を取った。まず、完成した素子10の超伝導臨界温度
Tcは79Kであった。素子作製前のYBaCuO膜自体の臨界温
度Tcが80〜85Kであるので、本素子の上述した作製プロ
セスは、超伝導特性の劣化を少なく抑え得るものである
ことが分かった。次に、電流対電圧特性を取った所、絶
対温度T=45Kでは図3(A) に示すように非ラッチング
モードの特性を示したが、4.2Kでは図3(B) に示すよう
に履歴特性を伴ったラッチングモード動作素子となっ
た。その理由は今のところ定かではないが、少なくとも
いずれも、ジョセフソン機能素子として十分に使用可能
な特性を示している。また、非ラッチングモード特性
は、さらに多くの実験の結果、より高温の領域でも同様
に現れた。
【0017】次に、外部から印加される磁場に対する臨
界電流値Icの依存性を調べるため、図1または単位構造
部分のみを示す図2に示すように、Cu-O面を横切る方向
に磁場HAを印加した場合と、これと直交する方向(Cu-O
面と接合面とに対し共に平行な方向)に磁場HPを印加し
た場合とで比較した所、図4に示すように、特性が大き
く異なった。すなわち、Cu-O面を横切る方向に加えられ
る磁場HAに対しては、臨界電流値Icは当該磁場の強さが
増すに連れ急激に減少するが、Cu-O面に平行な磁場HPに
対しては緩やかな減少を示した。さらに、同じく図4に
併示のように、直流ジョゼフソン効果による臨界電流値
Icが磁場に対して振動する現象の結果であるフラウンホ
ーファーパタンについても、振動周期はCu-O面に平行な
方向の磁場HPの印加時の方がこれと直交する磁場HAの印
加時に比し長くなっていた。
界電流値Icの依存性を調べるため、図1または単位構造
部分のみを示す図2に示すように、Cu-O面を横切る方向
に磁場HAを印加した場合と、これと直交する方向(Cu-O
面と接合面とに対し共に平行な方向)に磁場HPを印加し
た場合とで比較した所、図4に示すように、特性が大き
く異なった。すなわち、Cu-O面を横切る方向に加えられ
る磁場HAに対しては、臨界電流値Icは当該磁場の強さが
増すに連れ急激に減少するが、Cu-O面に平行な磁場HPに
対しては緩やかな減少を示した。さらに、同じく図4に
併示のように、直流ジョゼフソン効果による臨界電流値
Icが磁場に対して振動する現象の結果であるフラウンホ
ーファーパタンについても、振動周期はCu-O面に平行な
方向の磁場HPの印加時の方がこれと直交する磁場HAの印
加時に比し長くなっていた。
【0018】このように、本発明に従って作製された素
子は異方的なジョゼフソン効果を持つが、これはYBaCuO
結晶の異方性に起因する磁場侵入長の異方性によるもの
である。実際にも、(103)結晶配向のYBaCuO膜に対して測
定した異方的な磁場侵入長の値を用いて臨界磁場(図4
中で臨界電流Icが減少して行く曲線をIc=0に外挿した
ときの磁場)を計算した所、実験値とかなり良く一致し
た。
子は異方的なジョゼフソン効果を持つが、これはYBaCuO
結晶の異方性に起因する磁場侵入長の異方性によるもの
である。実際にも、(103)結晶配向のYBaCuO膜に対して測
定した異方的な磁場侵入長の値を用いて臨界磁場(図4
中で臨界電流Icが減少して行く曲線をIc=0に外挿した
ときの磁場)を計算した所、実験値とかなり良く一致し
た。
【0019】また、この臨界磁場から評価したジョゼフ
ソン侵入長は、磁場HPを印加したときにこれと直交する
方向のジョゼフソン侵入長λJ1が 1.6μm、磁場HAを印
加したときにこれと直交する方向のジョゼフソン侵入長
λJ2が 8.1μmとなり、実験素子寸法30×30μm2 に比
し、十分短かった。このことは、後に説明するフラクソ
ンデバイスを構築する上で極めて望ましく、かつ特徴的
な事実である。
ソン侵入長は、磁場HPを印加したときにこれと直交する
方向のジョゼフソン侵入長λJ1が 1.6μm、磁場HAを印
加したときにこれと直交する方向のジョゼフソン侵入長
λJ2が 8.1μmとなり、実験素子寸法30×30μm2 に比
し、十分短かった。このことは、後に説明するフラクソ
ンデバイスを構築する上で極めて望ましく、かつ特徴的
な事実である。
【0020】いずれにしても、図3(A),(B) に示される
特性から、本発明素子はまずもってジョゼフソン機能素
子として有意に用い得ることが分かるし、さらに図4の
特性からすれば、極めて種々の機能を営み得るものであ
ることも分かる。例えば、簡単に言っても印加磁場の方
向により臨界電流値Icが変化するので、本素子に磁気結
合する一本または複数本の制御線のそれぞれの、また互
いの物理的配置関係の如何により論理素子を構築できる
し、回転する支持部材上に本素子を設置すれば磁気方向
センサ等としての応用も期待できる。
特性から、本発明素子はまずもってジョゼフソン機能素
子として有意に用い得ることが分かるし、さらに図4の
特性からすれば、極めて種々の機能を営み得るものであ
ることも分かる。例えば、簡単に言っても印加磁場の方
向により臨界電流値Icが変化するので、本素子に磁気結
合する一本または複数本の制御線のそれぞれの、また互
いの物理的配置関係の如何により論理素子を構築できる
し、回転する支持部材上に本素子を設置すれば磁気方向
センサ等としての応用も期待できる。
【0021】しかるに、上述の作製工程ではSrTiO3基板
11の (110)主面上に反応性同時蒸着法により各膜11,1
2,13をエピタキシャル成長させ、これにより本発明に
従った異方性超伝導素子を作成していた。しかし、同様
に本発明の趣旨に従う素子は、スパッタ方によっても作
製することができる。スパッタ法では原則として膜形成
基板の材質に制限はなく、上述のSrTiO3基板の外、この
種の分野で良く用いられる MgO基板も有利に用いること
ができるし、さらに他の適当なる材質の基板も利用可能
である。ただし、基板温度と結晶配向との間に依存性が
出るので、スパッタ法による場合には基板温度を制御し
て、当該基板上に形成される各膜12,13,14の結晶配向
が本発明にて必要とする(103) になるようにする。もち
ろん、この作製工程に従うときにも、真空を破ることの
ない連続形成工程とするのが作製される素子特性の毀損
を防ぐ意味で好ましい。
11の (110)主面上に反応性同時蒸着法により各膜11,1
2,13をエピタキシャル成長させ、これにより本発明に
従った異方性超伝導素子を作成していた。しかし、同様
に本発明の趣旨に従う素子は、スパッタ方によっても作
製することができる。スパッタ法では原則として膜形成
基板の材質に制限はなく、上述のSrTiO3基板の外、この
種の分野で良く用いられる MgO基板も有利に用いること
ができるし、さらに他の適当なる材質の基板も利用可能
である。ただし、基板温度と結晶配向との間に依存性が
出るので、スパッタ法による場合には基板温度を制御し
て、当該基板上に形成される各膜12,13,14の結晶配向
が本発明にて必要とする(103) になるようにする。もち
ろん、この作製工程に従うときにも、真空を破ることの
ない連続形成工程とするのが作製される素子特性の毀損
を防ぐ意味で好ましい。
【0022】なお、エピタキシャル成長による場合もス
パッタ他方による場合も、各膜の形成基層は先にも少し
触れたように、それ自体が基板である必要はなく、適当
なる基板の上に形成された層ないし薄膜であっても良
い。
パッタ他方による場合も、各膜の形成基層は先にも少し
触れたように、それ自体が基板である必要はなく、適当
なる基板の上に形成された層ないし薄膜であっても良
い。
【0023】上述のように、本発明により作製される異
方性超伝導素子は、異方性が有るが故に極めて多岐に及
ぶ種々の電子機能を営み得ることが分かるが、その中の
一つであってかなり有効な応用として、フラクソンデバ
イスを構築することが挙げられる。
方性超伝導素子は、異方性が有るが故に極めて多岐に及
ぶ種々の電子機能を営み得ることが分かるが、その中の
一つであってかなり有効な応用として、フラクソンデバ
イスを構築することが挙げられる。
【0024】超伝導フラクソンデバイス自体はすでにこ
の分野で公知である。本出願人の手になるものを挙げて
も、例えば下記のような公報群にその原理からして詳し
く開示されており、また、様々な実用電子デバイスの構
築例が示されている。 ・特公昭63−29436号公報 ・特公平1−45993号公報 ・特公平1−47026号公報 ・特公平2−19633号公報 ・特公平2−63316号公報
の分野で公知である。本出願人の手になるものを挙げて
も、例えば下記のような公報群にその原理からして詳し
く開示されており、また、様々な実用電子デバイスの構
築例が示されている。 ・特公昭63−29436号公報 ・特公平1−45993号公報 ・特公平1−47026号公報 ・特公平2−19633号公報 ・特公平2−63316号公報
【0025】本発明の異方性超伝導素子は、こうしたフ
ラクソンデバイスのジョゼフソン線路として用いること
ができる。そこでまず、上記公報群中にも詳しく説明さ
れているが、本書でもまずフラクソンデバイスに関し簡
単に述べておくと、そもそもジョゼフソン接合は、その
一辺の長さがジョゼフソン侵入長λJ より長い場合、一
定の条件下で当該接合を流れる渦状の電流状態が発生、
存在し、しかもその電流状態部分が高速で移動可能にな
ることが知られている。すなわち、図5(A) に示すよう
に、一対の超伝導体2,3と接合部4とから成り、一辺
の長さLがジョゼフソン侵入長λJ より四倍程度以上長
く、かつ、他の一辺の長さ(線路幅)WがλJ より小さ
くて、全体として見ると一次元方向に長いジョゼフソン
接合1においては、内部に渦電流状態部分aが存在で
き、この部分aに局在した磁場Hが存在し得る。こうし
たジョゼフソン接合1は、フラクソンデバイスにおいて
特にジョゼフソン線路と呼ばれている。
ラクソンデバイスのジョゼフソン線路として用いること
ができる。そこでまず、上記公報群中にも詳しく説明さ
れているが、本書でもまずフラクソンデバイスに関し簡
単に述べておくと、そもそもジョゼフソン接合は、その
一辺の長さがジョゼフソン侵入長λJ より長い場合、一
定の条件下で当該接合を流れる渦状の電流状態が発生、
存在し、しかもその電流状態部分が高速で移動可能にな
ることが知られている。すなわち、図5(A) に示すよう
に、一対の超伝導体2,3と接合部4とから成り、一辺
の長さLがジョゼフソン侵入長λJ より四倍程度以上長
く、かつ、他の一辺の長さ(線路幅)WがλJ より小さ
くて、全体として見ると一次元方向に長いジョゼフソン
接合1においては、内部に渦電流状態部分aが存在で
き、この部分aに局在した磁場Hが存在し得る。こうし
たジョゼフソン接合1は、フラクソンデバイスにおいて
特にジョゼフソン線路と呼ばれている。
【0026】図5(B) はこうしたジョゼフソン線路の長
さ方向を横軸に採り、磁場Hの局在する様子を示したも
のである。渦電流の空間的広がりも磁場の広がりと同程
度であり、その大きさはλJ 〜4λJ 程度である。しか
るに、図5(A) において渦電流がそのループ上では十分
に減衰したようなループbを採ると、このループを通過
する全磁束は量子化され、一磁束量子ΦO に等しくな
る。そして、この量子化された渦電流状態は、ジョゼフ
ソン線路1中にあって一個の粒子のように挙動するの
で、フラクソンと呼ばれる。また、上記のように、全磁
束がΦO に等しいということは、フラクソンの存在する
部分での位相差のひねりが丁度2πになっていることに
対応する。したがって、このように位相差が2πと究極
的に小さい量であるフラクソンを情報の担体として利用
することで、消費電力の極めて小さいデバイスが構成で
きる。実際上、極低温下で用いられているジョセフソン
スイッチング素子に比し、消費電力は十分の一以下にも
なり得る。
さ方向を横軸に採り、磁場Hの局在する様子を示したも
のである。渦電流の空間的広がりも磁場の広がりと同程
度であり、その大きさはλJ 〜4λJ 程度である。しか
るに、図5(A) において渦電流がそのループ上では十分
に減衰したようなループbを採ると、このループを通過
する全磁束は量子化され、一磁束量子ΦO に等しくな
る。そして、この量子化された渦電流状態は、ジョゼフ
ソン線路1中にあって一個の粒子のように挙動するの
で、フラクソンと呼ばれる。また、上記のように、全磁
束がΦO に等しいということは、フラクソンの存在する
部分での位相差のひねりが丁度2πになっていることに
対応する。したがって、このように位相差が2πと究極
的に小さい量であるフラクソンを情報の担体として利用
することで、消費電力の極めて小さいデバイスが構成で
きる。実際上、極低温下で用いられているジョセフソン
スイッチング素子に比し、消費電力は十分の一以下にも
なり得る。
【0027】このようなフラクソンは、ジョゼフソン線
路1中を移動することができ、その移動に伴って生じる
電圧により準粒子電流が流れ、漸次エネルギを失って移
動速度が低下して行くが、図5(A) 中に併示のように、
矢印c方向に沿う適当なバイアス電流を与えると、当該
フラクソンにエネルギを与えることができ、移動速度を
意図的に増すことができる。移動速度の上限はかなり高
く、真空中の光速に近い速度まで可能である。逆に、磁
束とバイアス電流との間に生ずるローレンツ力により、
矢印cとは逆方向の電流を与えると、これは制動電流と
なり、フラクソンの移動速度を意図的に低下させること
ができる。
路1中を移動することができ、その移動に伴って生じる
電圧により準粒子電流が流れ、漸次エネルギを失って移
動速度が低下して行くが、図5(A) 中に併示のように、
矢印c方向に沿う適当なバイアス電流を与えると、当該
フラクソンにエネルギを与えることができ、移動速度を
意図的に増すことができる。移動速度の上限はかなり高
く、真空中の光速に近い速度まで可能である。逆に、磁
束とバイアス電流との間に生ずるローレンツ力により、
矢印cとは逆方向の電流を与えると、これは制動電流と
なり、フラクソンの移動速度を意図的に低下させること
ができる。
【0028】こうしたジョゼフソン線路1の性質は、図
5(C) に示すように一方の超伝導体3が他方よりも大き
な面積を有していてももちろん変わりなく、丁度、本素
子の図1と図2の関係のように、少なくともバリア膜4
の寸法によりその平面寸法が実質的に規定される。
5(C) に示すように一方の超伝導体3が他方よりも大き
な面積を有していてももちろん変わりなく、丁度、本素
子の図1と図2の関係のように、少なくともバリア膜4
の寸法によりその平面寸法が実質的に規定される。
【0029】しかるに、図5に示されたような従来のジ
ョゼフソン線路1に代えて、本発明の異方性超伝導素子
10をジョゼフソン線路として用いると、ジョゼフソン侵
入長が既述したように幅方向と長さ方向とで異なり、幅
方向にも長さ方向にも短いだけでなく、長さ方向のジョ
ゼフソン侵入長λJ1の方が幅方向のそれλJ2に比し、大
いに短いので、実質的に線路長Lを大幅に縮めることが
できる。
ョゼフソン線路1に代えて、本発明の異方性超伝導素子
10をジョゼフソン線路として用いると、ジョゼフソン侵
入長が既述したように幅方向と長さ方向とで異なり、幅
方向にも長さ方向にも短いだけでなく、長さ方向のジョ
ゼフソン侵入長λJ1の方が幅方向のそれλJ2に比し、大
いに短いので、実質的に線路長Lを大幅に縮めることが
できる。
【0030】図6には、このような場合の一例として、
既存のフラクソンデバイスにあっても最も基本的な構造
においてそのジョゼフソン線路に本発明素子10を使用し
た場合が例示されている。本図中の長さLや幅Wの方向
は図1,2に示してある方向に整合し、また、本質的に
は既述した各方向のジョゼフソン侵入長λJ1,λJ2の長
さの相違に基づき細長い長方形の平面形状に本素子を作
製しても良いが、そもそも長さ方向に必要なジョゼフソ
ン侵入長λJ1が短くなっているので、長さに少し余裕を
見て広めの正方形に作製しても、従来に比せば十分小型
になる。
既存のフラクソンデバイスにあっても最も基本的な構造
においてそのジョゼフソン線路に本発明素子10を使用し
た場合が例示されている。本図中の長さLや幅Wの方向
は図1,2に示してある方向に整合し、また、本質的に
は既述した各方向のジョゼフソン侵入長λJ1,λJ2の長
さの相違に基づき細長い長方形の平面形状に本素子を作
製しても良いが、そもそも長さ方向に必要なジョゼフソ
ン侵入長λJ1が短くなっているので、長さに少し余裕を
見て広めの正方形に作製しても、従来に比せば十分小型
になる。
【0031】本素子10によるジョゼフソン線路(同様に
符号10で表す)の長さの途中には、バリア膜13を介しジ
ョゼフソン接合を形成している超伝導膜12,14の中、少
なくとも一方(この場合は上部超伝導膜14)の表面に抵
抗部材20が付されている。また、ジョゼフソン線路10の
長さ方向一端側において一対の超伝導膜12,14の端末間
にはフラクソン発生用の電流IPを発生する電流源(フラ
クソン発生源)22が接続し、抵抗部材20の付されている
領域21にはバイアス電流ないし駆動電流Ibの発生源(フ
ラクソン駆動源)23が接続していると共に、線路他端側
の各超伝導膜端末間には領域21を越えて当該他端側にま
で走行してきたフラクソンの一部ないし全部を外部回路
に取出すかまたはフラクソンの到達を検出する出力回路
24が設けてある。抵抗体の付し方ないし抵抗領域21の形
成方法には外にもあるが、それらについては既掲の公報
中を参照することができる。
符号10で表す)の長さの途中には、バリア膜13を介しジ
ョゼフソン接合を形成している超伝導膜12,14の中、少
なくとも一方(この場合は上部超伝導膜14)の表面に抵
抗部材20が付されている。また、ジョゼフソン線路10の
長さ方向一端側において一対の超伝導膜12,14の端末間
にはフラクソン発生用の電流IPを発生する電流源(フラ
クソン発生源)22が接続し、抵抗部材20の付されている
領域21にはバイアス電流ないし駆動電流Ibの発生源(フ
ラクソン駆動源)23が接続していると共に、線路他端側
の各超伝導膜端末間には領域21を越えて当該他端側にま
で走行してきたフラクソンの一部ないし全部を外部回路
に取出すかまたはフラクソンの到達を検出する出力回路
24が設けてある。抵抗体の付し方ないし抵抗領域21の形
成方法には外にもあるが、それらについては既掲の公報
中を参照することができる。
【0032】フラクソン発生源22は、図示していない
が、実際には予め直流バイアス成分を流す電流源と、必
要時にフラクソンを生成するために電流パルスを発生す
る電流源とから構成されていて良く、後者はまた、前段
回路からの信号電流である場合もある。対して出力回路
24は、ここに到達したフラクソンを検出し、電流ないし
電圧等の電気量に変換して外部回路に出力できるような
インピーダンスマッチング回路であっても良いし、フラ
クソンの一部のみを採り出すようにインピーダンス設定
されたものでも良い。到達したフラクソンに対応する電
流を線路端での当該フラクソンの反射なしにできるだけ
全部、外部回路に供給したい場合には、出力回路24の抵
抗分をジョゼフソン線路10の特性インピーダンス程度の
値にし、リアクタンス成分をできるだけ小さく設計すれ
ば良い。また、具体的な回路部品としては、出力回路24
は簡単には等価的に線路インピーダンス程度の大きさの
抵抗で構成でき、これを後続のジョゼフソン線路の入力
に結合することもできる。こうした構成自体についても
また、既掲の各公報群中にてすでに詳しい。
が、実際には予め直流バイアス成分を流す電流源と、必
要時にフラクソンを生成するために電流パルスを発生す
る電流源とから構成されていて良く、後者はまた、前段
回路からの信号電流である場合もある。対して出力回路
24は、ここに到達したフラクソンを検出し、電流ないし
電圧等の電気量に変換して外部回路に出力できるような
インピーダンスマッチング回路であっても良いし、フラ
クソンの一部のみを採り出すようにインピーダンス設定
されたものでも良い。到達したフラクソンに対応する電
流を線路端での当該フラクソンの反射なしにできるだけ
全部、外部回路に供給したい場合には、出力回路24の抵
抗分をジョゼフソン線路10の特性インピーダンス程度の
値にし、リアクタンス成分をできるだけ小さく設計すれ
ば良い。また、具体的な回路部品としては、出力回路24
は簡単には等価的に線路インピーダンス程度の大きさの
抵抗で構成でき、これを後続のジョゼフソン線路の入力
に結合することもできる。こうした構成自体についても
また、既掲の各公報群中にてすでに詳しい。
【0033】いずれにしても、図6に示されるようなフ
ラクソンデバイスの基本構造を用いると、例えば論理情
報に対するプログラマブルタイマを構築できる。すなわ
ち、フラクソン発生源22を前段の回路の電流出力と考え
れば、当該前段の回路出力として電流に化体された論理
情報がジョゼフソン線路10の一端側に入力し、フラクソ
ンが発生すると、このフラクソンは抵抗体20の付されて
いる領域21まで走行した後、そこでエネルギを失って一
旦停止する。その後、任意所望の時間遅れでフラクソン
駆動源23を稼動させ、再度フラクソンにエネルギを与え
ると、このフラクソンが線路他端の出力回路24に到達す
る。したがって、入力の論理情報が出力されるまでに所
定の時間遅れを持たせることができる。駆動電流パルス
の大きさの如何によってもフラクソン走行速度は調整で
きるので、領域21から出力回路24にて検出されるまでの
フラクソン到達時間をこれで調整することもできる。
ラクソンデバイスの基本構造を用いると、例えば論理情
報に対するプログラマブルタイマを構築できる。すなわ
ち、フラクソン発生源22を前段の回路の電流出力と考え
れば、当該前段の回路出力として電流に化体された論理
情報がジョゼフソン線路10の一端側に入力し、フラクソ
ンが発生すると、このフラクソンは抵抗体20の付されて
いる領域21まで走行した後、そこでエネルギを失って一
旦停止する。その後、任意所望の時間遅れでフラクソン
駆動源23を稼動させ、再度フラクソンにエネルギを与え
ると、このフラクソンが線路他端の出力回路24に到達す
る。したがって、入力の論理情報が出力されるまでに所
定の時間遅れを持たせることができる。駆動電流パルス
の大きさの如何によってもフラクソン走行速度は調整で
きるので、領域21から出力回路24にて検出されるまでの
フラクソン到達時間をこれで調整することもできる。
【0034】さらに、この図6に示すデバイスは、破壊
読み出し型メモリも構築できる。すなわち、領域21を情
報記憶部、フラクソン発生源22を情報書き込み部、フラ
クソン駆動源23を情報読み出し命令部、出力回路24を情
報読み出し部として対応付けた上で、領域21に選択的に
停止させるフラクソンを論理情報「1」または「0」の
いづれか一方に対応させれば良い。このようにして構成
された破壊読出しメモリは、既述した所から顕かなよう
に原理的に消費電力が極めて小さく、スペースファクタ
も極めて良好であるため、高密度集積化に最適である。
読み出し型メモリも構築できる。すなわち、領域21を情
報記憶部、フラクソン発生源22を情報書き込み部、フラ
クソン駆動源23を情報読み出し命令部、出力回路24を情
報読み出し部として対応付けた上で、領域21に選択的に
停止させるフラクソンを論理情報「1」または「0」の
いづれか一方に対応させれば良い。このようにして構成
された破壊読出しメモリは、既述した所から顕かなよう
に原理的に消費電力が極めて小さく、スペースファクタ
も極めて良好であるため、高密度集積化に最適である。
【0035】以上のように、本発明の異方性超伝導素子
10は、図6に一例を挙げて説明した所からも明らかなよ
うに、当該図6の基本構造の発展型として既掲の各公報
群中にそれぞれ開示されている様々なフラクソンデバイ
スのいずれにおいても当該デバイス中のジョゼフソン線
路として用いることができ、そのようなデバイスにおい
ては、従来型の異方性のないジョゼフソン線路を用いた
デバイスに比し、さらに一層の小型化を図ることができ
る。
10は、図6に一例を挙げて説明した所からも明らかなよ
うに、当該図6の基本構造の発展型として既掲の各公報
群中にそれぞれ開示されている様々なフラクソンデバイ
スのいずれにおいても当該デバイス中のジョゼフソン線
路として用いることができ、そのようなデバイスにおい
ては、従来型の異方性のないジョゼフソン線路を用いた
デバイスに比し、さらに一層の小型化を図ることができ
る。
【0036】
【発明の効果】本発明によると、いわゆる高温超伝導素
子として実効的な素子が提供されるのみならず、異方的
なジョゼフソン特性を積極的に利用し得る素子が提供さ
れるので、発展的に種々の機能デバイスを作製すること
ができる。
子として実効的な素子が提供されるのみならず、異方的
なジョゼフソン特性を積極的に利用し得る素子が提供さ
れるので、発展的に種々の機能デバイスを作製すること
ができる。
【0037】また、高温超伝導体はそもそも長い磁場侵
入長を持つのに加え、本発明のような異方性素子では長
さ方向とするべき磁場侵入長がより長くなる(ジョゼフ
ソン侵入長にするとより短くなる)ので、特にフラクソ
ンデバイスのように、構造や動作原理自体は公知既存の
デバイスであっても、当該既存デバイスで用いているジ
ョゼフソン線路として本発明素子を利用すると、より一
層の小型化、高密度集積化が可能となる。
入長を持つのに加え、本発明のような異方性素子では長
さ方向とするべき磁場侵入長がより長くなる(ジョゼフ
ソン侵入長にするとより短くなる)ので、特にフラクソ
ンデバイスのように、構造や動作原理自体は公知既存の
デバイスであっても、当該既存デバイスで用いているジ
ョゼフソン線路として本発明素子を利用すると、より一
層の小型化、高密度集積化が可能となる。
【図1】本発明に従って作製された異方性超伝導素子の
一例における要部の概略構成図である。
一例における要部の概略構成図である。
【図2】図1に示した素子の単位構造部分を取り出して
示す概略構成図である。
示す概略構成図である。
【図3】本発明に従う一作製例に従って作製された異方
性超伝導素子の一例の電圧対電流特性図である。
性超伝導素子の一例の電圧対電流特性図である。
【図4】本発明に従う一作製例に従って作製された異方
性超伝導素子の臨界電流値の磁場依存性を示す特性図で
ある。
性超伝導素子の臨界電流値の磁場依存性を示す特性図で
ある。
【図5】公知既存の超伝導フラクソンデバイスの説明図
である。
である。
【図6】本発明による異方性超伝導素子をフラクソンデ
バイスのジョゼフソン線路として用いた場合の一例にお
ける概略構成図である。
バイスのジョゼフソン線路として用いた場合の一例にお
ける概略構成図である。
10 本発明異方性超伝導素子または本発明ジョゼフソン
線路, 11 SrTiO3基板, 12 YBaCuO下部超伝導膜, 13 PrBaCuO バリア膜, 14 YBaCuO上部超伝導膜, 15,16,17 Cu-O面, 20 抵抗体, 21 抵抗体の付された領域, 22 フラクソン発生源, 23 フラクソン駆動源, 24 出力回路.
線路, 11 SrTiO3基板, 12 YBaCuO下部超伝導膜, 13 PrBaCuO バリア膜, 14 YBaCuO上部超伝導膜, 15,16,17 Cu-O面, 20 抵抗体, 21 抵抗体の付された領域, 22 フラクソン発生源, 23 フラクソン駆動源, 24 出力回路.
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 39/24 ZAA J 9276−4M
Claims (8)
- 【請求項1】 下部超伝導膜と上部超伝導膜とによりバ
リア膜を挟んだ接合型の超伝導素子であって;上記下部
超伝導膜と上部超伝導膜は、共に (103)結晶配向でc軸
が上記接合の接合面に対し互いに同方向に45度の傾きを
持つYBaCuO膜であり;上記バリア膜は半導体的特性を持
ち、(103)結晶配向でc軸が上記接合面に対し上記同方向
に45度の傾きを持つ PrBaCuO膜であること;を特徴とす
る異方性超伝導素子。 - 【請求項2】 SrTiO3基層の (110)主面上に、下部超伝
導膜となるべきYBaCuO膜を反応性同時蒸着法によりエピ
タキシャル成長させる工程と;該工程の後に、バリア膜
となるべき PrBaCuO膜を反応性同時蒸着法によりエピタ
キシャル成長させるバリア膜形成工程と;該バリア膜形
成工程の後に、上部超伝導膜となるべきYBaCuO膜を反応
性同時蒸着法によりエピタキシャル成長させる上部超伝
導膜形成工程と;を含んで成る異方性超伝導素子の作製
方法。 - 【請求項3】 請求項2に記載の異方性超伝導素子の作
製方法であって;上記下部超伝導膜を形成する工程、上
記バリア膜を形成する工程、上記上部超伝導膜を形成す
る工程は、真空を破ることなく連続的に行われること;
を特徴とする方法。 - 【請求項4】 絶縁基層の一主面上に、(103)結晶配向で
c軸が該絶縁基層の一主面に対し所定の一方向に45度の
傾きを持つように、基層温度を制御しながらスパッタ法
により下部超伝導膜となるYBaCuO膜を形成する工程と;
該工程の後、(103)結晶配向でc軸が上記絶縁基層の一主
面に対し上記所定の一方向と同方向に45度の傾きを持つ
ように、基層温度を制御しながらスパッタ法によりバリ
ア膜となるべき PrBaCuO膜を形成するバリア膜形成工程
と;該バリア膜形成工程の後に、(103)結晶配向でc軸が
上記絶縁基層の一主面に対し上記所定の一方向と同方向
に45度の傾きを持つように、基層温度を制御しながらス
パッタ法により上部超伝導膜となるべきYBaCuO膜を形成
する上部超伝導膜形成工程と;を含んで成る異方性超伝
導素子の作製方法。 - 【請求項5】 請求項4に記載の異方性超伝導素子の作
製方法であって;上記下部超伝導膜を形成する工程、上
記バリア膜を形成する工程、上記上部超伝導膜を形成す
る工程は、真空を破ることなく連続的に行われること;
を特徴とする方法。 - 【請求項6】 請求項4または5に記載の異方性超伝導
素子の作製方法であって;上記絶縁基層の材質はSrTiO3
であること;を特徴とする方法。 - 【請求項7】 請求項4または5に記載の異方性超伝導
素子の作製方法であって;上記絶縁基層の材質はMgO で
あること;を特徴とする方法。 - 【請求項8】 請求項1記載の異方性超伝導素子を、フ
ラクソンの挙動を利用するフラクソンデバイスのフラク
ソン走行用ジョゼフソン線路として用い、上記上下のYB
aCuO超伝導膜及び PrBaCuOバリア膜中のCu-O面に平行
で、かつ上記接合の上記接合面にも平行な方向を該フラ
クソンの走行方向としたこと;を特徴とするフラクソン
デバイス。
Priority Applications (4)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP5208989A JPH0817250B2 (ja) | 1993-07-30 | 1993-07-30 | 異方性超伝導素子とその作製方法及びこれを用いたフラクソンデバイス |
| EP94301912A EP0637088B1 (en) | 1993-07-30 | 1994-03-17 | Anisotropic superconductor device, method of producing the device and fluxon using same |
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| JP5208989A JPH0817250B2 (ja) | 1993-07-30 | 1993-07-30 | 異方性超伝導素子とその作製方法及びこれを用いたフラクソンデバイス |
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- 1994-03-17 DE DE69407357T patent/DE69407357T2/de not_active Expired - Fee Related
- 1994-03-18 US US08/210,283 patent/US5472934A/en not_active Expired - Lifetime
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| JPH0817250B2 (ja) | 1996-02-21 |
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| US5472934A (en) | 1995-12-05 |
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