JPH0746989B2 - リグニン分解酵素およびその製造方法 - Google Patents
リグニン分解酵素およびその製造方法Info
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- JPH0746989B2 JPH0746989B2 JP6027786A JP6027786A JPH0746989B2 JP H0746989 B2 JPH0746989 B2 JP H0746989B2 JP 6027786 A JP6027786 A JP 6027786A JP 6027786 A JP6027786 A JP 6027786A JP H0746989 B2 JPH0746989 B2 JP H0746989B2
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Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は新規なリグニン分解酵素およびその製造方法に
関するものである。本発明の酵素はリグニンに作用し
て、これを低分子化または分解する性質を有するため、
木材等のリグノセルロース材料を原料とする紙パルプ製
造工程における種々の工程で利用できる。たとえば、パ
ルプ化工程、パルプ漂白工程、排水処理工程等における
リグニンの低分子化または分解を行わせることに利用で
きる。さらに木材の糖化において、糖化の前段の処理と
してリグニンを分解することによって、セルラーゼ作用
を高めるといういわゆるセルロース系バイオマス利用の
分野にも適用できる。
関するものである。本発明の酵素はリグニンに作用し
て、これを低分子化または分解する性質を有するため、
木材等のリグノセルロース材料を原料とする紙パルプ製
造工程における種々の工程で利用できる。たとえば、パ
ルプ化工程、パルプ漂白工程、排水処理工程等における
リグニンの低分子化または分解を行わせることに利用で
きる。さらに木材の糖化において、糖化の前段の処理と
してリグニンを分解することによって、セルラーゼ作用
を高めるといういわゆるセルロース系バイオマス利用の
分野にも適用できる。
[従来の技術] 木材等のリグノセルロース物質に白色腐朽菌を接種、培
養することによってリグニンを分解し、セルロースパル
プを製造する方法が提案されている(特開昭50−46903
号公報参照)。しかし、この方法の白色腐朽菌は共存す
る炭水化物をも分解してしまい、またセルラーゼ欠損変
異株を用いた場合には、本来のリグニン分解力が弱まっ
てしまうこと等の問題点があり、実用化されるに至って
いない。
養することによってリグニンを分解し、セルロースパル
プを製造する方法が提案されている(特開昭50−46903
号公報参照)。しかし、この方法の白色腐朽菌は共存す
る炭水化物をも分解してしまい、またセルラーゼ欠損変
異株を用いた場合には、本来のリグニン分解力が弱まっ
てしまうこと等の問題点があり、実用化されるに至って
いない。
一方、このような問題点を解決するため、白色腐朽菌の
リグニン分解酵素をリグノセルロース物質に作用させ、
リグニンのみを選択的に分解させようとする試みがなさ
れている(サイエンス第221巻、第661〜第662頁、1983
年12月)。この酵素はファネロケーテ・クリソスポリウ
ム(Phanerochaete chrysosporium)が生産する菌体外
酵素であり、主な特徴は鉄含有酵素であること、分子量
が42,000であること、酵素作用に過酸化水素が必要であ
ること、リグニンモデル化合物の4位のフェノール性水
酸基がメトキシル基になった化合物に対して作用するこ
とが確認されていること等である。
リグニン分解酵素をリグノセルロース物質に作用させ、
リグニンのみを選択的に分解させようとする試みがなさ
れている(サイエンス第221巻、第661〜第662頁、1983
年12月)。この酵素はファネロケーテ・クリソスポリウ
ム(Phanerochaete chrysosporium)が生産する菌体外
酵素であり、主な特徴は鉄含有酵素であること、分子量
が42,000であること、酵素作用に過酸化水素が必要であ
ること、リグニンモデル化合物の4位のフェノール性水
酸基がメトキシル基になった化合物に対して作用するこ
とが確認されていること等である。
さらに、ファネロケーテ・クリソスポリウム(Phaneroc
haete chrysosporium)が生産する菌体外酵素として、
2つの酵素が報告されている(フェデレーション・オブ
・ヨーロピアン バイオケミカル ソサイエテーズ レ
ターズ 第169巻、第2号第247〜第250頁、1984年)。
これらの酵素の1つは分子量が41,000以下であること、
もう1つの酵素は分子量が46,000以下であること、さら
にいずれの酵素も鉄含有酵素であると推定されているこ
と、酵素作用に過酸化水素が必要であること、リグニン
モデル化合物の4位のフェノール性水酸基がエトキシル
基になった化合物に対して作用することが確認されてい
ること等である。
haete chrysosporium)が生産する菌体外酵素として、
2つの酵素が報告されている(フェデレーション・オブ
・ヨーロピアン バイオケミカル ソサイエテーズ レ
ターズ 第169巻、第2号第247〜第250頁、1984年)。
これらの酵素の1つは分子量が41,000以下であること、
もう1つの酵素は分子量が46,000以下であること、さら
にいずれの酵素も鉄含有酵素であると推定されているこ
と、酵素作用に過酸化水素が必要であること、リグニン
モデル化合物の4位のフェノール性水酸基がエトキシル
基になった化合物に対して作用することが確認されてい
ること等である。
[発明が解決しようとする問題点] 本発明は、白色腐朽菌をリグノセルロース物質に作用さ
せるときに生ずるリグニンの分解の他に共存する炭水化
物の分解を起こすという問題点を解決することを意図す
る。又、従来公知のリグニン分解酵素の酵素作用には過
酸化水素が必要であり、工業的適用においてはコスト高
となる問題点があったのを解決しようとするものであ
る。
せるときに生ずるリグニンの分解の他に共存する炭水化
物の分解を起こすという問題点を解決することを意図す
る。又、従来公知のリグニン分解酵素の酵素作用には過
酸化水素が必要であり、工業的適用においてはコスト高
となる問題点があったのを解決しようとするものであ
る。
従って、本発明の目的は新規なリグニン分解酵素および
その製造方法を提供することにあり、他の目的は主とし
てリグノセルロース物質中のリグニンを低分子化または
分解する新規酵素およびその製造方法を提供することに
ある。また他の目的は過酸化水素依存性のない新規酵素
およびその製造方法を提案することにある。
その製造方法を提供することにあり、他の目的は主とし
てリグノセルロース物質中のリグニンを低分子化または
分解する新規酵素およびその製造方法を提供することに
ある。また他の目的は過酸化水素依存性のない新規酵素
およびその製造方法を提案することにある。
[問題点を解決するための手段I] 本発明は新規なリグニン分解酵素およびその製造方法に
関するものである。
関するものである。
リグニンは木材腐朽菌と呼ばれる担子菌によって良く分
解されることが知られている。しかしながら、高分子化
合物であるリグニンの化学構造は複雑であり、現在でも
その化学構造が決定されていないため、リグニン分解酵
素に関する知見は非常に少ないのが実情である。
解されることが知られている。しかしながら、高分子化
合物であるリグニンの化学構造は複雑であり、現在でも
その化学構造が決定されていないため、リグニン分解酵
素に関する知見は非常に少ないのが実情である。
本発明者らは、クラフトパルプ晒排液およびリグニンモ
デル化合物を基質として鋭意研究を行った結果、従来よ
り研究されている菌とは分類上異った菌であり、木材腐
朽菌の1種であるカイガラタケ(レンチテス・ベツリナ
(Lenzites betulina))を増殖させ、その培養物から
得た菌体外酵素を、硫安分画、イオン交換体等を使用
し、高度に精製して標品を得て、本発明に到達した。
デル化合物を基質として鋭意研究を行った結果、従来よ
り研究されている菌とは分類上異った菌であり、木材腐
朽菌の1種であるカイガラタケ(レンチテス・ベツリナ
(Lenzites betulina))を増殖させ、その培養物から
得た菌体外酵素を、硫安分画、イオン交換体等を使用
し、高度に精製して標品を得て、本発明に到達した。
カイガラタケ(レンチテス・ベツリナ(Lenzites betul
ina))は、レンチテス属に属する菌であるが、同レン
チテス属に属する菌として和名カイガラタケ、学名レン
チテス・ベツリナ(Lenzites betulina)と呼ばれるこ
の菌のみであり、1属1種の菌である。
ina))は、レンチテス属に属する菌であるが、同レン
チテス属に属する菌として和名カイガラタケ、学名レン
チテス・ベツリナ(Lenzites betulina)と呼ばれるこ
の菌のみであり、1属1種の菌である。
本発明のリグニン分解酵素の主な特徴は銅含有酵素であ
ること、等電点が3.5付近であること、酵素作用に酸素
が必要であること、分子量が65,000±5000〔SDS電気泳
動による〕であること、リグニンモデル化合物の4位の
フェノール性水酸基がメトキシル基になった化合物に対
して作用しないこと等であり、前記のファネロケーテ・
クリソスポリウム(Phanerochaete chrysosporium)の
生産する菌体外酵素とは全く性質が異なる酵素である。
ること、等電点が3.5付近であること、酵素作用に酸素
が必要であること、分子量が65,000±5000〔SDS電気泳
動による〕であること、リグニンモデル化合物の4位の
フェノール性水酸基がメトキシル基になった化合物に対
して作用しないこと等であり、前記のファネロケーテ・
クリソスポリウム(Phanerochaete chrysosporium)の
生産する菌体外酵素とは全く性質が異なる酵素である。
本発明のリグニン分解酵素は、カイガラタケから生産さ
れ、下記性質を有する新規なリグニン分解酵素である。
れ、下記性質を有する新規なリグニン分解酵素である。
(1)作用 (i)シリンギルグリセロール−β−シリンギルエーテル
に作用して、2,6−ジメトキシフエノールを生成する。
に作用して、2,6−ジメトキシフエノールを生成する。
(ii)化学パルプ製造の多段漂白工程からの排液中に含ま
れるリグニンを低分子化する。
れるリグニンを低分子化する。
(2)基質特異性 シリンギルグリセロール−β−シリンギルエーテルに対
して作用するが、シリンギルグリセロール−β−シリン
ギルエーテルの4位のフェノール性水酸基がメトキシル
基になった化合物に対しては作用しない。
して作用するが、シリンギルグリセロール−β−シリン
ギルエーテルの4位のフェノール性水酸基がメトキシル
基になった化合物に対しては作用しない。
(3)至適pHおよびpH安定性 pH4.0〜5.0付近が至適であり、安定pHは7.5〜9.0であ
る。
る。
(4)至適温度および熱安定性 60℃付近が至適であり、50℃までの熱に安定である。
(5)等電点は3.5付近である。
(6)分子量が65000±5000(SDS電気泳動による) (7)本酵素は銅含有酵素であり、水溶液は深青色を呈す
る。
る。
(8)本酵素の作用には酸素を必要とする。
本酵素の作用機序を確認するために、リグニンモデル化
合物としてシリンギルグリセロール−β−シリンギルエ
ーテル(以下SOSと称する)を用いて試験を行なった。
合物としてシリンギルグリセロール−β−シリンギルエ
ーテル(以下SOSと称する)を用いて試験を行なった。
少量のジオキサンに溶解した0.4M SOSを含有する200mM
酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.5)4ml中に実施例1で得た
本発明の酵素溶液0.4mlを含む反応液を25℃で30秒間及
び8時間反応させた。
酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.5)4ml中に実施例1で得た
本発明の酵素溶液0.4mlを含む反応液を25℃で30秒間及
び8時間反応させた。
得られた酵素反応液をTLC、ガスクロマトグラフィー、
マススペクトルグラフィーで分析した。
マススペクトルグラフィーで分析した。
TLC分析 酵素添加後30秒でSOSのスポットが消滅しておりSOSは速
やかに分解される。
やかに分解される。
ガスクロマトグラフィーおよびマススペクトルグラフ
ィー分析 SOSと本発明酵素を8時間反応させた酵素反応液をガス
クロマトグラフィーによって分析したところ第1図に示
すようなピークが認められ、マススペクトルよりピーク
Iは2,6−ジメトキシフェノールであることが判明した
(第2図)。
ィー分析 SOSと本発明酵素を8時間反応させた酵素反応液をガス
クロマトグラフィーによって分析したところ第1図に示
すようなピークが認められ、マススペクトルよりピーク
Iは2,6−ジメトキシフェノールであることが判明した
(第2図)。
以上の結果により、本発明の酵素によってシリンギルグ
リセロール−β−シリンギルエーテルのβ−アリルエー
テル結合が切断されることが確認された。
リセロール−β−シリンギルエーテルのβ−アリルエー
テル結合が切断されることが確認された。
なおSOSのフェノール性水酸基をメトキシル基に変えた
基質に対しては本発明の酵素は全く作用を示さない。こ
のことから本発明の酵素はフェノール性水酸基を有する
基質に対して特異的に作用するものと考えられる。
基質に対しては本発明の酵素は全く作用を示さない。こ
のことから本発明の酵素はフェノール性水酸基を有する
基質に対して特異的に作用するものと考えられる。
[作用] 本発明酵素が天然リグニンに作用する機構は次のように
考えられる。
考えられる。
リグニンのフェノール性水酸基を有する骨格に対して本
発明酵素が特異的に作用しβ−アリルエーテル結合を切
断する。その結果2,6−ジメトキシフェノールに相当す
る構造を有しその4位に更にリグニン基体骨格が結合し
たフェノール性水酸基を有する化合物が生成する。この
ようにβ−アリルエーテル結合の切断により新たにフェ
ノール性水酸基が生成するためリグニンは本発明酵素に
より引き続き分解を受け反応が進行する。
発明酵素が特異的に作用しβ−アリルエーテル結合を切
断する。その結果2,6−ジメトキシフェノールに相当す
る構造を有しその4位に更にリグニン基体骨格が結合し
たフェノール性水酸基を有する化合物が生成する。この
ようにβ−アリルエーテル結合の切断により新たにフェ
ノール性水酸基が生成するためリグニンは本発明酵素に
より引き続き分解を受け反応が進行する。
[問題点を解決するための手段II] なお、天然リグニン中ではβ−アリルエーテル結合が約
50%存在することから、本発明の酵素がβ−アリルエー
テル結合を切断することは天然リグニンの分解において
極めて意義がある。
50%存在することから、本発明の酵素がβ−アリルエー
テル結合を切断することは天然リグニンの分解において
極めて意義がある。
本発明の酵素は反応に際し、酸素を必要とするが、反応
は大気中より純酸素雰囲気中の方が望ましく振とう、攪
拌することなどにより酵素反応速度を更に高めることが
できる。
は大気中より純酸素雰囲気中の方が望ましく振とう、攪
拌することなどにより酵素反応速度を更に高めることが
できる。
また本発明はレンチテス(Lenzites)属に属するカイガ
ラタケ(レンチテス・ベツリナ)から成るリグニン分解
酵素生産菌を培地に培養し、培養物から前記(1)〜(8)の
性質を有するリグニン分解酵素を採取することを特徴と
するリグニン分解酵素の製造方法に存する。
ラタケ(レンチテス・ベツリナ)から成るリグニン分解
酵素生産菌を培地に培養し、培養物から前記(1)〜(8)の
性質を有するリグニン分解酵素を採取することを特徴と
するリグニン分解酵素の製造方法に存する。
上記菌体の培養形態は、液体培養、固体培養のいずれで
あっても良い。培地の栄養源としては、微生物の培養に
通常用いられているものが広く使用することができる。
炭素源としては同化可能な炭素源であれば良く、例えば
木粉、グルコース、シュークロス、ラクトース、糖蜜な
どが使用される。特にリグノセルロース成分からなる木
粉培地で培養すると本発明のリグニン分解酵素を純度高
く生産することができるため有利である。窒素源として
は利用可能な窒素化合物であれば良く、例えばペプト
ン、肉エキス、大豆粉、カゼイン加水分解物などが用い
られる。その他、リン酸塩、硫酸、塩、マグネシウム、
カルシウム、カリウム、ナトリウム、銅、マンガン、亜
鉛などの塩類が必要に応じて使用される、特に本酵素は
銅含有酵素であり、銅塩の添加は有効である。
あっても良い。培地の栄養源としては、微生物の培養に
通常用いられているものが広く使用することができる。
炭素源としては同化可能な炭素源であれば良く、例えば
木粉、グルコース、シュークロス、ラクトース、糖蜜な
どが使用される。特にリグノセルロース成分からなる木
粉培地で培養すると本発明のリグニン分解酵素を純度高
く生産することができるため有利である。窒素源として
は利用可能な窒素化合物であれば良く、例えばペプト
ン、肉エキス、大豆粉、カゼイン加水分解物などが用い
られる。その他、リン酸塩、硫酸、塩、マグネシウム、
カルシウム、カリウム、ナトリウム、銅、マンガン、亜
鉛などの塩類が必要に応じて使用される、特に本酵素は
銅含有酵素であり、銅塩の添加は有効である。
培養温度は菌が発育し、該リグニン分解酵素を生産する
範囲内で適宜変更し得るが、好ましくは23〜27℃程度が
良い。培養時間は条件によって異なるが、液体培養では
5〜10日間、固体培養は1〜3ケ月程度である。
範囲内で適宜変更し得るが、好ましくは23〜27℃程度が
良い。培養時間は条件によって異なるが、液体培養では
5〜10日間、固体培養は1〜3ケ月程度である。
次いで、このようにして得られた培養物からリグニン分
解酵素を採取するのであるが、本酵素は主として菌体外
に分泌されるので、本酵素を採取するには、液体培養に
おいては菌体を遠心分離等で除去した培養液、また固
体培養においては培養物から抽出した抽出液を用いて、
酵素含有溶液を濃縮するか、または濃縮することなく可
溶性塩類、例えば硫酸アンモニウムなどを用いて塩析せ
しめるか、親水性溶媒、例えばメタノール、エタノー
ル、アセトン、イソプロパノールなどの添加により本酵
素を沈殿せしめれば良い。
解酵素を採取するのであるが、本酵素は主として菌体外
に分泌されるので、本酵素を採取するには、液体培養に
おいては菌体を遠心分離等で除去した培養液、また固
体培養においては培養物から抽出した抽出液を用いて、
酵素含有溶液を濃縮するか、または濃縮することなく可
溶性塩類、例えば硫酸アンモニウムなどを用いて塩析せ
しめるか、親水性溶媒、例えばメタノール、エタノー
ル、アセトン、イソプロパノールなどの添加により本酵
素を沈殿せしめれば良い。
次いで、この沈殿物は水または緩衝液に溶解し、半透膜
にて透析せしめて低分子量の不純物を除去することがで
きる。また吸着剤あるいはゲル過剤などによるクロマ
トグラフィーにより、リグニン分解酵素を精製する。さ
らにこれらの手段により得られた酵素溶液は減圧濃縮、
限外過膜濃縮、さらに凍結乾燥などの処理により精製
されリグニン分解酵素を得る。
にて透析せしめて低分子量の不純物を除去することがで
きる。また吸着剤あるいはゲル過剤などによるクロマ
トグラフィーにより、リグニン分解酵素を精製する。さ
らにこれらの手段により得られた酵素溶液は減圧濃縮、
限外過膜濃縮、さらに凍結乾燥などの処理により精製
されリグニン分解酵素を得る。
[実施例] 以下本発明を実施例によって説明する。
実施例1 グルコース3%、ペプトン1%、KH2PO40.15%、MgSO4
・7H2O0.05%、塩酸チアミン0.0002%、CuSO4・5H2O0.0
016%を含有する培地(pH5.0)5lを10l容ジャーファー
メンターに入れ、120℃、20分間加熱殺菌した後、カイ
ガラタケ{レンチテス・ベツリナ(Lenzites betulin
a)}を接種し28℃、8日間、50rpm(攪拌速度)。5l/
分(通気量)の条件下で培養を行なった。
・7H2O0.05%、塩酸チアミン0.0002%、CuSO4・5H2O0.0
016%を含有する培地(pH5.0)5lを10l容ジャーファー
メンターに入れ、120℃、20分間加熱殺菌した後、カイ
ガラタケ{レンチテス・ベツリナ(Lenzites betulin
a)}を接種し28℃、8日間、50rpm(攪拌速度)。5l/
分(通気量)の条件下で培養を行なった。
培養終了後、布で過し除菌して粗酵素液を得た。
次にこの粗酵素液を10mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.
0)で緩衝化したDEAEトヨパールカラム(20×5cm)に通
した。酵素は吸着されるので同じ緩衝液で吸着されない
不純蛋白を洗い流した後、30%硫酸アンモニウムを含む
10mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)で溶出した。活性
画分を集め、50%飽和硫酸アンモニウムで沈殿する不純
蛋白を遠心分離で除き、70%飽和硫酸アンモニウムで沈
殿する部分を遠心分離で集めた。少量の水に溶解し、蒸
留水2lに対し透析した。透析外液は1日に数回交換し、
一晩透析した後限外過(Amicon社、PM−10)で濃縮し
た。30mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)を加えて限外
過する操作を2回くり返した後、同じ緩衝液で平衡化
したDEAEトヨパールカラム(1.5×20cm)にのせた。同
じ緩衝液400mlで洗滌した後、溶出は45mMの同緩衝液で
行ない、2.2mlずつ分画した。活性のある画分からそれ
ぞれ一部をポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけて均
一性を検討し、電気泳動の結果で均一な画分を集めた。
この画分はさらにSDSを含むポリアクリルアミドゲル電
気泳動で均一性を確めた。
0)で緩衝化したDEAEトヨパールカラム(20×5cm)に通
した。酵素は吸着されるので同じ緩衝液で吸着されない
不純蛋白を洗い流した後、30%硫酸アンモニウムを含む
10mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)で溶出した。活性
画分を集め、50%飽和硫酸アンモニウムで沈殿する不純
蛋白を遠心分離で除き、70%飽和硫酸アンモニウムで沈
殿する部分を遠心分離で集めた。少量の水に溶解し、蒸
留水2lに対し透析した。透析外液は1日に数回交換し、
一晩透析した後限外過(Amicon社、PM−10)で濃縮し
た。30mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)を加えて限外
過する操作を2回くり返した後、同じ緩衝液で平衡化
したDEAEトヨパールカラム(1.5×20cm)にのせた。同
じ緩衝液400mlで洗滌した後、溶出は45mMの同緩衝液で
行ない、2.2mlずつ分画した。活性のある画分からそれ
ぞれ一部をポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけて均
一性を検討し、電気泳動の結果で均一な画分を集めた。
この画分はさらにSDSを含むポリアクリルアミドゲル電
気泳動で均一性を確めた。
次に本発明酵素の力価の測定法および性質などについて
述べる。
述べる。
(1)力価の測定法 少量のジオキサンに溶解した0.4mM SOSを含有する200mM
酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.5)溶液4ml中に本発明酵素
溶液0.4mlを含む反応液を30℃に保温し、290mmにおける
吸光度の増加を測定する。
酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.5)溶液4ml中に本発明酵素
溶液0.4mlを含む反応液を30℃に保温し、290mmにおける
吸光度の増加を測定する。
酵素活性は1分間に0.01の吸光度増加を1単位とする。
(2)本酵素はシリンギルグリセロール−β−シリンギ
ルエーテルに作用して、2,6−ジメトキシフェノール を生成する。
ルエーテルに作用して、2,6−ジメトキシフェノール を生成する。
(3)シリンガ酸に作用して、カルボキシル基の脱離反
応が起こり、2,6−ジメトキシ−p−ベンゾキノン、並
びにシリンガ酸のフェノール性水酸基の脱水素反応に伴
うラジカルを生成し、引続きラジカル重合による6−メ
トキシ−4−(2′,6′−ジメトキシ−4′−カルボキ
シフェノキシ)ベンゾキノン(1,2)を生成する。
応が起こり、2,6−ジメトキシ−p−ベンゾキノン、並
びにシリンガ酸のフェノール性水酸基の脱水素反応に伴
うラジカルを生成し、引続きラジカル重合による6−メ
トキシ−4−(2′,6′−ジメトキシ−4′−カルボキ
シフェノキシ)ベンゾキノン(1,2)を生成する。
(4)シリンギルグリセロール−β−シリンギルエーテ
ルに対して作用するが、シリンギルグリセロール−β−
シリンギルエーテルの4位のフェノール性水酸基がメト
キシル基になった化合物に対しては作用しない。
ルに対して作用するが、シリンギルグリセロール−β−
シリンギルエーテルの4位のフェノール性水酸基がメト
キシル基になった化合物に対しては作用しない。
(5)至適pH 50mM酢酸緩衝液(pH3〜5.5)、50mMリン酸緩衝液(pH5
〜9)、50mM Tris−HNO3緩衝液(pH8〜9)を用いて本
発明酵素に対する酵素活性を測定した結果第3図に示す
通りであってその至適pHは4.0〜5.0付近と認められる。
〜9)、50mM Tris−HNO3緩衝液(pH8〜9)を用いて本
発明酵素に対する酵素活性を測定した結果第3図に示す
通りであってその至適pHは4.0〜5.0付近と認められる。
(6)pH安定性 50mM酢酸緩衝液(pH3〜5.5)、50mMリン酸緩衝液(pH5
〜9)、50mMグリシン緩衝液(pH8〜10)中に本発明酵
素を50℃で30分間放置し酵素活性を測定した。
〜9)、50mMグリシン緩衝液(pH8〜10)中に本発明酵
素を50℃で30分間放置し酵素活性を測定した。
その結果は第4図に示す通りであってそのpH安定性はpH
7.5〜9付近である。
7.5〜9付近である。
(7)至適温度 温度条件を変えて酵素反応を行ない本発明酵素の活性を
測定した結果、第5図に示す通りであってその至適温度
は60℃付近と認められる。
測定した結果、第5図に示す通りであってその至適温度
は60℃付近と認められる。
(8)熱安定性 50mMリン酸緩衝液(pH7.0)中、30〜70℃の各温度で本
発明酵素を60分間放置し酵素活性を測定した。
発明酵素を60分間放置し酵素活性を測定した。
その結果は第7図に示す通りであってその熱安定性にお
いて本発明酵素は50℃まで安定である。
いて本発明酵素は50℃まで安定である。
(9)種々の物質の影響 種々の物質を添加して本発明酵素の酵素活性を測定した
結果は次の通りである。なお添加濃度は1mMである。
結果は次の通りである。なお添加濃度は1mMである。
(10)分子量 約65,000±5,000〔SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳
動法(分子量マーカー;LKB社製、分子量範囲12,300〜7
8,000)にて測定〕 (11)等電点は3.5付近である(アンホラインを用いる
等電点電気泳動法により測定) (12)本酵素は銅含有窒素であり、水溶液は深青色を呈
する。
動法(分子量マーカー;LKB社製、分子量範囲12,300〜7
8,000)にて測定〕 (11)等電点は3.5付近である(アンホラインを用いる
等電点電気泳動法により測定) (12)本酵素は銅含有窒素であり、水溶液は深青色を呈
する。
(13)本酵素の作用には酵素を必要とする。
実施例2 ダグラスファーのチップを常法によりクラフト蒸解し、
蒸解度(カッパ価)30の未漂白パルプを得、該パルプを
多段漂白(CEHED)し、白色度81ポイントの漂白パルプ
を得た。塩素処理後の第一次アルカリ抽出液を5N硫酸で
pH5に調製し、この調製液10mlに本発明で得た酵素液1ml
を加えて37℃で5時間反応を行なった後、2mlをセファ
デックスG−50(径24×250mm)のカラムにのせ、蒸留
水で溶出した。コントロールとして酵素液の代わりに水
を加えたものを同様に行なうと、第7図に示す通り、酵
素処理により分子量約1,000〜5,000のリグニンが低分子
化している。
蒸解度(カッパ価)30の未漂白パルプを得、該パルプを
多段漂白(CEHED)し、白色度81ポイントの漂白パルプ
を得た。塩素処理後の第一次アルカリ抽出液を5N硫酸で
pH5に調製し、この調製液10mlに本発明で得た酵素液1ml
を加えて37℃で5時間反応を行なった後、2mlをセファ
デックスG−50(径24×250mm)のカラムにのせ、蒸留
水で溶出した。コントロールとして酵素液の代わりに水
を加えたものを同様に行なうと、第7図に示す通り、酵
素処理により分子量約1,000〜5,000のリグニンが低分子
化している。
第1図は酵素反応液のガスクロマトグラム、第2図はピ
ークIのマススペクトルであり、第3図は至適pH、第4
図はpH安定性、第5図は至適温度、第6図は熱安定性を
示すグラフである。第7図は本発明の酵素をパルプ漂白
廃水に適用した場合のゲル過曲線のグラフである。
ークIのマススペクトルであり、第3図は至適pH、第4
図はpH安定性、第5図は至適温度、第6図は熱安定性を
示すグラフである。第7図は本発明の酵素をパルプ漂白
廃水に適用した場合のゲル過曲線のグラフである。
Claims (2)
- 【請求項1】カイガラタケ(レンチテス・ベツリナ)か
ら生産され、下記性質を有するリグニン分解酵素 (1)作用 (i)シリンギルグリセロール−β−シリンギルエーテル
に作用して、2,6−ジメトキシフエノールを生成する。 (ii)化学パルプ製造の多段漂白工程からの排液中に含ま
れるリグニンを低分子化する。 (2)基質特異性 シリンギルグリセロール−β−シリンギルエーテルに対
して作用するが、シリンギルグリセロール−β−シリン
ギルエーテルの4位のフエノール性水酸基がメトキシル
基になった化合物に対しては作用しない。 (3)至適pHおよびpH安定性 pH4.0〜5.0付近が至適であり、安定pHは7.5〜9.0であ
る。 (4)至適温度および熱安定性 60℃付近が至適温度であり、50℃までの熱に安定であ
る。 (5)等電点は3.5付近である。 (6)分子量が65000±5000(SDS電気泳動による) (7)本酵素は銅含有酵素であり、水溶液は深青色を呈す
る。 (8)本酵素の作用には酸素を必要とする。 - 【請求項2】カイガラタケ(レンチテス・ベツリナ)か
ら成るリグニン分解酵素生産菌を培地に培養し、培養物
から下記の性質すなわち (1)作用 (i)シリンギルグリセロール−β−シリンギルエーテル
に作用して、2,6−ジメトキシフエノールを生成する。 (ii)化学パルプ製造の多段漂白工程からの排液中に含ま
れるリグニンを低分子化する。 (2)基質特異性 シリンギルグリセロール−β−シリンギルエーテルに対
して作用するが、シリンギルグリセロール−β−シリン
ギルエーテルの4位のフエノール性水酸基がメトキシル
基になった化合物に対しては作用しない。 (3)至適pHおよびpH安定性 pH4.0〜5.0付近が至適であり、安定pHは7.5〜9.0であ
る。 (4)至適温度および熱安定性 60℃付近が至適温度であり、50℃までの熱に安定であ
る。 (5)等電点は3.5付近である。 (6)分子量が65000±5000(SDS電気泳動による) (7)本酵素は銅含有酵素であり、水溶液は深青色を呈す
る。 (8)本酵素の作用には酸素を必要とする。 を有するリグニン分解酵素を採取することを特徴とする
リグニン分解酵素の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP6027786A JPH0746989B2 (ja) | 1986-03-18 | 1986-03-18 | リグニン分解酵素およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP6027786A JPH0746989B2 (ja) | 1986-03-18 | 1986-03-18 | リグニン分解酵素およびその製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS62220189A JPS62220189A (ja) | 1987-09-28 |
| JPH0746989B2 true JPH0746989B2 (ja) | 1995-05-24 |
Family
ID=13137484
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP6027786A Expired - Fee Related JPH0746989B2 (ja) | 1986-03-18 | 1986-03-18 | リグニン分解酵素およびその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH0746989B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN116606745B (zh) * | 2023-05-16 | 2024-07-26 | 中国林业科学研究院森林生态环境与自然保护研究所(国家林业和草原局世界自然遗产保护研究中心) | 木腐菌复合菌剂及其在防治松材线虫病中的应用 |
-
1986
- 1986-03-18 JP JP6027786A patent/JPH0746989B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS62220189A (ja) | 1987-09-28 |
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