JPH0748189A - セラミックス焼結体およびその表面加工方法 - Google Patents

セラミックス焼結体およびその表面加工方法

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JPH0748189A
JPH0748189A JP11079094A JP11079094A JPH0748189A JP H0748189 A JPH0748189 A JP H0748189A JP 11079094 A JP11079094 A JP 11079094A JP 11079094 A JP11079094 A JP 11079094A JP H0748189 A JPH0748189 A JP H0748189A
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wavelength
laser
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JP11079094A
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Kaoru Murabe
馨 村部
Takao Nishioka
隆夫 西岡
Akira Yamakawa
晃 山川
Shinichi Yamagata
伸一 山形
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 表面の損傷が少なく機械部品として実用的に
高い信頼性を有するセラミックス焼結体を提供する。 【構成】 セラミックス焼結体の所定領域の表面に紫外
領域の波長を有するレーザ光を照射することによって、
所定領域の表面層を除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、セラミックス焼結体
およびその表面加工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】ファ
インセラミックスは、高硬度かつ高強度な特性を有する
ことから、耐摩耗性部品および摺動部品などに使用され
つつある。焼結後のセラミックスの表面、すなわち焼結
肌には荒れや微細なクラックが存在する。これらの欠陥
を放置すれば、セラミックス焼結体は、これらの欠陥を
起点に破壊し、非常に脆弱な挙動を示す。そのため、セ
ラミックス焼結体を実際の機械部品等に使用するために
は、セラミックス焼結体の表面層に含まれる潜在欠陥を
除去し、表面強度を向上させる必要がある。
【0003】従来、セラミックス焼結体の表面層を除去
する方法として、ダイヤモンド砥石などを使用した研削
加工が用いられている。しかしながら、研削加工によっ
てセラミックス焼結体の表面層を除去すると、加工後の
表面層に変質層が形成されたり、チッピングおよびスク
ラッチが導入されたり、残留応力が導入されたりする。
これらの欠陥は、セラミックス焼結体の表面強度を劣化
させる要因となる。高硬度で脆弱なセラミックス焼結体
に対しては、研削加工が困難であり、加工形状の自由
度、および加工を施す条件の自由度が著しく低くなる。
特に、セラミックス焼結体に対しては微細加工が困難で
ある。そのような微細加工に際しては、特にチッピング
等による加工部位の損傷が生じやすく、これによる使用
中の破損といった、部品寿命に対する信頼性の低下が問
題となる。
【0004】加工後のセラミックス焼結体表面に存在す
る損傷部または欠陥部を熱処理によって回復することが
可能である。しかし、微小なレベルでの欠陥の回復は行
なわれるものの、部材の信頼性を左右するマクロの欠陥
の回復は十分に行なわれないため、セラミックスが本来
有する優れた強度および特性を十分に生かした部材を得
るには不十分であった。
【0005】この発明の目的は、表面損傷部の発生を極
力抑えることのできるセラミックス焼結体の表面加工方
法を提供することである。
【0006】この発明の他の目的は、加工後の表面損傷
部が少なく、機械部品として実用上高い信頼性を有する
セラミックス焼結体を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明に従ったセラミ
ックス焼結体の表面加工方法では、セラミックス焼結体
の所定領域の表面に紫外領域の波長を有するレーザ光を
照射することによって、所定領域の表面層を除去する。
【0008】紫外領域の波長を有するレーザとして、好
ましくは、ArF、KrF、XeClなどエキシマ分子
をレーザ媒質としたレーザが使用される。
【0009】好ましくは、除去される表面層の厚みは2
μm以上である。また、レーザ光の照射が所定領域の全
表面に及ぶように、レーザ光またはセラミックス焼結体
を連続的または断続的に移動させる。さらに、紫外領域
の波長を有するレーザ光を発振する発振機の対物レンズ
と、セラミックス焼結体の被加工面との距離を一定に保
つように、加工中に対物レンズとセラミックス焼結体と
の距離を調整するのが好ましい。
【0010】この発明に従ったセラミックス焼結体の表
面加工方法の他の実施例では、セラミックス焼結体の所
定領域に対して粗加工を施し、その後に仕上げ加工とし
て粗加工された所定領域の表面に紫外領域の波長を有す
るレーザ光を照射することによって所定領域の表面層を
除去する。
【0011】上記方法によれば、加工効率が向上する。
粗加工としては、典型的には、機械研削加工、または赤
外領域の波長を有するレーザ光による加工が採用され
る。
【0012】好ましくは、紫外領域の波長を有するレー
ザ光によって除去される表面層の厚みは、2μm以上で
ある。
【0013】この発明に従ったセラミックス焼結体で
は、所定領域の表面層が、紫外領域の波長を有するレー
ザ光の照射によって除去されている。
【0014】表面層除去後の所定領域の表面は、セラミ
ックスの溶融凝固物を含まない。また、好ましくは、表
面層除去後の所定領域の表面の面粗度は、JIS B0
601の中心線平均粗さRaで、5μm以下である。ま
た、この表面を有するセラミックス焼結体は、JIS
R1601に準拠した3点曲げ強度が1000MPa以
上である。所定領域の材質は、たとえば、窒化ケイ素系
焼結体である。
【0015】
【発明の作用効果】1つの局面における本発明の特徴
は、紫外領域の波長を有するレーザ光をセラミックス焼
結体の所定領域の表面に照射することによって、所定領
域の表面層を除去することである。他の局面における本
発明の特徴は、加工効率の向上のために、まずセラミッ
クス焼結体の所定領域に対して粗加工を施し、その後に
仕上げ加工として粗加工された所定領域の表面に紫外領
域の波長を有するレーザ光を照射することによって所定
領域の表面層を除去することである。
【0016】従来のようにダイヤモンド砥石を用いた研
削加工によってセラミックス焼結体に対して表面加工を
施せば、焼結体表面に焼結体の強度を低下させる因子で
ある表面層の熱損傷や微細なクラックなどの発生が認め
られる。このような欠陥は、特に窒化ケイ素のような溶
融結合性セラミックスに生じやすい。これに対して、非
接触での加工が可能なレーザ光の照射によってセラミッ
クス焼結体の表面加工を行なえば、上述のような欠陥の
発生は認められず、その結果、材料本来の強度を発揮す
ることができるものと考えられる。
【0017】現在工業的に使用される加工用ビーム源と
してのレーザ発振機には、大別して赤外領域のビームを
発振するものと、紫外領域のビームを発振するものとが
ある。レーザ光は高エネルギを微小領域に集中できるの
で、被加工物にレーザ光を照射すると照射部が溶融ある
いは蒸発を起こす。この現象を利用して、レーザ光を制
御することにより、材料の除去加工に応用できることが
知られている。金属材料に関しては、レーザ光を利用し
て切断、溶接、アロイング、クラッディング、表面溶融
凝固処理、均一溶体化処理などが行なわれている。
【0018】従来、セラミックス材料に関しては、主に
赤外領域のビームを照射して平面除去加工が行なわれて
いる。たとえば、日本機械学会論文集(C編)第57巻
537号(1991年5月)によれば、赤外領域波長の
YAGレーザによる加工によって、材料の破壊に対する
信頼性を表わすワイブル係数が向上することが示されて
いる。しかし、表面溶融変質層の影響から、研削材と比
較して強度の低下が問題となっている。また、表面粗さ
も3μmRz程度であり、通常の研削仕上げで得られる
表面粗さ1μmRzと比較して粗い。そのため、YAG
レーザによって加工された材料をそのまま機械部品、と
りわけ摺動部を必要とする部品に適用すれば、相手材を
損傷する可能性が高くなる。また、表面粗さは場合によ
っては部材に対して切欠効果を与えることから、部材の
信頼性を確保するためには加工面の表面粗さを小さくす
る必要がある。
【0019】YAGレーザのような赤外光による除去加
工後の表面粗さが大きくなる理由は、次のように考えら
れる。レーザ光の照射により被加工物の表面が高温に加
熱されると材料が溶融し除去されるが、その際液相を形
成するので、凝固時に融液の脈動が形態となって残り、
それが表面粗さに現われるものと考えられる。赤外光に
よる加工はこのような問題点を有するが、一方では、加
工効率の向上に寄与する。すなわち、赤外光による加工
は、形成された液相を熱源としてさらに加工を進行させ
るので、加工効率が高く、単位時間当りの材料除去レー
トは大きくなる。
【0020】セラミックス焼結体の所定の領域に紫外領
域の波長を有するレーザを照射する加工方法であれば、
研削加工に起因する加工欠陥の発生は認められず、また
赤外レーザにより発生する熱影響層の発生も認められな
い。したがって、加工後の表面粗さを小さくすることが
可能である。
【0021】YAGレーザなどの赤外領域波長のレーザ
光に比べて、紫外領域の波長を有するレーザ光の照射エ
ネルギは大きい。したがって、紫外領域の波長を有する
レーザ光を被加工物表面に照射すると、大きな照射エネ
ルギが直接物質の結合種に作用し、物質を昇華分解除去
するものと考えられる。そのため、紫外領域波長のレー
ザ光の照射により融液を形成しないので、融液に起因し
た表面粗さが形成されないものと考えられる。さらに、
物質の除去が非熱的プロセスで進行するので、赤外光で
の加工のように加工中の残留融液に起因する熱影響層が
形成されず、表面層もほぼ母材に近い組成である。こう
したことから、紫外領域の波長を有するレーザ光によっ
て表面加工を行なえば、加工表面に起因する機械的特
性、たとえば材料強度などの低下は起こらない。一方、
紫外領域波長のレーザ光による加工は物質の結合種に作
用するだけのエネルギを必要とするので、赤外光のよう
に熱伝導プロセスを利用した加工と比較すると加工効率
は低下する。
【0022】本発明の適用されるセラミックスは窒化ケ
イ素に限られるものではなく、アルミナ、炭化ケイ素、
炭化硼素、ジルコニア、窒化アルミニウム等のあらゆる
セラミックスに対して適用され得る。適用される材料に
よって、加工条件は適宜変えられる。
【0023】紫外領域の波長を有するレーザ光はパルス
発振するものが多い。従来、紫外領域の波長を有するレ
ーザ光をマスクを用いて必要な形状のビームにし、この
ビームを加工物の表面に集中的に照射することによって
穴あけ加工や溝加工をすることが知られている。たとえ
ば、雑誌「ニューセラミックス」(1993)No.1
の第79〜81頁には、エキシマレーザを用いたアルミ
ナおよび窒化ケイ素の溝加工が開示されている。紫外領
域の波長のレーザ光を用いて穴あけ加工や溝加工をした
場合、加工面に凹凸が発生しており、かえって表面の機
械特性が劣化しているものと考えられる。
【0024】本願発明では、線あるいは矩形に集光され
たレーザビームの照射がセラミックス焼結体の所定領域
の全表面に及ぶように、レーザ光を照射させながらレー
ザ光またはセラミックス焼結体を連続的または断続的に
移動させる。最終的には、レーザ光の照射された所定領
域の表面層のみが除去される。
【0025】被加工物を回転軸を中心に連続的または断
続的に回転させると同時に、回転軸に対して垂直方向に
被加工物またはビームを移動させれば、曲面または傾斜
面を形成することが可能となる。ビームの照射を3次元
的に行なえるので、たとえば円筒内部の加工が可能とな
り、これまでの機械研削と異なり、単一の装置で外面お
よび内面の加工が可能となり、コスト的なメリットも大
きくなる。
【0026】ビーム加工に際しては、レーザ光を発振す
るレーザ発振機の対物レンズと、セラミックス焼結体の
被加工面との距離を一定に保つように、加工中に対物レ
ンズとセラミックス焼結体との距離を調整するのが好ま
しい。その理由は、深さ方向の除去加工に対して、加工
の進展に伴い、初期の照射面て設定した焦点距離が変化
し、その結果照射部でのエネルギ密度が変化するため、
材料除去レートが変化し所定の形状が得られなくなるお
それがあるからである。
【0027】紫外領域の波長を有するレーザ光によって
表面層を除去した場合、除去後のセラミックス焼結体の
表面は凹凸が少なく平滑となる。除去する表面層の厚み
は、2μm以上が望ましい。もし、この厚みが2μm未
満であれば、セラミックス焼結体の製造過程で導入され
る開気孔や不純物、微小クラックなどの表面加工前の欠
陥を完全に除去しきれない。除去する表面層の厚みの上
限は、実用面から制限される。
【0028】赤外領域の波長を有するレーザ光としてC
2 レーザやNd−YAGレーザがある。CO2 レーザ
の波長は10.6μmであり、Nd−YAGレーザの波
長は1.06μmである。これらのレーザ光の波長と比
較して、紫外領域の波長を有するレーザ光の一例である
KrFエキシマレーザの波長は248nmであり、かな
り短い。通常、限界焦点径は波長程度といわれている。
レーザ加工はビームによりワークに加工エネルギを投入
するものであるので、ビーム径が加工精度に大きな影響
を与えるものと考えられる。この点からも、紫外領域の
波長を有するレーザ光によって表面加工を行なえば、高
精度で極めて平滑な加工表面を容易に得られることが理
解できる。実用的に高い信頼性を有するセラミックス焼
結体とするためには、好ましくは、紫外領域の波長をレ
ーザ光を用いて0.3μm以下の表面粗さ(JIS B
0601の中心線平均粗さRa)になるように表面加工
するのが望ましい。
【0029】紫外領域の波長を有するレーザ光を用いて
セラミックス焼結体の表面除去加工を行なうことにより
高精度かつ信頼性の高い加工が可能となるが、一方では
加工効率が低くなるという問題がある。この問題を解消
するために、本発明の1つの曲面では、紫外光による加
工を仕上げ加工と位置付け、粗加工として赤外領域の波
長を有するレーザ光による加工、または機械研削加工を
用いる。この方法によれば、たとえば赤外光レーザの照
射によって生じた加工面の凹凸を仕上げ加工である紫外
光レーザの照射で除去するものである。粗加工を除去効
率の高い加工で行ない、除去効率の低下する仕上げ加工
にのみ紫外光レーザを用いるので、プロセス全体として
見れば高効率かつ高信頼性を有する加工が可能となる。
【0030】紫外領域の波長のレーザ光を用いて表面加
工した加工面を負荷がかかる機械部品として使用する場
合には、この加工面のJIS R1601準拠の3点曲
げ試験強度を1000MPa以上とするのが好ましい。
このような強度であれば、機械部品として十分に使用に
耐え得るものとなる。
【0031】従来のようにセラミックス焼結体の表面加
工として研削加工を行なえば、研削加工時に導入された
クラックや粒子脱落等の欠陥を除去するためにラップ加
工を行なうことが必要となる。一方、少なくとも仕上げ
加工に紫外領域の波長のレーザ光を用いた本発明の表面
加工方法では、加工時にクラックや粒子脱落等の欠陥が
抑えられるので、ラップ加工を行なう必要がない。さら
に、砥石を用いた研削加工では研削が困難な箇所に対し
てでも、本発明の方法を容易に実施でき、その工業的価
値は極めて高い。
【0032】本発明に従って得られるセラミックス焼結
体は、極めて大きな応力が負荷されても破壊せず、高い
信頼性が要求される機械部品に有利に適用され得る。そ
のような機械部品として、たとえば、内燃機関用バル
ブ、ピストンリング、ピストンピンなどがある。たとえ
ば内燃機関用バルブのステム部を研削加工する場合には
多くの折損が発生するが、本発明の表面加工方法によれ
ば折損が見られず、高強度で信頼性の高いセラミックス
バルブを得ることができる。
【0033】
【実施例】
実施例1 焼結助剤としてY2 3 およびAl2 3 を併せて重量
基準で10%含み、残部を窒化ケイ素とした粉末を用
い、1800℃にて窒化ケイ素粉末成形体を1気圧の窒
素ガス雰囲気中で焼結することによって、窒化ケイ素焼
結体を得た。この窒化ケイ素焼結体から、JIS R1
601に準じてTRS試験片(3mm×4mm×40m
m)を作製した。これらの試験片に対して異なる方法で
表面加工を実施した。なお、1加工法に対して加工本数
を15本とした。
【0034】本発明例としての表面加工方法は、次のよ
うに行なった。まず、レーザ媒質として、KrFガスを
使用した波長248nmのエキシマレーザを用いた。図
1に示すように、ワークテーブル1上に試験片2を置
き、試験片2の加工面2aに線状に集光したビームを照
射した。この際、ワークテーブル1を矢印Aで示す方向
に移動させることによって、試験片2の加工面2aの全
面にビーム3が照射されるようにした。こうして、試験
片2の加工面2aの表面層を除去した。除去した表面層
の厚みは10μmであった。
【0035】比較例の方法として、試験片の表面を#2
00のダイヤモンド砥石で研削加工した。
【0036】他の比較例の方法として、Nd−YAGレ
ーザ(波長1.06μm)を用いて試験片の表面層を1
0μmの厚みで除去した。
【0037】上述のように異なった表面加工方法を施し
た試験片に対して、JIS R1601準拠の3点曲げ
強度、ワイブル係数およびJIS B0601の中心線
平均粗さ(Ra)を測定した。ここで表面粗さは試験片
の長さ方向の測定値を用いた。その結果を、表1に示
す。
【0038】
【表1】
【0039】表1から明らかなように、エキシマレーザ
を用いて表面加工を行なえば、平均強度が上昇するとと
もに、信頼性を表わすワイブル係数も上昇していること
が認められる。これは、エキシマレーザを用いた表面加
工であるので、加工による損傷の発生が少なく強度低下
が抑えられたものと考えられる。言換えれば、比較例の
表面加工方法では、セラミックスの溶融凝固物の付着層
(たとえばSix yで表わされる酸化物)、加工欠
陥、表面変質層および残留応力が発生し、それらの欠陥
が材質本来の強度特性を低下させているものと考えられ
る。
【0040】さらに、KrFエキシマレーザを用いた表
面加工によれば、#200ダイヤモンド砥石を用いた研
削加工に比べて、よりよい加工面精度が得られることが
認められる。なお、この場合の表面粗さは試験片の長手
方向の粗さで代表させた。機械加工では、曲げ試験にお
ける応力の負荷方向に対する研削方向が強度に影響する
ことが知られている。本TRS試験片について言えば、
試験片の短手方向の研削は、長手方向と比較して、特に
低い番手の砥石使用時に強度が低くなっている。これ
は、短手方向の研削では、研削による条痕が引張り方向
に対して垂直となり、研削痕あるいは研削時の砥粒の押
込みによる亀裂面を欠陥とみなした場合、欠陥先端が亀
裂開口方向に一致するため、結果的に低強度となるもの
と考えられる。
【0041】一方、レーザ加工、特にエキシマレーザ加
工では、加工面の表面粗さが加工方向によってほとんど
影響されないので、加工方向による強度に対する影響は
ないものと言える。
【0042】次に、エキシマレーザ加工において、焼結
肌からの除去量の大きさを変えて、強度、ワイブル係数
および表面粗さを測定した。その結果を表2に示す。
【0043】
【表2】
【0044】除去量が2μm未満の比較例では、強度お
よびワイブル係数が低下する。これに対し、2μm以上
除去する本発明例では、表面層の欠陥を十分除去するの
で、強度を高く保ち、そのばらつきも小さくすることが
可能となる。
【0045】実施例2 市販のSiC焼結体に対して、実施例1と同じ試験を実
施した。その結果を表3に示す。
【0046】
【表3】
【0047】表3の結果から明らかなように、SiC焼
結体の場合にも、エキシマレーザを用いて表面加工すれ
ば、平均強度、ワイブル係数および加工面粗度のいずれ
の点においても他の方法より優れていることが認められ
る。
【0048】また、実施例と同様に加工面の強度に対す
る除去量の影響を検討した。その結果を表4に示す。
【0049】
【表4】
【0050】表4に示すように、比較例である2μm以
下の除去量では強度が低い値にとどまっている。一方、
除去量を2μm以上とすれば、強度に対する信頼性の高
い加工面を得ることが可能となる。
【0051】実施例3 実施例1と同じ窒化ケイ素焼結体に対して粗加工を、赤
外光であるNd−YAGレーザ、およびダイヤモンド砥
石で実施し、仕上げ加工を紫外光のKrFエキシマレー
ザで実施した。JIS R1601に準拠したTRS試
験片の所定の寸法4mm×3mm×40mmに対して、
3点曲げ試験での最大応力発生面を未加工のまま、他の
面に対して研削加工を実施して4mm×3.1mm×4
0mmの寸法に予備加工を行なった。この予備加工を行
なった試験片に対して0.1mmの除去加工を行なうも
のとし、粗加工で残り取り代が10μmとなるまで加工
し、その後仕上げ加工を実施した。粗加工用のダイヤモ
ンド砥石として、#200のレジンボンド系砥石を使用
した。
【0052】比較例として、研削による粗加工後、仕上
げ加工を同じくダイヤモンド砥石#400で行なった。
【0053】レーザによる加工に際しては、深さ方向へ
の加工の進行に対してビーム照射最表面とレーザ発振機
光学系の対物レンズとの間の距離を一定に保つべく、鉛
直方向における加工テーブルの位置制御を行なった。
【0054】1加工法に対する加工本数を15本とし
た。測定した試験片の平均強度、ワイブル係数、表面粗
さおよび試験片1本当りの所要時間を表5に示す。
【0055】
【表5】
【0056】表5に示した結果から明らかなように、最
終加工形状の表面が紫外光のレーザにより加工されたセ
ラミックスは、従来の機械研削加工と同等以上の強度お
よびワイブル係数を有する。加工面の表面粗さも、#4
00のダイヤモンド砥石で得られるのと同程度であり、
精度の高い滑らかな面が得られた。
【0057】試験片1本当りの加工時間に関しては、エ
キシマレーザのみの加工では、通常の研削加工に対して
大きく時間がかかる。しかし、加工効率の高いYAGレ
ーザ、またはダイヤモンド砥石による粗研削加工と組合
わせることによって、エキシマレーザ単独加工によって
得られる特性と同等の特性が得られ、かつ加工時間を大
幅に短縮することが可能となる。
【0058】次に、粗加工での残り取り代(仕上げ代)
を変化させて加工を行なった結果を表6および表7に示
す。
【0059】
【表6】
【0060】
【表7】
【0061】エキシマレーザにより除去される厚みが2
μ未満である比較例においては、前加工の影響が取りき
れず、強度およびワイブル係数が低い値となっている。
これに対し、除去量が2μm以上である本発明例では、
前加工による加工影響層や加工欠陥を十分に除去できる
ので、高い信頼性を得ることが可能となる。
【0062】また、研削加工後にエキシマレーザで仕上
げ加工したものも同様に、仕上げ取り代を多くすること
により信頼性を向上させることが可能となる。これは、
エキシマレーザによる仕上げ取り代を多くすることによ
り、前加工である研削加工による加工欠陥を除去するこ
とができるためと考えられる。
【0063】実施例4 本発明の方法に従って3次元加工を実施した。その実施
方法を図2および図3に示す。たとえば、テーパ形状を
形成する場合には、図2に示すようにワーク10を回転
させながら加工部にレーザ11を照射する。さらに連続
的または断続的にワーク10を矢印Bで示す方向に移動
させることにより、曲面または傾斜面を形成するように
した。図3は、加工部分を拡大して示した図解図であ
る。テーパ部では、B方向への送りを断続的にすること
により深さ方向への加工が可能となり、断続時間を変化
させることにより除去量を変化させることができる。こ
うして、所望のテーパ形状が形成される。
【0064】なお、本実施例においては1パルス当りの
除去量を一定とするため、加工最表面と光学系の対物レ
ンズとの間の距離を一定に保持した。加工品の最表面
は、少なくとも2μm以上エキシマレーザにより除去さ
れている。
【0065】上記加工の結果、寸法形状および表面仕上
げ精度が高く、さらに表面層に加工欠陥を含まないこと
から、破壊に対して信頼性の高い部品形状を得ることが
できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従った表面加工方法の一例を示す斜視
図である。
【図2】本発明に従った表面加工方法の他の例を示す斜
視図である。
【図3】図2中の加工部分を拡大して示す図解的断面図
である。
【符号の説明】
1 ワークテーブル 2 試験片 2a 加工面 3 ビーム 10 ワーク 11 レーザ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山形 伸一 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックス焼結体の所定領域の表面に
    紫外領域の波長を有するレーザ光を照射することによっ
    て前記所定領域の表面層を除去する、セラミックス焼結
    体の表面加工方法。
  2. 【請求項2】 除去される表面層の厚みが2μm以上で
    ある、請求項1に記載のセラミックス焼結体の表面加工
    方法。
  3. 【請求項3】 前記レーザ光の照射が前記所定領域全体
    に及ぶように、レーザ光またはセラミックス焼結体を連
    続的または断続的に移動させる、請求項1または2に記
    載のセラミックス焼結体の表面加工方法。
  4. 【請求項4】 除去される表面層が、焼結肌、機械研削
    加工後の表面、または赤外領域の波長を有するレーザ光
    による加工後の表面を備える、請求項1〜3のいずれか
    に記載のセラミックス焼結体の表面加工方法。
  5. 【請求項5】 前記紫外領域の波長を有するレーザ光を
    発振するレーザ発振機の対物レンズと、前記セラミック
    ス焼結体の被加工面との距離を一定に保つように、加工
    中に対物レンズとセラミックス焼結体との距離を調整す
    る、請求項1〜4のいずれかに記載のセラミックス焼結
    体の表面加工方法。
  6. 【請求項6】 セラミックス焼結体の所定領域に対して
    粗加工を施し、その後に仕上げ加工として粗加工された
    所定領域の表面に紫外領域の波長を有するレーザ光を照
    射することによって所定領域の表面層を除去する、セラ
    ミックス焼結体の表面加工方法。
  7. 【請求項7】 前記粗加工は、機械研削加工、または赤
    外領域の波長を有するレーザ光による加工である、請求
    項6に記載のセラミックス焼結体の表面加工方法。
  8. 【請求項8】 前記紫外領域の波長を有するレーザ光に
    よって除去される表面層の厚みが2μm以上である、請
    求項6または7に記載のセラミックス焼結体の表面加工
    方法。
  9. 【請求項9】 所定領域の表面層が、紫外領域の波長を
    有するレーザ光の照射により除去されている、セラミッ
    クス焼結体。
  10. 【請求項10】 表面層除去後の前記所定領域の表面
    は、セラミックスの溶融凝固物を含まない、請求項9に
    記載のセラミックス焼結体。
  11. 【請求項11】 表面層除去後の前記所定領域の表面粗
    さは、JIS B0601の中心線平均粗さRaで、5
    μm以下である、請求項9または10に記載のセラミッ
    クス焼結体。
  12. 【請求項12】 前記所定領域の材質が窒化ケイ素系セ
    ラミックス焼結体であり、表面層除去後の前記所定領域
    の表面は、JIS R1601準拠の3点曲げ強度が1
    000MPa以上である、請求項9〜11のいずれかに
    記載のセラミックス焼結体。
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