JPH0748601A - 高硬度耐摩耗性アルミニウム粉末合金およびその製造方法 - Google Patents

高硬度耐摩耗性アルミニウム粉末合金およびその製造方法

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JPH0748601A
JPH0748601A JP5192117A JP19211793A JPH0748601A JP H0748601 A JPH0748601 A JP H0748601A JP 5192117 A JP5192117 A JP 5192117A JP 19211793 A JP19211793 A JP 19211793A JP H0748601 A JPH0748601 A JP H0748601A
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JP
Japan
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powder
aluminum
alloy
producing
wear
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JP5192117A
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Inventor
Katsuyoshi Kondo
勝義 近藤
Yoshinobu Takeda
義信 武田
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 摺動部品として表面処理無しで摺動に耐え得
る高強度で且つ耐摩耗性を有するアルミニウム合金材料
を得ることと、極めて高い経済性で該材料を提供する。 【構成】 一般式Al―a・Si―b・T―c・X―d
・Cu―e・Mg(但し、T;Fe,Niのどちらか一
方または両方の元素、X;Ti,Cr,V,Mo,Zr
の1種または2種以上の元素であり、且つa,b,c,
d,eはそれぞれ重量%でa;5〜15%、b;5〜1
2%、c;2〜6%、d;0.4〜8%、e;0.2〜
4%であり、残部が実質的にアルミニウム、合金粉末を
冷間成形もしくは300℃以下の温間成形し、この粉末
成形体を内面温度を350℃〜550℃に保持した金型
(臼)に挿入し、これをどちらか一方もしくは両方を3
50℃〜550℃に保持した上型(上パンチ)と下型
(下パンチ)により圧力4〜10t/cm2での3秒〜6
0秒間の加圧圧縮により真密度比97%以上に熱間成形
固化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、物理的特性や機械的特
性に優れ、特に高硬度で且つ耐摩耗性に優れた高密度の
アルミニウム粉末合金を高い経済性で製造することがで
きるアルミニウム粉末合金の製造方法に関するものであ
る。この発明のアルミニウム粉末合金の利用分野として
は、コンプレッサー部品のベーン、シュー、サイドプレ
ート等、自動車部品のオイルポンプローター等、また
は、事務機器のローラー、ギヤ、軸受け等の摺動部品が
挙げられる。
【0002】
【従来の技術】従来、コンプレッサー部品や自動車用オ
イルポンプ或いはローラー、ギヤ、軸受け等には鉄系の
材料が使われてきた。しかし、鉄系材料ではその重さが
問題となり近年の自動車関連機器の軽量化・高効率化、
或いは事務機器の高性能化の要求に応えることができな
くなってきた。特に、可変速・高速で摺動する部材に用
いると、摺動や回転にともなう加減速時の慣性力・遠心
力が質量に比例して大きくなり、また、これらの力は回
転の角速度の2乗に比例して大きくなるので鉄系材料で
高速化を図ると、機器や装置全体を大きく、またきわめ
て頑丈に作る必要が生じる他、装置そのものの効率を阻
害する懸念があった。
【0003】そこで、注目された材料が低比重材料であ
るが、最も軽量な材料であるマグネシウムは、熱膨張係
数が大きすぎ周辺部材とのマッチングがとれない上、低
硬度であるため摺動部材としては全く使用に耐えない。
次に軽量なアルミニウム合金に、熱膨張を小さくし耐摩
耗性を改善するために、主にシリコンを多量に添加する
ことが種々の製造方法で検討された。まずは、溶解鋳
造、溶解圧延、連続鋳造等の溶製技術により検討された
が、Si初晶の分散のみでは硬質アルマイト処理やNi
―Pメッキ等の表面処理無しで鉄系材料に置き替わるよ
うな摺動部材として使用に耐え得る耐摩耗性は実現しな
かった。
【0004】そこで、溶解鋳造法の凝固速度を改善する
ことにより、遷移元素の合金成分の添加量を増加させる
試みもなされたが、微細な金属間化合物として分散可能
な量には自ずと限界があり、強度・靱性を劣化させるこ
となく耐摩耗性に効果のあるようなFe系、Ni系、F
e―Ni系等のアルミナイドを微細に分散させ得る添加
量は、合計で4.0wt%程度が限界であり、これを越
える量を添加すると溶解鋳造法の凝固速度では粗大な晶
出物あるいは析出物が生成してしまい、強度が劣化して
しまう。また、Zr,Ti,Mo,Vの元素についても
上述の通り微量な添加によりマトリックスを微細析出物
で硬化し、耐摩耗性を一層改善するが溶解鋳造法の場合
はその添加量総計が1wt%を越えると強度を低下させ
てしまう。これらFe,Ni,Mo,Ti,Zr,V等
の元素は実操上、溶湯中の偏析等の問題から添加が難し
く、Siと同時に添加しても表面処理無しで鉄系材料に
置き換わるような耐摩耗性は実現しない。
【0005】そこで、粉末冶金法によって、急冷凝固さ
れたアルミニウム合金粉末を原料としてこれを固化する
ことで、溶解法では得られなかった高シリコン含有合金
や高遷移元素合金の製造を可能とし耐摩耗特性を改善す
る検討が行なわれてきた。このようなアルミニウム合金
系の高合金粉末を焼結させるには、合金粉末の表面にあ
る還元不可能な強固な酸化膜を如何に破り粉末同士の金
属接触部を形成させ金属原子の拡散を可能とさせるかが
ポイントであり、従来、この方法は大きく次の2つの方
法があった。
【0006】1つは、焼結助剤を混合する方法であり、
これはアルミニウムあるいはアルミニウム合金組成の融
点より低温側で共晶液相を発生する合金成分を有する粉
末を焼結助剤として原料に添加・混合して圧縮成形し、
さらに焼結工程の昇温過程中に成形体内に形成された焼
結助剤とアルミニウム粉末またはアルミニウム合金粉末
との金属接触部から共晶液相を発生させることで金属接
触部の拡大を図り焼結を進行させる方法である。
【0007】合金元素を10重量%以上含有するこのよ
うな焼結合金の製造方法としては、特公昭53―118
209号には共晶液相であるAl―11.7重量%Si
近傍の組成を有したAl―Si二元合金粉末に焼結助剤
として金属Si粉末と必要に応じて合金成分粉末を混合
してSiを合計で20〜50重量%含有した焼結体の製
造法が、また特公昭59―37339号にはAl―10
〜35重量%Si粉末にCu,Mg,Si成分を単組成
粉末あるいは合金組成粉末として添加配合する高Si含
有焼結体の製造方法が提案されているが、得られる焼結
体の耐摩耗性は目的の用途には使えるレベルではない。
【0008】もう一方の塑性加工を加える方法は、新し
い粉末冶金技術として近年になって開発されてきた方法
で、塑性変形により粉末同士を結合させる物理的な方法
である。粉末に強力な塑性加工を加えることで粉末を塑
性変形させ、粉末表面の酸化膜を破り、分断し、隣接粉
末粒子間をつなぎ金属接触部を生成させる。この方法で
は物理的手法で酸化膜を破るため焼結助剤は不要であ
る。塑性加工方法としては、ホットプレス法、粉末鍛造
法、粉末押出法、粉末圧延法等が用いられる。またこの
塑性加工による方法は比較的低い温度域で塑性加工処理
ができるため、急冷凝固の効果をある程度保持した高密
度合金を得ることができる。特開昭60―121203
号は、アルミニウム合金粉末を温度250〜550℃で
押出比4:1〜15:1にて押出する方法を提案してい
る。強力なせん断力でアルミニウム合金粉末を押し出す
ため、粉末表面の酸化膜が破れて隣接粉末同士の内部の
金属が結合することを特徴としている。
【0009】また、特開昭61―136602号にはア
ルミニウム合金粉末を加熱成形後にホットプレスする方
法が、さらに特開昭62―224602号には、焼結鍛
造法による製造法が提案されている。しかし、これらの
場合も得られた合金の硬さは200〜250MHv程度
が限界であり、耐摩耗性の点ではやはり表面処理無しで
鉄系材料に置換できる材料ではない。また、これらの粉
末冶金法による製造においては、焼結工程や塑性加工工
程前の加熱工程で高価な加熱設備を必要とし、また加熱
に多大なエネルギーを必要とする。
【0010】他に、従来から行なわれてきた溶解鋳造方
法や特開昭60―50138号のような粉末冶金方法に
よりセラミックス等の粒子や繊維を分散させた複合材料
化により耐摩耗性を改善する試みもなされたが、マトリ
ックス部の硬さが200MHv以下であり摺動時にマト
リックス部に凝着摩耗が発生するため実用に耐えない。
よって、現在は極めて負荷の小さい摺動材を除けば、ア
ルミニウム合金を摺動材に使用した場合、必ず一方に表
面処理、例えばNi―PメッキやCrNコーティング、
鉄溶射などが施されている。これらの処理法は高価であ
るばかりでなく、処理に当たっては表面部分を再度研磨
などの仕上げ加工を施す必要がある。むろん、使用中に
表面処理層が失われると材料としては直ちに信頼性を失
うなどの問題点がある。
【0011】そこで、本発明者は1993年5月21日
出願した特許『高硬度耐摩耗性アルミニウム粉末合金お
よびその製造方法』において所定の温度に保持された金
型内に急冷凝固アルミニウム合金粉末を直接給粉し、金
型からの熱伝導により瞬時に昇温して加圧圧縮すること
で粉末を成形固化する手法を提案し、その結果、ヤング
率が100GPa以上で且つビッカース硬度が350M
Hv以上であることを特徴とする高硬度耐摩耗性アルミ
ニウム粉末合金を開発した。しかしながら、摩擦摺動条
件や試料形状等によっては例えばコンプレッサー用ベー
ンのように摺動時に高負荷荷重が作用するような場合が
あり、高強度特性、特に曲げ強度が要求される。具体的
には600MPaを越えるような抗折強度が要求される
場合があるが、上記特許の製法により得られる耐摩耗性
アルミニウム合金部材では600MPaを越える抗折強
度を実現することは困難であった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、目的とす
る利用分野の用途に対し、摩耗防止目的の表面処理無し
で摺動に耐え得る鉄系材料並みの耐摩耗性を有し、しか
も高い抗折強度を有するアルミニウム粉末合金材料の製
造を、従来の粉末冶金製造方法に比べて極めて高い経済
性で実現せんとするものである。
【0013】
【作用】本発明者らは種々の実験・検討の結果、優れた
耐摩耗性を有するアルミニウム合金製摺動部材の製造方
法を開発した。その構成内容を以下に記す。 (1)ヤング率が100GPa以上で且つビッカース硬度
が350MHv以上でさらに抗折力が650MPa以上
であることを特徴とする高硬度耐摩耗性アルミニウム粉
末合金。 (2)一般式Al―a・Si―b・T―c・X―d・Cu
―e・Mg(但し、T;Fe,Niのどちらか一方また
は両方の元素、X;Ti,Cr,V,Mo,Zrの1種
または2種以上の元素であり、且つa,b,c,d,e
はそれぞれ重量%でa;5〜15%、b;5〜12%、
c;2〜6%、d;0.4〜8%、e;0.2〜4%で
あり、残部が実質的にアルミニウムおよび不可避的不純
物)なる組成であることを特徴とする上記(1)記載の高
硬度耐摩耗性アルミニウム粉末合金。 (3)前記組成からなるアルミニウム合金であって、 前記Si成分が粒径1μm以下のSi晶であり、 前記T成分がAlと粒子の最長径部で3μm以下のA
l―Fe,Al―Ni,Al―Fe―Ni系の金属間化
合物であり、 前記X成分が粒径1μm以下であり、これらの成分が
上記形態で素地中に均一に分散していることを特徴とす
る上記(2)記載の高硬度耐摩耗性アルミニウム粉末合
金。 (4)前記(2)記載の組成からなるアルミニウム粉末合金に
おいて、最大粒径20μm、平均粒径10μm以下であ
るような炭化物、酸化物、窒化物から選ばれた少なくと
も1種以上の硬質粒子が素地中に2〜40体積%均一に
分散することを特徴とする上記(2)(3)記載の高硬度耐摩
耗性アルミニウム粉末合金である。
【0014】(5)さらに、原料粉末である急冷凝固アル
ミニウム合金粉末或いは機械的粉砕再凝集処理アルミニ
ウム合金粉末を冷間成形もしくは300℃以下の温間成
形し、この粉末成形体を、内面温度を350℃〜550
℃に保持した金型(臼)に挿入し、これをどちらか一方
もしくは両方を350℃〜550℃に保持した上型(上
パンチ)と下型(下パンチ)により圧力4〜10t/c
2での3秒〜60秒間の加圧圧縮により真密度比97
%以上に熱間成形固化することを特徴とする上記(1)記
載の高硬度耐摩耗性アルミニウム粉末合金の製造方法。 (6)前記加圧圧縮による成形固化後に粉末固化体を30
0〜500℃に0.5〜4Hr加熱し、あるいはさらに
水冷後200℃以下で時効処理を施すことを特徴とする
上記(5)項記載の高硬度耐摩耗性アルミニウム粉末合金
の製造方法。 (7)原料である急冷凝固アルミニウム合金粉末或いは機
械的粉砕再凝集処理アルミニウム合金粉末は、一般式A
l―a・Si―b・T―c・X―d・Cu―e・Mg
(但し、T;Fe,Niのどちらか一方または両方の元
素、X;Ti,Cr,V,Mo,Zrの1種または2種
以上の元素であり、且つa,b,c,d,eはそれぞれ
重量%でa;5〜15%、b;5〜12%、c;2〜6
%、d;0.4〜8%、e;0.2〜4%であり、残部
が実質的にアルミニウムおよび不可避的不純物)なる組
成であることを特徴とする上記(5)(6)項記載の高硬度耐
摩耗性アルミニウム粉末合金の製造方法。 (8)原料粉末である急冷凝固アルミニウム合金粉末の凝
固速度は103℃/秒以上であり、且つ106℃/秒を越
えないことを特徴とする上記(5)乃至〜(7)項記載の高硬
度耐摩耗性アルミニウム粉末合金の製造方法。 (9)原料粉末である急冷凝固アルミニウム合金粉末は噴
霧法により製造された粉末であり、且つそれが最大粒径
150μm以下、平均粒径50μm以下であることを特
徴とする上記(5)乃至(8)項記載の高硬度耐摩耗性アルミ
ニウム粉末合金の製造方法。 (10)原料粉末である急冷凝固アルミニウム合金粉末或い
は機械的再凝集処理アルミニウム合金粉末は、そのまま
で或いは機械的な造粒処理や混合処理によりオリフィス
4mmφでの粉末の流動度が60秒/50g以下である
ことを特徴とする上記(5)乃至(9)項記載の高硬度耐摩耗
性アルミニウム粉末合金の製造方法。 (11)原料粉末である急冷凝固アルミニウム合金粉末或い
は機械的粉砕再凝集アルミニウム基複合粉末が、前記
(5)項記載の冷間成形もしくは温間成形での給粉前に3
00℃以下に加熱されていることを特徴とする上記(5)
乃至(10)項記載の高硬度耐摩耗性アルミニウム粉末合金
の製造方法。 (12)前記(7)項記載の組成を有する急冷凝固アルミニウ
ム合金粉末或いは機械的粉砕再凝集アルミニウム基複合
粉末において、前記(4)項記載の硬質粒子を添加・混合
した後、機械的粉砕・混合・再凝集法の組み合わせによ
りこれら粒子を素地中に均一に分散した急冷凝固アルミ
ニウム合金粉末或いは機械的粉砕再凝集アルミニウム基
複合粉末を使用することを特徴とする上記(7)乃至(11)
項記載の高硬度耐摩耗性アルミニウム粉末合金の製造方
法。 (13)前記(7)項記載の組成を有するアルミニウム合金溶
湯において、前記(4)項記載の硬質粒子を添加し、さら
に溶解鋳造法や誘導溶解法によりこれら粒子を溶湯中に
均一に分散させた後、噴霧法により作製した急冷凝固ア
ルミニウム合金粉末或いは機械的粉砕再凝集アルミニウ
ム基複合粉末を使用することを特徴とする上記(7)乃至
(11)項記載の高硬度耐摩耗性アルミニウム粉末合金の製
造方法である。 尚、上記の機械的粉砕・混合・再凝集法とは具体的には
メカニカルアロイング法、メカニカルグラインディング
法、造粒法を含む混合・粉砕手段を指す。
【0015】目的とする利用分野の用途に対し摩耗防止
目的の表面処理無しで摺動に耐え得る鉄系材料並みの耐
摩耗性を有するアルミニウム合金材料としては、摺動時
に凝着摩耗の発生を防ぐために鉄系材料や表面処理被膜
と同等の硬さをマトリックスに持たせる必要がある。こ
のような高い硬さを得るためには、硬度の高い粉末を原
料とする必要がある。アルミニウムをマトリックスとし
てビッカース硬度350MHv以上の硬さを実現するに
は、つぎの2つの手段がある。一つは、急冷凝固法であ
り、もう一つは機械的粉砕凝集法である。これらは粉末
に熱的に準安定或いは非平衡な析出物や晶出物を微細に
分散させて分散強化を図ったり、過飽和に合金成分を固
溶させて固溶強化を図ることで硬度を高める方法であ
る。
【0016】一方、粉末冶金プロセスにより高強度特性
を有した急冷凝固アルミニウム粉末合金部材を作製する
ためには粉末表面の酸化膜を破壊して新生面を露出さ
せ、そこでの粉末同士の強固な結合を実現させることに
ある。そのためには急冷凝固組織を損なうことなく、粉
末を塑性変形可能な温度域にまでできる限り短時間に昇
温させて加圧・圧縮により酸化皮膜を分断・破壊するこ
とが有効であり、それには粉末が加熱・昇温される状態
においてできる限り粉末同士近接することが望ましい。
ゆえに急冷凝固アルミニウム合金粉末を加熱する際にお
いては粉末の状態よりもむしろ粉末を仮成形したバルク
状態の方が熱伝導性に優れており、短時間昇温には有利
である。
【0017】つまり、本発明は、加熱された金型からの
熱伝達のみで挿入した粉末成型体を塑性変形が可能な温
度域に瞬時に昇温し加圧・圧縮により固化することで、
最小限の熱エネルギーの消費のみで、急冷凝固や機械的
粉砕再凝集処理により得られた準安定・非平衡な組織的
特徴を殆ど損なうこと無く、温間成形工程で製品のニア
ネット形状に固化させることを見いだした点が特徴であ
る。この結果、鉄系材料に近い熱膨張率を有する高硬度
なアルミニウム合金材料が実現し、極めて優れた耐摩耗
特性を有する摺動部部材が得られる。
【0018】本発明ではアルミニウム粉末合金の組成、
素地中の析出物、合金粉末特性および製造条件を限定し
ている。以下にこれら限定の意昧を説明する。
【0019】1.アルミニウム粉末合金の組成、素地中
の析出物、合金粉末特性
【0020】(1)アルミニウム粉末合金の組成・素地
中の析出物、 ここで用いる急冷凝固アルミニウム合金粉末或いは機械
的粉砕再凝集処理アルミニウム合金粉末は、一般式Al
―a・Si―b・T―c・X―d・Cu―e・Mg(但
し、T;Fe,Niのどちらか一方または両方の元素、
X;Ti,Cr,V,Mo,Zrの1種または2種以上
の元素であり、且つa,b,c,d,eはそれぞれ重量
%でa;5〜15%、b;5〜12%、c;2〜6%、
d;0.4〜8%、e;0.2〜4%であり、残部が実
質的にアルミニウムおよび不可避的不純物)なる組成で
ある。
【0021】[Siの添加]Siは硬質粒子の一種であ
ることから素地中に微細且つ均一に分散されることで固
化体の耐摩耗性および剛性を向上させる効果がある。そ
の添加量が5重量%よりも少ない場合には十分な効果は
得られない。また、固化体の強度・靱性の観点から分散
する初晶Siの粒径は1μm以下であることが望ましい
が、15重量%を越えて添加するとSi晶の粗大化によ
る固化体の強度・靱性の低下を誘発する。従って、Si
添加量は5〜15重量%であることが望ましい。
【0022】[Fe,Niの添加]FeおよびNiは微
細なアルミニウムとの準安定相・非平衡相を形成するこ
とで粉末固化体の耐熱性と剛性を向上させる効果があ
る。つまり、耐熱性を改善することで摺動時における相
手材との焼付きは大幅に抑制されることからFeやNi
の添加は必須である。そのためにはFe、Niのどちら
か一方もしくは両方の元素の添加量が5〜12重量%で
あることが望ましい。添加量が5重量%よりも少ない場
合には十分な耐熱性および剛性を得ることができず、粉
末固化体の耐焼付性が低下する。また、固化体の強度・
靱性の観点から分散するAl―Fe系、Al―Ni系、
Al−Fe―Ni系等の金属間化合物の大きさは3μm
以下、望ましくは1μm以下であり、しかも球状を呈し
ていることが必要であるが、12重量%を越えて添加し
た場合には上記の金属間化合物が針状化・粗大化するた
めに固化体の強度・靱性が低下するといった問題が生じ
る。
【0023】[Ti,Cr,V,Mo,Zrの添加]こ
れら高融点金属元素は熱的に安定であり、しかも硬質で
もあることから素地中に粒径1μm、望ましくは0.5
μm以下で且つ均一に分散することで固化体の耐熱性お
よび硬度を向上させる効果がある。そのためにはTi,
Cr,V,Mo,Zrから選ばれた1種または2種以上
の元素を2〜6重量%添加することが望ましい。添加量
が2重量%よりも少ない場合には上記のような効果が十
分に得ることが出来ない。また、6重量%を越えて添加
した場合、粉末固化体の脆化による強度低下といった問
題と共に噴霧する温度が高くなり、溶解時の電力消費量
の増加による経済性の問題が生じる。
【0024】[Mgの添加]本発明ではMgの添加が重
要である。Mgは噴霧時に形成された粉末表面の酸化膜
を固化する際に還元する働きがあり金属接触部を拡大し
焼結現象を促進させる。Mgの添加量が0.2重量%未
満であると上記のような効果が不十分になる。逆に4重
量%を越えると温度の影響を受け易くなり、素地の耐熱
性や硬度が低下する。従って、望ましいMg含有量は
0.2〜4重量%である。
【0025】[Cuの添加]本発明においてCuは粉末
固化体の耐食性を改善すると共にMgと共存すると温
度;300〜500℃にて時間0.5〜4Hrの溶体化
処理、さらに200℃以下での時効処理を施すことによ
り機械的特性を必要に応じて改善することができる。C
uの添加量が0.4重量%未満であると上記のような作
用効果が不十分になる。逆に8重量%を越えると使用環
境での温度の影響を受け易くなり、素地の耐熱性や硬度
が低下する。従って、望ましいCu含有量は0.4〜8
重量%である。
【0026】(2)噴霧粉末の急冷度(凝固速度) 本発明では噴霧粉末製造時のアルミニウム合金溶湯の凝
固速度が重要である。急冷凝固により原料粉末に上記の
ような準安定相や微細な析出物・晶出物を生成させたり
過飽和固溶させる。凝固速度が103℃/秒未満である
と析出相の粗大化により粉末固化体は脆化を生じ、その
結果著しい強度低下を招き、上述したような効果が不十
分になり、優れた耐摩耗性を有する高硬度アルミニウム
合金製摺動部材を製造することが困難となるため、凝固
速度は103℃/秒以上であることが必須である。但
し、106℃/秒を越える微細な急冷凝固粉末を歩留ま
り良く噴霧・回収することは困難であるといった経済上
の問題から噴霧粉末の凝固速度は106℃/秒を越えな
いことが望ましい。
【0027】(3)噴霧粉末の粒度 噴霧法により粉末を製造する場合、噴霧粉末の粒度と凝
固速度は密接な関係がある。つまり、噴霧粉末が微細で
ある程、その凝固速度(急冷度)は大きくなり、そのた
め粉末内には微細な準安定相・非平衡相や析出物・晶出
物が均一に分散し易くなり、その結果、粉末固化体の特
性は向上する。具体的には本発明における噴霧粉末で
は、その最大粒径は150μm以下、平均粒度は50μ
m以下であることが望ましい。噴霧粉末の最大粒度が1
50μmを越えたり、また平均粒度が50μmを越えた
りすると上述したような微細な析出物を得ることが困難
となり、その結果高硬度耐摩耗性アルミニウム粉末合金
を得ることが出来なくなる。
【0028】(4)噴霧粉末中の硬質粒子 特に機械的・物理的特性の改善が必要な場合は、微細硬
質粒子の均一分散によって改善することが出来る。分散
粒子としては、複合化することで熱膨張率・剛性・強度
・耐摩耗性等が改善できるものであればよく、焼結で分
解拡散もしくは凝縮成長しないことが望ましい。このた
めに選ばれる硬質粒子は以下のような炭化物、酸化物、
窒化物等である。 炭化物…アルミカーバイド,シリコンカーバイド,チ
タンカーバイド,ボロンカーバイド等 酸化物…アルミナ、シリカ、ムライト、酸化亜鉛等 窒化物…アルミナイトライド、窒化珪素、チタンナイ
トライド等
【0029】[分散粒子の粒径]粒子の大きさは重量な
因子である。マクロ的に見ると硬質粒子の分散による耐
摩耗性・強度の改善に際して、粒子の大きさは最大粒径
20μm以下、平均粒径10μm以下であることが望ま
しい。このような範囲を越えるような大きさの硬質粒子
の分散によっては上記のような効果を十分に得ることは
困難となる。一方、ミクロ的に見ると分散粒子により転
位の動きを止める働きを持たせる効果もある。この場合
は0.1〜1μm程度の細かい粒径のものが望ましい。
【0030】[分散粒子の量]上記の効果を得るために
は分散粒子の量は2〜40体積%とすることが望まし
い。2体積%未満の添加では十分な硬度・強度・剛性等
は得られず、一方40体積%を越えて添加すると逆に固
化体の靱性を低下させる。
【0031】[分散粒子の添加手段]分散粒子の添加手
段としては、原料粉末にこれら分散粒子を混合する混合
法が経済的かつ容易であり、物理的特性値の改善には効
果がある。しかし、単純な混合法では、分散させた粒子
が元々の粉末粒界にのみ存在し、粉末内に粒子を分散さ
せることができず、粒子分散による特性改善は図りにく
い。また、微細な粒子を分散する場合には粉末粒子間の
焼結結合を阻害するのでふさわしくない。この解決には
粉末粒子内に分散粒子を分散させることが有効であり、
その方法としては、つぎの2つの方法がある。
【0032】粉末製造時において分散粒子を含有させ
た溶湯を粉末化する方法。 これは粒子を添加した溶湯を急冷凝固法によって粉末化
する方法である。粉末化する前に粒子を添加するので粉
末の内部に粒子が分散する。粒子の偏析や凝集を防ぐた
め溶解鋳造法により予め製造した分散粒子を均一に含有
するインゴットを用いたり、溶湯中に分散粒子を添加し
て攪拌能力の高い誘導溶解したりする必要がある。 分散粒子を添加した混合粉末を機械的粉砕再凝集処理
する方法。 これは、急冷凝固粉末に、粒子を添加し機械的に粉砕し
再凝集する方法である。この機械的粉砕再凝集処理によ
ってアルミニウム合金粉末粒子中に添加粒子を微細均一
に一体化できる。また、処理中に炭化物、酸化物あるい
は窒化物は機械的粉砕再凝集処理により生成分散させる
ことも可能である。この処理は、従来のボールミル粉砕
や混合のような湿式法ではなく乾式で行なう。場合によ
ってPCA( Process Control Agent)としてステア
リン酸やアルコールなどを少量添加することで過度の凝
集を防ぐこともある。処理装置はアトライターや振動ミ
ル・遊星ミルが高速処理には適している。一方、ボール
ミルは、長時間処理が必要となるが雰囲気制御が容易で
あり、投入エネルギの設計さえ適切におこなえば比較的
経済性に優れている。
【0033】(製造条件) (1)噴霧粉末の冷間成形もしくは300℃以下での温
間成形、 [噴霧粉末の流動性]本発明における製法では先ず、噴
霧粉末を金型に給粉してニアネット形状に固化する。こ
れにより原料歩留まりの改善や加工費の削減といった経
済性の効果が期待できる。しかし、これを実現させるた
めには粉末に対する流れ性や充填性が要求される。噴霧
粉末の粒度が細かい場合、特に粉末の金型への流動性が
問題となる。具体的には本発明の製造方法が量産工程に
おいて経済的に問題なく摺動部材を生産可能とするため
には粉末の流れ性はオリフィス4mmφでの粉末の流動
度が60秒/50g以下であることが望ましい。但し、
使用する急冷凝固アルミニウム合金粉末或いは機械的粉
砕再凝集処理アルミニウム合金粉末がこの条件を満足し
ないような場合には粉末を機械的に造粒・混合処理する
ことで粉末の急冷度や物性を充分維持した状態で流動性
を改善することが望ましい。
【0034】[噴霧粉末の成形性・圧縮性]合金組成に
よっては噴霧したままの粉末では高硬度であるために金
型内に給粉し加圧により十分な成形性・圧縮性を確保す
るには粉末固化工程において高い成形圧力が必要となる
場合がある。そのために金型が摩耗・損傷し寿命が短く
なるといった経済性の問題が生じる。そこで、本発明に
おいては噴霧粉末の成形性や圧縮性を改善する必要があ
る場合に対しては粉末の特性を低下させない範囲での噴
霧粉末の型への給粉前の予熱処理が有効である。表1に
見るように予熱によりその常温での成形性は大きく改善
され、低い成形圧力によっても高い粉末成形体密度が得
られることが判る。
【0035】
【表1】
【0036】(予熱条件) 大気中にて220℃で24Hr保持。 大気中にて300℃で24Hr保持。 粉末の合金組成;Al―12Si―5Fe―6Ni―2
Cr―2Mo―3.5Cu―1Mg(重量%表示)。
【0037】種々の実験の結果、噴霧粉末が有する急冷
凝固の特性を損なうことなく、且つ成形性・圧縮性を改
善できるような具体的な条件として粉末温度が300℃
以下となるような条件下での温間成形を行うことが有効
であることを見いだした。これを実現させる手段として
は、 噴霧粉末を事前に余熱処理して粉末温度が300℃を
越えない程度に加熱することで粉末を軟化させた後に成
形する。 金型を加熱しておき、これに噴霧粉末を給粉して粉末
温度が300℃を越えない範囲にて成形する。 このような温間成形において噴霧粉末の温度が300℃
を越えるような場合、噴霧粉末中の微細な準安定相・非
平衡相等が相変換や粗大化を起こし、その結果著しい脆
化による強度低下を招く。尚、噴霧粉末を予熱・焼鈍す
る雰囲気に関して、雰囲気温度が250℃未満での処理
においては、大気中、窒素中、還元雰囲気中のいずれで
あってもよいが、250℃〜300℃での処理について
は噴霧粉末の酸化を抑制するといった観点から窒素もし
くは還元雰囲気中で行うことが望ましい。 (2)加熱された金型による熱間成形固化
【0038】[金型温度:350〜550℃]上述した
ように本発明による粉末固化法の特徴は高温に保持され
た金型からの熱伝達のみで金型内に挿入されたアルミニ
ウム合金粉末成形体を塑性変形可能な温度域に瞬時に昇
温し、粉末同士を結合・固化させることである。その結
果、粉末固化体の抗折力は650MHv以上を達成する
ことができる。これを実現させるためには粉末成形体と
接触する上型・下型のどちらか一方もしくは両方が35
0℃以上550℃以下であり、且つ臼の温度が350℃
以上550℃以下であることが必須となる。この温度条
件を満足しないような低い金型温度の場合には粉末を十
分に塑性変形させることができないために粉末同士の結
合力は小さく、その結果、加圧後の粉末固体化の強度・
靱性は著しく低下する。一方、金型温度が550℃を越
えるような場合、粉末の準安定相・非平衡相が損なわ
れ、また素地中に分散している析出物や晶出物が粗大化
するために、粉末固化体の硬さはビッカース硬度350
MHv以上の達成が不可能となり、その結果、耐摩耗性
は著しく低下し摺動部材として実用できなくなる。尚、
金型(上・下パンチおよび臼)の昇温方法としては各
部に加熱ヒーターを挿入する方式、高周波による直接
誘導加熱方式などが有効である。
【0039】[熱間固化圧力:4〜10t/cm2]上
述したように加熱された金型内の粉末成形体を塑性変形
させて粉末同士の強固な結合状態を確保するには圧縮時
の固化圧力は4t/cm2以上10t/cm2以下である
ことが必須である。圧力が4t/cm2よりも小さい場
合には粉末同士が十分強固に結合しないために粉末固化
体の強度が低下する。一方、圧力が10t/cm2を越
えてもさらなる強固な結合力は得られず、粉末固化体の
強度も飽和する。逆に、圧力が大きくなることで金型の
摩耗や型壁への粉末の焼付きが著しく進行するために金
型寿命が短くなるといった経済上の問題が生じる。
【0040】[加圧時間:3秒〜60秒]金型からの熱
伝達のみで挿入されたアルミニウム合金粉末成形体を塑
性変形可能な温度域に瞬時に昇温し、粉末同士を強固に
結合・固化するためには金型を上記の温度域に保持しな
がら上型・下型で加圧圧縮し、成形固化するためにはこ
の際の加圧時間は3秒〜60秒であることが必須とな
る。加圧時間が3秒よりも短い場合には粉末が十分に塑
性変形できる温度まで昇温させることができないために
粉末同士の結合力は小さくなり、その結果、加圧後の粉
末固化体の強度は著しく低下する。一方、加圧時間が6
0秒を越えるような場合、金型からの過剰な熱伝達によ
り粉末の準安定相・非平衡相が損なわれるため、粉末固
化体の硬さはビッカース硬度350MHv以上の達成が
不可能となり、その結果、耐摩耗性は著しく低下し摺動
部材として実用できなくなる。
【0041】[密度比:97%以上]上記の工程により
得られた粉末固化体が十分な強度・靱性を有し、また使
用環境下での雰囲気の影響を受けないためには固化体内
に存在する空孔は連結空孔であってはならず、つまり独
立空孔である必要がある。このためには固化体の密度比
は97%以上であることが必須となる。
【0042】
【実施例】
(実施例1) 常温においてアルミニウム合金粉末を図
2に示す粉末成形用金型により事前に成形し、この粉末
成形体9を図1に示す熱間成形固化用金型(図1で1,
2,3はそれぞれ上型,下型,臼である)内に挿入し、
加圧・圧縮することで40×15×5mmの板状の粉末
固化体4を作製した。ここでは、金型(上下パンチ、
臼)内にヒーター5を挿入することで昇温を行った。粉
末の固化条件は表2に示すように本発明例はNo.1〜1
6であり、比較例としてNo.17〜24の条件にて成形
固化した。尚、使用したアルミニウム合金粉末は103
〜106℃/秒の凝固速度を有する噴霧粉末であり、そ
の合金組成は表3内のNO.6である。
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】次に、このようにして得られた固化体の耐
摩耗性を評価すべく、共晶鋳鉄を相手材として図3に示
すようなピンオンディスクタイプの摩耗試験機により試
験を行った。試験条件に関しては相手材である共晶鋳鉄
をディスク材11(回転側形状105mmφ×5mm)
に用い、回転速度Vは10m/秒、ピン10(8mmφ
×15mm)側に付与する荷重P(図中矢印)は5kg
f/mm2と一定とし、また摩耗試験はATF油中にて
実施した。粉末固化体の物理的・機械的特性(熱膨張
率、ビッカース硬度および杭折力)と摩耗試験結果(粉
末固化体および相手材である共晶鋳鉄の摩耗量の測定結
果)を表4に示す。
【0046】
【表4】
【0047】本発明例1〜16では粉末固化体のビッカ
ース硬度は目標値の350MHvであり、かつ抗折力は
目標値の650MPaを十分に満足している。摩耗試験
結果においても粉末固化体自身および相手の共晶鋳鉄材
の摩耗損傷量も少ないことから、耐摩耗性と相手攻撃性
に優れている。一方、比較例1〜8に関して、 比較例1;上・下型の温度が低いために粉末同士が十分
に結合せず、固化体の強度が低下した結果、摩耗試験中
に固化体に割れ発生。 比較例2;上・下型の温度が低いために粉末同士が十分
に結合せず、固化体の強度が低下した結果、摩耗試験中
に固化体に割れ発生。 比較例3;臼の温度が低いために粉末同士が十分に結合
せず、固化体の強度が低下した結果、摩耗試験中に固化
体に割れ発生。 比較例4;加圧時間が短かったために粉末同士が十分に
結合せず、固化体の強度が低下した結果、摩耗試験中に
固化体の摺動面が部分的に欠損。 比較例5;長時間加熱により準安定相・析出相が粗大化
し、粉末固化体は脆化による強度低下を生じたために、
摩耗試験中に固化体の摺動面が部分的に欠損。 比較例6;長時間加熱により準安定相・析出相が粗大化
し、粉末固化体は脆化による強度低下を生じたために、
摩耗試験中に固化体の摺動面が部分的に欠損。 比較例7;固化面圧が低いために粉末同士が十分に結合
せず、固化体の強度が低下した結果、摩耗試験中に固化
体に割れ発生。 比較例8;固化圧力が高すぎたために粉末固化体が臼の
内壁と焼付きを生じるといった問題が発生。 比較例9;成形温度が高いために準安定相・析出相が粗
大化し、粉末固化体は脆化による強度低下を生じたため
に、摩耗試験中に固化体の摺動面が部分的に欠損。 比較例10;成形温度が高いために準安定相・析出相が
粗大化し、粉末固化体は脆化による強度低下を生じたた
めに、摩耗試験中に固化体の摺動面が部分的に欠損。
【0048】(実施例2) 常温においてアルミニウム
合金粉末を図2に示す粉末成形用金型により事前に成形
し、この粉末成形体を図1に示す熱間成形固化用金型
(上・下型および臼)内に挿入し、加圧・圧縮すること
で40×15×5mmの板状の粉末固化体を作製した。
ここでは、金型(上下パンチ、臼)内にヒーターを挿入
することで昇温を行った。噴霧粉末の合金組成、凝固速
度および噴霧後の粉末粒径(最大・平均)は表3に示す
とおりであり、本発明例はNo.1〜15で、比較としてN
o.16〜33の粉末を成形固化した。尚、粉末の固化条
件は表2内のNo.2を適用した。
【0049】次に、このようにして得られた固化体の耐
摩耗性を評価すべく、実施例1にて上述したと同様のピ
ンオンディスク摩耗試験により試験を行った。粉末固化
体の物理的・機械的特性(熱膨張率、ビッカース硬度お
よび抗折力)と摩耗試験結果(粉末固化体および相手材
である共晶鋳鉄の摩耗量の測定結果)を表5に示す。
【0050】
【表5】
【0051】本発明例1〜15では粉末固化体のビッカ
ース硬度は目標値の350MHvであり、かつ抗折力は
目標値の650MPaを十分に満足している。摩耗試験
結果においても粉末固化体自身および相手の共晶鋳鉄材
の摩耗損傷量も少ないことから、耐摩耗性と相手攻撃性
に優れている。一方、比較例1〜18に関して、 比較例1;Si添加量が0%であるために十分な剛性・
硬度が得られず、その結果耐摩耗性が著しく低下。 比較例2;Si添加量が4%と少ないために十分な剛性
・硬度が得られず、その結果耐摩耗性が著しく低下。 比較例3;Si添加量が17%と多いために粉末固化体
を脆化させ、その結果摩耗試験中に固化体に割れ発生。 比較例4;Si添加量が20%と多いために粉末固化体
を脆化させ、その結果摩耗試験中に固化体に割れ発生。 比較例5;FeおよびNiの合計添加量が4%と少ない
ために粉末固化体の十分な剛性・硬度が得られず、その
結果耐摩耗性が著しく低下。 比較例6;FeおよびNiの合計添加量が14%と多い
ために粉末固化体を脆化させ、その結果摩耗試験中に固
化体に割れ発生。 比較例7;高融点金属元素Xの添加量が0%であるため
に十分な硬度が得られず、その結果耐摩耗性が著しく低
下。 比較例8;高融点金属元素Xの合計添加量が1%である
ために十分な硬度が得られず、その結果耐摩耗性が著し
く低下。 比較例9;高融点金属元素Xの合計添加量が9%と多い
ために粉末固化体を脆化させ、その結果摩耗試験中に固
化体に割れ発生。 比較例10;高融点金属元素Xの合計添加量が8%と多
いために粉末固化体を脆化させ、その結果摩耗試験中に
固化体に割れ発生。 比較例11;Cu添加量が0%であるために十分な粉末
固化体の強度が得られず、その結果摩耗試験中に固化体
の摺動面が部分的に欠損。 比較例12;Mg添加量が0%であるために粉末同士が
十分に結合せず、そのために粉末固化体の強度が低下
し、摩耗試験中に固化体の摺動面が部分的に欠損 比較例13;噴霧粉末の平均粒径が90μmであり、そ
の凝固速度が103℃/秒よりも小さいために粉末内の
析出相・晶出相が粗大化し十分な硬度が得られず、その
結果耐摩耗性が著しく低下。 比較例14;噴霧粉末の最大粒径が250μmであり、
その凝固速度が103℃/秒よりも小さいために粉末内
の析出相・晶出相が粗大化し十分な硬度が得られず、そ
の結果耐摩耗性が著しく低下。 比較例15;硬質粒子の合計添加量が1容積%であるた
めに十分な剛性・硬度の向上効果が得られず、その結果
耐摩耗性のさらなる向上無し。 比較例16;硬質粒子の合計添加量が50容積%と多い
ために粉末固化体を脆化させ、その結果摩耗試験中に固
化体に割れ発生。 比較例17;硬質粒子の平均粒径が13μmであるため
に粉末固化体の脆化を招き、その結果粉末固化体の強度
低下による固化体の欠損発生。 比較例18;硬質粒子の最大粒径が35μmであるため
に粉末固化体の脆化を招き、その結果粉末固化体の強度
低下による固化体の欠損発生。
【0052】(実施例3) 表3中のNo.2の合金組成
を有した噴霧粉末を造粒法、混合法等の機械的粉砕・再
凝集処理により、表6に示すような流動度を有した粉末
を分類し、各々を図2中の粉末成形用金型(上・下型お
よび臼)を用いて臼内に給粉し、表2内のNo.2の粉末
成形条件にて39.8× 14.8× 7.5mmの板状
の成形体を作製した。その固化状況についても表6に示
す。
【0053】
【表6】
【0054】本発明例1〜3に関しては艮好な形状を有
した粉末固化体が得られた。一方、比較例1〜3に関し
てはそれぞれ流動性が十分でないために金型端部および
コーナー部への粉末充填が不十分となり、その結果金型
から離型後、粉末固化体のその部分が欠落・欠損し、良
好な形状が得られない。
【0055】
【発明の効果】本発明により物理的・機械的特性に優
れ、特に高硬度で且つ耐摩耗性に優れた高密度焼結アル
ミニウム合金を高い経済性で製造することが出来る。そ
の結果、従来の鉄製コンプレッサー部品のベーン、シュ
ー、サイドプレート等、自動車部品のオイルポンプロー
ター等、または、事務機器のローラー、ギヤ、軸受け等
の摺動部品に適用でき、軽量化・小型化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】粉末固化体の製造装置を示す正面図である。
【図2】粉末固化体の成形体の成形金型を示す正面図で
ある。
【図3】粉末固化体のピンオンディスク摩耗試験装置の
正面図である。
【符号の説明】 1:上型 2:下型 3:臼 4:粉末固化体 5:ヒーター 6:上型 7:下型 8:臼 9:粉末成形体 10:ピン 11:ディスク

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヤング率が100GPa以上で且つビッ
    カース硬度が350MHv以上で、さらに抗折力が65
    0MPa以上であることを特徴とする高硬度耐摩耗性ア
    ルミニウム粉末合金。
  2. 【請求項2】 一般式Al―a・Si―b・T―c・X
    ―d・Cu―e・Mg(但し、T;Fe,Niのどちら
    か一方または両方の元素、X;Ti,Cr,V,Mo,
    Zrの1種または2種以上の元素であり、且つa,b,
    c,d,eはそれぞれ重量%でa;5〜15%、b;5
    〜12%、c;2〜6%、d;0.4〜8%、e;0.
    2〜4%であり、残部が実質的にアルミニウムおよび不
    可避的不純物)なる組成であることを特徴とする請求項
    1記載の高硬度耐摩耗性アルミニウム粉末合金。
  3. 【請求項3】 前記請求項2記載の組成からなるアルミ
    ニウム粉末合金であって、前記Si成分が粒径1μm以
    下のSi晶であり、前記T成分がAlと最長径部で3μ
    m以下のAl―Fe,Al―Ni,Al―Fe―Ni系
    の金属間化合物であり、前記X成分が粒径1μm以下で
    あり、これらの成分が上記形態で素地中に均一に分散し
    ていることを特徴とする請求項2記載の高硬度耐摩耗性
    アルミニウム粉末合金。
  4. 【請求項4】 前記請求項2記載の組成からなるアルミ
    ニウム粉末合金において、最大粒径20μm、平均粒径
    10μm以下であるような炭化物、酸化物、窒化物から
    選ばれた少なくとも1種以上の硬質粒子が素地中に2〜
    40体積%均一に分散することを特徴とする請求項2ま
    たは請求項3記載の高硬度耐摩耗性アルミニウム粉末合
    金。
  5. 【請求項5】 原料粉末である急冷凝固アルミニウム合
    金粉末或いは機械的粉砕再凝集処理アルミニウム合金粉
    末を冷間成形もしくは300℃以下の温間成形し、この
    粉末成形体を内面温度を350℃〜550℃に保持した
    金型(臼)に挿入し、これをどちらか一方もしくは両方
    を350℃〜550℃に保持した上型(上パンチ)と下
    型(下パンチ)により圧力4〜10t/cm2での3秒
    〜60秒間の加圧圧縮により真密度比97%以上に熱間
    成形固化することを特徴とする請求項1記載の高硬度耐
    摩耗性アルミニウム粉末合金の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記請求項5における加圧圧縮による成
    形固化後に粉末固化体を300〜500℃に0.5〜4
    Hr加熱し、あるいはさらに水冷後200℃以下で時効
    処理を施すことを特徴とする請求項5記載の高硬度耐摩
    耗性アルミニウム粉末合金の製造方法。
  7. 【請求項7】 原料である急冷凝固アルミニウム合金粉
    末或いは機械的粉砕再凝集処理アルミニウム合金粉末
    は、一般式Al―a・Si―b・T―c・X―d・Cu
    ―e・Mg(但し、T;Fe,Niのどちらか一方また
    は両方の元素、X;Ti,Cr,V,Mo,Zrの1種
    または2種以上の元素であり、且つa,b,c,d,e
    はそれぞれ重量%でa;5〜15%、b;5〜12%、
    c;2〜6%、d;0.4〜8%、e;0.2〜4%で
    あり、残部が実質的にアルミニウムおよび不可避的不純
    物)なる組成であることを特徴とする請求項5または請
    求項6記載の高硬度耐摩耗性アルミニウム粉末合金の製
    造方法。
  8. 【請求項8】 原料粉末である急冷凝固アルミニウム合
    金粉末の凝固速度は103℃/秒以上であり、且つ106
    ℃/秒を越えないことを特徴とする請求項5または請求
    項6記載の高硬度耐摩耗性アルミニウム粉末合金の製造
    方法。
  9. 【請求項9】 原料粉末である急冷凝固アルミニウム合
    金粉末は噴霧法により製造された粉末であり、且つそれ
    が最大粒径150μm以下、平均粒径50μm以下であ
    ることを特徴とする請求項5乃至請求項8記載の高硬度
    耐摩耗性アルミニウム粉末合金の製造方法。
  10. 【請求項10】 原料粉末である急冷凝固アルミニウム
    合金粉末或いは機械的粉砕再凝集処理アルミニウム合金
    粉末は、そのままで或いは機械的な造粒処理や混合処理
    によりオリフィス4mmφでの粉末の流動度が60秒/
    50g以下であることを特徴とする請求項5乃至請求項
    9記載の高硬度耐摩耗性アルミニウム粉末合金の製造方
    法。
  11. 【請求項11】 原料粉末である急冷凝固アルミニウム
    合金粉末或いは機械的粉砕再凝集アルミニウム基複合粉
    末が、前記請求項5記載の冷間成形もしくは温間成形で
    の給粉前に300℃以下に加熱されていることを特徴と
    する請求項5乃至請求項10記載の高硬度耐摩耗性アル
    ミニウム粉末合金の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記請求項7記載の組成を有する急冷
    凝固アルミニウム合金粉末或いは同組成を有する機械的
    粉砕再凝集アルミニウム基複合粉末において、前記請求
    項4記載の硬質粒子を添加・混合した後、機械的粉砕・
    混合・再凝集法の組み合わせによりこれら粒子を素地中
    に均一に分散した急冷凝固アルミニウム合金粉末或いは
    機械的粉砕再凝集アルミニウム基複合粉末を使用するこ
    とを特徴とする請求項7乃至請求項11記載の高硬度耐
    摩耗性アルミニウム粉末合金の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記請求項7記載の組成を有するアル
    ミニウム合金溶湯において、前記請求項4記載の硬質粒
    子を添加し、さらに溶解鋳造法や誘導溶解法によりこれ
    ら粒子を溶湯中に均一に分散させた後、噴霧法により作
    製した急冷凝固アルミニウム合金粉末或いは機械的粉砕
    再凝集アルミニウム基複合粉末を使用することを特徴と
    する請求項7乃至請求項11記載の高硬度耐摩耗性アル
    ミニウム粉末合金の製造方法。
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JP5192117A Pending JPH0748601A (ja) 1993-08-03 1993-08-03 高硬度耐摩耗性アルミニウム粉末合金およびその製造方法

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005054529A1 (ja) * 2003-12-02 2005-06-16 Sumitomo Electric Sintered Alloy, Ltd. 耐熱・高靱性アルミニウム合金およびその製造方法ならびにエンジン部品
CN105483462A (zh) * 2015-12-17 2016-04-13 太仓市美斯门窗有限公司 一种高硬度铝合金

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