JPH0748706B2 - スペクトル拡散通信方式 - Google Patents

スペクトル拡散通信方式

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JPH0748706B2
JPH0748706B2 JP63092773A JP9277388A JPH0748706B2 JP H0748706 B2 JPH0748706 B2 JP H0748706B2 JP 63092773 A JP63092773 A JP 63092773A JP 9277388 A JP9277388 A JP 9277388A JP H0748706 B2 JPH0748706 B2 JP H0748706B2
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行信 石垣
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はスペクトル拡散通信方式に係り、特に、受信
(復調)側において、逆拡散用の擬似雑音を発生するた
めの拡散符号発生回路を不要としたスペクトル拡散通信
方式に関する。
〔技術的背景〕
スペクトル拡散通信方式とは、キャリアを情報信号にて
1次変調したものを広帯域の雑音状の拡散符号により2
次変調して、非常に広い帯域に拡散する方式である。一
般的には、2次変調方式の違いにより、直接拡散(DS)
方式,周波数ホッピング(FH)方式,ハイブリッド方式
等があり、本発明方式はこのうち前者のDS方式に関す
る。かかるスペクトル拡散通信には次のような多くの特
長がある。
秘匿性(秘話性)が非常に高い。
外部干渉や雑音,故意の妨害に強い。
従来システムと共存できる。
MCA局のような制御局や制御チャンネルが不要であ
る。
アドレスコードでの管理ができる。
DS(直接拡散)方式では電力密度が低いので、電波
が存在していないように見える(微弱な電力で送信でき
る)。
通話品位の低下を若干許容すれば局数を増加でき
る。
疑似雑音符号信号を変えることにより、同一周波数
帯域内に多重することが可能である。
これらのことが認識されて、現在では単に通信分野にと
どまらず各分野での応用が進んできており、民生機器へ
の展開も始められつつある。
〔従来の技術〕
第7図及び第8図を参照しながら、スペクトル拡散通信
の基本原理について説明する。第7図はDS方式による従
来のスペクトル拡散通信方式を実現する通信装置の基本
構成図、第8図は各構成部分におけるスペクトル波形図
である。第7図に示すように、送信側であるA局の1次
変調回路41にて1次変調された第8図(a)図示の如き
信号(F1)は、拡散符号生成回路39からの拡散符号信号
(FSS;同図(b)参照)により拡散変調回路42にて2
次変調されて、増幅された後アンテナA1より送信信号
(F1S)として出力される。1次変調の種類は特に制限
はなく、周波数変調(FM)やPSK(Phase Shift Keyin
g)等で良く(本明細書ではPSKにより変調を行なうもの
として説明する)、2次変調(拡散変調)は、一般的に
疑似雑音符号(Pseudo Noise:PN符号)によりPSK変調す
る。このPN符号はできる限りランダム雑音状で、且つ受
信機側で符号を取り出すために一定の周期を有している
必要がある。
次に、受信側の構成及び機能等について説明する。受信
側であるB局では、アンテナA2から所定のフィルタと高
周波増幅器により得られたF1S信号を、逆拡散回路44に
おいて拡散符号生成回路49からの拡散符号により逆拡散
する。この拡散符号生成回路49はA局の拡散符号生成回
路39と同期が取られており、PN符号も同一(FSS)であ
る。ところで、アンテナA2に入来する電波はF1Sだけと
は限らず、第8図(c)に示すように、他のSS局からの
電波(F2S′,F3S′…)と一般局からの電波(Fn)が存
在する。そこで、逆拡散回路44で逆拡散を施すことによ
り、同図(d)図示の如き所望の電波F1Sを同図(a)
のようなスペクトルに戻し、フィルタ(狭帯域波器が
望ましい)45にてF1S以外の成分の大部分を除去し(同
図(e)参照)、復調回路46にて元の情報信号に復調し
て出力するわけである。なお、同図(e)からわかるよ
うに、フィルタ45の出力信号中にはF1Sの他に干渉波のF
nと多局のSS波の一部が残っている。この残留電力(少
いほど良い)と目的信号の電力の比をDN比(信号電力対
干渉電力比)と呼んでおり、このDN比を大きく取るため
には拡散帯域ができる限り広い方が有利であり、一般的
に情報信号の周波数帯域の100〜1000倍程度にしてい
る。
以上、スペクトル拡散通信の基本的な原理について説明
したが、次にスペクトル拡散通信を行なう場合の1,2次
各変調・復調における具体的な動作について理論的に説
明する。スペクトル拡散通信におけるスペクトル拡散信
号S(t){第7図のF1S}は、情報データをd(t)
[+1又は−1],拡散符号FSSをP(t)[+1又は
−1],搬送波をcosωtとすると、次式で表わされ
る。
S(t)=d(t)P(t)cosωt ……(1) (但し、ω=2πf) このスペクトル拡散信号S(t)は、受信(復調)にお
いて、入来したスペクトル拡散信号より拡散符号用クロ
ック信号を生成し、更に送信時のスペクトル拡散信号に
おける拡散符号と同期した拡散符号P(t){実際には
若干の遅延の伴った である}を得て、入来したスペクトル拡散信号方式S
(t)との乗算{相関又は逆拡散とも言う}を行ない、
d(t)cosωtなる2相PSK信号に変換される。更
に、再生した搬送波cosωt{実際には との乗算による同期検波を行ない、 d(t)(cosωt)=1/2d(t)(1+cos2ωt) を得て、搬送波成分2ωtをフィルタで除去すること
により情報データd(t)が復調される。
ここで、2相PSK信号d(t)cosωtの帯域幅(スペ
クトルのメインローブ)をBDとし、拡散符号P(t)に
より拡散されたスペクトル拡散信号の帯域幅(スペクト
ルのメインローブとする)をBpとすれば、スペクトル拡
散通信におけるプロセスゲインGpは、 Gp=Bp/BD ……(2) で表わされる。プロセスゲインGpは、通常の設計値にお
いて数百〜数千の値であり、この値に従って妨害信号,
雑音等の抑圧が行なわれるため、情報データd(t)に
対してスペクトル拡散信号の周波数帯域が広いほど耐妨
害性,耐雑音性等における改善効果が高まる。即ち、改
善効果はプロセスゲインGpでほぼ一義的に定まる。
〔発明が解決しようとする課題〕
かかるスペクトル拡散通信方式では、「逆拡散」が最も
重要であり、これを行なうに必要な拡散符号の生成が容
易ではなく、現在では、AFC制御ループ,遅延ロックル
ープ及び乗算器による逆拡散法や、マッチドフィルタを
用いて同期ループと乗算器による逆拡散法が一般的に用
いられている。これらの構成による逆拡散は、いずれも
回路構成が複雑で、更には調整面やコスト面での問題も
あり、民生機器への展開に当ってはこれらの問題を解決
する必要がある。又、非常に広い周波数帯域を必要とす
るために、周波数帯域(又は電波)の有効活用の面で問
題があり、実際には使用できる周波数帯域が限られてし
まい、希望通りの設計が行ない難い等の欠点があった。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の通信方式は、変調側には,第1の搬送波と情報
信号とにより変調された1次変調波信号を入力信号とし
て第2の搬送波との加算信号を得る手段と,得られた加
算信号を拡散符号信号により拡散して変調拡散符号信号
とスペクトル拡散信号とが合成された複合スペクトル拡
散信号を得る手段とを備え、復調側には,上記複合スペ
クトル拡散信号を入力して上記変調拡散符号信号とスペ
クトル拡散信号とを分離検出する分離フィルタと,分離
検出されたスペクトル拡散信号における上記分離フィル
タの時間遅延分を除去する補償手段と,この補償手段に
より得られた補償スペクトル拡散信号と上記分離された
変調拡散符号信号とを入力して両信号の乗算により逆拡
散を行なう手段と,逆拡散により復調1次変調波信号を
得て出力する手段とを備えて通信することにより、上記
欠点を解消したものである。
〔実施例〕 本発明のスペクトル拡散通信方式は、上述のように、変
調時には逆拡散に使用する変調拡散符号信号を生成して
スペクトル拡散信号のスペクトル間に周波数間挿して送
出し、復調時にはスペクトル拡散信号と変調拡散符号信
号とを分離検出してから、スペクトル拡散信号中の遅延
成分を補償回路にて除去して後、上記変調拡散符号信号
との乗算による逆拡散を行い、得られた復調1次変調波
信号をフィルタで分離検出して出力するようにしてい
る。これにより、従来より逆拡散において必須の構成要
件であったクロック再生回路,ループで構成される同期
引込み回路及び同期保持回路,拡散符号発生回路49(第
7図参照)等が不要となり、更に上記補償回路により遅
延成分の除去が可能となって、歪の無いスペクトル拡散
信号による理想的な逆拡散を実現し得たものであり、以
下、本発明方式を実現し得る装置の1例を上げて、図面
を参照しながら説明する。
第1図は、本発明のスペクトル拡散通信方式を実現する
スペクトル拡散通信装置の第1実施例のブロック構成図
で、同図(A)が変調部(送信側)10,同図(B)が復
調部(受信側)20である。なお、この図においてはアン
テナ等構成の一部の図示を省略している。
変調部10は、LPF(低域波器)1,演算回路(加算器)
6,拡散符号発生回路(PNG)11,BPF(帯域波器)12及
び2つの乗算器2,3を備え、これらを第1図(A)図示
の如く接続して構成している。また復調部20は2つのBP
F13,14;遅延回路(DL)15,17;減算器21,22;及び加算器
7,乗算器4を備え、これらを第1図(B)図示の如く接
続して構成している。なお、遅延回路15,加算器7,及び
減算器21とで2種類の櫛歯形フィルタ18を構成してお
り、その周波数特性は第2図(A),(B)に夫々加算
特性及び減算特性として示す通りである。以下、具体的
な機能,動作について、第3図及び第4図の信号波形図
を併せ参照して説明する。
まず送信を行なう場合、変調部10の入力端子In1より情
報データd(t)をLPF1を介して乗算器2に供給し、こ
こで入力端子In2から供給されている第1の搬送波cosω
c1tと乗算して、第3図(A)の(イ)の如き1次変調
信号(2相PSK変調信号)d(t)cosωc1tを生成して
加算器6に供給する。また、入力端子In3より第2の搬
送波cosωc2t(同図(A)の(ロ))を加算器6に供
給し、ここで上記2相PSK信号との加算を行なって加算
信号d(t)cosωc1t+cosωc2tを作り、スペクトル
拡散を行なうための乗算器3に供給する。11は拡散符号
生成回路であり、ここでは入力端子In4より供給される
クロック信号SC(t)を基に拡散符号P(t)を生成し
ている。拡散符号としては、通常は疑似雑音符号がよく
用いられ、その中でもM系列符号がよく用いられるの
で、「擬似雑音符号」と呼ばれることもある。拡散符号
発生回路11にて生成された拡散符号P(t)は乗算器3
に供給され、ここで上記加算信号d(t)cosωc1t+c
osωc2tとの乗算(スペクトル拡散)が行なわれて、複
合スペクトル拡散信号P(t){d(t)cosωc1t+c
osωc2t}(以下「SM(t)」とも記す)となり(第3
図(B)参照)、BPF12にて複合スペクトル拡散信号の
メインローブのみが通過,伝送されて、出力端子Out1
り出力される。
ここで、(複合)スペクトル拡散信号の周波数スペクト
ルについて説明する。複合スペクトル拡散信号SM(t)
=P(t){d(t)cosωc1t+cosωc2t}は、P
(t)d(t)cosωc1tなるスペクトル拡散信号S
1(t)と、P(t)cosωc2tなる変調拡散符号信号S2
(t)とに分けられ、これらの周波数スペクトルを示す
と、SM(t)は第3図(B)で、スペクトル拡散信号S1
(t)は第3図(C)で、変調拡散符号信号S2(t)は
第3図(D)である。また、第3図(A)は1次変調信
号d(t)cosωc1tの周波数スペクトル(イ)と、第
2の搬送波cosωc2tの周波数スペクトル(ロ)を示す
図である。また第3図(E)は後述するように逆拡散出
力である復調2相PSK信号d(t)cos(ωc1‐ωc2)t
及びd(t)cos(ωc1+ωc2)tの周波数スペクトル
を示す図である。なお、−San+San,−Sb1〜+Sbnは夫
々(イ),(ロ)の側帯波の周波数スペクトルである。
ここで、拡散符号発生回路11に供給されるクロック信号
の1ビット時間長をT0とし、拡散符号発生回路11におい
てM系列符号を用い、そのM系列符号発生回路(図示せ
ず)にシフトレジスタを用いた場合、その段数をnとす
ると、拡散符号信号P(t)の1周期のチップ数(ビッ
ト数)は2n‐1であるから、P(t)の1周期の時間長
はT0(2n‐1)となる。
第9図は、クロック信号、拡散符号信号の一例を示す図
である。同図(A)はクロック信号を示し、その1ビッ
ト時間長がT0である。同図(B)は拡散符号信号P
(t)を示し、その1周期はT0(2n‐1)である。ま
た、後述するように遅延回路15における遅延時間TをP
(t)の1周期の時間長T0(2n‐1)と等しくしてい
る。
従って、拡散されている周波数スペクトルのスペクトル
間隔の、第3図(B)のスペクトル拡散信号のスペクト
ル間隔は、{(2n‐1)T0-1で、第3図(C)の変調
拡散符号信号のスペクトル間隔も、{(2n‐1)T0-1
である。この2つのスペクトルが周波数的に干渉しない
よう最適な配置で複合(加算)させるには、第3図
(A)のωc1とωc2の間隔を{2(2n‐1)T0-1にす
ればよく、この様にすればSM(t)は、第3図(B)に
示される様に等間隔で配置された周波数スペクトルとな
る。
第4図は、第3図(B)に示した複合スペクトル拡散信
号を更に広帯域で見た周波数スペクトルのメインローブ
を示した図である。第4図(a)は第3図(B)の+S
bnから更に高域側に存在する零点付近の位置、第4図
(b)は第3図(B)の−Sanから更に低域側に存在す
る零点付近の位置を示し、第4図(a),(b)間に存
在する複数のスペクトルのエンベロープを示した実線
(ハ)が複合スペクトル拡散信号のメインローブであ
る。また、第4図の点線はメインローブの両端に生じて
いるスペクトルのエンベロープであるサイドローブを示
している。
なお、第4図(a),(b)について更に詳細に説明す
る。第3図(c)の側帯波+Sanの高域側にはスペクト
ルの間隔と同様の間隔で零点が存在し、−Sanの低域側
にもスペクトルの間隔と同様の間隔で零点が存在する。
第3図(D)の側帯波+Sbn,−Sbnの両端にも同様の間
隔で零点が夫々存在し、これらを夫々+Sa0,−Sa0,+
Sb0,−Sb0とすると、第3図(B)の+Sbnの高域側に
は+Sa0と+Sb0とが存在し、−Sanの低域側には−Sa0
−Sb0とが存在する。第4図(a)は+Sa0と+Sb0の略
中間点、第4図(b)は−Sa0と−Sb0の略中間点として
いる。
次に、第1図(B)を参照して、復調部20の機能につい
て説明する。入力端子In5に入来した複合スペクトル拡
散信号SM(t)(第3図(B)参照)は、BPF13にて複
合スペクトル拡散信号以外の周波数成分を除去されて、
遅延回路15,加算器7,及び減算器21,22;の正入力端子に
供給される。更に、遅延回路15の出力を加算器7及び減
算器21の負入力端子に供給する構成とすることにより、
遅延回路15,加算器7及び減算器21とで加算特性及び減
算特性(夫々第2図(A),(B)参照)を有する櫛歯
形フィルタ18が形成されている。いま、遅延回路15にお
ける遅延時間をT(=1/F)とすると、加算の場合は第
2図(A)に示すように、1/T,2/T,3/T,…,N/T(Nは自
然数)の周波数の箇所で利得が2倍となり、それらの各
中間の周波数では出力は0となって急峻なディップが出
来る。櫛歯形フィルタ18の加算器7を含む加算部の伝達
特性を説明する。第1図において、例えば櫛歯形フィル
タ18の入力をf(t),加算器の出力をg(t),遅延
回路15の遅延時間をT、とすると、 g(t)=f(t)+f(t−T) フーリエ変換対として、f(t)とF(ω),g(t)と
G(ω)の関係から、 G(ω)=F(ω)+F(ω)e−jωT =F(ω)(1+e−jωT) 従って、加算部の伝達関数H(ω)は、 H(ω)=G(ω)/F(ω) =e−jωT/2(ejωT/2+e−jωT/2) =2e−jωT/2cos ωT/2 となり、この出力特性は、 |H(ω)|=2|cos ωT/2|で表わせる。
第2図(A)は、この特性を横軸に周波数f(f=ω/2
π),縦軸に出力を取って図示したものである。
減算の場合は逆に同図(B)に示すように、1/T,2/T,3/
T,…,N/Tの周波数の所で谷(利得が0)となり、それら
の各中間の周波数では利得が2倍となる。
櫛歯形フィルタ18の減算器21を含む減算部の伝達特性を
説明する。加算部と同様に第1図において、例えば減算
器の出力をg1(t)とすると、 g1(t)=f(t)−f(t−T) フーリエ変換対として、f(t)とF(ω),g1(t)
とG1(ω)の関係から、 G1(ω)=F(ω)−F(ω)e−jωT =F(ω)(1-e−jωT) 従って、減算部の伝達関数H1(ω)は、 H1(ω)=G1(ω)/F(ω) =e−jωT/2(ejωT/2−e−jωT/2) =2je−jωT/2sin ωT/2 となり、この出力特性は |H1(ω)|=2|sin ωT/2|で表わせる。
第2図(B)は、この特性を横軸に周波数f(f=ω/2
π),縦軸に出力を取って図示したものである。
つまり、第2図(A)と第2図(B)とを比較すると周
期が等しく、山と谷とが逆転している。
従って、これらの谷の間隔1/Tをスペクトル拡散信号S2
(t)の周波数スペクトル間隔={(2n‐1)T0-1
同じくして、例えば第2図(A)の谷と、S2(t)の周
波数スペクトルとを合わせれば、複合スペクトル拡散信
号SM(t)におけるS2(t)を除去し、加算部からはS1
(t)のみが出力され、それと共に、減算部ではS
1(t)を除去してS2(t)のみが出力される。
第10図は、この様子を周波数軸上で示した図である。同
図(a)は第3図(B)に示した複合スペクトル拡散信
号SM(t)を示し、第10図(B)は櫛歯形フィルタ18の
加算部の周波数特性を示し、同図(c)は櫛歯形フィル
タ18の加算部の出力を示し、同図(d)は櫛歯形フィル
タ18の減算部の周波数特性を示し、同図(e)は櫛歯形
フィルタ18の減算部の出力を示す。同図(e)のkは後
述するクロストーク成分である。
このようにして、櫛歯形フィルタ18により、S1(t)と
S2(t)との分離検出が行われる。
従って、加算器7の出力周波数はP(t)d(t)cos
ωc1t(以下「S1(t)」とも記載する;第3図(C)
参照)となり、減算器21の出力信号はP(t)cosωc2
t(以下「S2(t)」とも記載する;同図(D)参照)
となる。なお、櫛歯形フィルタ18の具体的な分離動作に
ついては後述するが、ここでは遅延回路15による複合ス
ペクトル拡散信号SM(t)の遅延分の表現は、説明の便
宜上省略した。
叙上の如き原理により分離検出された加算出力信号S
1(t)は、次段の補償回路19に供給され、ここでS
1(t)中の遅延成分を除去された後次段の乗算器4に
供給され、ここでS2(t)との乗算による逆拡散が行な
われて、逆拡散出力信号Sp(t)を生成する。この逆拡
散により拡散符号信号P(t)は直流となって、変調時
と等価な復調2相PSK信号d(t)cos(ωc1‐ωc2)t
及びd(t)cos(ωc1+ωc2)t(夫々第3図(E)
の(ニ)と(ホ)である)が得られる。これらの出力信
号をBPF14にて不要な周波数成分を除去した後、出力端
子Out2より2相PSK信号d(t)cos(ωc1+ωc2)tを
出力している。ここでの2相PSK信号は、変調側の2相P
SK信号よりもωc2だけ高い角周波数となっているが、本
質的な変化ではない。また、説明の便宜上、微小なクロ
ストーク成分は省略した。なお、補償回路19は減算回路
22と遅延回路17とで構成されるが、この遅延回路17の遅
延特性は前記遅延回路15と全く同じ特性に構成されるこ
とが肝要である。
ここで、複合スペクトル拡散信号SM(t)の分離検出動
作(櫛歯形フィルタ18の動作)について説明する。第1
図(B)の遅延回路15より出力される複合スペクトル拡
散信号SM(t−T)は、 SM(t−T)=P(t−T){d(t−T)cosωc1(t−T)} +cosωc2(t−T) ……(3) となる。ここで前提条件として、P(t)の周期と遅延
時間Tを等しくし、cosωc1tはP(t)の周期で同
相,同レベルで繰返す連続波、cosωc2tはP(t)の
周期で逆相,同レベルで繰返す連続波とすれば、SM(t
−T)は SM(t−T)=P(t){d(t−T)cosωc1t −cosωc2t} ……(4) となる。従って、加算出力SM(t)+SM(t−T){=
S1(t)}は、 S1(t)={d(t)+d(t−T)}P(t)cosωc1t ……(5) となる。一方、減算出力SM(t)‐SM(t−T){=S2
(t)}は、 S2(t)=2P(t)cosωc2t +{d(t)−d(t−T)}P(t)cosωc1t ……(6) となる。なお、第(6)式中の{d(t)−d(t−
T)}P(t)cosωc1tは櫛歯形フィルタ18で分離不
可能なクロストーク成分であるが、情報信号d(t)の
1チップ時間長に比してP(t)の1周期時間が短けれ
ば、{d(t)−d(t−T)}成分は非常に小さな値
となり、省略が可能となる。従って、第6式は近似的に
次のように表わせる。
S2(t)≒2P(t)cosωc2t ……(7) 次に、補償回路19の動作説明をする。補償回路19は加算
器7の出力を入力し、加算器7の出力から遅延回路15に
よる影響を改善すべく遅延成分を除去するものである。
第1図の櫛歯形フィルタ18の加算部の伝達関数H(ω)
は上記したように H(ω)=1+e−jωT ここで、例えば補償回路19の入力をf2(t),出力をg2
(t),遅延回路17の遅延時間をT(遅延回路15の遅延
特性と同じ特性に構成されている)、帰還レベルを1と
すると、 g2(t)=f2(t)−g2(t−T) よって、フーリエ変換により、 G2(ω)+G2(ω)e−jωT=F2(ω) G2(ω)=F2(ω)/(1+e−jωT) 従って、この伝達関数H2(ω)は H2(ω)=1/(1+e−jωT) ところで、H(ω)×H2(ω)=1となるから、櫛歯形
フィルタ18の加算器7の出力に補償回路19を接続する
と、遅延成分は除去されることが分かる。ところで実際
の回路で、遅延回路17からの帰還レベルを1とすれば理
想的に遅延成分は除去される反面、前段の櫛歯形フィル
タ18の加算部は当然機能しないことになる。よって、前
段の櫛歯フィルタ18の機能を損なうことなく遅延回路15
による遅延成分を小さくするために上記帰還レベルを1
以下とするのは当然のことである。
よってS1(t)の遅延成分d(t−T)P(t)cosω
c1tは非常に小さな値となって省略可能となり、次段の
乗算器4に供給されて、S2(t)との乗算による逆拡散
が行なわれ、逆拡散出力信号SP(t)が得られる。
次に、逆拡散動作について、第1図(B)の構成に従っ
て具体的に説明する。乗算器4の出力には逆拡散(復調
2相PSK)信号Sp(t)が得られる。即ち、 Sp(t)=S2(t)×d(t)P(t)cosωc1t ={P(t)}d(t){cos(ωc1‐ωc2)t +cos(ωc1+ωc2)}t ……(9) となる。なお、上式(9)中の{P(t)}は近似的
に直流となる。かかる信号をBPF14にて和の成分のみ通
過,伝送させることにより、出力端子Out2には復調1次
変調波信号(復調2相PSK信号) Sd(t)=d(t)cos(ωc1+ωc2)t ……(10) {第3図(E)の(ホ)}が出力されるわけである。
次に、本発明の通信方式を実現し得る装置の復調部の第
2実施例について、第5図の回路ブロック図を参照しな
がら説明する。第5図は復調部のブロック構成図であ
り、これらの図において、第1図(B)に示した第1実
施例と同一構成箇所には同一番号を付してその詳細な説
明を省略する。第5図から明らかなように、復調部30
は、複合スペクトル拡散信号SM(t)を変調拡散符号信
号とスペクトル拡散信号とに分離検出する手段として櫛
歯形分離フィルタ24を備えている。この櫛歯形分離フィ
ルタ(以下単に「フィルタ」とも記す)24は、2つの遅
延回路(DL)15,16;加算器8,9;及び減算器23,それに利
得調整回路25を備え、これらを第5図示の如く接続して
構成している。このフィルタ24の各伝送線路の伝送利得
を1とし、利得調整回路25の伝送利得を1/2とすると、
加算器8及び減算器23の出力特性は、夫々第6図(A)
及び(B)に示すスペクトル(周波数特性)となる。ま
た、遅延回路16の遅延特性は遅延回路15と同じ遅延特性
になるように構成されている。ここで、櫛歯形フィルタ
24の特性について説明する。加算器8の出力は第1図の
加算器8と同様なので省略する。遅延回路15の入力をf3
(t),減算器23の出力をg3(t),利得調整回路25の
伝送利得を1/2とすると、 g3(t)=1/2{f3(t)+f3(t-2T)} −f3(t−T) よって、フーリエ変換により、 G3(ω)=1/2{F3(ω)+F3(ω) ×e−j2ωT}−F3(ω)e−jωT =F3(ω)/2(1+e−j2ωT‐2e−jωT) H3(ω)=G3(ω)/F3(ω) =1/2(1+e−j2ωT‐2e−jωT) =e−jωT/2{(ejωT+e−jωT)−2} =−e−jωT(1-cos ωT) よって、出力特性は、 |H3(ω)|=|1-cos ωT| となり、第6図(B)のような出力特性を示す。これと
第2図(B)の出力特性とを比較すると、第2図(B)
で生じていた谷の部分の急峻なディップが第6図(B)
では滑らかになっている。従って、このディップで除去
されるS1(t)の成分は増大し、減算器23の出力信号、
即ち変調拡散符号信号S2(t)に付加される、クロスト
ーク成分は更に微小な値となる。
かかる構成の復調部30の復調動作について、第3図の周
波数スペクトル図を併せ参照しながら説明する。入力端
子In5に入来した第3図(B)の如き複合スペクトル拡
散信号SM(t)は、BPF13にてスペクトル拡散信号以外
の周波数成分を除去されて、遅延回路15及び加算器8,9
の一方の入力端子に供給される。遅延回路15にて遅延時
間T{=(2n‐1)T0}が付加された遅延複合スペクト
ル拡散信号SM(t−T)は、遅延回路15と同じ遅延特性
を有する遅延回路16と、加算器8の他方の入力端子,及
び減算器23の負入力端子に供給される。その結果、加算
器8からは前記スペクトル拡散信号P(t)d(t)co
c1tが分離検出され、上記減算器からは変調拡散符
号信号P(t)cosωc2tが分離検出される。これら分
離検出され両信号を加算器4に供給し、ここで乗算する
ことにより逆拡散を行なって逆拡散出力(2つの2相PS
K信号)を生成した後、BPF14を介することにより、これ
ら2つの2相PSK信号のうち一方のみを出力端子Out2
り出力するものである。
ここで、櫛歯形分離フィルタ24の動作原理について、第
5図の実施例に即して説明する。BPF13より出力される
複合スペクトル拡散信号SM(t)は、 SM(t)=P(t){d(t)cosωc1t +cosωc2t} ……(11) なので、遅延回路15からの出力信号SM(t−T)は、 SM(t−T)=P(t−T){d(t−T)cosωc1(t−T) +cosωc2(t−T)} ……(12) となる。ここで、前提条件として、P(t)の周期と遅
延時間Tを等しくし、cosωc1tはP(t)の周期で同
相,同レベルで繰返す連続波、cosωc2tはP(t)の
周期で逆相,同レベルで繰返す連続波とすれば、SM(t
−T)は SM(t−T)=P(t){d(t−T)cosωc1t −cosωc2t} ……(13) となる。同様に遅延回路16からの出力信号SM(t-2T)
は、 SM(t-2T)=P(t){d(t-2T)cosωc1t +cosωc2t ……(14) となる。故に加算器8の出力SM(t)+SM(t−T)
は、 SM(t)+SM(t−T)={d(t) +d(t−T)}P(t)cosωc1t ……(15) となり、加算器9の出力SM(t)+SM(t-2T)は、 SM(t)+SM(t-2T)=2P(t)cosωc2t +{d(t)+d(t-2T)}P(t)cosωc1t ……(16) となる。ここで、利得調整器25の伝送利得を1/2とする
と、その出力は、 1/2{SM(t)+SM(t-2T)}=P(t)cosωc2t +1/2P(t){d(t)+d(t-2T)}cosωc1t ……(17) となって減算器23の正入力端子に供給される。一方、負
入力端子には遅延回路15から第(13)式の如き出力信号
SM(t−T)が供給されているので、減算器23の出力
は、 1/2{SM(t)+SM(t-2T)}−SM(t−T) =2P(t)cosωc2t+1/2P{d(t)+d(t-2T) −2d(t−T)}P(t)cosωc1t ……(18) となって乗算器4に供給される。前述の通り、減算器23
の出力信号,すなわち変調拡散符号信号2P(t)cosω
c2tに付加されるクロストーク成分1/2{d(t)+d
(t-2T)−2d(t−T)}P(t)cosωc1tは微小な
値となり、実用上省略可能となるが、以下の計算は一応
省略しないで行なうことにする。乗算器4には加算器8
からの出力SM(t)+SM(t−T)も供給されているの
で、両信号の乗算による逆拡散が行なわれて、次のよう
な逆拡散出力信号Sp(t)が得られる。
ここで、{P(t)},{d(t)},{d(t−
T)}は略1であり、(cosωc1t)における直流
分を省略して整理すると、逆拡散出力信号Sp(t)は近
似的に次のように表わせる。
更に、第20式中の右辺第2項〜第4項はかなり小さな値
となるので、逆拡散出力信号Sp(t)は次のように表現
しても差支えない。即ち、 Sp(t)≒2{d(t)+d(t−T)} ×cosωc1t・cosωc2t ……(21) かかる信号を適当な通過周波数帯域を有するBPF14にて
不要な周波数成分を除去することにより、出力端子Out2
には1次変調信号と近似的に等しい復調2相PSK信号 Sd(t)={d(t)+d(t−T)} ×cos(ωc1+ωc2)t ……(22) が出力されるわけである。なお、説明の便宜上、微小な
クロストーク成分は省略した。
〔効果〕
本発明のスペクトル拡散通信方式は以上のようにして通
信するので、次のような特長を有する。
従来方式で必須の構成要件であったクロック再生回
路,拡散符号発生回路,ループで構成される同期引込み
回路及び同期保持回路等が不要となったので、回路構成
をかなり簡素化でき、コストの大幅な低減が図れるた
め、民生機器への展開が非常に容易になった。
同期引込み回路及び同期保持回路等が不要となった
ことにより、従来方式における同期引込み時間がかかる
という欠点や、同期が外れる等の問題から開放され、ス
ペクトル拡散通信方式の動作の安定化に寄与できる。
情報信号としてアナログ信号を用い、それを周波数
変調したものを1次変調波信号とする場合には、遅延成
分の付加による干渉歪(FMマルチパス歪と同じもの)が
生じるが、櫛歯形フィルタの出力信号における遅延成分
を除去する補償手段を講じたことにより、かかる干渉歪
の発生を防止できる。又、情報信号としてデータを用い
た場合には、データのアイパターンが改善されて、誤り
特性が改善できる。
復調部に第5図示の櫛歯形分離フィルタを用いた場合
には、変調拡散符号信号の分離検出性能が大幅に向上
し、逆拡散動作が一層良好に行なえるようになった。
【図面の簡単な説明】
第1図(A),(B)は本発明のスペクトル拡散通信方
式を実現する第1実施例の夫々変調部及び復調部のブロ
ック構成図、第2図(A),(B)は櫛歯形フィルタの
周波数特性図、第3図(A)〜(E)は第1及び第2実
施例の各構成部分の動作説明用周波数スペクトル図、第
4図はスペクトル拡散信号波形図、第5図は本発明方式
を実現する第2実施例の復調部のブロック構成図、第6
図(A),(B)は第2実施例の主要部である櫛歯形分
離フィルタの周波数特性図、第7図は従来のスペクトル
拡散通信方式を実現する通信装置の基本ブロック構成
図、第8図は第7図示のブロック図の各構成部分におけ
るスペクトル波形図である。第9図はクロック信号、拡
散符号信号の一例を示す図、第10図は第1実施例の櫛歯
形フィルタの動作説明用の周波数スペクトル図である。 1……LPF(低域波器)、2〜4……演算回路(乗算
器)、6〜9……加算器、10……変調部、11……拡散符
号発生回路、12〜14……BPF(帯域波器)、15〜17…
…遅延回路、18……櫛歯形フィルタ、19……補償回路、
20,30……復調部、21〜23……減算器、24……櫛歯形分
離フィルタ、25……利得調整回路、In1〜In5……入力端
子、Out1〜Out2……出力端子。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】変調側には、拡散符号信号の周期で同相、
    同レベルで繰り返す第1の搬送波と情報信号とにより変
    調された1次変調波信号を入力信号として、拡散符号信
    号の周期で逆相、同レベルで繰り返す第2の搬送波との
    加算信号を得る手段と、該得られた加算信号を拡散符号
    信号により拡散して変調拡散符号信号とスペクトル拡散
    信号とが合成された複合スペクトル拡散信号を得る手段
    とを備え、復調側には、上記複合スペクトル拡散信号を
    入力して上記変調拡散符号信号とスペクトル拡散信号と
    を分離検出する分離フィルタと、該分離検出されたスペ
    クトル拡散信号における上記分離フィルタの時間遅延分
    を除去する補償手段と、該補償手段により得られた補償
    スペクトル拡散信号と上記分離された変調拡散符号信号
    とを入力して両信号の乗算により逆拡散を行なう手段
    と、該逆拡散により復調1次変調波信号を得て出力する
    手段とを備えて通信することを特徴とするスペクトル拡
    散通信方式。
  2. 【請求項2】変調側には、拡散符号信号の周期で同相、
    同レベルで繰り返す第1の搬送波と情報信号とにより変
    調された1次変調波信号を入力信号として、拡散符号信
    号の周期で逆相、同レベルで繰り返す第2の搬送波との
    加算信号を得る手段と、該得られた加算信号を拡散符号
    信号により拡散して、変調拡散符号信号とスペクトル拡
    散信号とが合成された複合スペクトル拡散信号を得る手
    段とを備え、復調側には、上記複合スペクトル拡散信号
    を入力して、上記変調拡散符号信号とスペクトル拡散信
    号とを分離検出する分離フィルタと、該分離検出された
    両信号を乗算することにより逆拡散を行なって復調1次
    変調波信号を生成して出力する手段とを備えて通信する
    ようにしたスペクトル拡散通信方式において、該分離フ
    ィルタを、上記複合スペクトル拡散信号を入力して所定
    の遅延時間を付与する第1の遅延回路と、該第1の遅延
    回路の出力信号を入力して同一遅延時間を付与する第2
    の遅延回路と、該第1の遅延回路の出力信号と上記複合
    スペクトル拡散信号とを加算する第1の加算器と、上記
    第2の遅延回路の出力信号と上記複合スペクトル拡散信
    号とを加算する第2の1加算器と、該第2の加算器の出
    力レベルを調整する利得調整回路と、該利得調整回路の
    出力より該第1の遅延回路との出力を減算する減算器と
    を備えて構成することにより、上記第1の加算器より上
    記スペクトル拡散符号信号を出力し、上記減算器より上
    記変調拡散符号信号を出力して分離検出するようにした
    ことを特徴とするスペクトル拡散通信方式。
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