JPH0753760B2 - 鶏卵抗体結合不溶性担体及びそれを用いた物質の精製方法 - Google Patents

鶏卵抗体結合不溶性担体及びそれを用いた物質の精製方法

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JPH0753760B2
JPH0753760B2 JP22306090A JP22306090A JPH0753760B2 JP H0753760 B2 JPH0753760 B2 JP H0753760B2 JP 22306090 A JP22306090 A JP 22306090A JP 22306090 A JP22306090 A JP 22306090A JP H0753760 B2 JPH0753760 B2 JP H0753760B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はアフィニティクロマトグラフィーにおいて用い
られる不溶性担体に、リガンドとして鶏卵抗体を結合さ
せた鶏卵抗体結合不溶性担体及びそれを用いた物質の精
製方法に関する。
〔従来の技術〕
従来より、タンパク質の精製方法には、イオン交換クロ
マトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、アフィニ
ティクロマトグラフィー、ゲル濾過等種々の方法が知ら
れており、それぞれ目的物質の特性に従って、これらの
方法の単独又は2以上の組合せにより精製がなされてい
る。
これらの精製方法の中でもアフィニティクロマトグラフ
ィーは、高純度に精製する手段として有効なものとして
利用されている。
アフィニティクロマトグラフィーは、相互に生物学的に
高い特異的親和性を有する2種類の物質の一方を固定相
として用い、その固定相に対する親和性の差を利用し
て、目的物質と不純物とを分離するクロマトグラフィー
である。例えば、酵素と基質、抗原と抗体、ホルモンと
受容体、レクチンと多糖類などの間に働く特異的相互作
用を利用して、相互作用を有する物質の一方を不溶性担
体に共有結合させたものをクロマトグラフィー用固定相
とし、他方の物質をカラムの通過中に捕捉して吸着さ
せ、次いで溶出処理により目的とする他方の物質を純化
する方法である。
アフィニティクロマトグラフィーのリガンドとしては、
種々のものが知られているが、例えばProtein Aを不溶
性担体に結合したものや、抗体を用いたイムノアフィニ
ティクロマトグラフィーでは、リガンドとしてウサギIg
G、ヤギIgG、マウスのモノクローナル抗体等が一般的に
用いられている。
〔発明が解決しようとする課題〕
アフィニティクロマトグラフィーは前記の如く親和性の
差を利用するものであるので、固定相に結合させたリガ
ンドと吸着される目的物質との間にある程度の結合力が
要求される。
しかし、この結合力が強すぎると、次いでなされる溶出
処理における条件がきびしくなるという問題がある。即
ち、溶出処理は通常pHの変化を利用して抗体と抗原の結
合力を弱めることにより行なう。従って、溶出条件とし
ては目的物質が変性しないpH条件が望ましく、通常タン
パク質及びウイルス等は、アルカリ性下で変性を受けや
すい為、pHを酸性に変化させる目的物質の溶出が好まれ
ている。しかしながら一般的に抗原抗体反応は、非常に
強固な結合である為pH2.0以下の溶出条件を用いないと
目的物質の溶出が不可能なことが多い。例えばウサギIg
G、ヤギIgGをリガンドとしたイムノアフィニティクロマ
トグラフィーでは、通常pH2.0以下の溶出条件が用いら
れる。しかし、このような溶出条件で溶出すると吸着さ
れた目的タンパク質までが変性するという問題があるた
め、リガンドとしてはpH3〜5といった緩和な条件で溶
出できるものを用いるのが好ましい。また、溶出条件が
pH2以下というきびしい条件では、リガンドが担体から
はずれやすくなることが知られており、従って、そのよ
うな条件下で使用した場合、はずれた微量のリガンドが
溶出液中に混入する一方、アフィニティー吸着体の寿命
も短縮化するという問題がある。
リガンドとして、特に前記のような哺乳類のIgGは、コ
スト面で高価な上に一般に溶出条件がきびしいことか
ら、これに代わる溶出条件の緩和なかつ安価に供給でき
る抗体をリガンドとして用いることが当業界で要請され
ている。
本発明の目的は、まさにこの点にあり、アフィニティク
ロマトグラフィーにおけるリガンドとして鶏卵抗体を用
いた鶏卵抗体結合不溶性担体及びそれを用いた物質の精
製方法を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の発明者らは前記課題を解決するため鋭意検討し
た結果、鶏卵抗体をリガンドとして結合させた鶏卵抗体
結合不溶性担体を用いたアフィニティクロマトグラフィ
ーにおいて、緩和な溶出条件で吸着物質を溶出できるこ
とを見い出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の要旨は、 (1) 鶏卵抗体をリガンドとして結合させていること
を特徴とする鶏卵抗体結合不溶性担体、 (2) 前記(1)記載の鶏卵抗体結合不溶性担体を用
いたアフィニティクロマトグラフィーにより、物質を精
製する方法、並びに (3) 前記(1)記載の鶏卵抗体結合不溶性担体を用
いたアフィニティクロマトグラフィーにより、不純物を
吸着除去する方法、 に関する。
本発明における鶏卵抗体は、予め抗原で免疫された鶏が
産生した卵から調製されるものを用いる。
免疫される鶏としては、特に制限はないが、抗体の量産
性などの点からは、白色レグホン系、ロードアイランド
レッド系、横斑プリマスロック系、ニューハンプシャー
系等の卵用種を用いるのが特に好ましい。
免疫方法としては、皮下注射、筋肉注射、腹腔内投与
等、鶏を免疫することのできる方法であれば特に制限は
ない。
抗原としては、分離精製の要請のある各種のタンパク質
あるいはウイルス等が挙げられ、特に限定されるもので
はない。例えばタンパク質としては、C反応性タンパク
質、牛血清アルブミン(BSA)、各種の補体成分、IgG,I
gA、IgM,IgE,IgD,ヘモグロビン、組織プラスミノーゲン
活性化因子(TPA)等の血液成分、尿カリクレイン、尿
トリプシンインヒビター等の尿成分、α−フェトプロテ
ィン、癌胎児性抗原等の癌マーカー抗原及びインターロ
イキン、α,β,γ−インターフェロン等のサイトカイ
ン類、その他プロテインA等種々のものが挙げられる。
またウイルスとしては、ロタウイルス、インフルエンザ
ウイルス、エイズウイルス、ポリオウイルス等が挙げら
れる。
抗原の投与量は所望の抗体価が得られ、かつ鶏に対して
悪影響を与えない程度の量を適宜選択すればよい。
通常、初回免疫後、毎週1回で3〜5回程度くり返し投
与すると、抗原に特異的に反応する抗体が鶏卵中に得ら
れる。
その後、抗体価の維持を目的として1〜4月毎に追加免
疫すると良い。
また、必要に応じてFCA(フロイント完全アジュバン
ト)、FIA(フロイント不完全アジュバント)等のアジ
ュバントを併用しても免疫しても良い。
このようにして通常、初回免疫から1カ月以上経過する
と、鶏卵中から十分な抗体価を有する抗体を調製するこ
とができる。
鶏卵中の特異的抗体価は、酵素免疫測定法(ELISA)、
ラジオイムノアッセイ,マイクロタイター法等を用いて
測定することができ、免疫後に2週間程度の間隔で抗体
価を測定することにより抗体価の推移を追跡することが
できる。
本発明における鶏卵抗体は、前記のようにして免疫した
卵の卵黄に含まれる免疫グロブリンを抽出、分離するこ
とによって得ることができる。
この抽出は、分離方法としては、例えば、テキストラン
硫酸やポリエチレングリコール(PEG),寒天,カラギ
ナン,ファーセレラン,ペクチン,キサンタンガム、ア
ルギン酸、アルギン酸塩、アルギン酸誘導体等を用いて
リポタンパク質を沈澱させ、その上清から分離、精製す
る方法(Journal of Immunological Methods,46,63-68,
1981/Immunological Communication,9(5),475-493,1
980/特開昭63-215699号/特開昭64-38098号)や、プロ
パノール,クロロホルム等を用いた抽出法など通常、免
疫グロブリンの抽出、分離に用いられる公知の種々の方
法が用いられるが、カラギナン、キサンタンガム、ペク
チン等を用いるのが好ましい。
本発明における鶏卵抗体は、例えば前記のようにして免
疫した鶏の卵より、鶏卵を分離し、次いで卵黄液からカ
ラギナン等を用いて卵黄リポタンパク質を除去した卵黄
水溶性タンパク質をイオン交換クロマトグラフィー、疎
水性クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフ
ィー、ゲル濾過、硫酸ナトリウム塩析、塩酸アンモニウ
ム塩析等の公知のタンパク質精製方法により精製された
精製鶏卵抗体が用いられる。
本発明において用いられる不溶性担体としては、アフィ
ニティクロマトグラフィーにおいて使用できるものであ
ればいずれでもよく、特に限定されるものではない。通
常、セルロースゲル、デキストランゲル、アガロースゲ
ル、ポリアクリルアミドゲル、及び多孔性ガラス等が用
いられる。
鶏卵抗体と不溶性担体を結合させる方法は、ウサギIgG
やヤギIgGをリガンドとして結合させる場合と同様に、
常法により行なうことができる。即ち、通常担体として
セルロース、デキストラン、アガロースを用いる場合、
臭化シアン等のハロゲン化シアンを用いて担体を活性化
し、抗体を結合させる方法、過ヨウ素酸を用い担体を活
性化し、抗体を結合させる方法、1,4−ビス−(2,3−エ
ポキシプロポキシ)−ブタン等のエポキシドを用い担体
を活性化し、抗体を結合させる方法、及びハロゲン化ト
リアジン等の架橋試薬を用い担体に活性基を導入し、抗
体を結合させる方法、また、担体としてポリアクリルア
ミドを用いる場合は、まず担体をアミノエチル誘導体、
ヒドラジド誘導体あるいはカルボキシル誘導体に変え、
抗体を結合させる方法により行なう。
本発明の物質の精製方法は、目的物質に対する鶏卵抗体
を前記の方法により調製し、該鶏卵抗体をリガンドとし
て不溶性担体に結合したものを用いて、常法によりアフ
ィニティクロマトグラフィーを行なう。リガンドに吸着
された目的物質の溶出処理は通常pH約3〜5という緩和
な条件で行なうことができる。
例えば、抗原としてマウスIgGを用いて鶏を免疫して得
られた抗マウスIgG鶏卵抗体をリガンドとして不溶性担
体に結合させたものを用い、アフィニティクロマトグラ
フィーを行なう場合、試料としてのマウス血清をカラム
ヘアプライすることにより、マウス血清中のマウスIgG
がリガンドである抗マウスIgG鶏卵抗体に吸着し、次い
でpH4の緩和な溶出条件で目的物質であるマウスIgGを回
収することができる。
あるいは、抗原としてロタウイルスを用いて鶏を免疫し
て得られた抗ロタウイルス鶏卵抗体をリガンドとして不
溶性担体に結合させたものを用い、アフィニティクロマ
トグラフィーを行なう場合、試料として、培養細胞で感
染増殖させた粗ロタウイルスをカラムヘアプライするこ
とにより、ロタウイルスのみがリガンドである抗ロタウ
イルス鶏卵抗体に吸着し、次いでpH4の緩和な溶出条件
により目的物質であるロタウイルスを回収することがで
きる。
また、本発明の鶏卵抗体結合不溶性担体を用いれば、不
純物の除去にも利用することができる。即ち、鶏卵抗体
が不純物に対するものであれば、アフィニティクロマト
グラフィーを行なうことにより溶出画分には不純物が回
収され、素通り画分中に目的物質を回収することができ
る。
例えば、動物細胞の組織培養において仔牛胎仔血清を用
いて培養する場合が多いが、目的物質の精製においては
不純物としての仔牛胎仔血清を積極的に除去することが
必要である。また、例えばモノクローナル抗体を精製す
る場合には、ハイブリドーマを培養したマウスの腹水由
来の不純物を積極的に除去する必要がある。このような
場合に、これら不純物に対する鶏卵抗体を調製してアフ
ィニティクロマトグラフィーを行なうと、不純物を有効
に除去することができる。
また、本発明においては、前記のような目的物質の精製
方法を用いた精製工程と不純物の除去方法を用いた除去
工程を組み合わせることにより、より高純度に目的物質
を精製することができる。
〔作用・効果〕 本発明の鶏卵抗体結合不溶性担体を用いてアフィニティ
クロマトグラフィーを行なう場合、従来からリガンドと
して用いられているウサギIgG、ヤグIgGを用いた場合と
比較して、溶出条件が従来法ではpH2以下であるのに対
し、pH3〜5と緩和であるので、流出される目的物質が
変性するおそれがないという優れた効果を有する。ま
た、溶出条件がきびしい従来法では、リガンドが不溶性
担体からはずれる、いわゆるリガンドのもれが生じ溶出
液中に微量のリガンドが混入するという問題や、またそ
のためアフィニティー吸着体の寿命が短縮化するという
問題があることが知られている。しかし、本発明では溶
出条件が緩和であるのでリガンドのもれのおそれもな
く、アフィニティー吸着体の寿命も長いという効果を有
する。
さらに、後述の実施例で示すように、産卵鶏1羽当たり
の抗体生産量はウサギ1匹当たりと比較して、13.7倍で
あること等から、抗体の供給面においても安価にかつ安
定供給できるとう利点をも有している。
〔実施例〕
以下、実施例及び試験例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
実施例 1 〈産卵鶏及びウサギへの免疫〉 免疫動物としては、白色レグホン系の産卵鶏及びウサギ
(STD Jw)を用いた。抗原は精製マウスIgG(カッペル
社)を用いた。免疫は抗原溶液(1mg/ml)を等量のフロ
イント完全アジュバンドと乳化し、産卵鶏1羽及びウサ
ギ1匹あたり1回、抗原1mgを筋肉注射することにより
行った。免疫は隔週間隔で初回免疫を含めて4回繰り返
した。
産卵鶏については、その後、4ケ月に1度免疫を行い、
1年間にわたり、その鶏卵を採取した。これにより、年
間1羽あたり平均210個の抗マウスIgG鶏卵抗体の精製に
使える鶏卵が得られた。
ウサギについては、最終免疫(免疫4日目)の1週間後
に常法に従い、全採血をしその血清を分離した。ウサギ
1匹あたり平均52mlの抗マウスIgGウサギIgGの精製に使
える抗血清が得られた。
尚、コントロールとして、免疫していない産卵鶏は、年
間1羽あたり平均214個のコントロール鶏卵が得られ
た。又、ウサギからは全採血により1匹あたり平均50ml
のコントロール血清が得られた。
試験例 1 〈卵黄中及びウサギ血清中の特異的抗体価の測定〉 マウスIgGに対する特異的抗体価はELISAで行った。ヌン
ク社性のELISA 96穴プレートへ抗原として用いたマウス
IgGを常法に従いコーティングした。ブロッキングには
オボアルブミンを用いた。マウスIgGコーティングプレ
ートへPBS−Tween(0.5%Tween20を含む生理的リン酸バ
ッファー,pH7.2)で1000倍希釈した卵黄及びウサギ血清
を添加(100μl/ウエル)し、室温で2時間放置した。
次いで各ウエルをPBS−Tweenで洗浄した後、2次抗体と
してアルカリフォスファターゼを結合させた抗鶏卵抗体
(IgY)ウサギIgG及び抗ウサギIgGヤギIgG(ザイメット
社)を用い、それぞれ対応するウエルへ添加(100μl/
ウエル)した。室温2時間放置後、各ウエルをPBS−Twe
enで洗浄し、基質としてp−ニトロフェニルホスフェー
ト(シグマ社)を用い、酵素反応(室温15分間)を行わ
せ、プレートリーダーにより波長405nmにおける吸光度
を測定した。初回免疫後の卵黄及びウサギ血清中のマウ
スIgG特異的抗体価の推移を第1図に示す。
実施例 2 〈抗マウスIgG鶏卵抗体及びウサギIgGの精製〉 (1) 鶏卵抗体(IgY)の精製 鶏卵より卵黄を分離し、卵黄と等重量の脱イオン水を加
え均質化した。この卵黄2倍希釈液に2倍量のλ−カラ
ギナン水溶液(1.5mg/ml)を混合し、卵黄リポタンパク
質を凝集させた。30分間室温に放置した後、遠心分離
(10,000×g,10分間)でリポタンパク質を沈澱として除
去した。その上清を濾紙(アドバンテック東洋No.2ペー
パーフィルター)で吸引濾過した。濾液に対し、リン酸
2ナトリウムを20mMとなるよう溶解し、3N塩酸を加え
て、pH8.0とした。この液をあらかじめ20mMリン酸バッ
ファーpH8.0で平衡化したDEAEセファセルカラムへアプ
ライし、同バッファーで非吸着物を充分洗浄した。カラ
ムから吸着タンパク質の溶出は、200mMリン酸バッファ
ーpH8.0で行なった。溶出液へ15%(W/V)となるよう硫
酸ナトリウムを溶解し、生じた不溶物(塩析物)を遠心
分離(10,000×g,10分間)で集めた。塩析物は20mMリン
酸バッファーpH8.0に溶解し、同様の硫酸ナトリウム塩
析操作をさらに2回繰り返した。最終の塩析物は、10mM
リン酸バッファーpH8.0に溶解し、同バッファーに対し
透析した。透析後の溶液は、0.45μmのメンブレンフィ
ルターを通した後、凍結乾燥した。
以上の操作により、マウスIgGに対する特異的抗体価の
上昇した鶏卵1個(卵黄15g)からタンパク質量として6
5mgのIgYが得られた。
(2) ウサギ血清抗体(IgG)の精製 ウサギIgGは、常法により精製した。ウサギ血清に、等
量の10mMリン酸バッファーpH7.0(0.15NaCl含む)を加
え、さらに血清と等量の飽和硫酸ナトリウム液を加え、
33%硫安塩析を行なった。塩析物を遠心分離(10.000×
g,10分間)で回収し、50mMリン酸バッファーpH8.0(0.1
5MNaClを含む)に溶解した。この液をSuperose 12 pre
p.gradeを用いたゲル濾過で、IgG画分を得た。IgG画分
を、20mMトリス塩酸バッファーpH8.3に対し透析した。
次いで、常法に従い、DEAEイオン交換クロマトグラフィ
ー(MonoQ,ファルマシア社)を行い、IgGを吸着させ20m
Mトリス塩酸バッファーpH8.3、0〜0.2MNaClでグラジエ
ント溶出を行い、精製IgG画分を得た。これを10mMリン
酸バッファーpH8.0に対し透析した後、凍結乾燥した。
以上の操作によりマウスIgGで免疫したウサギ血清1ml当
たり、タンパク質量として、10.3mgのウサギIgGが得ら
れた。
試験例 2 〈抗体純度の検定〉 抗体の純度検定は、ファルマシアFPLCシステムによる、
ゲル濾過分析(Superose 12HR 10/30)及びレムリーら
によるSDS−電気泳動法により行なった。
実施例2で得られたIgY及びウサギIgGは、共にゲル濾過
分析でシングルピークであり、かつ、SDS−電気泳動分
析で、抗体のH鎖及びL鎖のみが確認され、IgY及びウ
サギIgGは、純品にまで精製されたことが確認された。
試験例 3 〈マウスIgG特異的結合抗体量の測定〉 実施例2で得られたIgY及びウサギIgG中に含まれるマウ
スIgG特異的結合抗体の割合を、マウスIgGをリガンドと
したアフィニティークロマトグラフィーで非吸着画分と
吸着画分に分け、それぞれのタンパク質量を測定するこ
とにより測定した。
リガンドに用いたマウスIgGは、免疫抗原として用いた
カッペル社製の精製マウスIgGである。ゲルは、シアノ
ジエンブロマイド(CN−Br)活性化セファロース4B(フ
ァルマシア社)を使用し、ファルマシア社のマニュアル
に従い、ゲル1mlあたり10mgのマウスIgGを結合させた。
IgY及びウサギIgGを50mMリン酸バッファー(0.15MNaCl
含む)pH8.0に溶解した。それぞれをマウスIgG−セファ
ロース4B(1mlゲル)カラムへアプライし、50mMリン酸
バッファー(0.5MNaCl含む)pH8.0で非吸着抗体を洗浄
し、次いで0.1M炭酸ナトリウム液(0.5MNaCl含む)pH1
1.3で吸着抗体を溶出した。カラムへのアプライ抗体、
非吸着抗体及び吸着抗体の量を波長280nmにおける吸光
度をタンパク質量として算出し、以下の結果(表−1)
を得た。尚、コントロールとしては、非免疫産卵鶏の卵
黄及び非免疫ウサギの血液から、IgY及びウサギIgGを精
製し、上記と同様の操作を行なった。
尚、波長280nmの吸光度からの抗体量の算出は、IgYにつ
いては、▲E1% 280nm▼=14.8、うさぎIgGについては▲
1% 280nm▼=13.5の吸光係数を用いた。
以上の結果より、マウスIgGを抗原として免疫した産卵
鶏の鶏卵抗体(IgY)では、抗体全量の28%が、またウ
サギ血清抗体(IgG)では、抗体全量の52%がマウスIgG
特異的結合抗体であることが示された。
ここでマウスIgG特異的結合抗体産生量を、産卵鶏1羽
及びウサギ1匹あたりで比較すると、産卵鶏では年間21
0個の鶏卵より3150mlの卵黄が得られ、これより抗マウ
スIgG鶏卵抗体が13,650mg精製される。この中に含まれ
るマウスIgG特異的結合抗体は、3,822mgである。
一方、ウサギの場合、平均52mlの抗血清が得られ、これ
より、抗マウスIgGウサギIgGが536mg精製される。この
中に含まれるマウスIgG特異的結合抗体は、279mgであ
る。
従って、マウスIgGで免疫した産卵鶏の1羽あたりのマ
ウスIgG特異的結合抗体生産量は、ウサギを用いる従来
法に比較し、13,7倍であることが示された。
実施例 3 (1) 抗マウスIgG鶏卵抗体(IgY)−セファロース4B
の作製 ファルマシア社製シアノフェンブロマイド活性化セファ
ロース4B 10.0gを1mM HCl中で膨潤させ、ガラスフィル
ター(3G)上で充分洗浄した。次いでカップリングバッ
ファー(0.1M NaHCO3,0.5M NaClバッファーpH8.3)で充
分洗浄した、リガンドとして、実施例2で得られた抗マ
ウスIgG鶏卵抗体(IgY)330mgを、カップリングバッフ
ァーに溶解し、ゲル懸濁液と混合し、室温2時間でカッ
プリング反応を行なった。ゲル懸濁液とリガンド溶液の
比率は1:2で行なった。ゲルをブロッキング試薬(0.2M
グリシン,pH8.0)に移し、室温2時間で未反応活性基
をブロッキングした。次いで、ゲルをガラスフィルター
上でカップリングバッファー、0.1M酢酸バッファー(0.
5M NaCl含む)pH4.0、カップリングバッファーの順で充
分洗浄した。以上により、リガンド結合率98%で、抗マ
ウスIgG鶏卵抗体(IgY)−セファロース4Bゲル33mlが得
られた。
(2) 抗マウスIgGウサギIgG−セファロース4Bの作製 リガンドとして、実施例2で得られた抗マウスIgGウサ
ギIgGを用い、上記と同様の操作を行い、リガンド結合
率97.5%で抗マウスIgGウサギIgG−セファロース4Bゲル
33mlが得られた。
試験例 4 〈イムノアフィニティーカラム溶出条件の比較〉 実施例3で調製した、それぞれのセファロース4Bゲル10
mlをカラム(φ1.6cm×5cm)にパッキングし、50mMリン
酸バッファーpH8.0(0.5M NaCl含む)で平衡化した。
試料は、精製マウスIgG(カッペル社)を平衡化バッフ
ァーに溶解し(10mg/ml)、それぞれのカラムへ500μl
アプライした。
平衡化バッファーでカラムを洗浄した後、溶出バッファ
ーとして、まず0.1M酢酸バッファーpH4.0(0.5M NaCl含
む)、次いでグリシン/塩酸バッファーpH2.0(0.5M Na
Cl含む)を用い、pH4.0とpH2.0の2段階ステップワイズ
溶出を行なった。溶出は試料のアプライ方向とは逆方向
で行なった。
溶出画分はフラクションコレクターで分取(1ml/フラク
ション)し、波長280nmにおける吸光度を測定した(第
2図)。pH4及びpH2溶出におけるマウスIgGの回収率を
波長280nmにおける吸光度より求めた結果を、表−2に
示す。
尚、酵素免疫測定法により、それぞれのカラムの溶出画
分について、リガンドとして用いた抗体(ウサギIgG及
びIgY)の検出を行なった結果、pH4.0の溶出ではリガン
ド抗体は検出されなかったが、pH2.0の溶出ではいずれ
のリガンド抗体も検出された。
以上の結果より、従来、イムノアフィニティークロマト
グラフィーでリガンドとして用いられているウサギIgG
では、吸着物質の溶出にpH2.0以下の溶出条件が必要で
あるが、IgYをリガンドとしたアフィニティークロマト
グラフィーでは、pH4.0という比較的マイルドな溶出条
件で吸着物質が溶出回収できることが判明した。
実施例 4 〈マウス血清IgGのイムノアフィニティークロマトグラ
フィー精製〉 マウス血清(5ml)を33%飽和度で硫酸アンモニウム塩
析した。塩析物を50mMリン酸バッファー(0.5M NaCl含
む)pH8.0に溶解し、同バッファーに対して充分透析
し、粗マウスIgG試料とした。実施例3で調製した抗マ
ウスIgG鶏卵抗体(IgY)−セファロース4Bゲル20mlをカ
ラムにパッキングし、50mMリン酸バッファーpH8.0(0.5
M NaCl含む)で平衡化した。このカラムへ粗マウスIgG
試料をアプライし、平衡化バッファーで充分洗浄した。
その後、0.1M酢酸バッファーpH4.0(0.5M NaCl含む)で
吸着タンパク質を溶出し、マウスIgG34mgを得た。
マウスIgGの回収率は、酵素免疫測定法(サンドイッチ
法)で72%であった。またその純度は、試験例2のゲル
濾過分析でシングルピーク、かつレムリーのSDS−電気
泳動においても、IgGのH鎖及びI鎖のみが確認される
ものであった。
実施例 5 〈マウスハイブリドーマ培養上清からのIgG精製〉 ヒトスーパーオキシドディスムターゼモノクローナル抗
体(マウスIgG1クラス)を産生するマウスハイブリドー
マを、10%仔牛胎児血清を含むRPMI培地で培養した。そ
の培養上清1000mlを、分画分子量10,000の限外濾過膜を
用い、50mMリン酸バッファーpH8.0(0.5M NaCl含む)に
バッファー交換した。この液を実施例4で用いた抗マウ
スIgG鶏卵抗体−セファロース4Bカラムへアプライし、
非吸着タンパクを平衡化バッファーで充分洗浄した。次
いで0.1M酢酸バッファーpH4.0(0.5M NaCl含む)で吸着
タンパクを溶出させ、ヒトスーパーオキシドディスムタ
ーゼモノクローナル抗体10mgを回収した。マウスIgG1
回収率は、酵素免疫側定法(サンドイッチ法)で、76%
であった。また、その純度は、ゲル濾過分析でシングル
ピークかつ、レムリーのSDS−電気泳動においてもIgGの
H鎖及びL鎖のみが確認されるものであった。
実施例 6 〈マウスハイブリドーマ腹腔培養液からのIgG精製〉 ヒトスーパーオキシドディスムターゼモノクローナル抗
体(マウスIgG1)を産生するマウスハイブリドーマを、
10%仔牛胎児血清を含むRPMI1640培地で培養し、遠心で
細胞を集めMEM培地で洗浄した後、PBSに懸濁した。これ
を、予めプリスタン投与しておいたBALB/cマウス(雄、
6weeks)の腹腔内に、マウスあたり1〜2×107cells注
射した。ハイブリドーマの注射後約10日目に開腹し、マ
ウスあたり5mlの腹水を得た。採取した腹水は遠心(300
0rpm,20min)後、硫安分画(0〜50%飽和)を行い、遠
心して得られる沈澱物を50mMリン酸バッファー(pH8.0,
0.5NaCl含む)に溶解後、同バッファーに対して充分透
析した。透析内液を実施例4で用いた抗マウスIgG鶏卵
抗体−セファロース4Bカラムへアプライし、非吸着タン
パクを平衡化バッファーで充分洗浄した。次いで0.1M酢
酸バッファー(pH4.0,0.5MNaCl含む)で吸着タンパク質
を溶出させ、ヒトスーパーオキシドディスムターゼモノ
クローナル抗体50mgを回収した。マウスIgGの回収率はE
LISA(サンドイッチ法)で68%であった。また、その純
度はゲル濾過分析でシングルピークかつ、レムリーのSD
S−電気泳動においてもIgGのH鎖とL鎖のみが確認され
るものであった。
実施例 7 〈抗ヒトロタウイルス鶏卵抗体−セファロース4Bの作
製〉 ヒトロタウイルスMo株(血清型3型)で免疫した産卵鶏
の卵黄より、実施例2と同じ方法で鶏卵抗体(IgY)を
精製した。このIgYを実施例3と同様の方法でシアノジ
ェンブロマイド活性化−セファロース4Bゲル1mlあたり1
0mg結合させ、抗ヒトロタウイルス鶏卵抗体−セファロ
ース4Bを調製した。
【図面の簡単な説明】
第1図は、卵黄及びウサギ血清中のマウスIgG特異的抗
体価の推移を示した図である。 第2図は、イムノアフィニティカラム溶出画分の波長28
0nmにおける吸光度を示した図である。
フロントページの続き (72)発明者 赤地 重光 三重県四日市市赤堀新町9番5号 太陽化 学株式会社内 (72)発明者 金 武祚 三重県四日市市赤堀新町9番5号 太陽化 学株式会社内 (72)発明者 山本 武彦 大阪府和泉市鶴山台3丁目4番2―204

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鶏卵抗体をリガンドとして結合させている
    ことを特徴とする鶏卵抗体結合不溶性担体。
  2. 【請求項2】請求項(1)記載の鶏卵抗体が、予め抗原
    で免疫された鶏が産生した卵から調製されるものである
    鶏卵抗体結合不溶性担体。
  3. 【請求項3】請求項(2)記載の抗原がタンパク質であ
    る鶏卵抗体結合不溶性担体。
  4. 【請求項4】請求項(2)記載の抗原がウィルスである
    鶏卵抗体結合不溶性担体。
  5. 【請求項5】請求項(1)、(2)、(3)又は(4)
    記載の鶏卵抗体結合不溶性担体を用いたアフィニティク
    ロマトグラフィーにより、物質を精製する方法。
  6. 【請求項6】請求項(1)、(2)、(3)又は(4)
    記載の鶏卵抗体結合不溶性担体を用いたアフィニティク
    ロマトグラフィーにより、不純物を吸着除去する方法。
  7. 【請求項7】請求項(5)又は(6)記載のアフィニテ
    ィクロマトグラフィーにおいて、pH3〜5の溶出条件下
    で吸着物質を溶出することを特徴とする請求項(5)又
    は(6)記載の方法。
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