JPH075439A - 調光素子及びその駆動方法 - Google Patents

調光素子及びその駆動方法

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JPH075439A
JPH075439A JP14231593A JP14231593A JPH075439A JP H075439 A JPH075439 A JP H075439A JP 14231593 A JP14231593 A JP 14231593A JP 14231593 A JP14231593 A JP 14231593A JP H075439 A JPH075439 A JP H075439A
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electric field
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film
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JP14231593A
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English (en)
Inventor
Yasushi Saito
寧 齋藤
Junichi Ono
純一 小野
Kayoko Morikawa
佳代子 森川
Toru Kashiwagi
亨 柏木
Kensaku Takada
憲作 高田
Koji Hara
浩二 原
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 簡単な構成でしかも確実なフェイルセイフ機
能を有する調光素子及びその駆動方法を提供する。 【構成】 調光素子は、液晶性高分子と低分子の液晶材
料と電解質とを含有し、素子の使用温度領域でネマチッ
ク性を示す混合膜(液晶層)1を、電極層(印加電界手
段)3を有する一対の基板2で挟持する。駆動は、低周
波あるいは直流の電界を電極層3に印加することにより
行う。電界印加強度を連続的に変調させると、混合膜1
を透過する光量が変化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、自動車、船
舶、電車及び建造物等の窓に使用される調光素子に関す
るものであり、詳しくは、印加電界強度によって、透過
光量を連続的に変調することが可能で、かつ簡単な構造
で確実なフェイルセーフ機能を有する素子に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】近時、高分子の骨格鎖に、柔軟な屈曲鎖
等を介して、液晶材料に相当する側鎖(側鎖液晶基)を
結合した側鎖型液晶性高分子を、通常の低分子量の液晶
材料と混合して形成した均一なスメクチック相を示す高
分子液晶/低分子液晶混合膜を、表面に電極層を形成し
一定間隔に配置された一対の基板間に挟持してなる液晶
素子が、九州大学の梶山千里教授らのグループによって
開発された(Chem.Lett.,1989,pp817-820 )。
【0003】この液晶素子の特徴は、電極間に低周波
(あるいは直流)及び高周波の電場を印加することによ
って、光散乱、光透過の2状態間のスイッチングを行う
こと、混合膜材料がスメクチック層構造を形成するため
スイッチング後に電場印加を停止した後も上記光散乱、
光透過の2状態を安定に保持する、いわゆるメモリー性
を有することである。従って、上記高分子液晶/低分子
液晶混合膜を用いた液晶素子では、メモリー性を有する
ために、常時、電場を印加しておく必要はなくなるもの
の、光散乱(白濁)状態から光透過(透明)状態へのス
イッチングに電場の印加が不可欠であった(特開平4−
217294号公報等参照。)。
【0004】近年、車載用の調光リヤウインドウやフロ
ントウインドウへの表示用の調光素子として、液晶素子
を使用することが検討されている。この様な用途に使用
される液晶素子は、故障等の不測の事態によって電場の
印加ができなくなった際に、ただちに透明状態に転換し
て、運転者の視界を確保するという、フェイルセイフ機
能を備えている必要がある。又、この様な車載用の調光
素子としては、天候や時刻などの車外の環境変化に応じ
て透過光量を調節できる階調機能が要求される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記高
分子液晶/低分子液晶混合膜を使用した調光素子では、
混合膜が白濁状態の際に電場が印加されなくなると白濁
状態が維持されるため、運転者の視界が妨げられて危険
である。従って、この調光素子は、フェイルセイフ機能
を確保すべく、自動的に、あるいは手動操作によって、
素子を透明状態へと変換させ得る機能を特別に設ける必
要があり、そうすると、装置の構造が複雑になるという
問題点があった。
【0006】また、上記混合膜を使用した調光素子で
は、白濁状態及び透明状態のそれぞれへの転換に、低周
波(あるいは直流)電場及び高周波電場と言う2種の駆
動波形を用いる為に、階調表示を行おうとする場合に装
置の構造が複雑になるという問題点があった。一方、周
知の技術として、スポンジ状の多孔構造を有する透明体
マトリクス(高分子等)からなる担体膜の連続した孔内
に、液晶材料が充填された構造、あるいは透明体マトリ
クスからなる担体中に、液晶材料が粒状に分散した構造
の複合膜を、一対の透明電極で挟持した高分子/低分子
複合膜型素子(Chem.Lett.,1989 pp813-816 )や高分子
分散型液晶(PDLC、特表昭63−501512号公
報)、カプセル型液晶(NCAP、特表平3−5284
3号公報)等が知られており、これらの複合膜を用いた
調光素子が日本板硝子社製の「ウム」(登録商標)や、
味の素社製の「アクト」(登録商標)として、既に市販
されている。
【0007】しかし、上記各調光素子は、いずれも透明
体マトリクスである高分子と液晶材料が相分離を生じ、
それによって、光散乱(白濁)状態を作り出している相
分離型の液晶素子であり、この為、透明時に於いても、
見る角度によっては、白濁が完全に解消せずに残存し、
その為、透明感を満足させ得る事ができなかった。ま
た、これらの調光素子は、素子に電場を印加したときに
透明となり、電場の印加を切ると白濁する変化を行うも
のである。この為、車載用の調光素子として使用した場
合には、何らかの事故や故障等の不測の事態の際に素子
への電源が切れると、白濁状態のままで視界を妨げ危険
であるため、素子の使用温度領域でスメクッチク性を示
す混合膜を用いたものと同様に、フェイルセイフの為の
特別な機構を必要とする。
【0008】さらに、これらの調光素子は、高分子マト
リクスと液晶材料との微細な相分離構造によって光散乱
状態を作り出している為に、透明状態と、完全な白濁状
態(電場無印加時)との中間の状態では、透過光の各波
長により屈折率が異なることが原因で、透過光の色温度
が変化するため、素子を通して見た景色が赤っぽくなっ
てしまうという問題があった。
【0009】さらにまた、窓として使用する際には、透
明状態を保つ時間の方が白濁状態で使用する時間よりも
長いのが通常であるから、電場を印加しておく時間が長
くなる為、経済性の上からも問題があった。そこで、本
発明の目的は、簡単な装置で連続的に階調させることが
でき、しかも確実なフェイルセイフ機能を有する調光素
子及びその駆動方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段及び作用】上記課題を解決
する為の本発明の調光素子は、一対の基板と、この基板
間に挟持された液晶層とを有し、少なくとも一方の基板
の表面には電極層が形成されている素子において、上記
液晶層が、液晶性高分子と低分子の液晶材料と電解質と
を有し、素子の使用温度領域でネマチック性を示す混合
膜であることを特徴とする。
【0011】本発明の調光素子によれば、電界印加手段
により液晶層を白濁状態にすることができる。また、本
発明の液晶層は、素子の使用温度領域で混合膜がネマチ
ック性を示す様に、当該混合膜を構成する高分子種、液
晶種の選定が行われ、かつ配合が設計されている。よっ
て、電場の印加を停止した際に、自動的に透明状態にな
る。つまり、ネマチック性を示す混合膜は、電極を介し
て低周波(あるいは直流)の電場を印加すると白濁し、
印加しないと液晶の配向性の為に、当該膜内で液晶分子
が自然に配列して自動的に透明状態に転換すると言う機
能を有するものとなる(特願平5−58746号)。
【0012】また、本発明の調光素子の駆動方法は、上
記調光素子を駆動する方法であって、低周波または直流
の電界を電極層により印加しその電界印加強度を連続的
に変調させることを特徴とする。本発明の液晶素子の駆
動方法によれば、低周波(あるいは直流)の電場の強度
を連続的に変調する事で、素子の白濁度を連続的に変調
する事が可能であり、簡単な装置によって連続的な階調
表示が可能である。従って、上記混合膜を用いた本発明
の調光素子は、特別な機構を必要とせずに簡単構成で確
実なフェイルセイフ機能を発揮し、又、連続的な階調表
示が可能である為、前述した車載用の調光窓として好適
に使用できるという利点がある。
【0013】なお、本発明の調光素子では、周知技術の
複合膜を用いたものと異なり、混合膜自体がフェイルセ
イフ機能を有している為、安全性の面から優れており、
更に、液晶層に均一な相をなす混合膜を用いている為、
透明状態での視野角依存性がなく、良好な透明感を得る
事ができ、透過光の色温度が変わる事もない為に、素子
を通して見た風景の色が変化してしまうと言う問題もな
い。また、白濁状態で使用するときのみに電場を印加す
る為、経済性の点からも優れている。
【0014】
【実施例】以下に、本発明の実施例を説明する。図1
は、本発明の一実施例に係る調光素子を示す断面図であ
る。図示した調光素子は、一対の基板2,2と、この基
板2,2間に挟持された液晶層1とを有し、少なくとも
一方の基板2,2の表面には電極層1が形成されている
素子において、上記液晶層1が、液晶性高分子と低分子
の液晶材料と電解質とを有し、素子の使用温度領域でネ
マチック性を示す混合膜1である。
【0015】混合膜1を構成する液晶性高分子として
は、主鎖型あるいは側鎖型の種々の液晶性高分子を使用
する事ができるが、特に高分子の骨格鎖に、柔軟な屈曲
鎖等を介して、側鎖液晶基がグラフトした構造の側鎖型
液晶性高分子が好適に使用される。側鎖型液晶性高分子
を構成する主鎖の化学構造は任意でよいが、ある程度柔
軟な構造を含むものが好ましく、そのような例として
は、これに限定されるものではないが、例えば、ポリオ
キセタン鎖、ポリシロキサン鎖、ポリメタクリレート
鎖、ポリアクリレート鎖、ポリオキシエチレン鎖、ポリ
クロロアクリレート鎖、ポリエステル鎖等があげられ
る。
【0016】側鎖液晶基についても特に限定されず、低
分子量の液晶材料に相当する、従来公知の種々の液晶基
を任意に採用することができる。主鎖と側鎖液晶基を繋
ぐ柔軟な屈曲鎖としては、例えば、炭素数1〜12程度
のアルキレン鎖やオキシアルキレン鎖等があげられる
が、これ以外の屈曲鎖を採用してもよい。
【0017】なお、主鎖に対する側鎖液晶基のグラフト
率は任意の値でよい。上記側鎖型液晶性高分子として
は、側鎖液晶基がすべて同一である、いわゆるホモポリ
マー型が普通であるが、同一の主鎖に2種類以上の側鎖
液晶基を結合した、いわゆるコポリマー型の構造を採用
することもできる。上記側鎖型液晶性高分子を含む液晶
性高分子の構造、分子量、分子量分布等は素子の特性に
影響を及ぼすので、要求される素子の性能に合わせて、
これらの設定を適宜選択するのがよい。
【0018】例えば、液晶性高分子は、架橋構造を有し
ていてもよい。架橋した液晶性高分子は、系全体の自己
支持性を高めるとともに、直流または低周波の電場を印
加した際に電解質の移動、衝突によって生じる液晶配列
の乱れを広範囲に渡って迅速に伝えるため、混合膜の応
答性を向上する。液晶性高分子の架橋は主鎖同士の間で
直接に行われても、あるいは適当な架橋剤を介して行わ
れてもよい。また側鎖型液晶性高分子の場合は、側鎖液
晶基を介して主鎖同士が架橋してもよい。架橋のための
結合構造は、任意の化学結合(共有結合、イオン結合、
水素結合、配位結合等)でよい。
【0019】また液晶高分子は、例えば、分子量100
00以下程度のオリゴマーや、あるいはダイマー、モノ
マー等を含有してもよい。液晶性高分子は、1種類を単
独で使用しても、2種以上を併用してもよい。上記液晶
性高分子とともに混合膜を構成する低分子の(ここでい
う「低分子の」とは、液晶性高分子のような主鎖構造、
側鎖構造を有しないということを表し、決して分子量で
規定しているのではない。)液晶材料としては、主鎖型
あるいは側鎖型の液晶性高分子を除外した、通常用いら
れる市販あるいは公知で、かつ単成分もしくは複数成分
からなる種々の液晶材料を使用することができる。
【0020】低分子の液晶材料の物性としては、屈曲率
異方性Δnが大きいものが好ましい。またとくに重要な
要素として、液晶性高分子と混合した際に、素子の使用
温度領域でネマチック性を示すことがあげられる。これ
により、混合膜は、前述したように電極間に低周波また
は直流の電場を印加すると白濁状態となり、電場の印加
を停止すると透明状態になる特性を示す。かかる液晶材
料は、1種類を単独で使用しても、2種以上を併用して
もよい。
【0021】液晶性高分子と低分子の液晶材料との混合
比率はとくに限定されないが、全液晶中に占める液晶性
高分子の割合が5〜60重量%の範囲内であることが好
ましく、10〜40重量%の範囲内であることがより好
ましい。液晶性高分子の割合が上記範囲を超えた場合に
は、素子の応答速度が遅くなるおそれあり、逆に液晶性
高分子の割合が上記範囲未満では、混合膜の自己支持性
が不十分となり、とくにフレキシブルな基板を用いた屈
曲性のある大面積の調光素子を構成できなくなるおそれ
がある。
【0022】上記混合膜1には、微小量の電解質が配合
される。電解質としては、液晶材料中に溶解するもので
あれば、いずれも使用することができ、例えば一般式:
【0023】
【化1】
【0024】(式中R1 、R2 、R3 、R4 は同一また
は異なってメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、
ブチル、ペンチル、ヘキシル等のアルキル基を示し、X
はF、Cl、Br、I、ClO4 、PF4 、BF4 等を示
す。)で表される4級アンモニウム塩が好適なものとし
てあげられる。電解質の添加量は、混合膜の総量に対し
て0.005〜1重量%が好ましい。かかる電解質は、
1種類を単独で使用しても、2種以上を併用してもよ
い。
【0025】上記各成分からなる混合膜1には、表示を
カラー化するために、従来公知の各種2色性色素を配合
することもできる。また混合膜1には、その特性を損な
わない範囲で、各種添加物や非液晶性化合物等を混合し
て特性を調製することもできる。また、後述する本発明
の調光素子における第1及び第2の製造方法により素子
を製造する場合、混合膜1には、当該混合膜1を挟持す
る一対の基板2,2間の間隔を一定に保つべく、スペー
サが混入、分散される。スペーサとしてはシリカ製、ガ
ラスファイバー製または樹脂製で、かつ粒状のものが好
適に使用される。針状のスペーサは、そのエッジにより
透明電極を傷つける等の悪影響を及ぼすおそれがあるの
で望ましくない。
【0026】スペーサの粒径は、所望する基板間の距離
(すなわち混合膜の膜厚)に合わせて設定される。スペ
ーサの混合割合は、これに限定されるものではないが、
液晶面積1mm2 当り10〜300個程度であるのが望ま
しい。後述する製造方法を実施する際に、混合膜1の材
料として使用される混合物は、液晶性高分子を含有して
いるので比較的粘度が高く、このため、液晶の流動によ
ってスペーサが局在化するおそれがない。したがって、
スペーサは混合膜中に均一に分散され、基板の間隔を一
定に保つために十分に作用する。
【0027】混合膜1の膜厚は、本発明では特に限定さ
れないが、上記スペーサを使用してラミネート法により
素子を製造する場合及び後述する第2の製造方法、すな
わち注入法により素子を製造する場合には、混合膜の膜
厚は1μm以上30μm以下であるのが、素子のコント
ラスト及び駆動電圧等の点で好ましい。上記混合膜1を
挟着する一対の基板2,2としては、ガラス板等の液晶
素子の基板として従来より使用されている種々の基板が
使用可能であるが、重くかつ割れやすいというガラス板
の欠点を解消して、軽量でしかも丈夫な素子を得るに
は、プラスチックフィルムやプラスチック板が、基板と
して好適に使用される。
【0028】プラスチックフィルムとしては、例えば、
耐熱性、実用的強度、光学的均一性などにすぐれたポリ
エチレンテレフタレート(PET)フィルムやポリエー
テルスルホン(PES)フィルム等があげられる。プラ
スチックフィルムの厚みは、これに限定されるものでは
ないが、50〜500μm程度が好ましい。プラスチッ
ク板としては、例えば各種アクリル樹脂板、ポリカーボ
ネート板、ポリスチレン板等の光学的特性にすぐたプラ
スチック板が好適に使用される。プラスチック板の厚み
は、これに限定されるものではないが0.5〜3mm程度
が好ましい。
【0029】一対の基板2,2のうちの少なくも一方の
表面には、混合膜1に電場を印加するための電極層3が
形成される。透過型の素子の場合電極層3としては、I
TO(インジウム−チン−オキサイド)やSnO2 等の透
明導電材料からなる透明導電膜が好適に使用される。透
明導電膜は、真空蒸着法や反応性スパッタリング法によ
り形成される他、上記透明導電材料を含むインクを基板
上に塗布あるいは印刷して形成することもできる。また
本発明の調光素子をデータ等の表示に用いる場合には、
上記電極層3には、エッチング等によって所定の表示パ
ターンを形成することもできる。
【0030】本発明の調光素子では、配向処理は必須の
構成ではないが、上記基板2の混合膜1と接する最表面
(電極層3を有する基板2の場合は当該電極層3の表
面、電極層3を有さない基板2の場合は基板2自身の表
面)には、液晶の配向を制御する配向処理を施すことも
できる。前述したように混合膜1の透明化は液晶の配向
により発生するため、当該混合膜1が白濁状態へ変化す
る速度や、透明状態での光透過率、透明状態での液晶の
安定性等の特性には基板2の表面状態が大きく影響して
おり、混合膜1と接する基板2の最表面に配向処理を施
して、液晶の配向を制御すると、上記の特性を向上でき
る可能性がある。
【0031】例えば、本発明者らが、透明状態の混合膜
1における液晶分子の状態を、オルソスコープを用いて
観察したところによると、洗浄済のITO電極付きPE
Sフィルムを基板として使用した素子では、液晶分子が
基板面に対してホメオトロピック配向していたが、IT
O電極上にさらに水平配向性の高分子膜からなる液晶配
向膜を形成して、その表面をラビング処理したPESフ
ィルムを基板として使用した素子では、液晶分子がホモ
ジニアス配向しており、液晶配向膜により液晶の配向性
を制御できる事が認められた。
【0032】本発明の調光素子において、液晶の配向は
基板面対して水平、垂直のいずれでもよいので、基板の
最表面に施す配向処理の方向性は、混合膜を構成する材
料の特性を考慮して、適宜選択すればよい。基板表面の
配向処理方法としては、水平配向性の処理の場合、 基板の最表面に、SiO等を斜方蒸着する、 基板の最表面を1方向にラビング処理する、 基板の最表面に高分子からなる液晶配向膜を形成
し、その液晶配向膜の表面を1方向にラビング処理し
て、水平配向性を付与する、 1方向に延伸した高分子フィルムを貼付する、 等の方法があるが、特にの液晶配向膜を形成してその
表面を1方向にラビング処理する方法が好適に採用され
る。また垂直配向性の配向処理としては、上記と同様
の方法が用いられる他、基板の最表面に、高分子からな
る垂直配向性の液晶配向膜を形成する方法があげられ
る。この場合、ラビング処理は特に必要ではない。
【0033】上記水平配向性または垂直配向性の液晶配
向膜としては、耐熱性、安定性、他の液晶表示方式での
使用実績等を考慮すると、ポリイミド系の高分子やその
誘導体、あるいはその共重合体の薄膜が好適に使用され
るが、混合膜材料との相性等を考慮して、ポリビニルア
ルコール等の他の高分子からなる薄膜を使用することも
できる。また素子の特性等を考慮すると、液晶配向膜を
構成する高分子材料は着色が少なく透明性にすぐれると
ともに、素子の電圧降下を少なくするために高誘電率で
あることが望ましい。
【0034】上記液晶配向膜は、高分子材料を適当な溶
媒に溶解または分散させた塗布液を、基板表面に塗布ま
た印刷した後、溶媒を乾燥除去するか、または高分子材
料の硬化性のプレポリマーを、適当な溶媒に溶解または
分散させた塗布液を基板表面に塗布または印刷して、溶
媒を乾燥するとともに、プレポリマーを硬化させること
により形成される。液晶配向膜の膜厚は特に限定されな
いが、20Å〜0.5μm程度がよい。液晶配向膜の表
面をラビング処理して水平配向性を付与する場合には、
従来同様に、適当な布地を使用すればよい。
【0035】本発明の調光素子においては、混合膜1を
挟持する一対の基板2,2のうち少なくとも一方の基板
2の外側に、偏光板を配置してもよい。偏光板として
は、フィルム状、板状等の種々の形状のものが使用で
き、これらの形状を有する市販品を使用するのが簡単で
よい。本発明の調光素子は、液晶層1が、液晶性高分子
と、低分子の液晶材料と、電解質とを含有し、かつ素子
の使用温度領域でネマチック性を示す混合膜であること
以外の構成については特に限定されない。例えば、一方
の基板2の裏面に反射膜を設ける等して反射型の素子と
するなど、本発明の要旨を変更しない範囲で、従来の調
光素子と同様な、種々の設計変更を施すことができる。
【0036】上記本発明の調光素子を製造するための第
1の製造方法は、前述のようにフィルム等の屈曲性のあ
る基板を使用する際に好適な製造方法であって、概略図
2(a) 〜 (c)の手順で行われる。まず液晶性高分子、低
分子の液晶材料および電解質を前述した割合(全液晶中
に占める液晶性高分子の割合が5〜60重量%、混合膜
の総量に対する電解質の割合が0.005〜1重量%)
で配合した混合物1′に、さらにスペーサSを混入、分
散し、この混合物1′の適量を、一対の基板2,2のう
ち一方の基板2上に載置する(図2(a) )。つぎに、こ
の混合物1′の上からもう一方の基板2を重ねて、その
一端部から、一対のラミネートロールR,Rでラミネー
ト処理する(図2(b) )。そうすると図2(c) に示すよ
うに、一対の基板2間に、素子の使用温度領域でネマチ
ック性を示す混合膜からなる液晶層1が挟持された、本
発明の調光素子ができあがる。
【0037】本発明の調光素子を製造するための第2の
製造方法は、ガラス基板や硬質プラスチック基板等の従
来の同様の基板を使用する際に好適な製造方法であっ
て、まず一対の基板を一定距離に保持するには、両基板
を、フィルム上のスペーサを均一に散布した後、押圧し
ながら他方の基板を重ね合わせて貼り合わせる方法等が
採用される。
【0038】つぎに上記基板間に、液晶性高分子、低分
子の液晶材料および電解質を前述した割合で配合した混
合物を注入すると、一対の基板間に、素子の使用温度領
域でネマチック性を示す混合膜からなる液晶層が挟持さ
れた、本発明の調光素子が完成する。混合物を基板間に
注入する方法としては、当該混合物を毛細管現象によっ
て基板間に含浸させる方法や、基板間の隙間を減圧状態
にして混合物を吸い込ませる方法等があげられる。これ
らの方法により混合物を基板間に注入する際には、その
注入をスムーズに行わせるために、混合物を加熱して粘
度を低下させてもよい。また同時に、基板を加熱しても
よい。混合物および基板の加熱温度は特に限定されず、
液晶性高分子や高分子材料等が分解したり変質したりし
ない温度範囲で、かつ注入がスムーズになる温度に加熱
すればよい。
【0039】上記の第1および第2の製造方法で製造さ
れた調光素子は、そのままの状態でも十分に使用可能で
あるが、製造後の任意の段階で、混合物の等方相転移度
以上に昇温した後室温まで冷却するアニール処理を行っ
て、液晶の均一性をより一層向上させることもできる。
以上詳述したように、本発明の調光素子の特徴は、液晶
性高分子と低分子の液晶材料と電解質とが均一な相をな
し、かつ素子の使用温度領域でネマチック性を示す混合
膜により、液晶層1が構成される点にある。当該本発明
の調光素子においては、混合膜に印加された電場に付随
して移動したイオンが、液晶性高分子の主鎖に衝突する
ことで、液晶の配列が乱されて白濁状態になり、電場の
印加を停止すると、液晶の配向性のために膜内で液晶分
子が自然に配列して自動的に透明状態に転換する、とい
う混合膜の動作機構から判るように、液晶性高分子、低
分子の液晶材料および電解質の三つが、混合膜を構成す
るための必須の成分である。
【0040】上記本発明の調光素子に類似した技術とし
て、負の誘電率異方性を示す低分子量のネマチック液晶
に電解質を溶解したものを、当該ネマチック液晶がホモ
ジニアス配向するように表面を配向処理した一対の電極
付き基板で挟持した、動的散乱モードの液晶素子が知ら
れている。しかし、この動的散乱モードの液晶素子は、 液晶性高分子を用いず、 基板表面の配向処理が必須の要件であり、 ネマチック液晶が負の誘電率異方性を示す必要があ
る、という点で、 ′液晶性高分子を必須の要件とし、 ′基板表面の配向処理が必須の要件ではなく、 ′ネマチック液晶は正負何れの誘電率異方性を示すも
のでもよい、 本発明の調光素子とは、全く異なるものである。
【0041】次に、本発明の調光素子の駆動方法につい
て説明する。本発明の調光素子では、素子の使用温度領
域で液晶性高分子、低分子の液晶材料及び電解質からな
る混合膜がネマチック性を示し、電場の印加により白濁
し、電場の印加を停止した際に自動的に透明状態へと転
換する。即ち、電極を介して低周波又は直流の電場を印
加すると当該混合膜内で電場に付随してイオンが移動
し、液晶性高分子の主鎖に衝突して液晶の配向が乱され
て白濁状態になるが、電場の印加を停止すると、液晶の
配向性の為に、混合膜内で液晶分子が自然に配列して、
入射光が散乱されずに透過できる様になり、自動的に透
明状態へと転換する。そして、本発明者らが鋭意検討し
た結果、印加する電場の強度を連続的に変調すると、そ
れに従って、素子の白濁度を連続的に制御でき、その結
果、透過光量の調節が可能な調光機能を有する事を見出
した。従って、本発明の調光素子では、印加電場強度を
変調するだけで透過光量を調節でき、簡単な装置で、実
用的な調光機能を実現することができる。
【0042】以下に、本発明を実験例に基づいて説明す
る。実験例 下記式:
【0043】
【化2】
【0044】で表される繰り返し単位を有する液晶性高
分子(PLC、重量平均分子量Mw=9600)と、低
分子の液晶材料(LC、メルクジャパン社製、誘電率異
方性Δε=50.5、複屈折率Δn=0.1991)と
を重量比でPLC:LC=4:6の割合で混合するとと
もに、当該両液晶材料の総量に対して0.05重量%の
電解質(テトラエチルアンモニウムブロマイド:Et4
NBr)とを配合し、攪拌混合して混合物を製造した。
【0045】次いで、表面にITO膜が形成されたガラ
ス板をスペーサを用いて20μmの間隔に保持し、そこ
へ上記の混合物を100℃に加熱しつつ毛細管現象によ
って注入した後、室温まで徐冷し、素子を作製した。上
記実験例の素子について、以下の各試験を行いその特性
を評価した。調光特性 素子に直流電界を強度を連続的に変えながら印加し、そ
の際の透過光の強度及び分光スペクトルをオーク製作所
の顕微偏光分光光度計TFM−120AFTで測定し、
印加電界強度と波長600(nm)に於ける透過光強度
の関係を求め、図3に示すような結果を得た。色温度特性 上記で測定した分光スペクトルより各透過光強度に於け
る色温度を求め、図4に示すような結果を得た。
【0046】上記図3に見る様に、印加電圧値が0から
40(V)へと増加するのに従い、透過率も減少してお
り、印加電圧値によって透過光強度を制御することが可
能であるのが判る。又、この時の各透過光強度に対する
色温度を示した上記図4より、透過光強度を変化させた
際の色温度の最大値と最小値との差は、28.78
(K)であり、ほとんど色温度が変化しておらず、素子
を通して風景を観た場合でも着色等が見られない事が判
る。
【0047】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の調光素子
では、電場の印加時に白濁状態、非印加時に透明状態と
なる為、特別なフェイルセイフ機構を必要とせずに、よ
り簡単な構成で、しかも確実なフェイルセイフ機能を有
しており、又、印加電圧値の強度を変えるという簡単な
方法のみで良好な階調制御を行え、かつ、各階調時に於
いて、透過する光のスペクトルが変化せず、色温度がほ
ぼ一定に保たれるので、特に車載用の調光素子として好
適に使用する事ができるものである。
【0048】又、本発明の駆動方法を用いると、上記調
光素子を簡単な装置で連続的に階調させる事ができるも
のである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の調光素子を示す断面図である。
【図2】本発明の調光素子の製造工程を説明する図であ
る。
【図3】本発明の調光素子の印加電圧強度と透過光強度
の相関を示す図である。
【図4】本発明の調光素子の透過光強度と色温度との相
関を示す図である。
【符号の説明】
1 液晶層(混合膜) 1′ 混合物 2 基板 3 電極層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柏木 亨 大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電 気工業株式会社大阪製作所内 (72)発明者 高田 憲作 大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電 気工業株式会社大阪製作所内 (72)発明者 原 浩二 大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電 気工業株式会社大阪製作所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一対の基板と、この基板間に挟持された液
    晶層とを有し、少なくとも一方の基板の表面には電極層
    が形成されている素子において、 上記液晶層が、液晶性高分子と低分子の液晶材料と電解
    質とを有し、素子の使用温度領域でネマチック性を示す
    混合膜であることを特徴とする調光素子。
  2. 【請求項2】請求項1記載の調光素子を駆動する方法で
    あって、 低周波または直流の電界を電極層により印加しその電界
    印加強度を連続的に変調させることを特徴とする調光素
    子の駆動方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1304888C (zh) * 2000-08-30 2007-03-14 松下电器产业株式会社 液晶画面显示装置
CN114495846A (zh) * 2022-02-21 2022-05-13 冠捷电子科技(福建)有限公司 一种显示器变频调光方法及变频调光显示器

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CN114495846B (zh) * 2022-02-21 2024-05-14 冠捷电子科技(福建)有限公司 一种显示器变频调光方法及变频调光显示器

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