JPH0757904B2 - 熱処理炉用ロールおよびその製造法 - Google Patents

熱処理炉用ロールおよびその製造法

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JPH0757904B2
JPH0757904B2 JP1013526A JP1352689A JPH0757904B2 JP H0757904 B2 JPH0757904 B2 JP H0757904B2 JP 1013526 A JP1013526 A JP 1013526A JP 1352689 A JP1352689 A JP 1352689A JP H0757904 B2 JPH0757904 B2 JP H0757904B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、耐ピックアップ性、耐摩耗性に優れる熱処理
炉用ロールおよびその製造法に関する。
(従来の技術) 熱処理炉用ロール、例えば薄鋼板の熱処理炉内に配設さ
れるハースロールは高温の酸化性または還元性雰囲気で
長期間にわたって連続して作用されるために、その表面
は摩耗を受け、使用可能回数が少なくなるか、あるいは
被熱処理材からの付着酸化物、鉄粉がロール表面に凝着
・堆積していわゆるビルドアップを形成する。
このようにしてハースロールの表面に付着・形成される
スケールは被熱処理材である薄鋼板の表面にピックアッ
プと呼ばれる押疵をつけ、鋼板品質低下・歩留まり低下
の主たる原因となるものであって、その発生は極力防止
されなければならない。
そこで従来から様々な手段が提案されている。
たとえば (i)特開昭62−158586号公報には、ロール表面に窒化
処理を施した後、レーザービームを照射し、粗面化する
手段が、 (ii)特開昭62−158587号公報には、ある特定の粒径を
有する超硬粉末をガスとともにロール表面に吹きつけな
がら、レーザーダル加工を施す手段が、 (iii)特開昭62−158588号公報にはレーザーダル加工
前のロール表面にある特定の粒径を有する金属炭化物微
粉末を粘着剤とともに被覆処理する手段が、 (iv)特開昭55−154522号公報には熱処理炉用ロールの
母材表面に酸化クロム層を溶射形成させる手段が、 (v)特公昭63−26183号公報には特定組成のYOとZrO2
とよりなるセラミック被覆を形成する手段が、 (vi)特開昭60−141861号公報には、Co−Al系合金を被
覆する手段が、 (vii)実開昭57−111850号公報には、表面粗度を特定
した熱処理炉用ロールが、さらに (viii)特開昭61−253385号公報にはロール表面に研磨
・ダル加工を施した後にセラミックス、サーメット等を
溶射する手段が、 それぞれ開示されている。
(発明が解決しようとする課題) しかしこれらの公知手段ではいずれの手段によっても耐
ピックアップ性・耐摩耗性に優れた熱処理炉用ロールを
安価に確実に提供することは出来ない。
すなわち前述の(i)、(ii)および(iii)に示した
手段は、いずれも冷間圧延用ロールに対して適用するも
のであり、熱処理炉用のハースロールとして用いるには
高温における耐摩耗性が不足し、使用することができな
い。
また(iv)、(v)に示した手段では耐ピックアップ性
が不足し、熱処理炉用として適当なハースロールを提供
することができない。
また(vi)に示した手段では、被覆後にAl拡散とAl2O3
形成のための熱処理が現実には必要であり、コスト高と
なることは免れない。
さらに(vii)、(viii)に示した手段は、放電ダル加
工、ショットブラスト加工等によりロールの表面粗度の
調整を行う必要があるが、この調整を行うとロール表面
の均一性が失われ、摩耗やピックアップを生じ易くな
る。
すなわち前述の公知手段では耐ピックアップ性、耐摩耗
性に優れた熱処理炉用ロールを安価に確実に提供するこ
とはできなかったのである。
ここに本発明の目的は、耐ピックアップ性、耐摩耗性に
優れた熱処理炉用ロールおよびその製造法を安価に確実
に提供することにある。
(課題を解決するための手段) 本発明者は上記の課題を解決するため種々検討を重ねた
結果、次のような新規な知見を得た。
まず前述の(i)、(ii)および(iii)に示した手段
で得られるロールは高温耐摩耗性が不足することは、高
温耐摩耗性に優れたCo−Cr−Al−Y+Al2O3系のサーメ
ットの溶射を行うことにより解決できる。
また(iv)、(v)に示した手段で得られるロールは耐
ピックアップ性が不足することは、CrO、ZrO2に代えてA
l2O3を用いることにより解決できる。
また(vi)に示した手段ではコスト高となることは、レ
ーザー照射を行うことによりアニーリング効果が発揮さ
れて熱処理が不要となることで相殺できる。
さらに(vii)、(viii)に示した手段では、ロール表
面の均一性が失われるが、これは、レーザービームを照
射することにより解決できる。
すなわち、このような知見を総合して、ロールの表面に
Al2O3を含有するCo−Cr−Al−Y系のサーメットを溶射
して被膜を形成し、その後に表面にレーザービームを照
射することにより、耐ピックアップ性、耐摩耗性に優れ
た熱処理炉用ロールを安価に提供できることを知り、本
発明を完成した。
ここに本発明の要旨とするところは、熱処理炉用ロール
用本体と、その表面に溶射により形成され固体Al2O3
子が分散したCo−Cr−Al−Y系サーメット被覆層と、該
サーメット被覆層上に形成され、レーザービームにより
表面粗度4〜6μmに刻設されたAl2O3層と、前記熱処
理用ロール本体と前記サーメット被覆層(2)との境界
に形成された合金層とから成ることを特徴とする、耐ピ
ックアップ性、耐摩耗性、耐剥離性に優れた熱処理炉用
ロールである。
別の面からは、本発明は、熱処理炉用ロール本体の表面
に、固体Al2O3粒子を含有するCo−Cr−Al−Y系サーメ
ットを溶射し、前記固体Al2O3粒子が分散した被覆層を
形成した後、該被覆層表面にレーザービームを照射して
表面粗度Raが4〜6μmのダル加工を施すことにより、
前記被覆層表層に、前記サーメットに含有される金属Al
を拡散させ、該金属Alと大気中の酸素とを化合させるこ
とにより、Al2O3層を形成させると共に、前記熱処理用
ロール本体と前記サーメットに含有される金属成分との
拡散により前記被覆層と前記熱処理用ロール本体との境
界に合金層を形成させることを特徴とする、耐ピックア
ップ性、耐摩耗性、耐剥離性に優れた熱処理炉用ロール
の製造法である。
本発明の好適態様によれば、レーザビーム照射に先立っ
て前記被覆層の表面を、例えば4S(最大高さRmaxが4μ
m以下)となるように研磨して平滑化してもよい。
本発明において溶射用に使用するサーメットは、Al2O3
を含有するCo−Cr−Al−Y系のサーメットであり、具体
的には、10Al2O3+90(24Co−24Cr−50Al−2Y)が例示
される。
(作用) 以下本発明を作用効果とともに詳述する。
本発明にかかる熱処理炉用ロールは、その表面に、Al2O
3を含有する固溶Alの多いCo−Cr−Al−Y系のサーメッ
トを溶射してなる被膜を有する。
ここでロール表面の被膜材料として10Al2O3+90(24Co
−24Cr−50Al−2Y)またはAl2O3を含有するCo−Cr−Al
−Y系のサーメットが例示される理由は、従来より10Al
2O3+90(24Co−24Cr−50Al−2Y)は溶射後に熱処理を
実施して、そのロール表面と溶射層との密着性、あるい
はAlの拡散による溶射表面層へのAl2O3の形成を促して
おり、材料の耐摩耗性の向上に大きく寄与する元素であ
ることが知られていたからである。以下の本発明の説明
においては、Al2O3を含有するCo−Cr−Al−Y系のサー
メットとして10Al2O3+90(24Co−24Cr−50Al−2Y)を
用いるが、本発明はこれに制限されるものではない。
溶射被膜の厚さは特に制限を必要とするものではなく、
ロールに求める性能に応じて適宜設定すればよいが、本
発明者の知見によれば100μm以上の厚さとすることが
耐ピックアップ性および耐摩耗性の向上に大きな効果が
あり、かかる範囲とすることが望ましい。
第1図(a)は、この10Al2O3+90(24Co−24Cr−50Al
−2Y)を溶射した後のロールの表面付近の略式断面図で
あり、ロール3の表面には、Co−Cr−Al−Y系の合金か
ら成る被覆層2が被覆され、Co−Cr−Al−Y系の合金の
被覆層2の中にAl2O3粒子1が分散して存在しているこ
とがわかる。
次に本発明にかかる熱処理炉用ロールにおいては、この
ロール3の表面の被覆層2にレーザービームを照射す
る。第1図(c)は慣用のレーザービーム発振器6より
レーザービーム照射中のロール3の表面付近の略式断面
図であり、レーザービームを照射されることにより、第
1図(c)においては約20μm間隔に深さが10〜15μ程
度の凹部が被覆層2の表面に形成されていることを示し
ている。レーザービームを表面に照射することにより被
覆層2に表面粗度を付与することができ耐摩耗性の向上
をはかることができるとともに、溶射材中に分散してい
る固溶Alを表面に拡散させ、大気中のO2と化合させてAl
2O3層4が形成される。第1図(c)においてこのAl2O3
層4の最大厚さは20μm程度である。さらにこのレーザ
ービーム加工により溶射材とロール母材との界面におい
ては、レーザー照射によるアニーリング効果でFe−Co−
Crの合金層5が最大で約20μm程度の厚さで形成され、
溶射被膜の密着性がさらに向上するという効果が得られ
る。
なお本発明者の知見によれば、第2図(a)に示すよう
に、表面粗度が4μm未満と小さい場合には薄鋼板のロ
ール表面に対する接触面圧が弱すぎ、スリップを起こ
し、被熱処理材とロール間で焼付きを発生させ、熱処理
材がロールに結合しピックアップを生じる。表面粗度が
6μm超と逆に大きすぎる場合は、熱処理材からの付着
酸化物、鉄粉のロール表面への凝着・堆積によりピック
アップを防止できない。したっがって、レーザービーム
加工後の被覆層2の表面粗度は4〜6μmの範囲にある
ことがピックアップの防止に大きな効果がある。
ここに、表面粗度は、JIS B 0601に規定する中心線平均
粗さ(Ra)をもって表す。
さらにレーザービーム加工以外の方法、例えばショット
ブラスト加工、放電ダル加工等によっては、第2図
(b)に示すように、表面の凹凸の均一性がなく、局部
的に摩耗が進行し易くなるため使用時の表面粗度低下が
速く、ピックアップの発生防止効果は小さく、実用上ピ
ックアップ発生を防止できない。
さらにレーザービームの照射をムラなく均一に行うため
には、レーザービーム照射の前に溶射被膜を有するロー
ルの表面を研磨して、平滑に仕上げておくことが望まし
い。第1図(b)はレーザービーム照射前に表面を研磨
して仕上げた際の、ロール3の表面付近の略式断面図で
あり、仕上げの程度は本発明者の知見によれば4S以下で
あることつまり、表面の最大高さRmaxが4μm以下とな
るような平滑面に仕上げることが望ましい。
またこのときの被覆層2の厚さは60μm程度である。
さらに本発明を実施例とともに詳述する。なおこれは本
発明の例示でありこれにより本発明が不当に制限される
ものではない。
実施例 本発明にかかる熱処理炉用ロールと従来の熱処理炉用ロ
ールとを連続焼鈍炉に設置して連続して30カ月使用して
摩耗の程度を表面粗度Raを測定することにより測定し
た。
なお本発明にかかる熱処理炉用ロールの製造にあたっ
て、サーメットとして10Al2O3+90(24Co−24Cr−50Al
−2Y)を用いその被覆層の表面粗度は6μmとし、また
レーザービームの照射前にロールの表面、つまり被覆層
表面をホーニング砥石により4Sに研磨した。
また従来の熱処理ロールとしては同様に10Al2O3+90(2
4Co−24Cr−50Al−2Y)の被覆層を有したもので、その
表面に放電ダル加工を施した後に熱処理を施したもの
(比較例1)、ショットブラスト加工を施した後に熱処
理を施したもの(比較例2)を用いた。
結果を第3図に示す。第2図より明らかなように、本発
明にかかる熱処理炉用ロールは30か月にわたる連続的な
使用においても殆どその表面粗度には変化がなく、極め
て優れた耐摩耗性を示している。
これに対して比較例の熱処理炉用ロール表面粗度の低下
が激しく、比較例1は25カ月で、また比較例2は20カ月
で使用することが出来なくなった。したがって本発明に
かかる熱処理炉用ロールの耐摩耗性が如何に優れている
ことががわかる。このことから、本発明にかかる薄鋼板
の熱処理炉用ロールは、連続使用においても、長期間表
面粗度を適正値に保持でき、ピックアップ発生を防止で
きることがわかる。
〔発明の効果〕
以上詳述した本発明により、耐摩耗性・耐ピックアップ
性に優れた熱処理炉用ロールを安価に提供することが可
能となった。したがってロールのメンテナンス費用・工
数を低減することができ、その経済的効果も極めて大き
い。
またレーザービームを照射することにより熱処理が不要
となり、エネルギー費、コストを大幅に削減できる。
かかる効果を有する本発明の実用上の意義は極めて著し
い。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)、第1図(b)および第1図(c)は、本
発明にかかるロールの表面の略式説明図;第2図
(a)、(b)は、それぞれダル加工による表面粗度お
よびそのための粗度付与手段がピックアップ発生頻度に
及ぼす影響を示すグラフ;および第3図は、実施例にお
ける粗度付与手段の違いによる、ロールの使用月数と表
面粗度との関係を表わすグラフである。 1:Al2O3粒子、2:被覆層 3:ロール、4:Al2O3層 5:合金層、6:レーザービーム発振器

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱処理炉用ロール用本体(3)と、その表
    面に溶射により形成され固体Al2O3粒子(1)が分散し
    たCo−Cr−Al−Y系サーメット被覆層(2)と、該サー
    メット被覆層(2)上に形成され、レーザービームによ
    り表面粗度4〜6μmに刻設されたAl2O3層(4)と、
    前記熱処理用ロール本体(3)と前記サーメット被覆層
    (2)との境界に形成された合金層(5)とから成るこ
    とを特徴とする、耐ピックアック性、耐摩耗性、耐剥離
    性に優れた熱処理炉用ロール。
  2. 【請求項2】熱処理炉用ロール本体(3)の表面に、固
    体Al2O3粒子(1)を含有するCo−Cr−Al−Y系サーメ
    ットを溶射し、前記固体Al2O3粒子(1)が分散した被
    覆層(2)を形成した後、該被覆層(2)表面にレーザ
    ービームを照射して表面粗度Raが4〜6μmのダル加工
    を施すことにより、前記被覆層(2)表層に、前記サー
    メットに含有される金属Alを拡散させ、該金属Alと大気
    中の酸素とを化合させることにより、Al2O3層(4)を
    形成させると共に、前記熱処理用ロール本体(3)と前
    記サーメットに含有される金属成分との拡散により前記
    被覆層(2)と前記熱処理用ロール本体(3)との境界
    に合金層(5)を形成させることを特徴とする、耐ピッ
    クアップ性、耐摩耗性、耐剥離性に優れた熱処理炉用ロ
    ールの製造法。
  3. 【請求項3】レーザビーム照射に先立って前記被覆層
    (2)の表面を研磨して平滑化する、請求項2記載の熱
    処理炉用ロールの製造法。
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